ほむら「まどか、好き嫌いはよくないわ」(297)

まどか「ふう、ごちそうさまっ! 美味しかったね!」

杏子「ん、こうやってみんなでメシってのもいいもんだな!」

さやか「まあファミレスだからそれなりだけどね……っていうか、あんたは本当によく食うなー」

マミ「まあまあ、健康的でいいんじゃないかしら?」

ほむら「限度というものがあると思うのだけど……いえ、あなたもデザートに関しては……」


まどか「それじゃあ、そろそろお会計にする?」

ほむら「あら? まどか、まだお皿に残ってるわよ」

まどか「えっ」

マミ「あら本当、ニンジンのグラッセが残ってるわね」

杏子「おいおい、忘れてたのか? 早く食っちまえよ」

まどか「……」

ほむら「……まどか?」

さやか「もー、まどかは甘えんぼさんだなー! ほーら、さやかちゃんが食べさせてやるのだー!」ヒョイ

まどか「……」フルフル

マミ「鹿目さん? もしかして……」

まどか「だ、ダメ! 駄目なんです私、ニンジンだけは……っ」

杏子「はあ? お前、そんな子供みたいなこと……そんなんじゃ大きくなれねーぞ?」

ほむら「……そうね、好き嫌いはあまりよくないわ」

まどか「でもでも駄目! 本当に食べられないんですってば!」

マミ「グラッセは特に甘く仕上げてあって美味しいと思うんだけれど……」

まどか「その甘さが駄目なんですーっ!」

さやか「今だー!」スポッ

まどか「むぐっ!?」

さやか「ほーら、まどか? 口に入れちゃったものは仕方ない。観念してモグモグするのだー!」

まどか「……」ヒクッヒクッ

マミ「鹿目さん? 騙されたと思って噛んでみなさいな」

まどか「……」

まどか「……」モグッ

まどか「……」

まどか「あー……」エレー

さやか「ちょっ!? まどか、出しちゃ駄目ーっ!?」

杏子「おい、何やってんだよテメエ! 食い物を粗末にするんじゃねえっ!」バンバンッ!

マミ「ちょっと、佐倉さんも落ち着きなさい! 机叩かないの!」

さやか「そんなことより、こっちが……ん?」


ほむら「まどかの口からこぼれたニンジンッ! 甘いニンジンッ!」ホムッホムッ

ほむら「ニンジンッ!」ハムッハフハフッハフッ

まどか「」エレー


さやか「……」

チーン アリガトーゴザイマシター


さやか「やれやれ、何とかなったか……」

ほむら「私の機転が利いたようね」キリッ

さやか「いや、あんたのあれの方がアウトだから」ビシッ


まどか「うう……さやかちゃんひどいよ、まだ気持ち悪い……」ゲンナリ

マミ「鹿目さん、大丈夫?」

杏子「……いや、今回はまどかが悪いぞ」

まどか「……ええ?」

杏子「あんなもったいない真似しやがって……農家のおじさんやコックさんに悪いと思わねーのかよ?」

まどか「私だって吐きたくて吐いたんじゃないもん……」ムッ

さやか「あー、まあその、ごめんって。それにしても、まどかに好き嫌いがあったなんて初めて知ったなあ」

ほむら「そうね、意外だわ。いつもお弁当の彩りもよくて、バランスよく食べているのに」

まどか「パパはお料理上手だし、ニンジンなんて使わなくても栄養があって美味しいもの作ってくれるもん!」

杏子「……だからって好き嫌いしていい理由にはなんねーぞ」

まどか「……」ムスー

マミ「まあまあ、佐倉さんもその辺りにしておきなさいな」

杏子「……」

さやか「ところでまどか、ニンジンのどこがそんなに嫌いなのさ?」

まどか「そんなの……全部だよ。あんなの食べ物じゃないもん」ムスッ

杏子「テメエ、まだそんなこと」

マミ「はいはい、落ち着いて。鹿目さんも、いくら嫌いでもそういう言い方はよくないわ」

まどか「……はぁい」


ほむら「さっきも言っていたけど、甘いから駄目なのかしら?」

まどか「それもあるし、匂いも嫌。あの煮た時の変な柔らかさとか、後味も……ううう」ゲンナリ

ほむら「……ごめんなさい、もう思い出さないでいいわ」

マミ「ほら、鹿目さんもせっかく美味しいご飯の後なのに、いつまでもそんな顔しないの」

まどか「だって……」ムー

マミ「仕方ないわねえ……みんな、口直しに寄り道しない? 近くに美味しいケーキ屋さんがあるのよ」

さやか「マミさんのオススメですか!? 行きます行きますっ!」

まどか「……うん、行きたいです!」

ほむら「あなた、あれだけデザートを食べてまだケーキを……?」

マミ「専門店は別腹よ」キリッ

ほむら「そこ、決めるところじゃないわ」

マミ「だからほら、あなたも機嫌直しなさいな?」

杏子「あ、あたしは別に……ちぇっ仕方ねーな、付き合ってやるよ」

――後日・マミホーム


ほむら「さて。みんなに集まってもらったのは他でもないわ」

マミ「私の家なんだけど……」

さやか「まあまあ、マミさんの家って居心地いいですから」

杏子「ほむらが召集かけるなんて珍しいよな。しかもまどかの奴抜きなんてさ」

ほむら「……そう。議題はそのまどかの好き嫌いについてよ」

杏子「ほう?」

ほむら「率直に言えば、このままではいけないと思うわ。早急に改善する必要がある」

さやか「へー……なんか意外。転校生ってまどかにだけは甘いのに」

ほむら「相変わらずあなたは実に愚かね、美樹さやか。まどかのためを思えばこそよ」

さやか「……あたしには意味もなく特別厳しいよね」

ほむら「まどかのお父様は確かに料理上手……栄養、味ともにニンジンを他の食材でカバーすることは可能でしょう」

さやか「ナチュラルに無視すんなよー、濁るぞ? さやかちゃんのソウルジェムが濁っちゃうぞー?」

ほむら「けれど、今日のように外で出た場合は? 我慢して食べることもできないようでは、いずれまどか自身が恥をかくわ。そんな事態は避けたい」

さやか「おーい……」

マミ「はいはい、美樹さんは一度引きなさい。ね?」


杏子「ま、動機はともかくあたしは賛成だね。食い物があんな扱いされるのは黙ってらんないし」

さやか「でもさ、だからってどうすんの?」

ほむら「もちろん、まどかにニンジンを美味しく食べてもらうのよ」

さやか「だからどうやってさ?」

ほむら「愚鈍なうえに物わかりも悪いわね、美樹さやか。工夫して料理するのよ」

さやか「あんたが?」

ほむら「私たちが、よ」

マミ「……え? 私たちも?」

QB「なるほど、好き嫌い克服料理勝負ということだね?」

ほむら「出たわね淫獣」グリグリ

QB「ここはマミの家だよ? 一緒に住んでいる僕がいても何もおかしくはないじゃないか」

マミ「暁美さん、やめてあげて。キュゥべえにはお茶菓子を運んでもらってるのよ」

QB「まったく、人間の世界ではお客さんをもてなしたら銃口で額をグリグリするのが礼儀なのかい? わけがわからないよ」

ほむら「引き金を引かれなかっただけありがたいと思いなさい」スッ

QB「それはどうも。それより、決行はいつなんだい? 今日かい? 明日かい?」

杏子「なんかいつになく乗り気だな、お前」

QB「人間の『好き嫌い』というのは感情を研究するうえで非常に興味深い材料だからね」

マミ「本音は?」

QB「人間の『料理』という文化は素晴らしいよね!」キュップジュルリ

さやか「まあキュゥべえのことはいいけど……料理勝負ってどういうこと? 協力すればいいじゃない」

QB「おや、さやかは自信がないのかい?」

さやか「なぬ?」ピクッ

QB「料理上手というのは女性にとって重要なステータスなんだろう? これだけ集まって料理するんだ、勝負するしかないじゃないか」

QB「それともさやかは魔法少女の実力と同じで、料理の腕も貧弱で脆弱で最弱なのかい?」

さやか「うん、よし。背開きか三枚下ろしか、特別に選ばせてあげちゃおう」チャキッ

QB「調子ぶっこきすぎました、すみません」

<キュップ ウボァー


ほむら「淫獣の言うことはくだらないわね、そんな無駄なことをする必要はないわ」

杏子「あん? どういう意味だよ?」

ほむら「結果が見えていると言っているのよ。まどかのことを一番思っているのは私。なら私が勝つに決まっているもの」

杏子「へえ? 凄い自信じゃねーかよ……ほむらが料理してるとこなんて見たことねーけどなあ?」

ほむら「……何が言いたいの?」

杏子「案外自信だけでたいしたことねーんじゃねーの? あたしに任せといた方が無難じゃねーかなあ?」

ほむら「あら、冗談が上手いのね。あなたは食べる方専門でしょう?」

杏子「おいおい、あたしが何年一人で生きてきたと思ってんだ? 食い物を無駄にしないようにと思えば、行き着く先は料理じゃねーか」

マミ「ちょっと、話の雲行きが怪しくなってるわよ? 二人とも落ち着きなさい」

ほむら「巴マミ、あなたの出る幕はないわ」

杏子「そうそう、デザート専門は引っ込んでな」

マミ「……今、何て言ったかしら」ピクッ

杏子「ん?」

マミ「デザート専門は引っ込んでろ? それはつまり、食事においてデザートは他のメニューより一段下だと……そう言いたいのかしら?」

ほむら「そうは言わないけれど、今回扱うのはニンジンよ。デザートで使う食材ではないわ」

マミ「……なるほど、よくわかったわ。あなたたちの食に対する浅はかさが」

杏子「ああ?」

ほむら「……何ですって?」

マミ「その程度の心構えで作る料理なんて、たかが知れてるわね」

ほむ杏マミ「「「……」」」ゴゴゴゴゴゴゴゴ…


さやか「ちょっとちょっと! 誰か忘れてませんかー?」

ほむら「引っ込んでなさい」

杏子「さやかは料理できねーだろ」

マミ「美樹さんには……味見をお願いできるかしら」

さやか「……」

さやか「ふふ、舐められたもんだね、この美樹さやかちゃんも……」

さやか「これを見ろぉ!」バーン

ほむ杏マミ「「「こ、これは……!?」」」

マミ「キュ……キュゥべえの生け作り!」

杏子「うお、赤身肉なのに皿が透けるくらいの薄切りだ……」

ほむら「血の跡も、内臓を破いた臭いもないわ……」

さやか「ふふふ、包丁を持たせたら右に出る者はいない。『見滝原中学の板前』と呼ばれたさやかちゃんの腕前、恐れ入った?」ドヤア…

QB「」ガクッ


QB2「やれやれ、まさか生きたまま刺身にされるとはね。貴重な体験だったよ」

QB「とはいえ、自然と勝負の流れになってくれたようだね……」

QB(いがみ合う魔法少女同士の戦い……これは良質な感情エネルギーが回収できるに違いないよ)

QB(ついでに美味しい料理が4人分も食べられる……言うことなしだね)キュププププ…

――数日後・マミホーム


さやか「というわけで! お料理バトル開始ー! いえーっ!」

ほむら「……」ピリピリ

杏子「……」ジリ…

まどか「あ、あの……美味しいものが食べられるのは嬉しいんだけど、なんか雰囲気が……」

マミ「ええと、大丈夫よ。出てくる料理はまともだから、鹿目さんは安心して審査してちょうだい」

まどか「あ、はい」

さやか「えー、では厳正な抽選の結果、一番手は転校生から! 張り切っていってみよー!」

ほむら「ええ」スッ

まどか「え? 今から作るの?」

マミ「全員ほとんど下ごしらえは終わってるわ。仕上げだけね?」

杏子「さーて、ほむらの腕はどんなもんなのかねえ?」

ほむら「楽しみにしているといいわ。私のものだけで満足させてしまうでしょうけど」フフン

まどか(ほむらちゃん、あんなキャラだっけ……?)

さやか「さてさて、現在の状況の中継が入っております! 厨房のキュゥべえさーん?」

QB「はい、こちら現場のキュゥべえだよ!」キュップイ!

まどか「え? ここから見えるよね、台所もキュゥべえも……」

マミ「まあ……楽しそうだから続けさせてあげてちょうだい」


QB「ほむらは蓋をした平たい鍋と、たっぷりお湯の入った大きな鍋を火にかけてるね」

QB「で、持参したタッパーを開いて……なるほど、麺を茹でるんだね!」キュップイ!

QB「さて、じゃあこっちの平たい鍋の中身は何か」

ほむら「うるさいわ」ジャコッ

QB「……ここからはサイレント中継でお送りするよ!」

キュップ ステップ カールルイス!


さやか「ああっ、ざんねん!! きゅぅべえのれぽーとは これでおわってしまった!!」

杏子「麺ねえ。ここからだとよく見えねーけど、乾麺じゃねーな……うどんか?」

マミ「鍋に何か垂らしたわね。あれは……オリーブオイル?」

まどか「あの、わざわざここから覗かなくても台所まで行ったらいいんじゃ」

QB3「それは野暮というものだよ、まどか」

まどか「うわっ、もう復活したの!? 急に後ろから出てこないでよ……ん、この甘酸っぱい匂いは」クンクン


ほむら「よし、茹で上がったわね……水気を切ってソースをかけて、と」ザバー

ほむら「できたわ、召し上がれ」

まどか「やっぱりミートソースのスパゲッティだ! 私の大好物だよ!」

ほむら「ええ、事前にまどかの好物はリサーチ済みよ」フッ

杏子「なっ……汚ねーぞ!」

ほむら「勝負に万全を期するのは当然だわ。異論があるかしら?」

杏子「く……」

まどか「粉チーズをたっぷりかけて~」パッパッ

さやか「さやかちゃんはその上にタバスコを一振り、これが大人の味なのだー!」

ほむら「待ちなさい、美樹さやか。タバスコをかけるのは味を見てからの方が賢明よ」

さやか「へ?」

まどか「いただきまーす!」カチャカチャ パクッ

マミ「……んっ!?」モグ…

さやか「辛っ!?」

ほむら「だから言ったのよ……チリソースを加えた辛めのソースに仕上げてあるのよ」

まどか「ん……でも甘みも凄いね! 後味はなんだか優しい感じ……」

ほむら「そうでしょう?」

杏子(この麺……)

QB「そろそろ種明かししてもいいんじゃないのかい?」

さやか「そうだね……よーし、まどか! これを見るのだー!」


『          料理勝負!』


まどか「え? あ、それ……なんだか妙に右に寄った横断幕だと思ってたけど」

さやか「そう、実はここのところが剥がれるようになってまして」


『          料理勝負!』

『苦手克服! ニンジン料理勝負!』ピラッ


まどか「おおー……って、ええええええ!?」

まどか「な、何これ!? どういうこと!?」

QB「見ての通りだよ、まどか。君にニンジンを使った料理をいかに美味しく食べさせて、好き嫌いを克服させられるか。そういう勝負さ」

まどか「こんなの絶対おかしいよ!」

ほむら「落ち着いてちょうだい、まどか」

まどか「落ち着けないよ、ほむらちゃん! この間のファミレスでわかったでしょ? 私、本当にニンジンは駄目なんだよ!」

ほむら「大丈夫よ……ほら、ちゃんと食べられたじゃない」

まどか「……え?」

まどか「え、もしかして、これ……?」

ほむら「ええ。ミートソースにはすりおろしたニンジンがたっぷり加えてあるわ。チリソースとトマトで目立たないでしょうけど」

マミ「後味が甘くて、辛さがおさえられるのはニンジンのおかげってわけね?」

ほむら「ご名答よ」

杏子「……それだけじゃねーだろ」

ほむら「……」

さやか「どういうこと?」

杏子「麺だよ。見てみな」

まどか「うん、モチモチしててちょっと変わってるけど美味しいよね……」

さやか「ん……? ソースでわかんなかったけど、このパスタ、オレンジ色してる……!」

マミ「生パスタね?」

ほむら「ええ、手作りよ。これにもニンジンを練りこんであるわ」

QB「んぐ、なるほど! ハムッ、後味として残る甘みはムグムグ、ソースだけじゃなくてパスタからもきていたわけだね!」キュップモッチャモッチャ

マミ「キュゥべえ、食べるかしゃべるかどっちかにしなさい! ああもう、ソースで毛がベトベトじゃないの……」ゴシゴシ

まどか「……」

ほむら「どうかしら、まどか。確かにこのパスタにはニンジンが入っているわ……不味くて食べられない?」

まどか「……」

まどか「……」カチャ… モグ

まどか「ううん、美味しい……」

まどか「美味しいよ、ほむらちゃん!」

ほむら「マドカァー!!」

まどか「ホムラチャン!!」


さやか「でも本当にニンジン気になんないね、これ。ヘルシーな感じでさー」チュルッ

杏子「……」

杏子「なるほど、言うだけのことはあってたいしたもんだ……でもな、これじゃ勝てないね」

ほむら「……何ですって?」

まどか「あの、本当に美味しかったよ? ニンジンの匂いとかあんまりしないし……」

杏子「そう! それだよ!」ビシッ

まどか「!?」ビクッ

杏子「確かにニンジン入りの料理を美味しく食べさせた……でも、言われなきゃ気付かない、わからないようにしたうえでの話だ」

杏子「このメニューならニンジンが食える……でも、他のメニューだったら? これでまどかのニンジン嫌いは克服できたのか?」

ほむら「そ、それは……」

マミ「そうね……これで前のニンジンのグラッセのような料理が食べられるようになるかというと、難しいでしょうね」

ほむら「不覚……まどかに美味しいものを食べてもらおうと思う余りに、目的を見失った……」

まどか「そ、そんなことないよ、ほむらちゃん! 私の大好物が一つ増えたよ! また作ってね?」

ほむら「!? まどか……マドカァー!!」


マドカァー!! ホムラチャン!! キャッキャッ ウフフ


さやか「また始まっちゃったよ……」

杏子「ま、美味い料理だったのは認めてやるさ……今度はあたしの番だ!」

さやか「よーし、気を取り直して、会場のさやかちゃんが中継を繋ぐよ! 厨房のキュゥべえさーん?」

QB「こちら、現場のキュゥべえだよ!」キュップイ!

マミ「あ、そのノリは続けるのね」


QB「さて、杏子の用意したのは……おおう!?」

QB「な、生のニンジンがこんなにいっぱい!」ドッサリ

杏子「何をいまさら……ニンジン料理なんだから当たり前だろ?」トントントン

QB「それをスライスして……あああ、こんな山盛りに……!」

QB「君は何を考えているんだい? いくら好き嫌い克服とはいえ、こんなニンジンだけ用意されても無理に決まってるじゃないか!」

QB「それにこの段階で生ニンジンって、全然料理の気配がしないよ! 僕は美味しいものが食べたいんだ!」キュップイキュップイ!

杏子「黙 っ て ろ」ジャキッ

QB「……うわあ、すごくおいしそうなにんじんだね! たのしみだよ!」

キュップ ウーア ウーア ウーア… ズン ズズン


さやか「杏子ウィン、パーフェクト」

ほむら「あの淫獣、学習しないわね……」

マミ「あ、暁美さんと鹿目さんも復帰したのね」

まどか「あの、あんなニンジンばっかりって……絶対食べなきゃ駄目なの……?」

ほむら「安心しなさいまどか、食べられないなら正直に言えばいいのよ。そういう勝負なんだから」

まどか「うん……」

さやか「あ、フライパンで炒め始めたね……それに、他にも材料はあるみたいだよ? えーと、豆腐?」

ほむら「すりおろしのニンジンも作ってるわ……成功のビジョンが見えないわね」フッ

杏子「おーし、できた! これがあたしのニンジン料理だ!」ドンッ

まどか「……」

マミ「見事にニンジンだけの炒め物ね」

さやか「それに、こっちは冷ややっこ? すりおろしニンジンが乗ってるね」

ほむら「……」フッ

杏子「おいおい、勝ち誇るのは一口食ってからにしてもらおうか?」

まどか「……」フルフル

杏子「大丈夫だって、騙されたと思って食ってみな……もし無理なら、吐き出したって怒らねーよ」

QB4「杏子がそこまで言うとは……すごい自信だね」ゴクリ

まどか「う……えいっ」パクッ

まどか「……」モグッ シャクシャク

まどか「……?」

まどか「……あれ? 嫌な匂い、しないよ?」

さやか「んんっ、香ばしいなこれ! ゴマたっぷりだね」

杏子「いけるだろ? これがあたしの『ニンジンのきんぴら シリシリ風』だぜ!」

さやか「しりしり?」

マミ「沖縄料理で『スライス』って意味だそうよ。向こうでは卵やツナを炒め合わせることが多いらしいけれど」

杏子「そう、沖縄料理のシリシリを元に、きんぴらの味付けを加えたのがこいつさ」

杏子「よーく炒めたニンジンに、ダシ、醤油、酒、たっぷりのすりゴマを炒め合わせたんだ」

杏子「ニンジンってのはな……えーと、油と相性がよくて、かろてん?ってののきゅ、きゅ」

マミ「吸収率アップ」

杏子「そうそれ!」

ほむら「……何を読んでるのよ」ピラ

杏子「あっ!? おい、返せよ!」

さやか「うわ、汚い字だなー」

まどか「でも、すごいいっぱい書いてある……」

マミ「ふふ……毎日頑張って調べて、練習した甲斐があったわね?」

杏子「ちょっ、マミ!? 何ばらしてんだよ!?」カアア

ほむら「練習?」

マミ「ええ。勝負が決まってからうちに泊まりこんで、パソコンは占領するわ台所は占領するわで大変だったんだから」

杏子「代わりに色々手伝っただろ!? つーか言わない約束だったじゃねーか!」

マミ「あら、そうだったかしら?」


QB「それにしても、ゴマがくどいかと思ったらさっぱりしてていくらでも食べられるね!」モシャモシャ

さやか「お、冷ややっこかと思ったらあったかい!?」

杏子「ああ、そっちは温やっこ。すりおろしニンジンに薄いダシ、柚子ポン酢をかけたんだ」

マミ「さっぱりしてるけど、なんだかホッとする味ね」ホクホク

まどか「……」

まどか「……」パク

まどか「……」ムグムグ

まどか「……」

まどか「……ん、美味しいよ、杏子ちゃん」

杏子「お、おう」

まどか「いっぱい頑張ってくれたんだね? ありがとう!」

杏子「別にっ、あたしはただ食い物を粗末にしてほしくなかったのと、ほむらの奴に負けたくなかっただけだし」

まどか「ううん、それでも。あと……この間はごめんね?」

杏子「いや……うん、あたしもちょっと言いすぎたよ。どうせなら、メシは楽しく食いたいもんな」


ほむら「……」イラッ

マミ「はいはい、妬かないの。せっかく二人が仲直りしたんだから、少し我慢なさいな」

すみません、所用で少し席を外します。
22:30には再開しますので、待ってていただけるとありがたいです。

さやか「よーし、ここで真打ち登場! さやかちゃんの出番ですよー!」

「「「「……」」」」

さやか「……あれ?」

さやか「ほら、誰かあたしの代わりに『厨房のキュゥべえさーん』ってやってよ!」

杏子「正直あれは、なあ」

ほむら「お断りよ」

マミ「普通にやったらいいんじゃないかしら」

まどか「うーん……」

さやか「え、何それ……」


QB「さやかさやか」

さやか「現場のキュゥべえさーん! あんただけだよ、あたしの味方は!」

QB「いや、もういいんじゃないかな」

さやか「……」ブワッ

キュップ フェイタリティー


マミ「美樹さん、しょんぼりしちゃったわね……」

まどか「ちょっと可哀想かなあ」

ほむら「平気よ、料理してるうちにすぐに立ち直るわ」

杏子「うん? なんでそんなことわかるんだ?」

QB5「簡単なことさ、ほむらはさやかと一緒に練習してたからね」

まど杏マミ「「「えっ」」」

ほむら「……!!!」ジャコッ

キュッ ズパラタタタ…ッ


杏子「どういうことだよ、オイ……?」

ほむら「……」フーッフーッ

ほむら「……」…スーハー

ほむら「そのような事実はないわ」キリッ


QB6「つまりだ、ほむらは料理はできるけど、包丁の扱いだけは苦手だったんだよ」

ほむら「……ッ!!!」ジャココッ

マミ「これ以上うちで発砲するのはやめてもらえないかしら?」シュルル…

ほむら「あッ……! リボンをほどきなさい巴マミ! ほどいて!」バタバタ

QB「あの会議の後の話さ……」


さやか『包丁の使い方を教えろって?』

ほむら『ええ』

さやか『へえー……あんたがあたしに頼むなんて、意外じゃん』

ほむら『非常に不本意ではあるわ。あの腕前が他の誰かのものであったらと、小一時間葛藤した末の決断よ』

さやか『ねえ、それ本人を目の前にして言う?』

ほむら『先にぶちまけておかないとやってられないもの』

さやか『そこはさー、お願いします美樹さんっ! 私にその華麗な包丁捌きを伝授してくださいませっ! ってくらいやるべきだと』クネクネ

ほむら『オネガイシマス ミキサン ソノホーチョーサバキヲ ワタシニヨコセ』

さやか『棒読みなのはいいからさ! せめて忠実に復唱しない!? ねえ!?』

QB「とまあ、そんな具合に数日がかりでほむらの包丁修行が行われていたわけさ」

QB「その特訓中に交わされた会話はコントのようでありながら、なかなか二人の距離が近いものであることを感じられずにはいられない息の合いようで」ペラペラ

杏子「お前、いくらさやかでも少しくらい下手に出ろよ……」

ほむら「……」ズーン

マミ「本人はばらされたショックでそれどころじゃないようね」

ほむら「ワタシノセンジョウハココジャナイ…」ブツブツ

杏子「ひどいなこれ。まどか、ちょっと元気付けてや……」

まどか「……」サヤカチャン… ギリッ

杏マミ「「」」ビクッ

>モウ ホドイテモヘイキヨネ… アケミサン ホラ、ゲンキダシテ、ネ?

杏子「ま、まあとにかく! それだけ凄腕の包丁捌きなんだ、技を活かしたすげー料理が出てくるよなっ! いやー楽しみだな、なあまどか!?」

まどか「え? あ……うん、そうだね!」


さやか「できたー! はいはい、おっ待たせー!」コトッ

まどか「わ、本当に機嫌直ってる」

杏子「さーて、どんな包丁技を活かした料理なんだ……ん?」


QB「天ぷらに、肉巻きの炒め物……普通だね」

さやか「板前だと思った? 家庭料理でしたー!」

ほむら「空気読みなさいよ……!」

さやか「いやいや、魚でも捌くならともかく、ニンジン料理だよ? ニンジンでお刺身なんて作っても仕方ないでしょ?」

ほむら「……」ワナワナ

マミ「落ち着きなさい! ばらされ損なうえに正論で返されたからって取り乱さない!」


さやか「まあまあ、ちゃんと美味しく料理してきましたって! どうぞ召し上がれ!」

杏子「ま、そう言うんなら」

まどか「うん……大丈夫、大丈夫……」ブツブツ パクッ

まどか「んっ」モグッ

まどか「あ……美味しい」コク…

杏子「おおっ!? 本当か?」

まどか「うん、味付けがしっかりしてるからかな……甘辛くって、お肉とよく合ってて」

さやか「へへー、豚肉でアスパラと一緒に巻いて焼いたんだよ。味は醤油ベースの甘辛ダレか塩胡椒! ほら、こっちのも食べてみなよ!」

まどか「う、うん」

マミ「ん、天ぷらも何種類かあるのね」

さやか「へへ、短冊切りにしたニンジンのかき揚げです! 桜エビ入り、じゃこ入り、ニンジンだけの3種類がありますよー!」

まどか「あちち……んんっ、エビがパリパリしてて香ばしいねっ」

QB「じゃこもいいね。天つゆだけじゃなくて、塩やポン酢でもいけそうだ」

杏子「へえ、ニンジンだけってのもいいな。甘いのに、ご飯とよく合いそう」

ほむら「……!」

マミ「……気付いてる? この料理、すごく考えられてるわ」ボソボソ

ほむら「……」コクリ

ほむら(衣や肉でコーディングし、しっかりした味付けや別の食材と合わせることで抵抗なく食べられる……)

ほむら(そして何種類か作って徐々に食べていくことで、自然とニンジンが目立つものでも食べられるようにしてある……!)

さやか「どう? まどか、食べられそう?」

まどか「うん! 色んな味があって楽しいよ!」

さやか「へへ、それそれ。さっき杏子も言ってたけど、やっぱり食べ物は楽しく食べなきゃね」

さやか「だから、嫌いなものなんて気にならないくらいに楽しめばいいのだー!」

杏子「いいこと言ってるように聞こえるけど、さやかが言うとなんかすっきりしねーなあ」

さやか「ちょ、どういう意味さ!?」

ほむら「……」

マミ「ふふ、どうだった? 先生のお料理は」

ほむら「先生じゃない」プイ

ほむら「……まあ、見直してあげなくもないわ」ボソ


さやか「お、どうした転校生? さやかちゃんにはとても敵わないって? いやーまいっちゃうなー!」

ほむら「あなたは本当に耳も頭の中身も残念ね、美樹さやか」


マミ「本人に言ってあげればいいのに」クス

さやか「ラストを飾るのはもちろんこの人、マミさんだー!」

さやか「さあさあ準備はいい? 厨房のキュゥべえさ」

マミ「はい、お待たせ」コト

さやか「早っ!?」

さやか「あの、マミさん? ここはお約束のパターンじゃないですか! それにマミさん、何も料理してないでしょ!?」

マミ「だって、もう作ってあるんだもの。今から焼き上げるんじゃ時間がかかっちゃうでしょ?」


QB「諦めなよ、さやか。正直あのパターンは誰も待ってな」

さやか「……」チャキ

QB「……ぷるぷる! 僕悪いインキュベーターじゃないよ!」

キュップ テレレレッテッテッテー


マミ「というわけで、はい。クッキーとケーキを用意したわ。後でお茶も淹れるわね」

まどか「普通のクッキーだ……あの、やっぱりこれもニンジン入りなんですか?」

マミ「ええ、茹でて潰したものを加えてあるわ。少し風味は残るけど、わからないでしょう?」

ほむら「歯切れがよくて、しっとりしてるわね」

さやか「甘すぎなくて素朴な感じですね。なんか落ち着く……」
マミ「ヨーロッパには野菜を使ったお菓子はたくさんあるのよ。ケーキはスイス、クッキーはドイツ風かしらね」

杏子「へえ、悪くねーな」

マミ「さ、紅茶が入ったわよ」

さやか「待ってましたー、もうお腹いっぱいだー」

ほむら「少しずつとはいえ、かなりの量になったものね」

杏子「あれ? マミ、砂糖とかミルクは?」

マミ「ふふ……今日は代わりにこれを使ってもらうわ」トンッ

まどか「ジャム……もしかして」

マミ「ええ、ニンジンで作ったジャムよ」

マミ「ロシアンティーっていってね、寒いロシアでは紅茶のお供にジャムとウォッカを添えるのよ」

マミ「まずはジャムをそのまま舐めて、それから紅茶を召し上がれ」

杏子「ふーん、変わったことするなあ」ペロ

さやか「ジャムは何かに塗って食べたいなあ……」パク

ほむら「ん……?」

マミ「どうかしら?」

まどか「このジャム、すごくさっぱりしてますね……紅茶と飲んだら、なんだか優しい味のレモンティーみたい」

マミ「ジャムを作る時、レモン汁とキュラソーを多めに加えたのよ」

さやか「きゅらそー?」

ほむら「……確かオレンジのリキュールだったかしら」

マミ「ええ。行きつけのケーキ屋さんから分けてもらってね」

マミ「ニンジンも紅茶も、レモンとかオレンジみたいな柑橘系の果物がよく合うのよ。上手くいってよかったわ」


杏子「ふいー、食った食った」

さやか「美味しかったー、もうしばらく動きたくなーい」

マミ「二人とも、食べてすぐ横になるのは行儀が悪いわよ?」

ほむら「まどか……どう? 自信はついたかしら」

まどか「うん、みんなありがとう! 私、これからはニンジンもちゃんと食べられそうだよ!」

ほむら「そう、よかったわ……それじゃ」

ほむら「優勝を発表してもらおうかしら」

まどか「えっ」

杏子「……ああ、そういや料理勝負だったっけか」

さやか「作ったり食べたりしてるうちに、すっかり忘れてたね」

マミ「忘れてた方がいい雰囲気だったんじゃないかしら……?」

ほむら「……さあ、お願い。まどか」

まどか「……えっと」


まどか「あの、みんな優勝じゃ駄目かな?」

ほむら「まどか、そんな遠慮はいらないのよ? 勝負である以上、はっきりさせておきたいだけで」

まどか「ううん、遠慮とかそういう理由じゃないの」

まどか「ほむらちゃんのスパゲッティがなかったら、ニンジンってだけでみんなの料理も食べようとしなかったと思う」

まどか「杏子ちゃんのきんぴらがなかったら、ニンジンがちゃんと食べられるって思えなかった」

まどか「さやかちゃんの料理は楽しくって、普通にニンジンが入っててもいいんだって思えた」

まどか「マミさんのお菓子とお茶で、初めてニンジンの甘さって美味しいって思った」

まどか「みんなの料理、どれかひとつでも欠けてたらこんなに満足できてなくて、自信もつかなかったと思うから」

まどか「だからみんな優勝! ……じゃ、駄目かな?」

「「「「……」」」」

ほむら「そんなふうに言われたら、納得するしかないわ」

まどか「よかったぁ……!」

杏子「ああ、いいよそれで。美味いもんばっかりだったしな!」

さやか「そんなことよりマミさん、お茶のおかわりもらっていいですかー?」

マミ「もうお腹いっぱいじゃなかったの? 仕方ないわね、ちょっと待っててくれるかしら」


???「そうかい……よかったねえ、まどか」

QB7「でもね、料理はまだ一品残ってるよ」

マミ「キュゥべえ?」

さやか「そういえばさっきから復活してなかったね」


QB「本当に好き嫌いが克服できたのか……最後のメニューはこれさ!」コトッ

まどか「……っ!」


杏子「テメエ、こいつは……!」

ほむら「ニンジンのグラッセ……!」

QB「その通り。何の変哲も工夫もない、ごく一般的なニンジンのグラッセさ」

まどか「……」

QB「あの時まどかが食べられなかったというニンジン料理……さあ、どうしたんだい? 本当に克服できたのなら食べられるはずだよ?」

まどか「……っ」

QB「おや? やっぱり食べられないのかい? ということは、この料理勝負も意味のないものだったのかもしれないねえ?」

ほむら「インキュベーター! まさか、最初からこれが狙いで……!」

杏子「汚ねーぞ!」

QB「僕は事実を言っているだけさ。どうしたのかな? まさか、この程度で絶望してしまうとでも?」

マミ「キュゥべえ、あなた……」

さやか「本当に嫌いなものを克服するのが、どれだけ大変かも知らないで……!」


まどか「……大丈夫だよ、みんな」

ほむら「まどか、いけるの……?」

マミ「無理しなくていいのよ? そんな急に……」


まどか「ううん、大丈夫」

まどか「ほむらちゃんが、食べても大丈夫だって教えてくれた」

まどか「杏子ちゃんが、食べられるように努力してくれた」

まどか「さやかちゃんが、楽しく食べられるって教えてくれた」

まどか「マミさんが、また食べたいって思わせてくれた」

まどか「キュゥべえの思い通りにはさせない……!」

まどか「絶対に、今までのみんなの料理を無駄にさせたりしない!」

パクッ モグッ

まどか「……」


ほむら(まどか……!)

杏子(まどか……っ)

さやか(まどか!)

マミ(鹿目さん……!)

ゴクッ

まどか「……ふはっ」

まどか「大丈夫、食べられるよ……!」


ほむら「まどか! よかった! マドカァー!!」ダキッ ギューッ

杏子「やったじゃねーか! これで完全克服だな……!」

さやか「さすがはあたしの嫁なのだー!」

マミ「本当に……よく頑張ったわね!」

QB「……」

QB「……」


QB「おめでとう、まどか! 君なら克服できるって僕は信じてたよ!」


「「「「「……」」」」」




キュップーーーーーイ!!!

キュップーーーーーイ!!

キュップーーーーーイ!

キュップーーーーーイ

キュップーーーーーイ…

プーーーーーイ…

……

まどか「うーん、ごちそうさまっ! 美味しかったね!」

さやか「いやー、やっぱりみんなで食べに来るのはいいもんですなー」

杏子「まどかもニンジン食えるようになったしな!」

まどか「ティヒヒ、みんなのおかげだよ!」

マミ「じゃあ次はこのパフェと……こっちのケーキもいいわね」

杏子「マミはぶれねーなー……」


ほむら「……」

まどか「あれ? ほむらちゃん、お皿にまだ残ってるよ?」

ほむら「……」ビクッ

マミ「あら本当……ブロッコリー?」

杏子「おい、ほむら……お前まさか……」

ほむら「……」

さやか「ひっひっひ……ほーら転校生、あーん!」ヒョイ

ほむら「……」フルフル

まどか「ほむらちゃんも好き嫌い、あったんだね」

マミ「暁美さん、なんというか、その……」

杏子「我慢して食べることもできないようでは、いずれまどか自身が恥をかくわ。そんな事態は避けたい」キリッ

ほむら「違っ! 違うのまどかっ」

さやか「隙ありー!」ズボッ

ほむら「むぐっ」モグッ

ほむら「……」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん……?」


ほむら「……」チーン


マミ「気絶してるわ……」

杏子「こいつは筋金入りだな……さえ、どうしてくれようか」

さやか「いやいや、ここは決まってるじゃないですか!」

まどか「そうだね……」


まどか「苦手克服! ブロッコリー料理勝負だよ!」


≪おしまい≫

乙乙

グルメバトルとかラーメン屋QBの人?

支援、合いの手などありがとうございました。
久々の投下だったので嬉しさもひとしおです。

>>240
なぜばれたし

>>248
いや、みんなで料理っつったら…なぁ…

≪ニンジンと相性のいい食材について≫


1.油

油を使って調理することでカロテンの吸収率がアップ!
独特の匂いも表面がコーディングされるからか弱まるようです。


2.柑橘系の果物

煮込みなどで甘みを出した場合、ニンジンのクセのある風味も強まってしまう。
レモンなどの柑橘系は甘みを残してクセを取ってくれます。
グラッセにもレモン汁を加えるレシピがあるようです。


3.トマト

野菜の中でもクセの強いニンジンに真っ向から対抗できる食材。
野菜ジュースだとニンジンがメインになることが多いけれど、トマトが入れば味が塗り替えられるほど。
トマトソースに自然な甘みがプラスされます。ただ、ニンジンメインにはならないかも。

乙乙
今回も美味しそうだったぜ!

≪シリシリについて≫


沖縄の郷土料理として「にんじんシリシリ」が県民ショーで紹介され、有名になったらしいです。

スライサーでスライスして細切りにしたニンジンをよく炒め、味付けは醤油。

ツナを一緒に炒め合わせる、卵でとじる、あるいはその両方を加えているレシピが多いです。

「シリシリ」とはスライスする工程を指す言葉で、炒める工程はご存じ「チャンプルー」です。

今回はダシ、酒、すりゴマを使ってきんぴら風にしてみました。

ニンジン嫌い向けの料理としてもよく紹介されていますが、余りがちなニンジンを大量に消費するための料理でもあるようです。

ニンジンが苦手な方の反応もあるようで嬉しいです。

正直、こんなトントン拍子に好き嫌いが治ったら苦労しませんよね。

説得力があったか、ニンジン嫌いでも食べたいと思える料理があったか、

ニンジン嫌いな方にぜひ聞いてみたいです。


ちなみに、最初は食材を安価で決めるつもりでました。

ただ、私の嫌いなピーマンに当たってしまうと書けなくなるので泣く泣く見送りました。

>>248
そもそもこんなに腹が減ってくるSS書いてる人間なんてかなり限られるだろうに
ということで、今回もごちそうさま

>>249
>>252
>>258
ありがとうございます。

本当はこういう名乗る行為はやらない方がいいのはわかってるんですが、
言い当てられて心底喜んでいる自分があり……
どうにも治りそうにありません。


また、某SSを書いた時に調子こいた態度をとってしまい、
気分を悪くされた方がたくさんいらっしゃったと思います。
思い当たる方にはこの場を借りて猛省・謝罪させていただきます。
たいへん申し訳ございませんでした。


では、おまけを少し投下して終わりにします。

≪おまけ≫


ゴウンゴウンゴウンゴウン…

ワルプルギスの夜「キャーーーーーーーーーーーーハハハハハハハハハハハ!!!」


杏子「くそっ、強ええ……まったく歯が立たねーぞ……!」

ほむら「弾薬も残り少ないわね……」

さやか「魔力が……治療がもう追いつかないよ……!」

ビッ

マミ「鹿目さん、危ない!」ドンッ

まどか「ひゃあっ!?」

ドーーーーーーーーーーーーンッ!!!


ほむら「まどかっ、無事!?」

まどか「う、うん……大丈夫だよ」

マミ「間一髪だったわね」

杏子「にしても、なんて威力だよ! あの一角の建物が吹っ飛んじまった……!」

さやか「ああ、八百屋さんが跡形もなく……」

゙ウンゴウンゴウンゴウン…

ヒューーーーーーーン


ワルプルギスの夜「ギャハハハハハッ…キャハ?」

ポトッ


ピーマン「……」

ワルプルギスの夜「……」

ワルプルギスの夜「ヒギャアアアアアアアアアアアアアアアーーーーーーーーーーーーッ!!!?」

ズズーーーーーーーーンッ ドゴッ グシャア


さやか「うわわっ、何!?」

マミ「ワルプルギスの夜が降ってきたわ……」

ほむら「降ってきたというか、完全に墜落ね」

まどか「ビルにぶつかちゃってボロボロだよ……」

コロン

杏子「ん……? これ、ピーマン?」

ワルプルギスの夜「」ヒクヒク

杏子「……」

杏子「……」ピーマン ズイッ

ワルプルギスの夜「!!!」

ワルプルギスの夜「……」フルフル

ほむら「……どうやらピーマンが嫌いなようね」

杏子「あたしたち全員の戦力より、ピーマン一個の方が上かよ……」

マミ「どうしましょうか? 完全に倒せたわけじゃないようだし……」

さやか「いやいや、ここは決まってるじゃないですか!」

まどか「そうだね……」


まどか「苦手克服! ピーマン料理勝負だよ!」


≪5人の料理が世界を救うと信じて……!≫

というわけで、本当に終わりです。

ありがとうございました!

おやすみなさい

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