京太郎「俺って最低だ」 (166)

京太郎「……」パチッ

京太郎「…ここは?」

咲「京ちゃんの目が覚めた!!」

和「須賀君!!」

優希「大丈夫か京太郎!!痛いところは無いか?」

久「よかったぁ。このまま目を覚まさなかったらどうしようかって思ってたから…」

まこ「部長も和達も落ち着かんか。京太郎が状況もわからずにビックリしとるじゃろ」

京太郎「!?!?!?」

久「そうね。結構派手に頭をぶつけたから、安静にしないといけないしね」


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咲「でも、本当に意識が戻ってよかったよ」

咲「和ちゃんを庇って車に跳ねられて三メートルくらい転がって、頭から血が止まらなくて、本当に心配だったんだよ」

和「ごめんなさい。私の不注意のせいで…」

優希「だ、大丈夫だじぇ。京太郎も目が覚めたし、怪我はしてるけど何とか無事だったわけだし」

京太郎「あの…」

久「どうしたの?須賀君」

京太郎「……」

京太郎「…あなた達は誰なんですか?」

咲「…え」

和「何を言ってるんですか?須賀君」

京太郎「須賀…。俺の名前が須賀なんですか?」

優希「ちょ、冗談キツイじぇ!!何でそんな怯えた目で私らを見るんだじょ!?」

久「もしかして…」

まこ「医者の先生がもしかしたらって言うとった記憶障害ってやつか?」

咲「じゃあ、頭を強くぶつけたそのせいで…」

和「……!!」

久「えっと、あなたの名前は須賀京太郎よ」

京太郎「須賀…京太郎…」

久「清澄高校の一年生で私達と同じ麻雀部の部員なのよ」

京太郎「…はあ」

久「とりあえずもう少ししたら親御さんも来るけど、記憶障害になってるから簡単に私達の自己紹介を済ませておくわね」

京太郎「…わかりました」

久「言いだしっぺの私から自己紹介するわ」

久「麻雀部の部長で3年の竹井久よ」

久「みんなからは普通に部長って呼ばれてるわ」

京太郎「部長、ですか」

久「そっ」

久「じゃあ次はまこ、お願い」

まこ「わしは二年の染谷まこ。京太郎からは染谷先輩って呼ばれとった」

京太郎「染谷、先輩ですか」

まこ「そうじゃ」

まこ「次は和、お前さんじゃ」

和「…はい」

京太郎(この子が和、か。さっきの話だと、俺はこの子を庇って怪我をしたのか)

京太郎(……)

京太郎(おおぅ。…胸が凄いな)

和「えっと、一年の原村和です」

京太郎「…原村和さんですか」

和「…須賀君からは和って呼ばれてました」

京太郎「え?」

京太郎「俺って君の事を下の名前で呼んでたんですか?」

まこ「お前さんは和だけじゃなく、一年の女子部員は全員下の名前で呼んどったぞ」

京太郎「そ、そうなんですか」

優希「次の自己紹介は咲ちゃんに譲るじぇ」

咲「あ、うん」

優希「主役は大トリって相場が決まってるしな」

久・まこ(主役?)

咲「私は宮永咲。京ちゃんとは中学校の頃からずっと一緒だったんだよ」

京太郎「宮永咲さん…ですか」

咲「!!」

咲「京ちゃん…、本当に何も思い出せないの?」

咲「麻雀部に私を誘ったのも、迷子になった私を最初に見つけるのも、私が落ち込んでる時に慰めてくれるのも、全部京ちゃんだったんだよ!!」

京太郎「……」

京太郎「ごめんなさい」

京太郎「みんなの名前を聞いても、顔を見ても、自分がした事を言われても、全然覚えてなくて…」

咲「……」

京太郎「ごめんなさい」

咲「う、ううん。謝る事はないよ」

咲「記憶がないんだから仕方ないよね」

京太郎「…宮永さん。本当にごめんなさい」

咲「……」

優希「最後はこの私、片岡優希様だじぇ」

京太郎「片岡優希さんですか」

優希「そしてのどちゃんは私の嫁だじぇ!!」

和「何言ってるんですか、優希!!」

京太郎「……」

京太郎「えっと、原村和さんが嫁という事は片岡優希さんは男子って事ですか?」

優希「馬鹿なこと言うな。こんなに可愛い男子が世の中にいるわけないじぇ」

優希「どこからどうみてもただの美少女だじぇ」

京太郎「あ。ごめんなさい」

まこ「こら優希。京太郎は記憶をなくして色々と混乱しとるからあんまり変な事言わん方がええやろ」

優希「そういえばそうだったじょ」

優希「京太郎が普通に喋ってるからついいつものノリで…」

久「とりあえずうちの麻雀部のメンバーは須賀君を含めてこの六人で活動しているわ」

京太郎「そうなんですか…」

久「やっぱり簡単な自己紹介くらいじゃ何も思い出せないか」

京太郎「すいません。…竹井部長」

久「それじゃちょっと提案があるんだけどみんないいかしら?」

和「なんでしょう部長」

久「五分から十分程度でいいんだけど、須賀君と二人きりで話をしようかなって思うんだけど」

咲「部長が、ですか?」

久「あ。一応、私もするけど、この場にいる全員がね」

久「簡単に言えば個人面談みたいなものかしら」

久「さっきの咲みたいに須賀君との思い出とかそういうのがあれば、そこから須賀君の記憶を揺さぶってみる、みたいな感じで考えてるんだけど」

咲「でも、京ちゃんは思い出せないって…」

久「咲ならどこで迷子になったのを見つけてもらったとか、こういう悩みを相談した事があるとか、詳しく説明したりしてね」

久「他の人も須賀君とのエピソードがあれば、それを重点的に話してみてって感じなんだけど」

まこ「まあアイディアとしては悪くないか」

優希「私と京太郎のエピソードはタコス抜きでは語れないじぇ!!」

久「タコス関連以外のエピソードがあったらそっちを逆に聞いてみたい気もするけどね」

和「でも、そういうエピソードを話すのは少し恥ずかしい気もしますよね」

久「だから病室で二人きりにするのよ」

優希「でも、二人きりなのをいい事に京太郎が襲い掛かってきたらどうするんだじょ?」

久「須賀君と話をするメンバー以外は病室の外で待機してるから大丈夫じゃないかしら?」

久「危なくなったら悲鳴を上げるなり、ナースコールを押すなり色々出来るわよ」

和「それに今の須賀君は私達に心を開いているように見えませんし、怯えていますから、多分襲われる事は無いように思います」

まこ「それに頭の怪我が目立っとるけど、腕や胴回りも怪我で包帯まみれじゃしな」

久「そういう事だけどいいかしら?」

京太郎「よくわかりませんけど、記憶を戻すためということなら俺も頑張ってみます」

久「ありがと」

久「それじゃ、一旦須賀君を残して、全員部屋から出るわよ」

咲「わかりました」

京太郎「……」

京太郎「俺って結構心配されてるんだな」

京太郎「それにしてもみんな可愛かったなぁ」

京太郎「実は俺、あの中の誰かと付き合ってたりするのかなぁ」

京太郎「……」

京太郎「ない、な」

京太郎「誰も俺の彼女でしたって自己紹介で言ってくれてないし、せいぜい宮永さんが幼馴染で少し仲がいいくらい。そんなところか」

京太郎「……」

京太郎「…虚しい」

久「それじゃ誰から行く?」

まこ「一番手はちょっと…」

和「最初に行って須賀君の記憶を思い出させるほどの自信があるエピソードはありませんし、出来れば二、三番手くらいがいいんですが…」

優希「団体戦の先鋒ならともかく、これは…うぅ~」

咲「じゃ、じゃあ、わt」

久「それなら先陣は私が切ろうかしら」

和「部長が?」

久「今回の事故は私が須賀君に重い荷物を重点的に持たせていたのも原因の一端だと思ってるし、部長だから責任も感じてるしね」

久「私が戻ってくるまでに次に誰が須賀君と話をするのか決めておいてね」

まこ「わかった。それじゃお前さんも頼むぞ」

久「任せて」

久「お邪魔しまーす」

京太郎「えっと、…竹井部長?」

久「…あ、うん」

久「あのね、須賀君」

久「今回の事故はさ、須賀君が和を助けたから、和の身代わりになって怪我をしたの」

京太郎「俺は覚えてないですけど、皆さんが見てたのでしたら、それはそうなんでしょうね」

久「普段の須賀君なら、怪我をすることなく和を助けられてたんだけどね」

京太郎「……」

京太郎「それは事故当時、俺が普段の状態じゃなかったって事なんですか?」

久「デスクトップパソコンやモニター、麻雀牌その他色々運ばせててだいぶ体力を使ってたから…」

久「信号無視して突っ込んできた車の車線上から和を突き飛ばすので精一杯だったんだと思うの」

久「だから本当にごめんなさい」

京太郎「そうだったんですか」

京太郎「でも、男部員が俺だけなら力仕事するのは俺の役目だから竹井部長は悪くないですよ」

久「あの時、車の異変に気付いてたのが須賀君だけで、私が気付いてたら私が和を助けられたのに…」

京太郎「でも、それだと竹井部長が怪我をしてたかもしれないじゃないですか」

京太郎「それだと、きっと俺は後悔してたと思いますから」

京太郎「俺は怪我して今は何も覚えてないけど、これが最良だったと今の俺はそう思います」ニコッ

久「……」ドキッ

久(す、須賀君って何気にイケメンよね)

久(普段のおちゃらけたキャラを見てるとあんまり気にならないけど、こうして二人きりで真剣な表情をしてるのを見ると…)

京太郎「どうかしましたか?竹井部長」

久「なな、なんでもないわ」ドキドキ

久(そういえば…)

久(頭部を強打した場合の記憶障害って、元の記憶が戻った時は頭部強打以降の記憶が無くなるっていうのを聞いたことがあるけど…)

久(それならちょっと試してみようかしら?)

久「ね、ねえ、須賀君」

京太郎「なんですか?竹井部長」

久「じ、実はね、みんながいたから言い出せなかったんだけど須賀君と私、…」

久「付き合ってるのよ」

京太郎「え!?」

京太郎「そ、それって本当なんですか?」

久(顔を真っ赤にして上目使いでこっち見てる!!な、なんか凄くいいわ!!)

久「う、うん。須賀君が麻雀で伸び悩んでるのを相談されて、その時に告白されたのよ」

久(記憶が戻ったら元の関係に戻るけど、記憶がない間くらいは須賀君の心の拠り所になるって意味でも、これはきっとアリよね?)

京太郎「そうだったんですか…。俺と竹井部長が、そ、その、こ、恋人同士だったんですね」

久「そ、そうよ」

久「あ、あと、二人きりの時は久って呼んでたわ」

京太郎「…久、さん」

久(男の子から下の名前を呼ばれるのって…凄くいいかも!!)

久「う、うん」

京太郎「俺とひ、久さんは本当に恋人同士だったんですよね…」

久「『だった』じゃなくて私は今もそのつもりよ」

久「記憶が無いから色々と不安なのはわかるけど、もし何かあったら相談に乗るし、一緒に考えることも出来るから、ね」

京太郎「ありがとうございます」

久「お礼を言われる事はないわ。だって、こ、恋人同士だもの」

京太郎「俺、こんな綺麗な人が恋人で凄く嬉しいです」

久「も、もう。須賀君ッたら…」テレテレ

久「あ。そうだ」

京太郎「どうしたんですか?」

久「一応、私と須賀君が付き合ってるのはみんなには内緒だからね」

京太郎「そうなんですか?」

久「部活とプライベートはわけてるからね」

久「だから私と付き合ってることは誰にも言っちゃ駄目だからね。絶対に」

京太郎「わかりました。誰にも言いません」

久「ん。いい子ね」チュッ

京太郎「はわっ!?」

久(ホッペにチューでオロオロしてる須賀君が可愛すぎるんだけど)

久(これもう、記憶とか戻らなくてこのままでいいんじゃないかなって気がしてきた)

久「退院して元気になったらもっといい事してあげるから」

京太郎「が、頑張ります!!」

久「それじゃあ、そろそろ次の子と変わるわね」

京太郎「わかりました。俺も早く記憶が戻れるように何とか頑張ってみます」

久(そっちは頑張らなくてもいいんだけど)

久「ふう」

咲「どうでした?部長」

久「ごめんね。やっぱり私の話じゃ元には戻らなさそうね」

久「雑用とか雑用とか雑用の話をひたすらしたんだけど」

まこ「お前さんは悪魔か」

久「え?私が小悪魔?」

和「そんな事は言ってませんから」

久「で、次は誰が行くの?」

和「私が行きます」

優希「のどちゃんならそのおっぱいで京太郎の記憶を呼び戻せるんじゃないか?」

和「意味がわかりません」

和「失礼します」

京太郎「えっと、…原村和さんですね」

和(痛々しい頭の包帯。それに両腕やお腹にも包帯が巻かれていて、傷を負ってる箇所の方が少ない)

和「私のせいで…ごめんなさい。須賀君」ポロポロ

京太郎「い、いや、泣かないで、原村さん!!」

和「でも…私なんかを助けたせいでこんなに怪我を負わせてしまって…」

京太郎「だ、大丈夫ですよ」

京太郎「ほ、ほら、よく言うじゃないですか。怪我は男の勲章だって」

和「…それを言うなら怪我じゃなくて傷です」グスグス

京太郎「そうでしたっけ?」

京太郎「それに女子の原村さんが怪我するより、男の俺が怪我した方が…その、似合ってるし」

和「言葉の使い方がおかしいですよ。須賀君」クスッ

京太郎「そうそう。女の子は泣いてる顔より笑顔の方がいいと思います」

京太郎「特に原村さんみたいに可愛い女の子は」ニコッ

和「ふあっ!?」ドキン

和「き、急に変なこと言わないでください!!」

京太郎「ごめんなさい。元気付けようと思って…」

和「……ありがとうございます」

京太郎「あ。喉が渇いたからお茶を飲んでもいいですか?」

和「ど、どうぞ」

京太郎「よっ……痛っ……、ふぅ」

和(少し腕を伸ばしただけであんなに苦痛で顔を歪めて…、やっぱり頭の怪我以外もあまりよくないみたいですね)スッ

京太郎「うぅっ…」

和「私がお茶を注ぎますから、須賀君は元の姿勢に戻ってください」

京太郎「ごめんなさい。…あと、ありがとう」

和(謝るのもお礼を言うのも私の方なのに…)コポコポコポ

和「どうぞ」

京太郎「く、口元まで湯飲みを持ってこなくてもあとは一人で出来ますから」

和「このくらいはさせてください。今、私が普通にしていられるのは須賀君のお陰なんですから」

京太郎「それならお言葉に甘えさせてもらいますね」ズズ…

京太郎「熱っ!?」

和「え!?ご、ごめんなさい、お茶が熱かったですか」

京太郎「ま、まあ、少し熱いけど飲めない事もないから」

和「駄目ですよ!!口の中が火傷したら大変じゃないですか!!」

和「お茶を冷ますので少し待ってください」

和「…フー…フー…」

京太郎「……」

和「…フー…フー…」

和「そろそろ大丈夫だと思いますけど…」ゴクッ

和「ええ。この熱さなら大丈夫ですね」

和「どうぞ、須賀君」

京太郎(原村さん、普通に俺が口をつけた箇所で試し飲みをしなかったか?)

京太郎(清楚で大人しそうな外見とは裏腹に意外にアグレッシブな女の子なのか?)

京太郎「じゃ、じゃあ、いただきます」ズズッ

和「あ…」

和(私が口をつけた場所に須賀君の唇が…)

和(ま、まあ、須賀君は怪我をして動けないわけですから、不可抗力ですよね)ドキドキ

和(……)

和(怪我で動けない須賀君のためにして上げられる事)

和(色々あるのでしょうが、ただの部活の部員同士なのに私だけそこまで踏み込むのは無理でしょうね)

和(咲さんなら幼馴染というポジションを活用して須賀君の面倒を見ることが出来るのかもしれませんが、私と須賀君はそういう関係ではありませんし)

和(でも、須賀君に助けられた恩を返すにはやっぱり困ってる須賀君を助ける事だから…)

和(そのためには須賀君にとって私が特別なポジションでなければならないわけであって…)

和(自己紹介の時も感じましたが、記憶が無い須賀君は私達と距離を置こうとしているのがわかります)

和(今のままだと私は須賀君を助ける事ができません)

和(須賀君との距離を縮めるには…)

京太郎「どうしました?原村さん」

和「実は須賀君にだけ打ち明けたい事があります」

京太郎「なんですか?」

和「じ、実は私と須賀君は付き合っているのです」

和(記憶が戻るまではこういう人間関係でも多分問題ないはずです。今の須賀君はかなり消極的な性格のようですし、変な間違いも起きないでしょう)

京太郎「」

和「とは言っても、麻雀部の皆さんはこの事を知りません」

和「彼氏彼女とか周りの人に冷やかされるのが好きではないので、私は誰にも言うつもりはありません」

和「須賀君もそこは納得してくれましたし」

和(こう口止めしていれば咲さんや優希達にばれる事は多分ないですよね?今の須賀君の性格であれば)

京太郎「」

京太郎(話を要約するとあれか?俺は他の部員に内緒で、同じ部活の部長と仲間である久さんと原村さんを恋人にしてる二股野郎なのか?)

京太郎(……)

京太郎(俺って最低だ)

今回の投下はここまでです

オチは読めるでしょうが、予想は控えてくれるとありがたいです

それでは

おつおつ

王道ってのはいいもんだ、オチまで予想がついてるのに楽しみにさせてくれるんだからな

これは期待
最初から病室にいるんだよなこれ

>>36
王道?

>>42
最初から病室です。最初にその会話を入れるべきでしたが、すっかり忘れてました

投下を開始します

京太郎(とにかく落ち着け、俺)

京太郎(記憶が無い以上、どんな恋人同士だったのかもわからないし、もしかしたら『濃い人同士』なのかもしれない…)

京太郎(言ってみたけどこれはないな。なんだよ、『濃い人同士』って)

和「あと、私の呼び方は今のままでも構いませんが、前みたいに下の名前で呼んでもらえると、もしかしたら何かのきっかけで記憶が戻るかもしれませんよ」

京太郎「……」

京太郎「…わかりました、和さん」

和(普段は須賀君に下の名前で呼ばれてましたが、今は何故か新鮮な感じがしますね)

和(それに理由はわかりませんが、嫌な感じはしません)

和(……)

和(いえ。理由がわからないことはありませんね)

和(私は私を助けてくれた須賀君に好意を抱いている。『ただの部活の仲間』から『自分を犠牲にしてまで助けてくれた命の恩人』になったわけですから)

和(あと、今の五月蝿くない須賀君なら恋人同士でも全然悪い気がしませんしね)

和(助けてくれたのは元の須賀君でしたが、今の須賀君の方が私はいいと思います。こういう考えは少し不謹慎ですけどね)

和「それでは名残惜しいですけど、そろそろ時間ですので次の人と交代しますね」

京太郎「…あ、…はい」

和「……」

和(須賀君が凄く意気消沈してますね)

和(やっぱり恋人同士と聞かされたのに私からのスキンシップとかが足りないせいでしょうか?)

和(優希が言ってたように自分の胸を使って何かするのはやはり抵抗がありますし、時間も時間ですから元気付けるのはまた明日にしましょう)

京太郎(二股かぁ…。どっちか一人から聞いてただけならテンションも上がるんだろうけど、同時に聞くとこれは色々とメゲるわ)

和「……」ガラッ

咲「ど、どうだった?和ちゃん」

和「駄目でした」

和「そもそも須賀君とは麻雀以外に接点がないので、あまり効果的な話は出来ませんでした」

久「そのわりには少し時間をかけてたんじゃない?」

和「須賀君が喉が渇いたといっていたのでお茶を飲ませてあげただけです」

久「ふぅん。和にしては珍しく須賀君に対して優しいんじゃない?」

和「助けてもらった恩もありますし、どちらの腕も動かすと痛みがあるようでしたので、そのくらいは私でも普通にやりますよ」

咲「そっか。京ちゃん、腕にも包帯巻いてたもんね」

和「……」ガラッ

咲「ど、どうだった?和ちゃん」

和「駄目でした」

和「そもそも須賀君とは麻雀以外に接点がないので、あまり効果的な話は出来ませんでした」

久「そのわりには少し時間をかけてたんじゃない?」

和「須賀君が喉が渇いたといっていたのでお茶を飲ませてあげただけです」

久「ふぅん。和にしては珍しく須賀君に対して優しいんじゃない?」

和「助けてもらった恩もありますし、どちらの腕も動かすと痛みがあるようでしたので、そのくらいは私でも普通にやりますよ」

咲「そっか。京ちゃん、腕にも包帯巻いてたもんね」

>>49
何故か二重投稿になってた

和「そういえば染谷先輩がいませんけど、どこへ行ったんですか?」

久「まこなら麻雀牌を取りに戻ったわ。須賀君も麻雀部の部員だし、もしかしたら麻雀牌触ったりしたら記憶が戻るかも、ってさっき話しててね」

和「そうだったんですか」

優希「次は私が行くじぇ!!」

和「優希ですか。まあ、私よりは須賀君と会話もしていますし、(多分、私が彼女らしい事をやってあげなかったせいで)少し気分が落ち込んでいるようなので順番は悪くないと思います」

優希「そうなのか。それじゃ、私が京太郎の記憶とテンションをがっつり取り戻してくるじぇ!!」

優希「入るじぇ、京太郎」ガラッ

京太郎「……あなたは片岡優希さん」

優希「こんな他人行儀な京太郎は凄く変な感じだじぇ」

京太郎「…ごめんなさい。片岡さん」

優希(のどちゃんが言ってた通り、京太郎のテンションがかなり下がってるじょ)

優希「あと、私の事は普通に優希って呼べ。京太郎から片岡さんって言われるとなんか変な感じだじぇ」

京太郎「わかりました。優希さん…」

優希「さん付けも本来ならいらないけど、まあ私は心が広いから許してやるじぇ」

京太郎「は、はあ」

優希「まあ、とにかく今はタコスでも食え。今回は特別に私の奢りだじぇ」モグモグ

京太郎「よくわからないけど病院でそういうものを食べていいんですかね?」

優希「細かい事は気にするな。京太郎はそんな些細な事を気にするような奴じゃないじょ」モグモグ

京太郎(些細な事…か)

京太郎(だけど前の俺は些細じゃない事も気にしない奴なんだろうな。多分)

優希「この私のタコスが食えないとかありえないじぇ!!ほら、食え!!」モグモグ

京太郎(この子は元気なムードメーカーな感じか)

京太郎(この子と喋ってる間はさっきのアレは忘れられるかも…)

京太郎「それじゃ、いただきます」ハムッ

優希「どうだ?京太郎、何か思い出したか?」

京太郎「い、いえ、これといって特には…」モニュモニュ

優希「このタコスじゃ駄目なのか」

優希「じゃあ次はこっちのタコスを食え」

京太郎「ま、またタコスが出てきた…」

京太郎「えっと…。前の俺ってそんなにタコス好きな奴だったんですか?」

優希「何言ってるんだじょ。タコスは私の大好物だじょ」

京太郎「あ、ああ、そうなんですか…」

優希「でも、京太郎は私と一緒に何度もタコスを食ったことがあるじぇ」

京太郎「そうなんですか」

優希「麻雀部の部室で麻雀しながら食べたり、学校の中庭で京太郎と私、のどちゃんや咲ちゃんと一緒に昼食で食べたり…」

京太郎「仲、良かったんですね」

優希「下校中にタコス屋で買い食いしたり、京太郎はちょっと文句を言いながらも私のためにタコスを買ってきたりしてくれた事もあるじぇ」

京太郎(前の俺と優希さんとはちゃんと普通に学生生活を送ってるようで何よりだ)

優希「そんな思い出いっぱいのタコス物語だけど、やっぱり思い出せないか?」

京太郎「ごめんなさい」

京太郎「で、でも、タコスは美味しかったよ」

京太郎「あと、優希さんの心遣いで少し元気になった気がするよ」

優希「それは何よりだじぇ」

優希「あ」

京太郎「?」

優希「タコス以外で京太郎の記憶を取り戻せるかもしれない事が一つだけあったじぇ」

京太郎「なんですか?」

優希「パンチラ」ペラッ

京太郎「」

優希「無反応とは酷いじぇ。せっかくまた私のパンチラを見せてやったのに」

京太郎「」

京太郎(……。また?)

京太郎「って…え?俺は前にも見たんですか?」

京太郎「優希さんの、その…下着を…」

優希「部室でな」

京太郎「部室で!?」

京太郎(駄目だ。理解が追いつかない)

優希「あと、京太郎に押し倒された事もあるじぇ」

優希(昼休みに京太郎の肉まんをこっそり取った時だけど)

優希「中庭で」

京太郎「」

京太郎(二股以上に酷い事になるとは思いませんでした)

京太郎(俺は想像を超えるクズ人間だったようです)

京太郎(麻雀部で久さんと和さんの二人を恋人にしてるうえ、今、目の前にいる優希さんにも手を出していたようです)

京太郎(部室で女の子の下着を見るってどれだけ背徳好きな奴なんだ!?)

京太郎(挙句の果てには野外で女の子を押し倒すって、もう変態の域だろ!!)

京太郎(どうやらアレだ。前の俺は死んで詫びた方がいい人種のようだ)

今回の投下はここまでです

五股?
このスレのオチがいつから五股と錯覚していた?

少なくとも>>1は五股だけは考えてないのよー

あと投下時間は23時前後を考えているので、0時を超えたらその日は更新無しと考えてもらっていいです

それでは



>>64
そうなるとハギヨシさんが最後の良心か……。

>>65
ハギヨシ「あなたと(タコス作りを)付き合っていたんですよ」

京太郎「ファッ!?」

ですねわかります

投下を開始します

優希「京太郎、急に黙り込んでどうしたんだじぇ?」

京太郎「い、いえ、優希さんの、その、下着を見たり、押し倒したりって話を聞いて…」

京太郎「俺と優希さんはそういう関係だったのかな?って…」

優希(しまった!!今の京太郎は前の記憶がないから前の京太郎みたいな感じで話したら駄目だったんだじぇ)

優希(さっきも部長達に注意されたばっかりなのにすっかり忘れてたじょ)

京太郎「……」

優希(いつもの京太郎なら笑い話で済むのに、京太郎の記憶がないせいで凄く重い雰囲気なんだじょ)

優希(うぅっ…)

優希「……」

優希(はっ!!いい事を思いついたじぇ!!)

優希「京太郎!!よく聞け!!いい事を教えてやるじぇ!!」

京太郎「な、なんですか?」

優希「私と京太郎は恋人同士なんだじぇ!!」

京太郎(うん。何一ついい事じゃなかった。なんとなくはそんな気がしてたけど)

優希「だから京太郎が私のパンチラを見たり、私を押し倒しても何の問題もないじぇ!!」

京太郎(とりあえず三股が確定したという事実を突きつけられただけだ)

京太郎(なんにせよ前の俺は最低過ぎる)

優希「あと、みんなには内緒だからな!!特にのどちゃんや咲ちゃん、部長や染谷先輩には絶対に言うんじゃないじょ!!」

京太郎(麻雀部のみんなには言うなってことか。まあ口止めされてなくても絶対に言えませんが)

優希「そろそろ次の人と交代するけど、くれぐれも内緒だからな!!」

京太郎「…はい」

優希(京太郎に好意を持ってるのは多分咲ちゃんだけだと思うけど、多分、咲ちゃんは告白とかはしないと思うから多分大丈夫だじょ)

京太郎(残りは一つ上の先輩の染谷さんと幼馴染の宮永さんか…)

京太郎(とりあえず何を言われても平常心を保てるように覚悟だけは決めとこう)

優希「た、ただいまだじぇ」ガラッ

久「で、どうだった?記憶は戻りそうだった?」

優希「む、無理だったじょ」

和「優希は須賀君にどんなお話をしたんですか?」

優希「タコスを食べさせてタコスの話をしてあとはパン…」

咲「パン?」

優希「い、いや、なんでもないじぇ!!」

優希(危うく京太郎に口止めしていることを自分で喋るところだったじぇ)

和「?…そうですか。記憶はまだ戻ってないのですね」

咲「それじゃ、染谷先輩もまだ戻ってきてないから次は私が行ってくるね」

和「頑張ってきてください、咲さん」

久(ここを乗り切ればあとはまこだけだし、須賀君の記憶は暫く戻りそうにないわね)

優希(京太郎がちゃんと黙っててくれるか心配だじぇ)

咲「し、失礼します」ガラッ

京太郎「…どうぞ」

京太郎「宮永、咲さんですね」

咲「あ…うん」

咲「京ちゃん、まだ何も思い出せないかな?」

京太郎「色々聞いたけど、思い出せないというか思い出したくないというか…」

咲「?」

京太郎「い、いや、なんでもないです」

京太郎「……」

咲「……」

京太郎「……」ビクンッ

咲「…?」

京太郎(やばい…さっきお茶飲んだせいか尿意を催してきた)モゾモゾ

咲「どうしたの?京ちゃん」

京太郎「ごめんなさい、宮永さん。ちょっとナースコールを押してもらっていいですか?」

咲「え!?なんで!?」

咲「私、京ちゃんに何もしてないし、何もされてないよ!?」

京太郎「そ、そうじゃなくて…」

咲「それに京ちゃんが相手なら何をされても大丈夫だから」テレテレ

京太郎「いや、何を言ってるんですか!?ちょ、ボタンを遠くにやらないで!!」

咲「じゃあなんでナースコールが必要なの?」

京太郎「そ、その…生理現象がその…、このままだとアレが漏れそうというか、限界が近いというか…」モゾモゾ

咲「顔を赤くしながらもじもじする生理現象って…」

咲(まさか…アレが大っきくなったって事?まさかここで一人でやる、え、エッチな事をするつもりなの!?)

京太郎「だから…押してもらえるとありがたいかなって…」

咲「そ、そんなのを女の看護士さんにしてもらうなんて京ちゃん、おかしいよ!!」

京太郎「いや、別に男の看護士でもいいよ!!」

咲「男の人!?もっと駄目だよ!!」

京太郎「なんで!?」

咲「と、とにかく、こういうのは誰かにやらせるのはいけないから…」

京太郎「そ、そんな事言ってる場合じゃなくて、もう我慢が…」

咲「そんなにアレが我慢できないなんて京ちゃんおかしいよ!!」

京太郎(駄目だ。なんか理由はわからないけど何故か看護士を呼ぶのを頑なに拒否されてる)

京太郎「わ、わかった!!わかりましたから、一人で何とかするからそこの尿瓶を取ってくれよ」

咲「し、尿瓶?京ちゃんは、こ、小道具を使うんだね」

京太郎「普通は使うと思うんだけど…」

咲「へ、へー、そうなんだ…」

咲(京ちゃんは尿瓶を使って一人でするんだ。ど、どんな風にするんだろ…)

咲「じゃ、じゃあ、これ」

京太郎「…あ、うん」

咲「……」

京太郎「えっと…宮永さん?」

咲「どうしたの?京ちゃん」

京太郎「さ、さすがにアレ出すところを見られてると恥ずかしいんだけど」

咲「あ、ご、ごめん。さすがに見られるのは恥ずかしいよね」

咲「じゃあ、こうやって顔を塞いで目を閉じておくから…」

京太郎「いや、指の隙間からチラチラ見てるし、音も聞こえるだろうし」

咲「で、でも、京ちゃん腕が不自由だし、手伝える事があれば手伝ってもいいかな、なんて…」

京太郎「そう思うのならナースコールを押してほしいんだけど…」

咲「きょ、京ちゃんの名誉のためにもそれは出来ないよ!!」

咲(一人でエッチするのを手伝わせるなんて、病院でいい笑いものになっちゃうよ…)

京太郎(小便の補助をしてもらうだけなのになんで俺が名誉を損なうんだろう…)

京太郎(はっ!?まさか…)

咲『京ちゃんのアレは普通の人と比べて粗末過ぎるから看護師に見られたら病院内でいい笑いものなんだよ』

京太郎『なんで宮永さんが俺のアレのサイズを知ってるんだ!?』

咲『そんなの見飽きてるからに決まってるよね』

京太郎『』

咲『エッチって楽しいよね。一緒に楽しもうよ』



京太郎(駄目だ。もう自分の思考がまともじゃない)

今回の投下はここまでです

そろそろ中盤に差し掛かってきました

あとは咲ちゃんの続きとまこさんと……とかを頑張って書く予定です

それでは

投下を開始します

京太郎「うぅっ…」

京太郎(やっぱり駄目だ。腕を動かすのが辛すぎて尿瓶を股間まで持っていけない…)

咲「……」

咲(京ちゃんが凄く辛そうにしてる…)

咲(よっぽど、た、溜まってるのかなぁ)

咲(でも、一向にはじめようとしないのは何でなんだろ?)

咲(そういえばこの前、京ちゃんの家に遊びに行った時、ベッドの下にエッチな本があったっけ。オッパイが大きな女の子のやつ)ムスー

咲(京ちゃんも妄想を膨らませる何かがないと一人でアレを出来なかったりするのかな?)

咲(……)

咲(はっ!?まさか…)

京太郎『今日のオカズはなんだろな?』

咲『おかずって、暫くは病院食じゃないの?』

京太郎『ブー!!不正解!!』

京太郎『今日のオカズはお前だよ、脱げよオラオラッ!!』ビリビリ

咲『きゃああああん!!』ドキドキ

京太郎『ちっ。今日のオカズはオッパイが控えめだな』シュッシュッ



咲(だ、駄目だよ、こんなの!!)ドキドキ

咲(…ていうか、妄想の中くらいもっと扱い良くてもいいんじゃないの!?)ガビーン

京太郎「……」

京太郎(無理だ。どうあがいても一人じゃ出来ないか)

京太郎(……。仕方ないか…)

京太郎「あの宮永さん…」

咲「は、はいっ!?なな、なに、京ちゃん!!」

京太郎「部長を呼んでもらえるかな?」

咲「……」

咲「…え?」

京太郎「いや、だから、部長を呼んでほしいなって」

京太郎(宮永さんが頑なに看護士を拒否してる以上、他の人にナースコールを押してもらうしかない)

咲「…な、なんで、部長なの?」

咲(確かに部長みたいにスタイルはよくないし、私じゃ物足りないかもしれないけど…)

咲「……」

咲(そっか。京ちゃんの記憶がなくなったから…)

咲(みんなが同じスタートラインだと、私なんかじゃスタイルが良くて面倒見がいい部長には敵わないもんね)

咲(多分、京ちゃん的に性的にそそるんだろうね。なんとなくわかる気はするけど…)

京太郎「宮永さん…?」

咲「……」

咲「京ちゃん。…私じゃ駄目なの?」

咲(胸は小さいけど、お、お尻はいい形をしてるんだよ)

京太郎「…それは、はい」

咲「……」

京太郎「宮永さんはナースコールを押してくれないし」

咲「……」

咲「ナースコール?」

咲「え?なんで?なんで部長とナースコールが関係あるの?」

京太郎「いや、だから、小便が漏れそうだからナースコールを押したいのに、宮永さんは押させてくれないですし!!」

咲「漏れそうとか限界が近いって…、お、おしっこの事だったんだ」

咲「私はてっきり…」

京太郎「え?」

咲「う、ううん、なんでもないよ!!」

咲(よく考えれば尿瓶の使い道なんて、それ以外にないよね)

京太郎「ま、まあ、いいですけど、とりあえず一人で出来ないから、看護士を呼びたいんです」

咲「そういう事なら」

咲「……」

京太郎「宮永さん?」

咲(部長の事は私の勘違いだったけど、記憶の無い京ちゃんが部長や和ちゃん達と凄く仲良くなる可能性はあるよね)

咲(私の事を忘れたまま…)

咲(……)

咲(そんなのは…やだよ)

咲(でも、京ちゃんの記憶が戻らない可能性もあるんだよね…)

咲「……」

咲(だったら…)

咲「…ナースコールは押したからもうすぐ看護士さんが来るはずだよ」

京太郎「ありがとう、宮永さん」

咲「あと、看護士さんが来るまでに京ちゃんに言いたい事があるんだけど、聞いてもらっていいかな?」

京太郎「なんですか?」

咲「私と京ちゃんは幼馴染だよ」

京太郎「それは、さっき聞きましたけど…」

咲「あと、クラスメイト公認で京ちゃんの嫁は私」

京太郎「よ、嫁ぇ!?」

咲「麻雀部の人達は私達の、ふ、夫婦関係の事は知らないはずだけど、薄々気付いてるかもしれないよね」

京太郎「なん…だと…?」

咲(嘘はついてないから、きっと大丈夫だよね)

咲(京ちゃんの記憶が例え戻らなかったとしてもこれなら前の京ちゃんと同じような関係を築けるはず!!)

咲(多分…)

今回の投下はここまでです

投下を開始します

京太郎「そ、そうなんだ。は、ははは」

咲「幼馴染でお嫁さんだから困った事があったら何でも相談してね」

京太郎「あ、はい」

京太郎(ごめんなさい。今の悩みは絶対に相談できません)

咲「あと、やっぱり京ちゃんには下の名前で呼んでほしいなって思うんだけど…駄目かな?」

京太郎「それはわかりました、…咲さん」

咲(丁寧な言葉で喋る京ちゃんは凄く変だけど、そのうち直るよね?)

咲「じゃあ、そろそろ時間だから染谷先輩と交代するね」

京太郎「あ、はい」

咲「……」ガラッ

和「おかえりなさい、咲さん」

優希「きょ、京太郎の奴はどうだったじぇ?」

咲「……」フルフル

久「咲でも駄目かー」

久(という事はあの状態の須賀君が暫く続くってわけね)

和(これなら須賀君に恩返しが出来ますね)

優希(京太郎が咲ちゃんにバラしてなくて助かったじょ)

まこ「じゃあ最後はワシが行くかのぉ」

久(正直、咲で駄目ならまこには悪いけど記憶が戻るとは思えないのよね)

久(とりあえず須賀君に部長らしい事はしてないけど、彼女らしい事はしてあげてもいいわよね?)

和(明日はお見舞いにフルーツの盛り合わせでも持ってきた方がいいですね)

優希(そういえば誤魔化すためとはいえ京太郎と恋人同士なんだよな。なら、明日は勝負パンツでも穿いてきてパンチラしてやるか)

咲(京ちゃんのお嫁さんかぁ。えへへ)

まこ「京太郎、入るぞ」ガラッ

京太郎「……」ズーン

まこ「?」

まこ「京太郎、お前さんなんでそんな元気がないんじゃ」

京太郎「い、いえ…」

まこ「病は気からって言うし、怪我してるいうてもあんま落ち込まん方がええじゃろ」

まこ「じゃけぇ今の京太郎は前の記憶があれへんから不安に感じるんはしゃあないかもしれんがな」

京太郎「そ、そうですね」

京太郎(俺は記憶が無い事よりも前の俺の人格がどんな奴なのかって事の方が不安で仕方ないです)

まこ「とりあえず気晴らしになるかわからんけど、雀牌のセットを持ってきた」

京太郎「そういえば俺、麻雀部だったんですよね」

まこ「ああ。そうじゃな」

まこ「ほれ。まずは触ってみ」

京太郎「……」スッ

京太郎「……」スリスリ

まこ「どうじゃ?なんか懐かしいとか、この感覚は?みたいなんはないか?」

京太郎「…すいません」

まこ「あやまらんでええ」

まこ(高校に入ってから麻雀を始めた京太郎じゃ雀牌は記憶を取り戻すきっかけにはならんか)

京太郎「…染谷先輩」

まこ「ん?」

京太郎「麻雀部での俺はどんな部員だったんですか?」

まこ「ふむ。まあ、高校に入ってから麻雀をはじめたっちゅーとったし、正直部員の中じゃ一番弱いんとちゃうか」

京太郎「そうなんですか」

まこ「じゃが、みんなお前さんには感謝しとる」

京太郎「……」ビクッ

まこ「咲を連れて来てくれたおかげで部長が夢みとった団体戦に出られるようになった」

まこ「嫌な顔せず雑用をやってくれて、特訓とか合宿で集中できる環境を作ってくれた」

まこ「今回も身を挺して和を助けてくれた」

まこ「京太郎。お前さんは本当にええ奴じゃ」

京太郎「……」

京太郎(三人の彼女がいる部活にクラス公認の嫁さんを連れて来る俺は何を考えていたんだろう)

京太郎(嫌な顔せず雑用をやっていたと言っても、部活の人間の殆どが彼女なんだからその彼女達の前では嫌な顔もしないんだろうな)

京太郎(和さんを助けたのも自分の彼女だから)

京太郎(だから俺はただのゲスで、みんなから感謝されるような人間じゃない)

まこ「……」

まこ(京太郎の表情が険しすぎるんじゃが、今のわしの話でなんであんな顔になっとるんじゃ?)

まこ(は!!もしかしたら…)

まこ(記憶が無くて心の拠り所がないせいで精神がまいっとるんかも)

まこ(なら京太郎の負担を少しでも軽減するには、京太郎と一緒になって考えてやる事が必要じゃな)

まこ「京太郎」

京太郎「な、なんですか?」

まこ「悩みがあるならわしが相談に乗るぞ」

京太郎(無理ですっ!!出来ません!!)

京太郎(染谷先輩以外の全員が彼女だからどうすればいいですか?なんて、言えませんからぁ!!)

京太郎「……」

京太郎「べ、別に悩みはないです」

まこ「…そうか」

まこ(あきらかになんか隠しとる感じじゃが、記憶が無い京太郎じゃ部活の先輩後輩って関係じゃと悩みを相談し辛いかも知れんな)

まこ(……)

まこ(可愛い後輩のためじゃし、相談できる環境を作るのも先輩の役目じゃ)

まこ「京太郎。よお聞け」

京太郎「な、なんですか?」

京太郎(この流れ、嫌な予感しかしない)

まこ「わしとお前はただの先輩後輩と違う、そのっ…アレじゃ」

京太郎「……」

まこ「か、彼氏と彼女ってやつじゃ」

京太郎(はい、なんとなくわかってました)

京太郎(もう、これ、どうしたらいいのか全然わからないんだけど…)

京太郎(麻雀部の全員が彼女って、普通に考えてありえないだろう)

京太郎(あー、もう何もかも忘れて…)

京太郎「…死にたい」

まこ「なんでじゃ!?」

今回の投下はここまでです

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年01月11日 (日) 22:26:48   ID: Mqba3qDx

落ちまで書けよあああああもう

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