美也「すー…すー…」
橘「な…何なんだ…?どういう事なんだ!!」
橘(と…とにかく一旦落ち着こう…。し、深呼吸だ…!)
橘「スーハースーハー」
橘(…)
橘(美也、何かいい匂いだな…)
橘(…じゃなくて!)
橘(さ…昨晩一体何があったのか、思い出さなきゃ…)
橘(…)
橘(…何故だ!何も思い出せないよ!)
橘(ま…参ったな…。どうしよう…?)
橘「…そうだ!」
橘(美也の様子を見れば何か痕跡が残っているかもしれない…!)
橘「」ジー
橘「…か、可愛い寝顔だな…」
橘「うん…可愛い…」
橘(…じゃなくて!)
橘(…いや、待てよ?普段より可愛く見える
というのも手掛かりの一つじゃないか…?)
橘(あと…何か痕跡らしいものがあれば…)ジー
橘「…」
橘(美也の…か、掛け布団をめくってみるか…?)
橘「…」ソー
美也「う…ん」ゴソ
橘「うっ!?」ビクッ
橘(い…今起きられたらまずいんじゃないのか!?)
橘(美也を起こさない様に行動しないと…)
橘(かっ…掛け布団をめくるのは危険過ぎる…)
橘「どうしよう…」ボソ
橘(…いっその事、美也を一気に起こして聞いてみるか?)
橘(でもなあ…)
橘(よくよく見たら)
橘(僕も全裸なんだよな…)
橘「かと言ってこのまま放ってもおけない…」ボソ
橘「…」
橘(…そうだ!)
橘(いっその事何も無かった事にしてしまえばいいんだ!)
橘(いつもの朝と同じ状態にするんた…!)
橘(つまり、今から僕がしなくちゃいけない事は…)
・橘がパジャマを着る
・美也にパジャマを着せる
・美也を美也の部屋に移動させる
橘(こ、これしかない…!)
橘(まずは僕がパジャマを着よう…!)
橘(美也を起こさない様に…静かに)
橘「…」ゴソゴソ
橘(よし、布団から抜け出したぞ!)
橘「さて、パジャマは、と…」キョロキョロ
橘「…」
橘(何で脱ぎ捨ててあるんだ…!?)
橘「…」ジー
橘(これは…なんというか…)
橘(焦って脱ぎ捨てた感のある脱ぎ方だな…)
橘(昨晩僕は何を焦ってたんだ…?)
橘(と、とにかくパジャマを着よう…!)ガサガサ
橘「…」ガサガサ
美也「うーん…」モゾッ
橘「!?」ビクッ
橘(ま…まずい!起こしてしまったのか!?)アセアセ
美也「にぃに…もっとぉ…」ムニャムニャ
橘「ね…寝言…か?びっくりした…」ボソ
橘(…)ガサガサ
橘(…ってええっ!?何だ今の寝言!?)
橘(と…とりあえずパジャマを着たが…)
橘(今の寝言…凄く気になる内容だったな…)ゴクリ
橘(まあ寝言だから、夢の中での話ならいいんだけど…)
橘(さて、次は美也にパジャマを着せないと…!)
橘(美也に気づかれないように…そっとだ…
そっと掛け布団をめくるぞ…!)
橘「…」ソー
美也「すー…すー…」
橘(…ふう、美也は起きてないな…)ホッ
橘「…!」ビクッ
橘(こ…こいつ下半身も素っ裸じゃないか!!)
橘(本当、一体昨晩何があったんだよ!?)
橘「…っ」ジー
橘(い、いや…見てる場合じゃない…)
橘(先ずは下着から着せないとな…)ドキドキ
橘「パ、パンツを探さないと…」ボソ
その日、七咲はある約束をしていた。
ここ最近、水泳部の朝練続きで、クラスメイトと
一緒に登校する事が出来ない日が続いていた。
流石の七咲も、たまにはクラスメイトと仲良く和気藹々と
登校してみたいと常々感じていた。
そんなある日のある放課後の申し出だった。
美也「逢ちゃん!明日朝練ないなら一緒に登校しよーよ!」
七咲は快諾した。
橘「ふぅ…」
美也「すー…すー…」
橘(た…大変だった…!)ゼェゼェ
橘(しかし何とか美也にパンツを穿かせる事に成功したぞ!)グッ
橘(次はパジャマか…何処だろう…?)キョロキョロ
橘(…あった!これか!)ヒョイッ
橘「…」
橘(こ、これ…ボタンが全部飛んでるぞ…!)
橘(これじゃあ美也にパジャマを着せられない!)
橘(ど…どうする…?)
橘「…そうだ!」
橘(先ずは美也を美也の部屋に移動させ、
美也の部屋の箪笥から別のパジャマを探して、それを着せよう!)
橘(僕は天才か…)
テクテク
七咲「ここが美也ちゃんの家か」
七咲「さてと、じゃあお邪魔しようかな…」ヒョイッ
七咲は水泳部で鍛え上げた脚力を駆使し、
橘家の門扉を軽々と飛び越えた。
七咲「次はドアか…」
ガチャッ!ガチャッ!
七咲「駄目だ、鍵がかかってしまってる…」
七咲「これじゃあ美也ちゃんの家に入れないな…」
七咲「どうしよう…?」
七咲(扉が駄目なら窓から入るしかないな…)
七咲(でもそれって美也ちゃんのご家族に失礼だよね…)
七咲「それに窓にも鍵がかかってるっぽいし…」ボソ
七咲(あっ、そうだ!)
七咲(トイレの窓には鍵なんて普通かけないよね)スタスタ
七咲(それにトイレからだったら、あまり
美也ちゃんのご家族に迷惑もかからないはず…)スタスタ
七咲「よし、ここからお邪魔しよう…」
バッ!!
七咲「お邪魔します、美也ちゃんのクラスメイトの七咲です!」
七咲は元気良く、尚且つよく通る声でそう挨拶しながら
橘家のトイレの窓をくぐった。
七咲「え…うわっ!?」グラリ
しかし窓をくぐり抜ける際に身体のバランスを崩し、
トイレを目がけて頭から真っ逆さまに落ちてしまったのでたる。
ドテーン!!
橘「うわっ!?」ビクッ
橘「な、何の音だ…!?」ドキドキ
美也「うーん…すー…すー…」
橘(よ…良かった…。美也は今の音で起きなかったみたいだ…)ホッ
橘(確か、一階から聞こえたよな…行ってみよう!)スタスタ
七咲「いつつ…」
七咲(まさか私とした事が、こんなドジをするなんて…)
七咲「あっ」ビクッ
七咲(トイレの中に身体の一部が浸かったせいで
上半身がびしょ濡れだ…)
七咲(おまけに臭いし…)ハァ
橘(確か一階のこの辺りで物音がしたんだよな…)スタスタ
橘(この辺りだから…やっぱりトイレかな?)スタスタ
橘(一応中を確認しておくか…)
ギィィ
七咲逢は橘美也のクラスメイトである。
そしてそれ以上に、橘美也の良き理解者であり、親友である。
そして更にそれ以上に、橘美也の兄である
橘純一を誰よりも想い、慕っていた。
その橘純一が今、自分の眼前に、立っていた。
しかし橘は七咲の姿を確認する事は出来なかった。
橘がトイレの中の七咲に向かって視線を落とすより一瞬早く、
七咲の地を這う右足が橘の両足を横に薙ぎ払っていたのだ。
刈られた橘の両足が地を離れ、その身体が倒れ込むその際に
七咲の身体はトイレのドアをくぐり抜け、
七咲の両足は橘家の二階への階段を掛け上がっていた。
橘「いたっ!」ズテーン
橘「な…何だ今のは!何処に行ったんだ!?」キョロキョロ
七咲「うわああああ美也ちゃああああん!!!!」ドタタタタ
七咲(こんな汚水にまみれた姿を先輩に見られる訳にはいかない!)ドタタタタ
七咲(美也ちゃんを連れ出して、二階の窓から飛び降りて
一刻も早く逃げるんだ!!)ドタタタタ
七咲「美也ちゃんの部屋…あった!」シュザーッ
ガチャッ!!
七咲「美也ちゃ…あれっ!いない!?」
七咲「美也ちゃんっ!!何処ォ!?」ダダダダ
研ぎ澄まされた七咲の感覚が、走りながらも視界の隅に
眠っている美也を捉えた。
七咲「いたぁ!!」ギュルン
七咲「…ってここ、先輩の部屋じゃ!?」ビクッ
七咲(な…なんで美也ちゃんが先輩の部屋で寝てるの…!?)
七咲(…いや、考えるのは後!早く美也ちゃんを
起こして連れ出さないと!)タタッ
七咲「美也ちゃん、起き」ビクッ
美也「すー…すー…」
七咲(何でパンツ一丁で寝てるの!!?)
七咲(せ…先輩の部屋で…は…裸で…何で…)ガク
七咲(も、もしかして…二人は…そういう…!?)ガクガク
…タッタッタッタッ
橘(今二階から声がした…!僕の部屋の辺りだ…!)タッタッタッ
七咲(しまった!先輩が近付いてきてる!早く逃げないと…)ガクガク
七咲(…ってあ、あれ!?あ、足が動かない…!?)ガクガク
橘「…?」
橘(お、おかしいな…誰も居ないぞ…?)キョロキョロ
橘「…」シーン
橘(物音もしない…)
橘「…!」ハッ
橘(これが噂の…ポルターガイスト…か…?)ブルブル
七咲(…)ガクガク
七咲(辛うじて押し入れの中に隠れたけど…
これからどうしよう…?)ガクガク
橘(だとしたら僕の家はとんだ幽霊屋敷じゃないか…
何てことだ…怖すぎるよ…)ブルブル
美也「すー…すー…」
橘(…い、いや…ポルターガイストは一旦置いといて、
先ずはこのパンツ一丁の美也をどうするかが問題だな…)ゴクリ
七咲(あ…押し入れの隙間から先輩と美也ちゃんの様子が見える…)ガクガク
七咲(先輩と美也ちゃんの秘密を垣間見る事が出来るんじゃ…)ガクガク
橘(き…気を取り直して…)フゥ
橘(美也を起こさない様に、美也の部屋に連れて行こう…)
橘(これは大丈夫なはずだ…。寝入っている美也を
抱っこして運ぶのは今日が初めてじゃないんだし…)
橘「よっと」ヒョイッ
七咲(えっ!?美也ちゃんをお姫様抱っこしてる…!?)ガクガク
ガクガクガクガク
七咲(ああっ駄目だ…!ショックが大きくて膝が…)ガクガク
美也「…ふぇ?」
橘「!?」ビクッ
美也「…にぃに、何してるの…?」
橘(し…しまった!油断して動作が荒くなったか!?)
七咲(あっ、美也ちゃんが起きた!?)ガクガク
橘「み…美也…これは…だな…」アセアセ
美也「えいっ」チュッ
橘「な!?」ビクッ
美也「おはようのチューなのだ。にししし!////」
七咲「おは…っ!?」ガクガク
この時、この瞬間。
七咲はこの世に生まれ落ちて以来、
今までに無い程の失意と便意を感じ取った。
橘「お…」
橘「おはようのチューって何だよ!?」
七咲(何だよ!?)ガクガクジワァ
美也「おはようのチューは、おはようのチューなのだ!」
橘「い…いや!答えになってないよ!」
七咲(答えンなってねえよ!!)ガクガクジワァ
美也「昨晩はおやすみのチューもしたじゃんか」
橘「なん…だって…!?」ワナワナ
七咲(なん…だと…!?)ガクジワァァ
美也「そして、その後も…いっぱい…したよ?///」カァァ
橘「いっぱい、って…まさか…!?」
七咲(う…嘘…)ガクジワァァァ
七咲はその後も襖越しの橘と一緒に、美也の口から発せられる
信じられない昨晩の出来事を耳に流し込まれ続けた。
汚水で汚れてしまった七咲の上半身に呼応するかの様に、
彼女の下半身もまた、金色の汚水を垂らし始めた。
汚水は彼女の強くひき締まった大腿をつたい、
福羅牧に沿って綺麗な曲線を描きながら、
愛する橘純一の部屋を静かに濡らし始めたのであった。
美也「にぃには昨晩の事、覚えてないの?」
橘「全く覚えてないよ…というか実の妹とそんな事を僕は…!?」
美也「…?」クンクン
橘「…ん?」クンクン
美也「何だかこの部屋」
橘「…く、臭いな」
七咲(…)バシャバシャ
七咲(…)バシャバシャ
七咲(…はっ!)バシャバシャ
七咲(私…こんな所で一体何を…?)バシャバシャ
七咲にとってあまりにも強い衝撃。
七咲の脳はその衝撃を少しでも緩和する為、
七咲の意思とは無関係に七咲の意識を失わせ、
尚且つ過去2時間分の記憶を強制的に抹消していた。
七咲(ここ…ど…何処だろう…?)バシャバシャ
七咲(それに…このひどい臭い…)バシャバシャ
七咲(一体何処から臭って来ているんだろう…?)バシャバシャ
七咲(…!)バシャバシャ
七咲「ええっ!?」バシャバシャ
七咲「わ…私…おしっこ…漏らしてる…?」バシャバシャ
七咲「んっ…!」ググッ
ピタッ
七咲(よし…おしっこが止まった…)ホッ
バシャバシャバシャバシャ
七咲「ええっ!?何で!?」バシャバシャ
橘「い…今、押し入れから…」
美也「声が…聞こえた…よね?」
七咲(…はっ!)バシャバシャ
スタ…
七咲(外から誰か近付いてくる…?)バシャバシャ
スタ…
七咲(誰かは分からないけど、こんな姿を目撃されたら
七咲一族末代迄の恥だ…!)バシャバシャ
スタ…
七咲(どうにかして顔を見られない様に逃げないと…!)バシャバシャ
七咲(な、何か顔を隠すものは…)ガサガサバシャバシャ
スタ…
七咲「…あった、これだ!」バシャバシャ
橘「行くぞ、美也…!」ドキドキ
美也「う、うん…!」ドキドキ
ガラガラッ!!
橘「誰だっ!?そこに居る臭い奴は!?」バッ
襖の向こう側の異臭漂う空間。
そこには、
びっしょり濡れた輝日東高校の制服を着、
異臭を放つ靴下と靴を履き、
まるで水道の蛇口から出る水の様に、
股関から放尿し続ける
イナゴマスクの仮面を被った女が立っていた。
七咲(えっ!?せ、先輩!?)バシャバシャ
七咲(…とパンツ一丁の美也ちゃん!?)バシャバシャ
七咲(これってどういう…?)バシャバシャ
七咲(い、いや!そんな事を考えてる暇はないっ!)バシャバシャ
七咲(今は一刻も早くこの場から立ち去るんだ!)バシャバシャ
ダダダダッ
橘「あっ!ま、待てっ!」ダダダダ
橘は素早く部屋の入口に回り込んだ。
橘「に、逃がさないぞ!お前は誰だ!?」ドキドキ
七咲(なっ…名乗れる訳がない…!偽名を使わないと!)
七咲「見て分からないのか小僧!イナゴマスクだ!!」バシャバシャ
橘「なっ…?」
橘「ふ…ふざけた事を…!と、とにかくっ…その…」
七咲「な、何だ小僧!言ってみろ!」バシャバシャ
橘「しょ…小便を止めろ!」
七咲(先輩それは私も止めたいんです…)
七咲「断る!」バシャバシャ
橘「な、何て堂々とした変態だ…こ、こうなったら!
無理矢理にでもその仮面を剥いでやるぞ…!」ジリジリ
七咲(そ、それは困ります先輩!どうしよう…?)バシャバシャ
七咲(そ、そうだ!自分から偽名を名乗って
仮面を取る必要が無い様にしよう!)バシャバシャ
七咲「ま…待って橘君!私よ!」バシャバシャ
橘「!?」ビクッ
橘(も、もしかして…僕の知ってる人なのか…?)
七咲「お、驚かせてごめんね?私よ、森島はるかよ!」バシャバシャ
七咲(森島先輩すみません…)
橘(も…森島先輩!?た、確かにこいつは輝日東高校の制服を着ているな…)
橘「ほ、本当に森島先輩なんですか…!?」
七咲「そ、そうよ!わお!わお!」バシャバシャ
橘(あ、怪しい…。けれど森島先輩ならこれぐらいの事は
平然とやってのける人だ…!)
七咲「め…迷惑かけちゃってごめんね!ついでにおしっこもかけちゃって」バシャバシャ
七咲「これからはこんな事はしないわ。だからそこ、通して欲しいな?」バシャバシャ
橘「う…」
橘(…ま、待てよ…?森島先輩ほどの身体能力の持ち主が
僕ごときを相手に通してくれる様に懇願するなんて
可笑しくないか…?)
橘(よ…よし!カマをかけてみよう…!)
橘「こ…ここを通りたかったら、僕を倒してからにして下さい!」
七咲「なっ…!?」バシャバシャ
七咲「そんな事出来るわけ…!」ハッ
七咲(そ、そうか…私が本当に森島先輩かどうか
先輩は試そうとしているんだ…!)バシャバシャ
七咲(じゃあ生半可にやったところで先輩には信じてもらえない…!)バシャバシャ
七咲(だったら!)バシャバシャ
橘「い、行きますよ!」ジリッ
七咲「ど、どこからでもかかってきなさい!」バシャバシャ
橘「…」ジリ
七咲「…」バシャ
橘「やあ!」タタッ
七咲は仮面の下で思わず溜め息をついてしまった。
自分が今まで憧れていた先輩は、思わず欠伸が出るほど
のんびりとした速さで走り迫って来るのだ。
ああ、あの右拳を当てたいんだな、先輩 は。
等と考えながら七咲はその右拳を左手で そっと触れ、
橘の拳の軌道を反らした。
橘「わわっ!?」
橘はバランスを崩しよろよろと軽くふらついたが、
すぐに体勢を立て直し、再び七咲の方へと向き直った。
丁度目の前、すぐ側に、イナゴマスクの仮面があった。
橘「う、うわっ」バッ
橘が慌てて距離を取り直した。
取り直そうとした。
よりも更に早く、イナゴマスクの右足は橘の両足を刈り取り、
あっという間に橘を地に伏せさせた。
橘「うう…っ!」
七咲「こ…これで私が森島はるかだって事、分かってもらえたかしら?」バシャバシャ
橘「こ、この見事な身体さばき…間違いなく森島先輩だ…!」
七咲「じ、じゃあ私はこれで」バシャバシャ
スタスタ…
美也「本当にそうかなー?」
その無垢な「本当にそうかなー」という声は
七咲の耳元で起こったものだった。
七咲(美也ちゃん!?)バッ
反射的に後ろに飛び下がった七咲を追いかけず、
美也はただじっと見つめていた。
美也「みゃーの方がね」
美也「もっと正確に」
美也「判断出来ると思うんだ。」
七咲「美也ちゃん…やるつもり!?」バシャバシャ
美也を見据えた筈の七咲の視界には、
橘の部屋の家具だけが映っていた。
七咲は美也を見て捉える事は出来なかったが、
自身の懐に感じた風に反応する事は出来た。
咄嗟に腰を捻った七咲の身体のすぐ側を、
美也の小さな拳が高速ですり抜けていくのが分かった。
美也の小さな拳はすり抜けた。
美也の小さな身体もすり抜けた。
ただ美也の頭だけは七咲の顔を見据えていた。
目が合った。
その瞬間七咲は腹部に強い衝撃を感じた。
咄嗟に見た自分の脇腹に、美也の左拳が突きささっていた。
美也には、仮面の奥の人間の顔が苦しんでいるのがありありと伝わった。
その仮面が、ぐるりと斜めに傾いた。
七咲の顔が傾いたのではない。
知らぬ間に両足を払われた美也の身体が、
バランスを崩し、傾いたのである。
二人同時に倒れ込む結果となった。
七咲は咄嗟に立ち上がる
よりも一瞬早く、美也の膝が七咲の顔の目の前にあった。
膝が、当たった。
イナゴマスクの仮面が割れ、割られた仮面の中には、
いつもの無表情な七咲の顔があった。
しかし美也は七咲の顔を確認することは出来なかった。
膝が当たるよりも一瞬早く、美也の顎を七咲の右拳がかすめ、通過していた。
美也が倒れ込むより先に、七咲は橘の部屋を飛び出し、
二階の窓から飛び降りて、一目散に駆け出していたのであった。
七咲「あっ…」ピタッ
七咲「そう言えば私、今日美也ちゃんと
一緒に登校する約束をしてたんだった…。」
おしまい
おかしいよね
最初はえっちいのを書こうと思ってスレ立てるんだけど
気が付いたら皆戦ってるんだよね
>>143
戦うのはともかく漏らすのはなんとかならんのか
乙
次は、七咲が放尿するのは大目に見るから、
橘さんとみゃーがらぶらぶちゅっちゅっみたいな感じで頼む
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