【ゆるゆり】櫻子「ワキ毛を使ったおいしい料理」(30)



櫻子「っあー、今日は私が料理当番かー。メンドくさ」

櫻子「何かテキトーに、レトルトのカレーでも・・・って」

櫻子「そーしたら、姉ちゃんと花子が手抜きするなってうるさいからなー」



櫻子「はあ、何か簡単に作れる料理ないかネットで検索しよ」

櫻子「肉じゃが・・・パス。オムライス・・・難しそう。パス。カルボナーラ・・・ムリ。パス」

櫻子「・・・えっ」

櫻子「わっ、ワキゲを使ったおいしい料理!?」


×ワキゲ 

○ワケギ(分葱)



櫻子「わ、ワキゲって、あのワキ毛?ワキの下に生える毛?」

櫻子「へー、それって料理の材料になるんだ!すっげー!」

櫻子「それにワキ毛って、こんな難しい漢字で書くんだ、知らなかったー」

櫻子「なになに、ワキ毛のサラダに、きのことワキ毛のパスタ・・・へーこんなにあるんだ、面白れー」

櫻子「おっ、ワキ毛たっぷりの鶏肉スープ?よーし、簡単そうだしこれにしよっと!」



櫻子「どれどれ、作り方は・・・。スープの素に、鳥の手羽先6本、じゃがいも3つに、ワキゲ200g?」

櫻子「にっ、200gも必要なんだ!?ワキ毛が?」

櫻子「ど、どしようそんなに・・・。それにそもそも私ワキ毛生えてないんだった」



櫻子「姉ちゃんなら、そんくらい生えてるかな?」

櫻子「けど、今日姉ちゃん遅くなるって言ってたし。それじゃ夕飯に間に合わない・・・」

櫻子「むう。どーやったらワキ毛を200gも・・・」

櫻子「おっ、そーだ」

櫻子「私のクラスで、ワキ毛の生えてそうな子に連絡して分けてもらえばいいんだ!」



櫻子「えーっと、クラスの中でワキ毛の生えてそうな子といえば・・・」

櫻子「うーん、あかりちゃんは生えてなさそうだなー」

櫻子「ちなつちゃんは・・・うっすら生えてそうな気がする」

櫻子「向日葵は・・・。たぶんボーボーだなきっと」



櫻子「けど、向日葵のワキ毛のスープなんて、想像しただけで・・・おえっ」

櫻子「でも他の子じゃ、そんな生えてなさそうだし・・・。はぁ、みんな中学生だしなー」

櫻子「うーん、何とかする方法は・・・」

櫻子「おっ、ワキ毛の育て方が載ってる!そうか、これ見て今から育てたらいいじゃん」



櫻子「きっと載ってる通りにやれば、私のワキからワサワサと生えてくるんだ」

櫻子「面白そう!よーし、それじゃ早速やってみよう。なになに、ワキ毛を育てるにはまず・・・」

櫻子「土の入ったプランターを用意し、そこに種球を植えましょう?」

櫻子「プランター?種球?うんまあ」

櫻子「種球はワキ毛12号、13号がオススメです・・・か」



櫻子「ワキ毛12号、13号は生長が早く、3週間ほどで収穫が可能です・・・?」

櫻子「なんだー、3週間もかかるんじゃダメじゃん」

櫻子「それに肥料をあげたり、水をやったり・・・?私のワキに?」

櫻子「うーん、色々大変なんだなー」



櫻子「はぁ、仕方ない。ワキ毛を育てるのは諦めよう」

櫻子「うーん、どうしよっかなー」

櫻子「ワキ毛を、200gか・・・」

櫻子「・・・まぁ、それならとりあえず」

―――
――


(1時間後)


ピンポーン…

向日葵「櫻子ー?」

「おー向日葵ー、入って入ってー」



向日葵「あら櫻子、料理中でしたの。珍しいですわね」

櫻子「うるさいな。今日は私が料理当番だから仕方なくだよ」

向日葵「それより何ですの。電話で私を呼び出したりして」

櫻子「おー、そうそう」



櫻子「向日葵、これちょっと味見してみて」

向日葵「不安ね。それ何ですの?」

櫻子「これ?私特製のワキ毛のスープ」

向日葵「わっ、わき毛の!?」



櫻子「そーだよ。上手く出来たか向日葵に味見してもらおうと思って」

向日葵「・・・櫻子。あなた病院に行くべきですわ、頭の」

櫻子「なーんだよ、食べられないっての?私の作ったワキ毛のスープをさー」

向日葵「いえ食べるとか食べないとかそういう次元じゃ・・・」



櫻子「もー、そんなに食べたくないんだ。何だよ、せっかく上手に出来たと思ったのにー」

向日葵「櫻子、あなた今自分が何をしているのか少しは」

櫻子「ふーん、もういい!向日葵には食べさせてやらないから」

向日葵「うっ・・・」

向日葵「・・・櫻子の、ワキ毛のスープ・・・」



向日葵「あの櫻子」

櫻子「何だよ」

向日葵「下さい」

櫻子「もー、最初っからそう言えよー。じゃあはい」



向日葵「こっ、これが櫻子の、ワキ毛のスープ・・・!」

櫻子「そうだよ。ほら、早く食べて感想聞かせて?」

向日葵「え、ええ・・・」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・」クンクン



向日葵「・・・はぁー、いい香りー・・・」

櫻子「だろー?ほら、早く食べて食べて!」

向日葵「え、ええ・・・」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・」クンクン



向日葵「・・・んー、最高ですわー・・・」

櫻子「もー、匂いばっか嗅いでないで早く食えよー」

向日葵「そ、そうですわね、それじゃ・・・」

向日葵「ん・・・」スゥ



向日葵「・・・ふぅー」


向日葵「おいしい・・・」

櫻子「マジ?マジで?やったーあ!」



向日葵「今まで食べたものの中で、1番の味ですわ!」ガツガツ

櫻子「そ、そんなに?なんだ、私って料理の才能あんじゃん!」

向日葵「・・・はぁ、最高・・・。ところで櫻子」

櫻子「ん?どしたの?」



向日葵「なかなか凝ってますわねこれ。ワケギをこんなに」

櫻子「え?ワケギ?何言ってんのさ向日葵、ワキ毛じゃんそれ」

向日葵「・・・え?」



向日葵「え?ワケ・・・?ワキ毛?」

向日葵「えっあの櫻子、一体どういう・・・」

櫻子「うん、ネットでワキ毛たっぷりの鶏肉スープってのを見つけてさ」

櫻子「そんで、作ってみようと思ったんだけどワキ毛が200gも必要でさー」



向日葵「えっ・・・えっ?」

櫻子「私、ワキ毛生えてないじゃん。向日葵はボーボーだけど」

向日葵「誰がボーボーですの」

櫻子「だからさ、近所のスーパーに売ってないかと思って行ってみたらさ」



櫻子「何と、売ってたんだよワキゲがー」

櫻子「一束100gで、300円!」

向日葵「・・・」

向日葵「・・・要するに」



向日葵「櫻子・・・ワケギをワキゲと、ずーっと勘違いして・・・」

櫻子「向日葵、どう?お代わりもあるよ」

向日葵「・・・ええ、頂きますわよ!」ガツガツ

櫻子「な、何だよ向日葵?そんなに涙流しながらがっついて」



・・・それから、私の作ったワキ毛のスープを向日葵に褒めてもらえて

自信をつけた私は、日夜ワキ毛を使った料理の研究に没頭した。

そして、その結果・・・



審査員「第38回、世界創作料理選手権・・・優勝者ハー・・・」

審査員「Miss・櫻子ー!イン・ジャパン!」

ワァァァ…


櫻子「どーだー向日葵ー!えっへん!」

向日葵「櫻子、本当におめでとう!・・・って」

向日葵「何ですのこのオチ」


終わり

以上になります
読んでくれた方ありがとうございました

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