バイキンマン「あと一週間で!この星は滅亡する!」 (97)

アンパンマン「ただいまー」

ジャムおじさん「お帰り、アンパンマン」

バタコ「何だか、浮かない顔ね?どうしたの?」

チーズ「アンアーン?」

アンパンマン「実は…」


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アンパンマン「バイキンマンが訳の分からない事を言っているんです」

ジャム「バイキンマンが?一体何て?」

アンパンマン「隕石が降ってきて、この星が滅亡すると、町で…」

ジャム「……」

バタコ「……」

チーズ「……」

ジャム「アハハハハ」

バタコ「うふふふふ」

チーズ「wwwww」

アンパンマン「!」

ジャム「ああ、ごめんよ。アンパンマン。バイキンマンのいう事を真に受けたのかい?」

アンパンマン「その…」

バタコ「気にすることないわ。いつもの嘘よ。ウソ」

チーズ「アンアーン」

ジャム「第一、本当に隕石が降ってくるとして、どうしてバイキンマンがそれを町でいう必要があると思う?」

アンパンマン「それは…」

バタコ「そういう事よ」

‐残り1週間‐

アンパンマン(ジャムおじさんたちはあんな事を言ったけど、バイキンマンの様子は…)

キャーダレカー

アンパンマン(誰かの悲鳴が!町の方からだ!)ヒュン

‐町‐

バイキンマン「もうすぐ!あと一週間で!この星は滅亡する!」

住民「いい加減な事を言うな!」

住民「そうだそうだー!」

バイキンマン「隕石は巨大で、宇宙最高峰の頭脳を持つ俺様でも破壊は出来ないんだ」

バイキンマン「だから、せめて…一人でも多く救えるように、大型の宇宙船を作ったんだ。頼むからそれに乗ってくれ」

住民「誰が乗るか!バーカ!」

バイキンマン「本当だ!だから…イタイ!」ガツン

バイキンマン「…なんだこれは…石?」

住民「ふざけるな!」ヒュン!

住民「何を企んでいる!」ヒュン!

バイキンマン「いた!痛い…やめろ!ああ、クソ!」

住民「UFOで逃げたぞ!」ヒュン!

住民「石で墜落させろ!」ヒュン!

アンパンマン(町から何か飛んでくる)

アンパンマン(あれは…バイキンマン?)

キキーッ

バイキンマン「アンパンマン」ウイーン

アンパンマン「何の用だ。バイキンマン」

アンパンマン「また、この星が滅亡すると言うつもりかい?」

バイキンマン「そうだ。もうすぐこの星は終わる」

アンパンマン「僕は、騙されないぞ」

バイキンマン「嘘だったら、俺様だってもっとマシな嘘をつく!これは本当なんだ。この目で見たんだ。頼む、信じてくれ」

アンパンマン「…それ以上、何か言うつもりなら」

バイキンマン「どうして!どうして誰も信じてくれないんだ!」バイバイキーン

アンパンマン「行ってしまった」

‐町‐

ウサ吉「あ、アンパンマンだ!」

アンパンマン「やあ、みんな」

ウサ子「アンパンマン!大変だったのよ!さっきまでバイキンマンが…きゃあ」ドン

カバ夫「バイキンマンが、この星は滅亡するって言ってたんだ!ボク、怖かったよー」ギュウ

ウサ吉「…バイキンマンの言ってた事、本当かな?」

アンパンマン「それは…」

ウサ子「バカ!そんなの嘘に決まっているじゃない」

ウサ吉「バカとはなんだよ!じゃあ、どうしてそんな嘘をつく必要があるんだよ」

ウサ子「バイキンマンの事だもん。皆を困らせたいだけよ」

アンパンマン(…やっぱり、そうなんだろうか)

‐残り6日‐

アンパンマン「パトロールに行ってきまーす」

ジャム「気を付けて行ってくるんだよ」

アンパンマン「はーい」

‐森‐

アンパンマン「おかしいな?」

アンパンマン「やけに静かだ…」

アンパンマン(動物の声が、気配が一切しない?今までそんな事はなかったのに…)

アンパンマン「あれ?」

アンパンマン(この辺りでは見かけない車がある)

アンパンマン「こんにちは」

運転手「うわ!君は?」

アンパンマン「随分荷物が多いんですね。お引越しですか?」

運転手「あはは…まあ、そんな所です」

子供「あのねー。僕達、しぇるたーに行くんだよ」

アンパンマン「!」

子供「望遠鏡で大きなホシがこっちにねー…もがっ」

運転手「あははは!子供のいう事ですから!」

アンパンマン「そう、ですね。あはは…」

運転手「では、我々は先を急ぐので」

子供「ばいばーい。パンのお兄ちゃん」

ブロロロロロ

アンパンマン「…まさか、本当に」

残り5日

‐バイキン城‐

バイキンマン「いてて、石をぶつけられた所がまだ痛む」

バイキンマン「余程、俺様は信用がないらしい」

アンパンマン「自業自得だろう」

バイキンマン「全くだ。しかしどうして貴様は俺様の所へ来た?」

アンパンマン「…」

アンパンマン「僕は君を信用したわけではないよ」

バイキンマン「そうだろうな」

アンパンマン「ただ、腑に落ちないんだ」

アンパンマン「石を投げられ罵声を浴びせられても、何日も同じ事を言い続ける君に」

バイキンマン「そう来たか」

アンパンマン「実際、森も空もオカシイんだ」

バイキンマン「ふん、そうか」

アンパンマン「それとドキンちゃんはどこだい?」

バイキンマン「…帰ったよ」

バイキンマン「宇宙船で一足先に。手伝いは期待していなかったし、仕方ないけど」

アンパンマン「帰ったって、バイキン星へ?」

バイキンマン「俺様も帰星命令が出ている。だけど、まだ帰れない」

バイキンマン「これで住民を避難させるまで」バサッ

アンパンマン「こ、これは!」

バイキンマン「宇宙船だ。これでこの星から脱出できる。町の住民全員とまではいかないけど」

アンパンマン「本当なのか…」

バイキンマン「…この画面を見てみろ」ピッ

アンパンマン「巨大な岩かい?」

バイキンマン「この星に向かってくる隕石の画像だ。政府のPCをハッキングして分かったんだ」

バイキンマン「お偉いさん方は安全な所へ避難して、他の無知な住人は見捨てるつもりらしい」

アンパンマン「…それが、本当だとして」

アンパンマン「本当だとして、どうして皆を助けようとするんだい?」

バイキンマン「俺様が助けちゃ悪いか?」

アンパンマン「悪いわけじゃない。ただ、いつも悪いことをしていた君がどうしてだい?」

バイキンマン「…俺様は、別に悪いことをしてきたつもりはない」

バイキンマン「自分のやりたい事をやってきただけだ」

アンパンマン「……」

バイキンマン「毎回、貴様には邪魔されたけどな」

バイキンマン「俺様は、この星が嫌いじゃない」

バイキンマン「今回も俺様はやりたい事をやるだけだ」

バイキンマン「でも一人では到底無理だ。出来れば手伝って欲しい」

アンパンマン「……分かった」

‐パン工場‐

アンパンマン「ただいま…」

ジャム「お帰り。大丈夫かい?今日も遅かったね」

バタコ「町にもいなかったようだけど、一体どこへ行っていたの?」

アンパンマン「実は…バイキンマン城に行ってきました」

ジャム「え?」

バタコ「うふふ、笑えない冗談ねー」

チーズ「アーン」

アンパンマン「後5日で隕石がこの星に落下するらしいんです」

バタコ「またそんな事言って〜」

アンパンマン「本当ですって!バイキンマンが政府のPCにハッキングして、分かったんです」

ジャム「!」

アンパンマン「それに、色々様子がオカシイんです!」

バタコ「あははは、もう変な冗談ばっかり…」

ジャム「…」

バタコ「冗談、よね?」

アンパンマン「…」

残り4日

‐パン工場‐

アンパンマン「ただいまー」

全員「……」

アンパンマン「どうしたの?皆そろって」

ジャム「アンパンマン、ちょっと来なさい」

アンパンマン「え?」

ジャム「ここに、座りなさい」

アンパンマン「…はい」

カレーパンマン「アンパンマン、馬鹿な考えは止せ」

アンパンマン「え?」

食パンマン「話は聞いていますよ。何でもバイキンマンに唆されているとか」

アンパンマン「唆されているなんて、そんな」

ジャム「ミミ先生から連絡が来たよ。アンパンマン、今日は町でバイキンマンを信じるように言って回ったそうだね」

アンパンマン「…はい」

カレーパンマン「隕石が落ちてくる?星が滅亡する?バッカみてえ!!」

アンパンマン「!」

カレーパンマン「最高にダセェよ。お前」

食パンマン「バイキンマンのいう事なんて、嘘に決まっているじゃないですか」

アンパンマン「…」

バタコ「皆も心配してくれているのよ。だからお願い」

アンパンマン「でも、バイキンマンは」

ジャム「バイキンマンのいう事と、私達のいう事、どちらを信じるんだい?」

アンパンマン「……それは」

残り3日

‐バイキン城‐

アンパンマン「お邪魔しまーす」

バイキンマン「いらっしゃい。町の住民はどうだ?」

アンパンマン「…それは、その」

バイキンマン「まあ、期待はしてなかったけど、困ったな」

バイキンマン「宇宙船を作れても、中に誰も誘導できなければな…」

アンパンマン「でも隕石が落ちてくるのが分かったら、自発的にここへ来るんじゃないかい?散々、宇宙船があるって言っていたわけだし」

バイキンマン「直前に来られてもパニックになってしまうって」

バイキンマン「そうしたら助けられる人も助けられないよ

アンパンマン「…そうか、分かった」

バイキンマン「?」

アンパンマン「僕にいい考えがある」

残り2日

‐町‐

アンパンマン「こんにちはー」

カバ夫「アンパンマンー!」

ウサ吉「大変なんだよ。ウサ子ちゃんがいなくなちゃったんだ」

カバ夫「ウサ子ちゃんだけじゃないよ。他にも十人以上、急にいなくなってるんだって」

アンパンマン「そうみたいだね」

カバ夫「僕、怖いよ〜」

アンパンマン「そうだろうね」

ウサ吉「早く犯人を捕まえてね」

アンパンマン「…うん」

‐パン工場‐

ジャム「おかえり、アンパンマン」

アンパンマン「ただいま」

ジャム「町での聞き込みはどうだったんだい?誘拐犯の目星は?」

アンパンマン「それがさっぱり」

ジャム「……」

‐バイキン城‐

アンパンマン「…連れてきたよ」

袋「」モゴモゴ

アンパンマン「後、どのくらい避難できるんだい?」

バイキンマン「まだまだ余裕だが、取りあえずはこんなもんか」

バイキンマン「残り24時間になったら、流石に隕石の件は発表になるだろうし、その時には自主避難者がどっと押し寄せるんだろうな…」

アンパンマン「そうだね」

バイキンマン「逃げるなよ」

アンパンマン「ここまで来たら、逃げないよw」

ガッシャーン!

アンパン・バイキン「!」










ジャム「やはり犯人はお前達だったか…」

アンパンマン「ジャムおじさん、話を聞い…」

カレーパンマン「カレーパーンチ!」ドカッ

アンパンマン「う…顔が歪んで力が…」

バイキンマン「アンパンマン!」

食パンマン「君の相手はボクだ!食パーンチ!」バキッ

バイキンマン「ぐ…」

ジャム「ジャムキーック!」ボキ

バタコ「バターヒップアターック!」グシャ

チーズ「必殺殺法!乾酪犬歯!!」ガブ

バイキンマン「」ピクピク

ジャム「食パンマンは捕まった人達を保護しておくれ」

食パンマン「はい」タタッ

ジャム「アンパンマンは罰として、しばらく顔はそのままだよ」

アンパンマン「う…バイキンマン…」

カレーパンマン「あれ?このでっかい機械は何だ?」

アンパンマン「それは…皆を救う為の宇宙船…」

ジャム「そうか。ではこれを壊してしまおう」

アンパンマン「!」

アンパンマン「お願いだ!それだけは」

バキ

アンパンマン「あ」

ドカーン!!

アンパンマン「ああ…」

ジャム「これで、よし」

バタコ「こんな物があるから、騙されるのよ?」

チーズ「アンアーン」

残り1日

‐パン工場‐

ジャム「大変だ大変だ大変だ大変だ変態だ大変だー!!」

アンパンマン「…朝?」

バターン

ジャム「ニュニュニュニュースで!」

アンパンマン「はい」

ジャム「隕石が!」

アンパンマン「はい」

ジャム「地球に!」

アンパンマン「そうですよ。だから、何度も言ったじゃないですか」

ジャム「そうだった!バイキン城に行くぞ。確か宇宙船があるとか、何とかという話だったんじゃ」

アンパンマン「昨日壊したじゃありませんか」

ジャム「ああそうだ!あの役立たず!」

アンパンマン「…」

ジャム「そうだ。バイキンマンの様子を見てきておくれ。もしかしたら、自分が脱出する分は確保しているかもしれない」ハイ

アンパンマン(…少し湿気った顔だ)

ジャム「焼きたてではないが、その顔よりマシだろう。この顔と取り換えて行きなさい」

アンパンマン「…はい」

‐町・上空‐

キャーイヤー

アンパンマン「ん?誰かの悲鳴が…それも複数」

アンパンマン「煙が色んな場所から上がっている…」

カジダー

タスケテーシニタクナーイ

アンパンマン「今、助けに行くぞ!」

住民「お前の事は前から気に入らなかったんだ!」

住民「私もよ!」

住民「こんな時に、やめよう!」

住民「煩い!どうせ死ぬんだ!」

住民「ママーママー!どこなのー!…きゃああ!!」

住民「うへー…よおじょお…ぐふう!」

アンパンマン「…なんだ、ここは?」

アンパンマン(もう既に隕石が落ちて、この町は地獄になったのか?)

アンパンマン(いや!まだ隕石は落ちていない!しっかりしろ!)

カバ夫「あん、ぱんまん…」

アンパンマン「あ、カバ夫君」

アンパンマン「良かった。無事だったんだね!」

カバ夫「ぼ、ボク…ボク…」ギュウ

アンパンマン「怖かったね?もうだいじょお………カバ夫、く、ん?」ザク

カバ夫「…」

アンパンマン「痛い…どうして、ナイフなんか」

カバ夫「アンパンマンがいけないんだよ」

カバ夫「誰にでも優しくして、僕はずっとアンパンマンが…だから、最後はせめて、僕の手で」

アンパンマン「何を…言っているんだい?」

住民「いたぞー!!アンパンマンだー!!」

アンパンマン「え?」

住民「あいつはバイキンマンと一緒に隕石の事を知っていた!」

住民「そうだ!あいつらだけ助かるつもりだぜ!」

住民「そうはさせないわ!!私も死にたくない!!」

アンパンマン「!」ヒュン

住民「逃げるなー!追えー!」

住民「バイキンマンの所へ行くつもりだぞー!!」

‐バイキン城‐

アンパンマン「…」

バイキンマン「あ!良かったアンパンマン!無事だ…た訳でもないようだな」

アンパンマン「町が…」

バイキンマン「まあ、座れ。大体の事は察しがついている」

アンパンマン「…これは夢じゃないんだよね?」

バイキンマン「…気持ちは分かる」

バイキンマン「城の外はどうだった?」

アンパンマン「どこから聞きつけたのか、長蛇の列だよ。皆君の宇宙船を狙っている」

バイキンマン「石ぶつけられてまで、言って回ったのは無駄ではなかった訳だ」

アンパンマン「どうするんだい?あんなに大勢は乗れないし、第一宇宙船は壊れている」

バイキンマン「…」

アンパンマン「…もう、君一人で逃げればいいよ」

バイキンマン「!」

バイキンマン「貴様から、そんな言葉を聞くとは思ってもみなかったぞ」

アンパンマン「だって…」

バイキンマン「嫌気が差したか?貴様が守っていた住民の本性を見て」

アンパンマン「…」

バイキンマン「宇宙船だが、壊れているのは外観くらいだから、飛ぶ分には問題ない」

アンパンマン「!」

バイキンマン「俺様は自分のやりたい事をやる」

アンパンマン「バイキンマン…」

バイキンマン「手伝わないなら、せめて邪魔にならないようにどこかへ…」

アンパンマン「ごめん、バイキンマン。僕にも手伝わせてくれ」

‐バイキン城・外‐

がやがやがやがや

アンパンマン「みんなー聞いてくださーい!」

アンパンマン「知っての通り、ここには宇宙船がありまーす!」

ホウトウニ?

ヤッタ!

コレデタスカル!

アンパンマン「ただしー、全員乗れる大きさではありませーん!」

エエエエエエエエエエエ!!!!

アンパンマン「できれば女性、子供を優先して避難させて欲しいのですがー!」

アンパンマン「ご協力をお願いしまーす!!」

がやがやがやがや

住民「きゃあ!やった!お腹の子のおかげで、私は助かるのね!」

住民「何だよ!男は死ねってか!」

住民「ぼく、おじいちゃんも一緒じゃなくちゃ、いやああ」

アンパンマン「ご協力を、お願い、しまーす!!」

アンパンマン(湿気った顔で、おまけにカバ夫君に刺されているから、力が出ない)

住民「いいよなー!正義のヒーローは命を保障されていてー!」

アンパンマン「お願いしまーす!ごきょう、ご協力をー!!」

アンパンマン(めまいが…)










「アンパンマーン!!」

バタコ「アンパンマーン!新しい顔よー!」シュッ

チーズ「アンアーン」

アンパンマン「!」シュルル…

アンパンマン「元気100倍!アンパンマーン!」ピカピカー!!

ざわ…

ジャム「お待たせ、アンパンマン」

カレーパンマン「俺達も来たからには、手伝わせてもらうぜ!」

食パンマン「昨日は本当にすみませんでした。まさか本当だったなんて」

アンパンマン「みんな…」じわ…

カレーパンマン「おいおい、折角の新しい顔が湿気っちまうぜ」

アンパンマン「あり…がとう」

カレーパンマン「じゃあ、女子供だけ!右の列に出ろ!」

住民「俺は死にたくない!」

カレーパンマン「うるせー!目にカレー吹くぞ!」

食パンマン「男性にも避難はして頂けますが、どちらにしても人数制限があります。順番を抜かしたら、決して避難は出来ないという事を心得て下さい」

アンパンマン(皆が来てくれて、良かった)

残り3時間

‐バイキン城‐

ジャム「後、何人避難が可能だい?」

バイキンマン「後、数人ってところだ」

ジャム「じゃあ、私達は手伝ったんだし、勿論、宇宙船に乗れるんだろうね?」

アンパンマン「ジャムおじさん!」

バイキンマン「…予め俺様が見つけておいた星に、自動操縦で向かう事になっている。資料は中にあるから、探してくれ」

アンパンマン「え?バイキンマンは宇宙船に乗らないのかい?」

バイキンマン「宇宙船の許容人数が既にいっぱいいっぱいなんだ」

アンパンマン「じゃあ、一人用の宇宙船で脱出するつもりなのか?」

バイキンマン「…あれは、使えないんだ」

アンパンマン「それはどういう事だい?」

バイキンマン「本当は宇宙船の修理をしたから、部品の大部分を使ってしまったからだ」

アンパンマン「そんな!じゃあ僕が残るから、君が宇宙船に乗ってくれ」

バイキンマン「いい」

アンパンマン「この宇宙船の、この星から脱出の一番の功労者が乗らなくて、誰が乗るんだ!」

バイキンマン「聞け!アンパンマン!」

アンパンマン「!」

バイキンマン「俺様は、やりたい事をやりたいようにしか、できない。そういう性分なんだ」

アンパンマン「…」

バイキンマン「しかし貴様はどうだ?他人の為に、自分の事を顧みずに行動できる。勇気にあふれて、人に希望を与えられる男だ」

バイキンマン「貴様のそうな男を、ヒーローと言うんだろう。俺様には決して真似ができない」

バイキンマン「貴様らが向かう新天地にも、ヒーローが必要なんだ」

アンパンマン「バイキンマン…」

ジャム「アンパンマン!そろそろ時間だ!」

バイキンマン「とっとと、行け」

アンパンマン「分かった」シュン

残り30分

‐宇宙船‐

子供「見てー!外が真っ暗ー!」

子供「僕らの星があんなに小っちゃくなっちゃったー」

ジャム「子供達。皆疲れているんだから、少し静かにしておくれ」

子供達「はーい」

アンパンマン(こうなる前にもっと…彼と話をするべきだったのだろうか)

アンパンマン(…後悔を…しても仕方がない。僕は僕の役割を全うするだけだ)

アンパンマン「…さよなら、バイキンマン」

残り3分

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!



キャアアアアアアアアアアアアアアアアア

アグマガアグマガギダオワリオワイダ

ギャアアアアアアア

シニタクナイシニタクナイシニタクナイ!!!

カミサマダレデモイイコワイコワイコワイ

ドウシテドウシテワタシガナニヲシテ

カネエエエエエエエエエエウヒョオオオ







ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!


バイキンマン「」

残り1分


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!










ゴゴゴゴゴ……

プシュー…

バイキンマン「…」

ドキン「ハアーイ♪バイキンマン、お久しぶり」ガチャ

バイキンマン「時間ピッタリだね。ドキンちゃん」

ドキン「うふふ。その様子じゃ上手くいったみたいね」

バイキンマン「お陰様で」

バイキンマン「いやー、しかし大変だったよ」

ドキン「これまでにないくらい、壮大な計画だったもんねー」

バイキンマン「何が一番大変だったって言えば、隕石型巨大宇宙船を作って、政府に感知させる事かな」

ドキン「そうなの?私はてっきりアンパンマンから信用を得る方が、大変だと思ったわ」

バイキンマン「ああ、それはそうでもないよ」

バイキンマン「単純が服を着たような…パンに包まれたような男だもの」

ドキン「ふーん。あ、食パンマン様は?」

バイキンマン「…雲の上さ」

ドキン「そっか…」

バイキンマン「もしかして怒ってる?」

ドキン「ううん。どうせ、叶わない恋だったし…次の男を探すわ」

バイキンマン「ほっ」

ドキン「それより、1週間以上も宇宙に行ってて疲れたんだけどー」

バイキンマン「ごめんごめん。ケーキあるから」

ドキン「よく売ってたわね。そういえばこれから買い物とかどうする?」

バイキンマン「TVもない辺境の地だと、隕石騒ぎも知らなくて、平和なもんだよ」

ドキン「よかった。なら、安心ね」

ドキン「それと、例のアレは?」

バイキンマン「ああ、混乱に乗じてカビルンルン達に宝石とか強盗してもらっているよ」

ドキン「綺麗にしてから、頂戴ね」

バイキンマン「分かっているよ」

ドキン「これで世界は私の物ね」

バイキンマン「ドキンちゃん。俺様達の…」

ドキン「何よ?」ギロ

バイキンマン「…何でもないです」










終わり。

最後まで書けて良かったです。

レスくれた人、見てくれた人、本当にありがとうございます。

誰も見ないかもしれませんが、風呂から上がったら、おまけ書きます。

お疲れ様でした。

おまけ

‐1か月後‐

ドキン「食パンマン様、今頃何をしているのかしら?」

バイキンマン「気になる?」

ドキン「分かるの?」

バイキンマン「宇宙船の至る所にカメラを取り付けてあるんだよ」

ドキン「そうなの?」

バイキンマン「実は俺様も気になってな」

ドキン「じゃあ、もう新天地についている頃かしら?」

バイキンマン「運が良ければね」

ドキン「?」

バイキンマン「だって俺様、新天地なんて見つけてないから」

バイキンマン「運が良ければ、どこかの星にぶつかって止まるかもしれないけど…その星に空気があるとは限らないからww」

ドキン「ちょっwww」

バイキンマン「積んでいる食料も、大体1か月分くらいなんだ」

ドキン「このっwww」

バイキンマン「酸素は1年分くらいあるけどねw」

ドキン「鬼w畜www」

バイキンマン「じゃあ、見ようか」

ドキン「あ、その前にバイキンマン。ポップコーン作って」

バイキンマン「はーい」

ドキン「メイプル味にしてねー。あとクリームソーダもよろしくー♪」





今度こそ、終わり。

お疲れ様でした。

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