櫻子「助けて船見先輩!」結衣「えっ?」(189)

櫻子「私に料理を教えて欲しいんです!」

結衣「料理?」

櫻子「はい! ダメですか?」

結衣「別にいいけど……またご飯当番?」

櫻子「あ、いえー、当番とかじゃないんですけど」

結衣「そうなんだ? だったら、どうして急に?」

櫻子「いやあ、私もそろそろ料理のひとつやふたつ出来た方がいいかなーって思いまして」

結衣「へえ、立派だね」

櫻子「えへへ!」

結衣「確かに、当番で台所に立つ機会が多いなら覚えてて損はないよね。お家の人も助か――」



櫻子「将来、向日葵に愛妻弁当とか作ってあげたいですしね!」

結衣「∵」

さくゆいスレだと思っ……本当に思った?

結衣「……えっ?」

櫻子「えっ?」

結衣「えっ……え、ゴメン、なんて?」

櫻子「向日葵に愛妻弁当とか作ってあげたい」

結衣「……」

櫻子「向日葵ってばいつも『櫻子ったら自分じゃご飯もよそえないんだから! ほらおかわりですわよ///』とか言うからもー悔しくって」

櫻子「で、向日葵にないしょで料理を上達させてビックリさせてやるんです!」フンス

結衣「……」

櫻子「船見先輩?」

結衣「……」

結衣「…………」

結衣「………………」ゴクン

結衣「……オーケー。私でよければ付き合うよ」ニコォ...

櫻子「やったぁ!」ワーイ

櫻子「じゃあじゃあ、今日船見先輩んちにお邪魔してもいいですか?」

結衣「今日? 別にいいけど」

櫻子「ホントですか!?」

結衣「うん。ちょっと待ってね、ちょっと京子にメールするから」メルメル

櫻子「はーい」

結衣「……ん。メールも送ったし、もういいよ」

櫻子「じゃ、行きましょう!」

結衣「うん」

テクテクテク

向日葵「さ、櫻子!?」ギョッ

結衣「!」

櫻子「?」

向日葵「……」ワナワナ

櫻子「あれ、向日葵じゃん。おっすー」

結衣「古谷さん、こんにちは」

向日葵「こ、こんにちは……」

向日葵「……あの、どうして先輩が櫻子と一緒に……?」

結衣「ああ、それは――」

櫻子「先輩! 向日葵にはないしょなんですってば!」

結衣「っと、そうだっけ」

向日葵「!」

櫻子「もー先輩ってば、気をつけてくださいよね!」

結衣「ごめんごめん」

向日葵「!!」

櫻子「あ、そーだ向日葵。今日は船見先輩と一緒に帰るから」

結衣「古谷さん、悪いけど大室さん借りるね?」

向日葵「!!!」

櫻子「もう行きましょ、船見先輩!」

結衣「そうだね。じゃあ古谷さん、また明日」

テクテクテク

向日葵「ぁ……ぁ……」ワナワナ

向日葵「櫻子……」

向日葵「櫻子が……船見先輩と……」

向日葵「私よりも……船見先輩を……」

向日葵「……」

向日葵「」ジェラッ

向日葵「!」ハッ

向日葵「い、いけないっ、いけませんわっ! 私ってば、なんて醜い考えを……!」ブンブンッ

向日葵「……」

向日葵「晩ご飯の買い物でもして、帰りましょう……」ハァ

トボ...トボ...

驚くなかれ、今日は実質4時間寝てる

結衣「それで、大室さん」

櫻子「はい?」

結衣「一口に料理って言っても色々あるわけだけど……どんなのが作りたい?」

櫻子「おいしいのー!」

結衣「……」

櫻子「?」ヘケッ

結衣「……ぐ、具体的には?」

櫻子「味が濃いのー!」

結衣「……」

櫻子「?」ヘケッ

結衣「……とりあえず、スーパー行こっか」

櫻子「はーい!」

~スーパー~

櫻子「スーパー超涼しい!」

結衣「(スーパーと超が被ってるみたいになってる……)」

櫻子「さぁ、さっさと買い物済ませちゃいましょう!」

結衣「うん。で、リクエストだけど……」

櫻子「おいしくて味が濃いのー!」

結衣「うん。悪いけどちょっと静かにしてて?」

櫻子「ちぇっ」

結衣「……」

結衣「(さすがに安請け合いだったかな……)」

結衣「(思ってた以上に難航しそう……)」

結衣「(でも、引き受けたからにはちゃんとした料理の一つくらいは覚えて欲しい……)」

結衣「(ちゃんとした……)」

結衣「……」

櫻子「せんぱいー? いつまで静かにしてたらいいですかー?」

結衣「……大室さん、ふたつ提案があるんだけど」

櫻子「提案?」

結衣「うん。ひとつは、覚える料理は私が決めること」

結衣「もうひとつは、それを主菜・副菜・汁物の3品にすること。どう?」

櫻子「えー!? 3品なんて覚えきれませんよー」

結衣「なるべく簡単なのにするから大丈夫だって」

櫻子「……でもぉ……」

結衣「それに、なにか派手に一品物を作るより、しっかり一食分の料理を作った方が、古谷さんをビックリさせられると思うよ?」

櫻子「!」

結衣「古谷さんに立派なご飯を振る舞うところ、想像してみて?」

櫻子「……」ナウローディング...



櫻子「やだっ……ダメだよ向日葵、ごはんが冷めちゃう///」

結衣「ごめん大室さん、人目が痛いから早急に現実に戻ってきてくれる?」

櫻子「わっかりました、私がんばります!」

結衣「うん……ほんと、頑張ってくれると嬉しいかな。色々と」

櫻子「それで先輩、メニューは何にするんですか?」

結衣「そうだな……」フーム

結衣「(大室さんでも出来る料理……か)」

結衣「(和洋中……とりあえず、今回は中華は除外だよな)」

結衣「(残るは二択……なるべく焼くだけとか煮るだけとか、作業量の少ない方がいいんだけど)」

結衣「(……煮物、なんていうと、なんとなく難しそうって先入観が邪魔しそう)」

結衣「(となると洋食? でも、洋食・美味しい・味が濃いって、焼いた肉にタレをぶっかけただけとかになっちゃうんじゃ……)」

結衣「(む、難しい……自分で作るんなら何も悩むことはないのに……)」

結衣「……」

櫻子「(お菓子食べたい)」ポケー

結衣「……大室さん、お味噌汁って作れる?」

櫻子「え? まあ、そのぐらいならどーにかこーにか……小学校の家庭科とかでもやりましたし」

結衣「よし、それじゃあ汁物はそれで、副菜は簡単なサラダ、メインは和風ハンバーグでどう?」

櫻子「ハンバーグ!? 私ハンバーグ大好きです!」ジュルリ

結衣「これなら美味しくて味も濃いと思うよ。和風だから多少さっぱりめになるけどね」

櫻子「いーです、美味しそうです!」

結衣「じゃ、決まりだね」

櫻子「わーい、ハンバーグハンバーグ!」

結衣「ひき肉はうちに残ってた筈だから……野菜だけ買おうか」

櫻子「了解!」ビシッ

今までのスレを読んでなくても楽しんでもらえたら嬉しいよね

櫻子「先輩! レタス持って来ました!」

結衣「大室さん、それはキャベツだよ」

櫻子「先輩! 小さい玉ねぎ持って来ました!」

結衣「大室さん、それはにんにくだよ」

櫻子「先輩! 大葉持って来ました!」

結衣「大室さん、それはサニーレタスだよ。レタス二度目だよ」

櫻子「先輩! にんじん持って来ました!」

結衣「大室さん、それはカプリコだよ。グリコのカプリコだよ」

櫻子「先輩! 痩せて色あせた大根持って来ました!

結衣「大室さん、それはゴボウだよ。敢えて痩せて色あせたものをチョイスする意図が私にはまるでわからないよ」

櫻子「先輩! ハンバーグ持って来ました!」

結衣「大室さん、それはインスタントだよ。今日はタネから作るからそれは返さなきゃダメだよ」

櫻子「先輩! お菓子持って来ました!」

結衣「カプリコと一緒に返してこい」

あれ、別にレタス二度目じゃねえ

結衣「(結局は私が付き添って材料を選んだのだった)」

櫻子「お豆腐とー、厚揚げとー、パン粉とー」ガサゴソ

結衣「買い忘れはなかった?」

櫻子「バッチリです!」

結衣「じゃあ行こうか。遅くなってもあれだし」

櫻子「はーい」

テクテクテク

向日葵「さ、櫻子!!?」ギョギョッ

結衣「!」

櫻子「?」

向日葵「お……ぉご……」ガクガク

櫻子「あ、向日葵だ。やっほー」フリフリ

向日葵「さ、櫻子……なぜ? どうして、船見先輩とスーパーに……?」

結衣「ああ、それは――」

櫻子「そんなの向日葵には関係ないじゃん」

向日葵「!」

櫻子「私、今日船見先輩の家に遊びにいくから」

向日葵「!!」

櫻子「帰り遅くなるかも」

向日葵「!!!」

結衣「……えっと、古谷さん」



結衣「そういうことだから」

向日葵「」

櫻子「先輩、早くしないと時間がなくなっちゃいますよぅ」

結衣「そうだね。じゃあ古谷さん、また明日」

テクテクテク

向日葵「」

向日葵「櫻子……」

向日葵「船見先輩と……ふたりで……」

向日葵「あんなに楽しそうに……お買い物を……」

向日葵「……」

向日葵「」ジェララッ

向日葵「……」

向日葵「……」グスッ

向日葵「……おうち、かえりましょ……」

向日葵「……」

向日葵「櫻子の……ばか……」

トボ...トボ...

~ゆいホーム~

結衣「さて。それじゃまずはエプロンを」

櫻子「する前に……っと」ヌギッ

結衣「うわああああっ!? お、大室さん!?」

櫻子「なんです?」

結衣「なんですじゃなくてさ……! なに、なんで脱いだの?」

櫻子「え、だって、今から料理するんですよね?」

結衣「するよ」

櫻子「だからエプロンするんですよね?」

結衣「するよ」

櫻子「じゃあその前に服脱ぎますよね?」

結衣「しねぇよ」

櫻子「ええっ!? 船見先輩、服着たままエプロン着るんですか!?」\ビックリーン/

結衣「着るよ!? 私だけでなく、私が知る限りではだいたいみんな服の上から着てるよ!?」

櫻子「えー、うっそだー?」

結衣「ウソじゃないよ……ていうか、じゃあ大室さんの家ってみんな裸エプロンなの?」

櫻子「いえ、うちでは誰もエプロンして料理しないんで」

結衣「ああそう……」

結衣「じゃあ古谷さんは? 料理してる姿を見たことぐらいあるよね?」

櫻子「向日葵はまだ嫁入り前なんですよ!? そんなホイホイと裸見せていいわけないじゃないですか!!!」クワッ

結衣「えっ!? あっごめんなさい!?」

櫻子「そっか、裸エプロンは普通じゃないのかぁ……」

結衣「うん……私の知ってる普通とは遠くかけ離れてるね……」

櫻子「ちなつちゃんと池田先輩と西垣先生に教えてもらったのになー」

結衣「人選から悪意がにじみ出てる!!!」

櫻子「?」キョトン

結衣「ああいや、気にしないで……」

結衣「(明日になったらちなつちゃんを問い詰め……やっぱやめとこう)」

結衣「……そ、それじゃあ料理をはじめようか」

櫻子「おおっ、ついにスタートするんですね!」

結衣「頑張って覚えてね」

櫻子「がんばります!」フンス

~味噌汁~

櫻子「豆腐切れましたー!」

結衣「大室さん、味噌汁は鍋料理じゃないから、豆腐一丁を四等分とかやめて」

櫻子「厚揚げ切れましたー!」

結衣「大室さん、厚揚げを広い面に平行に切るとか逆に器用だけどやめて」

櫻子「味噌いれまーす!」

結衣「その味噌を握りしめた手を下ろそうか」

~サラダ~

櫻子「レタス切りまーす!」

結衣「千切りじゃないよ」

櫻子「玉ねぎ切りまーす!」

結衣「みじん切りじゃないよ」

櫻子「プチトマト切りまーす!」

結衣「切るな」

~ハンバーグ~

結衣「……」

櫻子「……」キラキラ

結衣「……じゃあ、メインのハンバーグだけど」

櫻子「はい!」

結衣「用意するのは、ひき肉・パン粉・玉ねぎ・にんじん……」

櫻子「あ、ダメです」

結衣「え?」

櫻子「私にんじん食べれないんで。ニンジンいらないよ。です」

結衣「………………………………………………」

結衣「大室さん」

櫻子「はい?」

結衣「大室さんは、大室さんだよね」

櫻子「え? はぁ、私は私ですけど」

結衣「だよね」

櫻子「?」

結衣「私さ、京子と幼なじみなんだ」

櫻子「知ってます」

結衣「……もし、今ここでこうしてるのが大室さんじゃなくて京子だったら」

バンッッッ

櫻子「!?」ビクッ

結衣「」



結衣「ね?」ニコッ

櫻子「」ガクガクガクガクガクガク

怒ってる・・・・・・・

(中略)

ジュウウウ...

結衣「よし、あとは焼き上がるのを待つだけだね」

櫻子「デ、デスネー」カクカク

櫻子「……」

櫻子「……あの、船見先輩様」

結衣「なに?」

櫻子「船見先輩様って、歳納先輩と幼なじみなんですよね」

結衣「うん、そうだけど」

櫻子「……先輩方って、仲良いですよね?」

結衣「え? まあ、悪くはないけど……」

櫻子「……」

結衣「?」

櫻子「……私らも、先輩方みたいに出来たらなーって、たまに思うんですよ」

結衣「え?」

櫻子「歳納先輩が船見先輩様にドーンって抱きついて、先輩様はそれを受け止めて」

櫻子「そういうのが出来ないんですよね、私と向日葵って」

櫻子「私がドーンって行ったら、向日葵もドーンって来て」

櫻子「向日葵がドーンって来たら、私もドーンって行って」

櫻子「なんでそうなっちゃうんだろう」

櫻子「船見先輩様から聞いたって向日葵から聞いたんですけど、先輩方も私らと一緒で幼稚園からの腐れ縁なんですよね?」

櫻子「だから、やっぱりなんでだろうって、余計に不思議で」

櫻子「……」

櫻子「ほんと、なんでだろ」

結衣「……」

あかり「・・・・・・・・・・・・・」

あかりって誰だよ

>>105
あかり「・・・・・・・・・・・」グスン

結衣「……それでいいんじゃないかな」

櫻子「え?」

結衣「なにも、私と京子の関係が誰にとっても正解ってわけじゃないよ」

結衣「確かに私たちは仲が良い方がと思うけど、でもケンカとかしたら、やっぱり京子なんてもう知らない! なんて思っちゃうんだ」

結衣「だから、私に言わせてもらえば、毎日ケンカしてる……毎日ケンカ出来る大室さんと古谷さんは、ある意味で私たちより深い仲だって思えるよ」

櫻子「先輩方……より?」

結衣「うん」

結衣「まあ、ケンカばかりの関係でいいのかなって悩むのも仕方ないと思うけどね」ハハ

結衣「私と京子はもうそういう時期は通り過ぎたっていうか、ほら、私たちの方がひとつ年上だからさ」

結衣「大室さんたちも、あと少しだけ大人になったら、自分たちのことがもっと見えてくるんじゃない?」

櫻子「先輩……」

結衣「……」ニコッ



櫻子「このマンガ、サザエさん方式なんですけど」

結衣「……だったね」

櫻子「できたー!」

結衣「お疲れ様、大室さん」

櫻子「ありがとうございます! 櫻子ちゃんにかかればこんなの余裕でしたね!」

結衣「」グッ

櫻子「」ビクッ

結衣「でも、確かに見栄えは良いよ。初挑戦にしては上出来かも」

櫻子「櫻子ちゃんにかか」

結衣「」グッ

櫻子「」ビクッ

結衣「それじゃあこっちのハンバーグは味見用にもらってもいいかな?」

櫻子「ど、どうぞ、船見先輩様……」ブルブル

結衣「じゃ……いただきます」

櫻子「めしあがれ!」

結衣「……」スッ

櫻子「……」ドキドキ

結衣「……」パクッ

櫻子「……」ワクワク

結衣「……」モグモグ

櫻子「……」テカテカ

結衣「……」ゴクン

櫻子「……」

結衣「……」

櫻子「ど、どうですか……」

結衣「……」



結衣「うん、美味しいよ」

櫻子「ほんとですか!?」

結衣「本当本当。頑張ったね、大室さん」ヒョイパク

櫻子「生焼けだったりしてません!?」

結衣「しっかり焼けてるよ」ヒョイパク

櫻子「コゲすぎたりしてません!?」

結衣「ううん、ちょうどいい感じ」ヒョイパク

櫻子「ソースは!?」

結衣「問題なし」ヒョイパク

櫻子「ほんとのほんとにおいしいですか!?」

結衣「本当だってば。ほら、もう食べちゃった」\スッカリーン/

櫻子「~っ、やったぁ!」ワーイ

結衣「じゃあ、はいこれ、もうひとつの方のハンバーグ。タッパーと袋で二重になってるから、転んだり落としたりしても平気だと思うよ」スッ

櫻子「ありがとうございます!」

結衣「古谷さん、きっとビックリするね」

櫻子「はいっ!」

櫻子「先輩、今日は本当にありがとうございました!」

結衣「いやいや。これからも家で練習を欠かさないようにね。料理はやればやるほど上達するから」

櫻子「分かりました! 先輩に教えてもらったこと、いろいろ絶対忘れないです!」

結衣「うん」

櫻子「それじゃ、お邪魔しました!」

結衣「さよなら、気をつけてね」

これは先が楽しみ

タッタッタッタッタッ...

結衣「……」

バタン

結衣「……」

結衣「…………」

結衣「………………」

結衣「」フラッ

ドサッ

結衣「」

ガチャッ

京子「結衣ーただいまー。メールで頼まれた胃腸薬とか色々買って……結衣!?」

結衣「」\グッタリーン/

京子「ど、どうしたの結衣!? 何があったの!?」ユサユサ

結衣「」

京子「結衣!? 結衣……ゆいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいっ!!!」

あげ

タッタッタッタッタッ...

櫻子「(向日葵、喜んでくれるかな?)」

櫻子「(感激のあまりプロポーズとかされたらどうしよ……)」

櫻子「(もうっ、私らまだ13歳だってーの///)」

ガラッ

櫻子「ひっまわ……り?」

向日葵「……」ズーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン...

櫻子「ひ、向日葵……?」

向日葵「……」ブツブツブツブツ

櫻子「ど、どうしたの向日葵、なんか暗いぞ……」

向日葵「ぇ……?」スッ

櫻子「……」

向日葵「……」ハッ

櫻子「……」

向日葵「……」パチクリ

櫻子「……」

向日葵「……」プルプル

櫻子「……?」



向日葵「」ジワッ

櫻子「!?」

向日葵「……櫻子……」ポロッ

櫻子「お、おう……私だけど」

向日葵「櫻子……さくらこ……」ポロポロ

櫻子「ちょ、なに、なんで泣いてんの。帰る時どっかぶつけた?」アセッ

向日葵「櫻子おー!」ガバッ

櫻子「うにゃああああっ!?」ドテッ

向日葵「櫻子、櫻子櫻子櫻子っさくらこー!」

ちゅー

櫻子「んむっ!?」

向日葵「んっ、んんん、んーっ」チュッチュッチュ

櫻子「ぅぷ、ぱはっ、ゃっめ……ぅわ酒臭っ!?」

向日葵「うぇ……ええぇーん……」メソメソ

櫻子「ほ、ほんとにどうしたの、向日葵……?」

楓「櫻子お姉ちゃん……」フラッ

櫻子「楓っ!? って、そんなにボロボロでどうしたの!?」

楓「……おねえちゃんが……」

櫻子「向日葵? 向日葵が楓にひどいことしたの!?」

楓「うぅん……おねえちゃんは、おねえちゃんは……」

櫻子「……」ゴクリ

楓「奈良漬けをたくさん食べて酔っ払ってるの」

櫻子「」

楓「酔っ払ったおねえちゃんは、よくぼうのままに楓をめちゃくちゃにしたの……」

櫻子「そんな言葉どこで覚えた!? っていうか、マジなにしてんだ向日葵!」

向日葵「ほっといて! どうせ私なんて、櫻子に捨てられるようなダメな子なんですもの……うぅう~……」ポロポロ

櫻子「は、はあ? 捨てたってなに、なんの話?」

向日葵「とぼけないでよ……今日、私を置いて船見先輩と帰ったじゃない……」グスッ

櫻子「え?」

向日葵「しかも、スーパーで一緒に買物まで……」グズグズ

櫻子「……」

向日葵「櫻子が私より船見先輩を選んのも悲しかったけど、先輩に嫉妬してしまう私が醜くて、そんな私は櫻子に捨てられて当然で……」ジワワワワ

向日葵「でも櫻子と別れたくありませんのぉ~~~~~……っ」ビーッ

櫻子「向日葵!」

向日葵「なんですーもがっ!?」ズボッ

櫻子「これ! これを作ってたの! 船見先輩んちで!」グイグイ

向日葵「もが、もごご、ぐ、げほっ!?」ジタバタ

櫻子「お味噌汁も作った! サラダも作った! ぜんぶぜんぶ、向日葵のためなの!」グイグイ

向日葵「ご、ごっ……ぃ、い゛あァア゛ッ……!?」ガクガク

櫻子「向日葵を驚かせたくって! 向日葵に褒めてほしくって! 一生懸命がんばったの!」

向日葵「おぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎぎ」ビクンビクン

櫻子「ほっといたのはゴメン! ないしょにしてたのもゴメン!」

向日葵「」

櫻子「でも、私は、絶対に向日葵を見捨てたりしない! 嫌いになったりするわけない!」

向日葵「」

櫻子「大好きだもん、向日葵が!」

向日葵「」

櫻子「……向日葵?」

櫻子「……」

櫻子「うそ」

櫻子「向日葵?」

櫻子「……向日葵」

櫻子「ねぇ」

櫻子「返事……してよ、向日葵」

櫻子「……」

櫻子「……や、だよ」

櫻子「ねぇ!」

櫻子「向日葵!」

櫻子「やだぁ!」

櫻子「向日葵っ、向日葵、向日葵……向日葵……向日葵、ひ、まわ、り……」

櫻子「――」



櫻子「ひまわりいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

うわ・・・・・・

~5分後~

向日葵「死ぬかと思いましたわ」

櫻子「いやーメンゴメンゴ。そんなにマズいとは……」

向日葵「味の善し悪しを問う次元ではありませんわ。あれはもはや純然たる毒物よ」

櫻子「ぇえ、そんなに……?」

向日葵「そんなに」

櫻子「船見先輩、平気そうに食べてたのになぁ……毒耐性あるのかな?」

向日葵「もしかして、今頃倒れてるかもしれませんわね」

櫻子「あっはっは。まさかー」ケラケラ

~ゆいホーム~

京子「ゆいーーーーーーーーー!!!!! ウオアーーーーーーーーーーー!!!!!」ヴォー

~おっぱい家~

向日葵「今度、お詫びのクッキーを焼かないといけませんわね」

櫻子「いいねー」ジュルリ

向日葵「食べる気満々でいるんじゃないわよ!」シャー

秀吉でも倒れるかも・・・・・・・・

向日葵「だいたい、どうして急に料理なんて? 私を驚かせたいとか言ってたけれど」

櫻子「あー……なんでだっけ、忘れちゃった」

向日葵「はぁ、相変わらずいい加減ですのね……」

櫻子「ごめんあそばせー」ニャハハ

櫻子「…………まだ、言わなくてもいいよね」ボソッ

向日葵「なんですの?」

櫻子「なんでもないですのー」

向日葵「もうっ、子供みたいな真似はおよしなさい!」

櫻子「えへへ」

あげ

楓「おねえちゃん、おなかすいたの……」クゥー

向日葵「まあ、ごめんなさい! 晩ご飯の支度がまだでしたわね!」

櫻子「えー、楓にご飯も作らず酒粕に溺れたの? ひでー姉だなー」

向日葵「う、うるさいわね!」

楓「楓もお手伝いするの。ふたりでやればすぐだよ」

向日葵「か、楓~……ありがとう、あなたは私の自慢の妹ですわっ」ダキッ

楓「えへへ♪」

櫻子「あ、じゃあ私も手伝う」

「「!?」」

櫻子「……姉妹揃って同じ顔してんじゃねーよ」

向日葵「だ、だって、櫻子が料理を手伝うって……櫻子ですわよ!?」

櫻子「私だったらなんなんだよ! いいじゃん別に!」

櫻子「……その。失敗しちゃったけど、今日、結構楽しかったし……」

向日葵「……」

櫻子「……ダメ?」

向日葵「……仕方ありませんわね。特別に許可しますわ」

櫻子「むっ、なんで上から目線」

向日葵「命がかかってますもの。慎重に、横柄になるのは当然ですわ」

櫻子「だいじょぶだってー。てか私もおなかペコすぎるから早くしよっ」

向日葵「え? あなた、船見先輩のお宅で食べてきてませんの?」

櫻子「食べてないよ。作ってきただけ。向日葵に早く食べさせたかったし……」

向日葵「ぁ……」

櫻子「……っ」プーイ

向日葵「ほ、本当に仕方のない子ですわね……さっ早く台所に行きますわよ」

櫻子「おうっ! 今日のご飯なに?」

向日葵「今日は交際82日記念のお祝いですから」

櫻子「和牛ステーキ!?」

向日葵「鶏のから揚げですわ」

櫻子「微妙だーっ!」

向日葵「いいからさっさと……って、やだ、忘れてましたわ!」

櫻子「?」

向日葵「携帯。開きっぱなしでしたの」

櫻子「ははは、バッカでー。じゃあ楓と先行ってるから」スタスタ

向日葵「あ、待ってよ、私も行きますわ! ええと……」



向日葵「それじゃあ吉川さん、おやすみなさいですわ!」プツッ

ツー...ツー...

ちなつ「∵」

終わっとこう
気付けばこの1週間、ガチで毎晩スレ立てしてたので流石に疲れた。当分さがさないでください

寝たわー実質3時間寝たわー

べっ別に起きたら残ってたから書き込んでみただけなんだからね(本音)勘違いしないでよね!出かける用事だってあるんだからね!!!!!!

何をだよ

千鶴「歳納なんたらを無視してみる」
にっくき京子に一泡吹かせようと企むものの、そもそも付き合いが薄いので無視する為にわざと京子の傍をうろつくかまってちゃんと化す千鶴



そんな感じのをお願いします

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