【叛逆バレ】ほむら「体調崩した」 (628)

※叛逆の物語のネタバレを含みます

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383509808

まどか「ほむらちゃん、お薬飲もうか」

悪魔ほむ「……いやよ」

まどか「お薬飲まないと、いつまでも熱下がらないよ?」

悪魔ほむ「かまわないわ」

まどか「もう……」

悪魔ほむ「そもそも悪魔の私が高熱なんかに負けるわけないわ」

まどか「うなされて変な夢でも見たの?」

悪魔ほむ「………………」



悪魔ほむ(なんで私が熱を出して、まどかに看病されているかというと……)





~~~さかのぼること前日~~~

悪魔ほむ「キュゥべえ、ちょっと聞きたいことがあるから来なさい」

QB「はいはい」

悪魔ほむ「わたし悪魔よね」

QB「自称だけど、実際そうだね」

悪魔ほむ「でも悪魔に見えないってよく言われるのよ」

QB「はい?」

悪魔ほむ「わたしが悪魔に見えないらしいのよ」

QB「……まさかとは思うけど一般人に悪魔だって名乗ったのかい?」

悪魔ほむ「ええ、そうよ。なにか?」

QB「」


悪魔ほむ「だから今後はもっと悪魔らしく振舞おうと思うの」

QB「……わけがわからないよ」

悪魔ほむ「もちろん手伝ってもらうわよ」

QB「やれやれ」

悪魔ほむ「とりあえず悪魔らしさについて調べてきなさい」

QB「わかったよ」ピョン



―――しばらくして―――

QB「悪魔のイメージについて調べてきたよ」ピョン

悪魔ほむ「あら早いわね。聞かせなさい」


QB「“すごい大きな城に住んでいそう”」

悪魔ほむ「そんなお金ないから却下」

QB「“塩かけたら弱りそう”」

悪魔ほむ「なんかナメクジみたいだからイヤよ。次」



QB「“トカゲの入った紫色のスープとか食べてそう”」



悪魔ほむ「!!」

QB「他には……」

悪魔ほむ「……れよ」

QB「え?」

悪魔ほむ「それよ!!よくよく考えたら私の紋章はトカゲだし、ぴったりだわ!!」

QB「正気かい?」

悪魔ほむ「もちろん違うわ。わたしは悪魔なのだから当たり前でしょ」


悪魔ほむ「というわけで夕飯にトカゲのスープを作りなさい」

QB「命令だから作るけど……後悔しても知らないよ」

悪魔ほむ「大丈夫よ」



―――夕飯―――

QB「いちおうできたよ。トカゲのスープ」ホカホカ

悪魔ほむ「結構おいしそうな匂いね。見た目は最悪だけど」

QB「全く、小動物体型のボクに料理を任せるとは酷いじゃないか」

悪魔ほむ「あら、下僕が主人に文句とはいい度胸ね」

QB「すまな……すみません……」



悪魔ほむ「じゃあ、いただきます」

QB(行儀のいい悪魔だね)

悪魔ほむ「あれ?鶏肉みたいな味でおいしいわね」モグモグ

QB「それはよかったね(ほんとにトカゲ食べてる……)」

悪魔ほむ「うん、普通においしい」ガツガツ



悪魔ほむ「ごちそうさま」

QB「お粗末様(完食しちゃったよ……)」



―――翌朝―――

QB「おかしい……もう8時なのにほむらが起きてこない……」

QB『ほむらー、もう8時だよ』テレパシー

シーーーン

QB「テレパシーにも答えない……」

QB「見に行った方がいいかな?」

QB「でもこの前勝手に寝室に入ったときは消されかけたし……」

QB「うーん……」

QB「やっぱり部屋に入ってみよう。はいるよ、ほむら」

ガチャ




悪魔ほむ「」チーン




QB「え?」

QB「ほ、ほむら?」チョンチョン

悪魔ほむ「ぅ……」グッタリ

QB「す、すごい熱だ!!」

悪魔ほむ「後悔と……輝き(目のチカチカ)しか……ない……」

QB『だれか、ほむらが倒れている!!』

まどか『えぇ!?』

QB『まどか!?近くにいるなら、とりあえず来てくれ!』

まどか『う、うん!今いく!』

~~~回想おわり~~~





悪魔ほむ(ということがあったらしい……)

悪魔ほむ(その後まどかにお姫様抱っこされてベッドに運ばれたらしいけど)

悪魔ほむ(残念極まりないことに全く覚えていないわ)






まどか「ほむらちゃん……」

悪魔ほむ「なによ。薬なら飲まないわよ」

まどか「そんなに飲み薬が飲みたくないなら、無理やり座薬いれるよ」

悪魔ほむ「え?」

まどか「飲み薬がいやならしかたないね」

悪魔ほむ「ちょ、ちょっと待って」

まどか「ん?」

悪魔ほむ「……飲めばいいんでしょ」

まどか「ウェヒヒ」


悪魔ほむ「はい、飲んだわよ」ゴクッ

まどか「えらい、えらい」ナデナデ

悪魔ほむ「子供じゃないんだけど……」

まどか「あ、ごめんね。いつもタツヤにやってたから」


悪魔ほむ「もう平気だからあなたは学校に行きなさい」

まどか「今日は休むって連絡したから大丈夫だよ」

悪魔ほむ「え……」

まどか「だから今日はずっと看病できるよ」

悪魔ほむ「そう、ごめんなさい」

まどか「気にしないで」


悪魔ほむ(まどかを休ませてしまった……)

悪魔ほむ(せっかく人間として学校に通えるようになったばかりなのに!!)

悪魔ほむ(しかも私のせいで!!)ギリギリ


まどか「ほむらちゃん!?」

悪魔ほむ「なにか用?」

まどか「どこか痛いの?すごく苦しそうな顔してたよ!?」

悪魔ほむ「なんでもないわ」

まどか「でも汗びっしょりだよ」

悪魔ほむ「……嫌なことを思い出していただけよ」


まどか「どんなこと?」

悪魔ほむ「あなたが知る必要はないわ」

まどか「そうなんだ……」


まどか「あ、汗ふいてあげるよ」

悪魔ほむ「いらない……って言ってもどうせ拭くのでしょう。好きにしなさい」

まどか「ウェヒヒ」


まどか「とりあえず顔から」フキフキ

悪魔ほむ「ん………」

まどか「あれ?」

悪魔ほむ「どうしたの?」




まどか「目の下のクマがなくなっちゃった。あれ化粧だったの?」




悪魔ほむ「」

QB「それについては僕から説明するね」ピョン

QB「本人曰く『その方が魔なるものに見えるから』だそうだよ」

QB「ちなみに最初は夜更かしして目のクマを作っていたけど、長くは続かなかったよ」

QB「なぜなら今まで10時には寝ていたからね」

悪魔ほむ「黙りなさい……」

QB「それからはしかたなく毎日ファンデーションでクマを作って……」

悪魔ほむ「黙りなさい!!」グチャ

QB「」



まどか「えっと……その……」

悪魔ほむ「………………」

まどか「クマがあってもなくてもほむらちゃんはカッコいいよ?」

悪魔ほむ「まどか……」

まどか「は、はい!」

悪魔ほむ「無理にフォローしなくていいわ……」

まどか「あ、うん……」

悪魔ほむ「お願いだから忘れて」




まどか「……体も拭くね」

悪魔ほむ「お願い」

まどか「………………」フキフキ

悪魔ほむ「………………」

まどか「………………」フキフキ

悪魔ほむ「………………」


悪魔ほむ(気まずい……)

まどか(どうしよう。黙り込んじゃったよ)

悪魔ほむ(何か話題を……)

まどか(そろそろ体も拭き終わっちゃうよ。なにか話さないと)

悪魔ほむ(とりあえず、いま思っていることを素直に言えばこの空気を打破できるはず)


まどか「拭き終わったよ」

悪魔ほむ「お腹すいた!!」

まどか「ふぇ?」

悪魔ほむ「あ……」

まどか「あの、気づかなくてごめん。なにか作ってくるね」ドタドタ

ギィーー、ガチャン





悪魔ほむ「………………」ポツーン

悪魔ほむ「わたし何言ってるのかしら……」

―――キッチン―――

まどか「体調悪いときの料理といえばアレだよね」

まどか「さっきのはほむらちゃんが私にアレを作ってほしいってことだよね」

まどか「タツヤが風邪引いたときもアレで治ったし」

ガサゴソ

まどか「材料は……一応ある」

まどか「よし、ほむらちゃんのために作ろう!」





―――寝室―――

トントントントン

悪魔ほむ「いきなり“お腹すいた”って言うほど私は空腹だったのかしら」

悪魔ほむ「そういえば昨夜からなにも食べていないわね」


グツグツグツ

悪魔ほむ「お粥でも作ってるのかしら?」

悪魔ほむ「それにしてはいろいろな匂いがしてくるわね」

悪魔ほむ「……まさかトカゲスープ?」

悪魔ほむ「………………」

悪魔ほむ「なわけないわよね」

悪魔ほむ「具の多い雑炊かなにかでしょう」


まどか「ほむらちゃん、ご飯できたよ」

悪魔ほむ「悪いわね」

まどか「ウェヒヒ、体調崩したときはこれだよ」

悪魔ほむ(まどかの手作り雑炊……楽しみ)



まどか「はい、チキンスープ」ニコッ



悪魔ほむ「……はい?」

まどか「あっ、ごめん。英語じゃわかんないよね」

悪魔ほむ「いや……」

まどか「えっと、日本語で鶏肉汁?」

悪魔ほむ「なるほど(わかるわよ、そのぐらい!!)」

まどか「風邪のときの定番なんだよ。チキンスープ」

悪魔ほむ「そ、そうなの」




ホカホカ

悪魔ほむ(今、わたしの目の前にはまどかが作ったチキンスープがある)

悪魔ほむ(こってりした油が浮いてて、病人が食べれるような料理じゃない気がするけど……)

まどか「遠慮せず食べてね♪」ニコニコ

悪魔ほむ「ええ……」

悪魔ほむ(とてもそんなこと言える雰囲気じゃない!!)

まどか「食べさせてあげようか」

悪魔ほむ「お、お願いするわ」ビクビク


まどか「はい、あーん」

悪魔ほむ「ん」パクッ

まどか「どう?」

悪魔ほむ「あぁ、幸せ」モグモグ

まどか「ティヒヒ///」

悪魔ほむ(これはお粥、これはお粥、これはお粥、これはお粥……)モグモグ



―――15分後―――

悪魔ほむ(自己暗示のおかげでなんとか完食できたわ)

まどか「おかわり、たくさんあるから」

悪魔ほむ「眠くなってきたから遠慮するわ!!」

まどか「そう?わかった」

悪魔ほむ「また元気になったら作ってくれる?」

まどか「ウェヒヒ、もちろんだよ」


まどか「なにかあったらテレパシーで呼んでね」

悪魔ほむ「ありがとう」

まどか「おやすみ」

悪魔ほむ「おやすみなさい」




―――寝室―――

悪魔ほむ(まどかにあーんされて、心は幸せなのに胃が悲鳴をあげてる……)

悪魔ほむ(アメリカって風邪引いてるときもあんな胃に重いもの食べるのね)


悪魔ほむ(まどかがアメリカからの帰国子女……)

悪魔ほむ(つじつま合わせのためとはいえ、設定ミスだったかしら?)

悪魔ほむ(でも今更再改変も面倒ね)

悪魔ほむ(どうしたら……)

悪魔ほむ(………………)

悪魔ほむ(悩んでたら頭まで痛くなってきそうだから、もう寝ましょう)



―――別室―――

ポチポチポチ

まどか「もしもし、さやかちゃん?」

さやか『まどか?今日どうしたの?』

まどか「ほむらちゃんが体調崩しちゃったから看病していたの」

さやか『うわ、ほむら羨ましい……』


まどか「それでね、手伝ってほしいことがあるんだけど」

さやか『なにー?』

まどか「ほむらちゃんの家、一人暮らしだから食糧もお薬もあまり余裕がないの」

さやか『うん』

まどか「でもほむらちゃんを一人にするの心配だから、その……」

さやか『あーはいはい、買ってくればいいんでしょ?』

まどか「うん……」

さやか『任せなさい、このさやかちゃんに』

まどか「ありがとう」

さやか『じゃあ放課後に寄るから、それまで楽しんでなさい。じゃあ』

まどか「うん、じゃあね」

ツーー、ツーー




ピョン

QB「やれやれ、やっと復活できたよ」

まどか「あ、キュゥべえお帰り。遅かったね」

QB「暁美ほむらのご機嫌がなかなか治まらなかったからね」

まどか「でも、今回はキュゥべえが悪いでしょ」

QB「わけがわからないよ」


QB「さて、ぼくは用事を済まさないと」

まどか「用事?」

QB「インキュベーターにも立派な仕事があるのさ」

まどか「どんな?」

QB「この部屋の掃除に食器洗い、ゴミ捨てとあとそれから……」

まどか「」


まどか「……なんだか大変だね」

QB「しかたないことさ……」


まどか「手伝おうか?お掃除」

QB「いいのかい?結構大変だよ?」

まどか「うん」

QB「助かった。感謝するよ」

まどか「ティヒヒ」

まどか(ほんとはほむらちゃんの家を少し漁りたいだけなんだけど……)




QB「まず床の上のものを椅子の上とかに避難させる」

まどか「よいしょ」

QB「そうそう」


QB「次にお掃除ロボット“ル○バ”を起動させる」

まどか「……パードゥン?」

QB「ルン○を起動させる」

まどか「」



ポチ、ウィーーン

まどか「……起動させたよ」

QB「あとは掃除が終わるまでひたすら見張るのさ」

まどか「えっと、なんのために?」

QB「たまにコードとかに引っかかって、動けなくなるんだよ」

まどか「うん」

QB「そういうときにル○バを救出して再起動するのも」

QB「僕たちインキュベーターの大切な仕事なのさ!!」

まどか「なんで誇らしげに言うの!?」




ウィーーン、ガゴッ

まどか「あ、段差に乗り上げた」

○ンバ『エラー。ル○バを移動させて、再起動してください』

まどか「これしゃべるんだ」ポチ、ウィーン

QB「僕がそうなるように調整したのさ!!」

まどか「そういう機能あるんだ……よかったね……」


ウィーン、ガッ

ル○バ『エラー。ルン○を移動させて、再起動してください』

QB「今度は僕が動かすよ」ポチ、ウィーーン

まどか(手伝うって言い出しておいてあれだけど、)

まどか(私が手伝う必要ほんとにあるのかな?)




ウィーーン……

QB「掃除が終わったようだね」

まどか(結構ゴミが残ってるような気がするんだけど……)

QB「やれやれ、次は食器洗いだよ」

まどか(それに……)




まどか「ねえ、キュゥべえ」

QB「なんだい?」

まどか「なんでキュゥべえはほむらちゃんの召し使いみたいなことをしているの?」

QB「そういう存在だからさ」

まどか「いつから?」

QB「ずっと前から」


まどか「…………………」

QB「どうしたんだい?」

まどか「やっぱり、変だよ」

QB「なにが?」

まどか「わたしの知ってるキュゥべえはもっと別のことをしていたような気がするの」

QB「ふーん……」

まどか「そうだよ。私ももっと別の姿と役割が……」ゴゴゴ


QB(まずい!!)

ガチャ



―――寝室―――

QB「ほむら、まどかが神の記憶を思い出しそうだよ!!」ペチペチ

悪魔ほむ「うーん……もうスープは食べられない……zzz」

QB「寝ぼけてないで目を覚ますんだ」ペチペチ

悪魔ほむ「もう……あさぁー?」

QB「早く起きて!!」

悪魔ほむ「目覚まし……うるさいわねぇ……」スッ

QB「え?」

グチャ

QB「」


―――別室―――

まどか「だいたい私の瞳はピンク色じゃない」ゴゴゴゴ

まどネ「もっと髪も長くて、胸も大きかったはず……」ゴゴゴゴ

まどネ田「私の胸はマミさん並みに大きかったはずだよ!!」ゴゴゴゴゴゴ

まどネ甲「こんな姿絶対おかしいよ!!」ゴゴゴゴゴゴゴ



ピンポーン



まどか「ん?」

ピンポーン

まどか「あ、お客さん?」シュン……

まどか「あれ?私なんで怒っていたんだろう?」

まどか「?」



ピンポンピンポン

まどか「どちらさま?」

なぎさ『まどかさん、ほむらさん、開けてです』

まどか「なぎさちゃん?いま開けるね」


ガチャ

なぎさ「お邪魔しまーす」

まどか「ごめん、今日は遊べないんだ。ほむらちゃんが体調を……」

なぎさ「知ってるです」

まどか「え?」

なぎさ「さやかから聞きました」


なぎさ「なぎさは授業がお昼までだったので、一足先に食べ物やらお薬を持ってきました」

まどか「ほんとだ。わざわざありがとう」

なぎさ「いろいろ買ってきました」ガサガサ

まどか「こんなにたくさん重かったでしょう?」

なぎさ「途中でほむらさんの知り合いに会って、買い物とか手伝ってもらったのです」


まどか「もしかしてわたしのママ?」

なぎさ「いえ、マミと同じ学年の……キリカさん?」

まどか「……だれだろう?」

なぎさ「さあ?でもほむらさんのこと尊敬してるみたいでしたです」




悪魔ほむ『まどか、だれか来たの?』テレパシー

まどか『ほむらちゃん?ごめん、起こしちゃった?』

悪魔ほむ『いいえ、なぜか少し前にキュゥべえに起こされたような気がするわ』

まどか『?』


まどか『あ、そうそう。なぎさちゃんがお薬と食べ物を買ってきてくれたの』

悪魔ほむ『え!?(チーズばっかりじゃないでしょうね……)』

なぎさ『重かったけど、頑張ったです』

まどか『いまそっちに行くね』

悪魔ほむ『………………』



―――寝室―――

ガチャ

まどか「どう調子は?」

悪魔ほむ「おかげで、だいぶ熱が下がったわ」

まどか「よかった」

悪魔ほむ「うふふ……」



なぎさ(ほむらさん、なんかいつもと雰囲気が違う……)

なぎさ(すっぴんさんだからなのかな?)

なぎさ「ほむらさん、ほむらさん。いろいろ買ってきましたよ」

ガサガサ

悪魔ほむ「ありがとう。備蓄に余裕がなかったから助かったわ」

悪魔ほむ(レトルトの白いお粥がある!!)

まどか「お手柄だね」

なぎさ「えへへ」


なぎさ「それとキリカって人に会いました」

悪魔ほむ「キリカに?」

なぎさ「迷子になりかけていた時に向こうから声をかけてきたです」

まどか「買い物とかも手伝ってもらったんだって」

悪魔ほむ(また学校さぼったのね)

なぎさ「手紙も預かってるです」

悪魔ほむ「見せて」

なぎさ「はいです」

ペラ


―――暁美ほむら師匠へ―――

ご無沙汰だね。
学校をさぼっていたら巴マミとよく一緒にいる、ちっこいのが店内で
迷子になりかけていたのを見つけたのさ

事情を聞いてみたら珍しく体調を崩しているそうじゃないか。
宇宙級の悪魔でも病魔には敵わないんだね

見てて危なっかしかったから、買い物に付き合ってあげたよ。
あの子、レトルトのリゾットとチーズばかり買うものだから、
病人には普通の白粥と梅干とかにするようにアドバイスしておいたよ。

あと体調が回復したら、ほむらの家でまた愛について語り合いたいから
角砂糖とハチミツとジャムは多めに備蓄しておいてくれ
じゃあ、また

                      ―――弟子、呉キリカより―――


悪魔ほむ(相変わらずフリーダムな娘ね)

悪魔ほむ(でもキリカが手伝わなかったら、いまごろ家には大量のリゾットが……)

悪魔ほむ(考えただけでゾっとするわ!!)

悪魔ほむ(キリカ、貴女がいなかったら私はとっくに壊れていたかもしれない)



まどか「ほむらちゃん、顔色悪いけど大丈夫?」

悪魔ほむ「い、いえ、大丈夫よ」

まどか「もしかして、熱ぶり返した?」

悪魔ほむ「そんなことないわ」


まどか「ちょっとおでこ出して」

悪魔ほむ「え?」

ピタ

まどか「うーん……」

悪魔ほむ(顔が近い///)

まどか「やっぱり、まだ熱いね」

悪魔ほむ「そ、そう?(誰のせいよ///)」




なぎさ(なんでだろう?この空間すごく居づらい……)

なぎさ「あの、なぎさはそろそろ避難……じゃなかった、帰ります」

悪魔ほむ「もう?」

なぎさ「用事は済みましたし、宿題をしないとです」

まどか「わかった。ほむらちゃんは私がしっかり看病しとくから安心して」

悪魔ほむ「まどか、あなたもそろそろ帰った方が……」

まどか「はい?」

悪魔ほむ「いや、なんでもないです……」

まどか「ウェヒヒ」

なぎさ(早く帰りたい……)


なぎさ「えっと、その……さよなら!!」

悪魔ほむ「さようなら」

まどか「ばいばい」

なぎさ「お邪魔しましたー」

ドタドタ、ガチャ




まどか「なんであんな急いで帰っていったんだろう?」

悪魔ほむ「さあ?宿題がそんなに多いのかしら?」

まどか「小学生も大変だね」

悪魔ほむ「そうね」





悪魔ほむ「ところでもう一回聞きたいんだけど……」

まどか「なに?」

悪魔ほむ「本当にいつになったら帰るの?」

まどか「え?ほむらちゃんが元気になるまでに決まってるでしょ」

悪魔ほむ「」


悪魔ほむ「家の人が心配……」

まどか「もう連絡した」

悪魔ほむ「今日のプリントとか……」

まどか「さやかちゃんが持ってきてくれるって」

悪魔ほむ「明日の学校……」

まどか「明日は土曜日だよ」

悪魔ほむ「………………」



まどか「いまは病人なんだから、そういうこと気にしなくていいんだよ」

悪魔ほむ「……わかったわよ」





まどか「あ、シーツかえるね。汗たくさんかいたでしょ」

悪魔ほむ「はいはい」ゴロン

まどか「よいしょっと」

バサッ

まどか「予備のシーツってどこ?」

悪魔ほむ「むこうの部屋の棚」

まどか「はーい」

ガチャ



まどか『何段目ー?』

悪魔ほむ『えっと(何段目だったかしら……)』

悪魔ほむ『下から2段目?』

まどか『あれ……違うみたいだよ?』ガサゴソ

悪魔ほむ『じゃあその下の段?』

まどか『うーん……えぇ!?』

悪魔ほむ『どうしたの!?』

ドタドタ、ガチャ



まどか「引き出しに銃が入ってたんだけど……」



悪魔ほむ「あ……」

まどか「なんであんなところに銃がしまってあるの!?」



悪魔ほむ(そういえば改変後になぜか持ち越せたものの)

悪魔ほむ(モノがモノだけに処分もできずに、結局記念においていたんだったわ)

悪魔ほむ(すっかり忘れてた)

悪魔ほむ(……よく考えたらまどかに銃を見せるの自体、改変後では初めてね)

悪魔ほむ(どう言い訳したらいいのかしら……)



まどか「子どもの手の届くところに銃を保管したらだめだよ!!」

悪魔ほむ「ごめんなさい。認識が甘かったわ」

まどか「それと簡単な鍵ぐらいつけようよ。鍵付きの棚とかないの?」

悪魔ほむ「たしか机の一番上の引き出しは鍵付きだったわ」

まどか「じゃあ、今度からはそこに入れようね。わかった?」

悪魔ほむ「わかったわ」





悪魔ほむ「………………」

悪魔ほむ「え?」

悪魔ほむ「それだけ?」

まどか「うん」

悪魔ほむ「他に言いたいことないの?」

まどか「えっと、銃の整備とかはきちんとしようね?」

悪魔ほむ「違うわよ!!この状況に違和感を感じないの!?」

まどか「違和感?…………あっ!!」

悪魔ほむ(ようやく気づいたのね……)

まどか「ごめんね。予備のシーツを忘れてたよ」

悪魔ほむ「はい?」

まどか「探してくるね」

悪魔ほむ「か、感謝するわ……」

ガチャ




悪魔ほむ「どうして……ねぇ、どうしてよ……」

悪魔ほむ「なんで一般人も銃を持っていて当たり前みたいな雰囲気なの?」

悪魔ほむ「………………」

悪魔ほむ「決めたわ。元気になったらもう一度世界を改変する」

悪魔ほむ「今度はちゃんと銃刀法のある国から来たことに……」

悪魔ほむ「いいえ、逆にアメリカからすべての銃を消し去ってやるわ」




ガチャ

まどか「待たせちゃってごめんね。シーツ見つけたよ」

悪魔ほむ「どこにあったの?」

まどか「一番下の引き出し」

バフッ

まどか「はい、シーツ交換おわったよ」

悪魔ほむ「ありがとう」




―――夕方―――

悪魔ほむ「zzz」

まどか「また寝ちゃった」

まどか「もしかして話し疲れたのかな?」

まどか「ごめんね……騒がしくしちゃって……」ナデナデ

悪魔ほむ「まどかぁ………zzz」

まどか「ウェヒヒ///」ナデナデ

まどかみ「可愛いなあ。こっちが導かれそうだよ」



まどか「ティヒヒ……ん?」ピクッ

まどか「なんだったんだろう?いまの感覚」

まどか「なにかを思い出しかけたような」

まどか「うーん……」

まどか「ほむらちゃんの顔を見ていたら、何かを思い出しかけた……」


まどか「ほむらちゃんの顔を近くで見とけば、またなにか思い出すのかな?」

まどか「よいしょっと」グイッ

まどか「………………」ジーーー

悪魔ほむ「zzz」

まどか「………………」ジーーー

悪魔ほむ「zzz」


まどか「……思い出す気配が全然しない」

まどか「もっと近くで顔を見てみよう」グイ

まどか「………………」ジーーーーーー

悪魔ほむ「zzz」

まどか「………………」ジーーーーーー

悪魔ほむ「zzz……///」



悪魔ほむ(起きたらまどかの顔が5cmぐらい先にあったわ///)

悪魔ほむ(これどういう状況?)

まどか「あと少しでなにか思い出せそう……」

悪魔ほむ(まどかの息が///)

まどか「?」

まどか「ほむらちゃん大丈夫?息が荒いよ」

悪魔ほむ「だ、大丈夫よ」


ガチャ

さやか「まどかー、ほむらー、プリント届けに……」



まどか「あ、さやかちゃん」

悪魔ほむ「美樹さやか!!チャイムぐらい鳴らしなさい///」



ドサッ

さやか「」

さやか「邪魔して申し訳ございませんでした……」

ガチャ ギィーー、バタン

ウワーン!!ヨメガ ネトラレター!!

悪魔ほむ「逃げるように帰ることないでしょう……」

まどか「なんだか今日はみんな忙しそうだから、しかたないよ」

悪魔ほむ「宿題が多いのね。えぇ、きっとそうに違いないわ」





―――夜―――

まどか「夕飯どれにする?」ガサゴソ

悪魔ほむ「レトルトの白いお粥」

まどか「トッピングはどうする?冷蔵庫にもいろいろあったよ」

悪魔ほむ「なにがあるのかしら?」

まどか「チキンコンソメとバターとチーズと、あとそれから……」

悪魔ほむ「梅干で!!」

まどか「タンパク質が少なくないかな?ソーセージとかも……」

悪魔ほむ「じゃあ、鮭フレークも追加するわ!!」

まどか「はーい」






―――数分後―――

まどか「温めてきたよー」ホカホカ

悪魔ほむ「何度も悪いわね」

まどか「はい、あーんして」

悪魔ほむ「あの、さすがにもう自力で食べれるのだけど……」

まどか「あーーーーん♪」

悪魔ほむ「わかったわよ……」パクッ


まどか「どうかな?味薄くない?」

悪魔ほむ「大丈夫。ほんとに幸せ(主に胃腸が)」モグモグ

まどか「よかった」

悪魔ほむ「やっぱり和食って偉大だわ」モグモグ




まどか「これで最後の一口だよ」

悪魔ほむ「ん」

まどか「はい、おしまい」

悪魔ほむ「ごちそうさま」

まどか「お風呂はどうする?」

悪魔ほむ「念のため今日はやめとくわ。朝に拭いてもらったし」

まどか「うん、じゃあおやすみだね。私も隣の部屋のソファで寝とくから」

悪魔ほむ「布団ならもう一組タンスにあるわよ」

まどか「あ、そうなの」



悪魔ほむ「今日はいろいろとありがとう」

まどか「ウェヒヒ」

悪魔ほむ「まどかのためにも早く治すわ」

まどか「大丈夫だよ。明日には風邪も治って元気になってるよ」

悪魔ほむ「そうよね(正確には風邪でさえないんだけど)」

まどか「おやすみ」

悪魔ほむ「おやすみなさい」




悪魔ほむ「zzz」


まどか「zzz」



―――翌朝10時―――

ムクッ

悪魔ほむ「………………」

悪魔ほむ「もう昼前ね」

悪魔ほむ「まどかはまだいるのかしら……」

ガチャ



まどか「zzz……」



悪魔ほむ「ぐっすり寝てるわね」

悪魔ほむ「女神のような寝顔だわ」

まどか「zzz……!!」ピクッ

悪魔ほむ「え?」

ゴゴゴゴゴ




まど神「ティヒヒ……zzz」




悪魔ほむ「」

――――――


さやか「!」


――――――


なぎさ「!」



―――ほむらの家―――

悪魔ほむ「ええええええ!?」

まど神「zzz」

悪魔ほむ「なんてこと、神の力を取り戻してしまったわ……」

まど神「もう……導けない……zzz」


悪魔ほむ「いいえ、まだ間に合うはずだわ」

悪魔ほむ「もう一度、神になる前のまどかだけを引きはがせば……」

まど神「ZZZ」

悪魔ほむ「起こさないように近づいて……」


ガシッ


悪魔ほむ「ひっ!?」

まど神「ウェヒヒヒヒヒヒ!!」ギュー

まど神「久しぶり、ほむらちゃん!!」

悪魔ほむ「お、お、お久しぶりでございます!!」

まど神「とりあえず、お話しようか」

悪魔ほむ「あ、はい……」



悪魔ほむ(まどかを引きはがすのは油断している時しかできない)

悪魔ほむ(でも今のまどかからは油断のゆの字も感じられない……)


悪魔ほむ(………あれ?もしかして、詰んだのかしら?)

悪魔ほむ(いや、まどかのためにも諦めてはだめよ)

悪魔ほむ(まどかには悪いけど、どんな姑息な手を使ってでも油断させないと)



まど神「で?なんであんなことしたの?」

悪魔ほむ「えっと、その、人間として人生を送ってほしかったから」

まど神「うん」

悪魔ほむ「結界の中でも“そんな辛いこと耐えられるはずない”とか言ってたし」

まど神「うんうん」

悪魔ほむ「それにインキュベーターのこともあったから」

まど神「そうだね」

まど神「でも、いくらなんでも方法と規模がおかしいよね」

悪魔ほむ(人のこと言えるの!?)

まど神「そうそう、変身してみて」


悪魔ほむ「こう?」バサァアア


まど神「やっぱり服もおかしい。悪魔じゃなくて露出魔だよ」

悪魔ほむ(まどか、自分の胸元見なさい)

まど神「それに……」

悪魔ほむ(でもこの雰囲気なら……)



悪魔ほむ「鹿目まどか……」

まど神「ん?」

悪魔ほむ「いいえ、円環の理さま」

まど神「き、急にどうしたの?」

悪魔ほむ「この度は誠に申し訳ございませんでした」土下座

まど神「え、ちょ……」

悪魔ほむ(ふふふ、突然の本気謝罪で驚かせて油断を誘う作戦よ)

悪魔ほむ(卑怯って言われようが、これもまどかのため)

悪魔ほむ(むしろ悪魔なのだから卑怯で当然よ)

まど神「………………」

悪魔ほむ(驚きすぎて言葉も出ないようね)

悪魔ほむ(あとはまどかを引き剥がすだけ……)


ピピピ、パシャ


悪魔ほむ「」

まど神「ティヒヒ♪いい写真が撮れたよ♪」パシャパシャ

悪魔ほむ(本物の悪魔がいた……)


まど神「あ、そうそう」

悪魔ほむ「なにかしら?」

まど神「さっきからいろいろ企んでるようだけど、ぜんぶ筒抜けだよ」

悪魔ほむ(え?)

まど神「“え?”じゃないよ。神だから当然でしょ」

悪魔ほむ「………………」

悪魔ほむ「いやいや」

まど神「なに?」

悪魔ほむ「じゃあ、なんであの時まどかを奪いとれたの?!」

まど神「それはほむらちゃんのことを信頼していたからだよ」


悪魔ほむ「どういうこと?」

まど神「普段はともだちの頭の中を勝手に覗くなんて失礼なことはしないよ」

悪魔ほむ「………………」

まど神「だって、ほむらちゃんにあんな事されるなんて想像さえしてなかったからね」


悪魔ほむ「そう、じゃあ今の私は信頼できない存在なのね……」

まど神「ウェヒヒ、そうだね。でも愛情は別だよ」

悪魔ほむ「あら奇遇ね。わたしと同じ思いだわ」

まど神「ティヒヒヒ///」

悪魔ほむ「ふふふ///」



悪魔ほむ「でも、こうなったら油断させて引き剥がすってのは無理ね」

まど神「そうだよ」

悪魔ほむ「だったら……」

まど神「?」


悪魔ほむ「ちから尽くでもやってやるわ!!」バサァアア

まど神「ずいぶん乱暴な思考になったね。反抗期?」バサァァアアアア

悪魔ほむ「何度言わせるの?わたしは悪魔よ」ゴゴゴゴゴゴ

まど神「じゃあ、悪い子にはおしおきが必要だね」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ






―――さやかの家の前―――

ドンドン

なぎさ「さやか!!円環の理が力を取り戻……」

ガチャ

さやか「わかってる。こっちも全部思いだした」

なぎさ「よかったです」

さやか「とりあえず、まどかと合流しよう。どこにいるかわかる?」

なぎさ「えっと……あれ?」


なぎさ「まどかさん、悪魔さんと同じ屋根の下にいるんじゃ……」


さやか「あ……」

なぎさ「そういえば体調崩した悪魔さんの看病してたです」

さやか「そうだった……」



なぎさ「悪魔さんの家に行きます?」

さやか「まあ、行くしかないでしょ」

なぎさ「幸い、まだ2人が争ったりしてる雰囲気はないです」

さやか「神と悪魔がケンカしたらシャレにならないよ」

なぎさ「そうですね」




バサァァァァアアアアアア


ゴゴゴゴゴゴ……




さやか、なぎさ「」


なぎさ「前言撤回なのです……」

さやか「うん、ピンクと紫の膨大な魔力が渦巻いてるね」

なぎさ「世界のおわり?」

さやか「どうしよう?」

なぎさ「どうしようです」




フッ………



なぎさ「あれ?魔力が消えた?」

さやか「もしかして一瞬で決着ついた?」

なぎさ「そうかもしれないです」

さやか「……ほむらの家に行ってみよう」




―――ほむらの家の前―――

なぎさ「怖いぐらい静かですね……」

さやか「どうなってるのさ?」

なぎさ「中を見てみないとわからないです」

さやか「よし。じゃあ開けるよ!!」

ガチャ

―――ほむらの家の中―――




まど神「」チーン


悪魔ほむ「」チーン




さやか、なぎさ「…………え?」

さやか「まさか相討ち!?」

なぎさ「まどかさん!?まどかさん!!」ユサユサ



まど神「ゲホ……ゴホ……」



なぎさ「よかった。生きてるです」

さやか「どこをやられたの?!」

まど神「のどが……」

さやか(のど?傷一つ、ついていないんだけど……)

まど神「イガイガする」

さやか「」


さやか「……ちょっとおでこ触るよ」

まど神「ん」

さやか「熱っ!!何℃あるのよ!?」

まど神「たぶん39℃ぐらい」


さやか「……これは完全に風邪引いたね」

まど神「ごめん、ゴホン、油断した」



なぎさ「あの、さやか」

さやか「なによ?」

なぎさ「悪魔さんも生きていましたが」

悪魔ほむ「あだまいだい……」

なぎさ「こんな感じです」

さやか「こいつもか……」




まど神「ゴホン、ゴホン」

悪魔ほむ「まどかがグルグル回ってる……」


さやか「………………」

なぎさ「………………」

さやか「ねぇ」

なぎさ「なんですか?」

さやか「何も知らない状態で、こいつらが宇宙を創造したって言われたら信じる?」

なぎさ「信じません」




まど神「ゴホゴホ」



QB「やれやれ、神も病気になるんだね」

悪魔ほむ「インキュベーター……」

QB「予想外の出来事に驚いているようだね」

QB「“病み上がりの自分はともかく、なんでまどかまで熱を出しているの?”」

QB「“もとはといえばトカゲによる軽い食あたりだから、まどかにうつるはずないのに”」

QB「そう思ってるんだろう?」

悪魔ほむ「………………」


QB「簡単なことさ。食中毒で体が弱ってる間に風邪も併発していたんだよ」

悪魔ほむ「!」

QB「そうとも知らずに君はまどかの看病を受け入れた」

QB「そしてお互いマスクも着けず、丸1日イチャイチャと一緒に過ごした」

QB「うつらない方が不思議だよ」



悪魔ほむ「なんで教えてくれなかったの?」

悪魔ほむ「そうしたら2人とも倒れることなんて、なかったはずよ!!」

QB「それは聞かれなかったからね」

悪魔ほむ「…………っ!」




悪魔ほむ「なるほどね……」

悪魔ほむ「まず、まどかが力を取り戻す前にわたしの風邪を感染させる」

さやか「………………」

悪魔ほむ「そしてまどかが神の力を取り戻すとわたしと戦うことになるけど、」

悪魔ほむ「魔力の解放に病気の体が耐えれず、同時に2人が倒れる」

なぎさ「………………」

悪魔ほむ「あとはその隙に宇宙の支配権をにぎる……」

悪魔ほむ「インキュベーター、あなたたちの目的はそれね!!」

まど神「そんな……」






QB「…………はい?」

さやか(ですよねー)

なぎさ(キュゥべえかわいそう)

悪魔ほむ「とぼけても無駄よ!!」

QB「いやいや」

まど神「現にわたしもほむらちゃんもダウンしてるじゃない!!」

QB「きみたちが体調管理を怠ったのがすべての原因だよ」


悪魔ほむ「でも……」

さやか「あの、お二人さん」

まど神「ゲホン、なに?」

さやか「今回はキュゥべえのせいじゃないよ」

まど神「え?」

なぎさ「マスク着けずに看病ってなに考えてるんですか」

まど神「」

さやか「だいたいトカゲ食べたってなに?」

悪魔ほむ「」

悪魔ほむ「ほんとうにあなたたちの策略じゃないの?」

QB「そうだよ」

悪魔ほむ「わたしたちの体調管理の問題?」

QB「当たり前じゃないか」

悪魔ほむ「………………」



悪魔ほむ「それが本当だとしたら、私はなんて馬鹿な間違いを……」

さやか「馬鹿すぎるだろ」

まど神「大丈夫だよ、ほむらちゃん」

悪魔ほむ「まどか……」


まど神「ほむらちゃんは馬鹿じゃないよ」

悪魔ほむ「なんで……なんでそう言い切れるの?」

まど神「だって風邪引いてるじゃない。馬鹿は風邪引かないんだよ?」

悪魔ほむ「そうなの?よかったわ」

なぎさ「この人たちほんとに年上?」


まど神「ちなみにさやかちゃんは風邪引いたことないらしいよ」

悪魔ほむ「ああ、やっぱり」

さやか「おいこら」



さやか「しゃべってないで、病人は大人しく寝てなさい!!」


まど神「だって」

悪魔ほむ「じゃあ私たちは向こうで寝ときましょう」

まど神「そうだね、ゴホゲホッ」

悪魔ほむ「大丈夫?」

なぎさ(悪魔が堂々と神を気遣った……)

まど神「大丈夫、大丈夫」


悪魔ほむ「目を離した隙に宇宙改変とかされたら困るからまどかと同じ布団で寝るわ」

まど神「わたしを監視する気?」

悪魔ほむ「敵なのだから当たり前よ」

まど神「ティヒヒ、敵ならしかたないね。一緒に寝よっか」

ギィーー、バタン




さやか「………………」

なぎさ「………………」

QB「………………」

さやか「疲れたね……」

なぎさ「そうですね……」

QB「大変だね。ぼくには疲労という概念はないよ……」

さやか(こいつもめちゃくちゃ疲れてる)

なぎさ(新しい概念の誕生なのです)





さやか「ところであいつらの看病だれがする?」

なぎさ「え?わたしとさやかの2人じゃだめですか?」

さやか「それをしてしまうと見滝原の魔法少女が……」カキカキ



マミさん……戦闘可能

杏子……戦闘可能

まどか……風邪により戦闘不能

ほむら……風邪により戦闘不能

なぎさ……看病中につき戦闘不能

さやか……看病中につき戦闘不能



さやか「こうなってしまう」

なぎさ「あらら、まずいです」

さやか「マミさんも杏子も強いけど、いきなり人数が3分の1はきついよね」


さやか「あんた、隣町に魔法少女の知り合いとかいないの?」

なぎさ「もう全員導かれました」

さやか「……なんかごめん」




さやか「じゃあ、どうしよう?」

なぎさ「そういえば、昨日ほむらさんの知り合いに会いました」

さやか「あいつ私たち以外に知り合いいたんだ。どんな人?」

なぎさ「ほむらさんのこと尊敬してる女子力高そうな人でした」

さやか「その人に2人の看病を手伝ってもらうように頼む?」

なぎさ「それしかないと思うです」

さやか「連絡先聞いてこよう」

ガチャ




―――ほむらの寝室―――

まど神「んー///」チュー

悪魔ほむ「ん、ん///」チュー



なぎさ、さやか「」

さやか「あんたらなにやってるの?!」

悪魔ほむ「ぷは……まどかの喉の保湿よ」

さやか「は?」

まど神「おかげでイガイガましになったよ」

なぎさ「」

悪魔ほむ「早く元気になってもらわないと敵として戦えないわ」



さやか「……こいつら一回病院で検査受けたほうがいいと思う」

なぎさ「脳ですか?精神科ですか?」

さやか「両方」

まどか「ほむらちゃんには叛逆傾向が見られるね」 CHUCCHU CHUCCHU CHUCCHU
ほむら「まどかには円環傾向が見られるわ」 CHUCCHU CHUCCHU CHUCCHU

こうですか?わかりません

>>199
QB「エネルギー量が多すぎて宇宙がパンクした件」

悪魔ほむ「で?なんの用?」

さやか「あんたとまどかがダウンしたせいで人手が不足しそうなのよ」

なぎさ「看病と魔獣退治は両立できないです」


悪魔ほむ「そういえばあなたたちは魔獣退治しないと浄化できないのね」

さやか「そうだよ。気まぐれで魔獣退治してるあんたとは違うのよ」

悪魔ほむ「失礼ね。自分の家とまどかの家の周辺はちゃんと退治してるわよ」

まど神「ああ、だから玄関先に浄化用のキューブが置かれていたんだ」

悪魔ほむ「そうよ」

QB「ついでに言うとキューブを拾い集めるのは僕が手伝ったよ」

まど神「そうなんだ。てっきり、ごん狐の仕業だと思ってたよ」

さやか(ごんぎつねって……)

なぎさ(はなしが進まないです……)




なぎさ「話を戻すと人手が足りないから助っ人がほしいのです」

さやか「買い物とか看病なら、わたしたち魔法少女じゃなくてもできるし」


なぎさ(はじめは心配したけど、チューしたあたりから面倒になってきましたです)

さやか(正直このバカップルと同じ空間いるくらいなら魔獣退治したい)

>>201
QB「いい事思いついた、お前俺の背中の穴に愛情エネルギー注いでみろよ」
からの
QB「ああ、愛情エネルギーで宇宙がパンパンだ」
ってことか



悪魔ほむ「人手ねぇ……」

まど神「キュゥべえは?」

QB「さすがにこの体型で買い物とか力仕事は無理だ」

まど神「そっか」

悪魔ほむ「ほんと役立たずね」


まど神「ほむらちゃんの使い魔は?見た目ほぼ人間でしょ?」

悪魔ほむ「あの子たちドイツ語しか話せないから買い物とか無理よ」

まど神「じゃあ逆に使い魔に魔獣退治させたら?」

悪魔ほむ「あ、それいいわね」

まど神「そうすればさやかちゃんたちも看病に専念できるよ」

悪魔ほむ「これで人手不足も解決ね」



さやか(あれ?)

なぎさ(この流れって……)

さやか(結局わたしたちがこのバカップルの世話する流れ?)

なぎさ、さやか(………………)



まど神「ということで看病お願いね」

なぎさ「はいです……」

悪魔ほむ「よろしくね。カバン持ちさん」

さやか「おい」




さやか「さっきから聞いてればなんなの?!馬鹿にしてるの?!」

悪魔ほむ「実際ほんと馬鹿よ。あなた」

さやか「こいつ……!!」



まど神「さやかちゃん、落ち着いて。喧嘩はいけないよ」

悪魔ほむ「病人がいるのになに考えてるの?」

QB「八つ当たりされるのは最終的に僕なんだから喧嘩とかやめてよ」


さやか「でもこいつが……」


まど神「大体ほむらちゃんと喧嘩していいのは、この宇宙で私だけだよ!!」

悪魔ほむ「身の程を知りなさい」ファサー

QB「どうしても喧嘩するつもりなら、遮断フィールドに君を封印するよ」

まど神「そうだよ!!さやかちゃんなんかに、ほむらちゃんは指一本触れさせないよ!!」

悪魔ほむ「そもそもあなたは私に抗えるの?」

さやか「」




なぎさ(さやか、とうとう悪魔と神と宇宙人の同盟を敵に回したです)

>>207
というか昨今の韓国に近いかも。
中国米国豪州が味方と思って日本に喧嘩売ったら、全部敵についたでござる的意味で。

>>209
ひでえ、さやかちゃんなにも悪い事してないだろ。馬鹿にされて反発しただけじゃねえか(涙)
南チョンは自業自得だけどな、そもそも国外でいろいろやらかしてる下地があってああなったわけだし




さやか「もういいよ……」

さやか「2人とも風邪こじらせて死ねばいいんだよ!!」

さやか「じゃあね!!」

ガチャ、バタン



QB「全く、きみたち人間は真実をいうといつも同じ反応をする」

なぎさ「あの、追った方がいいですか?」

悪魔ほむ「その必要はないわ」

QB「そうだね」

なぎさ「でも看病要員が足りなくなるです」

悪魔ほむ「大丈夫よ。わたしの風邪はとっくに完治してるわ」


なぎさ「…………え?」

悪魔ほむ「キ、じゃなかった。まどかの喉を保湿した時に私の頭痛もなぜか消し飛んだわ」

なぎさ「」

まど神「ウェヒヒ///」

なぎさ「なんで治ったこと黙っていたんですか?まさか……」

悪魔ほむ「美樹さやかを困らせるためよ」

なぎさ「やっぱりです」

悪魔ほむ「だいたい本当に病気で看病する人もいないなら普通に病院へ行くわよ」

なぎさ「そうですか……そうですよね……」

悪魔ほむ「悪魔だって保険証ぐらい持ってるわよ」


まど神「わたし保険証持ってきてたっけ?」ゴソゴソ

悪魔ほむ「安心しなさい。あなたは私が看病してあげるわ」

まど神「ウェヒヒ、ありがとう」

悪魔ほむ「さぁ、なんでも言って?」

まど神「なら一緒にお風呂に入ろう」

悪魔ほむ「わかったわ。いま沸かしてくるわ」

まど神「いや、せっかくだし銭湯に行こうよ」

悪魔ほむ「温泉療法?いいわね」


まど神(………………)

まど神(ほんとのことを言うと、私もさっきのキスで風邪は完治してるんだよ……)

まど神(でもほむらちゃんを油断させるために黙っておこうっと)ガチャ




バタン

なぎさ「銭湯へ逝ってしまったです……悪魔が円環の理に導かれて……」

なぎさ「………………」

なぎさ「もうあの2人は放っておいてもいいですよね」

なぎさ「それより円環の理がどうなってるのか気になります」

なぎさ「まどかが神に戻ったいまならテレパシーぐらいならできるはず」


なぎさ『だれか聞こえますかー?』テレパシー





~~~円環の世界~~~

なぎさ『だれか聞こえますかー?』

エリー「えぇ!?シャルロッテ!?」

パトリ「無事だったんだ」

なぎさ『よかった。連絡繋がったです』

ゲルト「まどかさんとさやかはどうなったの?!」

ギーゼラ「あの黒髪の娘何者なの?!」

なぎさ『こっちの世界の説明をするので、落ち着いて聞いてほしいのです』




―――世界について説明―――

なぎさ『ということです』

ロベルタ「」ポカーン

イザベル「え?なにそれ?世界が書き換えられたってこと?」

なぎさ『はい』

ワル夜「笑えない……」


ゲルト「結局まどかさんはいまなにやってるの?」

パトリ「もしかして戦闘中?」

なぎさ『悪魔さんと一緒にお風呂に行ってます』

ギーゼラ「は?」

なぎさ『戦闘中じゃなくて銭湯中です♪』

ギーゼラ「あ゛!?」

なぎさ『冗談言ってすみません!!』



なぎさ『でも……』

ロベルタ「でも?」

なぎさ『悪魔さんとまどかさんが一緒に銭湯に行ったのは事実です』

ギーゼラ「」

エリー「……日本語でおk?」




―――ほむらとまどかの関係について説明―――


なぎさ『ということです……』

エルザ「神と悪魔が相思相愛?」

イザベル「どうしたらいいのよ、この状況」

なぎさ『現状どうすることもできません』

ロベルタ「だよね」

なぎさ『それにあの2人、お互い以外は視界に入ってないです』

ワル夜「あはは……」

なぎさ『その証拠になぎさは悪魔さんの家に置いてかれて、留守番してるです』

ワル夜「」




なぎさ『ところでそっちの状況は?』

パトリ「一応導けてはいるんだけど、円環の理の魂が抜けてるっていうか……」

なぎさ『機械みたいになったってこと?』

パトリ「そうそれ!」

イザベル「おかげでクレームが殺到よ」

ワル夜「“白いドレス着た誘導スタッフが無表情で怖すぎる”とか」

なぎさ『ホラーです』

ロベルタ「“慈愛のじの字もない導きだった”とか」

なぎさ『でしょうね』

エリー「“チーズは?”ってクレームもあった」

なぎさ「……それ平行世界の私です」

エリー「そうなんだ。あとで回収しておいて」

ギーゼラ「とまぁ、最初はこんな感じだった」

なぎさ『だった?』


パトリ「いまはみんなでサポートしてるおかげで普通に導けてるよ」

なぎさ『あら?』

イザベル「だからまどかさんがいなくてもそこまで困ってないよ」

ゲルト「ゆっくりして来るように伝えておいて」


ゲルト(というか帰ってこないで)

ギーゼラ(神と悪魔がバカップル化とか……)

エリー(リア充爆発しろ)


なぎさ『……わかったです』

「記憶を奪わない」「70年から80年を目処に(人として死にそうな時に)円環に戻る」「この二つを認めることを条件に叛逆を認め、しばらくまどかは人として生きる」って
実際にお互いが納得するための基準になりそうな気がする

特にこの世界線では円環スタッフの精神衛生上「まどかに70年から80年の休暇」ってありがたいだろうな
さやかとなぎさ以外にとっては


もうだめだこの女神と悪魔ww

>>234
いったいいつまで「まだ大丈夫」だと思っていた?






―――銭湯の前―――

まど神「こんな近くにお風呂屋さんあったんだ」

悪魔ほむ「わたしも最近知ったわ」

まど神「ところでここまで来るのに、すごいジロジロ見られなかった?」

悪魔ほむ「たしかに道行く人の視線が集まってたわね」

まど神「なんでだろう?」


悪魔ほむ(まどかが胸元全開の服を着てるせいだと思うけど……)

悪魔ほむ(本人は気づいていないみたいだから今は黙っておいて、)

悪魔ほむ(あとでやんわり注意してましょう。)


まど神(“本当はほむらちゃんが露出魔みたいな恰好だからだよ”)

まど神(……なんて本当のこと言ったらほむらちゃん泣き出しそうだね)

まど神(あとで適当に理由作って、さりげなく着替えさせれば……)

まど神(!!)

まど神(そうだ!!私の服とほむらちゃんの服を交換すればいいんだよ!!)

まど神(そうすれば、わたしの服がほむらちゃんに密着……)

悪魔ほむ「顔が赤いわよ。どうしたの?」

まど神(ほむらちゃんの服もわたしの身体に密着///)

悪魔ほむ「まどか?」

まど神「ティヒヒ、ウェヒヒヒヒヒ!!」

悪魔ほむ「!?」

まど神「あ…………(声に出てた……)」


悪魔ほむ「大丈夫?」

まど神「うん、むしろ元気になったよ」

悪魔ほむ「?」

まど神「それより早く入ろう」

悪魔ほむ「えぇ」



ガラガラ

まど神「わぁ、木の鍵がついた靴箱だ。実物初めて見た」

悪魔ほむ「私もだわ」

まど神「まだ残っていたんだね」



まど神「あれ?」グイグイ

悪魔ほむ「どうしたの?」

まど神「靴が靴箱に入らない」

悪魔ほむ「え?」

まど神「なんか靴のくるぶしについてる羽みたいなのが引っかかるみたい」

悪魔ほむ「あとでフロントに預けたら?」


まど神「すみませーん」

番台「い、いらっしゃい(コスプレ姿で銭湯って……)」

悪魔ほむ「中学生2人で」

番台「900円です」

悪魔ほむ「はい、1400円」

番台「……お釣りの500円です」


まど神「あとこの靴、むこうの靴箱に入らなかったから預かってくれませんか?」

番台「はぁ(靴からも羽生えてる……)」

―――浴場―――

まど神「よかった。他にお客さんいないよ」

悪魔ほむ「さすがに昼から銭湯に来る物好きはいないわよ」

まど神「なら何しても大丈夫だね///」

悪魔ほむ「……自分勝手にルールを破るのはだめだと思う」

まど神「はい……」

悪魔ほむ「公共の場所なんだから、キスとかで我慢しなさい」

チュ

まど神「ん///ひゃい」




まど神「ねぇ、ほむらちゃん」ワシャワシャ

悪魔ほむ「ん?」ワシャワシャ

まど神「ひとつ頼みごとしていい?」

悪魔ほむ「なにかしら?」

まど神「髪洗うの手伝ってほしいんだけど……」ファサーーーーーー

悪魔ほむ「」


悪魔ほむ「……そういえばあなたの髪って何メートルあるの?」

まど神「測ったことないけど、5mぐらいかな?」

悪魔ほむ「普段どうやって洗ってるのよ……」ワシャワシャ

まど神「むこうだとカバン持ちさんたち数人がかりに洗ってもらってる」ワシャワシャ

悪魔ほむ「そう。なら!!」

パン



なぎさ「痛っ!!」ドテン

さやか「ここどこよ?」



悪魔ほむ「あら?手を叩いたら、ちょうどいいところにカバン持ちさんが現れたわね」

まど神「ほんとだ」

さやか、なぎさ(また、この2人の仕業か!!)


まど神「なぎさちゃん、さやかちゃん、仕事だよ」

さやか(えぇー)

まど神「髪洗うの手伝って」

さやか(しかも重労働で有名なまどかの洗髪だと……)

なぎさ(もうストライキしていいですか?)

まど神「よろしくね。あと円環の理は公務員扱いだからストライキ権はないよ」

なぎさ「」




まど神「それにしてもほむらちゃん」ワシャワシャ

まど神「手を叩いたら人物を呼び出せるその魔法すごく便利そうだね」

悪魔ほむ「これ本来は使い魔とかにしか使えないんだけど……」ワシャワシャ

まど神「あれ?じゃあどうして?」

悪魔ほむ「あの2人があなたの使い魔みたいな存在だからじゃない?」

まど神「なるほどね」



さやか「私さ、杏子と相談事してる最中にここへ飛ばされたんだけど……」ワシャワシャ

なぎさ「杏子さんびっくりしてるでしょうね」ワシャワシャ

さやか「あんたは?」

なぎさ「わたしは悪魔さんの家で留守番していただけだったので」

さやか「あんたまだあの家にいたんだ」

なぎさ「というより置いていかれました」

さやか「………………」

なぎさ「………………」

さやか、なぎさ「はぁ……」

―――十数分後―――

ザバァーーーーー

まど神「ふぅ、さっぱりした」

悪魔ほむ「おわったわね」

まど神「2人ともお疲れ様。どうする?一緒にお風呂入る?」

さやか「わたし帰りたーい」

なぎさ「帰りたいでーす」

悪魔ほむ「そう。おつかれ」

パン



―――さやかの家―――

さやか「………………」ボタボタ

杏子「えっと、その、おかえり……」

さやか「ただいま」ボタボタ

杏子(突然さやかが消えたと思ったら、ずぶ濡れで帰ってきたんだが、)

杏子(どういうことだ?おい)

―――ほむらの家―――

なぎさ「ただいまですぅ」

QB「やぁ、疲労困憊だね」

なぎさ「インキュベーター」

QB「なんだい?」

なぎさ「あの2人をチーズにできないですか?」

QB「……支配したいということかい?」

なぎさ「そうです」


QB「観測できれば、干渉できる。干渉できれば、制御できる……」

なぎさ「だったら……」

QB「でもね、あの2人は観測したくもないのに、見せつけてくる」

QB「干渉したくても干渉できない、あらゆる意味で」

QB「ましてや制御なんてもってのほか。予測さえ困難なのに」

QB「そういう存在なんだよ」

なぎさ「」


なぎさ「わたしが馬鹿でした。いまのは忘れてください」

QB「賢明だね。一緒に諦めよう」




―――銭湯―――

チャポン

まど神「ふぅ///」

悪魔ほむ「待ってまどか」

まど神「え?」

悪魔ほむ「注意書きに“湯船に髪の毛を浸けないでください”って書いてあるけど……」

まど神「書いてあるね」

悪魔ほむ「翼って湯船に浸けていいのかしら?」

まど神「……どうだろ?」


悪魔ほむ「羽とか浮いてたら次の人いやだろうし、浸けないほうがいいかしら」

まど神「でも翼と髪を浸けずに入浴ってできるの?姿勢的に」

悪魔ほむ「えっと、四つん這い?」

まど神「こう?」

悪魔ほむ「そうそう」

まど神「たしかに顔と翼は水面から出るね」

悪魔ほむ「この姿勢で入浴しましょ」




―――数分後―――

まど神「………………」

悪魔ほむ「………………」

まど神「ほむらちゃん、お風呂入ってるのになんだか疲れてきたんだけど」

悪魔ほむ「奇遇ね。私もよ」

まど神「なんでだろう?」

悪魔ほむ「きっと、この無理な姿勢のせいよ」

まど神「やっぱり」


まど神「いままで翼生えた人たちってどんな姿勢で銭湯に入っていたんだろ?」

悪魔ほむ「翼の生えた知り合いがあなたしかいないからわからないわ」

まど神「わたしも魔女ぐらいしか知らない」

悪魔ほむ「困ったわね」

まど神「うーん」


まど神「そうだ」

悪魔ほむ「なにか思いついたの?」

まど神「縁の方でうつ伏せになって顔だけ出せば楽じゃない?」

悪魔ほむ「やってみましょう」


まど神「あ、この姿勢かなり楽だよ」

悪魔ほむ「やっとゆっくりできるわね」



まど神「ほむらちゃん」

悪魔ほむ「どうしたの?」

まど神「悪魔って楽しい?」

悪魔ほむ「唐突ね」

まど神「いいから。どうなの?」

悪魔ほむ「基本やりたい放題できて楽しいわよ」

まど神「そう……」


悪魔ほむ「まどかこそ神になってどうなの?」

まど神「少し辛いこともあるけど」

悪魔ほむ「………………」

まど神「いろんな人に会えるから結構楽しいよ」

悪魔ほむ「ふーん……」

まど神「なぜかみんな文句も言わずに手伝ってくれるし」

悪魔ほむ(それ、たぶん怖くて言えないだけよ……)




ザバァーーーー

まど神「先にあがるね」

悪魔ほむ「じゃあ、私も……」

まど神「いや、ほむらちゃんはゆっくりしてていいよ」

悪魔ほむ「?わかったわ」



―――脱衣所―――

まど神「ウェヒヒ♪」

まど神「いまわたしは脱衣所にいて、ほむらちゃんは浴場にいる」

まど神「そしてほむらちゃんの服は脱衣所にある」

まど神「要するにほむらちゃんの悪魔服が着れる状況!!」

まど神「ティヒヒ、完璧だね」

まど神「全宇宙の未来と過去の知識を総動員した甲斐があったよ」

まど神「ティヒヒヒヒヒヒヒ!!!」



―――浴場―――

ウェヒヒ…………ティヒヒヒヒ!!!

悪魔ほむ「……さっきから笑い声が聞こえるけど、なにがおきてるのかしら?」

―――脱衣所―――

まど神「ほむらちゃんのロッカーは……これだね」

ガシャン

まど神「あ……」

まど神「鍵の存在を忘れてたよ……」

まど神「どうしよう?」


まど神「焦っちゃだめ、焦っちゃだめ」

まど神「こういうときは難しく考えない方がいい案が思いつくはず」

まど神「うーん…………」

まど神「………………」

まど神「!」

まど神「なんでこんな簡単な方法を思いつかなかったんだろ?」

まど神「そうだよ……」


シュィィィイイイイイィィイイイイインン


まど神「鍵の部分に矢を撃ちこんじゃえばいいんだよ!!」ギリリリリ……

まど神「シューティングスター!!!!」

バシュン


ドゴォォォオオオオオオオオンン




パカッ

まど神「ウェヒヒ♪開錠だよ」

まど神「ほむらちゃんの服も無事だね」ガサゴソ

まど神「あとは魔法でロッカーを修復して、服を着てそとに出るだけ」

まど神「ティヒヒ///」

―――浴場―――

ドゴォォオオオオオン

悪魔ほむ「」

悪魔ほむ「なにやってるのよ、あの娘」

悪魔ほむ「ゴキブリでも見つけて攻撃したのかしら……」



―――脱衣所―――

まど神「うん、どこから見ても露出魔だね」

まど神「やっぱりほむらちゃんにはこんな服まだ早いよ」

まど神「かわりに私が着てあげるよ」



まど神「そうだ。せっかく悪魔コスチューム着てるんだし、悪魔になりきろう」

まど神「瞳を金色から攻撃的な赤色に……」

まど神「いや、杏子ちゃんとかぶっちゃう」

まど神「うーん、赤に近い色……赤紫は……ほむらちゃんか」

まど神「もうピンクでいいや」


まど神「笑い方も悪魔っぽく変えよう」

まど神「悪魔ってなんだかイヒヒヒとかウヒヒって笑ってるイメージだよね」

まど神「イッヒヒヒッヒ!!ウッヒヒーヒヒ!!イヒ、ゲホゴホ」

まど神「………………」

まど神「言いずらいね」

まど神「ちょっと変えてみよう」

まど神「キヒヒ?ウヒヒ?ティヒヒ?ウェヒヒ?……ティヒヒ、ウェヒヒ!!」

まど神「よし!!これからはティヒヒとウェヒヒでいこう」


まど神「イメチェンついでに髪も魔法で短くしようっと」シュルル

まど神「長さは肩甲骨あたりでいいよね?」

まど神「向こうならともかく、」

まど神「こっちの世界で髪を洗うたびにだれかを呼ぶのさすがに面倒だよ」

まど神「そもそもお手伝いさんが2人しかいないし」



まど神「………………」ジーー

まど神「この姿で笑いながらドSっぽい言動すれば、どう見ても悪魔だね」

まどか「ティヒヒ、ジョブチェンジ完了だよ」



―――しばらくして―――

悪魔ほむ「いいお湯だったわ」フキフキ

悪魔ほむ「まどかが待ってるから早く着替えないと」

パカッ

悪魔ほむ「」

バタン


悪魔ほむ「……白い服が見えたわ」

悪魔ほむ「わたしの服に白い部分はないはず」

悪魔ほむ「なら、これは幻覚よ」

悪魔ほむ「きっと知らない間にのぼせたのよ」

悪魔ほむ「えぇ、そうよ。そうに決まってる」



パカッ

悪魔ほむ「」

ガサゴソ

悪魔ほむ「………………」

悪魔ほむ「幻覚じゃなかったみたいね……」

悪魔ほむ「しかたないわ。これを着ましょう」

悪魔ほむ「大丈夫。まどかのためならどんな姿になっても平気だわ……」

―――休憩所―――

ほむら「おまたせ」

まどか「遅かったね、女神さん」

ほむら「だれかさんに服を盗まれて困っていたからよ」

まどか「女神の服を盗むなんて悪魔だね」

ほむら「………………」


まどか「で、どう?わたし悪魔に見える?」

ほむら「本物の悪魔にしか見えないわ」

まどか「ティヒヒ、よかった。悪魔に見えるように大分イメチェンしたんだから」

ほむら「どこが?!」

まどか「瞳の色と笑い方、言動、それから……」

ほむら(それ全部もとから変わってないわよ……)




ほむら「そもそも何のつもりなの?これ……」

まどか「えぇー、特に深い意味はないよ。政権交代ごっこ?」

ほむら「」

まどか「気分転換にいいかなって」


まどか「そーゆーわけだから女神役よろしく」

ほむら「え、なに?もしかして私が円環の理をしないといけないの?!」

まどか「やらなくてもいいけど、おもしろいから一回やってみたら?」

ほむら「………………」


ほむら「一回だけなら……」

まどか「ティヒヒ」

ほむら「悪魔さんも手伝ってくれる?」

まどか「もちろん」

ほむら「じゃあ行きましょう。円環の理に」

まどか「うん」




―――ほむらの家―――

なぎさ「あの2人遅いですね」

なぎさ「なぎさはいつまでお留守番しといたらいいのですか?」

QB「おそらくあの2人は僕たちの存在を忘れてるから帰宅時間は予測不能だ」

なぎさ「寄り道とかしてないといいですけど……」

QB「多分してるよ」

~~~円環の世界の入り口~~~

ほむら「大きな扉……」

まどか「この先が円環の理の世界だよ」


ほむら「……開かないんだけど」ガチャガチャ

『指紋認証します。読み取り機に指を押し当ててください』

まどか「あれ、おかしいな?こんなの付けてなかったのに」

ほむら「え?(自分の家でしょう……)」


まどか「指をつければいいんだよね?」スッ

『登録された指紋ではありませんので、解除できません』

まどか「あれぇ?」

ほむら「どういうこと」

まどか「よこにインターホンあるから聞いてみよう」


ピンポーン


ロベルタ『はーい?どちらさま?』

ほむら「女神です!!」

まどか「悪魔です!!」

ブツッ、ツーーツーー……



まどか「……切ることないでしょ」

ほむら「門前払い?」

まどか「2人とも世界の主なのに」

ほむら「でもさすがに紹介がアバウトすぎたかしら?」

まどか「もう一回押そう」


ピンポーン


エルザ『はい、なんですか?!』

まどか「円環の理から悪魔にジョブチェンジしたまどかです」

ほむら「政権交代で悪魔から女神になったほむらです」

エルザ『はぁ……』

まどか「とりあえず入れて」

エルザ『うち宗教の勧誘とかお断りなんで』

ブツッ

ほむら「……これもしかして拒否されてる?」

まどか「そうみたい」

ほむら「なんでかしら?」

まどか「さぁ……」


ほむら「……今度は私が指紋認証してみるわ」

まどか「ほむらちゃんここ来るの初めてでしょ」

ほむら「大丈夫よ。秘策があるの」

まどか「秘策?」

ほむら「えぇ」



―――扉の向こう側―――

エルザ「こんど鳴ったらあんたが出なさいよ」

エリー「いやだ」

ロベルタ「どうにか諦めさせて、むこうの世界に戻ってもらわないと」


ワル夜「そのために指紋認証の鍵をAmazo○で買ったんだから」

ギーゼラ「やっぱりテクノロジーって便利だわ」

イザベル「わたしの生きてた頃はこんなのなかったわ」

ゲルト「科学万歳だね」

パトリ「魔法使えよ」


ミシミシ……

ゲルト「ん?」


バキボキ

イザベル「なによ、この音?!」


グシャ!!パラパラ……


ギィーーーー

ほむら「お邪魔しまーす」

まどか「ただいま」

一同(おわった……)



ギーセラ「あの、鍵はどうやって……」

ほむら「指示どおりに指を押し当てたら少し力を入れ過ぎたみたいで壊れたわ」

まどか「ごめんね。粉々になっちゃった」

ワル夜(説明書に鋼鉄製って書かれてたような気がするんだけど……)

まどか「それより……」

ギーゼラ「それより?」

まどか「なんで私のいない間に無断で鍵なんて付けたのかなぁ?」ニコ

ワル夜「え、その……」

まどか「説明してくれるよね?もちろん別室で一人ずつだよ」ニコニコ

一同「………………」




―――数十分後―――

ウェヒヒ♪   ギャーー!!

エルザ「…………っ!!」

ロベルタ「ひ…………」ブルブル



ほむら「……いつになったら事情聴取が終わるのかしら?」

エリー「多分まだかかる」

ほむら「そういえばあなただけ事情聴取がやたら早く終わったわね」

エリー「わたし悪事は働かないし、関わらない」

ほむら「あら、いい娘なのね」

エリー「普通の仕事もあまり働かない、働きたくない……」

ほむら「おい」




ガチャ

まどか「次の人どうぞー」

エルザ「い、いや……」

まどか「話を聞くだけなので、ご協力お願いしまーす」

エルザ「嘘よ」

まどか「わたしは嘘つかないよ?」

エルザ「でも……」

まどか「なぁに?」

エルザ「その部屋に呼んだきり帰って来てない娘が何人かいるような……」

まどか「………………」


まどか「ウェヒヒ、次の方どうぞー」グイグイ

エルザ「いやぁぁぁあああああ!!」ズルズル

バタン


ロベルタ「あぁ、次わたしの番だ……」

―――しばらくして―――

まどか「終わったよ。ほむらちゃん」

ほむら「長かったわね」

まどか「ごめんごめん」


まどか「遅くなったけど、ここのスタッフを紹介するね」

ゲルト「ゲルトルートよ」

エリー「わたしエリー……」

パトリ「パトリシアです」

まどか「以上だよ」


ほむら「……気のせいかしら?人数が減ったような」

まどか「他の娘はなんかどっかへ逝っちゃったみたい」

ゲルト「グス……みんな……」

ほむら(逝ってしまったのね)

まどか「でもそのうち“いい娘”になって帰ってくるよ!!」

ほむら「あ、うん……」




まどか「紹介も済んだことだし、仕事に取り掛かろっか」

ほむら「具体的になにするの?」

まどか「早めに現地へ行って待機して、濁りきる直前で導くだけ」

パトリ「今回は大阪の魔法少女です」

ほむら「わたし大阪に行くの初めてなんだけど……」


エリー「わたしたちは何回も行って慣れてるから大丈夫」

ほむら「そうなの?」

まどか「ばっちり観光案内してあげる」

ほむら「よかったわ」

ほむら(……って観光案内?!)

ほむら(聞き間違いよね……)


ゲルト「じゃあ私は留守番しときます」

まどか「うん、お願い」

エリー「鍵なしだから気をつけてね」

ほむら「行ってくるわ」





―――大阪―――

まどか「というわけでやって来ました、大阪」

ほむら「やっぱり人多いわね」


エリー「ここの地図です」

まどか「いつもありがとう」

ほむら「ねぇ、地図に印がたくさんついてるけど、なにこれ?」

まどか「お店だよ」

ほむら「はい?」


まどか「このお店は大阪なのに天むすがすごく美味しいの」

ほむら「へぇ……」

パトリ「この店はお好み焼きが最高だよ」

エリー「ただし、モダン焼きは地雷」

ほむら「気をつけるわ……」

まどか「ちなみに赤い印は全部タコ焼き屋さんだから」

ほむら「はぁ……」

ほむら「………………」

ほむら「ねぇ、あなたたち」

まどか「どうかしたのほむらちゃん?」

ほむら「ここになにしにきたの?」

まどか「絶望に染まりかけた魔法少女を救済して導くため」


ほむら「で?今からどこに行くの?」

パトリ「とりあえずたこ焼き屋か、お好み焼き屋かな?」

エリー「焼きそば屋という選択肢も……」

ほむら「……もう一回聞くわ。なにしに来たの?」

まどか「魔法少女を導くためー」

ほむら「絶対“ついでに”でしょ?!」



ほむら「そもそもお店回ってる暇なんて……」

エリー「あと8時間ある」

ほむら「え?」

パトリ「ソウルジェムが濁りきる予定時刻まであと8時間あります」

まどか「というか満腹になるまでお店回るために早めに来たんだよ?」

ほむら「」


ほむら「もういいわ……」

まどか「?」

ほむら「わたしも大阪観光を楽しむわ」

まどか「ティヒヒ、ならさっそくこのたこ焼き屋さんに行こう」



店主「おやおや、誰かと思えばまどかちゃんたちか」

まどか「お久しぶりです」

店主「なんだか雰囲気かわったね」

まどか「いまは神じゃなくて悪魔だから」

店主「転職かい?大変だね」

まどか「うん、今はこの娘とお仕事を交換してるの」

ほむら(もう私はこの状況にツッコミを入れたりしない)

ほむら「新しい神のほむらよ」ファサー

店主「若いのにえらいねぇ」


店主「そうそう最近ダシ入りたこ焼きとチーズ入りたこ焼きも始めたよ」

ほむら「おいしそうね……って難しい顔してどうしたの?」

まどか「“チーズ”ってフレーズで何か思い出しかけた……」

パトリ「チーズといえば10割がたシャルロッテよ?」

まどか「うーん、シャルロッテ……なぎさ……」

まどか「…………………」

まどか「!」

―――ほむらの家―――

なぎさ「マジョマンコカマンベール!!」ブンブン

QB「イライラしてるからってラッパを振り回さないで!!危ないよ!!」

なぎさ「パルメジャーノ・レッジャーノ!!」グォン

QB「」グチャ




―――戻って大阪―――

まどか「なぎさちゃん置いて来ちゃったね……」

ほむら「…………忘れてたわ」

まどか「とりあえずチーズたこ焼き送ってあげよう」

ほむら「そうね」


まどか「出汁入り8個とチーズ入り16個で」

店主「はーい」

パトリ「あ、4つはタコ抜きで」

店主「わかってるって」

ほむら「タコ嫌いなの?」

パトリ「足の多い生き物はどうも気持ち悪くて……」

エリー「自己紹介乙」





店主「はいお待たせ。中が熱いから気をつけてね」ホカホカ

まどか「えっと、先にチーズ入り8個をほむらちゃんの家に転送してっと」パッ


まどか「じゃあ食べようか」

一同「いただきまーす」


ほむら「やっぱり本場はレベルが違うわね」ハフハフ

まどか「中が熱いから、あーんってできないのが唯一残念だけど」ハフハフ

パトリ「やっぱりたこ無したこ焼きは最高だわ」ハフハフ

エリー「焼き?」ハフハフ




―――ほむらの家―――

なぎさ「マスカルポーネ!!」ブォン

どさっ

なぎさ「ん?なにか送られてきましたです」

なぎさ「なんだろう?」ガサガサ

メモ『チーズ入りたこ焼きの差し入れだよ。あと8時間ぐらいお留守番お願い』


なぎさ「………………」パク

なぎさ「まどかとほむらはやっぱり神様です!!」トロー

なぎさ「わたしはほむまど派です!!」ハフハフ

―――戻って大阪―――

エリー「最後のもらうよ」パク

ほむら「あら?」

パトリ「あっと言う間になくなっちゃった」

ほむら「おかわりしようかしら……」

まどか「まだ1軒目だからやめておいた方がいいよ」

ほむら「それもそうね」


まどか「ごちそうさま」

ほむら「たぶんまた来るわ」

店主「まいどー」



まどか「次どこに行く?」

エリー「お好み焼き屋さん」

ほむら「どっち?」

エリー「こっち」



―――お好み焼き屋―――

パトリ「ごめんくださーい」

ほむら「こんにちは」

店員「あれ?初めて見る顔がいる」

まどか「ほむらちゃんって言うの。わたしの最高の愛人」

ほむら「愛人のほむらです」

店員「そ、そうっすか……」


店員「ご注文は?」

エリー「豚玉2枚……」

店員「2枚?4枚じゃなくて?」

まどか「今日はほむらちゃんと一緒に夜までひたすら食べ続ける予定だから」

まどか「いろんなところで少しづつ食べたいの」

店員「相変わらず、すごい食欲っすね。人間やめてるっすねー」カチャカチャ

ほむら(実際、比喩抜きに全員人間やめてるわ)





ジューーー

店員「できやぁした!!」


まどか「ほむらちゃん」

ほむら「ん?」

まどか「あーん♪」

ほむら「うふふ……」

ゴツ

ほむら「いだっ!!」

まどか「あ、ごめん」

ほむら「大丈夫。歯にぶつかっただけ」


まどか「気を取り直して、今度は歯にあたらないように……」

まどか「あーん♪」

ほむら「い゛」グサ

まどか「あ」

ほむら「大丈夫……角が唇にあたっただけ……」


まどか「あ、あーん♪」

ほむら「ちょ、ちょっと待って。落ち着きましょう」



エリー「いい加減、コテであーんは無茶だと気づけ」モグモグ

まどか「え…………」

ほむら「そんな…………」

パトリ「なんで世界の終わりみたいな顔してるんですか?!」

ほむら「どうしてよ……ねぇ……どうして……」

パトリ「コテの大きさとか形をよく見ましょうよ」

エリー(だいたい、あーんしてたら時間がかかるから諦めさせないと……)


店員「あの、お箸どうぞ」

まどか「え!?ありがとうございます」

ほむら「これで食べさせ合えるわね」

エリー、パトリ「」




まどか「ほむらちゃん、あーんして」

ほむら「あ、あーん///」

まどか「ウェヒヒ///」


パトリ「………………」ソワソワ

エリー「………………」イライラ

店員「耳栓いります?」

パトリ「いります、いります!!」

―――30分後―――

まどか「はい、口開けて。最後の一口だよ」

ほむら「いいえ、最後はまどかが食べなさい」

まどか「えぇー」

ほむら「いまの私は女神よ。あなたは神の言葉が聞けないの?」

まどか「そんなこと言ったら、わたしは神の理に抗うよ」


パトリ(どっちでもいいから早く食べ終わってくれないかな……)

エリー(2人でお好み焼き1枚食べるのに何十分かかってるのよ)


ほむら「そうだわ。半分にして同時に食べさせ合えばいいのよ」

まどか「さすがほむらちゃん、頭いいね」

エリー(こいつら馬鹿だ)

パトリ「はぁ…………」




まどか「次、ショッピングセンター行こうよ」

ほむら「いいわね」

―――さらに数時間後、夜―――

まどか「たくさん食べたね」

ほむら「もう明日の朝ごはんいらないわ」

まどか「お土産も山ほど買ったし」

ほむら「もう思い残すことはないわ」

まどか「じゃあ、帰ろっか」

パトリ「………………」



パトリ「あのー…………」

まどか「なに?忘れ物?」

パトリ「そうです。重要なことを忘れてません?」

ほむら「重要なこと?」

エリー「そう。なんのために大阪に来たのか」

まどか「何のためって、デートするためでしょ?」

ほむら「そうよね」

パトリ、エリー「」

パトリ「魔法少女を導くために来たんでしょう?!」

エリー「忘れたんですか?!」



ほむら「………………」

ほむら「記憶って厄介なものね……」

ほむら「一つ取り戻すと次から次へと余計なことまで思い出す。」

ほむら「こんなこと忘れたままでいたかったわ」


エリー「堂々と“余計なこと”って言ったよ」

パトリ「初仕事でいきなり職務放棄ですか」


まどか「ティヒヒ、まったくほむらちゃんはうっかりさんだね。ウェヒヒヒ」

エリー「あなたも忘れてたでしょ!!」

まどか「そんなことないよ」

パトリ「でもさっき帰ろうとしてたような……」

まどか「あぁ、あれ。冗談に決まってるでしょ」

エリー「………………」

まどか「ほらほら時間が迫ってるから行くよ」

―――大阪、某所―――

モブ(魔法少女)「うぅ…………」ズズズズ


エリー「あの人が今回導く予定の人です」

まどか「すでにソウルジェムが真っ黒だね」

ほむら「活発そうで絶望なんてしなさそうな娘なのにね」

パトリ「いったいどんな絶望を味わったんでしょう?」



モブ「推薦入試落ちた……」グスグス



ほむら「」



モブ「しかも面接でトンチンカンなこと答えて」

モブ「競争率の高い一般入試でうちが合格できるわけない。もう終わりや」



ほむら「え?なに?この生々し過ぎる絶望……」

パトリ「ほとんどこんな感じですよ?どんなものを想像していたんですか?」

ほむら「運命を変えられないと悟って絶望とか……」

エリー「テレビの見過ぎ」

ほむら「」


まどか「でも受験生の年齢まで生き残るってなかなか優秀だね」

パトリ「一部を除き、すぐ戦死しますもんね」

ほむら「そういうものなの?」

まどか「そうだよ」

ほむら「魔獣だけになってワルプルギスみたいな存在とかも消えたのに戦死?」

まどか「うん」

ほむら「………なぜかあまり実感わかないわ」


まどか「だってほむらちゃん普通に才能あったもん」

エリー「あれだけ強大な魔女になれる時点で素質は歴代でも結構なもの」

パトリ「それから生まれた一部の使い魔はチートそのもの」

まどか「改変前は反則って言えるレベルの固有魔法を使えるぐらいの因果量だったし」

ほむら「でも………」


まどか「不運なことに“人一倍の回復力”が固有魔法の娘とかもいたんだよ」

エリー「“圧倒的”とか“絶大”じゃなくて、あくまで“人一倍”………」

パトリ「しかも武器は近接だけ」

まどか「そういう娘も結構いるんだよ」

ほむら「………………」




―――見滝原―――

さやか「ハ、ハ……ハックション!!」

杏子「大丈夫か?」

―――もどって大阪―――

モブ「うわぁぁあああ!!」ズズズズズ


まどか「あ、ほむらちゃん、そろそろ行ってあげて」

ほむら「わかったわ」

まどか「適当にテレパシーで指示だすから、その通りやってたら大丈夫だよ」

ほむら「ありがとう」





ほむら「こんばんは」

モブ「誰?」

ほむら「円環の理よ」

モブ(黒髪?噂と違う………)

モブ(でも、すごく神々しい)

モブ「とうとうおいでになってくれはったん?おおきに」

まどか『まず、本人確認して』


ほむら「確認するけど、あなたのお名前は?」

モブ「え?モブといいます」

まどか『固有魔法は?』

ほむら「特技はありますか?」

モブ「えっと、スピード強化です」

ほむら「へぇ………」カキカキ

モブ「………………」

モブ(なんで面接みたいなことさせられてるんだろう?)



まどか『うん、本人確認おわったね』

まどか『次は円環の理に勧誘して』

ほむら「ところで円環の理で働かない?」

モブ「え?」

ほむら「あなたには2つの道があるわ」

ほむら「このまま消えるか、円環の理の一部として働くかの2つよ」

モブ「円環の理っていったいなにするんですか?」

ほむら「えっと……」

まどか『今日やったこと適当に言っておいて』

ほむら「現地への出張、上司の世話、お好み焼き屋めぐり……」

ほむら「タコ焼き屋への顔出し、お土産の運搬、焼きそばの摂取とか……」

ほむら「とにかくいろいろよ」


モブ「」


パトリ『その言い方はないですね……』

エリー『まるで今日一日、好き勝手に食い歩いてただけみたいじゃないですか!』



モブ(………………)

モブ(なるほどな)

モブ(ツッコミどころ満載やけど、1つだけわかった)

モブ(円環の理で働けば、お好み焼きとかは食べれるってことか!)キラキラ

モブ(その証拠にこの人のドレスからはソースの匂いがムンムンしてはる!!)


まどか『ほむらちゃん、この娘はきっとなぎさちゃんと同じタイプだよ』

ほむら『そのようね』

モブ「決めた」

ほむら「そう。どっち?」

モブ「わたし円環の理で働く」


パトリ「あぁ……被害者がまた一人……」

エリー「ご愁傷様。でも人手が増える」

まどか「ウェヒヒヒ♪お手柄だよ」



ほむら「じゃあここの契約書にサインして」

モブ「ん?」

ほむら「どうかしたのかしら?」

モブ「なんでもないです……」


モブ(すごいちっさい字でストライキ権なしって書いとる……)

モブ(まぁ、いっか)カキカキ

モブ「書けました」

ほむら「うん、これであなたも円環の理の一部よ」

まどか「2人ともお疲れ様。これで救済は完了だよ」




まどか「さて、1日神さま体験もおわったし、私たちはこのまま見滝原に帰るね」

パトリ「わかりました」

まどか「新しい娘の指導とかもお願いね」

エリー「はぁーい」


まどか「じゃあね。私がいなくてもサボっちゃだめだよ」

ほむら「仕事頑張ってね」

パトリ「はいはい、ゆっくりしてきてくださいね」




パトリ「………………」

エリー「はぁ…………」

パトリ「やっと帰ったね。あのバカップル」

エリー「長かった」





―――ほむらの家―――

ガチャ

ほむら「ただいま」

なぎさ「お、おかえりなさいです」ビク

まどか「置き去りにしてごめんね」

なぎさ「いえいえ大丈夫でございます」


ほむら「来客とか何か変わったことなかった?」

なぎさ「そのことなんですが……、その……」

ほむら「なにかあったのね」

なぎさ「イライラして暴れたときに壁を凹ませてしまいました」

ほむら「」



なぎさ「ここです……」

ほむら「………………」

まどか「確かに傷がついてるね」

ほむら「でもえぐれたのは壁紙だけみたいよ」

なぎさ「あら?」

ほむら「大して目立ってないから大丈夫よ」

なぎさ「よかった」

まどか「………………」

ほむら「壁紙のことは気にしなくていいから今日は帰りなさい」

なぎさ「はーい」

まどか「遅いから補導されないようにねー」

なぎさ「わかりましたです。お邪魔しました」

ガチャ、バタン



まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「なにかしら?まどか」

まどか「これからどこに住むの?」

ほむら「…………はい?」

まどか「アテとかあるの?」


まどか「まさか壁の一部が壊れた家に住み続けるわけじゃないよね?」

ほむら「壊れたって言っても壁紙がはがれただけだから、住み続けるつもりよ」

まどか「………………」

まどか「……なんでそんなに自分を粗末にするの?」

ほむら「は?」

まどか「壁が壊れた家って、もう欠陥住宅じゃん。なんでそんなところに住むの?!」

ほむら「だから壁紙がはがれただけ……」

まどか「困ったときは自分を犠牲にせずに頼ってよ!!」

ほむら「あ、はい……」


まどか「もう、この家から引越そうよ」

ほむら「どこによ!!」

まどか「ほむらちゃんと同居してくれる人の家にだよ」

ほむら「そんな人いたかしら?」

まどか「目の前にいるでしょ!!」

ほむら「あ…………」

まどか「もう私の家に住みなよ」

ほむら「……結局のところ、お泊りが目的?」



まどか「ほむらちゃんが私の家に住むには鹿目家に嫁ぐしかないから、」

まどか「とりあえず結婚しよ」

ほむら「」

まどか「これからはずっと一緒だよ」

ほむら「………………」

まどか「ほむらちゃん?」


ほむら「………なんでよ」

まどか「え?」

ほむら「なんで私がまどかのところに嫁がないといけないのよ」

まどか「も、もしかして私と結婚したくな……」



ほむら「ふつう嫁ぐのはまどかの方でしょ?!」

まどか「そっち?!」

ほむら「お互いの家の環境の差をよく考えてみなさい」

まどか「環境の差?」

ほむら「私の家は一人暮らしだから、完璧な2人っきりになれるのよ」

まどか「そっか」

ほむら「さぁ、あなたが嫁ぎなさい」

まどか「でもほむらちゃんの家って庭ないでしょ?」

ほむら「ないわね」

まどか「家庭菜園できないじゃん」

ほむら「あ…………」


まどか「みんなもう覚えてないかもしれないけど、わたしいちおう園芸部だよ」

ほむら「そうだったわね」

まどか「家で土いじりができなくなるとか考えられないよ」

ほむら「どんだけ好きなのよ」



まどか「やっぱりほむらちゃんが鹿目家に嫁いでよ!!」

ほむら「まどかがこっちに嫁ぎなさいよ!!」



ほむら「………………」

まどか「………………」

ほむら「きりがないわね」

まどか「そうだね」

ほむら「でもさっさと決めたいわね」

まどか「うん」



まどか「!」

ほむら「どうしたの?」

まどか「いいこと思いついた」

ほむら「聞かせて」

まどか「なにか勝負して負けた方がお嫁さんになるっていうのはどう?」

ほむら「もうそれでいいわ」


まどか「なにで勝負する?」

ほむら「それは決まってるでしょ」

まどか「?」

ほむら「今のわたしは神で、あなたは悪魔よ」

ほむら「勝負する方法なんて一つしかないでしょ?」バサァァアアアア

まどか「今朝の続き?」バサァァァァアアアアアア

ほむら「そうなるわね」ゴゴゴゴゴ……

まどか「ティヒヒヒ♪」ゴゴゴゴゴゴゴ……





―――さやかの家―――

ゴゴゴゴゴ……

杏子「なぁ、さやか」

さやか「なにー?」

杏子「ほむらの家の上で魔力が渦巻いてるんだが……」

さやか「えー、また?」

杏子「……危機感ねぇな」

さやか「どうせまたすぐにおさま……」


ドゴォォォォオオオオオオン!!


さやか「」

杏子「すぐになんだって?」

さやか「もしかして今回はヤバい感じ?」

杏子「むしろなんでヤバくないと思ってたんだ」

ガキィィィイイイイン!!

さやか「あ、これガチで戦ってるわ」

杏子「止めに行くか?」

さやか「アレを止めれる存在なんてこの宇宙いないよ」

杏子「…………は?」

さやか「あははは……」


杏子「マジか?」

さやか「マジだよ」

杏子「そしたらどうなる?」

さやか「最悪、宇宙が壊れる」

杏子「」



杏子「さやか」

さやか「なに?」

杏子「あたし、地球最後の日の食事は風見野のラーメン屋って決めてたんだ」

さやか「そ、そうなんだ……」

杏子「そういうわけだから出るぞ」

さやか「え?」

杏子「魔力使って跳びながら行けば、まだ閉店には間に合うはずだ」

さやか「ラーメンのために魔力使うの?!」

杏子「いやか?それなら抱えて行ってやるよ」ガシッ

さやか「ちょ、待って……」

杏子「振り落とされるなよ」バッ

さやか「ぎゃぁぁあああああ!!」




―――外―――

ギャァァァアアアア!!

マミ「なんてこと!」

マミ「佐倉さんが悲鳴をあげる美樹さんを抱えながら反対方向に跳んでいったわ」

マミ「きっと負傷したから一旦退避してるのね」

マミ「魔力と衝撃音の発生源には美樹さんたちが退避するほどの存在がいる……」

マミ「行くしかないわね」

マミ「たしか近くに暁美さんが住んでたはずだから、まず合流しましょう」




―――ほむらの家の前―――

ゴゴゴゴゴ……

マミ「暁美さんの家から魔力があふれてるように見えるのは気のせいよね……」

マミ「暁美さーん?お邪魔するわよ?」

ガチャ



まどか、ほむら「「たたいて、かぶって、ジャンケン、」」

まどか「ポン」チョキ
ほむら「ポン」パー

まどか「いっけぇぇええええ!!」

ほむら「やばっ……」バッ


ガチィィィィイイイイイン!!


ほむら「……いまのは危なかったわ」シュゥゥウウ……

まどか「あと少しだったのに」



マミ「」

マミ「え?」

ほむら「なかなか勝負がつかないわね」

まどか「もう予備のピコピコハンマーがないよ」

ほむら「遮断フィールド製ヘルメットもそろそろ壊れそうよ」


マミ「あの、暁美さんと鹿目さん……よね?」


ほむら「いつの間に来ていたの?」

まどか「夜中にどうしたんですか?」


マミ「聞きたいことが山ほどあるんだけど、まず何がおきてるの?」

ほむら「たたいてかぶってジャンケンポンよ」

マミ「見ればわかるわよ!!」

マミ「そうじゃなくて、なんでピコピコハンマーから」

マミ「“ガキーン”とか“ドゴーン”みたいな衝撃音が出てるのよ?!」



まどか「たぶんこれが安物だからですよ」

ほむら「おまけに音速で叩いたら一発で粉々になる不良品だわ」

マミ「ん?音速?」

ほむら「やっぱり安物はだめね」

まどか「ちょっと高かったけどハリセンの方がよかったかも」

マミ「……そういう問題ではないと思うわ」

マミ「そもそもなんでこんな夜中に遊んでるのよ……」

まどか「遊びなんかじゃありません!!」

ほむら「人生をかけた真剣勝負よ!!」

マミ「なんで、たたいてかぶってに人生かけたの?!」

ほむら「他に方法が思いつかなかったからよ」

まどか「マミさんは他にいい方法を知ってますか?」

マミ「えっと……」


マミ(人生をかけた勝負にふさわしいもの……)

マミ「魔法少女なんだし、シンプルに魔法と武器で戦ったらどうかしら?」


まどか「………………」

ほむら「………………」

マミ「あら?」

まどか「……そういう物騒な思考はいけないと思いますよ」

ほむら「いじめられっ子の発想ね」

マミ「なんでよ!!」

マミ「はぁ、もういいわよ……」

まどか「なにがですか?」

マミ「なんでもないわよ」

まどか「?」

マミ「2人で好きに遊んでていいわよ。でもせめて静かにしてちょうだい」

ほむら「あっち向いてホイに変更しろってこと?」

マミ「そうなるわね」

まどか「あっち向いてホイならピコピコハンマーいらないし、ちょうどいいね」


マミ「じゃあ、私は用が済んだから帰るわね。おやすみ」

まどか「おやすみなさい」

ほむら「おやすみ」

ガチャ





まどか「マミさん、結局なにしに来たんだろう?」

ほむら「さぁ……」




まどか「さて、さっきの続きだよ」

ほむら「えぇ、負けないわ」


まどか、ほむら「「ジャンケン」」

ほむら「ポン」パー

まどか「ポン」グー

ほむら「あっち向いてホイ」←

まどか「ティヒヒヒ♪」↓

ほむら「くっ…………」


まどか、ほむら「「ジャンケン」」

まどか「ポン」グー

ほむら「ポン」チョキ

まどか「あっち向いてホイ」↑

ほむら「あ…………」↑



まどか「やったー!!やったよー!!」

ほむら「うぅ……もうお嫁にしか行けない……」

まどか「これからもよろしくね。鹿目ほむらちゃん」

まどか「さっそくだけど明日の朝、うちに挨拶に行くよ」

ほむら「わかったわよ」

まどか「最初はママが反対するかもしれないけど頑張ろうね」

ほむら「もし無理だったら暁美家に駆け落ちしましょう」

まどか「大丈夫!どうにかするから!」






―――翌朝、まどかの家の前―――

ガチャ

まどか「パパー、ママー、ただいま」

詢子「やっと帰ってき…………」

まどか「ウェヒヒ」←悪魔コス

詢子「」


詢子「……なんだその恰好」

まどか「ほむらちゃんの服」

詢子「あぁ、そうか……」

まどか「そうだよ」

詢子「そうかそうか」

まどか「似合ってる?」

詢子「………………」



詢子「知久、ちょっと助けて」

知久「どうしたんだい?」

まどか「あ、パパ。ただいま」

知久「」


知久「うん、たった2日で何が起きたんだろうね?」

詢子「もしかして反抗期か?」

知久「どうも違うような気がする」

詢子「あとで和子にも聞いてみるか」

知久「むこうもびっくりすると思うけど、そうしよう」



まどか「ねぇ」

知久「ん?」

まどか「なにか取り込んでるときに悪いけど、報告があるの」

詢子「報告?」


まどか「ほむらちゃん、出てきて」

ほむら「こんにちは」←神ドレス

詢子(こいつもか!)

まどか「紹介するね。私の最高のお嫁さん、鹿目ほむらちゃん」

知久、詢子「「はい?」」

詢子「ちょっと待て、鹿目ほむら?!」

まどか「うん。だって結婚したら名字かわるでしょ」

知久「結……婚……?」

ほむら「えぇ、このたび嫁ぐことになりました」

詢子「………………」


詢子「あれか、さやかちゃん達みたいに友達が居候するのに憧れてるのか」

まどか「え?ちが……」

知久「あれはどちらかの家に事情があって、しかたなくそうしてるんだよ」

詢子「てめぇは友達と長めのお泊りしたいだけだろ」

まどか「そんな軽い気持ちじゃないもん!!」



まどか「健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、」

まどか「悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、」

まどか「ほむらちゃんを愛し、ほむらちゃんを敬い、ほむらちゃんを愛し、」

まどか「ほむらちゃんを慰め、ほむらちゃんを愛し、ほむらちゃんを助け、」

まどか「この命ある限り、真心を尽くすことを今すぐにでも誓えるよ!!」



ほむら「まどか……」

詢子「」

知久「」

詢子「……うん、真剣に好きなのはわかった。でもまだ中学生だからな」

知久「こっちの国では女性は16歳以上にならないと結婚できないんだよ」


まどか「だって、ほむらちゃん」

ほむら「………………」

パン

知久「突然どうしたんだい?」

ほむら「なんでもないです」

まどか「ねぇ、テレビつけていい?」

詢子「いいけど……」

ポチッ



TV『速報です。法律改正により婚姻可能な年齢が突如引き下げられました』

詢子「はぁ!?」

TV『対象は女性のみで16歳だった結婚可能年齢が13歳になります』

TV『また今後は同性婚も可能になりました』

まどか「ティヒヒ♪」

TV『突然の改正の理由について記者会見で議員らは口をそろえて』

TV『“悪魔のささやき”、“神の御告げ”などと意味不明なことを繰り返しており……』




詢子「………………」

まどか「ママ、法律上は問題ないみたいだよ」

詢子「ほむらちゃん、試しにしばらくうちに住んでみたらどうだ?」

ほむら「え…………」

知久「ちょ……」

詢子「正式に結婚するのはそれからでも遅くないだろ?」

まどか「やったー」

ほむら「うふふ」



知久「ママ、どういうつもり?!」ヒソヒソ

詢子「全然ゆずる気ないみたいだから、少しの間だけ一緒に泊めてやってくれ」ヒソヒソ

知久「えー」

詢子「頼むって、それになんかあの2人怖い」

知久「1人はママの娘だから当たり前だよ」


知久「ま、でも家に人が1人増えるのは僕的には問題ないよ」

詢子「本当悪い」

知久「少しの間ならね」

詢子「大丈夫だ。どうせ数日すれば飽きてくれるって」

知久「そうだよね、うん……」




まどか「同棲までは認めてくれたね」

ほむら「ほんとに嬉しい」

まどか「ウェヒヒ、まだ結婚を認めてくれたわけじゃないのに大げさだよ」

ほむら「いいえ、夢のようだわ」


TV『……続いて街のようすです』

TV『喪服を着た不思議な西洋風の子どもが街のいたる所で目撃されています』

TV『両手に花火を持ったまま船の上などの目立つ場所で嬉しそうに踊っていたらしく、』

ほむら「」

TV『近隣住民からは煙の被害などによる苦情が殺到しているもようです』


まどか「ほむらちゃん」

ほむら「はい……」

まどか「自分の感情は使い魔じゃなくて自分で表現しようよ」

ほむら「気をつけます……」

まどか「こんな調子だと結婚認めてくれたらどうなっちゃうの?使い魔パレード?」

ほむら「あっ、それいいわね」

まどか「反省してないでしょ?」


ほむら「でも実際問題どうやって結婚を認めてもらおうかしら?」

まどか「そのことは問題ないよ」

ほむら「え?」

まどか「同居状態が長引けば近いうちにママとパパが折れて認めてくれるよ」

ほむら「あぁ、でも待ち遠しい」

まどか「めげず焦らず諦めずだよー」



まどか「さてと」

ほむら「どこ行くの?」

まどか「お野菜の手入れ」

ほむら「なら手伝うわ」

まどか「いいけど、トマト投げて遊ばないって約束できる?」

ほむら「そんなことしないわよ!!」




―――家庭菜園―――

ほむら「なにすればいいの?」

まどか「今日は雑草ぬいて、水やるだけ」

ほむら「簡単ね」

ほむら「!」ピタッ

まどか「ん?」

ほむら「」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「」

まどか「おーい」

ほむら「おかし……」

まどか「お菓子?」


ほむら「お、お菓子の魔女がいる」

まどか「なぎさちゃんが?どこに?」

ほむら「葉っぱの裏に、3cmぐらいのが……」

ウネウネ……

まどか「うん、それ普通のイモムシだね」


ほむら「駆除した方がいいわよね」

まどか「うん」

ほむら「わたし虫は苦手なの」

まどか「そうなんだ」

ほむら「かわりにとってくれないかしら?」

まどか「………………」

まどか「わたしだよ?ほむらちゃんでさえ苦手なこと我慢できるわけないじゃない」

ほむら「……要するにあなたも虫ダメなのね」

まどか「普通の虫は大丈夫だけど、イモムシだけはだめなの」


ほむら「園芸部のときどうしてたのよ」

まどか「イモムシと会わないように毎回祈ってた」

ほむら「神頼みって……」

まどか「おかげで中学の間は1度も遭遇しなかったよ」

ほむら「けっこうすごいわね」




ムシャムシャ……

まどか「あ!葉っぱ食べ始めちゃった!」

ほむら「早くどうにかしないと」

まどか「パパー!!」

シーーン

ほむら「出かけたみたいね」


ほむら「どうしようかしら……」

まどか「どうしたらいいんだろうね……」




ヒョイ

QB「悩みごとかい?」

まどか「インキュベーター!!」

ほむら「ちょうどよかった。あの虫をどこか遠くに捨ててきなさい」

QB「この虫のことかい?」

ほむら「見せなくていいから!!さっさと捨ててきなさい!!」

QB「はいはい」




―――しばらくして―――

QB「逃がしてきたよ」

ほむら「ありがとう。助かったわ」

QB「え?」

まどか「ほんとうにありがとう」

QB「え?え?」



QB「あの2人がボクに礼をいうとは異常事態だ」

QB「いったい何が起きようとしてるんだ?!」

ほむら「あなたが困ることは特に起きてないわよ」

まどか「そうだね。悪魔と神が交代したことぐらいだよ」

QB「いま、さらっと宇宙がひっくり返るようなことが聞こえたよ?!」

ほむら「そんな大げさな」

QB「だめだ……この2人のせいで宇宙は寿命を迎える前に壊れてしまう……」

まどか「ティヒヒ、キュゥべえの冗談おもしろーい」

QB「冗談じゃないよ!!」



まどか「そういえばキュゥべえもこっちに住むの?」

ほむら「役立たずだから置いていく予定……」

QB「あ、やっと解放されるんだ」

ほむら「だったけど、やっぱり除虫用に必要だからこっちに住んでもらうわ」

QB「……ボクの存在は農薬か何かかい?」


ほむら「何だったら肥料にしてやってもいいのよ」

まどか「やめてあげてよ!かわいそうでしょ!」

ほむら「まどか……」

QB「きみは……」

まどか「肥料はちゃんとしたもの使わないと逆効果になって枯れちゃうよ」

QB「うん、少しでも期待したボクが馬鹿だったよ」




ほむら「それにしてもこの家の畑ずいぶん広いわね」ブチ

まどか「いまさらだね」ブチ

ほむら「大変でしょう」ブチブチ

まどか「でも楽しいよ。虫のことを除けば」ブチブチ


まどか「キュゥべえ、雑草抜きおわったところにジョウロで水あげといて」ブチ

QB「わかったよ」バシャバシャ

まどか「ストップ!土えぐれるからもう少しゆっくりやって」

QB「こうかい?」チョロチョロ

まどか「そうそう」





―――少し前、玄関―――

知久「ただいま」

たつや「たらいまー」

シーーン

知久「あれ?あの2人は?」

たつや「おふろ?はたけー?おへや?」

知久「あ、雑草抜きがまだだったから畑かもしれないね」

知久「1人で大丈夫なのかな……」

たつや「ねぇちゃ、むしダメー」

知久「そうなんだよ」

知久「もう1人の娘も虫とか触れなさそうだけど……」

ガラッ




まどか「キュゥべえ、雑草抜きおわったところにジョウロで水あげといて」ブチ

        バシャバシャ

まどか「ストップ!土えぐれるからもう少しゆっくりやって」

        チョロチョロ

まどか「そうそう」




知久「」

たつや「ねーちゃ」

まどか「あ…………」

たつや「じょうろがういてるー」

知久「まどか、この状況はなんだい?」

まどか「えっと、見えないお友達……みたいなもの……かな?」

知久「」

知久「ゆ、幽霊?」

まどか「違うよ」

知久「じゃあいったい……」


ほむら「あれです。子供にしか聞こえない音みたいなものです」

知久「意味がわからないのだけど」

まどか「そうそう、子供にしか聞こえない音みたいなものだよ」

知久「………………」

まどか「子供にしか……」

知久「わかった、わかった!そういうことにしとくよ」

まどか「それがいいよ」



まどか「ちなみにキュゥべえっていうの」

知久「へぇ」

ほむら「お義父様も何か困ったときがあったら、手伝わせてみてください」

知久「(お義父様……)いや、僕には見えないからいてもわからないんだけど」

まどか「あ、そっか」

ほむら「………………」

ほむら「キュゥべえ」

QB『はいはい』

ほむら「家にいる間はこの帽子をかぶってなさい」ボフ

QB『やれやれ』

まどか「なるほどね」



フワフワ……

まどか「これで見えるでしょ?」

知久(帽子が宙に浮いたまま動き回ってる……)

たつや「ゆーふぉー?」

ほむら「そうね。悪い宇宙人が乗ってるのよ」


たつや「わるいの?」

まどか「人を石ころに変えて、エネルギーにする怖い宇宙人が乗ってるよ」

QB『……訂正するほど間違っていないね』

たつや「わるいことダメだよ」ポカポカ

QB『わけがわからないよ』

知久「あはは」





―――昼―――

まどか「ほむらちゃん、あーん」

ほむら「ん」

まどか「どう?こっちの家のごはんは?」

ほむら「おいしいわ」

まどか「よかった」

ほむら「でもまどかに食べさせてもらうと、さらにおいしくなるわ」

まどか「ティヒヒ」


詢子「知久ー」

知久「なんだい?」

詢子「なんだかなつかしいな」

知久「うん、昔はあんな恥ずかしいことしてたんだね」

詢子「さすがに親の前ではやってねぇだろ」



たつや「ごはんだよー」

QB『ボクは食物を摂取する必要がないんだけど……』

たつや「あーん」

QB『そっか、聞こえないのか』

たつや「きゅーべえ?」

QB『一般人との生活は困難だね。先が思いやられるよ』パク

たつや「ウェヒヒ、ごはんがきえたー」

QB『楽しそうだね』

たつや「つぎ、きゅーべえの番」

QB『え?』

たつや「フォークかすから」

QB『僕に食べさせてほしいの?』

たつや「はやくー」

QB『しょうがないなぁ』

カチャ

QB『はい、早く食べてく…………!?』



まどか『……何かの間違いでキュゥべえのフォークがたつやの口に傷でもつけたら』

まどか『キュゥべえを永遠にすり身にし続けるから』ゴゴゴゴ……



QB『わ、わかってるさ。現に細心の注意をはらってるよ』ブルブル

たつや「どったの?」

QB『なんでもないよ』

たつや「はーやーくー」

QB『あ、はいはい…………!?』



ほむら『……何かの間違いでお前のフォークがまどかの口に傷でもつけたら』

ほむら『お前を宇宙の終焉まですり身にし続けるわよ』ゴゴゴゴ……



QB『君はなにを言ってるんだ』



フワフワ……

たつや「ん」パク



知久「ねぇ、ママ……」

詢子「言いたいことはわかるが頑張って慣れろ」

知久「でもあれポルターガイストにしか見えないから不気味なんだけど」

詢子「大丈夫だ。この家に悪霊なんていない」


まどか「そうだよー。悪霊はいないよ」

ほむら「たしかに悪霊“は”いないわね」

知久「?」




カチャ

たつや「ごっそうさまー」

QB『やれやれ、ようやく終わった』

まどか「たつや大丈夫?怪我してない?」

たつや「なにがー?」

まどか「よかった。無事に終わって」

QB『こっちもすり身にされずに済んで一安心だよ』






―――夜、まどかの寝室―――

まどか「そろそろ寝る?」

ほむら「そうね」

まどか「じゃあ、トイレ行ってくるからわたしのベッドで先に寝てて」

ガチャ



ほむら「まどかったら」

ほむら「同棲初日で、先に寝ててって言われて寝るわけないでしょう」

ほむら「冬の夜は長いのよ!!」

ほむら「うふふふ……」

ほむら「とりあえず布団に入っておきましょう」


ボフッ

ほむら「あぁ、これがまどかの布団……」

ほむら「どっちを向いてもまどかのやさしい香りがして……」

ほむら「………………」

ほむら「zzz」



ガチャ

まどか「お待たせー」

ほむら「zzz」

まどか「あれー?ほんとに寝ちゃってるよ」

ほむら「zzz」モソモソ

まどか「ティヒヒ、毛布にくるまってミノムシさんみたいで可愛いな」


まどか「可愛いのはいいけど」

まどか「このままじゃ私毛布無しなんだけど、どうしよう?」

まどか「ほむらちゃんと同じ布団に入りたかったけど……」


ほむら「zzz」モゾモゾ


まどか「綺麗にくるまってて、入る隙間なんてないね」

まどか「もう一つ毛布を出して、ほむらちゃんとは別に使おうかな?」



ほむら「その必要……はないわ……zzz」

ガバァ

まどか「え?」


まどか「なんか毛布にスペースができた……」

まどか「もしかして起きてる?」

ほむら「zzz」

まどか「寝てるよ。どういうこと?」


まどか「まぁ、いっか」

まどか「寒いから入るよ。お邪魔しまーす」モソモソ

ほむら「zzz」

まどか「ウェヒヒ、おやすみほむらちゃん」





―――数時間後―――

ほむら「zzz」

まどか「zzz」

ほむら「ん……」


ほむら「………………」ボーー

ほむら「まだ明け方のようね」

ほむら「もう一眠りしま……」


まどか「ウェヒヒ……zzz」ギューーー


ほむら「ふふふ……」

ほむら「まったく、わたしは抱き枕でもぬいぐるみでもないのよ?」


まどか「zzz」ギュゥゥゥゥゥウウウウウウウウウ


ほむら「いだだだだ!!ストップ、ストップ!!」

まどか「むにゃ……zzz」ギューーー


ほむら「はぁ……はぁ……」

ほむら「お、おさまった」

ほむら「寝相が悪いのは知っていたけど、今日は特にひどいわ」

ほむら「いったん離れた方がいいわね」


まどか「ティヒ……zzz」ギューーー

ほむら「だめだわ。がっちりホールドされてる」

ほむら「どうしましょう……」


ほむら「QBを呼んでも体格的に役に立たないわね」

ほむら「しかたがない」

ほむら『使い魔たちへ、起きてる者がいたら至急まどかの部屋に来て』




―――しばらくして―――

ノロマ「Guter abend?Guter morgen?」

ほむら『静かに!あとドイツ語わからないから』

ほむら『話しかけるときはテレパシーでお願いって、いつも言ってるでしょう』

ノロマ『あー、そうだったねー』

ほむら『あなたいつになったら覚えるのよ』

ノロマ『ごめんなさーい。ところで何の用?』

ほむら『見てわからないの?まどかに抱きつかれて身動きとれないのよ』

まどか「zzz」ギュー

ほむら『まどかを起こさずに脱出したいから私の体を引っぱり上げて』

ノロマ『はーい』



ノロマ『えい』グイ

まどか「ん……zzz」ギュゥウウ

ほむら「え?」

ノロマ『えいえい』グイグイ

まどか「zzz」ギュゥゥゥゥウウウウウ、ギチギチ……

ほむら「ストップ、中止!!体が裂ける!!」




ほむら「ゼェ……ゼェ……」

まどか「zzz」ギューー

ノロマ『大丈夫?』

ほむら『今のでわかったわ』

ノロマ『なにが?』

ほむら『まどかから離そうとすればするほど強く絞め……抱きついてくるのよ』

ノロマ『食虫植物?』



ほむら『どうしたらいいのかしら』

ノロマ『えっとね……』

ほむら『何か思いついたの?』


ノロマ『こういうときはねー』

ほむら『えぇ』

ノロマ『どうしたらいいのかというとねー』

ほむら(早く言いなさいよ)

ノロマ『しりとりでもして朝まで待つ!』

ほむら「」


ノロマ『ねぇ、やろうよ』

ほむら『………………』

ノロマ『できることなんて思いつかないし』

ほむら『まぁ、それもそうね』

ノロマ『やったー』

ノロマ『じゃあ、しりとりの“り”からどうぞ』


ほむら『リス』

ノロマ『垂直』

ほむら『クマ』

ノロマ『まな板』

ほむら『タダ』

ノロマ『断崖絶壁』

ほむら『着替え』

ノロマ『AAカップ!』


ほむら『……不可避』

ノロマ『貧乳!!貧乳!!』

ほむら「おいこら」



ノロマ『どうしたの?』

ほむら『あなた本当はワルクチでしょう?!ねぇ?!』

ノロマ『?』





―――朝―――

ピピピ!!ピピピ!!

まどか「zzz」

ほむら「起きてまどか。目覚まし鳴ってるわよ」ユサユサ

まどか「もうあさぁ?」ポケー

ほむら「そうよ、あと苦しいから離してくれないかしら」

まどか「え?」ギューー



まどか「もしかして私ずっと抱きついていたの?」

ほむら「えぇ」

まどか「痛かった?」

ほむら「痛みさえ愛おしい」

まどか「そんな……脳にまでダメージが……」

ほむら「朝からひどいわね」


まどか「でも明日からはどうにかするよ」

ほむら「どうにかするって言っても、別々の布団で寝るのはいやよ」

まどか「わたしもいやだよ」



ほむら「なにかいい方法はないかしら」

まどか「!」

ほむら「どうしたの?」

まどか「わかった。わたしの腕が自由に動くからダメなんだよ」

ほむら「まぁ、そうね」


まどか「なんかで拘束しよう!!」


ほむら「…………はい?」

まどか「器具で縛ったり、固定しよう」

ほむら「……あなたそんな趣味があったのね」

まどか「ひどいよ!真面目に考えてるのに!」

ほむら「真面目に考えた結果が拘束って……」


まどか「だいたいほむらちゃんだって、このまえ手枷してたじゃん」

ほむら「魔女のときでしょ、それ」

まどか「でも魔女になると欲望に忠実になる娘もいるって噂も聞くし……」

ほむら「わたしは断じて違うわ!」

まどか「ほんとに?」



コンコン

知久「まどかー、そろそろ起きないと遅刻するよ」

まどか「あ、いま行くー」




―――洗面所―――

詢子「………………」ゴシゴシ

まどか「おはよーママ」

詢子「おはよう、珍しく遅かったな」

ほむら「おはようございます、お義母様」

詢子「お、おはよう……」



詢子「最近学校はどうなんだ?」

まどか「先生がようやく世界の終わりがどうとか言わなくなったよ」

詢子「やっと復活したか」

ほむら「かわりに美樹さやかが宇宙の終わりがどうとか言い始めたわ」

詢子「………………」


詢子「それ知ってる」

まどか「え?」

詢子「2日前の深夜に杏子ちゃんとさやかちゃんが家出したって電話があってな」

ほむら「親御さんから?」

詢子「そう」


まどか「見つかったの?」

詢子「隣町にいたそうだ」

まどか「なんでそんなところに……」

ほむら「どうせラーメン屋でしょう」

詢子「よくわかったな」

まどか「ティヒヒ……杏子ちゃんたちらしいや」

詢子「理由を問い詰めても、“宇宙が滅びる!”しか言わなかったそうだ」

まどか「あらら」


詢子「そんな突然滅びるわけないのにな」

ほむら「そうよ。宇宙は滅ぼすものじゃないわ」

まどか「そうだね」

ほむら「宇宙は書き換えるものよ!」

まどか「うんうん」

詢子「そ、そうか……」





―――通学路―――

まどか「さやかちゃんたち先に行っちゃったみたいだね」

ほむら「家を出るのが遅かったかしら?」

まどか「多分そうだね」



ホム……サマ……ァアア!

まどか「ねぇ、なんか聞こえなかった?」

ほむら「気のせいよ」

アケ……ムラ……サマァァァアアアアア!!

まどか「近づいて来てるよ」

ほむら「………………」クルッ



キリカ「暁美ほむらさまぁぁぁああああ!!」ダダダダ

ほむら「」



ほむら「……どうしたのよ」

キリカ「結婚!」

ほむら「プロポーズならお断りよ。まどかがいるから」

まどか「ウェヒヒ///」


キリカ「違うよ、結婚したんだ!織莉子と!」

まどか「へ?」

ほむら「あら、おめでとう」

キリカ「君たちのおかげさ」

まどか「法律のこと?」

キリカ「そ、君たちが変えてくれたんだろ?」

ほむら「そうね」


キリカ「あぁ、ありがたい。2人のことは家で神棚を作って祀っとくよ」

ほむら「悪魔なのに神棚……」

キリカ「そっか、わかった。家の冷蔵庫からニンニク撤去しとけばいいんだろ?」

ほむら「それ吸血鬼よ」

キリカ「あれ?そうだっけ?」



まどか「でもいいなぁ。式とかするの?」

キリカ「当たり前じゃないか。ぜったい出席してよ」

まどか「ティヒヒ、わかったよ」

キリカ「ほむらは披露する一発芸とか考えておいてね」

ほむら「え?」

まどか「わー、ほむらちゃんの一発芸すごく楽しみ。期待してるよ」

ほむら「」



ほむら(……忘れていたわ)

ほむら(この娘が悪魔だったことを)



まどか「ところで呉さん、新婚生活ってどんな感……」

キリカ「おっと!!」

まどか「ん?」

キリカ「もう私の名字は“呉”ではないぞ。“美国”だ」

まどか「嫁いだんだ」

キリカ「そうさ」


キリカ「ま、そういうわけで名簿の変更手続きとかあるから先行くね」

ほむら(だから珍しく1時間目から登校してるのね)

まどか「またね“美国キリカさん”」

キリカ「ふふふ、人生黄金のエルドラドだよ!」ダダダ




まどか「なんだかすごい人だったね」

ほむら「わたしと同じ動力源があるからよ」

まどか「なるほどね」


まどか「あ!」

ほむら「どうしたの?」

まどか「和子先生、また世界の終わりがとか言い出しそうな気がする」

ほむら「……それどころか“世界なんて終われ”って言い出しそうね」






―――学校の教室―――

キーンコーン、カーンコーン

和子「女子のみなさんおめでとうございます」

和子「なんでも婚姻可能年齢が引き下げられたそうじゃないですか」ググググ

さやか『また指示棒があらぬ角度にしなってる……』


和子「今朝もさっそく1学年上の呉さんって子が」ミシミシ

和子「“名字が美国に変わったから名簿の変更とかよろしく”って来てくれました」ミシ

和子「30代半ばでも未婚の人がいるのにおめでたいですねー」ボキッ

杏子『指示棒折るの何本目だよ』

和子「うふふ……」



和子「………………」

和子「はぁ……」

和子「署名でも集めて結婚年齢を35歳位まで引き上げる運動しようかな……」ボソッ

ほむら『全力で阻止するわ!!』

和子「それか隕石でも落ちて世界が滅びてくれませんかねぇ……」

まどか『やっぱり』

和子「どっちがいいと思いますか?はい、中沢くん!!」

中沢「えぇ?!えっと、隕石は困ります。熱くて痛いかな、と……」

和子「あら、そうですか」

和子「じゃあ先生、署名活動がんばります」

中沢「はぁ……」

ほむら『やめて、もうやめて』





和子「あ」

和子「そうそう、今日は久しぶりに席替えをします」

ザワザワ……


和子「今回はくじ引きでランダムに決めまーす」

さやか『ランダムって言っても、どうせまどかとほむらは隣同士なんでしょ』

まどか『ティヒヒ///』

和子「皆さん箱の中から一枚ずつ紙切れを取ってくださいね」

ほむら『初めての席替え』ガサゴソ

杏子『熟睡しても見つかりにくい席がいいな』ガサゴソ

仁美(上條さんのお隣、上条さんのお隣……)





―――席替え完了―――

ガヤガヤ

さやか「………………」

さやか「さて、右を向くと……」

まどか「ウェヒヒ」

さやか「左を向くと……」

ほむら「まどかぁぁぁああああ!!」


さやか「後ろを向くと」クルッ

仁美「よ、よろしくお願いします」

さやか「正面には」

恭介「やぁ」



さやか「なんだこの十字砲火」



ほむら「うぅ……まどかの隣がよかった……」

さやか「いつもの不思議パワーはどうした」

ほむら「まどかが隣同士にしてくれると思って、邪魔しなかったのよ」

まどか「私もてっきりほむらちゃんが席を調整してくれると思ってたから何も……」

さやか「あらら」

まどか「でも大丈夫だよ」

ほむら「え……」

まどか「恋っていうのは壁の1つぐらいある方がより愛が深まるよ。ね?」

仁美「まぁ///」

さやか「まさかの壁扱い」


ほむら「……たしかに一理あるわね」

さやか「おい」

ほむら「壁の1つや2つむしろ大歓迎よ」

仁美「なんて前向きな」

さやか「仁美も関心しないの」


ほむら「美樹さやか、いつかベルリンの壁のようにしてやるわ」

さやか「私そのうち崩されるの?」

仁美「歴史的瞬間ですわ」

まどか「さやかちゃん燃え上がれー」

さやか「やめて」



さやか「だめだ。ツッコミが追いつかない」

仁美「でも、ほんと仲がよろしいですわね」

さやか「度が過ぎるよ」

仁美「本人たちは幸せでしょうね」

さやか「杏子ー、ヘルプー」


さやか「ってあれ?そういえば杏子はどこに行ったんだろう?」

上條「佐倉さんならあそこにいるよ」

さやか「え?どこ?」

上條「ほら、前」


杏子「」ポツーン


ほむら「真ん中の列の最前列って……」

さやか「うわぁ、杏子マジどんまい」

まどか「あそこで授業中にお絵かきしたら先生から丸見えだね」

ほむら「イチャイチャしにくいわ」

さやか「熟睡どころかウトウトしただけでバレるよ」

仁美「皆さん授業をなんだと思っておられるの?!」

前回投下した文に修正点が見つかったので
修正版の>>530>>531>>532>>533を再投下します

修正箇所
・上条恭介の「」前の名前を 恭介「」 に統一
・“上條”を“上条”に修正

和子「どっちがいいと思いますか?はい、中沢くん!!」

中沢「えぇ?!えっと、隕石は困ります。熱くて痛いかな、と……」

和子「あら、そうですか」

和子「じゃあ先生、署名活動がんばります」

中沢「はぁ……」

ほむら『やめて、もうやめて』




和子「あ」

和子「そうそう、今日は久しぶりに席替えをします」

ザワザワ……


和子「今回はくじ引きでランダムに決めまーす」

さやか『ランダムって言っても、どうせまどかとほむらは隣同士なんでしょ』

まどか『ティヒヒ///』

和子「皆さん箱の中から一枚ずつ紙切れを取ってくださいね」

ほむら『初めての席替え』ガサゴソ

杏子『熟睡しても見つかりにくい席がいいな』ガサゴソ

仁美(上条さんのお隣、上条さんのお隣……)





―――席替え完了―――

ガヤガヤ

さやか「………………」

さやか「さて、右を向くと……」

まどか「ウェヒヒ」

さやか「左を向くと……」

ほむら「まどかぁぁぁああああ!!」


さやか「後ろを向くと」クルッ

仁美「よ、よろしくお願いします」

さやか「正面には」

恭介「やぁ」



さやか「なんだこの十字砲火」



ほむら「うぅ……まどかの隣がよかった……」

さやか「いつもの不思議パワーはどうした」

ほむら「まどかが隣同士にしてくれると思って、邪魔しなかったのよ」

まどか「私もてっきりほむらちゃんが席を調整してくれると思ってたから何も……」

さやか「あらら」

まどか「でも大丈夫だよ」

ほむら「え……」

まどか「恋っていうのは壁の1つぐらいある方がより愛が深まるよ。ね?」

仁美「まぁ///」

さやか「まさかの壁扱い」


ほむら「……たしかに一理あるわね」

さやか「おい」

ほむら「壁の1つや2つむしろ大歓迎よ」

仁美「なんて前向きな」

さやか「仁美も関心しないの」


ほむら「美樹さやか、いつかベルリンの壁のようにしてやるわ」

さやか「私そのうち崩されるの?」

仁美「歴史的瞬間ですわ」

まどか「さやかちゃん燃え上がれー」

さやか「やめて」



さやか「だめだ。ツッコミが追いつかない」

仁美「でも、ほんと仲がよろしいですわね」

さやか「度が過ぎるよ」

仁美「本人たちは幸せでしょうね」

さやか「杏子ー、ヘルプー」


さやか「ってあれ?そういえば杏子はどこに行ったんだろう?」

恭介「佐倉さんならあそこにいるよ」

さやか「え?どこ?」

恭介「ほら、前」


杏子「」ポツーン


ほむら「真ん中の列の最前列って……」

さやか「うわぁ、杏子マジどんまい」

まどか「授業中にお絵かきしたら先生から丸見えだね」

ほむら「イチャイチャしにくいわ」

さやか「熟睡どころかウトウトしただけでバレるよ」

仁美「皆さん授業をなんだと思っておられるの?!」





キーンコーン、カーンコーン

和子「はーい、みなさんホームルームはこれで終わりです」

和子「新しい席になって嬉しいのはわかりますけど」

ガヤガヤ

和子「授業が始まったら静かにしてくださいね」

和子「じゃあ、先生はこれで。1時間目がんばってくださいね」

ガラッ




まどか「さてと」

ほむら「?」

まどか「さやかちゃん、こっちに寄ってくれない?」

さやか「いいけど、何?」


まどか「ティヒヒ」スリスリ

さやか「」

仁美「ま、まどかさん?!」


さやか「……あんた何やってるの?」

まどか「さやかちゃんに頬ずりー」スリスリ

さやか「あぁ、なるほどね……って見ればわかるよ!」

ほむら「……美樹さやか、あなたなんのつもり?」ギリギリ

さやか「ほらほら、あんたの旦那さんがご立腹だよ」

まどか「ほむらちゃんは旦那さんじゃないもん!お嫁さんだよ!」スリスリ

ほむら「そうよ!本当ならまどかをお嫁にしたかったけど」

さやか「どうでもいいわ!」



仁美「でもどうしてこんな行動を?」

まどか「ほむらちゃんのためだよ」スリスリ

ほむら「え?」


まどか「頬っぺたの摩擦で、ほむらちゃんとの間にある壁を削ってるの」スリスリ


ほむら「!」

仁美「なんて地道かつ健気な愛……」

さやか「あんたらって、ほんと馬鹿」

仁美「さやかさん、塵も積もればなんとやらですわ」

ほむら「根競べなら負けないわ」

さやか「うん、ふつうに次の席替えを待とうよ」



ほむら「美樹さやか……」ガタッ

さやか「あ、もう1人の馬鹿も動き出した」

ほむら「こっちに寄りなさい」

さやか「私の頭は1つしかないんだけど」

ほむら「もういい。私が寄る」

さやか「来なくていいよ」


ほむら「まどかが頑張っているのに待っているだけなんてできないわ」スリスリ

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」スリスリ

さやか「なんだこれ」


仁美「美しき共同作業ですわ」

さやか「仁美も巻き込まれればそんなのんきなこと言ってられないよ」

仁美「まぁ!2人だけでは満足できないということですの?」

さやか「……はい?」

仁美「私にも頬ずりしてほしいと。そう仰りたいのですね」

さやか「ひ、仁美?」


仁美「いいですわ。親友のためなら」スリスリ

さやか「……あんた、あの2人から変なものでも感染したの?」



さやか「………………」ジーーー

恭介「?」

さやか「この状況どうにかしてよ」

恭介「いやぁ、さすがに僕は頬ずりできないよ。席の位置的に」

さやか「違うわ!!」




キーンコーン、カーンコーン

ガラッ

モブ先生「さっさと座れよー」


まどか「先生来ちゃったね」

仁美「あらまぁ」

ほむら「中断ね」

さやか「ほっ……」



さやか「さすがに授業中は大人しくしとくんだ」

ほむら「大人しくあなた越しにまどかを眺めとくわ」

まどか「大人しくほむらちゃんの似顔絵でも描いておくよ」

杏子「zzz」

仁美「大人しく授業をきいておきますわ」

さやか「ようやくいつもの仁美に戻った」





―――昼休み―――

マミ「あら?美樹さん?」

さやか「あ、マミさん」

マミ「?」

さやか「マミさん?」

マミ「美樹さん、なんだか前会ったときより痩せたわね」

さやか「え」


さやか「あたし順調に削られていってるの!?」

杏子「安心しろ、摩耗じゃなくてきっと過労だ」

さやか「あぁ、なんだ過労か。びっくりしたよ」

マミ「無理はだめよ」


まどか「過労なんてブラック企業のバイトでも始めたの?」

ほむら「何なら円環の理に復帰してもらってもいいのよ?」

さやか「」


マミ(鹿目さんと暁美さんが原因なのね……)




まどか「あ、そうだ。マミさんに聞きたいことがあるんですけど」

マミ「なにかしら?」

まどか「マミさんって緊縛魔法使えますよね?」

マミ「えぇ、そうよ」

まどか「拘束具ってどこに売ってるんですか?」

マミ「……はい?」


まどか「手足の自由を制限するあれです」

マミ「えっと、何に使うの?」

まどか「ほむらちゃんと一緒に寝るためです」

マミ「あの、あれは敵を足止めしたりするのに使うもので」

マミ「寝室で使うものではないわ」

まどか「でもそれがないと一緒に寝てくれないみたいで」

マミ「」



まどか「それにほむらちゃんもこの前つけていましたよ。手枷を」

マミ「それは……警察に連絡した方がいいわね……」

まどか「そっか!警察の人から手錠を入手すればいいってことですね!」

マミ「え?」

まどか「助かりました、マミさん」

まどか「ほむらちゃーん」

ほむら「どうしたの?」

まどか「寝る時用の手錠の入手のしかたわかったよー」

ほむら「またその話?」

まどか「だってそうしないと一緒に寝れないじゃん」


まどか「警察に電話したら手に入れられるみたい」

ほむら「手にかけられるの間違いでしょ」

まどか「ウェヒヒ」

ほむら「普通にタオルとかで縛ればいいじゃない」



マミ「……鹿目さんたち」

ほむら「なによ」

マミ「そういうのは程々にしといた方がいいわよ」

ほむら「なんでよ」

マミ「両親に見つかったらまずいでしょ」

ほむら「あ……」

まどか「たしかに」

ほむら「結婚認めてもらえなくなるわね」

まどか「それだけは避けないと」


マミ(いま結婚とか聞こえたけど気のせいよね?)



杏子「別にいちいち道具使わなくても、ほむらが最初から抱きついとけばいいだけだろ」

杏子「そうすればまどかは身動きとれねぇだろ」

ほむら「………………」

まどか「………………」

杏子「ん?なんか変なこと言ったか?」



ほむら「杏子、あなた頭いいわね」

まどか「それどころじゃないよ。天才だよ」

杏子「そ、そうか?」


まどか「式のときの料理は杏子ちゃんだけ特別にふんぱつするよ」

杏子「ほんとうか?!」

さやか「いいなー」


まどか「お祝儀それなりにくれたらね」

杏子「」

さやか「ですよねー」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月15日 (土) 22:44:17   ID: waJItcnH

そういえばほむらが体調崩したまま学校行ったらどうなっちゃうのかな…

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