幼エルフ「ねえ、おじちゃん」 オーク「んー?」 (36)

幼エルフ「おじちゃんはなんで毛むくじゃらなの?」

オーク「気付いたらこうなっていたのさ」

幼エルフ「おじちゃんのお鼻はどうして大きいの?」

オーク「それも、いつの間にかこうなっていたんだ」

幼エルフ「おじちゃんはエルフじゃないのに、どうしてエルフしか知らないおまじないを知ってるの?」

オーク「おじちゃんは昔、エルフだったからさ」

くぅ疲

幼エルフ「おじちゃんはどうして毛むくじゃらの大きいお鼻になったの?」

オーク「さぁ…。でも思い当たることがある。昔、とても悪いことをした」

幼エルフ「なにをしたの?」

オーク「昔、俺は君の住んでいる里で暮らしていた」

オーク「そこで、とても悪いことをしたんだ。それで里に居られなくなって、姿もこうなってしまった」

幼エルフ「おじちゃんはどこに住んでるの?」

オーク「この先に谷があるだろう。君たちが『暗がり谷』と呼んでいるところだ。その谷の底に住んでいるんだ」

幼エルフ「おじちゃんはどうしてここに毎日いるの?」

オーク「ここに狩に来ているのさ。狩がひと段落して休んでいると、いつも君がやって来るだろう?だからここにいつもいるんだ」

オーク「おっと、そろそろ帰らないと陽が沈んでしまうぞ」

幼エルフ「えー?やだ!もっといろいろ教えてよ!」

オーク「また明日ここに来ればいい」

幼エルフ「ぶー!……わかったよ」

オーク「そうだ、帰る前にこれを持って帰ってくれ」

幼エルフ「わあ!きれい!」

オーク「これを君のお母さんに渡してくれないか?ここで拾ったと言って」

幼エルフ「あたしにはくれないの?」

オーク「もっと大きくなったらひとつあげよう。それまではお預けだ」

幼エルフ「わかった!」

……

幼エルフ「ただいま!」

母エルフ「おかえりなさい」

幼エルフ「あのね、お母さん、これ」

母エルフ「……!幼、これ、どうしたの?」

幼エルフ「あのね、えっとね、拾ったの」

母エルフ「どこで?」

幼エルフ「えっとね、森の出口のところ」

母エルフ「……そんなところに……」

幼エルフ「……?」

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