霧切「苗木君が執拗に私を避ける…」 (33)
VIPに立てようとしたら落ちるの早すぎ絶望的ィ!
というわけでこっちで書かせてもらいます
霧切「ねえ、苗木君。今日の午後空いてる?」
苗木「えっ…あ、ゴメン霧切さん。実は先約があるんだ」
霧切「そう。少し手伝って欲しい事があったのだけれど。仕方ないわね」
苗木「ごめんね。埋め合わせはちゃんとするから」
霧切「いいわ。突然聞いた私が悪かったから」
苗木「そっか…それじゃボク、行くね」
霧切「ええ。また」
苗木「うん。またね」
霧切「…というのが3日前の出来事」
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霧切「苗木君、今いいかしら?」
苗木「あっ……ゴメン霧切さん。今ちょっと手が離せないんだ」
霧切「そう…。いいわ」
苗木「ホントごめんね。それじゃまたッ」タタッ
霧切「…………」
霧切「…というのが昨日の出来事」
苗木「ふぅ…霧切さんには見つからないようにしないと」
霧切「…私に見つかると、何か都合が悪いのかしら?」
苗木「うわっ!!霧切さん!いつからそこに!?」
霧切「ついさっきよ。ところで苗木君」
苗木「ごめん!今急いでるんだ!」ダダッ
霧切「…………」
霧切「…というのが今朝の出来事」
霧切「何か苗木君の気に障ることでも言ったかしら…?」
霧切「いつも同じパーカーを着てる事を指摘したのが、まずかったのかしら…」
霧切「それとも、何か事件に巻き込まれてて、私を巻き込まない為にあんな事を?」
霧切「あり得るわね。苗木君は"超高校級の幸運"だけど、やたらと事件に巻き込まれる傾向があるから」
霧切「最近だと、葉隠君を追ってるヤクザから内蔵を取られかけたそうだし…」
霧切「そうよ。きっとそうだわ。…全く、事件なら相談してくれればいいのに」
霧切「…苗木君の癖に生意気よ」
霧切「そうと決まれば、早速調査開始よ!」
霧切「調査といえば、基本は聞き込みよね。まずはこの辺りにいる人に聞いてみようかしら」
不二咲「あっ、霧切さん……」
霧切「あら不二咲さん。丁度いいところに」
不二咲「…何か用?」
霧切「ええ、ちょっと今調査をしているんだけど、少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」
不二咲「いいよ。でも、ボクなんかが役に立てるかなぁ?」
霧切「問題ないわ。早速本題なんだけれど、最近、苗木君を見なかったかしら?」
不二咲「苗木君を?……えっと……そ、そのぉ……あ、そうだ。おとといの事なんだけどぉ、図書室で見たよぉ」
霧切「なるほど、図書室ね。ありがとう不二咲さん」
不二咲「どういたしまして。えへへ、褒められちゃった」
霧切「どうやら苗木君はおととい図書室に行ったようね。何か手がかりがあるかもしれないし、図書室へ行くわ」
江ノ島「よう!霧切!俺様になんか用か!?」
霧切「え、ええ……ある事件を調査してるんだけど、少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」
江ノ島「ええ、構いませんよ。私は今絶望的に暇でしたから」
霧切「…単刀直入に聞くわ。最近、苗木君を見なかったかしら?」
江ノ島「よりによって苗木誠の話をこの私様に問うか!人間風情が!私様があの者を嫌ろうておる事は承知であろうが!」
霧切「……知らないならいいわ。邪魔したわね」
江ノ島「ギャハハハハ!!誰が知らねぇつった?俺様の情報網を持ってすれば、苗木の情報なんざ今履いてるパンツの色までお見通しよッ!!」
江ノ島「それを教えてあげるかどうかはまた、別の話だけどねーうぷぷぷぷぷ」
江ノ島「っていない……あぁ……無視なんて……絶望的ィィ!」
霧切「収穫なしね……他の人に聞いてみようかしら」
田中「……ほう、奇遇だな。封印されし地獄の両腕を持つ銀狼娘よ」
霧切(また面倒なのに会ってしまったわ……でも一応聞いておこうかしら)
霧切「あら、田中君。丁度いいところで会ったわね。少しお話を聞かせてもらってもいいかしら?」
田中「フン……魔界を統べるこの俺様の武勇伝を聞きたいのか。そんな時間はない!……と言いたい所だが、貴様と貴様の眷族には、俺様も一目置いている。言ってみろ。答えてやるとは限らんがな!」
霧切「最近、苗木君を見なかったかしら?」
田中「よりにもよってヤツか。我々の住む世界とは最も程遠い存在だと思っていたが……まさか!ヤツこそ一般人という被膜に身を隠す、新たなる魔界の超新星だとでもいうのか!?おのれ!この俺様の目を欺くとは……!」
霧切「そ、それで、苗木君を見たの?」
田中「魔界の植物図鑑だ!」
霧切「……は?」
田中「我が配下、破壊神暗黒四天王の生態について、大図書館にて俺様が禁制書物を読みふけっていた時の事だ。ヤツは時を同じくして大図書館へとやって来た」
霧切「なるほど、苗木君は植物図鑑を調べてたのね」
田中「!?…馬鹿な、貴様、俺様の思考を読み取ったというのか……」
霧切「エキサイトする田中君に話を合わせつつ、隙を見て逃げ出してきたわ」
霧切「はぁ……どうしてこの学校には個性的な人間しかいないのかしら?」
霧切「愚痴っていても仕方ないわ。聞き込みを続けましょう」
狛枝「おや、霧切さんじゃないか!!まさか君のような人に出会えるなんて……ぼくは幸運だなぁ……」
霧切「…………」
霧切「はぁ……」
狛枝「ご、ごめん……ボクみたいなヤツに話しかけられたら迷惑だよね。すぐ消えるよ」
霧切「それは違うわ!」
霧切「実は今、ある事件を追っていて、ここ数日間の苗木君が何をしていたのかを調べているの」
狛枝「それならボクなんかでも少しはお役に立てそうだよ。そうだね、確か苗木君は、今日の夜、食堂を貸し切りにして何かするみたいだよ」
霧切「それは初耳ね。他には何か知ってる?」
狛枝「ちらっと横目に見ただけだから、あんまり詳しいことはわからないんだ。けど妙だね……貸し切りの名義は78期生だったから、てっきり霧切さんも知ってると思ってたんだけど」
霧切「確かに妙ね……事件の匂いがするわ」
狛枝「そうだよね。霧切さんには超高校級の探偵という素晴らしい才能があるんだ。ボクみたいなクズなんかと違ってハブられるわけがないんだ!」
霧切「…………」
霧切「と、とにかく情報ありがとう。助かったわ」
狛枝「礼なんてとんでもない!キミの役に立てるなんて今日のボクはなんて幸運なんだろう……あぁ、希望が溢れてるよ……」
霧切「自分の世界に入り込んでいく狛枝君は放っておいて、次に行くわ」
霧切「他の78期生に話を聞いてみようかしら」
石丸「おや、霧切君じゃないか!お……ゴホン、こんな所で会うなんて奇遇だね、あっはっは」
霧切「石丸君、苗木君を見なかったかしら?」
石丸「な、苗木君を!?……ははは、知ってるような、知らないような……」
霧切「知ってるのね」
石丸「な、何を根拠に……と、とにかく、僕は苗木君が舞園君と買い物に出かけた事なんて知らないぞ!」
石丸「あっ……すまない、今のは聞かなかった事に」
霧切「へえ……二人で買い物ね」
石丸「い、いやこれには訳が!そう、わけがあるのだ!決して僕は彼らの不純異性交遊を黙認しているわけではないぞ!」
石丸「っておーい、霧切君!……いってしまったか……」
苗木「これなんてどうかな?」
舞園「えーっそれはちょっと派手すぎませんか?こっちのシックな感じの方が……」
苗木「あ、やっぱりそうかな…さすがは舞園さん、超高校級のアイドルはセンス抜群だね」
舞園「もう、褒めても何も出ませんよ?」
苗木「え、いや、そんなつもりは……」
霧切「…………」
霧切「帰ろうかしら」
苗木「あれ、探してる花がないや……ちぇっ、ツイてないなぁ……」
舞園「あら、それは残念ですね……どうしましょう?」
苗木「うーん、仕方ない。見た目が良さそうな花を選ぼう」
舞園「そうですね。大丈夫、苗木君が選んだ花なら、きっと素敵な贈り物になりますよ!」
苗木「そうかな……うん、舞園さんがそう言ってくれるならそうだよね!」
霧切「…………」
霧切「なぜ尾行を続けたのかしら、私」
苗木「やっぱり苺のショートケーキかな……いやでも、こっちのチョコレートケーキも捨てがたいな…」
舞園「もう、苗木君は優柔不断なんですから。こういうのはどれを選んだっていいんですよ?大切なのは、気持ちですから」
苗木「それはそうなんだけどさ、やっぱり女の子って、カロリーとかも気にするのかな、とか思って…」
舞園「別腹ってやつですよ!食べた分だけ運動するから、大丈夫、大丈夫!」
苗木「そ、そうかな。うん、そうだよね!あ、これください!」
霧切「…………」
霧切「ホールケーキでも買って、ヤケ食いしようかしら」
霧切「調査結果……苗木君が事件に巻き込まれた可能性は極めて低い、と」カタカタ
霧切「はぁ……なんだかすごく疲れたわ」
霧切「舞園さんと一緒にデートしてた苗木君……すごく楽しそうだった」
霧切「……!な、何を落ち込んでるのかしら」
霧切「べ、別に苗木君は……確かに優秀な助手だけど、それだけよ」
霧切「そう……それだけ……よ」
ピンポーン
霧切「誰?」
苗木「苗木だよ。霧切さんにきて欲しい所があるんだ」
霧切「……今、出たい気分じゃない」
苗木「体調でも悪いの?大丈夫?」
霧切「大丈夫……なんでもないわ」
苗木「本当に?」
霧切「苗木君には関係ないわ……」
苗木「それは違うよ!」
苗木「霧切さんは……大切な人だから……」
苗木「心配して当たり前じゃないか!」
霧切「嘘よ……だって……だって……」
霧切「舞園さんの方が貴方にはお似合いじゃない!」
霧切「今日だって……あんなに楽しそうに……」
苗木「それは……違うよ」
苗木「確かに、舞園さんも、大切な友達だけど……」
苗木「ボクは……」
苗木「霧切さん……キミの事が……」
苗木「好きなんだ!」
霧切「!?」
霧切「だったら……どうして……どうして……」
苗木「それは……食堂に来てもらえれば、わかってもらえるはずさ」
苗木「だから、ボクは待ってる。いつまでだって待ってるから」
霧切「…………」
霧切「…………結局、どれくらいそのままでいたかは覚えていない。けど、苗木君の言うように、私は食堂にやってきた」
霧切「そこには……」
パンッ
パンッパンッ
「「霧切さん、お誕生日おめでとう!!」」
霧切「……誕生日?」
苗木「そう、今日は10月6日、霧切さんの誕生日でしょ?」
葉隠「苗木っちの提案で、誕生日パーティを開く事にしたんだべ!」
石丸「こんな脅かすような真似はよくないと僕は反対だったんだが……」
大和田「硬い事言うなって兄弟!サプライズがあったほうが嬉しさは増すんだぜ!レッツパーリィ!!」
不二咲「ごめんねぇ、どうしても内緒にしてくれって苗木君に頼まれちゃって……」
霧切「みんな……」
十神「ふん、俺は別に欠席でも構わなかったんだが、苗木の奴がどうしてもというからな……仕方なくだ。勘違いするなよ」
腐川「びゃ、白夜様に同じく!」
朝日奈「もう、二人とも素直じゃないんだから……」
大神「そう言ってやるな、朝日奈よ。あれは…照れ隠しという奴だ」
山田「いわゆるツンデレというやつですな!まぁ僕は男のツンデレなんてノーサンキューですが!」
セレス「あら、こんな所にまだ食材が残ってますわよ。花村君を呼ばないと……」
山田「正直すいませんでした」
江ノ島「ってあれ、霧切……泣いてんの?うぷぷぷぷぷ、もしかして苗木を取られたと思って泣いてたの?絶望的な勘違いだね!」
霧切「!?」
戦刃「盾子ちゃん、少し黙ってようか?」バキ
江ノ島「残姉に気絶させられるとか……絶望……的……ガクッ」
舞園「今日は、霧切さんのプレゼントを選んでたんですよ」
桑田「俺の方が苗木よりセンスはあると思うって言ったんだけどよ」
苗木「ボクがどうしても自分で選びたい、ってわがままを通させてもらったんだよ」
苗木「けど、霧切さん……勘違いとはいえキミを傷つけてしまった」
苗木「……本当にごめん!」
霧切「…………」
霧切「……生意気よ」
苗木「えっ?」
霧切「こんなパーティを計画したり、自分でプレゼントを選んだり……それを私には全部内緒にしたり……」
霧切「苗木君のくせに、生意気よ」
霧切「けど……その……」
霧切「……ありがとう」
fin.
田中が主役のSSを書きたくなった
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