友「んで、デートの約束はしてきたの？」

男「いや、断った」

友「えっ、何でー？　今の人、結構美人さんだったじゃん」

男「だって、処女じゃないとか嫌だろ」

友「えっ」

男「彼女にするなら処女って決めてるから」

友「あ、ああ、そう……。何で？」

男「だって、他の誰かが手を付けた物を使うとか嫌だろ？」

友「……そ、そうかな……」

男「じゃあ処女のお前にも分かりやすく説明しよう」

友「なっ、何で私が処女だって知ってんだよ！？」

男「何となく匂いで」

友「……」

男「じゃあ説明するけど、ここに饅頭があります」

友「うん」

男「美味しそうだから食べようかと思いましたが、良く見たら既に俺にかじられていました」

友「……うん」

男「これでどうよ？　こんなのを食べたいと思うか？」

友「……わ、悪くはないかな」

男「えっ！？」

友「えっ？」

友「だ、だって、男がかじったんでしょ？　なら別に気にしないけど……」

男「気にしないの！？」

友「う、うん……？」

男「……じゃあ、DQNがかじってたら？」

友「オエーーーーー！！」

男「何で俺だったら食べちゃって、DQNだったら吐くんだよ」

友「……べ、別に」

男「とりあえず、処女と非処女の違いはそういう事だ」

友「……うん、何となく分かった」

男「だから俺は非処女を彼女にしないんだよ」

友「へー……。そ、それじゃさ」

男「ん？」

友「こ、このクラスで彼女にするとしたら……誰？」

男「女さんかな」

友「即答！？」

男「だって処女確定してるし」

友「あ、そ、そうなんだ……へー……」

男「何で急に元気無くなってんだよ、変わった奴だよなお前」

友「……べっつにぃ……」

友「……でさ、処女だって、誰から聞いたの？」

男「ビッ……非処女の方々から」

友「び？」

男「非処女の方々から女さんについて聞いたら、今まで誰かと付き合った姿を見たことないとか」

友「ふーん……」

男「それにたまに告白してくる奴もいるけど、性格がキツいからすぐ別れたり振られたりしてんだってさ」

友「へぇー……。って、それ男も例外じゃないよね？」

男「俺は大丈夫だ」

友「えっ、な、何で？」

男「入学からずっと狙ってて、今まで仲良くしてきたからな」

友「……いつの間に」

友「何処が仲良くしたから大丈夫だったの？」

男「……うぅ……！　まさか振られるとは……！」

友「『嫌よ！』って即答されてたね」

男「う、うるさい！」

友「『仲良くしてきたから大丈夫だ』」ｷﾘｯ

男「ぐっ……！」

友「ねえ今どんな気持ち？　ねえねえ」

男「……この、処女の分際で調子に乗りやがって……！」ｶﾞｼｯ

友「へっ？」

男「今更後悔しても、知らないからな？」

友「……男……っ」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷ

男「なーんちゃって、冗だ……」

友「……っ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

男「……あの、何で口すぼめてんの？」

友「……っ」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷ

男（えっ、何これどうすればいいの？　童貞だからわかんない）

友「……」ﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷﾄﾞｷ

男（何か顔赤いし……えっ、何これ？　キス？　キスしようとしてんの？　えっ、何で？）

友「……ぅ」ﾄﾞｷﾝﾄﾞｷﾝﾄﾞｷﾝ

男（……じ、じゃあ試しにしてみるか……？　こいつとなら、別に間違ってても何もないだろうし……）

友「んっ……！」ﾋﾞｸｯ

男（……えっ、本当にキスだったの！？　な、何で？）

友「へへ……」

男「いや、あの……」

友「な、何さ……」

男「何か流れでキスしちゃったけど、良かったのか……？」

友「……べ、別に」

男「……じゃあ、もう一回していい？」

友「へっ！？」

男「だって、別に良いわけじゃないんだろ？　なら……」

友「……っ」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

男「……」

落ちてると思ったのに残ってた
今から仕事なのに

努力はする

翌日

男「何か男子からの視線が痛いんだけど」

友「昨日の……き、キスしたとこが、誰かに見られてたらしいよ」

男「マジで！？」

友「私も女子からの視線が痛いし」

男「……なんてこった……女さんと付き合う作戦が……」

友「あんなに強く拒絶されたのに、まだ諦めてないんだ……」

男「あ、当たり前だろ！？　何としてでも、女さんの処女は俺が貰う！」

友「……へー」