さやか「何?ほむらが私に頼みごとって」(138)

ほむら「その……えっと……」

さやか「深刻な問題でもあったの?」

ほむら「そうじゃないのだけど……」

さやか「頼みごとを言ってくれないと力になれないって、ほらほら」

ほむら「ちょ、ちょっとまって、深呼吸させて」

さやか「何?さやかちゃんに告白?悪いけど」

ほむら「違うわよ!」

さやか「じょ、冗談だって、まどかとの関係も知ってるんだから」

ほむら「そ、そうよね……ごめんなさい、呼び出しておいて」

さやか「いいっていいって、それで?」

ほむら「その……まどかと少し遠くまで自転車に乗って行こうって話になったのよ……」

さやか「おっデートじゃん!」

さやか「それで、相談ってのはそのデートに来ていく服とかまどかの好みとかそういう話?」

ほむら「そうじゃなくて……その……わ、笑わないでね?」

ほむら「私……自転車に乗れなくて……」

さやか「え?」

ほむら「だ、だからその……私、自転車に乗れないのよ……」

さやか「あんたタンクローリー操ったりしてたじゃん!」

ほむら「あ、あれは魔法の力だから……」

さやか「素直に自転車に乗れないってまどかに伝えたら……」

ほむら「この歳で自転車に乗れないなんて言えるわけないじゃない!」

さやか「意外と自転車に乗れない人っているらしいよ?」

ほむら「お願いよさやか、私に自転車に乗る特訓をして欲しいの」

さやか「電車でちょっと遠くにとかは駄目なの?」

ほむら「だ、だって……自転車で行くと途中で綺麗な景色がなんてまどかに言われたもの……」

さやか「しょうがないなぁ」

さやか「それで、自転車はあるの?」

ほむら「あ!」

さやか「ないんかい!」

ほむら「まずいわね……」

さやか「練習の前に自転車を買うのが先だね、お金はあるの?」

ほむら「それなりには」

さやか「じゃあ早速買いに行きますか!」

ほむら「ま、待って!」

さやか「どしたの?」

ほむら「買ったとしてもどうやって運ぶの?」

さやか「乗っていけばって乗れないんだっけ……盾に収納は?」

ほむら「なるほど!」

さやか「うーん、でもせっかくだし乗って帰ったほうがいいね」

ほむら「え!?」

さやか「大丈夫大丈夫、二人乗りで私が漕いであげるよ」

ほむら「で、でも自転車の二人乗りって自転車に乗れない私にできるものなのかしら?」

さやか「まぁ実際座ってるだけみたいなもんだよ」

ほむら「そ、そう……ならいいのだけど」

さやか「まぁ、自転車は帰りに買うとして……特訓はどこでやるの?」

ほむら「……その……できれば人に見られない時間がいいのだけど……」

さやか「くぉのーさやかちゃんに睡眠時間を削れっていうのかー」

ほむら「そうよね……やっぱり駄目よね……ごめんなさい……」

さやか「あ、いや冗談だって……夜がどうって今更だし、魔女が出たら深夜でも一緒に戦ってるじゃん」

ほむら「さやか……」

さやか「このさやかちゃんに任せなさいって」

ほむら「ありがとう……」

さやか「……いつもの憎まれ口もなく素直にお礼を言われると調子が狂うなぁ……」

さやか「さて、自転車はほむらが好きなのを選べばいいとして」

ほむら「自転車以外にも必要なものがあるの?」

さやか「初めて自転車に乗っても転けるだけの可能性があるし……」

ほむら「もしかして自転車って1日や2日程度では乗れるものじゃないの?」

さやか「んー正直なところわかんない」

ほむら「あなたは乗れるようになるまで苦労しなかったの?」

さやか「まぁ、乗れるようになるまでにはそれなりに転けたけど、小さい頃だしどうなんだろう」

さやか「それ以前にママチャリに付けれるような補助輪って売ってるのかな?」

ほむら「よくわからないけど……あなたの指示に従うわ」

さやか「まぁ、補助輪なんてなくてもなんとかなるかな」

さやか「んじゃ行きますか!」

ほむら「えぇ」

―店―

さやか「ほむらの好きなの選びなよ」

ほむら「こんなにある中から選ぶの!?」

さやか「そうそう」

ほむら「その……何か選ぶ上で気をつける点とかはあるかしら?」

さやか「電動自転車とか、ロードバイクとか、パンクしない自転車とかじゃないならいいんじゃない?」

ほむら「そうなの?」

さやか「まぁ最初だし、それにまどかの自転車は普通の自転車だしね」

ほむら「じゃ、じゃあ……その……」

さやか「ん?決まった?」

ほむら「ま、まどかと同じ自転車が……その……」

さやか(同じママチャリなんてあるかな……)

ほむら「も、もしかしてまどかの自転車は上級者向けの自転車とか……」

さやか「私達みたいな人が乗る自転車に上級者向けとかないって」

―店の外―

さやか「色は違うけど有って良かったじゃん」

ほむら「えぇ」

さやか「まどかの自転車はピンクだし、ほむらの自転車は紫ってイメージカラーになってるし」

ほむら「そ、そうかしら///」

さやか「まどかの事になるとわかりやすいなぁ、普段からそうだったらいいのに」

ほむら「う、うるさいわよ!」

さやか「ほほう、今このさやかちゃんに逆らうなんていいのかな?」

ほむら「うっ……ごめん……なさい……」

さやか「ふっふっふっ、まぁ冗談はいいとして、早速この自転車に乗ってほむらの家に行きますかね」

ほむら「それで、二人乗りってどうするのかしら?」

さやか「これは荷台があるからそこに座って落ちないように私に抱きついてればいいよ」

ほむら「あ、あなたに抱きつくなんて!」

さやか「別に二人乗りで勘違いなんてされないって、ほらほらさっさと座る!」

ほむら「そ、そう……」

さやか「ほむら?」

ほむら「な、なに?」ギュゥ

さやか「抱きつけって言ったけど……強すぎだって、苦しいよ……」

ほむら「そ、そう言われても……な、なんだかふらふらしてるし」

さやか「そりゃあ怖くないようにスピードださずにほむらに強く抱きしめられてるし」

グラッ

ほむら「わわっ!」ギュゥ

さやか「ぐぇ……ちょ、ちょっとタンマ、あ、歩こう……降りてほむら」

ほむら「ちょ、ちょっと!ど、どうやって降りるの!」

さやか「このスピードならいけるでしょ!?」

ほむら「む、無理よ!だ、だってふらふらしてるし!」

さやか「タンクローリーに乗ってワルプルギスに特攻して飛び降りてそのまま戦艦を操ったあんたはどこにいったのさ!?」

さやか「はぁ……なんとか止まれた……」

ほむら「ごめんなさい……」

さやか「そんなに怖がるなんて思わなかったよ」

ほむら「ワルプルギスの時はとにかく倒さないとって周りが見えてなくて……」

さやか「まどかが関わるとあんたってすごいね本当……」

ほむら「それほどでもないわ」ファサ

さやか「……褒めてないからね?」

ほむら「……」

さやか「にしてもあのスピードで怖いってなると前途多難かも」

ほむら「そう……」シュン

さやか「ああもうそんな落ち込まない落ち込まない」

ほむら「でも……」

さやか「なんのために私がいるのさ」

ほむら「あなたがこんなに頼もしいと感じるなんて初めてね……」

さやか「今までそんなに私は頼りなかったっていいたいわけ!?」

―ほむホーム前―

ほむら「じゃあ今日はよろしくお願いするわ」

さやか「そういえば時間だけ聞いて忘れてたけど」

ほむら「何?」

さやか「特訓はどこでやるの?」

ほむら「……あなたがいいと思う場所でいいわ」

さやか「って言われても……んー」

マミ(あら?暁美さんと美樹さんだけなんて珍しいわね)

マミ「あけ……」

ほむら「まどかに見つからない場所だったらいいわ」

さやか「素直になったらいいのに」

ほむら「だ、ダメよ!絶対に駄目!」

さやか「そんなに隠さなくてもいいとおもうけどねぇ」

ほむら「わ、私はまどかと付き合ってるのよ!そ、それなのにそんな……」

マミ(ま、まさか暁美さんが美樹さんに浮気!?)

さやか「ほむらも可愛い所があるなぁ」

マミ「美樹さん!」

さやか「うわ、ま、マミさん!」

マミ「あ、あなた……さっきまで暁美さんと何をしていたの」

さやか「え?ほむらの自転車を買いに行ってましたけど」

マミ「……本当に?」

さやか「はぁ……本当ですけど?」

マミ「その……暁美さんがあなたに浮気したとかってことは……」

さやか「ほむらが浮気はないでしょう、どうしたんですかマミさん」

マミ「だ、だってさっき鹿目さんに見つからない場所ならいいとか、暁美さんが戸惑ってたり……」

さやか「ぷっあははははははは、マミさんなんですかそれ」

マミ「ちょ、ちょっとわ、笑わないで///」

さやか「あー、いやあれはそんなんじゃなくてほむらが……あー……えっと……」

さやか(……ばらしちゃってもいいのかな?)

マミ「暁美さんが?」

さやか(ほむらは私を信用してくれたわけだし……やっぱマミさん相手でも言わないほうがいいかな)

さやか「えーと内緒ってことで!」ダッ

マミ「あ、ちょっと美樹さん!」

―――――
―――

マミ「気になるわね……ちょっと探ってみようかしら……」

―夜 空き地―

さやか「いやー待たせたね」

ほむら「いいわよ、あなたは一人暮らしでもないし、無理を行っているのは私なのだから」

さやか「そう言ってくれると助かるよ」

ほむら「じゃあ早速……」

さやか「うむ、さやか先生が教えてあげよう」

ほむら「まずどうしたら良いのかしら?」

さやか「まずは今日の様子をみる限り、ほむらが自転車に慣れてもらう事からかな」

ほむら「どうやって?」

さやか「そうだね……私が荷台を抑えて転けないようにしてあげるからほむらはゆっくりと漕いで感覚を掴んでみて」

ほむら「わかったわ」

ほむら「こ、こけ!転ける!!」

さやか「ああもう!慌てない!私が支えてるから信じなさいって!」

ふらふら

ほむら「わ、わわわわわ!」

さやか「ちょっとふらついたからってそんなにハンドルを切ったら!」

ガシャン

ほむら「……」グス

さやか「……前途多難だなぁ」

ほむら「ごめんなさい……自分の身体で乗り物を操るっていう感覚がわからなくて……」

さやか「しょうがないって、元々病弱だったんだから、怪我はない?」

ほむら「えぇ」

さやか「転けてもめげずに挑戦が上達のコツだよ」

ほむら「皆こんなに怖いことをしていたのね……」

さやか「私に言わせてもらえばあんたの繰り返しの日々の方が辛くて苦しいって……」

さやか「なんとなくバランスが取れるようになるまで続けるからね」

ほむら「わわっわわわ!」

さやか「ほら落ち着く!」

ほむら「あっわわわ!」

ふらふら

ほむら「あっ!」

ガシャン

さやか「あちゃーやっぱり補助輪探したほうが良かったかな……」

ほむら「ごめんなさい……」

さやか「ほむら、もしかして自分なんかじゃ自転車に乗るなんて無理なんじゃって思ってない?」

ほむら「……ちょっとだけ……」

さやか「それじゃ駄目だよ、乗れる!そう思い込むの」

ほむら「……思い込むだけでなんとかなるならワルプルギスに苦労しなかったわ……」

さやか「ほら屁理屈いわない!まどかと楽しく遊びたいんでしょ?私はあんたとまどかの事応援してるんだから」

ほむら「そうね、ごめんなさい……頑張るわ」

さやか「その意気だよほむら」

―1時間後―

ほむら「はぁ……はぁ……」

さやか「うまくいかないなぁ……」

マミ「その前に練習方法を少し変えたほうがいいんじゃないかしら?」

さやか「え!ま、マミさん!?」

ほむら「ま、マミ!!?」

マミ「まずは漕いだりしないで自転車にまたがって静止、危なくなったら足を地面につけたらいいわ」

マミ「美樹さんの方法は小さな子じゃないとちゃんと支え切れないだろうし、バランスも悪くなる可能性があるわ」

ほむら「……助言は感謝したいけど、その前に何故いるの……」

マミ「美樹さんが何か隠してるみたいだったからちょっと探ってたのよ」

ほむら「さやか……」ジトー

さやか「そんなジト目で見られても……」

マミ「美樹さんは悪くないわ、興味本位で後を付けた私が悪いのだから……」

マミ「ごめんなさいね……でも、私も力になってあげるから許してくれるかしら?」

ほむら「バレてしまった今となっては手伝ってもらえたほうが嬉しいわ……」

ほむら「……1秒も静止できないのだけど……」

マミ「バランスをとる感覚を覚えれたらいいのよ」

さやか「な、なんだか教えるのに慣れた先生みたいですね」

マミ「正直に言うと、私も自転車に乗るのに苦労したのよ」

ほむら「あなたが?」

マミ「えぇ、何度も何度も転んで、怪我をしてもう乗れなくていいって練習を手伝ってくれたお父さんに言った事もあるわ……」

さやか「そうなんですか……」

マミ「乗れるようになった時はすごく嬉しかった、、まだ小さな子供なのに、どこにでもいけるような気持ちになった」

マミ「暁美さんにも知ってほしいって思ったのかもしれないわ……自転車に初めて乗れた感動を」

マミ「本当はあなた達二人の練習を眺めていて出てくる気はなかったのにね」

ほむら「マミ……」

さやか「よーしもう今日中にほむらを自転車に乗れるようにしちゃいましょう!」

マミ「ふふっそうね」

ほむら「えぇ、是非お願いするわ」

ほむら「ところで、この静止は何秒できればいいのかしら?」

マミ「決まってないわ」

ほむら「え?」

マミ「あなたがもう十分バランスを取れると思ったらそこまででいいわよ」

ほむら「わかったわ」

さやか「うーむ、私が練習を手伝ってた時よりもやる気に満ち溢れているような……」

さやか「自転車に怯えている感じもしなくなってきてるし」

さやか「私が教えた1時間は無駄だったのかな……人に教えるって難しいですね」

マミ「美樹さんの方法は時間をあまりかけずに乗れるようになる可能性があるって言ったほうがいいかしら?」

さやか「え?」

マミ「私が暁美さんに言った練習は一歩一歩進んでいく方法」

マミ「どっちがいいって言われれば一長一短よ、ただ暁美さんにはこっちの方が合ってるように見えたってだけ」

マミ「えぇ、だからあなたの練習が無駄なんてことは絶対にないわ、もし無駄だったら私がすぐに止めていたわよ」

さやか「マミさん……」

ほむら「ほむむむむ」フラフラ

ほむら「そろそろ次のステップに移ってもいいかしら?」

マミ「十分練習はできたみたいね、次はハンドルの練習よ」

ほむら「どうやるのかしら?」

マミ「さっきの練習で倒れそうになった方向にハンドルを少し回すのよ」

さやか「転けないようにできるわけですね」

マミ「そういうこと、これもあなたが十分に意識的に倒れる方向にハンドルを回せると思ったら次に進んでいいわ」

マミ「といっても、十分じゃなければ後々苦労するだけだから、完璧と思うまで続けても損はしないわ」

ほむら「わかったわ」

さやか「んーやることないですねー」

マミ「普段弱みなんてあまり見せない暁美さんがこんなに弱みを見せているのを眺めない手はないわ」クスクス

さやか「そうですねー」ケタケタ

ほむら「き、聞こえているわよ///」

マミ「恥ずかしがってるわね」クスクス

さやか「かわいいですね」ケタケタ

ほむら「わわっ」フラフラ

マミ「焦らない焦らない」

ほむら「わわわ!」フラフラ

さやか「ほむら、ハンドルを回し過ぎたら駄目だよ」

ほむら「はぁ……」

マミ「いい調子よ、暁美さん」

さやか「うんうん」

ほむら「自分が魔法に頼ってばかりだったって思い知らされるわね……」

マミ「あら、時間停止のない今のあなたが私達より魔法を使っているとは思えないけど」

さやか「確かにそうですね」

ほむら「少しだけ休憩してもいいかしら?」

マミ「えぇ、連続で続けているのだから休息も必要よ」

さやか「ちょっと自転車借りるよほむら」

ほむら「え?えぇ」

ほむら「さやかがどこかに行ってしまったわ」

マミ「あの子のことだからきっと飲み物を買ってきてあげようって考えでしょうね」

ほむら「そうね、さやかは優しいもの……」

マミ「ついこの前まで美樹さんと敵対していた人とは思えない発言ね」

ほむら「それを言うならあなたとも私は敵対していたじゃない……」

マミ「綺麗な星空ね……」

ほむら「えぇ……」

マミ「隣にいるのが鹿目さんだったら良かったわね」

ほむら「そうね」

マミ「そこはお世辞でも、私で我慢してあげるとか言うところでしょう?」

ほむら「それはお世辞に含まれるのかしら?」

マミ「機嫌を取ろうとする言葉ではないけど、あなたが鹿目さんの代わりとして我慢できるって言うならすごいことじゃない」クスクス

ほむら「そう……じゃあ、今日はマミで我慢してあげるわ」

マミ「光栄ね」

マミ「聞いてもいいかしら?」

ほむら「何?」

マミ「どうして鹿目さんに言わないの?」

ほむら「……」

マミ「私があなただったら、鹿目さんに正直に話して自転車に乗る練習を手伝ってもらうわね」

ほむら「そう」

マミ「その方が恋人と一緒にいることができるのに」

ほむら「別にいいでしょう……」

マミ「本当に暁美さんって可愛いわね」

ほむら「突然何よ」

マミ「鹿目さんの前ではとことん格好つけようとして……裏で努力しているなんて素振りすら見せない」

マミ「見てる私や美樹さん、佐倉さんからしたらいいけど、ちょっとぐらいは鹿目さんに隙を見せてあげないとダメよ?」

ほむら「隙?」

マミ「えぇ、鹿目さんだってあなたに何かしてあげたいってきっと思ってるんだから」

ほむら「そう……」

さやか「さやかちゃん参上!」

ほむら「遅かったわね」

さやか「はい、ほむらとマミさんに飲み物の差し入れですよ!」

ほむら「ありがとう」

マミ「ありがとう美樹さん」

さやか「ふっふっふっ気が利く新生さやかちゃんですよ!」

ほむら「残念だけど、あなたが飲み物を買ってきてくれる事ならマミも私も予想していたわよ」

マミ「新生っていうとおかしいわね、美樹さんは元々気が利くいい子なんだからね」

さやか「マミさん……」

ほむら「思い込みは激しいし、いじっぱりで馬鹿だけどね」

さやか「ムカッ!」

マミ「そうね、さやかは優しいもの……ってさっき言ったのは誰かしら」

さやか「なんと!私がいない間に私にほむらがデレるなんて……明日は雨だね」

マミ「私にも暁美さんがデレたから槍が降るかもしれないわね」クスクス

ほむら「私を一体何だと思ってるのよあなた達」

ほむら「あまり遅くまで付き合わせるのも申し訳ないし、練習を再開するわ」

マミ「頑張りなさい」

さやか「ファイト」

ほむら「えぇ」

ほむら「わわ」フラフラ

マミ「さっきまでよりずっと良くなってきたわね」

ほむら「え、えぇ……」フラフラ

さやか「自転車でバランスを取りながら喋る余裕もできはじめてますね」

ほむら「わっ」フラフラ

マミ「順調に進んでいるわ」

ほむら「よ、よかわわっよかったわ」フラフラ

さやか「もう自転車に乗れるんじゃないかって思えてきますね」

マミ「そうねぇ」

ほむら「本当!」フラッ

ほむら「あっ」

ガシャン

マミ「気を抜いちゃ駄目よ暁美さん」

さやか「そうそう、ましになっただけでまだまだなんだから」

ほむら「そうね……」グス

―30分後―

ほむら「……」フラフラ

マミ「良い感じね」

さやか「ほむらが満足なら次に行っても問題なさそうですね」

ほむら「じゃあ、次に進もうかしら……」フラフラ

マミ「本当に?」

ほむら「え?」

マミ「絶対に大丈夫?」

ほむら「……もう少し続けるわ……」

マミ「少しでも不安に思うならしっかり練習したほうがいいわ」

さやか「そうですね」

ほむら「……」フラフラ

ほむら「そろそろ次のステップに進むわ」

マミ「わかったわ」

さやか「次はどんな事するんですか?」

マミ「簡単よ、暁美さんは自転車にまたがって片足で地面を蹴ってバランスを取りながら進むだけよ」

マミ「片足でって言っても右足、左足、右足って感じに順番にね」

さやか「動いている時のバランスをってことですか」

マミ「そういうこと、当然倒れそうになったらハンドルで倒れないようにすること」

ほむら「わかったわ」

マミ「両足が地面から離れて、それっでもすっと進む感覚をしっかりと掴めるまで続けるのよ」

さやか「ついに動き始めるわけですね」

マミ「暁美さんはしっかりと学習しているから成長もそれだけ早いと言えるわね」

さやか「まどかが関係しているから張り切ってる可能性も否めませんね」ケタケタ

マミ「そうね」クスクス

さやか「プッ……」

ほむら「……」

さやか「ククッ……」

ほむら「……」

さやか「が、がんばれほむら……ククッ」

ほむら「さやか……喧嘩を売っているのよね?」

マミ「はいはい、物騒な発言をしないの」

マミ「美樹さんも頑張っている人を笑っちゃ駄目よ」

さやか「そうですね……ごめんほむら」

ほむら「……」

さやか「真顔であの動きを見てたら面白くて……」

マミ「あの暁美さんがって思うとその気持ちはわかるわよ」

ほむら「……」

―30分後―

マミ「良い感じね」

ほむら「たまに両足を浮かせてもすすめるようになってきたわ」

マミ「そのままそれを続けながらブレーキを操作してみなさい」

ほむら「わかったわ」ギュッ

マミ「あ!急ブレーキはダメよ!」

ガシャン

さやか「あちゃー」

マミ「ブレーキは軽くよ」

ほむら「えぇ……身を持って体験したわ……」

ほむら「結構疲れるわね……」

さやか「まぁ、足動かしてるしね」

マミ「疲れたのなら休憩する?」

ほむら「大丈夫よ……」

さやか「まぁここまで来たらとことん付き合うから無茶するなよほむら」

マミ「そうよ」

ほむら「ありがとう……でも問題ないわ」

さやか「楽しそうな表情しちゃって」

マミ「だいぶ感覚がつかめてきてるみたいだし、もうゴールは見えているわね」

さやか「付き合ったかいがありますね」

マミ「私は元々頼まれていたわけではないけどね」

さやか「でもマミさんがこなかったらきっとほむらは傷だらけになってましたよ」

さやか「マミさんが来てくれて本当に良かったです」

マミ「ありがとう、美樹さん」

ほむら「これでどうかしら?」

マミ「えぇ、ペダルを漕いでいないだけで、十分自転車を操れているわね」

さやか「実質乗れたようなもんですね」

ほむら「本当!」ニコ

マミ「クールな子が笑顔になるとグッとくるものがあるわね」

さやか「まぁ、まどかの前だと結構笑顔にはなってますけど、それとはまた違った笑顔ですね」

マミ「じゃあここからは自転車に乗る……ただそれだけよ」

ほむら「ついに……私も自転車に乗るのね」

さやか「思い出すね……辛い日々を……」

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ほむら「私……自転車に乗れなくて……」

ほむら「む、無理よ!だ、だってふらふらしてるし!」

ほむら「こ、こけ!転ける!!」

ほむら「ごめんなさい……自分の身体で乗り物を操るっていう感覚がわからなくて……」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

ほむら「日々じゃなくて今日1日の出来事じゃない……」

マミ「言っておくけど、仮に自転車に乗れても、あなたはまだ初心者よ」

ほむら「そ、そうね……浮かれていちゃ駄目よね」

さやか「まぁ、まどかは安全運転でそんなにスピード出さないからそこまで怖がることはないって」

ほむら「だといいけど……」

マミ「まずはこの場で私達に自転車に乗ることはできることを見せてもらうわ」

ほむら「えぇ」

マミ「じゃあ自転車に乗る方法を説明するわ」

マミ「まずは、自転車を垂直に立てた状態で、利き足をペダルにかけるのよ、もう片方の足は地面踏んでいればいいわ」

ほむら「こうかしら?」

マミ「次はその利き足でペダルを踏み込んで、動き出したらもう片方の足をペダルに乗せて漕ぐのよ」

マミ「自転車はスピードがある方がバランスが取りやすいからって出しすぎちゃ駄目よ」

さやか「緊張の一瞬ですね……」

マミ「きっと暁美さんならできるわ」

さやか「頑張れほむら!」

ほむら「いくわよ……」

ほむら「えい!」

さやか「おぉ!!」

マミ「やったわね!」

ほむら「乗れてる!私!自転車に乗れてる!!」

さやか「おめでとうほむら!」

ほむら「よかった……」ポロポロ

マミ「あ、暁美さん!前をちゃんと見て!!」

ほむら「あ!」

ガシャン

さやか「……」

マミ「……」

ほむら「……」グス

マミ「次はちゃんと前を見て運転よ?」

ほむら「えぇ……」

ほむら「♪~」

さやか「機嫌良さそう」

マミ「1日で乗れるようになったんだもの、いいことよ」

ほむら「えぇ、あなた達には感謝しているわ」

マミ「後は坂道とかひたすら乗って慣れるしかないわ」

さやか「といってもこの暗い中を運転させるのは……」

マミ「そうねぇ……」

ほむら「後は自分で頑張ってみるわ……これ以上迷惑をかけるのも……」

さやか「迷惑なんかじゃないって」

ほむら「え?」

さやか「あんたに頼られて私は嬉しかったよ」

ほむら「さやか……」

マミ「ね?隙を見せたら距離が縮まったでしょう?だから暁美さんは鹿目さんももっと頼らないとダメよ?」

ほむら「あなた達にはかなわないわね……」

さやか「そうそう、もっとあんたは皆を頼らないと駄目だって」

ほむら「そう……かしら……」

マミ「えぇ、少し前はあなたを誤解していたかもしれない、それでも今は私にとって大切な後輩なんだから」

さやか「そうそう、私にとってあんたはもう新しい大切な親友なんだよ」

ほむら「……そう……じゃあ……その……明日も私の自転車の特訓に……」

さやか「まぁ、もうほむらの自転車を手伝う気はないよ」

ほむら「え?」

マミ「あなたが一番頼りにしないといけない人がいるでしょう?」

ほむら「……そうね……」

マミ「そろそろ帰りましょう」

さやか「ですね」

ほむら「えぇ……」

さやか「そうだほむら、今度さ、私達とまどか、杏子の5人で自転車乗ってどこか行こっか!」

マミ「いいわね」

ほむら「楽しそうね、是非行きたいわ」

―屋上―

ほむら「その……えっと……」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「あ、あのね、まどか……」

まどか「うん」

ほむら「そ、その……」

まどか「えと……なにか言いづらい事なのかな?」

ほむら「あ、いえ……」

―屋上の影―

さやか「ああもうじれったい!」

マミ「こういうのってワクワクするわね!」

さやか「マミさんもワルですねぇ」ケタケタ

マミ「美樹さんほどではないわよ」クスクス

―屋上―

ほむら「その……実は私、自転車に乗るのがそんなに得意じゃなくて……」

まどか「あ、そうだったんだ……ごめんね……じゃあ電車とかで行こっか!」

ほむら「そうじゃなくて、デートまでに近場に自転車で一緒に出かけて練習したいのだけど」

ほむら「そ、その……駄目かしら?」

まどか「駄目な訳ないよ!」

ほむら「まどか……」

まどか「一緒にいろんな場所に自転車で行って練習しちゃお!」

ほむら「えぇ!」

―屋上の影―

さやか「まぁ、予想通りですね!」

マミ「えぇ、三人とも嬉しそうでよかったわ」

さやか「三人?」

マミ「えぇ、鹿目さん、暁美さん、そして美樹さんよ」

さやか「たはは///」

―デート帰り―

ほむら「楽しかったわね」

まどか「うん!」

ほむら「まどかが言っていたように景色は綺麗だったし風は気持ちよかったわ」

まどか「また一緒に行こ!」

ほむら「えぇ」

まどか「そういえば皆で自転車に乗ってどこかに行くってさやかちゃんが言ってたけどどこに行くんだろうね」

ほむら「どこだっていいわ、まどかと……皆と一緒なら……どこだってきっと楽しいもの」

まどか「そうだね!なんだかサプライズにするとか言ってたからワクワクするよ」

ほむら「えぇ」

杏子「ほむら!まどか!」

ほむら「あら?杏子?」

まどか「杏子ちゃんどうしたの?」

杏子「さやかから自転車でどこかに出かけるって話は聞いてるよな?」

杏子「その……実は私は自転車乗れないんだよ……」

ほむら「杏子……」

杏子「頼む!さやかやマミに内緒で私に自転車の乗り方を教えてくれ!あいつらに言ったら絶対にからかってきやがる!」

まどか「私達で力になれるなら手伝うよ杏子ちゃん」

ほむら「私も手伝うわ、似たような境遇だったし……でもマミもさやかもちゃんと教えてくれるわよ?」

杏子「とにかくあの二人には知られたくないんだよ!特にさやかに!」

ほむら「最後にはさやかに聞くことになりそうね」クスクス

まどか「ティヒヒ、そうだね!」

杏子「あいつに聞くわけねぇだろ!」

ほむら「それはどうかしらね」


終わり

元々病弱で退院後の1ヶ月を繰り返すほむほむは自転車にきっと乗れないと妄想してみた
久しぶりに途中で寝落ちすることなく終わらせれた気がするwwwwwwwwww
暇つぶしになれば幸い

どうでもいいけど70Pつかってもやっぱり俺にはF賞すら当たらない……正直なきたい

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