男A「おーい、花瓶と花ちゃんと持ってきたかー?」
男B「持ってきたぜ。アイツが来る前にさっさとやっちまおう」
男C「ここをこうしてっと。よし、完成!」
女A「まーた男子くだらないことして……」
女B「でもおもしろそうwどんな反応するんだかw」
ガラガラ
杏子「……」
男A(おっ、きたきた)ヒソヒソ
男B(みんないつも通りな!)ヒソヒソ
遊戯王だよな?
だよな?
男C「昨日の魔法少女まさかみたー?」
男D「お前まだそんなの見てるのかよーw」
女A「ねぇねぇ今日帰りに喫茶店寄って行かない?」
女B「うーん、でも今月お小遣いがちょっと厳しいから……」
トコトコ
杏子(……ん?)
杏子(なんであたしの机の上に花瓶が……)
杏子(誰か間違えて置いたのか……?)キョロキョロ
男E(キョドってるキョドってるw)
女C(この後どうするんだろw)
キーンコーンカーンコーン
先生「お前ら座れー。朝のHR始めるぞー!」
先生「……? なんだ佐倉、その花瓶どうした?」
杏子「いや……。あたしが来たら机に置いてあって……」
先生「誰かこの花瓶知ってる奴いるかー?」
女A「知りませーん」
女B「私が来たときにはもう置いてありましたー」
男A「佐倉が置いたの覚えてないんじゃないの?」
女B「ありえるーw」
先生「うーん、なんだ。後ろの棚にでも置いておきなさい」
杏子「……はい」
男A「なんか臭くねー?お前屁しただろーw」
男B「してねーよ!俺の屁はミントの香りするし!」
男C「なに言ってるんだコイツwじゃあこの臭いは誰からだよw」
男B「クンクン……。クンクン……」
男A「おいどこに行くんだよw」
男C「そっちは佐倉がいるところだぞーw」
杏子「……な、なんだよお前!近づいて来るなっ……!」
男B「犯人を見つけた!この臭いの発生源は佐倉だ!」
杏子「ふ、ふざけんな!あたしは臭くなんか……」
女A(お母さんに聞いたんだけど、佐倉さん家貧乏らしいよ)ヒソヒソ
女B(じゃああながち間違ってないかもねw制服なんかくったくたになってるしw)ヒソヒソ
杏子「お前ら……」ギリ
男A「うわー、佐倉が怒ったぞー!」
男B「なんで怒ってるんだよ佐倉」
男C「図星つかれたからじゃねw」
女A「ちょっと動かないでよ佐倉さーん、臭いが広がっちゃうでしょー」
ガラガラ
先生「おいお前らチャイム鳴ってるぞー、はやく座れー」
先生「昨日の続きからな、57ページ開け」
杏子(ない……ない……。あたしの教科書……)キョロキョロ
杏子(たしかに今朝はあったはずなのに……)
杏子(カバンの中か……?)
先生「どうした佐倉。教科書忘れてきたのか?」
杏子「……忘れてない。あたしはちゃんと持ってきた」
先生「持ってきたのになんで無いんだ?嘘を吐くのは良くないなー」
杏子「う、ウソなんかじゃ……」
先生「あー、もういい。佐倉。お前廊下に立ってろ」
先生「忘れてきただけならまだしも、嘘付いて良い訳する奴のために時間を潰すわけにはいかないんだ」
杏子「……」トコトコ
先生「よーし、じゃあ57ページから田中、お前音読しろ」
先生「今日はここまで。佐倉教室に入っていいぞ」
先生「いいか佐倉。忘れてきたなら忘れてきたでちゃんと言え」
先生「嘘はいかんぞ、わかったか?」
杏子「……はい」
杏子(……ちゃんと教科書持ってきたのに、どこにいったんだ?)
杏子(机の中にも、カバンのなかにもない)
杏子(家に忘れた可能性はないはずなんだけど……)
男A「オーイ、佐倉ー。お前の教科書あったぞー」
杏子「ほ、本当か!?どこにあったんだ?」
男A「ほら、そこだよそこ」
杏子「……なっ!?なんでゴミ箱の中にあたしの教科書が……」
男A「お前が間違えて捨てたんじゃねーの?」
クスクス...クスクス...
杏子「じ、自分の教科書を捨てるわけないだろ!」
男A「俺に言ったって知らねーよ。ってか俺お前の教科書見つけたんだから礼くらい言えよ」
女A「佐倉さんサイテー」
女B「貧乏な家の人は教養もないみたいだねw」
杏子「……」ッグ
杏子「み、見つけてくれて……ありがとな……」
―昼休憩―
杏子「……」トコトコ
女A「佐倉さんいつもこの時間いなくなるけどどこに行ってるんだろうねー?」
女B「たしかに。お昼ごはん食べてるところ見たことないよね」
女C「あとをつけてみようかw」
女D「さんせーい」
女A「あ、トイレにはいったみたいだよ!」
女B「なんだトイレかー。つまんなーい」
女C「でもはいってる時間長くない?」
杏子(この時間が一番長いな……)
杏子(しかし……)グ~
杏子(お腹減った……。でもアイツらの言うとおりウチにはお金ないし……)
杏子(削れるところで削って親父達に迷惑かけないようにしないとな)
杏子(それにしてもあたし臭いかな?)クンクン
杏子(うーん、自分じゃわかんねぇ。たしかに最近洗濯してないけどさ……)
杏子(……さて、そろそろ昼休憩が終わる時間だ。教室に戻るか)ガチャ
女A「佐倉さんみーっけ!」
女B「佐倉さんいつも見ないと思ってたらこんなところで時間潰してたんだ~w」
女C「もしかして臭いのはトイレの臭いがこびり付いてるからかもw」
ガチでこういう無能な先生いるよな
杏子「な、なんでお前らここに……」
女A「佐倉さんがどこにいるか気になって~」
女B「まさかトイレで時間潰してたなんて思わなかったけどw」
杏子「う、うるせェ!どけよ!」
女A「どけなんてこわーい」
女B「どうせあたし達同じクラスなんだから一緒に行けばいいじゃん」
杏子「あたしは一人で戻る。じゃあな」トコトコ
トコトコ
杏子「だ、だからついて来んなよ!」
女C「だから私たち同じクラスじゃーん。そんなこと言わないでよう」クスクス
女D「ほら一緒にいこ佐倉さん」クスクス
杏子「……勝手にしろ」ッチ
―教室―
男A「あれお前らなんで佐倉なんかと一緒にいるんだ?」
女A「いやー、佐倉さんが昼休憩のときにどこにいるか気になっちゃって」
男B「そういえばいつもいないな。どこにいたんだ?」
女B「佐倉さんはなんとトイレで時間潰してました~w」
杏子「お、オイ!お前……」ガシッ
女B「な、なによこの手は……。離しなさいよ……」
杏子「お前こそあたしに嫌がらせをするな!」
先生「なにやってるんだ佐倉!騒がしいと思ったら……」
杏子「ち、違う!あたしは悪くない……」
女B「さ、佐倉さんが急に……。私なにもしてないのに……」シクシク
先生「佐倉、放課後残りなさい。わかったな?」
―放課後―
先生「お前はいつも問題ばかり起こして……。先生の身にもなってみろ」
杏子「あたしは本当に何もしてない……。アイツらが……」
先生「なぁ佐倉。先生言ったろ?言い分けするなって」
先生「今度問題起こしたら親御さんに連絡するからな?じゃあもう帰れ」
杏子「……」
トコトコ
杏子(なんであたしばかり……。あたしがなにしたっていうんだ……)
杏子(オマケにもうこんな時間か……。はやく帰って家の手伝いしないと……)
ボカッ
杏子「いてっ!」
杏子「な、なんだ……?サッカーボールが……?」
男A「オーイ、佐倉!ボールとってくれよ!」
杏子(クソッ……当てたんだから謝れよ……)ケリッ
男A「……ん?なんだよその目は?ムカツクなーw」
男B「ちょっとそのボール貸せよw……オラァ!」ブンッ
杏子「や、やめろっ……うっ……!」
杏子「い、いてぇ……。ボールが顔に……」
杏子「……血。鼻血が……」ボトボト
男A「ハハハw佐倉のヤツ鼻血出してるw」
男B「おいおい、ボールに垂らすのだけは止めろよ佐倉w」
杏子「うぅ……」
男A「ったく、さっさとボール寄越せよなー」
男B「オイ聞いてるのか佐倉!!」ゲシッ
杏子「や、やめてくれよ……。蹴らないでくれ……」
男A「うるせーな。……そーだ、お前がボールの代わりになるか?w」
杏子「た、頼むよ……。あたしが悪かったから勘弁してくれ……」
男B「わかりゃーいいんだよw始めっからそう言えよびんぼーにんw」
男A「それにしてもひでー顔だなw顔面血だらけw」
男B「ハハハ言えてるwそろそろ行こうぜ、臭いが移っちまう」
男A「だな、じゃーな佐倉w」
タッタッタ...
杏子「うぅ……。なんであたしがこんな目に……」
ズズズズズ……
杏子「な、なんだか周りの景色が変わってるような……」
杏子「はは、血が出すぎておかしくなっちゃってるのか……?」
杏子「もう、なんだっていいや……。このまま死ぬんだったらそれでも……」
杏子「親父……かーちゃん……モモ……」
杏子「唯一のこころ、のこ……り……」
――――
「ティロ・フィナーレ!!」ドォォン
「さすがだね、マミ。魔女を一発で倒すなんて」
「そんなことよりこの子大丈夫かしら?気を失ってるみたいだけど」
「安静にしてれば大丈夫だと思うけど、僕としては目が覚めるまで一緒にいたいな」
「あら、どうしてかしら?」
「それは、この子が魔法少女の素質があるからさ」
おい…そろそろやめたほうが身のためだぜ
杏子「……ここは……?」パチクリ
杏子「あの世……ではないようだけど……」キョロキョロ
マミ「あら、お目覚めかしら。佐倉さん」
杏子「あ、アンタはたしか……隣のクラスの巴マミ……」
マミ「そうよ、ヨロシクね佐倉さん」ニコリ
杏子「でもどうしてアンタがココに……?それにあたしはたしか気を失って……」
マミ「そうね、まずはそのことを話さないといけないわね」
…………
……
…
杏子「つまり、魔法少女とやらになればなんでも一つ願い事が叶うってわけか」
QB「その通りさ、佐倉杏子。飲み込みが早くて助かるよ」
マミ「その代わりずっと魔女と戦わなければならない運命を背負うことになるけどね」
杏子「……わりぃ、もう少し考えさせてくれないか?ちょっと今日は色々ありすぎて頭がついてこなくてさ」
マミ「そうね、急にこんなことを言われても困るわよね」
マミ「そこで提案なんだけど、佐倉さんしばらく私の魔女退治に付き合ってみない?」
マミ「魔女との戦いがどういうものか、その目で確かめてみればいいわ」
マミ「そのうえで、危険を冒してまで叶えたい願いがあるのかどうか、じっくり考えてみるべきだと思うの」
杏子「あぁ、そうだな。そうさせてもらおうかな」
QB「僕としては、早ければ早い程いいんだけど」
杏子「もう少し時間くれたら必ず答えを出すからさ……待ってくれよQB」
QB「僕としても魔法少女が増えるのは嬉しいことだからね。了解したよ」
杏子「じゃあ、あたしそろそろ帰らなきゃな……。じゃあなマミ、QB」
マミ「えぇ、さようなら。佐倉さん」
タッタッタ...
QB「佐倉杏子、か。彼女はきっと良い魔法少女になるよ」
マミ「……」
QB「? どうしたんだいマミ。浮かない顔だね」
マミ「たしかに、佐倉さんが魔法少女になって一緒に戦ってくれるのは心強いのだけど……」
マミ「佐倉さん、私が来たときひどい顔してたでしょう?でも、あれは魔女の仕業ではない」
QB「そうだね、彼女の顔を見たとき僕もビックリしたよ」
マミ「顔にも痣があったし、きっと……」
マミ「もし魔法少女になるとしたら、きっと良くないことに願い事をつかうんじゃないか。と思ってね」
QB「僕は魔法少女になることを止めることはできないけど、一応警告しておいたほうが良いんじゃないかな」
マミ「……いえ、こういうデリケートな問題は踏み込んで良いものではないわ」
マミ「私は彼女のことを詳しくは知らないけど……。話してみた感じ、悪い子ではなかったからきっと安心、よね」
QB「マミは優しいね」
マミ「あら?そうでもないのよ。私自身は魔法少女の友達ができたほうが嬉しいしね」
―佐倉家 洗面所―
杏子「……?顔に血がついてない……?」
杏子「でも顔に痣があるし、制服にも血が付いてるし……」
杏子「マミの奴が拭いてくれたのか?」
杏子「どちらにしても制服は隠したほうがいいな……心配かけさせたくないし……」カクシカクシ
モモ「おねえちゃん、今日は遅かったね。なにかあったの?」
杏子「今日は友達と遊んでて遅くなっちまった。わるかったな、モモ」
モモ「そろそろパパたち帰って来るからご飯の用意しないとね!」
杏子「あぁ、そうだな。急いで支度しないとな!」ニカッ
父「すまんな、毎日毎日こんな食事で……」
杏子「気にすんなよ、親父。親父が頑張ってるのはわかってるからさ」
杏子「そんなことよりモモ、お腹いっぱいになってるか?」
杏子「もしよかったらあたしの食べていいんだぞ?」
モモ「ありがとうおねえちゃん!じゃあ貰うね!」
母「杏子、アナタこそ私のを食べなさい。ほら……」
杏子「だいじょーぶだいじょーぶ、あたしダイエットしてるしさ。これくらいが丁度いいんだ」
父「杏子……」
杏子「じゃああたし学校の宿題があるから。ごちそうさん」
パタン
杏子(お腹、減った……)グ~
杏子(でも、モモはまだ小さいし……親父たちは働いてるし……)
杏子(あたしが我慢しないと……)
―翌日―
女A「うわぁー、佐倉さんどうしたの制服ー超うけるぅーw」
男A「なんだよその血、誰か殺したのか?w」
男B「ってか洗えよなー。あ、貧乏だから洗濯機ないのかなw」
男C「あ、佐倉一応言っておくから壷は買わないからw」
男D「きったねー奴。信じらんねー」
女B「ほんと、同じ女としてありえなーい」
女C「顔にもなんか痣あるしねー。なにをやってるんだか」
杏子(好き勝手言いやがって……!)
杏子(なんでだよ……貧しいことがそんなにいけないことなのか……?)
杏子(マミ……QB……願い事……)
杏子(あたしに選択肢はもう……)
―放課後―
マミ「佐倉さんはいるかしら?」
女A「佐倉さんはいるけど……どうして巴さんが佐倉さんを……?」
マミ「あら、友達と一緒に帰ろうと思ったけど駄目なのかしら?」ニコ
女A「そ、そんなことはないけど……。ちょっと待っててね」
女B「なんであの巴さんが佐倉さんなんかと一緒に……」ヒソヒソ
男A「佐倉のヤツ巴と仲良かったか?」ヒソヒソ
男B「知らねーけど……巴と佐倉ってどういう組み合わせなんだ?」ヒソヒソ
杏子「よ、よぅ……」
マミ「こんにちは、佐倉さん。一緒に帰らない?」
杏子「いいけどさ……あたしなんかと一緒にいていいのか?」
マミ「あら、佐倉さんまでそんなこと言うのね。友達と一緒に帰ろうとしてるだけなのに」
マミさんのおっぱいは俺のものだ
俺が仕事から帰ってきたときに「おかえりなさーい♪」
とか言いながら小走りで玄関まで来てくれるんだ
そのときのマミさんは制服にエプロン姿でとてもかわいい
そして俺は「ありがとう、今日の飯は何?」と聞いて
「シチューよ♪」って答えるマミさんがホントにかわいいんだ
で、ご飯の最中は学校であったことを楽しそうに喋るんだ
たまに嫌なことがあって涙目で話すときもあるけど、そんなときは黙って頭を撫でてやるんだ
そうするとマミさんは「えへへっ」と微笑んでくれるんだ
まだマミさんは中学生だからえっちなことはしないけど、夜寝るときは枕を抱きながら
「寂しいの」って俺の布団まで来ちゃうから理性が飛んじゃいそうで困る
トコトコ
杏子「なぁ、マミ。あたしさ、魔法少女になろうと思ってるんだ」
マミ「まだ魔法少女がどういうことかするのを見せてないのだけど……本当にいいの?」
杏子「あぁ。せっかく心配かけてくれたのにゴメンな」
マミ「私としては魔法少女仲間ができることは嬉しいことだから……。QB、いる?」
QB「話は聞かせてもらったよ。佐倉杏子、魔法少女になる決心はついたのかい?」
杏子「あぁ。それでなんだけど……」チラッ
マミ「わかってるわ。私がいるとやりにくいですもんね」
杏子「ごめんな、マミ」
マミ「いえ、気にしないで」トトト...
QB「さぁ、佐倉杏子。君は何を願って魔法少女の運命を背負うんだい?」
杏子「あたしは……あたしの願いは……」
杏子「みんなが親父の話を、真面目に聞いてくれますように……」
杏子「そうすれば、きっと……」
パアアア
QB「おめでとう。君の願いはエントロピーを凌駕した」
QB「さぁ、それが君のソウルジェムだ。受け取るといい」
杏子(これで……これであたしも魔法少女か……)
杏子(きっと、これで良いんだよな……)
マミ「終わったかしら?」
QB「うん、これで彼女も立派な魔法少女だ」
杏子「これからヨロシクな、マミ」
マミ「こちらこそ、ヨロシクね」ニコ
マミ「佐倉さんも魔法少女になったことですし……今日は魔法少女のことをいろいろ教えようかしら」
杏子「あぁ、頼むよ」
杏子(それから、あたしはマミにいろいろ教わった)
杏子(魔法少女のこと、変身の仕方、戦い方……)
杏子(そうこうしている内に、本当に自分は魔法少女になったんだという自覚していった)
杏子と俺は血の繋がってない兄妹だ
普段は俺のことを「お兄ちゃん」って呼ぶんだけれど
他人がいるときには「アニキ」ってよぶ
でも家だといつも甘えてきて大変だ
この前なんか俺が風呂入ってる時に「背中流してやるよ///」とか言って乱入してきやがった
あんときは意識が飛ぶかと思ったぜ。外だとあんなに俺にツンツンした態度とってるのによ
マミ「じゃあ、今日はこれくらいにしておきましょう」
マミ「明日は実際に街を探索してみるから、そのつもりでね」
杏子「わかった。それじゃああたしは帰るよ」
マミ「気をつけて帰ってね、佐倉さん」
杏子「あぁ、邪魔したよ」
パタン
マミ「……ねぇ、佐倉さんはどんな願いを叶えたのかしら……?」
QB「残念ながら、僕から他の魔法少女がどういう願い事をしたのか教えられないんだ」
マミ「そう……。いえ、それがきっと正しい。ごめんなさい、変な質問をして」
QB「でも、マミが危惧しているような願い事ではないから安心していいと思うよ」
マミ「そう、それなら良かった。じゃあ、ご飯の支度をしましょう」
タッタッタ
杏子「ヤバイ、もうこんな時間か!急いで帰ってご飯の支度しないと」
杏子「……ん?なんだこの人だかりは……。ウチのほうまで続いてるようだけど……」
モモ「あ、おねえちゃん!お帰り!」
杏子「ただいま、モモ。この人たちはいったい……」
母「数時間前からこんな感じよ。お父さんの話を聞きたいって大勢の方が来てくれて……」
母「あんなに活き活きしているお父さん、久しぶりに見たわ」
モモ「ずっと頑張ってたもんね!お父さんすごい!」
杏子(まさか本当に願いが叶ったなんて……)
杏子(疑っていたわけではないけど……)
杏子(でも、これであたしたち家族は報われるんだな……)
杏子「ロッソ・ファンタズマ!」
杏子「マミ、撹乱しているうちに早く!」
マミ「オーケー、佐倉さん!いくわよ!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ドォォォォォォォン
杏子「さすがだな、マミ!」
マミ「佐倉さんも随分戦いに慣れてきたわね、お疲れさま」
QB「マミ、杏子。魔女がグリーフシードを落としたみたいだよ!」
マミ「二人で分け合いましょう、佐倉さん」ニコ
杏子「この調子で頑張ろうな、マミ!」ニカッ
モモ「おかーさんお腹減ったー!」
母「待ってね、モモ。もうすぐご飯できるから」
父「今日も充実した一日だったよ。私の話で多くの人が救われると良いんだが」
杏子「親父の言っていることは正しいよ。きっとみんな救われているさ」
父「ありがとう、杏子。明日も頑張らなくちゃな」
母「ご飯できたわよ。さぁいただきましょう」
モモ「おかーさんの料理美味しい!おかわりー」
杏子「あ、あたしもおかわり!」
母「はいはい、待っててね。まだおかわりあるからたくさん食べてね」
モモ「うん!」
支援
モモ「むにゃむにゃ……」
杏子「ほら、モモ。こんなところじゃなくてちゃんとベッドで寝な」
モモ「おねーちゃんも一緒に寝よ……?」
杏子「まったく甘えん坊なんだからモモは。電気消すぞ?」パチッ
モモ「スースー…」
杏子「スースー…」
QB「杏子、起きて。魔女が現れたみたいだ」
杏子「……ったく、こんな時間に……。案内しろ、QB」
QB「こっちだよ!」
杏子「あいよ、さっさと片付けてまた眠るとしますか!」
ダッ
モモ「むにゃむにゃ……おねえちゃん……?」
モモ「おねーちゃん、また今日もいなくなってる……」
モモ「このまま帰ってこないなんて、ないよね……」
杏子(魔法少女になったあの日から、あたしの生活は変わった)
杏子(以前よりずっと裕福になって、毎日お腹いっぱい食べれる幸せ)
杏子(魔法少女になって、街を探索して魔女と戦い続ける日々)
杏子(戦うことは決して楽ではないけど、家族、そして街の人を守っているという誇り)
杏子(あたしは決して魔法少女になったことを後悔していなかった)
女A「ねぇ、佐倉さん。ちょっと今日の放課後残ってくれる?」
杏子「な、なんだよ。なにか用あるのかよ」
女B「だーかーらーそれは放課後に言うって!」
女A「逃げないでよね、佐倉さん」
―放課後―
杏子「それで用ってなんだよ」
杏子「あたし、マミを待たせてるから早く行かないと駄目なんだけど」
女A「佐倉さんさぁ、最近なんか調子乗ってない?」
女B「ホントホント。以前までのビクビクしていた佐倉さんはどこにいったんだか」
杏子「そんなことを言うためにわざわざあたしを呼び止めたのか?」
杏子「こんなくだらないことに付き合っている暇はないんだ。そこをどきな」
女A「だーかーらー。調子に乗ってるんじゃねーって言ってるんだよ!」ドン
女B「アンタん家最近たくさん人が来るようになったんだってねー。最近身だしなみが良くなったのはそのせいかな?」
杏子「なんだよ……。悪いのかよ……」
女A「悪いわよ。この前の血まみれの制服はどこにやったの?あれが佐倉さんにはお似合いよw」
女B「明日からそれ着て来ないともっと虐めちゃうよー?w」
杏子「……やなこった。ぜってぇ着ないからな」
殺れ。俺が許す
モA「……じゃあいいわよ。着てこなくて」
女B「あたらしく佐倉さんに合う汚らしい制服作っちゃうからさw」
シャカシャカ…
杏子「なんだよそのスプレーは……。まさかアンタら……」ジリ…
女A「動かないでねー?せっかくのアートが台無しになるから」
女B「よーし、やっちゃいましょーw」
杏子「や、やめろ……。やめてくれっ……!!」
プシューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!
女A「きゃははははははw随分いい制服になったじゃんw」
女B「ほんとほんとーw佐倉さんにお似合いだわーw」
杏子「うぅ……」
杏子「なんで……なんでこんなことするんだよ……」
女A「別にぃー?ただ佐倉さん見てるとなんかムカツクんだよねー」
女B「いっちょ前に人並みの生活送らないでよねー。びんぼーにんの佐倉さん」
女A「貧乏人は貧乏人らしくしてろっつーの。わかった?」グイ
杏子「……ねぇ」
女B「?」
杏子「アンタら……ぜってぇー許さねぇ……」ギリ
パアアアアアア…
女A「……な、なに?い、いきなり服装が変わった……」
女B「なによソレ……。どこからそんなモノ出したのよ……」
女A「ちょっと……こっちに向けないで……」
杏子「ぶっ潰してやる……」
ッシュ
―昇降口―
マミ「佐倉さん遅いわね……。もうとっくに約束の時間過ぎてるのに……」
マミ「もしかして先に帰ったのかしら……?」
マミ「ちょっと佐倉さんのクラスに行ってみましょう」トコトコ
「「キャーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!」」
マミ「な、なにこの悲鳴は……!?」
マミ「魔女、ではないわね……。とにかく行ってみましょう!」ダッ
女A「佐倉さん止めてッ!!私が悪かったから!!」
女B「も、もう許して!!」
杏子「……」ジリジリ
マミ「佐倉さん、何してるの!?」
杏子「マ、マミ……」
マミ「私たち魔法少女はみんなを守るためにいるんでしょ!?」
マミ「それなのにその力を人に向けるなんて……」
杏子「だ、だってコイツらが……」
パシンッ
杏子「……っ!?」
マミ「見損なったわ、佐倉さん。……あなたたち、大丈夫?」
女A「ふえぇ~巴さん怖かったよぉ……」
女B「さ、佐倉さんが急に私たちに……」
マミ「そう……私が来たからには大丈夫。安心してちょうだい」
うわあぁ
うわぁ
マミ「助けてあげる代わりに、二つだけ約束してくれるかしら?」
女A「約束……?」
女B「な、なに……?」
マミ「ひとつ、これからは佐倉さんにチョッカイを出さないこと」
マミ「ふたつ、いま起きたことを誰にも喋らないこと」
マミ「もしこの二つがあなたたちが破ったときには……」
マミ「今度は私があなたたちを殺すわ」
マミ「これは脅しや冗談じゃないわよ?あなたたちの死体を隠せるところ、私知ってるの」
マミ「わかったら、頷いてくれるかしら?」
女AB「「」」コクコク
マミ「そう、良かった。じゃあもう行きなさい。さようなら」ニコリ
タッタッタ…
杏子「マミ……。あたし……」
マミ「……佐倉さん。あなたは当分魔法少女の力を使わないで」
杏子「ど、どういうことだよそれ……」
マミ「言葉通りよ。グリーフシードは私が調達してくるから心配しないで」
マミ「だからあなたは今回のことを反省しなさい。いいわね?」
杏子「なんだよ……。あたしが全部悪いっていうのか……?」
マミ「そんなことは言ってないわ。でも、あなたのしたことは」
杏子「もういい!もう聞きたくないんだよそんなことは!」
杏子「いつもそうだ……あたしの言う事を聞かないで全部あたしのせい……」
杏子「もうこりごりだ……。こんな思いは……」
杏子「マミだけは……マミだけは信じてたのにっ……!!」
ダッ
マミ「さ、佐倉さん……っ!?」
タッタッタ…
杏子(なんで……なんであたしばっかりこんな目に……)
杏子(あたしは……あたしは普通に暮らしたいだけなのに……)
杏子(もう……もうこんな辛い思いするのは嫌だ……)
杏子「……ん?」ピタ
杏子「あ、あれは……モモ?公園で遊んでるのか?」
杏子「いや……なんか様子がおかしい……」
男の子A「俺の兄貴が言ってたぜ!お前の姉ちゃんみんなに嫌われてるって!」
女の子A「私のお姉ちゃんもあんたのお姉ちゃんのこと気持ち悪いって言ってた!」
モモ「や、やめてよ!おねえちゃんのこと悪く言わないで!!」
マミさんは空回りしちゃうかわいい
杏子(あたしのせいでモモが虐められてる……?)
杏子(はは、は……。あたしのせいで……)
杏子(なんだかもう……疲れた……)
杏子(目の前が……暗く……)
杏子(親父……かーちゃん……モモ……)
杏子(あたしはもうダメみたいだ……)
杏子(ゴメン、な……)
ピシピシ…
パリンッ
五巻のドラマCDだけどさ
あんな後付けの過去話誰が得したの?
そりゃあ杏マミ儲(という名の固定カプ持たないマミ儲)からしたら大歓喜かもしれないけどさ
杏子ファンからしたら全く得しなかった、無駄金だったろう
だいたい、杏さやは杏子ファンとさやかファンどっちともいるんだけど
杏マミ儲はマミ儲しかいないじゃん
事実こんな後付けの話を「公式だ!」で喚き初めて杏子スレ荒らして非常に迷惑
なんか今まで積み上げてきた杏さやが無下にされたみたいで悲しいわ
せっかくキャラソンは杏さやで気分が良くなったのに、テンション駄々下がり
女の子A「ちょっと……なんだか様子がおかしいよ……」
男の子A「なんだこれ……?なにが起きてるんだ……?」
女の子B「あそこ見て!ば、バケモノが……」
女の子A「こっちに来ないでよ!!い、いや……やめ」ブシュ
「「ぎゃああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」」
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ……
モモ「おねえ……ちゃん……?」
>>97
長い産業で
デブ信者の性欲は
魔女化したさやかを
遥かに上回る
QB「マミ!!魔女が現れたみたいだ!」
マミ「えぇ、私もいま気づいたわ。佐倉さんに連絡を……」
マミ「……いえ、なんでもないわ。QB案内して!」
QB「こっちだよマミ!急ぐよ!」
タッタッタ…
――――
マミ(佐倉さん……。ちょっと言い過ぎたかしら……)
マミ(魔女を倒したら、佐倉さんに謝りに行こう)
マミ(そうだ、最近できたばかりのお菓子屋さんでケーキを買って一緒に食べましょう)
マミ(きっと仲直りできるはずよね)フフ
QB「あそこだよマミ!どうやら女の子も巻き込まれたみたいだ!」
マミ「あなた、大丈夫?私が来たからにはもう安心よ!」
マミ「さっさと片付けちゃいましょう、いくわよ!」
ガシッ
マミ「……っえ?」
モモ「おねえちゃんを……おねえちゃんを虐めないで……」
マミ「お姉ちゃん……?あれは魔女と言って、人間に悪影響を」
モモ「……杏子おねえちゃんを虐めないでっ!!!!!!!」ポロポロ
マミ「……杏子?杏子って……あなたの苗字はもしかして佐倉って言うのかしら……?」
モモ「さくら……佐倉モモ……」ポロポロ
マミ(たしか佐倉さんにはモモちゃんっていう妹がいるって聞いたことがある……)
マミ「……ねぇ、QB。これは一体どういうことなのかしら……?」
>>101
デブって誰だよ
デブって奴がいたとして魔女さやかの何を性欲と比べるんだよ
てか性欲と魔女さやかをどうやって比べるんだよ
QB「やれやれ、まさか杏子がこんなに早く魔女化するなんてね。誤算だったよ」
マミ「なにを言ってるのQB……?私にもわかるように説明して……」
QB「ソウルジェムが戯れを溜め込み過ぎて黒に染まったとき、マミはどうなるか知っているかい?」
マミ「知らないわ……。聞いたことない」
QB「教えなかったからね、知らないのも無理ないよ。答えはね、君たち魔法少女は魔女として生まれ変わるんだ」
QB「そしてソウルジェムは魔法の使用に以外にも戯れることがある」
QB「それは憎悪や絶望などの暗い情念によるものだ」
QB「彼女は昨日の魔女との戦いでグリーフシードを使ったから、魔女化した理由は恐らく後者。マミ、心当たりはあるかい?」
マミ(佐倉さんはさっき……同じクラスの子から虐められていた……。いえ、きっとそれ以前からも……)
マミ(でも、それが理由ならもっとはやく魔女になっていてもおかしくないはず……)
マミ(きっと他に佐倉さんが魔女になった理由が……)
――――
杏子「マミだけは……マミだけは信じてたのにっ……!!」
――――
マミ「まさ、か……まさか私のせい、なの……?」
マミ「私が佐倉さんをここまで追い詰めたの……?」
QB「杏子はマミのことを信じてたからね。それが原因といっても過言はないよ」
QB「でもマミ、いま考えることはそんなことではないよ。あれはもう佐倉杏子ではない、魔女なんだから」
QB「彼女とはまるっきり別物さ。さぁ、マミ。魔女を倒すんだ」
マミ「わtしg……わたsがさkらさnを……」
QB「やれやれ……」
ガリッ…ゴリゴリゴリ…
ボギボギ…ベチャ…
QB「さて、君はたしか杏子の妹だったね?君にもどうやら魔法少女としての素質があるみたいだ」
QB「僕は、君たちの願いごとをなんでもひとつ叶えてあげられる」
QB「その代わり魔女と戦い続ける運命を背負うことになるけどね」
モモ「願い事を……叶える……?」ヒック…ヒック…
QB「なんだってかまわない。どんな奇跡だって起こしてあげられるよ」
モモ「そっか……なんでも叶えてくれるんだ……」
QB「さぁ、早く願い事を決めるんだ。魔女は待ってくれないよ」
モモ「私の……私の願い事は――――――――――――――」
パアアアア……
QB「まったく、無茶しすぎだよ。魔力のほとんどを使ってしまった」
QB「ほら、グリーフシードを使って戯れを移し変えるんだ」
モモ「ううん……。私……このまま……このまま消えようと思う……」
QB「まったく、君たち人間の考えることは僕にはわからないな」
QB「拾える命を落としてまで、なぜその道を選ぶんだい?」
モモ「だって……おねえちゃんだけ一人じゃ……一人ぼっちは……寂しいもん……」
QB「佐倉杏子、か。彼女にもっと早く出会っていれば、心が強くなっていたのかもしれない」
QB「僕が出会ったころにはもう人格が形成されてしまったことは残念だ」
モモ「ねぇ、QB……。私これから魔女になっちゃうの……?」
QB「そうだね。その戯れ具合を見るともう魔女になるのはもうすぐだ」
モモ「そっか……。魔女に……なっちゃうんだ……」
ザッ
「はぁ……はぁ……」
QB「遅かったじゃないか。もっと早くに来ると思っていたよ」
モモ「あなたは……あなたは誰……?」
「私は、あなたと同じ魔法少女」
「このままでは魔女になってしまうわ。グリーフシードを使いなさい」
モモ「ううん……いいの……。私はこのままで……」
「……何を言ってるの?はやくソウルジェムを出しなさい!」
QB「彼女の意思は固いよ。恐らくここでグリーフシードを使っても無駄になるだろう」
「……いいの?あなたはそれで……?」
モモ「うん。私……おねえちゃんに……おねえちゃんに会いたいから……」
モモ「お姉ちゃんに頼みごとがあるんだけど……私が魔女になったらすぐ倒してください……」
「……その必要はないわ。魔女化する前にソウルジェムを壊せばあなたは死ぬことができる」
モモ「そう……なんだ……。もし……もし良かったら……私のソウルジェムを……」
「……いいのね?……後悔したりしないわね?」
モモ「……うん、後悔なんて……後悔なんてない……。だから……お願いします……」
「……っ」チャキ
パリン…
杏子「ここは……いったいどこなんだ……?」キョロキョロ
杏子「あの世ってヤツには……間違いないようだけど……」
モモ「おねえちゃん、みーつけた!」
杏子「モモ?なんでモモがこんなところに……?」
モモ「ここは、私が願った世界だから……かな?」
杏子「願ったって……まさかモモ、魔法少女に!?」
モモ「うん。おねえちゃんが魔女になって……私が……」
杏子「そっか……迷惑かけたな、モモ」
モモ「ううん、いいの!私おねえちゃんと一緒にいたかったから!」
杏子「ここが天国か地獄かはわからないけどさ……。モモと一緒なら楽しいかもな!」ニカッ
おしまい
こんな遅くまで見てくれてどうもです
あんこちゃんが中学生まで契約しなかったらどうなってたかなーって妄想して書いてみました
それではおやすみなさい
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