女「わたしには恋愛感情がないんだ」 男「キター!」 (23)

男「何でそんなことが言えるんだよ。恋をしたことがないからか?」

女「恋をしたことは確かにないよ。だけど」

男「まだ十六歳だろ。今まではなかったかもしれないけど、これからも恋をしないなんて保証はないだろ」

女「人の話は最後まで聴こうよ」

男「?」

女「別に今までの経験から言っているわけじゃない」

男「じゃあ何を根拠に」

女「きみは空を飛べるかな」

男「何だよ、いきなり。飛べるわけないだろ」

女「どうしてそんなことが言える? 飛べるかもしれない」

男「だって翼とか生えてないし」

女「別に翼で飛ぶ必要はない。超能力的な飛び方でもいい」

男「現実的じゃないな」

女「その現実的ってのは経験則に基づくもの?」

男「経験以前の問題だ。人間なら生まれながらにして自分が飛べないってことを知っているはずだ」

女「それだよ」

男「お前も生まれながらにして自分には恋愛感情がないと知っているって?」

女「そういうこと」

男「じゃあお前は空を飛べる超能力者か」

女「さっきの喩えで言うとそうだね。でも恋愛感情をもたない人間って超能力者よりは幾分か現実的でしょ?」

書き忘れ

>>11最後

女「それだよ。同様に、空を飛べる人間なら生まれながらにして自分が飛べると知っているはず」

男「恋愛感情がない人間ってのも充分非現実的だぜ」

女「なぜそう思う?」

男「ある程度の歳を超えて、恋したことがないって人間を見たことがないからな」

女「結局は経験則か。ちなみにそれはきみを含めて?」

男「え、俺が恋したことあるかって?」

女「まさか自分に経験がないのに恋愛感情がない人間の存在を否定しているわけじゃないよね」

男「……そりゃあるに決まってるだろ」

女「ちなみにいつの話? 中学? 高校? 付き合ったことは?」

男「それは今関係ないだろ!」

女「悪い。ちょっと言ってみたかっただけ」

男「それに、根拠は経験だけじゃない」

女「へえ?」

男「そもそも恋愛感情とは子孫を残すための本能だ」

女「この時点で色んな方面から反論がありそうだけどね」

男「だから恋愛感情のない人間というのは、飯を食わない人間、睡眠をとらない人間と同じくらい非現実的だよ」

女「性欲のない人間、ということにしても、その議論は変だ。子孫を残せなくても自分が死ぬわけじゃない」

男「あ、そうか。三大欲求の中でも、それを満たさなくても死なない例外か」

女「だから恋愛しない人間がいてもいいじゃない。恋愛感情と性欲を同列に扱うことにはどこまでも疑問が残るけど」

男「うーん。それでも納得できないな」

女「頑固だね」

男「だってお前は俺が知る限り普通の人間だ。恋愛感情がない人間がいたとして、そいつはそれなりの過去を背負っているはず」

女「あのねえ、そんな人たちこそ恋愛感情がないとは呼べないよ」

男「どうして?」

女「だって、それなりの過去って、外的な要因によって恋愛感情がなくなったってことでしょ? つまりもとはあったということ」

男「でもなぁ……」

女「何よ」

男「怒るなよ? 俺にはお前がキャラ作ってるようにしか見えないんだよ」

女「いや、それはキレるわ」

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