一族の呪いの話(57)

男「まったく・・・遅いんだよ」

女「おっ待たせー藤川優クーン」

優「何でフルネームなんだよ、彩」

彩(あや)は俺の会社の先輩で、俺の彼女でもある
歳は俺より1個上の30歳
一応上司のため会社では敬語を使わなくてはならない
まったくめんどうくさい

彩「まーまーいいじゃん!で、今日はどっちの家行く?」

優「どっちでもいいけど、俺の部屋汚いよ」

彩「知ってるしー、何回行ったと思ってんの
  ま、汚いの嫌だからあたしんちね」

優「ん、行こうか」

・・・・・・・・・・・・・・



    ガチャ



優「ただい・・・ 彩「ストーップ!!」

優「?」

彩「あたしが先!!」タタタッ クルッ
 「はい!おかえりなさい!!」

優「はいはい、ただいま」

彩「フフフー」

優「何ニヤニヤしてんだ?どっちが先でも一緒だろ?」

彩「いーの!何か新婚さんみたいじゃーん♪」

優「ッ!」

彩「わっかんないかなー」

優「まったく」

彩「うーん、優は結婚とか憧れないの?」

優「全然」

彩「ハァー、1年も付き合っておいて結婚する気起きない?」

優「起きねーよ、まだ1年だろーが」

彩「むー・・・私としては早く結婚したいんだけどなー」

優「そうだな、もう三十路だしな」

彩「歳の事は言わないでっ!それに優だってもう29じゃん」

優「・・・・・・・そーなんだよ、な」

彩「?」

彩「どうしたの?何か隠し事でもあんのー?ダメだよ浮気は、
  それに優は嘘ついてもすぐばれるんだから」

優「うっせ!それに浮気なんかしねーよ」
 「んなことよりホラ、飲むぞ」

彩「ハーイッ」

優 彩「「カンパーイ!!」」

・・・・・・・・・・・・




彩「スー・・・・スー・・・・」

優「ホント酒弱いなコイツ・・・・・・・・・・・・ホラ、風邪引くぞ」ソッ

そう言って彩に毛布をかけてやる

優(29・・・・・・もう29か・・・・・)

俺は、彩が大好きだ。コイツの代わりなんて他にいない。
ちょっとロマンチックに言うと運命の人。
そんな感じだ。
だから、俺は彩に嘘はつかないし、浮気もしない。
・・・・・・・つもりだが
実は、俺は彩に一つだけ嘘をついている。

優「ハァ・・・・・・」

その事を考えると、苦しくなる。
だから、普段は全く考えないようにし、できればこれからも考えたくない。
が、もう29だ、そういう訳にもいかない。
俺がついている一つの嘘、いや隠し事と言うべきか
それは『呪い』である。
しかも先祖代々受け継がれてきたとても由緒ある呪い。

内容、一つ目
この呪いは、とれない。
今まで数々の先祖達がこの呪いを解こうと試行錯誤したが、
取れたものはいない。
また、中には名立たる住職や神主達に解呪を依頼した者もいたが
結果は同じだった。

二つ目
俺の一族は子を一人しか生せない。
どうやっても二人目以降は生まれなかった。
それと、ついでに生まれてくるのは男児ばかり。

三つ目
これが一番辛い。
俺の一族の血を引く者は30歳までしか生きる事ができない。
30歳を迎えた瞬間死んでしまう。
俺の父もそうだった、俺がまだ幼かった頃、
朝起きると死んでいた。
安らかに。

とまあこんな感じだ
何故こんな呪いがかかってしまったか、俺は知らない。
ちなみに俺の一族は母(53)と俺だけ。
母は呪いの真相を知っているそうだが、
俺は今まで聞いてこなかった。


何故なら

優「・・・・・死にたく・・・・ねぇよ・・・・・ッ!」ギュッ




・・・・・・・・そう、思ってしまったからである。
俺は呪いの事を幼い頃から知っていた。
だから、冷めていた。
人生に。
諦めや絶望にも近かったかもしれない、
『このまま生きてもどうせ・・・』
『ならもういっそこのまま死んで・・・』
なんて思ってた、ずっと。
ただズルズルと生きて、
つまらない人生を過ごしていた。




彩と出会うまで

彩は俺に様々な感情を抱かせた。
嫉妬、照れ、憧れ、恐れ、
胸がグッと熱くなって、苦しくなる・・・




この気持ちが『恋』なんだ、と実感した。




それからだ、俺が死にたくないと思い始めたのは。
・・・だから、俺は逃げていたんだ。
彩が、彼女がいとおしすぎて。

もっと早く彼女と会っていれば、
そう感じることが多々ある。

呪いを彼女に打ち明けるか・・・

彼女に何も告げず、去るか・・・

俺は、後者を選ぶ。
彼女に、この呪いを背負わせる訳にはいかない。





・・・・・だから・・・・俺は・・・・・


優「・・・バイバイ、これ以上一緒に居ると
  ・・・・・・余計辛くなる・・・・・」

・・・・・・・・・・・




会社




彩「う~ん、朝優君居なかったな・・・・
  どこ行っちゃったんだろ?先に来てんのかな・・・」

「ちょ、ちょっと!彩!!」

彩「あ、おはよー、どしたの?そんな慌てて」

「藤川君退社ってどういうこと?」

彩「・・・・・・・・・・・え?」

・・・・・・・・・・・・・・・・




優「ただいまー・・・・・・・」

母「・・・・・・・・おかえり」
 「・・・・・・いい人は、見つかったのかい?」

優「ん・・・・・いや・・・・・
  終わらせようかと思って、俺の代で」

母「・・・・・・・・・・・そうかい」

優「・・・・・・・・・・・・・・・飯ある?」

母「フフッ・・・・あんたは昔っから・・・
  マイペースと言うかなんと言うか・・・・」

優「・・・考えすぎて腹減ったんだよ・・・」

母「はいはい、簡単にでいいね」

優「おう・・・・サンキュ」

簡単に、なんて言っても母さんはしっかり手の込んだ料理を作ってくれる

優「・・・・・・・・・・・ゴメンな」

母「何言ってんだい、謝る必要なんて無いよ
  悪いのはあんたの先祖達なんだから」

優「・・・・・・・・・ああ」

・・・・・・・・・・・・・・




優「・・・・・ごちそうさま」コトッ

母「はい、お粗末さま」

優「・・・・・・・・・・・・・・」

母「さっきも言ったけど、気に病む必要はないよ
  ・・・・それに、あんたが決めた事だろ?」

優「・・・・・・そうだな
  ・・・・・・・・・・聞かせてよ、呪いの、話」

母「・・・・・・・そうだね、一応話しておこうか」

・・・・・・それは遡る事数百年、江戸末期の頃。

あるところに、とある大名がいた。
その大名の領地はすばらしいものだった。
土地はよく肥え、市場も賑わい、民は明るく、まさに楽園のようだった。
しかし、楽園にもたった一つ欠点があった。
それは、化け物が住み着いている、といわれている山だ。

そこで、大名は自分の弟に化け物退治を命じた。
弟はかなり腕の立つ武士で
評判は他国に行き渡る程の兵だった。
弟は、兄や、領民、愛する妻の為なら、
と、快く引き受けた。

兄は言った
「お前なら無事に帰って来ると信じている。そしてその暁には、大量の褒美をとらせようぞ」

それに対し、弟は
「いえ、褒美など要りません。民を思えばあたりまえの事。その代わり、私が帰って来た時は盛大に祭りを開きましょう」

と答えた。

そう契りを交わし、弟は旅立った。

化け物は強く、並大抵の者ではまともに戦えないほどだった。
しかし、弟は恐れる事無く立ち向かった。


三日三晩続いた、まさに『死闘』
激しい戦いの末立っていたものは




弟だった。

弟は勝ったのだ。
あの不気味な化け物に。


しかし、弟も満身創痍、
もはや息をするのも苦痛だった。




最後の力を振り絞り、弟は山を降りた。
もうあと少し。
町が近づいてくる。




・・・・・が、弟の体力は底を尽きた。

「・・・・・・これまで、か・・・・・」
その呟きさえ、声にならない。


弟の頭の中に様々な人物が現れる。
出迎えてくれる領民、自分を労ってくれる仲間達、功績を褒め称えてくれる兄
そして何より、愛する妻の顔が、
強く強く思い浮かばれる。




『死にたくない』『死ねない』
その想いが、頭を支配する。
足に、手に、腰に、指に、力が入る。
妻への想いが、体を支配する。
動く、体が動く。



弟は、ゆっくり、ゆっくりと歩みを進める。

『これなら、大丈夫。帰れる、会える。皆に、妻に。』
弟はそんな希望を、いや、確信を胸に抱いて・・・

一歩、また一歩と歩みを進める。





もう、あと少し。
その時だった。
目の前に、人影が現れた。




見覚えのある人物、兄だった。

弟は安堵した。
このままでも帰れはしたが、やはり不安がある。


『助かった、もう大丈夫だ・・・』
弟の目から、安堵の涙が溢れ出た。
弟は兄にすがりついた。

「よくやった。弟よ。お前は我が一族の誇りだ。」
兄は言った。
弟の胸に喜びが込み上げる。
「・・・・・・お前は、死なねばならぬ。」
・・・・・え?
「領民の為・・・・いや、我が一族の繁栄の為。」
・・・何だ?・・・・何て、言った・・・?今、何と・・・・
「お前は、強すぎる。もはや人とは思えん。」

兄は恐れていた。
はるかに人を超えた力を持つ弟を。

弟は、最初こそタチの悪い冗談だ・・・
と思っていたが、
兄の眼を見ているうちに理解した。

兄は本気だ。
本気で俺を殺す気だ。

この下種が。
俺はこんな下種に良い様に使われていたのか。
腹が立つ。
兄に、愚かな自分自身に、それ以上に我が一族全員に。

悔しい。悔しい。悔しい。

許さない、絶対に。

ちょっと落ちる

「なに、心配するな。お前は勇敢に化け物と戦い、死力を尽くし、相打ちに持っていった。
 と言う事にしといてやる。
 領民から崇められ、歴史にも名を残すかもしれんぞ?」

この男はどこまで・・・・!!

弟は兄を強く睨んだ。
よほど恐ろしかったのだろう。
兄はブルッと身震いをした。

「ど、どうした・・・まだ何かあるのか・・・?」

弟が兄に向けて発した殺気に、
兄の顔が引きつった。

「・・・・・・・あぁ、なるほど。そういうことか。」

『・・・なんだ、この男は・・・何を言っている・・・・?』

兄が次に発した一言が、弟を戦慄させる。

「・・・・・・・・・・・・嫁か」

『!!・・・やめろ、やめろ!あいつだけは・・・・・!!』

「任せておけ、すぐにお前の後を追わせてやる。
 嫁も『死して尚、夫を愛し、自らも共に命を絶った良妻』として尊敬されるさ」

・・・残酷だ。あまりに・・・・・。
何故、俺はこんな奴に殺されなくてはならない!
妻も殺される。
無知で哀れな俺の為に!!

「この事は、お前とお前の嫁以外の我が一族全員が知っている。
 私が裏切られる事は無い。安心して逝け。」

そう言って、兄は笑った。

・・・一族?一族全員で、こんな事を・・・・?
・・・ふざけるな、馬鹿げてる。
誰も反対する者は居なかったのか。

そして、ニヤニヤと下種な笑いを浮かべる兄に、自分を裏切った一族に、
弟は気が狂うほどの怒りを覚えた。

許さない 許せない 殺す 殺す

呪ってやる この一族を 末代まで

俺が味わった 己の無力さを 味わわせてやる

愛するものを 傷付け 苦しめる

この気持ちを 貴様らに・・・・・!!

その後、兄は弟を領内の古井戸に投げ入れ、弟の嫁も殺した。

嫁を殺した次の日から、異変が起こった。

一族の者が次々と死んでいったのである。

それも30歳以上の、一族の血を引く者のみ。

一族は全滅した。まだ幼い男児を一人とその母を残して。

皆、後悔した。あんな馬鹿なことをしなければ・・・と。

だが、もう遅い。弟の怒りは止められない。

そして、一族は廃れ、その幼かった男児が成人すると、他所から嫁をもらい、

一人子を生み、その子がまた・・・・・と、ひっそりと血を繋いでいった。

優「・・・・なんつーか・・・まあ、呪われて当然だな」

母「・・・・・・・そうね、まったく馬鹿なことを」

優「ん~・・・・呆れて怒る気にもならん」

母「・・・・・・・・・・受け入れるしか、無いのかもしれないね」

優「・・・・・・・・・もう、終わらすよ」
 「こんな思いは、もう十分だ」

母「・・・」

優「・・・・・ちょっと出てくる・・・遅くなるかも」

俺はやるせなくなって、家を出た。
外はもう真っ暗だった。

・・・・・・・・・・・・・・




優「・・・・・・・・・っと」

俺は土手に寝転がった。

ここは凄くいい場所だ。
川の音、星の光、草の匂い、土の感触、
すべてが心地いい。

昔からのお気に入りの場所だ。
此処は頭の中をスッキリさせてくれる。
辛い事、嫌な事、全てを忘れさせてくれる。

・・・・・・・・が、
今回に限りそうはならなかった。

優「・・・・・・・・ハァ」

あいつの事ばかり考えてしまう。
あいつの声、ぬくもり、優しさ、髪、目、しぐさ、匂い、
全てがくっきり思い出される。

そう、まるで、そこにいるかのように・・・・・・・

優「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・彩?」

彩「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ハイ」

優「え!?ちょ、へ!?うえええええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

彩「ちょ、もうっ、うるさいっ!!」

優「いや、だって!おまっ!何でココに!?」

彩「もー、落ち着いて」

優「う・・・・・・・・・・・・・よ、よし、落ち着いた」

彩「・・・・・・住所、調べた」

優「・・・・・・・・・どうやって」

彩「会社の情報を私的に使った」

優「・・・・・・犯罪」

彩「いい、もうやめた、仕事」

優「ハァ!?何やってんだよ!!それに、仕事辞めても犯罪は犯罪!!」

彩「うっさい!それは優だよ!!なにやってんの!?
  勝手に会社辞めて!!何も言わずに出てくなんて!!」

優「う・・・・・・・それは・・・・・事情があったんだよ」

彩「知ってるよ、『呪い』の事でしょ?」

優「そうだよ!・・・・・・・・って、え?」

彩「聞いた、お義母さんから」

優「・・・・・・・・・そうか」

彩「そう」

優「・・・・・・・・・・どうすんだ、仕事辞めて」

彩「結婚する」

優「・・・・・・・・・・・・・・・・・誰と」

彩「優」

優「・・・・・・・・・言うと思ったけど」

彩「以心伝心だね」

優「うっさい」

彩「阿吽の呼吸」

優「だまれ」

彩「・・・・・・」

優「・・・・・・・解けないんだぜ?コレ」

彩「知ってる」

優「子供一人しかつくれねーんだぞ?」

彩「それでいい、どうせ、後一年だし」

優「そうだ、後一年しかない」

彩「一年もあるじゃん」

優「お前は・・・・・・・・・・ったく」

彩「私は、大丈夫。呪いで優の事嫌いになんかならない。
  それに、優の後追ったりしない」

優「・・・・・」

彩「・・・・・・だから、結婚してください」

優「・・・・・・・・・・逆だろ、普通」ギュッ

彩「ん・・・・・・・・・・よろしく、優」ギュウウウウウウッ

優「こちらこそ・・・・・・藤川彩さん」

彩「・・・・・・・・・・・・・えへへ」

優「何笑ってんだよ」

彩「・・・藤川、になったんだなぁ・・・・と思って」

優「・・・・・・・・・・・・・・・・・・おう」

彩「・・・・それに、夢にまで見た結婚だもん」

優「ホントに・・・俺で良かったのか?」

彩「優じゃなきゃ・・・・・・・・・・ダメ」

優「う・・・・・・・・///」




こうして、俺達は結婚した。

しかし、彩が呪いをまったく気にしないとは・・・・・

もっと早く言っておけば良かった。

・・・・・・・でも、もう後悔はしない。

これからの、二人の日々を大切にしよう・・・・・

彩「よろしくお願いします!!」

母「こちらこそ、こんな息子でよろしければ・・・
  ・・・それと、あなたのご両親は・・・」

彩「いません、一昨年亡くしました。
  その時支えてくれたのが優さんなんです。
  だから、優さんをこれから支えていくのは私です」

母「・・・・・・・・・良い子ね」

優「おう、自慢の嫁だ」




かくして、俺達は最大の難関(?)を乗り越えた。

・・・・・・・・・・・・・・・・・




彩「・・・・・・・明日、だね・・・・誕生日」

優「・・・・・・・・・・・・・・・おう」ナデナデ

彩「ん・・・・・・・泣かないよ」

優「・・・・・・・・・・俺もだ」

彩「今日は・・・・ずっと一緒だよ」

優「・・・・・わかってる、それに『今日』じゃなくても、ずっと一緒だ」

彩「うん・・・・・・・・・・・・・大好き」

優「・・・・・・・・・・・愛してる」

彩「・・・・・浮気すんなよ、あっちで」

優「しねーよ、バカ」

彩「・・・・・・・・・・・ならいい」

優「さ・・・・・・・・・寝ようか」

彩「・・・・・・・・・・・おや、すみ」

優「おやすみ」




この一年、本当に楽しかった。
夢のようだった。

春は二人で花見行ってさ。

 なんかポワーーーッとしてんだ、空気が。

 すっげぇ、一面ピンク色でさ、地面なんか絨毯みたいになってんだ。

 まるで違う世界に来たみたいになって、
 
 めちゃくちゃ気持ちよくて、テンション上がっちゃって、

 はしゃぎ過ぎちゃったのはちょっと反省。

夏もいろいろあった。
 
 BBQしたり、海行ったり・・・・
 
 でも一番は夏祭りだな。

 わたあめ二人で分けて食べて、金魚すくいですぐ穴あけちゃって

 射的でぬいぐるみ取って、くじ引きで剣当てて

 ドーンドーンっていっぱい花火が打ちあがってさ。

 『綺麗』って二人で同じこと言ったな。

 でも一番綺麗なのはお前なんだ
 
 ふと横見たら凄く可愛くて

 離れたくないって思った。

秋は引きこもってた。

 たまには家でゴロゴロしようって・・・

 それが予想以上に楽しくて

 家から出られなくなった。

 ただくだらない事喋ったり、二人でゲームしたりしてただけなのに。

 お前といるとどこでも桃源郷になるんだって思った。

 『時よ止まれ』って本気で願った。
 
 考えてみると
 
 秋が一番二人一緒に居たかもしれないな。

冬はちょっときつかった。

 久しぶりに外出たら凄く寒くて

 二人ずっとくっついてた。

 どこのバカップルだよ。

 スキー行って、雪合戦して、雪だるま作って

 正月は初詣に行った。

 五円入れて

 『ずっと一緒に居られますように』って

 俺も同じだよ、バカ。

・・・・・・・・・もう悔いは無いかな。

いろんなとこ行って・・・初めてのこともたくさんあって・・・

いっぱい話して・・・いっぱい遊んで・・・

いっぱいケンカして・・・いっぱい愛し合った・・・






・・・お前がいたおかげで

・・・本当に本当に良い人生だった。

最後に一つ、『嘘』をついた。

俺の人生でお前についた二つ目の『嘘』

優「・・・・・ゴメンな」

そう言い残し、俺は外に出た。
『最後まで一緒に』は居られない。
やらなきゃならない事があるから。







彩「・・・・・・・・・・・どうしてすぐばれる嘘つくんだよ、
  ・・・グスッ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・バカッ」

・・・・・・・・・・・




   バタンッ




俺は車を降り、少し歩く。
暗い森の中、茂みを掻き分け・・・・

優「・・・・あったあった・・・こんな所に入れられたのか・・・」

そこは、あの古井戸。
呪いを掛けた張本人が眠っている。

優「いっかつい井戸だな」

そう言って俺は近づき、
覗き込む。

優「おー、いかにも何か出そうだなー」

暗く、深い井戸の中、
いまもあいつは一族を憎んでいるのだろう。

優「ったく、ウジウジウジウジ何百年も呪いやがって!!
  おかげで俺の人生滅茶苦茶だってんだ!!
  なんだお前!!寂しいのか!!辛いのか!!悔しいのか!!

  俺もだバカヤロー!!!!

  待ってろ、そっち行って説教してやる、話し相手にもなってやるよ!」

俺は、井戸に飛び込んだ。

「・・・だから、俺の嫁に手ぇ出すんじゃねーぞ」



・・・まったく、呪いのせいで滅茶苦茶だ、

小さいときから、ずっとずっと・・・

・・・・ただ、あいつに出会えた、

生まれてきて、良かった。

・・・・・・・・・・・・・・・





まったく、優は最後までカッコつけてたね。

それに、バカ。

心配させないようにだか何だか知らないけど、

嘘つかないって言ったのに。

彩「・・・でも、そういうとこ、大好きなんだよなぁ・・・・・」

・・・『零人』(れいと)、あなたの息子の名前です。

あなたが居なくなった後、この子に気がつきました。

いい名前でしょ?

先祖の呪いとか、しがらみとか、関係なく

ゼロからのスタート。

そんな思いを込めて、この名前をつけました。

あなたに見せたかった。

きっと立派に育てていきます。

だから、見守っていてください。


彩「私の・・・・・大好きな人・・・・・・・・」







  



 ~fin~

『一族の呪いの話』終了です。

見てくださった皆様、ありがとうございました。

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