私「超高校級の四畳半!?」 (21)
希望ヶ峰学園とはあらゆる分野において秀でた才能を持つものを集めた高校である。
ここを卒業すれば人生の成功は間違いなしとまで言われ、薔薇色のキャンパスライフを求めるが
不毛で無意義な日々を過ごす何処ぞの大学生諸君よりも早く、しかも確実にエリートへの道が定まるのだ。
しかし、その門戸は限りなく狭い。
私「あれ?ここって」
希望ヶ峰学園の入学式当日、私はこの上ない優越感と喜びに浸りながら輝かしい未来が待つ学園の門をくぐった。
はずなのだが、私は何者かに気絶させられ叡山出町柳裏にある下鴨幽水荘の四畳半の一部屋よりもかなり広い
よくわからぬ場所で目が覚めたのだった。
舞園「目が冷めましたか。具合はどうですか?」
私に天使の如く手を差し伸べてくる絵に描いたように誠美しい黒髪の乙女。
私は確信した。この女性こそ私が長い年月出会いを待ち続けた運命の人であると。
私「は、ひ」
彼女のあまりの眩しさに私は狼狽した。
霧切「これで全員のようね。」
私がよろよろと立ち上がるのを鷹のような目つきで睨むこの女。
先ほどの黒髪の乙女とは打って変わって対称的な雪女のような冷たい髪の色をしている。
できればこの女と関わりたくない口を聞きたくない視界にすら入ってきてほしくないもの。
モノクマ「はいはい~」
葉隠「な、なんだべ?」
山田「ぬいぐるみが喋ったぁ!」
モノクマ「うぷぷぷ。オマエラにはここで」
話が長くなるので私が端的に説明しよう。
我々はこの希望ヶ峰学園と呼ばれる建物に閉じ込められており
一生をここで過ごさなければならい。しかし、ここから出る方法がただひとつだけあるのだという。
それはここにいる如何にも灰汁の強いそうそうたるメンバーの誰かを誰にも気付かれずに殺ことなのだそうだ。
私「ふざけるな!!何がコロシアイだ!早くここから出せ!」
私「私の約束された薔薇色の未来を返せ!!」
私は早くも冷静さを失ってしまった。
江ノ島「ちょっと!落ち着けっての!」
私「うるさい!!やかましい!!」
普段、紳士である私がこれほどまでに取り乱すことはそうそうないことをどうかご理解いただきたい。
霧切「落ち着きなさい。喚いてもどうにもならないわ」
私「……」
確かに彼女の言う通りである。赤子のように喚いたところで何かが変わるわけでもない。
あのクマがあやしてくれるはずがないのだ。
朝日奈「うぅ……。でも、どうなっちゃうんだろう?」
苗木「決まってるじゃないか!みんなで一緒にここから脱出するんだ!」
セレス「方法は?あるのですか?」
苗木「みんなで協力してここを探れば何か脱出のための手がかりがみつかるかもしれない!」
かくして、私の新たな高校生活がスタートした。
私「はぁ……」
舞園「元気だしてください!」
数日後、早くも弱音を吐く者が続出した。
施設のあちこちを調べあげるが脱出の手がかりは一向に出てこない。
葉隠「もう無理だべ~」
セレス「やはり、脱出は不可能なのでしょう」
桑田「やっぱり、誰かをコロスしか……」
朝日奈「ちょっと!!なんてこと言ってんのよ!!」
何日もの間、同じ景色を延々と眺め本当にあるのか定かではない脱出口を探るのは
本当に気が滅入る話だ。
皆が食堂の長机につっぷす中、私は悠々と茶を飲んでいた。
半月もの間、延々と続く四畳半に閉じ込められ
カステラのみを食し酒で喉を潤したあの日々に比べればここは天国も同然。
食料もあれば話し相手もいる言語を失う心配も飢餓に苦しむこともない。
そして、なにより
舞園「私もちょっと休憩です」
私が密かに恋焦がれる黒髪の乙女がいるのだ。
このまま一生をここで過ごすのも悪くない。
泥で溢れた穢らわしい世で過ごすなどこっちから願い下げだ。
ここでなら未来永劫衣食住に不自由することなく快適に過ごすことが可能なのだ。
私「いっその事、ここで一生を共にするというのはどうだろう」
私のその一言に皆、ふくろうのような丸い目をして反応した。
大和田「はぁ?てめぇふざけてんのか!?」
我々の生きる時代と感覚のずれた奇妙奇天烈な格好、髪型をした男が私に突っかかる
私「ひゃぁ!」
ねます
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