•長編。全5部編成の予定。
•キャラ崩壊に加えて、原作を一部無視のご都合展開です。純粋に「進撃の巨人」SSを楽しみたい方にとっては、やや不快な内容かもしれません。
これを踏まえた上で読んでくれる方も、「進撃の巨人のキャラと世界観を借りた全く別の小説」という認識で読んで頂けるとありがたいです。
•ネタバレありです。
•原作の設定をそのままお借りしている部分と、作者が勝手に付加した要素がごちゃ混ぜになっています。ある程度原作の知識がないと読みにくい反面、先入観にとらわれると展開が理解出来ない可能性があります。
………とは言っても、普段から多くのSSを読んでいる方にとってはさほど問題ないかとは思われます。
•特定キャラの露骨なsageは、最終的に避けられる形になっています。
•恋愛SSではないので、エロや濃厚なカップリング描写はありません。恋愛要素は含むので、苦手な方は一応注意。
カプ注意はその都度行います。この第1部ではその要素はありませんので、安心してお読みください。
•最後に………人生初SSです。至らない部分もあるかとは思いますが、温かく見守って頂ければ幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380696757
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モブ巨人A「手を抜くな!!もっと強く噛むんだよ!!」バシッ バシッ
被験体2「………ぇぐっ………ぇぐっ………」カプッ カプッ
モブ巨人A「違ぇ!!何度も言ってるだろうが!!手の平を歯が貫通するくらい強く噛むんだ!!」バシッ バシッ
被験体2「うう………痛いよ………痛いよ………」カプッ カプッ
モブ巨人A「まだ弱い!!このチキン野郎が!!ったく、被験体1はこんな項目訳も無くクリアーしたっていうのによぉ………!!」
モブ巨人A「いい!!今日は俺がやってやる!!手を出せ!!」
被験体2「………ぇぐっ………ぇぐっ………」ポロポロ
モブ巨人A「………ふんっ!!」ガブッ
被験体2「ギャアッ!!!!!血が………血が………」ブシャアアアァァ
被験体2「う………うわあああぁぁん!!!!!」ポロポロ
モブ巨人B「お………おい。こいつはまだ5つだ、そんなに辛く当たるこたぁねぇだろうが………」
モブ巨人A「いいや、こいつはケダモノだ、俺達とは違う。年齢なんぞ関係ねぇ」
モブ巨人B「で………でもよぉ………」
モブ巨人A「それに、今は被験体だが、いずれこいつには役立ってもらわねぇとならねぇんだ。この程度でピーピー泣き喚くような奴に、俺達の未来を任せられるか!!」
モブ巨人B「………だが、こいつは60メートル級になる可能性を秘めている。恨まれたら………まずいんじゃないのか?それに、今ここで巨人化されたら………」
モブ巨人A「心配ねぇ。この狭苦しい鉄格子の中じゃ、巨人化したところで動けやしねぇよ。それどころか収まりきらねぇな」ヘヘッ
モブ巨人A「おい、被験体。恨むんなら、お前を作り出した誰かさんを恨め。俺は上からの命令でやってるだけだ。忙しい中、てめぇのために時間を割いてやってんだ、感謝されてもいいくらいだぜ」
被験体2「………ぇぐっ………ぇぐっ………」ポロポロ
モブ巨人B「………行くぞ。今日の訓練は終わりだ。A、鍵閉めとけよ」スタスタ
モブ巨人A「わーってるよ」ガチャッ スタスタ
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ー ウォール•ローゼ南方面 第104期訓練兵団 入団式
キース「私が、運悪く貴様らを監督することになった、キース•シャーディスだ!!」
キース「貴様らを歓迎する気は毛頭ない!!今の貴様らは、せいぜい巨人の餌になるしかないただの家畜!!家畜以下の存在だ!!」
キース「そんなクソの役にも立たん貴様らを、我々が3年かけて鍛え上げる!!巨人と戦う術を叩き込んでやる!!」
ベルトルト(………)
ベルトルト(………はぁ)
ベルトルト(よくわかってんじゃないか………人間は家畜以下の存在だって)
ベルトルト(………3年?巨人と戦うなんて一生かかっても無理だよ。馬鹿にしないでくれるかな)
ベルトルト(こっちは………こっちは、こんな家畜以下と戦うために、6年も7年も訓練を積んできたんだ)
キース「3年後、貴様らが巨人の前に立ったとき………ただの餌のままか!!あるいは王を守る名誉ある壁となるか!!」
キース「または、巨人を駆逐する栄光ある人類の兵士か!!」
キース「貴様らが決めろ!!」
ベルトルト(………はぁ)
ベルトルト(なに希望をちらつかせてんだか。どう頑張ったって、こいつら全員巨人に殺されるに決まってるじゃないか)
ベルトルト(たかが人間ふぜいが………偉そうに)
キース「それでは、通過儀礼を行う!!」
キース「まずは貴様だ!!貴様は何者だ!!」
ミーナ「は………はっ!!××区出身、ミーナ•カロライナです!!」バッ
キース「違う!!違うぞ!!貴様は豚小屋出身、家畜以下だ!!」
ミーナ「………!?
はっ!!私は豚小屋出身、家畜以下のメス豚でありますっ!!」ババッ
アニ(………)
アニ(………メス豚、か。豚に失礼だよ)
アニ(本当に自分のことを家畜以下だと思ってるなら、今すぐ死んでくれないかな。そっちの方が私達も楽なんだけど)
キース「………次は貴様だ!!貴様は何者だ!!」
ジャン「トロスト区出身、ジャン•キルシュタインです!!」ババッ
キース「何のためにここに来た!!」
ジャン「………!!
憲兵団に入って、内地で暮らすためです………!!」
キース「………そうか」ドスッ
ジャン「っ!?」ドサッ
キース「誰が座っていいと言った!!こんなところでへこたれる者が、憲兵団になどなれるものか!!」
アニ(………ww)プルプル
アニ(ケンペーダン!!だってさwwしかもザコいしww)
アニ(………憲兵団だろうが調査共団だろうが、どこに行ったってあんたは死ぬよ。落ちこぼれの“ニンゲン”は、滅亡する運命なんだからさ)
キース「………次は貴様だ!!貴様は何者だ!!」
コニー「ウォール•ローゼ南区、ラガコ村出身、コニー•スプリンガー!!」バッ
キース「………」ヒョイッ
キース「逆だ、スプリンガー」グググ…
コニー「ファッ!?」ブクブクブク
ライナー(………すげぇ!!あれ浮いてるよな!?すげぇ!!)
キース「最初に教わったはずだ。この敬礼の意味は、“公に心臓を捧げる”決意を示すものだと………」グググ…
キース「貴様の心臓は、右にあるのか?スプリンガー」
ライナー(あいつ、自分の心臓がどっちにあるのかも分からないのか………)
ライナー(馬鹿だなぁ………)
キース「!?」バッ
コニー「」チ-ン
ライナー(………何だ?)
サシャ「」モグモグ
ライナー「ファッ!?」
ライナー(やべぇ、あんまりびっくりしたもんで声出ちまった)
キース「おい、貴様………」ゴゴゴ
サシャ(次怒られるのは誰やろか)ムシャムシャ
キース「貴様だ、貴様!!」ゴゴ…
サシャ(………って、私!?)
サシャ「」モグモグ ゴックン ウップ
サシャ「ウォール•ローゼ南区、ダウパー村出身、サシャ•ブラウスです!!」ババッ
キース「………貴様が右手に持っているものは何だ?」
サシャ「ふかした芋です!調理場にちょうど頃合いのものがあったので、つい!」バッ
キース「貴様………盗んだのか………なぜだ………なぜ今、芋を食べだした………?」
サシャ「冷めてしまっては元も子もないので、今食べるべきだと判断しました!!」ババッ
キース「………いや………分からんな………なぜ貴様は芋を食べた………?」プルプル
サシャ(………?)
サシャ「………それは、なにゆえ人は芋を食べるのか、ということでしょうか?」
キース「」
サシャ(………?)
サシャ(………!?)ピコ-ン
サシャ「半分………どうぞ」スッ キリッ
キース「」
サシャ「」ドヤァ
ライナー(すげぇ、正真正銘の馬鹿だ………!!聞いてた通りだ、人間って本当に馬鹿なんだな。だがさすがにここまでとは思わなかったぜ)
ライナー(さっきからものの見事にヘタレと馬鹿しかいねぇもんな。確かに強面の教官ではあるが、そこまでビビるかよ………)
ライナー(………こいつら、何か可愛いよな。何というか、幼稚園児を見てるような気分になるぜ。俺達と年は大して変わらないはずなのに、やっぱり生まれついた種族の差ってやつかな。母性本能をくすぐられるんだよな………)
ライナー(よく見たら可愛い子もけっこういるし、人間も捨てたもんじゃねぇな。あとで名前メモしとくか)ムフフ
ライナー(3年間………大いにかわいがってやるぜ。なに、多少情が移ることもあるかもしれんが、所詮相手は人間だ。邪魔にしかならん、どうしようもなく低俗な、救いようのない連中だ。任務に支障が出ることはないさ)ワクワク
ベルトルト(はぁ………声を聞くことすら汚らわしいよ)ハァ…
アニ(出来ることなら、全員今すぐにでも踏み潰してやりたいよ………)ハァ…
エレン(教官、俺のところには来ねぇんだな。他にはミカサ、あとあのでかいのと、あのでかいのと、あのちっこいのも恫喝されてねぇみたいだ)
キース「………ブラウス、貴様は死ぬ寸前まで走ってこい!!」
サシャ「はっ!!」ババッ
サシャ(………走ってお腹をすかせれば、夕食がよりおいしくなるけんね)
キース「無論、夕食は抜きだ。早く行け」ギロッ
サシャ「」
エレン(………色んな奴がいるなあ。この中で、巨人を実際に見たことある奴はどれくらいいるんだろうな。おそらく殆どいねぇだろう)
エレン(見たことある奴に、今この場で芋を食うような余裕があるわけがねぇからな)チラッ
サシャ「ユウショク…ヌキ…アカン…」フラフラ
エレン(………いや、何か違うな。あいつはそういうんじゃねぇな。あいつは俺と同じ立場でも、芋を食うわ多分)
ー 入団式終了後、夕食 食堂にて
コニー「おい、あの芋女、まだ走ってるぜ!!」
マルコ「ははは………入団式の最中に、突然芋を食べだしたときは驚いたよ」
エレン「すげぇな………5時間ぶっ通しか。しかし、死ぬまで走れって言われたときより、晩飯抜きって言われたときの方が悲壮な顔してたよな」
マルコ「………そういえば君は、どこ出身なんだい?教官の恫喝を受けていなかったみたいだけど」
エレン「こいつら………アルミンとミカサと同じ、シガンシナ区だ。そこから開拓地に移って、12歳になるまでそこにいた」
マルコ「そ、そうか………なら、あのとき………いや、すまない。なんでもない」
コニー「ってことは、見たんだよな!?超大型巨人!!」バッ
マルコ「お、おいコニー!!」
エレン「あ、あぁ………」
ベルトルト(僕の名前を軽々しく口に出さないでくれよ、汚らわしい)イラッ
ライナー(あいつ………シガンシナ出身か、あそこにいたのか………)
ワイワイガヤガヤ
エレン「………だから、見たことあるって」
モブ1「すげぇ!!超大型って、どれくらい大きいんだ!?」バッ
エレン「………壁から顔を出すくらいだ」
モブ2「そうなのか!!俺は、壁を跨いで越えたって聞いたぜ!!」バッ
エレン「………いいや、そこまででかくはなかった」
ベルトルト(………)チッ
ミカサ「………」
アルミン「………ねぇ、もうy
コニー「見たんだよな!?見たんだよな!?どんな見た目だった!?怖かったか!?」ババッ
エレン「………皮膚が殆どなくて、口がでかかったな」
モブ3「それじゃ、鋼の巨人は!?超大型と一緒にいたって聞いたぜ!!こっちも見たんだろ!?」バッ
ライナー(きたきた………俺は絶対かっこよかったはずだ。なんたって砲弾をものともせずに突っ込んで、門を破壊したんだからな!!不細工な超大型と違ってルックスもジャニーズ系だ………走るときのフォームも研究したんだ!!ダサいとは言わせねぇ!!そろそろ女性ファンからサインを求められても………)
エレン「………そう呼ばれているけど、俺の目には普通の巨人に見えたな」
ライナー「」
コニー「………へぇ!!じゃ、じゃあ、普通の巨人は!?」ババッ
エレン「ああ、それは………」ズキッ
エレン(………そうだ。思えば、実際に人を食い殺したのは、超大型巨人でも鋼の巨人でもない、普通の巨人だ。母さんだってきっと………)
エレン(………母さん)
エレン「うっ………」ググ…
マルコ「………みんな。これ以上聞くのはよそう。思い出したくないことだってある」
コニー「す、すまん」シュン
エレン「………ハッ!!」グッ
エレン「違うぞ!!巨人なんてな………実際、大したことねぇな。俺達が立体起動装置を使いこなせるようになれば、あんなの敵じゃない!!」バ-ン
ベルトルト•ライナー•アニ「!!」
エレン「石拾いや草むしりじゃなくて、やっと兵士として訓練出来るんだ!!さっきは、思わず感極まっただけだ!!」ババッ
オイイマノキイタカ ワイワイ ガヤガヤ
アニ(………ふぅん、言ってくれるね。3年後にとくと後悔させてあげるよ)
ベルトルト(くっ………たかが人間ふぜいが大口叩きやがって!!だいたい、僕達でさえ………!!)
ライナー(強がってる………いじらしいな、お世話してあげたい。ペロペロしたい)
エレン「そんで、調査兵団に入って、この世から巨人共を駆逐してやる!!そして………」
ジャン「おい、おま
ユミル「おい」ガタッ
ジャン「」
ユミル「………お前、エレン•イェーガーだよな?」
エレン「………?ああ、そうだが」
ユミル「本気で、調査兵団に入ろうと思ってるのか?」
エレン「お前は………確かユミルって言ったか?」
ユミル「ああ………私のことはいい。質問に答えろ」
エレン「お、おう………!
本気に決まってんだろ!!俺は調査兵団に入って、巨人を1匹残らず駆逐して………!!」
ユミル「………そうか。分かった、もういい。話の腰を折って悪かったな」ガタッ
シーン………
エレン(な、なんだよあいつ………)
エレン「あぁ………すまない。それで、お前は?」
ジャン「あの………その………死に………いそ………ぎんちゃく………」プルプル
ジャン「………なんでもねぇよ」ガタッ
ジャン(あの空気で言えるわけねぇだろうが!!何であそこで俺に振るんだよ死に急ぎ野郎が!!しょっぱなから大恥かいちまったじゃねーか!!何なんだよあいつ!!あのユミルって女!!)ガツガツガツ
マルコ「ジャン………あんまり一気食いすると体によくないよ」
ジャン「うるせぇ!!やけ食いくらい自由にさせてくれ!!」ガツガツガツ
エレン「………変な奴だな」
ユミル(………あいつが、エレン•イェーガー)
ユミル(あの、今すぐにでも死に急ぎそうな早漏野郎が、よりによって………)
ユミル(くそっ、こりゃー厄介なことになった………)クッ…
ミカサ(………エレン)
ミカサ「アルミン」
アルミン「ん?どうしたの、ミカサ?」
ミカサ「少し話がしたい」
アルミン「………分かった。あと少しで食べ終わるから、先に談話室に行っていてくれないかな。すぐに向かうよ」
ミカサ「分かった」スタスタ
ジャン(!!!!!)ハッ
ジャン(ふつくしい………あれは………運命の人!?)ガタッ
ジャン「お、おい!!」ダダダダダ
ミカサ「何?」
ジャン(!!………やべぇ、何も話すこと考えてなかった)
ジャン「あ、あぁ………えっと………見慣れない顔立ちだと思ってな………つい………すまない………とても綺麗な黒髪だ………///」デレデレ
ミカサ「ああ、あなたはさっきの、イソギンチャクの人………」スタスタ
ジャン「」
ジャン「」ゴフッ
マルコ「ジャアアアアアン!!」
ー 談話室
アルミン「ミカサ、待たせたね」タタタ…
ミカサ「大丈夫。食堂の椅子は固くて座りにくかったけれど、ここのはやわらかくて座り心地がいい」
アルミン「それじゃ、僕も失礼するよ………本当だ。これは気持ちいいや………それで、何の話?」
ミカサ「エレンのこと。エレンは、ああ見えてけっこうプレッシャーに弱い」
アルミン「うん、知ってるよ。君達とは長い付き合いだからね」
ミカサ「そのくせ強がりなところがあるから、少し乗せられるとすぐに大口を叩いてしまう」
アルミン「うん、それも知ってる」
アルミン「エレンは喧嘩が強かったから何も言われなかったけれど、口だけ野郎と呼ばれても仕方がないようなことを多々やっていたね、エレンは」
ミカサ「今考えてみれば、そうかもしれない」
ミカサ「エレンをそんな風に扱うことは、私が許さないけれど」フフッ
アルミン「あはは、そうだね。多分、君が怖くてエレンに逆らわなかった人も多いと思うよ。君は、エレンよりも喧嘩が強かったからね」
ミカサ「………ので、今回もエレンがそうならないか心配」
アルミン「ああ、それは僕も思ったよ」
アルミン「ただ、今回のエレンの言葉は、おそらく心の底から、壮大な決意をもとにして生まれたものだと思うんだ。以前から、僕とミカサに対しては、同じようなことを言っていたしね」
アルミン「………僕自身、入団を決めてからは、エレンの心意気に背中を押されているところもあるよ。体力のない僕が訓練についていけるか、内心今も不安で仕方ない。エレンがいなかったら、僕はとっくにノイローゼになっているよ」
アルミン「それに、一番最初の適性検査は、難易度が低いと聞いている。エレンは運動神経は決して悪くないし、筋力も人並み以上ある。適性検査に合格出来なかったものは開拓地送りになると聞くし、エレンがクリアー出来ないような難易度だったら、それこそ訓練兵がほぼ全滅してしまうよ」
ミカサ「………それもそう。安心した。ありがとう、アルミン」
アルミン「どういたしまして」ニコッ
ー 窓の外
サシャ「はぁ………はぁ………もう駄目………」バタッ
クリスタ(あの子、やっぱりまだ走ってたんだ)
クリスタ(5時間ぶっ通しで夕食も抜きなんて、やっぱり訓練兵団は容赦ないなぁ………気を引き締めなきゃ)グッ
クリスタ「あ、あの………サシャ•ブラウスさん?」
サシャ「ああ、川が………三途の川が………ハッ!!」ガバッ
サシャ「パアアアアアァァァァァン!!!!!」ダダダダダ
クリスタ「きゃあ!!」ステ-ン
サシャ「んん………はむはむほむほむ………」バクバク ムシャムシャ
クリスタ「………それだけしかないけど、とっておいたの。いや、でもまず先に水を飲まないと」
サシャ「神様ですか!?あなたが!!」ババッ
クリスタ「か………神様だなんて、そんな………」アセアセ
サシャ「神ィィィィィ!!!!!」
ユミル「おい、お前何やってんだ」スタスタ
サシャ「」ビクッ
ユミル「芋女じゃない。お前だ。お前何やってんだ」
クリスタ「わ、私!?」
ユミル「晩飯のパンを隠してるときからイラついてた………親に内緒で飼ってるペットに餌やるみてぇな」
クリスタ「えっと………この子は、ずっと走りっぱなしで………」
ユミル(こいつ………やっぱりそうか)
ユミル「なぁ、お前、今“いいこと”しようとしてるだろ?」
ユミル「それは芋女のためにやったのか?お前の得た達成感や高揚感は、その労力に見合ったのか?」
クリスタ「私?え………私は………私がこうしたかったのは、役に立つ人間だと思われたいからなのかな?」
ユミル(けっ………さっきのお前の“私は悪くありません”って顔が、全てを物語ってんだよ)
ユミル(芋女は、教官から飯抜きを明言されてんだ。本当に偽善じゃねぇなら、他人に見られたら多少は慌てるだろうが………それが、平然としやがって………)
ユミル「………は!?知るかよ!とにかく、芋女をベッドまで運ぶぞ。お前じゃこいつを担ぐのはしんどいはずだ」
クリスタ「………えっと、あなたは何で“いいこと”をするの?」
ユミル「こいつに貸し作って恩に着せるためだ………こいつの馬鹿さには期待できる」
ユミル「ほら、運ぶぞ」ヒョイッ
クリスタ「う、うん………」
ユミル(クリスタ•レンズ………)
ユミル(お前とエレン•イェーガーが同期で助かったよ。これで私は、2つの目的を同時に達成できる)
ー 第2物品倉庫
スタスタ ガチャッ…
アニ(………ここが、第2物品倉庫)ガラガラ
アニ(案外綺麗だね………探しやすくて助かるよ)スタスタ
アニ(暗いな………ランプを)
カチッ ボォォ…
アニ(エレン•イェーガー、と………あったあった)
アニ(口だけで大したことも出来ないくせに、ああやって変に士気を高められると困るんだよ)
アニ(たかが人間だ………何人集まっても無能で無力なのは変わらないと思うけど、上の意向だ。危険因子は手っ取り早く消し去ろうってことだろうね)
アニ(ふんっ………!)
バキッ ブチッ…
アニ(このベルトの金具部分は、整備項目に入っていない………らしい)
アニ(ここの破損は、バランスを取る上で致命的だ。この状態で適性検査に合格することは、私達巨人でも難しいだろう)
アニ(大口を叩き過ぎたようだね………赤っ恥かいて開拓地に戻りな)スタスタ
ガラガラ ガチャッ… スタスタ
ー 夜 5号寝室
ベルトルト(同じ部屋の奴は………)
ベルトルト(アルミン•アルレルト、ジャン•キルシュタイン、マルコ•ボット、サムエル•××………)
マルコ「ジャン、お互い初対面なんだから、君はもう少し口のききかたを考えた方が………」
ジャン「うるせぇ!!俺は正直者なんでね、今日お前がべったりだった死に急ぎ野郎の戯言が気に障って仕方ねぇんだよ!!」ギャ-ギャ-
アルミン「あ、あはは………」ヘラヘラ
アルミン(やめてよ………こういう人苦手なんだよ)
サムエル「………イソギンチャ君」ボソッ
ジャン「」
アルミン「ブホォwwwww」
マルコ「ブヒヒwwwww」
ジャン「おいてめぇ!!今なんつったおい!!」ガバッ
ベルトルト(しっかし、うるさいなぁ)チッ
シーン………
アルミン(に、2メートル級巨人が舌打ちした………)ガクガクガク
サムエル(ずっと無言で隅っこに座ってるから存在忘れてた………何であんなに怖い顔してるんだよ)ガクガクガク
マルコ(うるさいのが嫌だったのかな………?)ガクガクガク
ジャン(き、今日は厄日だあぁ………)ガクガクガク
ベルトルト「………」
ベルトルト「………電気、消すよ」パチッ…
ー 37号寝室
キャ-キャ- ワイワイ キャピキャピ
アニ「………」スタスタ
アニ(うるさいなぁ、この部屋。廊下まで声が響いてるよ………教官が来たらどうするつもりなんだろうね、こいつらは)スタスタ
アニ(やっぱり人間って、救いようのない馬鹿だね………)ガチャッ
ワイワイ キャピキャピ ピタッ シ-ン…
ハンナ「あ、アニ•レオンハート………さん?」オドオド
アニ(同じ部屋の奴等は、ミーナ•カロライナ、ハンナ•××………もういいや。人間の名前なんて、覚えても仕方がない。脳味噌のスペースの無駄)
アニ「この部屋、うるさい。あんたらも明日から訓練なんだろ?無駄なエネルギー使ってないで、さっさと寝たらどうなんだい」ギロッ
アニ「電気、消すよ」パチッ
モブ女1「なんなの、こいつ………」ヒソヒソ
モブ女2「マジありえないんですけど………」ヒソヒソ
ハンナ(この人、怖いよ………)ガクガクガク
ミーナ(せっかく美人なのに、ブスッとしてたらモテないよぉ、勿体ない………)
ー 28号寝室
クリスタ「………同じ部屋だね」
ユミル「ああ」
クリスタ「………みんな静かだね」
ユミル「緊張してんだろ」
クリスタ「………あなたは、緊張しないの?」
ユミル「私は、踏んできた場数が違う」
クリスタ「………?」
ユミル「………」
クリスタ「………あなたの名前は?」
ユミル「ユミル」
クリスタ「わ、私は………クリスタ•レンズっていうの。よろしく」
ユミル「ああ、知ってる。よろしく」
クリスタ「えっ、知って………そうか。今日、キース教官に恫喝されたときに、名前言わされたから………」
クリスタ「き、キース教官、怖かったよね………」
ユミル「………」
クリスタ「………」
クリスタ「あ、あの………」
ユミル「何だ?」
クリスタ「………ユミルがさっき言ってた、“いいこと”しようとしてるって………どういう意味?」
ユミル「そのうち、分かるようになる」
クリスタ「そのうち………」
ユミル「どうしても分からなかったら、そのうち私が教えてやるよ」
クリスタ「また“そのうち”………いじわるぅ」ジトッ
ユミル(かわいい)
ユミル「結婚したい」
クリスタ「………えっ!?誰と!?いきなり!?えっ!?」アタフタ
ユミル「………まあ、よろしくな、クリスタ」
クリスタ「う、うん………」
ユミル「電気、消すぞ」パチッ
クリスタ「………」
ー 13号寝室
ライナー(まずは、クリスタ•レンズだよなぁ………あんな天使は見たことがない。結婚しよ)カキカキ
ライナー(それから、サシャ•ブラウス。食い意地ばかりが目につくが、ありゃEはあるな………ツラも決して悪くない。何せ芋女だから、放屁の回数は多そうだが、まあ本体を漏らさない限りは許してやろう)カキカキ
エレン「お、おい………」
ライナー「ん………お?どうした?お前はさっき食堂で一演説ぶってた………」
エレン「ああ、エレン•イェーガーだ。同じ部屋になった。よろしくな!」
ライナー「おう、俺はライナー•ブラウンってんだ。よろしく頼むぜ!」
ライナー(エレン•イェーガー………こいつは確か、上から妨害工作を命じられている………アニが行ったはずだ)
ライナー(それなら、こいつとは早々におさらばってことか………)
ライナー(うーむ、個人的にこいつは、割と構いたくなる部類なんだがなぁ………惜しいな)
エレン「ところで、お前………何書いてんだ?」
ライナー「あぁ、これは、同期の可愛い女子をリストアップしてんだ」ドヤッ
エレン「ファッ!?」
エレン「………個人に支給される紙には限りがあるし、そもそも紙はすごく貴重なものなんだぞ………?」
ライナー「貴重な紙にふさわしい、素晴らしい使い道だと思うんだが」キリッ
エレン「………そういうものなのか、いや、そういうことにしとこう、うん」
ライナー(ミーナ•カロライナ………黒髪にもっさりおさげと、サシャとは違う意味でやや芋っぽいが、彼女にはどこか小動物的な可愛らしさがあるな。こいつの“豚小屋出身家畜以下のメス豚です!!”は、正直勃起した。俺にそっちの気はないはずなんだが………)カキカキ
エレン(………)
エレン「………ところで、ライナー」
ライナー「ん?何だ?」
エレン「この部屋、何でこんなに静かなんだよ………」
ライナー「?」
シーン………
ライナー「」
ライナー「………お、おいエレン!この部屋、確か10人部屋だよな!?」
エレン「………どうやら、全員コミュ障みたいで」
モブ1「」モジモジ
モブ2「」オドオド
モブ3「」モジモジ
モブ4「」ウツムキ
モブ5「」モジモジ
モブ6「」ウツムキ
モブ7「」オドオド
モブ8「」ウツムキ
ライナー「」
ライナー「マジかよ………」
エレン「さすがに気まずいよなぁ………」
ライナー(………)
ライナー(………ったく、世話のやける奴等だなぁ、人間ってのは。仲間うちでコミュニケーションも取れないほど馬鹿なのかよ………)ハァ
ライナー(ん、まあ仕方ねぇ………これはこれでお世話しがいがあるってもんだ………よし!!)ガバッ
ライナー「おい、お前ら!!せっかく同じ部屋になったんだ、1人ずつ自己紹介してこうぜ!!パスは無しだ!!それじゃ、そこのお前から!!」パンパンパン
モブ1「お………俺!?」アセアセ
ライナー「自己紹介が終わったら、UNO大会だ!!誰がいつ開拓地送りになるか分かんねぇんだから、全員いる今のうちに楽しんどくしかねぇだろ!!」
エレン「どうせなら、明日の朝食のパン賭けよーぜ!!」
ワ-ワ- ガヤガヤ ライナ-ニキ- ギャ-ギャ- クソ- パンハオレノモンダ クチク ハガネノキョジンバンザイ クチク ワイワイ
キース「」
キース「何だあの部屋」
キース「俺………今日………恫喝………したよね………?」ヒクヒク
細かい点ですが、ユミルは教官の恫喝を受けていないので、エレンが名前を知っているはずがありませんね。
ミスです。
このSSにおいて、
• グリシャとキースが知り合い、という設定は存在しません。
• エレンがグリシャから注射を受けていた、という事実も無視します。
• 獣の巨人は、無知性巨人を作り出す力を持っていません。
>>1に書いたようにこのSSには原作と根本的に異なる点がいくつもありますが、
以上の3点は「原作基準で考えるとSSの内容が理解できなくなる相違」に当たりますので、早い段階で注意書きを入れました。
他にもあるかもしれないので、思い出し次第お伝えします。
また、原作がまだ未完なこともあり執筆中に以降の原作との間に矛盾が生じることがあるかもしれません。
基本的に、今現在原作で明らかになっていない事実はSSに反映しないことになるのでご注意ください。
特にエレンの座標云々は、>>1の足りない頭では全く理解できない為、要素として取り入れていません。
ご容赦ください。
以降読んで頂ける場合は、これらを頭に入れて読んでください。
ー 翌日 立体機動訓練
キース「まずは、貴様らの適性を見る!!」
キース「これが出来ない奴は、囮にも使えん!!開拓地に戻ってもらう!!」
メガネ教官「これはまだまだ初歩の初歩だが、この段階から立体機動の素質は見て取れる」スタスタ
メガネ教官「ん………見ろ」
ミカサ「………」プラ-ン
メガネ教官「全くブレがない。何をどうすればいいのか、全て分かるのだろう。素質とは、そういうものだ」
メガネ教官「んん、今年は優秀な者が多いようだ」スタスタ
モブ教官「あの、彼は………」
エレン「」マッサカサマ
メガネ教官「Oh………」
メガネ教官「………それこそ、素質というものだろう」
メガネ教官「例え気合いが十分でも、人並み以上に出来ないこともある」
キース「何をやっている、エレン•イェーガー!!上体を起こせ!!」
ザワザワ ザワザワ オイアイツタシカキノウノ…
ユミル(………何だ、騒がしいな。こんなのも出来ねぇ奴がいるのか)プラ-ン
ユミル(どこのどいつか知らねぇが、このザマじゃ開拓地行きは逃れられねぇな。その程度の奴だってこった………)チラッ
エレン(何だこれ………こんなのどうやって………嘘だろ………)タラ-ン
ユミル「」
ユミル(おい待てどういうことだよありえねぇだろ冷静に考えて)
ー 自主練
ミカサ「基本通りやれば、出来るはず。上手くやろうとか考えなくていい。前後のバランスに気をつけて、腰巻きと足裏のベルトにゆっくり体重を乗せる」
アルミン「落ち着いてやれば、出来るよ!僕にだって出来たんだから!」
ユミル(………)コソコソ
ユミル(………絶対におかしい。あいつに、こんな簡単なことが出来ないはずがない)
ユミル(装備の故障か………原因はそれくらいしか思いつかない。虚栄心の塊のようなあいつに限って、整備を怠って自分の首を締めるとは、考えにくいが………)
エレン「………よし、今度こそ出来る気がする!上げてくれ、アルミン!」
アルミン「うん!」ガラガラ
エレン「う………あ………」グラグラ
エレン「ムベッ!!」ゴチッ シュゥゥ…
アルミン「」
ミカサ(………!!)
ユミル(なっ!?あいつ、頭から蒸気が………)
ユミル(あの東洋顔とキノコ頭………昨日からエレンにべったりだが、あいつらはどこまで知ってるんだろうな)
ユミル(………そんなの今はどうでもいい。つーか、そんなに近くで見てるんだから、お前らが故障に気付いてやるしかねぇだろうが!!この役立たずが!!)
ユミル(出来れば、エレンとの直接の接触は避けたい………が、このままあいつらが気付かないようなら、やむを得ないな)
ー 食堂
ワイワイ ガヤガヤ
モブ「なぁ、あいつ確か、昨日巨人を皆殺しにしてやるとか言ってた奴だよな?」ヒソヒソ
モブ「まあ、明日には開拓地行きだろう。役立たずに食わせる飯はねぇからよ」ケケケ…
ミカサ「エレン」
エレン「………」
ミカサ「エレン!!」
エレン「うわっ!!」ビクッ
アルミン「………気にしても、仕方がないよ。明日、出来るようになればいいんだから」
エレン「………情けねぇ。こんなんじゃ、奴等を根絶やしにすることなんか………」
ミカサ「もう、そんなこと目指すべきじゃない」
エレン「何だって!?」ガバッ
ミカサ「兵士を目指すべきじゃない、と言っている。何も、命をなげうつことだけが戦うことじゃない」
エレン「お前なあ………俺はあの日の、あの光景をこの目で見ちまったんだぞ。そんな理屈で納得出来ると思うのか?」
ミカサ「………でも、その覚悟の程は関係無い」
エレン「はあ!?何で」
ミカサ「兵士になれるかどうか判断するのは、エレンじゃないから」
エレン「くっ………」
ミカサ「私は何も、エレンだけ開拓地に戻れと言ってるんじゃない。その時には、私も一緒に行くから………」
ユミル「………やっぱりか」スタスタ
ユミル「そんなことだろうと思ったよ。ミカサ•アッカーマンだっけか?お前、内心エレンに開拓地に戻って欲しいんだろ」
ミカサ「………なっ!?」
ユミル「お前、昨日からこいつにべったりだもんなあ?兵士は危険だから、死ぬかもしれないから、とか抜かすんだろ?どうせ」
アルミン「ちょ、ちょっと
ユミル「うるせぇ、腰巾着」ギロッ
アルミン「ヒィ!!!!!」ガクガクガク
ミカサ「………私とエレンは、家族。ので、安全を願うのは、当然のこと」
ユミル「………へぇ、そうかい」
ユミル「………んなこと許さねぇからな。エレン•イェーガー、お前は兵士になるんだ!お前が語ってた信念は、間違っちゃいない。周りがどう言おうとな」
エレン「!!」
ユミル「どんな組織でも、お前みたいな過激派は必ず出てくるもんだ。その考え方は否定しない。場合によっちゃ、それが一番理にかなってることもある」
ユミル「………そいつらが、民衆を洗脳しちまうとなれば、話は別だけどな」ボソッ
ユミル「必死でやれ。エレン、お前は必ず出来る。どうしても出来ないなら、おそらくお前の技術以外に問題がある」
ユミル「装備に欠陥がないか、もう一度よく見直すんだな」スタスタ
ミカサ(………)
ミカサ(………あの人は、よく分からない。私達の味方なの?)
エレン(装備、か。整備はきちんとやったはずなんだけどなぁ)
アルミン()ガクガクブルブル
ユミル(………ったく、てめぇらだけ幸せになろうとするんじゃねぇよ)スタスタ
ー 談話室
コニー「姿勢防御のコツだって?悪いけど俺、天才だから感じろとしか言えん」シレッ
ジャン「俺は逆に教えて欲しいね。あんな無様な姿さらしておいて、正気を保っていられる秘訣とかをよぉ」ニヤニヤ
エレン「お前ら!!人が頭下げて頼んでるのに………!!」
コニー「でもさぁ、お前昨日、力の無い者は去ればいい、って言ってなかったっけ?」ニヤニヤ
エレン「………くっ!!」
コニー「あれ?違ったか?才能の無い奴は去るしかない、だっけ?………どっちだったっけ?」ニヤニヤ
ー 5号寝室
ライナー「ふあぁ………」ゴシゴシ
ベルトルト「………眠そうだね、ライナー。大丈夫かい?」
ライナー「消灯時間まであと1時間程だ、眠いのは当たり前だと思うが」
ベルトルト「違うよ、そういう意味じゃない。君は今日、朝からずっと眠そうにしていた。立体機動訓練の時間も、眠気からか終始ぐらついていたじゃないか………君らしくもない」
ベルトルト「それに、教官から何度か睨まれていたようにも感じたし、何かあったのかい?」
ライナー(………さすがベルトルトの奴、勘がいいな)ハァ
ライナー(にしても、昨日は散々な目にあったぜ。何でドロー4×3とドロー2×7がまとめて俺のところで止まるかねぇ………山札が無くなりかけたぜ。案の定最下位で、朝のパンは犠牲になっちまうしよぉ)
ライナー(昔から、UNOは弱いんだよな。4人でよくやったものだが、大体最下位は俺だった)
ライナー(さすがに、いくら俺でも人間には勝てると思ったんだがな………あいつら、思ったより強いぞ。まさかエレンとビリ争いを演じることになるとはな。くそっ、一巨人として情けないぜ)
ライナー(………でも、楽しかったな。ああいうの、ずっとやってみたかったんだ。大勢でワイワイ遊ぶのなんて、初めてだった。UNOが壁内人類と共通の遊びで良かった)
ライナー(でも、少し度が過ぎたな。教官に3度も注意されちまった。危うく全員開拓地送りになるところだったぜ………)
ライナー(しかも俺、今日教官に睨まれてたのかよ………気付かなかった。結構根に持つタイプなんだろうか)
ライナー(………まあ、あれだけ恫喝してあいて夜ワイワイ騒がれちゃ、教官も面目保てねぇか。悪いことしたな、今度から気をつけよう)
ベルトルト「………ライナー?」
ライナー「あ、ああ。悪い悪い、またぼーっとしてたな」
ライナー「………昨日の夜、部屋の奴等と盛大にUNOパーティーしちまったせいだろうな。教官に大目玉食らって、ほぼ寝れてないしな」
ベルトルト「ファッ!?」
ベルトルト「部屋の奴等って、当然人間だよね!?あの“ニンゲン”だよね!?」ガシッ
ライナー「ああ、そうだが?」キョトン
ベルトルト「何で!?何でそんなことが出来るんだい!?」ユサユサ
ライナー(………?)
ライナー「………取りあえず落ち着け、ベルトルト」ナデナデ
ベルトルト「無理だよ!!そんなこと聞かされて、落ち着いてなんていられるもんか!!あと、撫でるのやめてくれ!!何か落ち着くんだよ!!落ち着いてる場合じゃないのに!!」ユサユサ
ベルトルト「………君は、いいのかい?それは、君の意思でやったことなのかい?」
ライナー「ああ、そうだが。俺は何か、やってはいけないことをしたか?」
ベルトルト(………)
ベルトルト「だって………汚らわしいじゃないか。僕もアニも、あいつらと目を合わせることすら避けている。人間共は、無知で、無能で、低俗だ。関わりたくもない。君は、そう思わないのかい?」
ライナー「………ああ、そういうことか」
ライナー「気にするな、あいつらがその程度の生物だってのは、分かってるさ。ただ、遊び相手として利用しただけだ。性欲処理に風俗を使うようなもんだ」
ベルトルト「実に君らしい例えだね」
ライナー「………ベルトルト、そろそろ肩の手をどけてくれないか」
ベルトルト「ああ、ごめん………」スッ
ライナー「それに、あいつら思ったより頭いいぞ。俺、昨日のUNO、10人中最下位だったからな」
ベルトルト「ハァ!?」ガシッ
ライナー「離そうか、ベルトルト」
ベルトルト「ああ、ごめん………」スッ
ライナー「おかげで、朝食のパン奪われちまうし、もう散々だぜ………ん?」
コンコン ガチャッ
エレン「………ああ、2人とも、ここにいたか」
ライナー「どうしたんだ?エレンと………お前は確か、アルミン•アルレルト?」
アルミン「あ、ああ。よろしく」ビクビク
アルミン(この2人、仲いいんだ。ライナーはいい奴だって、エレンから聞いてるけど、この2メートル級巨人は………)ビクビク
ベルトルト「ああ………」
ベルトルト(何なんだよ、こいつら。近寄らないでくれよ)チッ
アルミン「ヒィ!!!!!」ガクガクガク
エレン「2人とも、今日の俺の立体機動訓練の惨状は、見てたよな?」
ライナー「………ああ」
ベルトルト「………」
エレン「頼むっ!!コツでも何でも教えてくれねぇか!?2人とも、凄く上手いって聞いたぞ!!」ドゲザ-
ライナー(………すまねぇな)
ベルトルト(………)
ライナー「………すまんが、ぶら下がるのにコツがいるとは思えん。期待しているような助言は、出来そうにないな」
エレン「そうか………」シュン
アルミン「明日に懸けるしか、ないね………」
ベルトルト(………)
ベルトルト「………どうして
アルミン「ヒィ!!!!!」ガクガクガク
ベルトルト(うるさいな、こいつ)ギロッ
アルミン「ヒィ!!!!!」ガクガクガク
ベルトルト(………まあ、人間なんてこんなもんだよね)ハァ
素でずっと鋼だと思ってました…。
脳内変換お願いします!
以後気をつけます!
ベルトルト「……どうして兵士を目指すの?」
ベルトルト「2人は、あのシガンシナ区出身だよね?じゃあ、巨人の恐ろしさを知っているはずだ。なのに、どうして……」
アルミン(ぼ、僕に聞いてるのかよおおおおお!!)ガクガクガク
アルミン「ぼ、僕は、エ、エレンと違っ違って、ち直接巨人のききききょ脅威を目の当たりにしたわけじゃないんだあああああ!!!!!た、ただ、あんな滅茶苦茶なだだだだだだだ奪還さささ作戦をきょ強行した王政があることをかか考えるととじっとしてられなかったたただげでえええええ!!!!!」ガタガタガタ
ベルトルト「そ、そうか……」
エレン「……アルミン、お前さっきから何かおかしいぞ?」
アルミン「そ、そうかな?」ガクガクガク
ライナー「そうだな、具合でも悪いのか?」ポン
アルミン「ヒィィィエエエエエ!!!!!」ガタガタガタブルブルブル
ライナー「!?わ、わりぃ」スッ
アルミン(何だよ!!ライナーがいい奴だなんて、大嘘にも程があるよ!!物っ凄い怖いよこの人!!)ガクガクガク
アルミン「ち、ちょっと具合悪いかも!!トトトトトトイレ行ってきまあああす!!!!!」ダダダダダ バイバイキ-ン
ベルトルト(……駄目だ、こいつら)
ベルトルト(さっさと任務終わらせて、故郷に戻ろう。こいつら見てると、余りの惨状に反吐が出そうだ。殺せる日が待ち遠しいよ……)ジュルリ
ライナー(ビビりのアルミンきゅん可愛い)
エレン(一体どうしたんだ、アルミンの奴……)
エレン(……でも、何だろう。この、どこか懐かしい感覚は)
ベルトルト「……それで、エレン。君は?」
エレン「あ、ああ」
エレン「俺は、巨人を駆逐する為だ!」キリッ
ベルトルト「」イラッ
ライナー(ベルトルト、気持ちは分かるが抑えろ)ポン
ライナー「それは、もう何度も聞いたぞ。俺達が聞いているのは、何で巨人を駆逐したくなったのかってことだ」
エレン「ああ、そういうことか」
エレン「……俺は」
エレン「巨人に、母さんを殺されたんだ……」
ベルトルト「……?」
ライナー「……カアサン?」
エレン「……は?」
ライナー「……カアサンって何だ?」
エレン「」
エレン「ファッ!?」
ベルトルト(あっ、やばいなこれ)
エレン「いやいや、母さんは母さんだろ!?母さん知らない奴なんて、聞いたこと無いぞ!?」アセアセ
ベルトルト(壁内との文化の違いは、書類にまとめられてあった。僕達は、任務の下準備として、それを頭に入れてあるはずだ。漏れは無いと思っていたけど……)
ベルトルト(エレンの反応を見る限り、壁内人類にとって、これは知っていて当たり前のことらしい。そんな重要な事項の確認を漏らしていたなんて……それも、ライナーも同時にとはね)
ライナー「いや、全く聞いたことがn
ベルトルト「ああ、カアサンね、カアサン!!それで!?」ガバッ
エレン•ライナー「」ビクッ
ベルトルト(ここはひとまず話を合わせるべきだ。あとでライナーと一緒に、書類を確認しよう)
エレン「お、おう……」
ライナー「あ、ああ!!そう言えばそうだったな!!カアサンか、カアサン!!」ガバッ
ライナー(何となく、ここはベルトルトに合わせた方がいい気がする……同郷3人のうちで、一番頭が回るのはこいつだからな)
エレン「そ、そうだよな。知らない訳ねぇよな……びっくりしたぜ」ダラダラ
エレン(何でこいつら、満面の作り笑顔で俺を見つめてるんだよ……)
エレン「お、お前らにも母さんはいるんだろ?大切にしろよ。死んじまったら、もう謝ることも、尽くすこともできねぇ……」
ライナー「……お前にとって、カアサンは大切な人だったのか?」
エレン「……!!あったりめーだろ!!家族だぞ!?」バ-ン
ベルトルト(……!?)
ライナー「……カゾク?」
エレン「……へ?」
ライナー「あ、いや……何でも無い。続けてくれ」
ベルトルト(……ライナーもか。カゾク……おかしいな、これで今日2つ目だ。これでは任務に大幅に支障が出かねない。至急確認しないと)
エレン「……俺は、何もできなかった」
エレン「目の前で大切な人が食われるのを、ただ見ていることしかできなかった。俺がもっと強ければ、母さんは助かったかもしれねぇのに……」グッ…
ライナー「そうか……」
ベルトルト(……)
ライナー「……俺達は、お前の気持ちの全てが分かる訳じゃねぇ」
ライナー「ただ、大切な人を目の前で失う苦しみは、理解しているつもりだ」
ライナー•ベルトルト(ベリック……)
エレン「……お前らもか?」
ライナー「ああ。俺達は、巨人に親友を目の前で食われた。お前と同じだ……俺達は何もできなかった」
ライナー「ただそれを眺めて、親友の断末魔を聞きながら、泣き叫ぶだけだった」
エレン「そうだったのか……すまない。嫌なことを思い出させちまったな」
ベルトルト「君に言われなくたって、毎日のように思い出していることだよ。現実から目を背けることはできない。それに、それは君も同じだろう?」
ベルトルト「……君は、彼等とは違うってことなんだね?」
エレン「彼等?」
ベルトルト「巨人の恐怖を知らずに、ここにいる人達……」
エレン「……」
ベルトルト「彼等がここにいる大半の理由は、世間的な体裁を守る為だ。12歳を迎えて生産者に回る奴は、腰抜けだって……世論に流されて、訓練兵になった」
ベルトルト「でも、君はそうじゃないんだろう?」
エレン「……」
エレン「……俺は」
エレン「俺は、殺さなきゃならねぇと思った」
ライナー「……」
ベルトルト「……」
エレン「この手で巨人共を、皆殺しにしなきゃならねぇって……そう、思ったんだ」
ライナー「……巨人と遭遇しても、心が折れることは無かったっていうのか?」
エレン「ああ……まあ、今となっては、兵士になれるかどうかってとこだけど……」
ライナー(……)
ライナー「……ベルトの調整から、見直してみろ。明日は上手くいく」
ベルトルト(ちょ……ライナアアアアア!!!!!)
エレン(ベルトの調整、か。ユミルも同じようなこと言ってたっけ)
ライナー「お前ならやれるはずだ。エレン•イェーガー」ポン
エレン「ああ!ありがとな、ライナー、ベルトルト!」
スタスタ ガチャッ
ベルトルト「……ライナー、どういうつもりだい?あいつに気付かせるようなことを言って」ゴゴゴゴゴ
ライナー「……まあ、いいじゃねぇか。アニが壊した箇所は、整備項目に入っていない。俺がああ言ったところで、エレンが故障に気付く可能性は低い」
ベルトルト「……」ハァ
ベルトルト「アニがわざわざ妨害工作をしたのは、上から指示があったからだ。つまり、上はあいつを危険因子だと判断したんだよ?」
ライナー「……ベルトルト、お前も少しは、あいつに共感する部分があるんじゃないのか?」
ベルトルト「……」
ベルトルト(……そりゃあ、僕にだって思うところはあるさ)
ベルトルト(でも、何故だろう……あいつを見てると、あいつの話を聞いてると、それ以上に、湯気のように憎しみが沸き上がってくるんだ。生まれてこのかた、感じたことが無いくらい強い憎しみが)
ベルトルト(何でだろう。あいつが人一倍巨人を殺すことに執着しているから?いや、何か違う気がする……とにかく、あいつとはもう関わりたくない。顔も見たくない)
ベルトルト(それにライナー、君がどう思っていようと、それと任務とは別の話だろう)
ベルトルト(君はもう、人間に情が移ったのかい?そんなんじゃ、先が危ぶまれるよ)
ベルトルト(……僕は君が、心配で心配で仕方が無いよ、ライナー)
随分と長い間放置してすみません。
少々忙しくスローペースになりがちですがあしからず。
- 翌日、立体機動訓練
キース「エレン•イェーガー、覚悟はいいか!!」
エレン「はいっ!!」バッ
エレン(あれから装備の点検を隅々までやり直したけど、欠陥や故障は見つからなかった。やっぱり昨日までの結果は俺の実力だったってことだ)
エレン(だがやる……!俺はやる!俺には素質が無いかもしれねぇけど、根性だけは誰にも負けねぇ!!)
キース「始めろ!!」
ガラガラ...
エレン(理屈なんか知らん!根拠も無い!でも……俺にはそれしかねぇ!!)
エレン(それが俺の武器だ!!)プラ-ン
アルミン(よしっ!そのままだ、エレン!!)グッ
ライナー(……やや危なっかしいが安定している。装備の破損に気づいたか)
ベルトルト(……)チッ
アニ(……!?)
ユミル(……よし、そうだ。巨人は人間と比べて圧倒的に身体能力が高い。エレン、お前にできないはずがねぇんだよ)
エレン(やった……!!できた……って)グラッ
エレン「うっ、うわああ!!」クルッ
エレン「ブビブベッ!!」ゴチッ
ユミル(ハアアアアア!!!???)ガバッ
ザワザワ... ガヤガヤ...
アルミン(う、嘘だろ?今あんなに上手くできていたじゃないか……!!)
ライナー(……やはり気づいていなかったか)
アニ(良かった……)ホッ
ベルトルト(……!?)
ユミル「あ、あり得ねぇ。あいつにできないはずが……おかしい、こんなことがあり得るはずが……」ブツブツ
ミカサ「ユミル、エレンを信じてくれるのは嬉しいけれど、エレンにだってできないことはある」
アルミン「……いや、おかしいよ。確かにあり得ない」
アルミン「僕にだってできたんだ。それにエレンのバランス感覚は決して悪いほうじゃないはず。ましてやこんな簡単なこと……」
エレン「まだ、まだ……俺は……」
キース「降ろせ」
ドサッ...
エレン「あ……あ……俺は……」
キース「ワグナー、イェーガーとベルトの交換をしろ」
アニ • ライナー • ベルトルト(!!)
トーマス「は、はい!!」ガシャガシャ ガチャン
キース「この装備でもう一度やってみろ、イェーガー」
ガラガラ...
エレン(何だこれ……急にできるようになったぞ……)プラ-ン
キース「装備の欠陥だ。貴様が使用していたベルトの金具が破損していた」
キース「ここが破損するなど聞いたことも無いが……新たに整備項目に加える必要があるな」
モブ「じゃああいつ、壊れた装備で一時は……」ヒソヒソ
モブ「すごいな……」ヒソヒソ
エレン「じゃ、じゃあ適性判断は……!?」プラ-ン
キース「問題無い。修練に励め!!」
エレン「やった……!!」グッ
エレン(やった!!やったぞ!!どうだミカサ!!俺はやれる!!巨人とも戦える!!もうお前に世話を焼かれることもねぇな!!)ググッ
ライナー「……何とかなったようだな」
アルミン「目でどうだ、って言ってるよ」ニコニコ
ミカサ「違う」
アルミン「?」
ミカサ「これで私と離れずに済んだと思って安心してる」
アルミン「」ドンビキ
ユミル(……ひとまず教官の奴が有能で助かった。ここでエレンに離脱されちゃ何もかもが終わりだ)
ユミル(……ただの故障だといいんだが)
このSSまとめへのコメント
なんかベルトルさん達が自分は人間ではない。
みたいな感じだね。