まどか「焼肉食べたいなぁ」(144)

まどか「高いのじゃなくてもいいから食べたいなぁ」

さやか「どうしたのさ、急に」

まどか「なんかね、今無性に焼肉がたべたくなっちゃったの」

さやか「あー、まあ、そういうことってあるよね」

さやか「いきなり何の前触れもなく何かが食べたくなるってことはあるよね。あたしもこの間夜中に無性にチョコレートが食べたくなったことあったなぁ」

まどか「でしょ? 私は今焼肉がそんな気分なの。ステーキでも生姜焼きでもダメ、焼肉じゃなきゃだめなの!」

さやか「うんうん、それは分かる」

まどか「というわけでさやかちゃん、焼肉食べにいかない?」

さやか「う、まあ、時間はあるけど、先立つものがその…」

まどか「大丈夫! そこは私のこの溢れんばかりの魔力(財布)で…と言いたいところだけど、諭吉先生が先日討ち死にしちゃったからその残党兵しかいないんだよなぁ…」

さやか「あはは、まあそれもよくあることだね」

まどか「うー、これじゃあ一人分が限界かぁ…こうなったらいっそ一人でー、なんて…」

ほむら「あなたはどこまで愚かなの」ファサッ

さやか「うわびっくりした! どこから湧いたの転校生!」

まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「まどかのいるところに私ありよ。それよりまどか、一人で焼肉に行く、それがどういう結果をもたらすか、あなたは分かっていないのよ」

まどか「いや、別にそれは冗談で本気で言ったわけじゃ…」

ほむら「いいえ、今はそうでも、いつそこから禁断の一歩を踏み出すかは分からない。目の前で先輩を殺されながら魂を捨てて海産物と化した青色のように」

さやか「よくわからないけどイラッとしたのはなぜかなー」

まどか「いや、そんなつもりはないし、もう諦めてマックでも行ってから帰ろうよーって話を持ってこうとしたんだけど…」

ほむら「そのマックの3軒隣にある無煙焼肉に足が向かないとどうしていい切れるの。まどか、私はあなたを修羅の道に踏み込ませたくはないの」

まどか「いや、だからそもそもお金ないし…」

ほむら「まどか、あなたは賢い子よ。駅前でキュウ角の割引券が配られている、それを見た瞬間、財布の中身と割引額を足し合わせることくらい簡単なはずよね」

さやか「いやそれできないほうがやばい計算でしょ」

ほむら「そうしたらまどか、あなたは禁断の道に踏み込んでしまうかもしれない。いえ、心優しいあなたのこと、懸命に割引券を配るバイトに同情し、じゃあ行ってあげようかなという気持ちになってしまうはず!」

まどか「それは心と言うか頭の方に問題がある気がするよほむらちゃん」

ほむら「そしてあなたは一人焼肉という修羅の道に踏み込み、そして、絶望する…私はあなたの心がこぼれたタレで黒く濁っていくのを見たくない!」

さやか「カルビの魔女、性質は炭火ってか」

ほむら「だからまどか、今日は私と一緒に帰りましょう。私があなたを肉の誘惑から守ってあげる」

まどか「いやだから最初から帰るつもりだったんだって…もういいよ…」

マミ「待ちなさい」

さやか「また何か出た!」

マミ「話は聞かせてもらったわ。鹿目さん、あなた一人で焼肉を食べに行くのね」

まどか「どこで何の話をどう聞いてたんですかマミさん」

ほむら「ええ、でも、私がそんなことはさせない。まどかは私が守るもの」

マミ「そう、立派な心掛けね。でも…それは本当に鹿目さんの為になるのかしら?」

さやか「とりあえずあんたら二人がまどかのためになってないのは分かるよ」

ほむら「それは、どういう意味?」

マミ「確かに、黄泉より続く長き道を大切な人に歩ませたくはない…その気持ちはわかるわ。けど、それはいつか誰しもが行く道…そうではなくて?」

ほむら「そ、それは…」

まどか「行かないよ。多分大多数の人は行かないよ」

マミ「それをただつらいからと言って避けさせていては、いざ不可避となった時に打ちのめされ、二度と立ち上がれず進むことも戻ることもできなくなってしまう…」

ほむら「そう…なのかもしれない」

さやか「話は理解できないけど間違ってるのは分かる気がする」

マミ「だったら、既に先んじで地獄餓鬼畜生修羅を征く私たちが、彼女のために悪鬼を討ち、羅刹を斬る方法を教え伝える…その方が彼女のためになるんじゃない?」

ほむら「それは…そう、なのかしら…」

マミ「ええ。淡く微笑む東の照、日光東照宮にある三猿には続きがあるのよ。物の分かる子に育ったら、次は隣り合って空を見せる猿の姿が。見ざる聞かざる言わざるだけではいけないの」

さやか「マミさん今日は和テイストで攻める気ですか」

ほむら「そう…そう、なのかもしれないわね。私はまどかを大切にしすぎるあまり、まどかの世界を狭めていたのかもしれない…ごめんなさい、まどか…」

マミ「暁美さんも悪気があったわけじゃないのよ。あなたを思うあまりのこと…許してあげてね、鹿目さん」

まどか「もっと違うところに謝ってほしいなって」

マミ「さて、それじゃあ行きましょうか」

まどか「え? 行くってどこへ?」

マミ「ふふ、決まってるでしょ。その名も…『一人焼肉体験ツアー宴~the・first party~』よ!」

さやか「ああ、和は和でもトンデモな方でしたかてか反応ないのに突っ込むの疲れてきたよ」

まどか「え? その、私は確かにお肉食べたいとは思ってたけど、別に一人で食べたいわけじゃ…」

マミ「心配しないで。私たちも全力でサポートするわ。ね、暁美さん」

ほむら「ごめんなさい…まどか…地獄に落ちる時は一緒だから…」

まどか「そこは付き合わなくていいよ。むしろ一緒にお店に入ってよ」

さやか「あ、もしもし杏子ー、今暇ー?」

マミ「さあ行きましょう。私たちの関ヶ原…キュゥ角見滝ヶ原店へ」

ほむら「心配しないで、私も付いて行くわ」

さやか「うん、そう。多分マミさんあたりが勢いで出してくれると思うから。あ、駅前のキュゥ角だってさ。うん、じゃあ店の前でねー」

まどか「こんなの絶対おかしいよ」

キュゥ角見滝ヶ原店前

マミ「さぁ、付いたわ。ここから先は歩くのはあなた一人…でも心配しないで。私たちもすぐ後ろから付いて行くから」

ほむら「まどか…頑張って!」

まどか「ねぇ、一緒に並んで入店するっていう選択肢はないの? 何かおかしいよね? 誰も疑問に思わないの?」

杏子「おうお待たせー」

さやか「大丈夫、あたしたちも今着いたところだから。とりあえずマミさんの後ろくっついてけばいいからね」

カランカラン
イラッシャイマセー

まどか「えーと、5に…クルッ(…いない…)えと、一人…なんですけど…」

店員「はいお一人様でー。カウンターのお席でよろしいですかー?」

まどか「え、あ、はい…」

店員「ではこちらへどうぞー」

ゴシンキイチメイサマデース!!

まどか(うわ、あんな大声で…!)

店員「お先にお飲物の方よろしいですかー」

まどか「あ、えっと、ウーロン茶、で…」

店員「はいかしこまりましたー。御注文お決まりになりましたらお呼びくださいー」

まどか(あ、行っちゃった…意外と普通の反応…? 仕事だから、かな…)

カランカラン
イラッシャイマセー

マミ「すいません、四人で」

ほむら「こちらのお席、よろしいかしら?」

店員「はい大丈夫ですよー。ご新規4名様入りまーす!」

まどか(!?)

まどか「み、皆…」

マミ『しっ! 鹿目さん、こっちは見ないで、テレパシーで話しましょ』

まどか『は、はい…でも皆、一緒に来てこんな近くの席に座るなら、元から一緒でも…』

ほむら『そうではないわ。あなたはあくまで一人で来店し、一人で焼肉を食べるの。一緒の席にいては一人とはならないでしょ? 私もつらいけど…今の二人には少しだけ距離が必要なの』

まどか『今まさに私とほむらちゃんの距離がどんどん開いていってるよ』

さやか「久しぶりだなー焼肉なんて」

杏子「あたしもだよ。前いつだったか覚えてねーや」

マミ『さて、まずは第一関門、入店は突破したようね』

まどか『は、はい。意外とすんなり入れました…』

ほむら『もちろん、向こうだってプロだもの。辛いのは最初だけよ』

マミ『地獄の後には煉獄と天国がある…神曲と一緒ね』

店員「お飲物はいかがしますかー」

さやか「えーとウーロン茶をー…」

杏子「あ、あたしジャスミン茶の方がいいや」

さやか「じゃウーロン茶3のジャスミン茶1で」

ほむら『さぁ、休んでいる暇はないわまどか。次は注文よ』

まどか『うぅ、マミさんって結構奉行だからなぁ…順番とか間違えたら怒られるかも…』

マミ『聞こえてるわよ鹿目さん。…それはさておき、私たちは基本的に注文内容そのものに口は出さないわ。好きなように注文しなさい』

まどか『え?』

マミ『一人焼肉の最大の醍醐味…それは自由。生で乾杯し、タンをレモンで食べ、野菜を端において時間稼ぎをしつつ、肉を焦がさず焼き取り分ける…そんなものはクソ喰らえよ』

まどか『口に出さないからってそういう単語使わないでほしいんですけど…』

マミ『それは失礼。でも、とにかく順番や作法なんてものは、一人焼肉には無縁なの』

今未成年飲酒が聞こえた気がしたけど気のせいだよな

マミ『タンをタレで食べようが、いきなりデザートをサワーで流し込もうが、ホルモンを生のまま貪ろうが、誰にも何も言われない…一人焼肉ってそういうものよ』

まどか『え、そ、それじゃあ、皆…というか二人は何のために…』

ほむら『一人焼肉には、必ず陥ってしまう罠があるの。私はあなたにそれを踏ませたくない。自由に伴う、失敗した時の痛み、孤独…巴マミはこんな私を過保護というかもしれないけれど…』

マミ『ふふ、それも愛よ、否定はしないわ。とにかく、その見えざる地雷を踏みそうになったら私たちが注意してあげる。だからとりあえずは、自由に注文してみなさいな』

さやか「かんぱーい」

杏子「かんぱーい」

さやか「今>>55あたりからお巡りさんの声が聞こえた気がしたけど…」

ほむら「じゃ、この話は本編終了から6年後の話と言うことで」

さやか「いやいきなり状況設定ちゃぶ台返しとかやめようよ! すなおに言葉のアヤとか>>1のミスって認めようよ!」

杏子「適当に脳内でつじつま合わせてくれなー」

まどか『えっと…じゃ、とりあえず、カルビ2、ロース2くらいで…』

マミ『ストップ、早速ね』

まどか『え?』

マミ『鹿目さん…あなた、食べる量は多い方?』

まどか『え? まぁ、並、くらいだと思いますけど…』

ほむら『そうね、私の日々のまどか摂取量チェックでもそんな極端な数字は出ていなかったもの』

まどか『うん、食べるところいつもじっと見てくるから何か変なことしてるんだろうなとは思ってた。でも、それが一体…』

マミ『鹿目さん、もしあなたがカルビとロースだけでお腹を満たすつもりでないのならば、まずは1ずつにしておきなさい。理由はすぐわかるわ』

まどか『はい、それじゃあ…』

店員「お決まりですか?」

まどか「はい、えっと、カルビとロースを1人前ずつで、それから…『あの、マミさん、ご飯は…』」

マミ『好きにしていいわ。まぁ、他にご飯ものを食べる気がないなら中が無難ね』

まどか「あ、あと、ご飯の中を一つで」

店員「かしこまりましたー」

さやか「あ、店員さん、次こっちお願いしまーす」

まどか『マミさん、どうして急に…』

マミ『少し待ちなさい、いずれ分かるわ』

ほむら『私も一度、やってしまったことがあるわ…』

店員「おまたせしましたー。こちらカルビでこちらロースになりまーす。ご飯すぐお持ちしまーす」

まどか「あ、どうも…えと、それじゃ、2枚ずつ置いて…」

店員「失礼しまーす、こちらご飯の中でーす」

まどか「あ、はい。それじゃひっくり返して、もうちょっと待って…」

さやか「マミさんお肉とっときましたよ。ほら、こっちは転校生の分」

マミ「ありがとう、美樹さん」

ほむら「あなたにしては上出来ね」

杏子「なー、あたしのはー?」

さやか「あんたは自分でどんどんとってんでしょーが」

まどか「(隣の風景がすっごく心に刺さるけど…)焼けたね、それじゃ、いっただっきまーす!」ヒョイ、パク

まどか「んー、おいしい! やっぱり焼肉って素敵だなぁ! じゃ、次はロースを…うん、おいしい!」

まどか「じゃ、空いたスペースに2枚置いて、それから先に置いた2枚を…はむっ!」

ほむら「ほむっ!」

マミ「合わせるように口を動かすのをやめなさい暁美さん」

まどか「で、空いたところにまた二枚…これで大分食べて…あ、あれ?」

マミ『気づいたわね』

まどか『お肉…まだ結構残ってる…』

マミ『そうね。と言っても、別にここが大盛り店なわけでもなければ、お店の人が間違えたわけでもない。それはただのカルビとロースの一人前よ』

まどか『で、でも…』

ほむら『分かるわまどか。いつもは一人前なんて秒でなくなるって言いたいのでしょう?』

まどか『うん…だから私、最初に2ずつ位がいいかなーって…』

ほむら『それは、いつもグループで来ているから。自分が食べなくても、他の誰かが食べているからよ。でも一人焼肉でそんなことはない。あなたの戦場にはあなたしかいないの。あなたが食べた分しかお肉は減らない、口惜しいけど、私もあなたを助けてあげられないの』

まどか『だから止めたんですね、マミさん…』

マミ『そう。一人前はちゃんと一人分ある。そこの所を強く認識してちょうだい』

杏子「なートントロ頼んでいい?」

さやか「別にいいよ、あたしにも一枚頂戴ね」

マミ『そして次なる罠…鹿目さん、網の上をごらんなさい』

まどか「『え?』あ、あぁっ! お肉が焦げてる!」

マミ『これが一人焼肉第二の罠…たとえ焼きすぎても誰もサルベージしてくれる人はいない。自分の肉は自分で守れ、よ』

まどか『あうー、良く焼いたお肉も嫌いじゃないけど、ベストな加減じゃなくなっちゃったよぅ…』

ほむら『ごめんなさいまどか、長々と話していた私たちのせいでもあるのだけど…でも、本当に一人でも、飲み物やサイドに気を取られているうちに焼きすぎてしまうことはままあるわ、気をつけて』

マミ『しかしそんな感傷を許す間もなく、襲い来る次の罠…鹿目さん、今網の上にはなにかあるかしら?』

まどか『え? 今は…あ、何もない! お肉乗せなきゃ!』

マミ『そう、取ってくれる人がいないということは、乗せてくれる人もいない。色即是空、空即是色、全は無なり、無は全なり…』

杏子「なーこのコプチャンって何だ?」

さやか「親譲りの無鉄砲で子供のころから損ばかりしている牛の小腸だってさ」

まどか『うぅ、忙しいなぁ…』

ほむら『全てを自由に出来る代わりに、全ては自分にかかってくる。それは私の使う時間と同じ…私は今焼肉と時間でまどかと繋がっているわ』

まどか『それよりテーブルをつなげてほしいよほむらちゃん』

マミ『ふふ、いずれ私たちと言う孵化器…インキュベーターも必要なくなるわ。ところで鹿目さん、お肉がなくなったけどお腹の具合はどうかしら?』

まどか『えっと…もうちょっと食べたいかなって』

マミ『そう、それじゃぁ、追加するといいわ。自分の限界を考えてね』

まどか「それじゃ、すいませーん。えーと…ハラミと、それから…このネギタンを」

店員「かしこまりましたー」

杏子「すいませーん、ジャスミン茶おかわりー」

さやか「あ、じゃあ次はあたしもジャスミン茶でー」

まどか『…えっと、いいんですか?』

マミ『何が?』

まどか『途中でタン…それも塩じゃなくてネギタンなんか頼んじゃって』

ほむら『言ったでしょう? 順番、セオリー、そんなものは見えやしねえって。自分の舌と胃袋が許すのなら、好きな物を好きな時に注文して食べればいいわ。だって…それが一人ということなんだもの』

マミ「『そういうこと…』あ、美樹さん、そのカルビはまだ食べごろではないわ。あと7秒待ちなさい」

さやか「うお! いきなりこっち見たと思ったらダメ出しですかい!」

まどか「んーと、やっぱタンの方が火の通りは早いなぁ…じゃあひっくり返して…うわ、ネギがこぼれた!」

ほむら『まどか、それは…』

マミ『暁美さん!』

ほむら『! …そうね、ごめんなさい、まどか。なんでもないわ』

まどか『ほむらちゃん? どうしたの?』

ほむら『いえ、何でもない…ただ私が言えることは、一人と言うのは知識を分け与えてくれる人間も本来いないということ。ここにいる私はあくまでイレギュラーなの。そういうことよ…』

マミ『鹿目さん、あなたの最適解は、あなた自身で見つけるのよ…暁美さんのためにも、ね…』

まどか『わけがわからないよ…』

さやか「あ、こういうのって大体片面焼きでいけるんだよね」

杏子「ま、モツじゃねーんだし腹は壊さねーだろ」

まどか「焼いて―食べてー乗せてー焼いてー食べてー…んー、おいしー!」

ほむら『まどか、大分様になってきたわね』

マミ『乗、焼、食の流れるようなループ…こうも早く円環の理を身につけるとは…流石だわ』

まどか「あー、おいしかった。ごちそうさまー! …ふぅ」

マミ『焼肉を食べた後の賢者タイム…至福の時間よね』

まどか「んー、あとはデザート…なんか気分じゃないなぁ…でも動きたくないし…」

ほむら『だったらそこにいればいいわ。あなたをせかす人なんて誰もいないもの。席を立つまで、その空間はあなた一人のものよ。もちろん、気が変わったら何でも追加したって構わないわ』

まどか『ふぅ…じゃ、もうちょっと座ってるよ…』

さやか「ふいー、ごちそうさま」

杏子「(網にくっついた焦げガシガシ削り中)」

まどか「ん…そろそろ出ようかな。伝票は…えっと…あれ…?」

ほむら『来たわね、最後で最後のトラップ』

マミ『いかがかしら? 鹿目さん』

まどか『な、なんとか樋口先生一人の犠牲でお釣りはきた…けど、思ったよりいっちゃったなぁ…』

ほむら『そう、それもまた一人焼肉の罠。セット物や割引プランがほぼ使えないから、どうしても単品勝負になってしまう』

マミ『そして、持ち合わせがなくても誰かに借りるなんてこともできない…グループなら必ず一人くらい貸しといてって言う人がいるけど、一人でそんなことしたら皿洗い直行よ。自分の戦闘力を見誤ってはだめ』

杏子「なーあたし金ねーぞ」

さやか「マミさんが何とかしてくれるでしょ。このまま出ちゃえ」

カランカラン
アリガトウゴザイマシター

まどか「……」クッチャクッチャ

カランカラン
アリガトウゴザイマシター

ほむら「……お疲れ様、まどか」クッチャクッチャ

マミ「どうだった? 鹿目さん」クチャクッチャ

杏子「噛むかい?」クッチャクッチャ

さやか「あんたタダだからっていくつももらってくるのやめなさいよ」クッチャクッチャ

まどか「うん…おいしかった。でも、何だかとっても疲れた…」

ほむら「新しい世界の扉を開いたんだもの。仕方ないわ」

マミ「でも、あなたは私たちが思う以上によくやったわ。もう教えることなんて何もない。ふふ、体験コースも一日で卒業しちゃったわね。これでもう次からは正真正銘、一人で来れるわね」

まどか「焼肉は皆で食べるものだって再確認したよ…一人ぼっちは寂しいよ…」

マミ「でも、あくまでこれは初心者卒業。魔女苑で一人とか、ファミリーコースを一人とか、まだまだ上には上がいるわ」

まどか「それもう拷問の域だよ。おいしいけどおいしくないって言葉を噛みしめるのが見に見えてるよ」

ほむら「安心してまどか。あなたが屍の道を歩くなら、いつも隣に私がいるわ」

まどか「隣じゃなくてテーブルの向かいについてよほむらちゃん」

さやか「じゃ、お腹もいっぱいになったけど、これからどうする? カラオケでも行く?」

杏子「えー、もうなんか眠いし、あたし帰りたいんだけどー…」

さやか「そういうなよ、さやかちゃんを一人で行かせる気かー?」



ほむら「ちょっと」

マミ「美樹さん」

さやか「え? あ、な、なに?」

ほむら「そう、忘れていたわ…あなたもまた、冥府魔道を行くものだったのね」

マミ「安心して美樹さん。私たちが隣の部屋からサポートしてあげるから」

さやか「え? ちょ、え?」

杏子「じゃ、あたし帰るわ。じゃーなー」

さやか「ちょ、待ってよ杏子! ま、まどかぁ…」

まどか「さやかちゃん…助けてくれなかったよね? 杏子ちゃんと楽しくお肉食べてるだけだったよね?」

さやか「え、いや、それは場の流れで…」

まどか「…じゃ、私も帰るから」

ほむら「飲み放題も、フリータイムも、あるのよ?」

マミ「さあ征きましょう、私たちの大坂、シャルオケ館へ!」

さやか「わ、ちょ、うわぁぁぁぁぁぁ!!」

おしまい

先日一人焼肉をやってみて思ったことを書き連ねてみました。
一人前ってマジで一人前あるとか、意外と忙しいとか、何より会話がないってつらいとかマジで実感しました。
もう一人で焼肉屋行ったりしないよ。

あと保守してくれた人とか見てくれた人とかマジありがとう。皆と焼肉食べたい。
ではお休みなさいノシ

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