アルミン「奇行種が見てる」(362)


ジャン「あの奇行種、まだお前のこと見てるぞ」

コニー「手ぇ振ってみれば?」

アルミン「………」チラッ

奇行種「……」ジー

アルミン「………」フリフリ

奇行種「……」ジー

アルミン「………」フリフリ

奇行種「……」ブゥン

コニー「振り返した!」

ジャン「やったな、アルミン」

アルミン「………」



― 30分前 ―


アルミン(正式に調査兵団に入団して、初日。上官方と壁の上にきた)

アルミン(壁外調査を1ヵ月後に控えている)

アルミン(……特別班に行ったエレンに会えるのは、いつかな…)ボケー

ジャン「おい、アルミン」

アルミン「ん?」

ジャン「壁の端に座ってぼんやりしてたら、落ちちまうぞ」

アルミン「あ、ああ。ごめん」

ジャン「まったく…お前もミカサも、あの死に急ぎ野郎がいなくなってから、しょげすぎなんだよ」


コニー「ふおおおおおおおおおおおおッ!!!!!!!」カメハメハッ

サシャ「きいやああああああああああッ!!!!!!!」ツルギノマイッ

コニー「ちょえええええええええええッ!!!!!!!」ゲンキダマッ

サシャ「ファッ!!!!????」ガードッ


アルミン「す、すごいね…」

ジャン「ほぼ上官しかいない壁の上で、よくふざけられるよな」

ジャン「お前も見習えば?」肩ポンポン

アルミン「ははは、遠慮しておくよ」

ジャン「…あ、あいるも同じ調査兵団なんだ。そのうち会えるだろ」

アルミン「エレンのこと?」

ジャン「…まあ」テレ

アルミン「ふふ、ありがとう、ジャン」ニコッ



コニー「あちょおおおおおおおおおおッ!!!!」トビゲリッ

サシャ「甘いわああああああああッ!!!!」スッ

コニー「避けるんじゃねえええええッ」ブットビッ



ドカッ


コニー「いっててて、悪いアルミン、ぶつかっちまってよ!」

アルミン「うわああああぁぁぁぁぁー……!!!」ピュー

ジャン「!!??」




ジャン「下には巨人が!!俺が立体起動でアルミンを追いかける!!」ビュンッ シャッ

コニー「お、オレも行く!!!」ビュンッ シャッ

アルミン「わああああああああああ!!!」ピュー

ジャン「アルミン!体勢を立て直せ!!アンカーを打て!!できるから!!!」

コニー「くっそ、追いつかねえ!!下には巨人がいる!!!」

アルミン(ジャン!コニー!とにかくアンカーを打つんだ!!)ビュンッ

アルミン「刺さった!!!!」キュ ギシギシ

アルミン「よかった…」ホーッ




コニー「よっし!やったぜアルミン!!」

ジャン「しかし、かなり下のほうまで落ちたな」

コニー「っておい!!アルミン!下!下!!!」

アルミン「へっ?」キョロ

奇行種「……」コンニチハ

アルミン(いっ…いつの間に!?)ドキッ

奇行種「……」ジロジロ

アルミン(なにもしてこない…?)ブレード スチャッ

ジャン「アルミン、今行く!!」ビュンビュンッ

奇行種「……」スッ

アルミン(動いた!!)


奇行種「……」ソッ

アルミン「…へ?手を…」

奇行種「……」ヨイショ

コニー「な、なんだ?」

ジャン「奇行種が両手にアルミンを乗せて、上に掲げてる…」

アルミン「…な、なに…?」おどおど




ジャン「俺にアルミンを受け取れっていってる…ようにも見えなくもないが…」ビュン



ビュンビュン パシッ


ジャン「よし、アルミン奪還!登るぞ!!」

アルミン「あ、ありがとう…」

コニー「ま、待て、あの奇行種…」

ジャン「話は後だ!!とりあえず壁の上へ!!!」ヒュン

コニー「そ、そうだな!」ヒュン

アルミン「僕、自分で登るよ」ヒュンニュン


― 壁の上 ―

ミカサ「アルミン!!」タッタッタッ

アルミン(なんだか人が集まってきたな…)

ミカサ「アルミン、大丈夫?こんなことになるなら、アルミンの近くにいればよかった…」

アルミン「ありがとう、ミカサ。僕は平気だよ」

ミカサ「エレンがそばにいない今、アルミンまで失ってしまったら…」

アルミン「うん、そうだね…。これからは気をつけるよ」


ジャン「…………」チラッ

コニサシャ「」ビクッ

コニー「わ、悪かったよ、アルミン。本当に本当にすまねぇ」土下座

サシャ「ごめんなさい…この通りです…」土下座

ミカサ「二人とも悪ふざけがすぎた。次はない。次は削ぐ」

コニー「悪かったって!しっかし、ナ○シカみたいだったぜ、アルミン」

ジャン「確かに、なんだったんだ、あの奇行種は。10mくらいか」

サシャ「まるでアルミンを助けたみたいでしたね」

ジャン「まだ、壁の下にいるぜ」



ジャン「あの奇行種、まだお前のこと見てるぞ」

コニー「手ぇ振ってみれば?」

アルミン「………」チラッ

奇行種「……」ジー

アルミン「………」フリフリ

奇行種「……」ジー

アルミン「………」フリフリ

奇行種「……」ブゥン

コニー「振り返した!」

ジャン「やったな、アルミン」

アルミン「………」

>>4

あいるって誰や…あいつです



奇行種「……」ブゥン グシャッ

コニー「おい、あいつ手を振りながら周りの3m級を駆逐してるぞ」

奇行種「……」ブゥン ベチャッ

ジャン「おい…アルミン、なんか言えよ」

アルミン「…う、うん。僕にもなにがなんだか」

ミカサ「さすがはアルミン」

アルミン「なにがだい…ミカサ」


ピピピーッ 新兵集合ー!!


サシャ「あ、なんだか集合しなきゃいけないみたいですよ!」

コニー「行くか!」

ジャン「そうだな」

ミカサ「アルミン?」




アルミン「うん…」チラッ

奇行種「……」ジー

ミカサ「壁の上へは明日も来る」

アルミン「そうだね」

ミカサ「行こう」スタスタ

アルミン「ああ」

奇行種「……」ジー

アルミン(じゃあね)チラッ

奇行種「………」ジー

アルミン(助けてくれてありがとう…)フイ

奇行種「………」

少しですが今日はここまでです
レスくださった方ありがとうございます
SS書くのがこんなに難しいとは思いませんでした
ぜひお付き合いください




―――――――
―――――
―――


― 入団から2日目 ―


ハンネス「部隊長のハンネスだ」

アルミン(ハンネスさんだ)

ハンネス「本来ならば新兵になったばかりの者の中には、巨人を前にする恐ろしさを…」ペラペラ

アルミン(………)キョロキョロ

ハンネス「調査兵団がいないとき、駐屯兵団の責務は…」クドクド

アルミン(………)キョロキョロ

ハンネス「情報の共有と共通理解を図ることが重要となる…」クドクド

アルミン(…見当たらないなあ…)

ハンネス「以上!集合の合図がなったら速やかに集合するように!」

新兵たち「「「「ハッ!!」」」バッ


ジャン「アルミン、お前すっげーキョロキョロしてたな」

アルミン「え、目立ってたかな!どうしよう」

ミカサ「もうどうしようもない」

ジャン「今日はあの奇行種いねぇみたいだな」

アルミン「うん…見当たらなかった」

コニー「今週は毎日壁の上に来なきゃいけないんだろ?なんのためにだ?」

ジャン「お前、話聞いてなかったのかよ」ハア

コニー「聞いてたけどわからなかったんだよ」

ミカサ「アルミン、私たちはあちらで作業しよう」スタスタ

アルミン「うん」スタスタ


ジャン「…俺もあっちで作業するわ」

コニー「えー!みんな行くならオレも!」

ミカサ「…」チラリ

コニー「も、もうアルミンをぶっとばしたりしないって…」

ミカサ「そう」スタスタ


ワイワイ ガヤガヤ


アルミン(いないな…)キョロキョロ

ミカサ「さっきから壁の下ばかり見てる。落ちないように」

アルミン「ご、ごめん。気をつけるよ」

ミカサ「そんなに気になるの?」


アルミン「なにが?」

ミカサ「昨日の奇行種とやら」

アルミン「うーん…なんだか、頭にひっかかることがあって…」

ミカサ「…そう。アルミンがそういうなら、きっとあの奇行種はなにかあるんだろう」

アルミン「ただの思い込みかもしれないけどね」

ミカサ「そのうちあの奇行種のこともわかると思う」

アルミン「どうして?」

ミカサ「アルミンがあの奇行種の答えを探すのなら」

アルミン「ミカサ…」

ミカサ「だから会えると良いと思う。アルミンと奇行種」



ピピピーッ 新兵は集合しろーッ!!


ミカサ「行こう、アルミン」スッ

アルミン「う、うん!」


上官A「今日は駐屯兵団の…」ペラペラ

アルミン(今日は見つけられなかったな、あの奇行種)

上官A「明日は我が団のハンジ分隊長がいらっしゃる」ペラペラ

アルミン(なんで、こんなに気になるんだろう)

上官A「失礼のないように!!以上!!」

新兵たち「「「ハッ!!」」」バッ




ジャン「アルミン、いまの敬礼すこし遅れただろ」

アルミン「え!目立ってたかな!」オロオロ

ミカサ「考えごとに夢中になってるから…」フウ

アルミン「ハハ、ハンネスさんにばれてないといいなあ…」

ジャン「さ、戻ろうぜ!」スタスタ

アルミン「うん」スタスタ

ミカサ「……」スタスタ



アルミン(今日はこれで壁を降りる)



『だから会えると良いと思う。アルミンと奇行種』



アルミン(僕は会いたかったのかな)



アルミン(あの巨人に)

レス下さった方、ありがとうございます。うれしいです
期待に添えるか不安です
話の流れのペース配分に迷っています

書けたらまた来ます


―――――――
―――――
―――


― 入団から3日目 ―


ハンジ「うっわあああああああああああああああああああああ!!!

   すごいすごいすごいよすごいことだよコレェ!!!!
   
   でもでもでも、なんだかむかつく気もするわあああああああ!!!」ジタバタジタバタ

上官A「ハ、ハンジ分隊長!どうかされましたか!?」

ハンジ「うわあああああんんん嬉しいような悔しいようなあああああ」ゴロゴロ

上官A「ゴロゴロなさらないよう!!
    そこの新兵!説明してくれないか!?」アセアセ



ミカサ「ハッ!!」



― 少し前 ―


アルミン(ハンジ分隊長は、面倒見の良い人みたいだ)

ハンジ「そうそう、器用だね」

クリスタ「ありがとうございます!」

アルミン(新兵の様子を見て回ってる)

ハンジ「お、きみのことは見たことあるよ」

アルミン「ハッ!アルミン・アルレルトです!」

ハンジ「そうそう!エレンが審議所に行く前に少し話したね」

ミカサ「エレン!?」バッ


ハンジ「ああ、きみはミカサだっけ。
    ふたりのことはエレンから話を聞くよ」

ミカサ「エレンは…どうしていますか?」

ハンジ「見た目は元気だし、訓練にも積極的に参加してるようだよ。
    ま、監視つきだから、満喫ってわけにもいかないだろうけど」

ミカサ「…そうですか…」シュン

ハンジ「……きみたちとエレンの関係性は知ってる。
    会えない時間が長いとさびしいね」

ミカサ「………」シュン

アルミン「………」

ハンジ「うーん、そうかそうか」


コニー「おおおおい、アルミン!!」ダダダダ

アルミン「ちょっと、コニー!!分隊長の前だよ」アセアセ

コニー「失礼しましたああああ!!」バッ

ミカサ「………」ジロリ

ハンジ「あー、いいっていいって!」

アルミン「どうしたの?」

コニー「いたんだよ!!」

アルミン「なにが?」

コニー「だからー、こないだの奇行種だよ!」


アルミン「…えっ…」

コニー「下からずーっと壁の上見上げてるぜ」

ハンジ「なにかな?巨人の話かな?」ズイッ

アルミン「あ、はい!一昨日、不思議な奇行種に遭遇しまして…」アセアセ

ハンジ「ええー!不思議な奇行種かい?
    それはぜひぜひぜひ会っておきたいなあ」グイグイ

コニー(なんか妙につっこんでくるな…)

ミカサ(マ○オさん…)

アルミン「では、分隊長も行きましょう…」

コニー「こっちだぜ!」タッタッタ




ジャン「おお、きたか、アルミン」

アルミン「ジャンが見つけたの?」

ジャン「そうだぜ、ほら」

奇行種「……」ジー

アルミン「あれだ」ジー

ミカサ「アルミン、あまり乗り出さないで」

アルミン「ご、ごめん」

ハンジ「あれ?あれかな?すっごい上を見上げてるやつかな?」ウキウキ

奇行種「……」ジー


アルミン「………」フリフリ

奇行種「……」ジー

アルミン「おーい」フリフリ

奇行種「……」ブゥン グシャッ

アルミン「もしかして、僕のこと覚えてるのかな…?」フリフリ

奇行種「……」ブゥン

アルミン「………」(なんか…かわいいかも…)


ハンジ「……わ、私も手を振ってみていいかな…?」ドキドキ

アルミン「あ、はい!」

ハンジ「………」フリフリ

奇行種「……」ピタッ

ハンジ「…あ…あれ…?」フリフリ

奇行種「……」ムシ

コニー「あーやっぱり、反応するのはアルミンだけなんだな。
    オレたちも手を振ったけど、あいつ無反応だったぜ」

ハンジ「…どうして…私だよ…?」フリフリ

奇行種「……」ムシ

ハンジ「…………ぅ…」プルプルプルプル

ジャン「ハ…ハンジ分隊長…?」

ハンジ「うっわあああああああああああああああああああああ!!!」

―――――――



ミカサ「…ということがありました」

上官A「なるほど、了解した。
    ハンジ分隊長は巨人の研究をしていてね。
    巨人のこととなると我を忘れてしまうんだ。すまない」

ミカサ(忘れすぎ)


ハンジ「ずるいずるいずるいいいいいいいいい!!!!」ジタバタ

アルミン「も、申し訳ありません!
     自分でも、あの奇行種と僕の関連性がわからなくて…」

ハンジ「…だよね?そうか、そうだよね??」ピタッ

アルミン「あ、はい」

ハンジ「じゃあさ、きみと奇行種と私には実験や調査が必要だと思うんだけど、どうかな?
    ね?必要だよね!人類のためにね!決定だね!!
    実験に協力してくれてありがとう!」ガバッ

アルミン「え?え?」

コニー「なに言ってんだ?」

ジャン「おい!コニー!」ベシッ

ハンジ「フフ…フフフフフフフフ…アッハハハハハハハ!!!」

ミカサ「………」





アルミン(こうして、僕とハンジ分隊長は奇行種の実験をする日々が始まりました)

奇行種「……」ブゥン ベチャッ


レス下さった方ありがとうございます
もっとうまくかけるよう、はげみます

上官Aはアルミンに似たおかっぱのトーン髪の人のイメージです
話の進みが遅いですか?
もっとこうしたほうがいい等あったらお願いします


― 実験開始 ―


ハンジ「実験をするにあたって、必然的にアルミンには壁の下のほうまで降りてもらうことになる。
    幸い、あの奇行種の周りには他の巨人があまり寄ってこない。
    私も下に降りるし、アルミンの護衛として精鋭班をつけよう」

アルミン「…はいっ…!」

ハンジ「危ない思いをすることもあると思うけど、いいかい?」

アルミン「承知の上です!
     知りたいことのために、僕はやれることをやりたい」

ハンジ「…うん。そうだね。私も同じ気持ちだよ」ニコ

ミカサ「…………」フウ

ミカサ「…ハンジ分隊長。私にもアルミンの護衛をやらせてください」


ハンジ「ミカサが?」

ミカサ「…はい。実践訓練としてやらせてください」

ハンジ「うーん…技術のある君がついてくれるのは、こちらとしても嬉しいけど…。
    この際、実験の度に精鋭班に新兵を一人つけて、実践訓練にするのもいいかなあ?
    こんどエルヴィンに聞いてみるよ」

ミカサ「ハッ!ありがとうございます」バッ

アルミン「…ミカサ、いいのかい?…」

ミカサ「わたしはアルミンの出す答えに興味がある…だけ」

アルミン「ありがとう」ニコ

ミカサ「…たいしたことない」





アルミン(こうして、実験は新兵たちを巻き込むことになった)






.


―  とある実験:アルミンに対する反応 ―


奇行種「……」ジー

ハンジ「おー、今日もいるねえ、例の巨人!!」

アルミン「はい。僕が壁の上に来たときには、すでに下にいました」

ハンジ「よーっし、じゃあ行きますか!
    奇行種のところへ!!!」

アルミン「……」ドキドキ

ミカサ「大丈夫」

アルミン「…うん」コクッ

ハンジ「よし!行くぞ!!みんな、手筈通り頼んだよ!!
    降下始め!!!」シャッ ビュンッ

実験班「「「ハッ」」」ビュンッ





アルミン(よし、うまく降りれたぞ)ヒュンヒュン

奇行種「……」ジー

アルミン(奇行種の頭の少し上まで降りてきた。
     上官方が僕を囲うような配置につく)

奇行種「……」ジー

ハンジ「アルミン!何か話しかけて!」

アルミン「あ、はい!」

アルミン「や、やあ」ドキドキ

奇行種「……」ジー

アルミン「僕はアルミン…」ドキドキ


奇行種「……」ソッ

アルミン「あ」ヒョイ

ハンジ「おおおお!!」

奇行種「……」ヨイショ

アルミン「また掲げてくれるの?」ドキドキ

奇行種「……」ジー

アルミン「でも、きみの顔が見たいから少し低い位置にしてくれるといいんだけど…」

奇行種「……」シーン

アルミン「腕をもう少し下に降ろしてくれる?」


奇行種「……」シーン

ハンジ「さすがに、言語による意思疎通はできないか…?
    アルミン、この奇行種は手を振るきみの動作を真似していたから、
    やってほしいことを動作で表してみてくれる?」

アルミン「は、はい!」

アルミン「えーっと、上に掲げた両腕を…顔の位置までさげる…」ジェスチャー

奇行種「……」ジー

アルミン「やってくれるかな?腕を顔の位置までさげる」ジェスチャー


奇行種「……」ソッ

実験班「「「おおおおおお…」」」

アルミン「うわあ…すごいよ…!」ドキドキ

奇行種「……」ノゾキコム

アルミン「(…ち、近いな)あの…

     僕は、アルミン・アルレルト。

     きみの誰?きみの名前は?」

奇行種「……」ノゾキコム

アルミン「僕の言葉は伝わってるの?
 
     伝わってるけど、言葉が出ないの?

     それとも伝わってないの?」


奇行種「……」ジー

アルミン「腕をもう一度上にあげる…」ジェスチャー

奇行種「……」ジー

奇行種「……」ヨイショ

ハンジ「アルミン、立体機動で奇行種から少し離れてくれる?」

アルミン「はい」パシュッ

奇行種「……」ジー

ハンジ「やあ、奇行種くん。こんにちわ」ズイッ

奇行種「……」

ハンジ「私が手を振るとどう?」フリフリ

奇行種「……」シラー

ハンジ「ちっ」







●ハンジのメモ

言語理解能力はないと考えるのが妥当

言語による意思疎通は見られない

アルミンに限らず、人間を捕食しようとする様子がない

アルミンの動作を一拍遅れて反芻する

他の実験班全員が奇行種の前で手を振ったが反応はなし



― とある実験:アルミンと他の人間の区別 ―


クリスタ「よろしくね、アルミン」

アルミン「あ、今日はクリスタが一緒に降りてくれるんだね」

クリスタ「うん。ずっと実験を上から見てたから、すこし楽しみだよ」にこっ

アルミン「そう言ってくれるとうれしいよ(かわいい)」へら






ハンジ「アルミン、今日は奇行種くんの両手には乗らないで立体機動で壁際に移動して」

アルミン「はいっ」

奇行種「……」ジー

アルミン「両手を…下ろして…」ジェスチャー

奇行種「……」ジー

奇行種「……」ヨイショ


アルミン「OKです!」ヒュンッ

ハンジ「実験班は今の位置から対角線上に移動。
  
    その際にアルミンとクリスタは入れ替わる」

アルミン「はい!」

ハンジ「クリスタ!奇行種の目の前に移動だからね!
    怖いかもしれないけど、大丈夫だから」

クリスタ「はいっ…!」ドキドキ
   
ハンジ「よし!移動開始!!」

実験班「「「ハッ」」」ビュンビュンビュン

クリスタ「えい!」ヒュンッ





クリスタ(ち…ちかい…)ドキドキ

奇行種「……」ジー

ハンジ「クリスタ、黙って手を振ってみて」

クリスタ「………」フリフリ

奇行種「……」ジー

クリスタ「………」フリフリ

奇行種「……」ブゥ…ピタッ

ハンジ「お?」

奇行種「……」


ハンジ「金髪、青い目、アルミンと似た要素をもつクリスタを見て迷ってるか?」

アルミン(僕、あんなにかわいくないよ)

クリスタ「………」フリフリ

奇行種「……」

アルミン「あ」

奇行種「……」ジー

ハンジ「奇行種くんは移動したアルミンを発見したか。すごいな」





●ハンジのメモ
クリスタ、変装した実験班員、アルミンの絵と
本物のアルミンを見分けることが可能(多少の時間が必要)

変装したアルミンを、本人とは認識できなかった

他の巨人はアルミンに反応するのか確認するため
アルミンと他の巨人の接触を試みたが、目ぼしい反応がないため討ち取った


― とある実験後 ―


ハンジ「実験班撤収!壁の上へ!!」ヒュンヒュン

奇行種「……」ジー

アルミン「毎日、僕たちにつきあってくれてありがとね」ニコッ

奇行種「……」ジー

アルミン「…夕日がきれいだね」

アルミン「あっちを見てごらん」フビサシ

奇行種「……」キョロ

アルミン「あの太陽はさ、本当はきみよりもずっと大きいのに、
     ここからみると僕が作る指のわっかにおさまってしまう」スッ


奇行種「……」ジー

奇行種「……」スッ

アルミン「…そんなことまでまねしなくていいんだよ」

奇行種「……」ジー

アルミン「きみは僕のことを知ってるの?」

奇行種「……」シラー

アルミン「そうやってなにかを隠してるの?」

奇行種「……」シラー

アルミン「明日は実験がないから、ここには来ないよ」

奇行種「……」ジッ






ハンジ「壁の下でアルミンと奇行種くんが話をしてるね」

ジャン「あー!!今日は俺がアルミンと降りたのに、俺にはまったく反応しなかった!!」

ハンジ「アルミンを正しく認識する力や、動作を反芻する力は、
    実験のはじめよりも確実にあがってるね」

ジャン「おーい!アルミン、もう壁の上にあがれー!!」

  \ ハーイ /

ハンジ「しかし、一番気になるのは…」チラッ

ジャン「アルミン、だいぶ立体機動うまくなったな」

アルミン「本当?お世辞でもうれしいよ」

ハンジ(きみのことなんだけどね)




●ハンジのメモ
実験を行うたびに正確性や認識能力が向上しているように思う
学習能力があるのか?

めずらしく他の巨人が襲ってきたが、その際にアルミンをかばうような動作を見せた

次回は感覚等を実験する

今日はここまでです
お付き合いくださっている方、本当にありがとうございます
それから、自分のペースで、といっていただけて安心しました

そろそろ折り返し地点です
アルミン以外のキャラも活躍させたいのですが・・・

昨日は書き込む詐欺をして申し訳なかったです


―――――――
―――――
―――



― 入団から12日目の夕食時 ―




サシャ「最近、新兵の間で、奇行種女子とやらが流行ってるらしいですよ」モグモグ

ライナー「ブフーッ!!!!!」

アルミン「うわあ!!」ビチャッ

ベルトルト「き、奇行種女子!?なんなの、それ」

サシャ「アルミンたちの実験って、壁の上から見えるじゃないですか。
    そこで、実験体の奇行種がかわいいって盛り上がる女子たちのことです」モグモグ

クリスタ「す、少しわかるかも!
     あの奇行種は攻撃性もないし、官と混じって実験してるアルミンってすごいなって思うし…」ニコ

ライナー(結婚しよ)


サシャ「そうなんですよね。
    違う区から来て、アルミンを初めて知った子なんかは、憧れてるなんて話もありますよ」モグモグ

アルミン「そんなの…」アセアセ

ジャン「あほらし」モグモグ

ユミル「ははは、こいつのことも奇行種だと思っての、奇行種女子じゃね!?」

コニー「は?アルミンは人間で奇行種じゃねーぞ」

サシャ「でもいいんですかね?奇行種女子なんて少し不謹慎な気もしますが」モグモグ

クリスタ「そ、そうだよね…。浮わつきすぎる内容だね…」シュン


ジャン「どこかの死に急ぎ野郎が聞いたら、怒り狂うな」モグモグ


アルミン「あはは…」




ミカサ「でも敵を知ることは重要。

    アルミンの行ってることは裏切りじゃない」




ミカサ「あれはただの実験」




ミカサ「そうでしょ?」チラリ






アルミン「……ただの実験…?」ズキンッ


アルミン(…あれ…?)



ミカサ「………」フウ



.


ジャン「ま、いいんじゃね?
    やってることはハンジ分隊の実験の手伝いみたいなもんだ」

ミカサ「そう。浮わついてるのはそれを見ている女子たち。アルミンのせいじゃない」

コニー「それにしても、エレンといい、奇行種といい、アルミンには巨人となんか関係あるのか?」

ミカサ「エレンは人間」ギロッ

ライナー「しかし、不思議だな」

クリスタ「本当だね。なんでアルミンなのかな?私もその理由を知りたいな」

コニー「これで謎解明に近付いたら、アルミンも出世間違いなしだな!」

アルミン「ええ、そんな簡単にはいかないよ」

ベルトルト「…………」モグモグ








サシャ「ごっちそうさまでしたー!さ、片付けましょう!」カチャカチャ

コニー「今日も薄い味付けだったぜ」カチャカチャ

ミカサ「…アルミン?」

アルミン「あ、うん。ごちそうさまでした」





アルミン(そうだ。

     エレンのことを忘れたわけではないけれど、

     巨人のことをかわいいなんていう風潮はよくない)




サシャ「あれ?アルミン、食器はこっちですよ」





アルミン(でも…僕だって…、

     なぜか僕に反応する奇行種を見て、

     興味関心だけでなく)



ジャン「おい、ここにスプーンはいれるな」




アルミン(少しくらい…うれしいって…感じることだって…)



ミカサ「アルミン」













アルミン(その日の夜、ハンジ分隊長から連絡があり、

    来週の休養日に、僕とミカサはエレンに会えることになった。

    3人ともやるべきことに積極的に取り組んでいるから息抜きのためにと、

    ハンジ分隊長が取り計らってくれたようだった)


アルミン「エレンに話したいことがたくさんあるな…」

アルミン「でも…」

アルミン「今回のことも、外の世界の話をしたときみたいに、

     笑って聞いてくれるのかな…」


アルミン(エレンと会えることを楽しみにしながらも、

     夕食時の同期の会話が頭をよぎって、

    なかなか寝付くことができなかった)

レスくださる方、読んでくださる方、ありがとうございます
昨日は書き込もうとしたときにバタバタしてしまい、結局書けずにすみませんでした

スマホのせいか改行が少しおかしくなってしまいました
読みづらいと感じたら申し訳ないです

―――――――
―――――
―――



― とある実験中 ―



アルミン(…なんだ?なにが起こっているんだ…!?)


ハンジ「…うっ…」


モブリット「無事ですか、ハンジ分隊長!!!」


??「黙れと言っているだろうが」ドガッ


モブリット「…ッ!!」

アルミン(実験の最中に、ハンジ分隊長の悲鳴が聞こえて)ドキドキ


アルミン(実験班が配置された場所を見ると、全員、何者かに後ろから拘束されていた)ドキドキ


アルミン(今日は偶然、実験に参加する人数が少なかった)ドキドキ


アルミン(僕は奇行種の右手の上に立って、後ろから何者かにブレードを首に当てられている)ドキドキ


アルミン「………」チラッ


不審者2「動くな」ギリッ


アルミン(制服を着ているってことは、身内か)

アルミン(目的は…実験の中止か…?)



不審者1「おい、その金髪を処分しろ」

不審者2「ハッ!」


アルミン(え…っ!?)


不審者2「やあっ!!!」ビュンッ

アルミン「くそっ…!!」ブレード スチャッ


アルミン(だめだ、斬られる!!!)


ガッ ザシュッ


アルミン「……え…」


アルミン「奇行種!!!」


奇行種「……!」ポタポタ


アルミン(空いていた左手で僕をかばって…!!)


不審者2「この巨人があ!!!」ザシュッ


アルミン(だめだ!傷ついた左手じゃ戦えない!!)


アルミン「奇行種!!いったん引け!!だめだ!!!」


不審者3「逃がすか!!」ガッ



奇行種「……」ポタポタ


アルミン「奇行種!!僕を放すんだ!!そうすれば…」


奇行種「……」イヤイヤ


アルミン「…なに…やってるんだよ…!!
     僕はいいから!!はやく!!」


不審者2「目をつぶす!!」ザシュッ

不審者3「了解!」ガッ


バシュンッ



奇行種「……!」ヨロヨロ


アルミン(目がつぶされた!)


奇行種「……」キュッ


アルミン「しゃがんじゃだめだ!僕をかばうな!立って!!」


奇行種「……」ギュウ


アルミン「だから…!!」


奇行種「……」シラー



アルミン(…僕が…)


アルミン(僕がやらないと…僕が守らないと…!!)




奇行種「……」ヨロヨロ

不審者2「満身創痍だな」

不審者3「それにしても、他の巨人よりも動きが遅いわ」

不審者2「…うなじをねらうぞ」

不審者3「ええ」


アルミン「奇行種…左手を振り上げるんだ!!」

奇行種「……!」ブゥン


ドンッ


不審者3「…いっ!!」

不審者2「大丈夫か、ペトラ!!」



アルミン「奇行種…言ったことが…通じた…!」

奇行種「……」フラフラ


アルミン(あと5秒で…目が治る!!!)キッ


不審者2「この…巨人がああ!!!」ビュンッ


奇行種「……」パチッ


アルミン「立体機動装置を狙う!!
     細いワイヤーが見えるかい?それをひっぱるんだ!!
     そうすれば、敵が吊り上げられる!!」

奇行種「……」ヒョイッ

不審者2「ふぉっ!!!」グイッ

奇行種「……」ジー

不審者2「…こいつ…」ブランブラン


アルミン「よし!いける!!」バッ









パチパチパチパチ…

ハンジ「いいねいいねー!」


ハンジ「いやー、すばらしい!!楽しいね!!!」パチパチ

モブリット「すこし演技くさかったですね」

ハンジ「リヴァイのいないリヴァイ班の3名、ご協力ありがとう」


エルド「いえ」

ペトラ「いてて…」


アルミン「…は…?」

奇行種「……」ジー


ハンジ「アルミン、ずっと宙吊りじゃ苦しいだろうから、
    奇行種くんにオルオを離すように指示してくれる?」

オルオ「はやく離せ、クソガキ」


アルミン「は?」


オルオ「おい、聞いてるのか。これだから新兵はいやなn」ガリッ


ハンジ「アルミンにも秘密で実験させてもらったよ」スッ

奇行種「……」ジー

ハンジ「やあ、奇行種くん!少しはびっくりした?
    今のはねー、ちょっとしたドッキリだよ」

奇行種「……」ジー

ハンジ「人間を積極的に攻撃しないのはありがたいけど…。
   かばってばっかりじゃ、本当にアルミンのことを守れないんだよ」

奇行種「……」

ハンジ「きみは、アルミン以外に目的はないだろ?
     立ち向かわないのかい?」

奇行種「……」


ハンジ「あ、アルミンもおつかれ!」



アルミン(僕としたことが)


アルミン(騙されるなんて)


奇行種「……」イラッ






ハンジ「面白い反応はあっても、最終的に“アルミンにこだわる”以外の結論が見えないなあ」

モブリット「そうですね。アルミンのこともお調べになったんですか?」

ハンジ「うん。でもたいしたことはでてこなかったよ。
    シガンシナ地区出身、外に憧れ異端といじめられ、巨人より王政を意識して兵になった」

モブリット「もう、あの巨人の個性…としかいいようがないのでしょうか」

ハンジ「案外、奇行種くんがさびしいな~と思って壁の上を見上げてたら、
    アルミンがふってきたとか、そういう適当な理由だったりしてね」

モブリット「はは、まさか…」

ハンジ「アルミンはまだ下?」

モブリット「ええ。奇行種と話をしているみたいですよ」

― 壁の下 ―



アルミン「今日はおどろいたね」

奇行種「……」ジー

アルミン「初めは僕がきみを斬る案もあったらしいんだけど、
     僕ときみの関係が消失したら意味がないということで、
     あんな形で実験したんだってさ」

奇行種「……」ジー

アルミン「それにしてもさ…」チラ

奇行種「……」ジー

アルミン「きみ、やっぱり僕が言っていること通じてたんだね」

奇行種「……」シラー

アルミン「だって、僕が『手を振り上げろ』って言ったとき、反応しただろ?」

奇行種「……」シラー

アルミン「なんでわからないふりをしているんだい?」

奇行種「……」シラー

アルミン「それとも、応えるすべがないだけ?」

奇行種「……」ジッ

アルミン「きみは何も言わないけど、話しかけると瞳の表情が変わる…気がする」

奇行種「……」ジー

アルミン「少しだけど、きみの考えていることがわかるんじゃないかって、思うことがあるよ」

奇行種「……」シラー

アルミン「そうやって、いっつも知らないふりをするんだから…」

奇行種「……」シラー

アルミン「…実験はあと1回で終わる」

奇行種「……」ジッ

アルミン「それが終わったら、もう僕はきみに会わない」

奇行種「……」

アルミン「きみは何も言わないけど、話しかけると瞳の表情が変わる…気がする」

奇行種「……」ジー

アルミン「少しだけど、きみの考えていることがわかるんじゃないかって、思うことがあるよ」

奇行種「……」シラー

アルミン「そうやって、いっつも知らないふりをするんだから…」

奇行種「……」シラー

アルミン「…実験はあと1回で終わる」

奇行種「……」ジッ

アルミン「それが終わったら、もう僕はきみに会わない」

奇行種「……」

アルミン「これ以上、なにかの成果を得られそうもないし」

奇行種「……」ジー

アルミン「きみは、“ただの実験体”で、僕の友達でもなんでもないからね」

奇行種「……」


アルミン「4日後、最後の実験をしたら」


アルミン「僕は、もうきみには会わない」



.

読んでくださっている方ありがとうございます
モブリットさん出してみました!
場面を書くのって難しいですね、精進します

初SSももう少しで終わります
どうかお付き合いください

―――――――
―――――
―――



― 入団から19日 ―


ミカサ「……」ソワソワ

アルミン(今日は久しぶりの休養日。
     ミカサとハンジ分隊長と、リヴァイ班のエレンの元へ
     馬で向っている)

ハンジ「ところで、アルミン。奇行種くんの実用化に向けて、
    壁外調査が終わった後に本格的に進めていきたいんだけど」

アルミン「あの奇行種の実用化?」

ハンジ「うん。奇行種くんは行動を観察したいから、
    他の実験体と違って、捕らえることができない。
    人間に対して攻撃性が認められないとしても、
    壁の中に入れることはさすがにできない」

アルミン「それは…その通りです」

ハンジ「今までの実験で得られたことは、『アルミンに従う』ことだけ。
    とりあえず、10日後に壁外調査があるから、
    明後日の実験でいったん打ち切りになるけど、
    今後も実験を続けたいからね」

アルミン「そのためには、実験成果をあげなければいけない…ということですね」

ハンジ「そう。奇行種くんは人間に攻撃しないけど、
    巨人に対してはアルミンのために手を振って巨人をつぶすほど、
    興味がないみたいだからね」

アルミン「奇行種に、巨人を倒させるってことですか?」

ハンジ「そういうことになるね。
    ただ、そのためには君が危険にさらされることになる」

アルミン「それは、」

ミカサ「エレン」

アルミン「え?」

ミカサ「エレンが見える」

ハンジ「ああ、あの古城にエレンがいるよ。お出迎えかな?」





エレン「おーい!!」




.


ミカサ「エレン!」ダッ

アルミン「エレン、元気だった?」スタッ

エレン「ああ!少し会ってないだけで、懐かしいな」

ハンジ「ああ、リヴァイ。今日はありがとね」

リヴァイ「お守をするクソガキが増えただけだ」

ハンジ「なんだかんだ言って優しいんだからぁ!!」

リヴァイ「クソメガネが…クソでもしてろ」イラッ


アルミン(リヴァイ兵長とは、エレンが大岩を運んだ時に会って以来だ)

アルミン「アルミン・アルレルトです!本日は」

リヴァイ「大声で騒ぐな」ギロッ

アルミン「ハッ…(こわい)」

ミカサ「………」ギロリ

アルミン「ミ、ミカサ…対抗しないで」ボソッ




ペトラ「二人とも、いらっしゃい」スタスタ

アルミン「あっ…」

ペトラ「あの時はどうも」

オルオ「奇行種のクソガキじゃねえか」

エレン「奇行種?」

エルド「ああ、エレンには話してなかったな」

アルミン「その節は…」オドオド


ハンジ「アルミンとミカサは休養日なんだけどさ、
    リヴァイ班はこれから訓練らしいから、一緒にやっておいでよ」

ミカサ「………」ギロッ

エレン「さっきから、なんなんだよお前」

ミカサ「エレン、不当な扱いは受けてないの?」

エレン「は?なに言ってるんだ?」

ミカサ「いや…」ギラギラ

ペトラ(なにこの子超怖い)

オルオ「やる気満々かよ」



アルミン「…僕は分隊長にお話が…」

ハンジ「ん?なんだい?」

アルミン「先ほどの話の続きなのですが…」

ハンジ「そうだね、じゃあミカサは訓練で、アルミンとは少し実験会議でもしようか」

リヴァイ「おい、クソメガネ。話が違うぞ」

ハンジ「まあ、この子たちは休養日なんだし。いいでしょ?大切な話しだしー」

エレン「リヴァイ兵長!訓練を始めましょう!オレの訓練の成果を見せてやるぜ!」

ミカサ「………」ギラギラ

リヴァイ「…ちっ」







ギャーギャー ワーワー

\ オレばっかり /


ビュンビュン ドガッ


\ 狙うのはやめろー!! /




.


ハンジ「あはは、リヴァイ班楽しそうじゃん」ギャハハ

アルミン(エレン…大丈夫かな…)

ハンジ「で、アルミンの話っていうのは?」

アルミン「お時間をとらせてしまい、申し訳ないです」

ハンジ「いいよ。奇行種くんの話の続きでしょ?」ニコッ


アルミン「ええ…あの、これは勘なのですが…」

ハンジ「いいよ、言ってみて」

アルミン「…このままでは、壁外調査当日もあの奇行種が現れる気がするんです」

ハンジ「ほほう。それだと壁外調査中に、討ち取られるかもしれないなあ」

アルミン「あの奇行種に対して、浮ついた噂もたっています。
     事故を装って、あえて討ち取る者がでてくる可能性も」

ハンジ「…うーん、行動観察で捕らえられないからと言って、多くの人間の前で実験をやりすぎたか」


アルミン「たとえ僕をかばってくれたとしても、さらに大勢の人にそれを見られるのはまずいと思うんです」

ハンジ「巨人への憎しみで、何もかもを許さない人間がいるだろうね」

アルミン「…はい…」

ハンジ「そしてそれが、奇行種を通り越して、アルミンへ向かうこともあるかもしれない」

アルミン「…それは…」

ハンジ「確かにそう考えると、壁外調査中に奇行種くんがでてくるのはよくない」


アルミン「僕は…僕のことはいいんです。僕は自らあの奇行種に会っていました。
     しかし、少しでも僕を庇おうとするあの奇行種が、誰かの憎しみのはけ口になるのは、どうしても避けたいんです。
     おかしな情だと思われるかもしれませんが…」シュン

ハンジ「私も変人とか巨人オタクとか呼ばれるけど」

アルミン「分隊長には、それを納得させる実力がありますから」

ハンジ「いいや…たとえ巨人でもさ、一度向き合ってしまえば、情が沸くんだよね。
    特にきみになつく仕草を見せるなら、きっとなおさらだ」

アルミン「………」


ハンジ「大丈夫。ソニーとビーンの二の舞にはさせない」

アルミン「………」

ハンジ「ソニーとビーンのためにも!!」

アルミン「…はいっ!」



ハンジ「でも、どうやって壁外調査時に、奇行種くんが現れないようにするんだい?」

アルミン「壁外調査があることがわかれば、奇行種はおそらく僕の近くにやってきてしまう。
     壁外調査後に実験を再開するのであれば、それまでの間は身を潜めてもらう」

ハンジ「呼び戻すことは可能?」

アルミン「…わかりません。かなり幼稚な案くらいしか、思い浮かばなくて…」





ヒュン ダッ


\ エレン!今行く! /


ビュンビュン ザシュッ


\ わー!オルオがー!! /




.








アルミン「二人ともお疲れ様。夕方までは3人でゆっくりしていいってさ」

エレン「くっそ、なんでみんなオレばっか…」ゼエゼエ

ミカサ「でもエレン。随分強くなった」

エレン「ああ、リヴァイ班のおかげかな」

ミカサ「………」チッ

アルミン「ここ、エレンの部屋?」


エレン「ああ、地下で窓がないけど、慣れればそんな不自由はないな」

ミカサ(…なんだか懐かしい)

エレン「なんか懐かしいな」

ミカサ「…エレン」

アルミン「そうだね…僕たち、こんなに会わないことなんてなかったよね」


エレン「ああ、何かあったか?」

ミカサ「アルミンが奇行種使いになった」

エレン「はっ?」

アルミン「ちょっとミカサ!」

ミカサ「エレンは?何があった?どんな生活なの?」

エレン「そうだなあ…とにかく、近況を話合おうぜ!」

アルミン「そうだね!」

ミカサ「ええ」







アルミン(僕たちは会えなかった間の、時間を埋めるように話し合った。
     楽しいこと、苦しいこと…辛い話も…)

アルミン(エレンの話、ミカサの話、僕の話)


アルミン(開拓地で3人丸まって、夜を過ごしていたあの頃を思い出した)


アルミン(きっと、エレンもミカサも同じなんだと思う)


アルミン(僕らは少しはしゃぎすぎてしまったようだった)





ハンジ「リヴァイ?もうそろそろ、二人を帰す時間でしょ?
    なんでエレンの部屋の前で突っ立ってんの?」

リヴァイ「のんきに昼寝してやがる…」イラッ

ハンジ「3人そろって!?」

リヴァイ「そうだ」イラッ

ハンジ「起こせばいいじゃん」

リヴァイ「お前が起こせ」

ハンジ「あー、なんだかんだ人類最強も」

リヴァイ「しゃべるな、斬るぞ」



アルミン(ハンジ分隊長の明るい声と、リヴァイ兵長の苛立った声で僕たちは目を覚ました)



エレン「じゃあな、二人とも」

ミカサ「エレン…」ションボリ

アルミン「ああ、エレンも元気で」

エレン「壁外調査のときに会えるかもな」

ミカサ「………」

アルミン「帰ろう、ミカサ」

ミカサ「…わかった」コク




アルミン(壁外調査まであと10日。

     みんな無事で会えますように)


奇行種『……』ブゥン


アルミン(奇行種の間の抜けた顔が、なぜか頭に浮かんで、

     別れの寂しさの合間を通り過ぎた)




.

レス下さる方、読んで下っている方ありがとうございます
今日はここまでです
リヴァイ兵長のキャラがつかめません

―――――――
―――――
―――



― 入団から21日 ―


アルミン(今日で壁外調査前の最後の実験だ)

奇行種「……」ジー

ハンジ「じゃあ、アルミン。手筈通り」

アルミン「はい!…僕を肩に乗せてくれる?」

奇行種「……」ジー

アルミン「僕を、肩に、乗せる」

奇行種「……」ジー

ハンジ「アルミン、いつもみたいに動作で示さないのかい?」

アルミン「はい。僕の言葉がわかっているはずですから」


奇行種「……」シラー


ハンジ(うーん…そうだなあ…試してみるか)チラッ

ハンジ「はあー、なんで奇行種くんはわからないふりをしているのかねえ」

奇行種「……」シラー

ハンジ「君の行動次第で、アルミンの今後の処遇が決まるのをわかってる?」

奇行種「……」ジッ

ハンジ「うおおおおおおお!!ここに来て私を見たァ!!!!!
    私を見ましたあああああ!!!!」

アルミン「…やっぱり、言葉がわかってるじゃないか」ジトー


ハンジ「私たちも、ただではずーっと奇行種くんに付き合っていられないんだよ。
    それこそ、無駄でしたってことになったら、アルミンは無意味に実験費用と時間と人件を使ったことになるねえ」

奇行種「……」ジー

ハンジ「奇行種くんはわかっているかもしれないけど、このアルミンはね、大きな可能性を秘めているんだよ。
    知識や技術だけじゃない、その探究心…きっと今後の人類に何かをもたらしてくれるはず。
    あー、でもなー、ここで失敗したらなー、次の実験はなかなかやらせてもらえないかもなー」

アルミン「僕は体力がないから、兵団失格になるよ…」チラッ

ハンジ「それもしかたないかなー…」チラッ

アルミン「僕を肩に乗せてくれるかい?」ジー

奇行種「……」

アルミン「……」ジトー

奇行種「……」ヨイショ


ハンジ「おおおおおおおお!!!!!巨人と意思疎通した!?
    巨人と意思疎通ゥゥゥゥッ!!!!」

奇行種「……」イラッ

アルミン「…ありがとね」ナデナデ

奇行種「……」シラー

アルミン「もう隠さなくていいじゃないか」ナデナデ

奇行種「……」シラー


アルミン「わかっていないふりをするってことは、
     知られたくない何かがあるってことだよね」ナデナデ

奇行種「……」ジッ

アルミン「ふふ」ニコッ

奇行種「……」シラー

ハンジ「アルミン、次に移るよ」

アルミン「はいっ!」

奇行種「……」




アルミン(最後の実験は思った以上にスムーズに運んでしまった。
  
     僕たちの言葉がわかることを隠せないと諦めたのか、

     歩行や、他の巨人への威嚇など、できることはやった。

     ハンジ分隊長のおっしゃっていた、
  
     対巨人としての“奇行種の実用化”も可能なのではないかと、
  
     少し期待をさせるものがあった)


,


アルミン「今日はたくさん動いたね、疲れたかい?」

奇行種「……」ヨイショ

アルミン「…ありがとう。肩より手のひらのほうが安定感があるよ」

奇行種「……」ジー

アルミン「ハンジ分隊長は実験班のみんなと、今後について壁の上で話し合いしてくるってさ」

奇行種「……」シラー





アルミン(僕に反応する、不思議な奇行種。

     人を認識する。

     人に対して攻撃性がない。

     言葉がわかる。

     わかることを隠している。

     僕たちに知られたくない何かを持っている)


,


アルミン「ねえ、もしかして、うなじに誰かはいってるの?」

奇行種「……」ムシ

アルミン「気になるけど、むやみに斬っても、君を失うだけかもしれないしなあ…」

奇行種「……」シラー




アルミン(不思議な奇行種は、僕の話に耳を傾ける。

     僕の話を聞いて、僕の指示に従う。

     鈍いが、感情もあると思われる。

     僕にこだわる理由はわからない)


,


アルミン「…でも…偶然、僕に興味を示したってことはない気がする」

奇行種「……」ジー

アルミン「だとしたら…なぜ…?」ウーン





アルミン(僕にこだわる…。

     壁から落ちたときには、すでに僕のことを知っていた、とか…。

     そう考えると、僕だとわかって受け止めたっていることなのか?

     …もともと…“僕のことを知っていた”…?

     知っていた…すでに、会ったことがあったのか…?)


,


アルミン「…僕たち、“壁から落ちた日”よりも前に会ったことがあるの?」

奇行種「……」

アルミン「…いつ…どこで…?」

奇行種「……」

アルミン「会っただけじゃない。
     僕にこだわる理由も、何かあったはず」


奇行種「……」

アルミン「僕たちは会ったことがある…」

奇行種「……」

アルミン「…まさか」

奇行種「……」

アルミン「まさか…ね」

奇行種「……」





ハンジ「お待たせー手乗りアルミン」

アルミン「いえ」

ハンジ「今後、実験を続けるかどうかと、
    “アルミンの処遇”について、壁の上で少し話し合ってきたよ」チラッ

アルミン(とりあえず、壁外調査の際に奇行種が調査兵団に近づかないように仕向けるから、
     話を合わせろって、始めに言われたけど…)

奇行種「……」ジッ

ハンジ「今日の実験の結果、奇行種くんはアルミンを危険にさらす可能性があると、我々は判断した」


奇行種「……」ジー

ハンジ「君の動きは他の巨人と比べても鈍いし、アルミンを守りきれるとは思えない」

奇行種「……」イラッ

ハンジ「そして、アルミンと君が共謀して、我々を騙している可能性も捨てきれない」

アルミン(そんな馬鹿な)

ハンジ「よって今日から2週間、我々に対し敵意がなく、従う意思があることを、奇行種くんもアルミンも、身をもって証明してほしい」

アルミン(こんな難しい言葉、わかるのかな…)チラ

奇行種「……」ジー


ハンジ「……アルミン」ボソッ

アルミン「あ…、ぼ、僕まで疑われるんですか!(棒)」

ハンジ「あったりまえじゃん。君が一番怪しい」キッ

アルミン「そんな…こんな変な巨人と会ってしまったばっかりに…!」

奇行種「……」オロッ

アルミン「前々から思っていたよ。
     君は僕を利用しているんじゃないかって。
     だから、この間も、もう会わないって言ったんだ」

ハンジ「アルミン、落ち着いて」ニヤニヤ

アルミン「もう僕は君に会いたくない!」ドキドキ

奇行種「……」シュン


ハンジ「まあまあ、アルミン。とりあえず、2週間は考えてみてよ」

アルミン「どうやって、敵意がないことと従う意思を証明するんですか!」

ハンジ「そうだね。奇行種くんは2週間ほど、この壁の付近に来てはいけない」

奇行種「……」ジッ

ハンジ「おお…見てる見てる。
    そうだね、できるだけ西にいくんだ。
    西はあっちだよ」ユビサシ

奇行種「……」ジー


ハンジ「できるだけ西にいって、どこかでじっとしているんだ。
    それでだけいい。少ししたら、たくさんの人が馬に乗っている日があるけど、
    それは訓練だから絶対に邪魔しないでほしい」

奇行種「……」ジー

ハンジ「14回夜を過ごしたら、我々で迎えに行くから、
    奇行種くんも、その場所から一番近い壁に来てくれ」

アルミン「僕はもう会いたくない」プンプン

ハンジ「まあまあ、そう言わずにさ。
    とりあえず、奇行種くんが2週間、この辺りに現れなければ、
    アルミンの疑いも晴れるからさ!
    今は奇行種くんを信じるしかないよ」チラッ

アルミン「2週間、ちゃんとできたらまた会う気になるかもしれないなあ」チラッ

奇行種「……」イラッ




アルミン(僕とハンジ分隊長の下手な劇を壁の上では実験班の上官方が、
   
     『こんな緩い言い訳で平気なのか』と可笑しそうに笑っていた)


アルミン(一方で奇行種は疑われたことか、急に拒絶されたことなのか、
   
     なにが嫌だったのか、すこし瞳が苛立った様子だった)


,




アルミン(僕はといえば、“奇行種がそもそも僕を知っていた”という下らない思いつきのせいで、
   

    様々な想像が頭の中を巡っていた。 


    あの奇行種とは、いつ、どこで、どんな風に、出会っていて、


    そのとき…僕とどんな関係だったのか…。

       
    なぜだか、エレンやミカサと過ごした平和な日々が灯りのようにぼんやりと滲んできて、

   
    ありえない思考を捨てるように、頭を振った)

読んでくださっている方、ありがとうございます!
今日はここまでです
おやすみなさい

―――――――
―――――
―――



― 入団から23日 ―


サシャ「アルミン、早起きですね」スタスタ

アルミン「おはよう、サシャ」ニコ

サシャ「おはようございます。一人で座ってどうかしたんですか?」

アルミン「ううん、早く目が覚めたから…サシャはどうしたの?」

サシャ「お腹がすいて…」グー

アルミン「お腹がすいたからって、早朝から食堂に来てもなにもでないよ」

サシャ「わかってます…」グー


アルミン「まだ陽が昇ったばっかりなのに」

サシャ「そんなー」グー

アルミン「あはは」

サシャ「時間が早く経つように、何か楽しい話をしてください」グー

アルミン「ええ、無茶振り!」

サシャ「はやく!」グーグー

アルミン「え、じゃあ、どうしようかな…。
     小さい頃、よく読んだ子供向けの小説をなぞって話すくらいなら…」

サシャ「いいですね!!聞きたいです」パア


ライナー「二人とも早起きだな」スタスタ

サシャ「ライナー!」

アルミン「おはよう、ライナー」

ライナー「ああ、おはよう」

サシャ「ライナーもアルミンの話を聞きましょう」

ライナー「なんだ?」

アルミン「子供向けの短い小説だよ」





ベルトルト「おはよう、ライナー…って目頭押さえてどうしたの」ギョッ

ライナー「くっ…」グッ

サシャ「うううううう」ポロポロ

アルミン「二人とも泣きすぎだよ」

ライナー「悲しいが良い話だった」

ベルトルト「なにが?」


サシャ「友だちをかばう場面が…」ポロポロ

アルミン「そうそう、小さい頃、エレンにも話したんだけど、エレンもそこで泣くのを我慢してたよ」

ライナー「なんだか…自分の小ささを実感するな」

ベルトルト「君は十分大きいけど」

サシャ「なんだか、がんばれそうです」ポロポロ

ライナー「ありがとね、アルミン」

アルミン「あはは、おおげさだなあ」

ベルトルト「だからなにが?」

―――――――
―――――
―――



― 入団から26日 ―


ハンネス「おう!アルミン」

アルミン「ハンネスさん!」

ハンネス「買い出しか?」

アルミン「はい。こっちは同期のジャンです」

ジャン「ジャン・キルシュタインです」

ハンネス「よろしくな」


アルミン「ところで、ハンネスさん」

ハンネス「ああ、奇行種のことだろ?」

アルミン「はい」

ハンネス「お前のところのハンジ分隊長に頼まれて、毎日観察はしているけど、
     最後の実験の日から現れていないぞ」

アルミン「…そうですか…ありがとうございます」

ハンネス「いいってことよ。じゃあ、俺は行くから」


アルミン「はい!」

ハンネス「あ、…壁外調査で死ぬなよ」

アルミン「…はい」

ハンネス「お前もな!」

ジャン「ハッ!」

ハンネス「ははは、じゃあな」スタスタ





アルミン「………」

ジャン「奇行種が約束を守ってるようでよかったな」

アルミン「そうだね」

ジャン「現れても、現れなくても、少しさびしいんじゃないか?」

アルミン「そんなことないよ」

ジャン「でも、嫌いじゃないだろ、奇行種のこと」

アルミン「そうだけど…あ、芋が安い!」

ジャン(実験することで、いなくなった死に急ぎ野郎の穴埋めしてるんだろ、なんて)

アルミン「こっちの屋台で買えばよかったね」

ジャン(そんなこと言ったら、怒るだろうな)

アルミン「ねえ、聞いてる?ジャン」

―――――――
―――――
―――



― 入団から28日 ―


クリスタ「…アルミン!」タッタッタ

アルミン「どうしたの?(かわいい)」

クリスタ「さっきの壁外調査の作戦確認のとき、眠そうだったから」

アルミン「そうかな」アセアセ

クリスタ「……もしかしたら、最近眠れないの?」

アルミン「え…」

クリスタ「なんだか、気になったから」ニコ

アルミン(女神)


クリスタ「わかるよ、もう…壁外調査が始まるもんね」

アルミン「うん。実感がわかないのに、妙に緊張してる」

クリスタ「そうだね。みんな、そわそわしてる」

アルミン「…考えていると、なんだか眠れなくて。情けないよね」

クリスタ「そんなことないよ!…実は、私もなの」

アルミン「クリスタも寝付けないの?」


クリスタ「うん。やっぱり壁外調査のことを考えると、緊張するでしょ?」

アルミン「…もしかして、そういう人多いのかな?」

クリスタ「でも、そんな時ね、安心できるおまじないを心の中で唱えるの」

アルミン「おまじない?」

クリスタ「うん、教えてあげる!だからアルミンもやってみて!」ニコッ

アルミン(天使)

―――――――
―――――
―――



― 壁外調査前夜 男子宿舎 ―


ライナー「よし、今日はみんな早めに寝るぞ」

アルミン「そうだね」ソワソワ

コニー「うおおおおおおおおおお」ソワソワ

ジャン「うるせー!!落ち着け!!!」ソワソワ

コニー「大丈夫だ、天才だから」ゴロンゴロン

アルミン「あ!クリスタが教えてくれた、よく眠れるおまじないをみんなにも教えるよ」

ライナー「いつの間に教えてもらったんだ!ずるいぞ!!」

アルミン「ずるいって…」

コニー「………」ゴロンゴロン

アルミン「おまじないというか、自律神経を落ちつかさせる感じなんだけど…」







ライナー「よし、おまじないも完璧だ」キリッ

コニー「なんだか強くなった気がするぜ」キリッ

アルミン「さすがクリスタ」キリッ

ジャン「じゃ、消灯するぞ」キリッ

ライナー「みんな、よく寝ろよ」

アルミン「おやすみ」

コニー「おやすみー」



ベルトルト「……おやすみ…」


― ? ―


,


アルミン「…ここは?」キョロキョロ

アルミン(クリーム色でふわふわしてる…)

アルミン「夢?」スタスタ

アルミン(とにかく歩こう)



??「待ってよ、エレン」

??「早く来いって!」


アルミン「………」スタスタ



??「こいつの名前はミカサだ」

??「…はじめまして」

??「はじめまして、よろしくね」


アルミン「………」スタスタ



??「エレン、泣きすぎ」

??「な、泣いてねーよ!良い小説だったなって思って!」

??「僕が読んであげられるくらい短いのに、感動がつまってるよね」


アルミン「………」スタスタ





??「じゃあ、また明日な!」

??「明日」

??「うん!ばいばい!」


アルミン「あ」ピタッ




??「おかえり、アルミン」


??「うん!ただいま!」


??「今日も楽しかった?」


??「うん、あのね、エレンが…」

―――――――
―――――
―――



― 壁外調査当日 ―


ネス「アルミン、そろそろ出発だが、落ち着いてるな」

アルミン「はい!自分で思ったよりも冷静です…緊張はしていますが」

ネス「はは、当たり前だよ。俺だっていまだに緊張する」

アルミン「そうなんですか!?」

ネス「はは、驚くなよ。そりゃあ、死と隣り合わせなのは怖いさ」

アルミン「………」

ネス「お前には期待してるぜ、よろしくな、アルミン」ニコッ

アルミン「はい!」

シス「そろそろ動きます!」

ネス「行くか」バッ



エルヴィン「第57回壁外調査を開始する!!!」

エルヴィン「前進せよッ!!!」




アルミン(ついに壁外調査が始まった)


アルミン(きっと…みんな大丈夫だ)


アルミン(きっと)


― 中央後方 リヴァイ班 ―


エレン「オルオさん…オレの同期、巨人に勝てますかね!?」

オルオ「てめぇ、この1ヶ月何してやがった!!」

エレン(オレは…こうして先輩方に囲まれているけど…。
    アルミンや他のみんなは違う。
    いち兵として、この壁外調査に参加してるんだよな)

オルオ「おい、話しかけておいて無視かy」ガリッ


エレン「…なんだか…」

ペトラ「エレン!進行方向を見て!!」アセアセ

エレン「は、はい!」

ペトラ「どうかしたの、エレン!」

エレン「いや、大したことないんですが…」

ペトラ「言って!!」


エレン「なんだか…嫌な予感がする…って」

オルオ「」サア

ペトラ「エレン…不吉…」サア

エレン「す、すみません!!」

オルオ「ったく…これだから…」ブツブツ

エレン(嫌な予感がするのは…オレたちじゃなくて…)チラ

エレン(アルミンはあっちか…?)

エレン「誰か…頼むぜ…死ぬなよ」






― どこか西のほう ―





奇行種「……」ピク






.




― 右翼側 ネス班 ―





アルミン「なんだあれ!速すぎる!!」




アルミン(突然やって来た、奇行種が、ネス班長を簡単に殺した)




アルミン「いや…違うぞ!違う!!奇行種じゃない!!」


アルミン「ネス班長…」


アルミン(どうか!!)


アルミン「ネス班長、教えてください!!」


アルミン(どうしたら…!!)


アルミン「まずいよ!!どうしよう!?
 
     僕も死ぬ!!僕も殺される!!!」



アルミン(…誰か!!誰か!!!)


アルミン(僕の願いも虚しく、14m級の女型の巨人に追いつかれた)



アルミン「最悪だ…」



アルミン(踏み潰される…っ!?)バクバク



アルミン「…うわ!!」ゴロンッ



アルミン(こいつらは、エレンと一緒だ!「知性」がある!!何が目的なんだ)バクバク



女型「………」ツマミ



アルミン(もう…だめか…)ドクッ



女型「…アルミン…」



アルミン「……!!!」




女型「………」スクッ


女型「………」タッタッタッ






アルミン「…殺さないのか…?顔?顔を確認した?」ドキドキ


アルミン(エレン、エレンが危ない)


アルミン(でも)



女型『…アルミン…』



アルミン「なんで、どうして、まさか」ドキドキドキ



アルミン(巨人のことなんか、今までほとんどわからなかったじゃないか!!

     それが、今になって、どうして…!!)




アルミン(僕のだす答えなんかに、期待しないでくれ。


     誰かを慰める解答にはならないんだ。


     それでも、どうして集まってくるんだ。

 
     きみも、…きみも)

読んでくださっている方、本当に本当にありがとうございます!
ここのところ、仕事が忙しくて中々夜書き込みできなかったのと、
急に思いついたSSで寄り道してしまったせいで、随分と遅くなってしまいました
それでもレスくださる方がいて、本当に嬉しかったです

あまり進まずに申し訳ありません
今週は書き込めると思います!


寄り道ってなに書いたの?




アルミン「………」ドクン ドクン


アルミン(女型の巨人が足を踏みしめるたびに、大地がゆさゆさと揺れる。
 
     なんで?どうして?まさか、そんなはずは…。

     女型の後姿を見開いた目で見つめながら反芻する。

     誰か、誰か…誰か…教えてくれ!)




ライナー「アルミン!!」


アルミン「…ライナー!」ビク


ライナー「おい、立てるか!とにかく馬を走らせねぇと!!」

アルミン「…うん!!」キッ

ライナー「奇行種の煙弾を確認したが、あのいいケツした奴がそれか?」

アルミン「奇行種じゃない…」

アルミン「巨人の体を纏った人間だ!!」


ライナー「…なんだって?」

アルミン「それより、先に煙弾を撃たないと…」アタフタ


ドオオォォン…


アルミン「!?」

ライナー「待て!後ろで、ジャンが撃ったみたいだ!!」

アルミン「ジャン!!」

ジャン「右翼策敵が一部壊滅したらしい!!」

アルミン「あいつが来た方向からだ!巨人を連れてきたのか!?」キッ

ジャン「…あいつか…!」


アルミン「あれは奇行種なんかじゃない!エレンと同じ、人間だ!!」

ライナー「どうしてそう思う?」

アルミン「人間を“食う”ためではなく、“殺す”ことを目的にしたからだ!!
     そして…僕のフードをめくった…確実に、誰かを捜している…」

ジャン「まさか!」

アルミン「そう!同じ能力を持ったエレンを捜しているとしか思えない!!」

ライナー「確か右翼側にいるはずだが…」

ジャン「待て、俺に配付された企画書には左翼側と書いてあった」


アルミン「はは…僕たち、叩かれて潰されちゃうよ」

ライナー「お前、本気なのか…!」

ジャン「………」

アルミン「………」

ライナー「おい!!」

ジャン「俺には、今!何をすべきかがわかるんだよ!!
    そしてこれが俺たちの仕事だ!!力を貸せ!!!」

アルミン「―――!!」


アルミン(そうだ、僕たちのやるべきこと…!!)

アルミン「二人とも!」キリッ

アルミン「フードを深くかぶるんだ!僕たちの顔がみえないうちは、あいつは下手に攻撃できない!!」

ジャン「!!」

ジャン(…力を貸してくれるのか…!)


ライナー「しかたがない…気休めには上出来!」ボフッ

ジャン「…アルミン…お前はエレンとベタベタつるんでばっかで気持ち悪いと思ってたけど…
    やるやつだとは思ってたぜ…」ボフ

アルミン「え…?」

アルミン「ああどうも…。でも気持ち悪いとか…酷いなあ…」ショック

ジャン「よし、いいか、お前ら…俺の言うことをよく聞んだ」


ズシンッ ズシンッ


ジャン「行くぞ!!分かれろ!!前進だっ!!!」パカラッパカラッ



アルミン(僕が女型の右に!!)

ライナー(俺が左!!)



ダダダダダッ



アルミン(恐怖や脅威よりも、使命感や緊迫感のせいで、手さえ震えない)ドクン ドクン


アルミン(さっきから、心臓が痛いくらいに、打っている)ドクン ドクン


アルミン(僕にできること…僕が巨人を足止めするには…っ!?)





女型「――!」ギラ


アルミン「ん!?」ドクン


女型「……」


グググ ダンッ


アルミン(こっちに飛んでくる!!?)



ジャン「やばい!!アルミン!!!」


アルミン(間に合え…!)グイグイッ



ドォドォ…バチィンッ



アルミン(あ…)


ライナー「アルミン!!!」




アルミン(僕、吹っ飛ばされて…)ダアンッ


ジャン「アルミン!!!」


アルミン(僕は…ずっとこのまま、足手まといでいるのか…!!)ゴロンゴロン


ジャン「くっそォ!!俺が甘かったか…!!」


アルミン(僕が巨人にできることは、何もないのか!!)ゴロンゴロン





ハンジ『そう。奇行種くんは人間に攻撃しないけど、
    巨人に対してはアルミンのために手を振って巨人をつぶすほど、
    興味がないみたいだからね』

アルミン『奇行種に、巨人を倒させるってことですか?』





アルミン(僕にできること!!!)ゴロンッ







アルミン「―― 奇行種ッ!!!!」ググッ






アルミン「お願いだ!!!」





アルミン「来てくれ!!!僕を…エレンを…人類を…守るために…!!!」




.




…タ……
……ド…

ドタドタ ドタドタ






奇行種「……」ドタドタ


.




ジャン「な…なんだ…?あれ、アルミンの奇行種じゃないか…!?」



ドタドタ ドタドタ



奇行種「……」ブウン



ドタドタ ドタドタ



アルミン「なに…手を振っているんだよ…」ジワ




女型「……?」ギロリ


ドタドタ ドタドタ


奇行種「……」ブウン




アルミン(もう…いつもと同じ、あほ面なんだから…)ウルウル

読んでくださっている方、ありがとうございます
レスが本当に励みになります

今日はここまでです
原作に沿って自分の話を書くのは、難しいですね


>>247
アルミン「巨人の子」というSSです…
期待しないほうがいいです

>>252>>253の間が抜けていました


- - - -

アルミン「………」

ジャン「アルミン?」

アルミン「この作戦がエレン絡みだとしたら、エレンを前線に置くはずがない。
     安全な…中央後方のはず!!」

ジャン「しかし、あれの正体を煙弾で伝える術はねえ…」

ライナー「何が言いたい?」

ジャン「…つまりだな…」

アルミン「まさか」

ジャン「…俺たちがあいつの気を引けば…撤退までの時間を稼げるんじゃないのか…!」



アルミン「……奇行種…」ウルウル


奇行種「……」ジッ

女型「……」ギロ


アルミン「…対峙した…」ドキドキ

ジャン(女型もアルミンの奇行種に気をとられているが…隙がない!)チッ



奇行種「……」スッ

女型「……」カマエ

奇行種「……」ドタドタ


ジャン「む…無視した!!」

ライナー「アルミンじゃなければ、人間だけでなく巨人のことも無視するのか…?」


奇行種「……」ヨイショ

アルミン「奇行種…来てくれて、ありがとう…」

奇行種「……」スッ

アルミン「きみの手、ひさしぶりだ」ナデナデ

奇行種「……」ジッ

アルミン「僕は大丈夫だよ。出血はしてるけど、打撲はひどくないから」ニコ

奇行種「……」ジー

アルミン「……ごめんね」

奇行種「……」ジッ




女型「……」グググ

奇行種「……」!!

アルミン「やつが動く!奇行種!!僕を肩に乗せて!!」

奇行種「……」ポンッ




女型「……」ダンッ

奇行種「……」ズサササーッ

ライナー「よけた!」

ジャン「…あいつ、あんなに機敏な動きできたのかよ…」

アルミン「わわっ!!」ギュッ


女型「……」ガツンッ

奇行種「……」クルンッ

女型「……」ガガガガッ

奇行種「……」ササササッ



ジャン「………」

ライナー「……避けてるな…」

ジャン「…奇行種すごくね?」

ライナー「アルミンはつかまるの大変そうだな」

アルミン「あわわわわわわわわ」ユッサユッサ



女型「……」グググ

奇行種「……」!!

アルミン「やつが動く!奇行種!!僕を肩に乗せて!!」

奇行種「……」ポンッ




女型「……」ダンッ

奇行種「……」ズサササーッ

ライナー「よけた!」

ジャン「…あいつ、あんなに機敏な動きできたのかよ…」

アルミン「わわっ!!」ギュッ


ライナー「しかし、攻撃を避けているだけでは…」

ジャン「奇行種!!立ち向かえ!!立ち向かうんだよ!!!」



奇行種「……」ススススッ



--ハンジ『かばってばっかりじゃ、本当にアルミンのことを守れないんだよ』

--ハンジ『きみは、アルミン以外に目的はないだろ?
     立ち向かわないのかい?』



奇行種「……」

アルミン「奇行種!距離がとれそうだったら、一度離れて!!」

女型「……」バシンッ

奇行種「……」ガシッ ズサササーッ



アルミン「うっぷ…避ける勢いで、距離が取れたね」ハアハア

奇行種「……」チラ

アルミン「わかってるよ。僕も…戦う」キッ

奇行種「……」ジッ

アルミン「簡単に言うから、やってくれるかい」

奇行種「……」ジー



ジャン「…アルミンと奇行種がこっち見てるぞ!!」

ライナー「俺たちも動けってことか!!」グッ


アルミン「行くよ!!!」

奇行種「……」ダンッ

女型「――!」カマエ



アルミン(とにかく女型に直進して)

奇行種「……」ドタドタ

女型「……」バシンッ

アルミン(パンチの下にもぐりこむ!!)

奇行種「……」ズザッ

アルミン「足をはらえ!!」

奇行種「……」バシンッ

女型「――!!!」ヨロッ



ジャン「俺たちの出番!!!」ヒュンヒュンッ

ライナー「ああ!!」パシュッ ヒュン


ジャン「倒れている間に、足を削ぐ!!そうすればすぐに体勢を立て直せない!!」

ライナー「俺はうなじを!!!」


女型「……」イラッ

ジャン「げっ」

女型「……」ブンッ

ジャン(やばい…!蹴りが…飛んでくる…!!)



アルミン「ジャンッ!!」

奇行種「……」ツカミッ

ジャン「うおおおお!!」ギュウウウウウ

奇行種「……」ポイ

ジャン「うわああああ…!!」ヒューン ベチャッ

アルミン「ちょ、ジャンを捨てちゃだめ!!!」

ジャン「なんとか大丈夫」ボロッ


アルミン「ライナーは…!?」


ライナー「ちっ!!!」ガキイイインッ

アルミン「…うなじを隠した…それに…?」

ライナー「だめだっ!!」ヒュンヒュンッ スタッ


女型「……」ムクッ

女型「……」カマエ

女型「……」ギロギロ



ジャン「やべえ!怒らせたか!?」

ライナー「知性を持ったあいつに、同じ手が使えるのか!?」

アルミン「わからない…!でもやるしかない!
     奇行種では女型のうなじを狙える確立は低い!!
     どうにかして動きをとめるから、二人はうなじを狙ってくれ!!」

ジャン「よっしゃ!!」

ライナー「できるかぎりやるしかないか!!」

アルミン「うん!」キッ

奇行種「……」キッ



アルミン「行こう!奇行種!!」キッ

奇行種「……」ドタドタッ


.

今日はここまでです

そろそろ奇行種に名前付けてもいいころ

奇行種「……」キリッ

女型「……」ダンッ

アルミン「女型をひきつけろっ!!」

奇行種「……」クルッ ドタドタ

ジャン「あいつのおかしな走りじゃすぐ捕まる!!」ヒュンッ

ライナー「俺たちはあいつらにしがみついて、とにかくうなじを狙うしかないか!!」パシュンッ

女型「……」ググッ


アルミン(ぎりぎりまでひきつけて…!)

アルミン「よし!その場でしゃがむんだ!!」ガシッ

奇行種「……」ヨイショ

女型「!!」グラッ

ジャン「女型が奇行種に躓いた!!」ビュンビュンッ

ライナー「いまだ!!」ビュンッ

アルミン(しゃがんでいる奇行種の両手の中で、おにぎりみたいにされてる…)ギュッギュッ




ライナー「もらうぞ!!」ジャキンッ

女型「――!!」バチイイインッ

ライナー「くっ!!!!!」

ジャン「やべ…ッ!!ライナーッ!!!」

ジャン「アルミン!!ライナーが女型の手に捕まった!!!」

アルミン「!!!」


アルミン「奇行種!!!」

奇行種「……」スクッ 

女型「……」ニヤア

奇行種「……」キリッ

アルミン(ライナーは女型の左手か!?)肩にヨジヨジ

ジャン(ライナー…お前!!死んじまったりしてねえだろうな!!)ギリッ


女型「……」ポタポタ…

ジャン「――!ライナーの…!」

アルミン(ライナーの血!?)

アルミン「…左手を狙う!!」

奇行種「……」ダッ

アルミン「ジャンッ!!きみはこのままうなじだけを狙ってくれ!!
     とりあえずライナーを取り返す!!」

ジャン「…よっしゃ!!」ビュンッ



奇行種「……」パンチッ

女型「……」ブンッ

奇行種「――!!」グチャッ

アルミン(奇行種の手がつぶれて…!だめだ…この子は攻撃に特化していない!!)


アルミン「奇行種!いったん、」

女型「……」ニヤ

アルミン「あ」

奇行種「――!!!」

アルミン(やばい、奇行種じゃなくて僕を狙って…!!)

女型「……」ダアアアンッ

ジャン「アルミン!!」ビュンッ


ジャン(アルミンがふっとんだ!!あのまま地面に叩きつけられたら…)ゾッ

ジャン「チッ!!」バシュンッ

奇行種「!!」

ジャン「間抜け奇行種!!お前にアンカーさしたからそこを動くな!!
    お前のアルミンはどうにかする!!それまで動かずにねばれよ!!」ヒュンヒュンヒュンッ

奇行種「……」チッ

ジャン「お前、俺のこと嫌いなのか」ヒュンッ





女型「……」バチイインッ

奇行種「……」グシャッ

奇行種「……」ヨロヨロ

奇行種「……」キリッ ポタポタ



女型「……」ニヤア ダンッ



ジャン(ふんばれ奇行種…!!)ビュンッ ガシッ

ジャン「アルミン回収…!!」ビュンビュンッ スタッ

ジャン「おい!アルミン!アルミン!!」

アルミン「…う……」

ジャン(…気を失ってるだけか…!?)

ジャン「おい、奇行種!お前のアルミ――」チラッ







奇行種「……」グチャグチャ ボタボタ







ジャン(…うそだろ)ゾワッ




奇行種「……」ヨロヨロ

奇行種「……」フラフラ

奇行種「……」ジッ


ジャン「――!!アルミンは無事だ!生きてる!!」

奇行種「……」ホ



奇行種「」パタン…




女型「……」ニヤリ

ジャン「おいおいおい…残るは俺だけ…ってか…」ギリ




女型「――!!」ブシュウウウッ

ジャン「な、なんだ!!ライナーを握りつぶした左手が…!!!」

ライナー「ふんっ!!」カイテンギリッ

ジャン「ライナー!?」

ライナー「これはやばかったな…!!」スタッ

ジャン「お前…なんで…?」



女型「……」ヨロヨロ

女型「……」左手ジー



女型「……」クルッ タタタタッ



ジャン「な、なんだ…女型のやつ、走ってどこかへ行くぞ…?」

ライナー「助かったか…!」

ライナー「アルミンは…?」チラ

ジャン「大丈夫だ、息はある…ただ、奇行種が…」チラッ





奇行種「」シュワシュワ



ライナー「…水蒸気が上がってる…治るのか…?」

ジャン「とりあえず、行って見ようぜ!!」

ライナー「あ、ああ…」






アルミン(ここは?)キョロキョロ

アルミン(今朝見た夢と同じだ…クリーム色でふわふわしてる…)キョロキョロ


――……ン…


アルミン(誰かが呼んでる?)キョロキョロ


――ア…ミン…


アルミン(誰?)


――アルミン


アルミン(きみは…?)








ジャン「アルミン」

アルミン「…ん…」パチ…

ライナー「……アルミン」

アルミン「…あ、僕、女型にふっとばされて…」ガバッ

ジャン「………」ギリッ

ライナー「………」ズーン

アルミン「ふ、二人ともどうしたの?奇行種は――」






奇行種「」シュワシュワ





アルミン「……え…」

アルミン「奇行種なの…?」

ジャン「……ああ…」ギリッ

ライナー「すまない…」ズーン

アルミン「……そんな…」ヨロヨロッ

アルミン「…奇行種…!」タタタッ






アルミン「奇行種、奇行種…?」サスサス

奇行種「……」パチ…

アルミン(損傷が酷い…うなじにも傷がある…)サスサス

奇行種「……」ジッ

アルミン(水蒸気はでてるけど……)

奇行種「……」ジー

アルミン(……治ってない…)ブワッ




奇行種「……」ジー

アルミン「…ごめん、ごめんよ…僕がきみを呼んだから…」

奇行種「……」ソッ

アルミン(手…)ナデナデ

奇行種「……」ジー

アルミン「はじめは…僕がきみを守るつもりだったのに…壁外調査には参加させたくないって…」

アルミン「なのに、なのに…僕は、僕の都合で、きみを」ヒック



ジャン「……アルミン」タタッ

ライナー「………」ズーン

アルミン「ごめん…ごめん…」ポロポロ

奇行種「……」ヨイショ

奇行種「……」ナデナデ

アルミン「……奇行種」ポロポロ

奇行種「……」ナデナデ

ジャン「…おい、間抜け面奇行種!」スタッ

奇行種「……」シラー

ジャン「露骨だな…」イラッ

奇行種「……」シラー



ジャン「ほら…あーー」

奇行種「!」

アルミン「…ジャン?」

ジャン「あー」

奇行種「…アアァ…」シュワシュワ

ジャン「るー」

奇行種「ウウウウ…」シュワシュワ

ジャン「みー」

奇行種「…イイイィ…」

ジャン「んー」

奇行種「ンンン…」

アルミン「……奇行種…」ヒック


奇行種「……」ナデナデ

アルミン「奇行種…」ヒック





奇行種「―――」シュワシュワ シュワシュワ




アルミン(この…水蒸気…)ポロポロ

アルミン(今朝の、夢の中のクリーム色のふわふわに、似てる)ポロポロ

アルミン(…奇行種…)




アルミン「……奇行種…?」



アルミン「奇行種」








アルミン(撤退命令がでたころには、多くの兵士たちが傷を負っていた。

     エレン、ミカサ…みんな、身体や心に。

     僕は比較的意識がしっかりしていたが、撤退のために乗馬したとたん、

     急激に眠気がおそってきた。

     お前は血を失いすぎだと、ジャンとライナーが僕を気遣ってくれた。

     馬の歩幅に合わせて、一定に揺れる。
  
     正午に近いのか、南側から太陽が背中を焼く)


とりあえず、ここまでです
今日中に終わらせようと思います

女型は、巨人なのに受け入れられている奇行種が嫌だったという話を
入れられなかったのが心残りです
ライナーが必然的に悪者になってしまい、ライナー好きな方申し訳ないです


>>290
奇行種に名前をつけようとして結局つけなかったという話も
あったのですがこれもやめちゃいました
みなさんの好きに呼んでください!

女型の時に鎌掛けできなかったが大丈夫か?

>>322
忘れていましたオワタ
これ以降、話はあまり前に進まないので補完しておいてください
ありがとうございます





町人A「チッ!ボロボロになりやがって何が調査兵団だ」

町人B「税金泥棒がっ!」

アルミン(――壁の中に…戻ってきたんだ…)ボンヤリ

ライナー「大丈夫か?もう少しだ」パカパカ

アルミン「……うん…」パカパカ



??「すっげー!見ろよ、英雄の凱旋だ!!」

??「待って、あちらから見よう」


アルミン(……貧血のせいか、視界が白く…)ボンヤリ




??「アルミン!」

??「アルミン」


アルミン「――え?」



チビエレン「アルミン、お前すっげーな!さすがだぜ!」

チビミカサ「おかえりなさい、アルミン。傷は大丈夫?」



アルミン(ぼ、僕…血がなくなりすぎて、おかしくなっちゃったのかな…)ボンヤリ





ねこ「…にゃあああ」クワッ


アルミン(あれは…エレンと友だちになる前に、唯一の遊び相手だったねこ…)




おばさん「あらまー、真っ黒。男の子なんだから、そのくらいでいいわ」

アルミン(花屋のおばさん…)

おじさん「疲れただろう、よくがんばったな」

アルミン(たまに本をくれる近所のおじさん…)



アルミン「ここ…シガンシナ区…?」





チビエレン「アルミン、これでよかったんだぜ」

チビミカサ「あなたに伝えたいことは、すでにあなたが持っていた」ニコ



アルミン「……どういうこと…?」



チビエレン「いいから!おまえんのとこの、おばさんとおじさんが待ってるぜ」

チビミカサ「…いってらっしゃい、アルミン」




アルミン「………あ」


両親「………」ニコニコ


アルミン「どうして…?」




??「ねえ、アルミン?」



アルミン「――ん?」

チビアルミン「……」ジッ

アルミン「……僕…?」


チビアルミン「……」ニコッ

アルミン(…あ)




チビアルミン「これは解放さ」

アルミン「解放?」

チビアルミン「僕たちの世界は先がなかった」

アルミン「…先が…ない?」

チビアルミン「でも、きみは違う」

アルミン「どういう…」


チビアルミン「……」スッ

アルミン「?」

チビアルミン「この本、きみにあげる」

アルミン「この本…エレンが友だちをかばうところで号泣した…あの小説…」

チビアルミン「…じゃあね」ニコッ

アルミン「え、まっ…」



チビアルミン「…おじいちゃん!」タタタッ

じいちゃん「……」ナデナデ

チビアルミン「…ばいばい、アルミン!」ブンブン

じいちゃん「……」フリフリ


アルミン「あ…」

アルミン(視界が反転して…)グラッ

アルミン(意識が遠のく…)















アルミン「―――」ガバッ

アルミン(…ここは…医務室…?)

アルミン(外はもう真っ暗だ)キョロキョロ



アルミン「……ゆ…め…」



アルミン(あれ?)

アルミン「……この本…」






アルミン(それからは色々なことがあって、今は…)チラッ

ミカサ「………」ギラギラ

クリスタ「………」キッ

アルミン(エレンを連れ去った、ライナーとベルトルトを追うことになり、

     今、出発を待っているところだ)




コニー「なあ、アルミン」コソッ

アルミン「なあに?」

コニー「……俺の村…壊滅してたんだ。そんで、俺の家には巨人がいた」

アルミン「え…え」

コニー「そいつは動けねえのに俺の家にいて、俺を見た…そして…」

アルミン「まさか」

コニー「なーんってな」ニカッ

アルミン「?」


コニー「そういや、アルミンになついてた奇行種がいたなって思ってよ」

アルミン「…うん」

コニー「なんだかそいつを思い出してさ」

アルミン「そっか。ありがとう」ニコ

コニー「いつかさ、アルミンならわかるだろ」

アルミン「なにが?」

コニー「…巨人について…さ」

アルミン「…コニー…」



コニー「みんなには馬鹿にされたけど…俺、家にいた巨人が…」

アルミン「………」

コニー「へへっ、俺、馬鹿だからさ、そういうの…頭の良いお前に託すから、
    もしも…お前が巨人の正体を暴く日がきたら、
    俺にもわかるように、教えてくれよ」ニカッ




ミカサ「アルミン」

アルミン「ミカサ!…コニー、また後で」

コニー「おうっ」





アルミン(僕にはできることがある。

     それを自覚して前に進む)






ミカサ「アルミン、貴方を信じてる」キッ

アルミン「…うん」




アルミン(何かを失っても、

     この手で変えられるもの、

     守れるものがあることを、

     信じて―――)




――奇行種『……』ブウン



アルミン(今でも時々、知らない誰かが僕を呼ぶ)




アルミン「…前へ」





アルミン(前へ進む)



―――――――
―――――
―――


― 壁外調査前・とある実験後 ―



ハンジ「アルミンはまだ奇行種のところ?」

モブリット「そうです、会話は成り立たないのに、仲がいいですね」

ハンジ「あの二人の間では通じ合っているのかねえ…?」

モブリット「さあ…?」

ハンジ「アルミンも、親友のエレンがいない環境に適応していく中で、あの奇行種がアルミンの息抜きになっているのはあるよね」

モブリット「アルミンの話をひたすら聞いてくれますからね」

ハンジ「あはは。孫とじいちゃんみたい」







アルミン「聞いてる?」

奇行種「……」ジッ

アルミン「あ、聞いてなかったね」

奇行種「……」シラー

アルミン「隠そうとしても無駄だよ!」

奇行種「……」ジー

アルミン「あははは」

奇行種「……」ジッ

アルミン「それでさ、僕らが外に出る前にね…」





アルミン「じゃあまたね、奇行種」フリフリ


奇行種「……」ブウン



★ 奇行種が見てる おわり ★

読んでくださった方、本当にありがとうございました
レスが励みになりました!

奇行種の正体は明確に決めていません
3次元のアルミンオタクの念の集合体というストーリーも考えましたがやめました

本当にありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月13日 (日) 05:01:19   ID: rGOB04zJ

これはおもしろそう

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