【まどマギ】マミさんの魔法少女教室 (62)
はじめまして
閉鎖した某サイトに投稿していた作品ですが、こちらにも投下させていただきます
完結しているので、休憩を挟みつつ一気に仕上げる予定です
軽く読んで笑っていただけたら、それはとっても嬉(ry
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380542970
マミ「それじゃ契約書をよく読んでおいてね。納得できたら明日、サインをもらうから」
まどか「わかりました」
さやか「大げさだなー」
魔法少女になり、マミさんに弟子入りすることになった、わたしとさやかちゃん。
まどか「どう思う?契約書のこと」
さやか「アレだよほら、マミさんってぼっちじゃん。だからあたしたちと一緒にいられるように、ってやつじゃない?」
まどか「あははっ、そんなこと言っちゃ悪いよぉ」
ずっと一人で戦ってきたマミさん。
わたしたちがQBと契約したとき、ホントに嬉しそうだったなぁ。
まどか「でも、一度ママに相談してみようかな?」
さやか「やめた方がいいよ。魔法少女になりましたーなんて言ったら、ぶん殴られるか病院行きだって」
まどか「うーん…」
契約書には卒業まではマミさんの指示に必ず従うこと、命の保証はないこと、契約の破棄はできないこと、等が書かれていました。
さやか「当然といえば当然でしょ。TVで見るような甘い話じゃないからね」
まどか「さやかちゃんは怖くないの?」
さやか「怖くないって言えば嘘になるけど、人知れず正義のために戦うって、カッコいいと思わない?」
わたしは、マミさんに助けてもらった時のことを思い出す。
なんにもできないわたしが、あんな風になれたら……
それはとっても嬉しいなって、思ってしまうのでした。
翌日、マミさんのマンションに集まったわたしたち。
でもそこには、意外な人物も揃っていたのです。
ほむら「………」
杏子「あーあ、なんであたしまで…」
マミ「来てくれてありがとう」
魔法少女としては、ベテランのはずの杏子ちゃんとほむらちゃん。
今さら弟子入りなんて、必要ないと思うんだけど。
マミ「みんな、サインをお願いね」
さやか「はーい」
杏子「寝床に三食おやつ付きは間違いないだろうな?」
マミ「ええ、約束するわ」
あ、そういうことか。
マミ「契約は成立よ。卒業までの間、よろしくね」
ほむら「わかったわ」
まどか「マミさん、よろしくお願いします」
マミ「………」
マミさんは突然、わたしを睨みつける。何かおかしなこと言っちゃったかな?
杏子「なあマミ、卒業ってなんだ?」
マミ「…無論、一ヵ月後に来るワルプルギスの夜を倒すことだ」
杏子「へぇ、なるほどねー」
あれ?マミさんの雰囲気が変わってる……杏子ちゃん気付いてないの?
マミ「いいか貴様ら、これからの訓練は遊びではない!話しかけられた時以外は口を開くな!」
さやか「なっ…!」
まどか「マ、マミさん?」
マミ「もう一つ、口からクソを垂れる前と後にマムを付けろ!わかったかウジムシども!」
杏子「何が…どうなってやがる」
マミさんのあまりの豹変ぶりに、わたしたちは唖然とするしかありませんでした。
さやか「その言い方は……ちょっとひどいと思う」
まどか「マミさん、どうしちゃったの?」
だけど、それに答えたのは一発の銃声。
マミさんの放った弾丸が、わたしとさやかちゃんの間をかすめていったのです。
まどか「あわわわ…」
さやか「あ、危ないじゃない!」
マミさんはさやかちゃんの胸ぐらを掴み、マスケット銃の先を頬に押し付ける。
さやか「熱っ!」
マミ「もう一度だけ言ってやる。勝手にクソを垂れるな!マムを付けろ!」
さやか「あ、あい…まむ」
すごい迫力……マミさんはさやかちゃんを放り投げ、さらに言葉を続けます。
マミ「いいか、魔法少女に抱いてた夢や幻想、それらは全てドブに捨てろ。これから貴様らを待つのは、血と泥とクソにまみれた戦いの日々だ」
ほむら「了解よ、マム」
まどか「そ、そんな…」
こんなの絶対おかしいよ。
杏子「あたしはごめんだぜ。やってられるかってーの」
マミ「貴様らに渡した契約書は、ただの紙切れではない。魔翌力を込めた強制力を持つものだ」
杏子「なんだと…」
マミ「土壇場で手のひら返すバカどもがいるせいでな。だが、考える時間は十分に与えたはずだ」
やっぱり、ママに相談するべきだった。
杏子「ふざけんじゃねえ!テメェそれでも…!」
全てを言い終わる前に、マミさんの回し蹴りが杏子ちゃんに決まる。
わたしでもよけられそうなのに、まともにくらったあたり、強制力というのは本当みたい。
マミ「理解したか?」
杏子「ぐっ…テメェ、覚えてろよ」
マミ「その意気だ。そうでなくてはこの先、生き残ることはできないからな」
怖いよ……嫌だよ……
マミ「今から少しだけ時間をやる。その間にパパやママにお別れを告げて、自分の愚かさを呪うといい」
まどか「もしもしママ!助けて!」
わたしは速攻で、電話をかけて助けを求めました。
―バカが…なんで事前に相談しなかったんだ!
まどか「だって……まさかこんなことになるなんて…」
―引っかかる奴は大抵そう言うんだよ。契約書がある以上、どうしようもない。
まどか「何言ってるのよママ!助けてよ!」
―あんたはいい子に育ってくれた……覚悟決めな。
まどか「みんな騙されてたの!信じてたのに裏切られたの!」
―まどか、生きて再び会える日を待ってるよ…
まどか「待ってよ!わたし死んじゃうよ!ママ…?ママぁぁっ!」
ママがわたしを見捨てるはずがない。これも契約書の力なの?
さやか「まどかもダメだったか…」
まどか「ひどいよ……あんまりだよ……」
杏子「やれやれ、こんなのが魔法少女とはねー。確かにこれじゃすぐにでもあの世逝きだな」
マミ「お別れは済んだか?ならばSGを出せ。貴様らに現実を教えてやろう」
さやか「全く、なんだって…ぶっ!」
呟いたさやかちゃんは、マスケット銃で横殴りの制裁を受けてしまいます。
マミ「無駄口叩くな!さっさと小汚い尻子玉を出せ!」
まどか「イエスマム!」
マミさんの前に並べられる、わたしたちのSG。
マミ「佐倉、SGとはなんだ?言ってみろ!」
杏子「アイ、マム!契約の証であり、魔翌力の源でありますマム!」
マミ「暁美、貴様はどうだ?」
ほむら「魂そのものでありますマム」
マミ「よろしい。正しく認識しているようだな」
魂……なにそれ?わたし初耳だよ。
杏子「ど、どういう意味でありますか?マム!」
マミ「今見せてやる。QB!コイツを持って100mダッシュしろ!」
QB「アイ、マム!」
さやか「ちょ、あたしのSG…」
状況が掴めず、オロオロするわたしたちを置いて、話は進んでいきます。
杏子ちゃんも完全に、マミさんのノリに合わせちゃってるし…
何かバグってる?「翌」の字が勝手に入り込む…
さやか「……ふぅっ」
まどか「さやかちゃん?」
突然、倒れてしまうさやかちゃん。何が起こったの!?
杏子「どういうことですか!コイツ、くたばってやがりますマム!」
マミ「見ての通りだ、SGは貴様らクズどもの命。それが100m以上離れれば、死ぬしかないじゃない」
まどか「さやかちゃんしっかりして!マミさんお願い、さやかちゃんを死なせないで!」
わたしはマミさんに訴えてみるが、マスケット銃はわたしに向けられます。
まどか「マム、さやかちゃんを助けてくださいマム」
マミ「慌てなくてもいい。QB、さっさと戻って来い」
杏子「あたしたちの魂はSGの中に……それじゃこの身体はゾンビのようなものじゃねーか……」
ほむら「戦いにおいては便利よ。SGのおかげで痛みをほとんど感じることもないわ」
あまりのことに言葉を失うわたしと杏子ちゃん。ほむらちゃんも知っていたの…?
さやか「……はっ!」
まどか「さやかちゃん!」
QBがSGを元に戻すと、息を吹き返すさやかちゃん。
マミ「わかったな?SGはただのクソ溜めではない。死んでも手放すな」
杏子「畜生、マジかよ…」
まどか「こんなのってないよ…」
さやか「恭介……もうあたし、抱きしめてなんて言えない…」
マミ「返事はどうしたクソッタレども!」
「アイ、マム!」
マミ「よし、では次だ。鹿目、GSとはなんだ?言ってみろ」
まどか「えっと、魔女が落とす卵みたいなもので、SGの穢れを取ってくれる大事なアイテムです……マム」
マミ「………」
マミさんは無言でわたしの前に立つ。答え間違ってないよね?
マミ「ティロ・フィナーレ!」
まどか「ぶはっ!」
マミさんの容赦ないビンタがわたしを襲う。
マミ「ふざけるな!大声を出せ!ケツに突っ込まれたいか!」
まどか「マ、マミさん痛いです…」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
まどか「へぶっ!」
返し刃が反対の頬にヒットする。もう帰りたい…
マミ「暁美!」
ほむら「GSは穢れを溜め、絶望した魔法少女の成れの果て。SGからGSに相転移する際に発生するエネルギーこそがQBの目的ですマム」
杏子「待てよおい、SGがGSになるだと!?それじゃ魔女の正体…ぐぇっ!」
マミ「口を挟むなアホゥ!」
待ってよ……QBは契約の時にそんなこと言ってくれなかったよ?
QB「聞かれなかったからね。メリットばかりの契約なんてあるわけないじゃないか」
ほむら「あなたは黙ってなさい」
もうなにもかもが信じられない……わたしはこれからどうすればいいの?
マミ「いいかヒヨッ子ども、いずれはみんな魔女になる。しかし、効率よく戦えば魔女化など恐れることはない!そのために魔翌力を温存する術を私が伝授してやる!」
さやか「あたし、今すぐにでも魔女になりそう…」
ほむら「ならば今すぐ殺してあげるわ、美樹さやか」
さやか「わわっ!冗談よ冗談!」
次々と明るみになる真実。ショックが大きすぎてQBを殴る気力もない。
マミ「わかったな?QBに騙された時点で貴様らはもはや人間ではない!クソの寄せ集めだ!」
さやか「あの優しいマミさんはどこ行っちゃったの…」
杏子「こんな話聞かされたらおかしくもなるって」
マミ「我々に残された道はただ一つ、魔女を狩って狩って狩りまくり、円環の理に導かれることだ!」
さやか「あ、やっぱマミさんだ」
まどか「だよねー」
いきなり夢も希望もなくしたわたしたち。
マミさんだけが、最後に残った道標……
マミ「まずは足腰の鍛錬!全員、荷物を担いで30km行軍!」
杏子「既にくじけそうでありますマム!」
こうして、地獄のマミーズブートキャンプが始まったのでした。
街の人の冷たい視線を浴びながら、一路、山を目指して歩いて行くわたしたち。
行軍を終え、テントを設営した頃には、あたりはすっかり暗くなっていました。
杏子「腹減ったぁ…」
マミ「待たせたな、エサの時間だ」
マミさんは、袋に入った食事をみんなに配っていきます。
さやか「何これ……ゼリー食に缶詰?」
杏子「ミリメシなんざ、食った気にならないぜマム!」
マミ「栄養バランスを考えた最高の贅沢だ。明日からは現地調達になる。今のうちによく味わっておけ」
杏子「マム、おやつは?今日の分はまだもらってねーぞ」
マミ「ほらよ」
まどか「ビスケット2枚…」
杏子「あたし、もうダメだ…」
さやか「杏子、しっかり!」
マミさんとの約束。間違っちゃいないんだけど、杏子ちゃんには辛いよね…
マミ「食い終わった者から就寝しろ!明日は五時起き、寝坊は懲罰だ!」
くたくたになっていたわたしたちは、早々に寝袋の中へもぐり込みます。
まどか「なんでこんなことになっちゃったんだろ…」
本来ならマミさん、さやかちゃんと一緒に、颯爽と戦っているはずなのに。
ほむら「あなたの未来のためよ、鹿目まどか」
まどか「ほむらちゃんは……全部知ってたの?」
ほむら「ええ、巴マミをそう仕向けたのは私だもの」
さやか「なんだって!?」
ほむらちゃんが?一体どういうことなの?
ほむら「私の忠告を聞き入れないあなたを救うには……全てを話し、力を借りるしかなかったの」
まどか「説明してよ!こんなのわけわかんないよ!」
わたしは声を荒げ、ほむらちゃんを問い詰めました。
ほむら「過去ループの中で、唯一ワルプルギスの夜を倒せた時間軸。それが巴マミによる軍事教練ループよ」
さやか「ちょ、ちょっと待ってよ!だったらどうしてやり直してるのさ!」
ほむら「ワルプルギスの夜を倒した鹿目まどかは、その勢いで巴マミにケンカを吹っ掛けたの」
さやか「はしゃいじゃってー」
杏子「で、どうなった?」
ほむら「…私が甘やかして訓練をサボらせていたために、返り討ちにあったわ」
まどか「えー」
過去のわたしは、なんてことを……
ほむら「だから私は誓ったの。鹿目まどかを救うため、徹底的に鍛え上げようと」
まどか「ち、ちなみにさ、それ以外の時はどうだったの?」
ほむら「ワルプルギス戦で敗北したのが3回、その前に訓練中に死亡したのが12回ね。うち、脱走による射殺が7回」
ママ……もう会えないかも……
翌朝から、マミさんによるサバイバル講座が始まります。
マミ「メモはとるな!脳ミソに叩き込め!」
わたしたちはナイフ一本で、様々なワナや武器を作っていきます。
こんなこと、魔女退治に必要なのかな?
マミ「できた奴から食料を調達して来い!取れなかったグズはメシ抜きだ!」
杏子「マム、自分には三食付きのはずですが…」
マミ「ああ、セミの唐翌揚げにトカゲの塩焼き、何かの幼虫のバター炒めを用意してある」
杏子「…調達してきます」
ほむら「杏子、食べ物は粗末にしないんじゃなかったの?」
杏子「ゲテモノは勘弁してくれ」
マミさん……ホントにそんなの食べるの?
さやか「まどか、行くよ」
まどか「さやかちゃん?」
さやか「あたしはマミさんを信じる。もう失うものなんて、何もないもん!」
そう言って森へ駆けていくさやかちゃん。大丈夫かな…?
わたしはまだ、今の状況が信じられない。悪い夢を見てるんだって思いたい…
マミ「モタモタするな!さっさと行け!」
まどか「アイ、マム!」
マミさんにお尻を蹴られ、わたしも森へと入っていくのでした。
まどか「キノコ……美味しそうな色……」
杏子「おいまどか!そいつは毒キノコだ!」
まどか「そ、そうなの?」
さやか「ちょっと転校生!それあたしが狙ってた獲物なのに!」
ほむら「でもあなたは命を奪うことを躊躇った。甘さを持っていては、生き残ることはできないわ」
さやか「くぅ~っ、ムカつく!」
迷っちゃダメなんだね…それじゃ百発百中のわたしの弓で…
マミ「バカか貴様は!魔翌力を節約する訓練で、魔法ぶっ放す奴があるか!」
まどか「そんなぁ…」
結局、素人のわたしとさやかちゃんは、ゴハン抜きになってしまいました。
午後からは、銃器の扱いについてのお勉強。
マミ「銃は貴様らウジムシの命を守る、大切なパートナーだ。メンテナンスは怠るな!」
まどか「外れないよぉ…」
杏子「ちまちました作業は苦手なんだよなー」
さやか「ま、まどか!あたしのネジ知らない!?」
ほむら「完了しました」
銃には慣れているほむらちゃんは、あっという間に分解、整備を終えたのでした。
マミ「気に入った。鹿目の弟をファックしていいぞ」
まどか「ちょ、タツヤはまだ3才…」
マミ「口より先に手を動かせ!」
今日、何発目のティロ・フィナーレ(ビンタ)だろう……顔の形、変わっちゃうよ。
夕方からは魔女退治の時間。街まで足並み揃えてのランニングです。
マミ「魔っ法ー少女になーりまっしたーっ!」
まどか「魔っ法ー少女になーりまっしたーっ!」
マミ「そーれはとっても嬉しいなーっ!」
さやか「そーれはとっても嬉しいなーっ!」
マミ「ブチ殺せ!ブチ殺せ!」
杏子「ブチ殺せ!ブチ殺せ!」
マミ「クーラスーのみんなにーは内緒だよーっ!」
ほむら「クーラスーのみんなにーは内緒だよーっ!」
子供「ママ、あのお姉ちゃんたち…」
ママ「…見るんじゃありません」
夜、空腹で眠れないわたしは、こっそりとキャンプを抜け出しました。
ごめんねさやかちゃん。必ず助けに来るからね。
わたしは人里目指して走り出す。ママに怒られてもいい。パパのあったかいごはんを食べたいの!
ほむら「…鹿目まどか」
まどか「げっ!ほ、ほむらちゃん…」
麓まであと少し、というところで運悪く見つかってしまいました。
いや、何度も繰り返してきたほむらちゃんにとって、わたしがいつ、どうやって逃げ出すかなんてお見通しか…
まどか「あ、あのねほむらちゃん、わたし……」
ほむら「………」
ほむらちゃんは厳しい視線でわたしの前に立ちはだかる。
まどか「うぅっ…無理だよこんなの……あと一ヶ月も耐えられないよ…」
ほむら「………」
まどか「嫌だよもう!助けてよほむらちゃん!」
ほむらちゃんは、ゆっくりとわたしに近づいてきます。
ほむら「…鹿目まどか。巴マミは二日後の魔女との戦いで命を落とすわ」
まどか「えっ!?」
マミさんが死ぬ?今日の戦いでも、魔女を瞬殺したあのマミさんが?
ほむら「私は手を出さない。彼女を救えるのはあなただけ。しかしそれは地獄の日々が続くことを意味する…」
まどか「そ、そんな…」
ほむら「選ぶ時間をあげるわ。でも、この場で逃げることは許さない」
ほむらちゃんは、わたしの胸元に銃を向ける。
ほむら「このままだと明日、あなたは巴マミの追撃を受けて力を消耗、魔女になるわ。史上最短の絶望ループね」
まどか「わたし、耐えるしかないの?」
ほむら「何度も言ったはずよ?魔法少女になってはいけないと。これはあなた自身が招いた結果」
まどか「………」
あと二日辛抱すれば解放される……でも、それはマミさんが死んじゃうってこと。
―私は巴マミ、この街を守る魔法少女よ。
―危ないことをしてるって認識だけは持っておいて。
―私は…考える余裕なんてなかったから…
マミさん…わたしを助けてくれた、憧れの先輩。
―ボサッとするな!ウジムシども!
―クソを垂れ流すしか能がないのか!
―ティロ・フィナーレ!(ビンタ)
それもいいか。あのデカパイ女め…
わたしはほむらちゃんの説得を受け入れ、キャンプに戻ることにしました。
ほむら「鹿目まどか、これを」
まどか「え…これって…」
それは小さな一片のチョコレート。
ほむら「私にしてあげられるのはこのくらいだけど」
まどか「ほむらちゃんありがとう!」
口内に広がるチョコの甘さ。こんな幸せな気持ちはじめて!
…そうだよね。いざとなったら、ほむらちゃんが守ってくれるよね。
ひとときの安らぎを得たわたしは、心地よい眠りにつくのでした。
ほむら(まどかを救うためなら、私は鬼になるわ…)
マミ(連れて戻ったか……暁美ほむらはどこまで信用できる…?)
二日後、運命の日。
マミ「ここか…見つけたぞクソ野郎め」
杏子「どうしたまどか。何だか嬉しそうだな」
まどか「そ、そうかな?」
さやか「マミさんの戦い方、カッコいいもんねー。見てるだけでワクワクするよ」
杏子「遊びじゃねーっての」
マミ「いずれ敵を鉛弾でブチ抜く感触を味あわせてやる。楽しみにしておけ」
…うん、やっぱりこんなのマミさんじゃない。本当のマミさんはもういないんだ。
わたしはこの後に起きる惨劇を、受け入れるつもりでいる。
もちろんリスクは承知の上。
マミさんの死により、魔法力の抑制を学べなかったさやかちゃんが、魔女になってしまうこと。
さやかちゃんを救おうと、杏子ちゃんが相討ちになってしまうこと。
わたしとほむらちゃんは、それを全力で阻止するの。
結界内部に入り込んだわたしたち。
杏子「なんだこりゃ?お菓子がいっぱい…」
まどか「ちょ、ちょっとくらい食べても…いいかな?」
さやか「お菓子ーっ!ケーキーっ!」
マミ「はしゃぐなガキども!」
マミさんは、お菓子に飛びつこうとしたさやかちゃんをぶん殴る。
マミ「こんなもの食ったら一発でSGが濁るぞ!少しは考えろアホが!」
そう言われても、空腹のわたしたちには拷問に近いよ…
マミ「佐倉、貴様はそのバカを見張れ。目ェ覚ましても黙らせておけ」
杏子「イ、イエス、マム」
ほむら「………」
沈黙を続けるほむらちゃん。
杏子ちゃんとさやかちゃんが、動きを取れなくなるのも過去の通りなんだね?
ほむら「逃げる奴は使い魔よ。逃げない奴はよく訓練された使い魔よ」
まどか「こんなの地獄絵図だよ…」
マミ「フゥハハハー!」
マミさんは蛮刀で近寄る敵を叩きつぶし、サブマシンガンで銃弾の雨を降らせる。
どう見てもオーバーキルです。本当にあり(ry
マミ「出て来い!腹ァかっさばいてクソを詰めてやる!」
奥の広間にいた、ぬいぐるみのような魔女。
あれが……マミさんを倒すの?
マミ「くたばれぇぇぇ!!!」
シャル「きゅるるーーー」
魔女は座っていた椅子をマシンガンで砕かれ、穴だらけになって落ちてきました。
マミ「フンッ!」
マミさんはさらに蛮刀を投げつけ、魔女を壁に縫い付けます。
マミ「トドメだ!ティロ・フィナーレ!」
背中に背負っていたマスケット銃のうち、一本が巨大な大砲になって魔女を貫く。
まどか「仕止め…ちゃった?」
そう思った瞬間、全てのものが止まりました。モノクロの世界の中、わたしとほむらちゃんだけが動くことを許されていました。
ほむら「…鹿目まどか。選択の時よ」
まどか「選択?マミさんが勝ったんじゃないの?」
ほむら「いいえ、反撃が来るわ。ぬいぐるみの口から本体が飛び出し……巴マミは頭をマミられ、無惨な最期を遂げる」
でも……わたしはもう、決めたんだもん。
ほむら「本当にそれでいいの?前にも言ったけど、巴マミがいなくては…あなたの親友、美樹さやかを救えた試しはないのよ?」
まどか「わたしも魔法少女だよ!それでも助けられないほどさやかちゃんはウザいの!?」
ほむら(…黒まど化が進んでるわね)
悪魔どか:それでいいんだよ。このまま放置すれば元の生活に戻れるの。
天使まどか:ダメだよ!マミさんを助けようよ!
えっと…
天使まどか:思い出して。マミさんはただなんとなく生きてきたわたしに、何かできる道を示してくれたんだよ?
悪魔どか:だからってこんなのないよ!先輩風吹かせていじめてるだけじゃない!
天使まどか:わたしのためなんだよ?ほむらちゃんが言ってたじゃない。わたしたちが死んじゃうところを何度も見てきたって…
悪魔どか:違うやり方がきっとあるはず。さやかちゃんだって助けられるよ!結果がわかってるなら、それを避ける努力をすればいいの!
ほむら「秒読みに入るわ。もう時間はないわよ」
まどか「ま、待ってよほむらちゃん…」
ほむら「10秒前、9、8…」
ど、どうしよう…
天使まどか:頑張ろうよ!ここで逃げたら何も変わらないよ!
悪魔どか:家に帰れるんだよ!ほむらちゃんだって手伝ってくれるよ!
わたし…わたしは…
悪魔どか:奇跡を起こすのが魔法少女でしょ!
天使まどか:マミさんを見捨てて、幸せになれるわけないよ!
ほむら「3、2、1…」
まどか「やっぱりダメ!マミさぁぁぁん!」
わたしが弓矢を召喚すると同時に、時が動き出す。
まどか「あ…」
ほむら「ちょ、このタイミング…間に合わない!」
マミ「むっ?」
杏子「なんだ!?」
ほむらちゃんの言葉通り、魔女の口から大きな恵方巻が飛び出してくる。
マミさんは完全に不意を衝かれ、硬直してしまいました。
まどか「いやぁぁぁ!!!」
マミ「…フン」
わたしは矢を放つが、明らかに手遅れだ。
マミられる。誰もがそう思ったその時、マミさんが背負っていた他のマスケット銃が半回転し、両腰から火を吹いたのです。
まどか「ぁぁぁ…あ?」
ほむら「ヴェスバー!?」
マミ「惜しかったな。いい攻撃だったぞ」
マミさんはすかさず態勢を立て直し、マシンガンの引き金をひく。
魔女は原型をとどめないボロ屑になって、消滅していきました。
まどか「………」
ほむら「………」
マミ「鹿目ェ!なんだあの援護は!ジジイのシコシコ運動の方がよっぽど速いぞ!」
杏子「マ、マム、今のは一体…?」
マミ「ん?大技を使うなら、隙を埋めておくのは当然だろう」
温存した魔翌力で、万一に備えてフルオートで身を守れるようにしていた、とマミさんは話してくれた。
マミ「あえて名前をつけるなら、レガーロ・ディ・フォルマッジョ(チーズの贈り物)といったところか」
杏子「はぁ…」
なにそれ…ほむらちゃん、話が違うよ?
ほむら「い、今までのループで、巴マミがシャルロッテに勝てたのは……ぼっちの時だけだったの!仲間がいて、なおかつ単独で勝利するなんて…」
まどか「地獄の日々は終わらないんだね」
ほむら「あ、あなたも土壇場でそう願ったのでしょう?」
まどか「納得いかねぇぇぇ!」
ほむら(もしかして、私の長い旅を終わらせてくれる鍵は、巴マミにあったの…?)
>>7
バグじゃなくて仕様だよ
メ欄に[saga]を入れろ
それから数日、心の定まらないわたしは、訓練でも落ちこぼれていきました。
まどか「お腹空いた……早く探さないと、またご飯抜きになっちゃう」
杏子「我慢せずにトカゲ食えトカゲ。慣れたら結構いけるぜ?」
まどか「ご、ごめんね、それはちょっと遠慮したいなぁ」
杏子「ったく、ブッ倒れても知らねーぞ」
まどか「あ、何か焼ける匂い……さやかちゃん?」
少し先で、さやかちゃんが焚き火をしている。頼んだら少しくらい分けてくれるかな?
まどか「ねぇさやかちゃ」
さやか「あっはははは!本当だぁ、その気になればヘビやカエルだって美味しく食べられるんだぁ!」
まどか「うぇ…」
ほむら「やっと吹っ切れたわね、美樹さやか」
まどか「ほむらちゃん…」
訓練で抜群の成績を誇るほむらちゃん。今日は大量の魚を手に入れていました。
>>26
了解です。ありがとうございます。
まどか「それ、どうしたの?」
ほむら「この先に川があるわ。頑張ればあなたでも獲れるはずよ」
杏子「まさか時間停止を使ったのか?」
ほむら「その必要はないわ。爆弾を一つ、放り込めばいいだけのこと」
ダイナマイト漁ですかそうですか…
まどか「よ、よかったらわたしにも少しくれないかなー、なんて…」
ほむら「一晩、私とベッドを共にしてくれるなら、一匹くらいあげてもいいわ」
まどか「川、行ってきます」
杏子「もったいねぇ。減るもんじゃあるまいし」
まどか「減るんだよ、いろいろと」
ほむらちゃんは、わたしに容赦なく厳しくなっていました。頼ろうと思っていたのは甘かったの?
マミ「グズが……戦う前に死にたいのか!ブタのようにエサを与えねばならんのか!」
まどか「も、申し訳ありませんマム!」
結局、食料を得られないまま戻ったわたしに、罵声が浴びせられる。
マミ「やむを得ん、このまま死なれても困るからな……食え」
まどか「これは…ええっ!?」
杏子「ひょーっ、ごちそうじゃん!」
さやか「まどかだけずるいーっ!」
それは幼虫が蠢くハチの巣。みんなは羨ましそうにわたしを見るけど…
まどか「ぅおぇぇぇぇ…」
マミ「チッ…押さえつけろ。口を開かせて突っ込め!」
ほむら「アイ、マム!」
まどか「ひ…っ、ひぎゃあぁぁぁ!!!」
助けて……助けてママ……
QB「やれやれ、手こずってるみたいだね」
まどか「き、QB!お願い、助けてよ!」
QB「それは不可能だ。僕にどうこうする力は無いよ。こうして君たちを見守ってあげるくらいだ」
まどか「そんなことないよ?QBがいてくれたらわたし…」
QB「まどか……ぐぇっ!」
わたしは捕まえたQBの首を180度捻り、絶命させる。
まどか「うふふふ……久しぶりのお肉……」
杏子「その手があったか!」
マミ「考えたな。まぁ良かろう」
わたしは生きる……生き延びて、ワルプルギスの夜を倒して、そして…!
QB「全く、わけがわからないよ」
さやか「二匹目、いっただきーっ!」
QB「きゅっぷい☆」
ほむら(まどか…お腹壊さなきゃいいけど…)
飢える心配のなくなったわたしは、ようやく訓練に集中でき、みるみるうちに実力をつけていきました。
まどか「魔女が存在する必要なんて…ないっ!」
杏子「すっこんでな、手本見せてやる!」
さやか「あっはははは!あたし、どうにかなっちゃうよ!」
マミ「カートリッジに弾は必ず残しておけ!慎重な奴ほど生存率は上がる!」
五人の前にはどんな魔女も塵と化し、GSのストックも順調に集まります。
マミ「魔法少女どもは見滝原市を愛しているか?」
「生涯忠誠!命かけて!愛してる!愛してる!愛してる!」
マミ「街を守るものは?」
「圧倒的火力だ!火力だ!火力だ!」
マミ「やるべきことは?魔法少女ども!」
「魔女の滅殺!滅殺!滅殺!」
子供「ママ…」
ママ「そっち見んなっつってんだろ!」
そして決戦前夜。
キャンプを引き上げ、街に戻ってきたわたしたちは、某ファミレスに来ていました。
マミ「諸君、今日は私の奢りだ。存分に飲み食いして明日に備えてくれ」
さやか「いよいよ明日か……」
杏子「あたし、ハンバーグセットと日替わりディッシュな!」
まどか「いいの…?ホントに好きなもの食べていいの…?」
血生臭くない、清潔であったかい食事。夢じゃないよね?
ほむら「泣かないでまどか。一緒にパフェを食べましょう」
まどか「…うん」
おかしいな……クリームたっぷりなのに、どうしてしょっぱいんだろう?
食事の後は、マミさんのマンションで最後の泊まり込み。
入念な作戦計画の立案を終え、順番にお風呂の時間です。
さやか「いやー爽快爽快、気分いいわー」
杏子「畜生、すっかり髪が痛んじまってるよ…」
マミ「よし、次は鹿目と暁美、行ってこい」
まどか「了解ですマム!」
この一ヶ月間は、ずっと水浴びかドラム缶風呂。
そのせいか、石鹸の香りに違和感を覚える…
ほむら「まどか、背中を流してあげるわ」
まどか「ありがとうほむらちゃん」
…襲われないのかって?大丈夫。今のわたしなら、ほむらちゃん一人くらい簡単に叩きのめせるから。
まどか「ねぇほむらちゃん。わたし、強くなったよね?」
ほむら「そうね、訓練をやり遂げたあなたは、ワルプルギスの夜にもきっと勝てるわ」
わたしの背中を洗いながら、ほむらちゃんが答える。
まどか「マミさんにも……勝てそう?」
ほむら「…戦闘力、判断力、作戦遂行能力、ほぼ全てにおいて、巴マミを上回っているわ」
まどか「本当?」
ほむら「ただ、武器の性能による攻撃速度、そして何より経験の差だけは、埋めることができないわ」
まどか「わたし一人じゃ無理ってこと?」
ほむら「…お願いまどか、妙な考えは起こさないで。魔法少女になって一ヶ月のあなたと巴マミとでは、くぐった修羅場の数が違うの」
まどか「あははっ、ちょっと聞いてみただけだよ。わたしが今、どれくらいの強さなのかを知りたかっただけ」
ほむら「そう…」
さすがほむらちゃん。私情を交えず、客観的に判断してくれた。おかげで自信に繋がったよ。
ほむら「まどか…」
まどか「えっ?」
ほむらちゃんは手を止め、わたしの背中に寄り添ってくる。
ほむら「私を……恨んでる?」
まどか「………」
ほむら「当然よね。甘えを許さず、巴マミと一緒になって、あなたを戦闘マシンに育ててきたんだもの」
わたしは答えない。いや、答えられない。
ほむら「ワルプルギスの夜さえ倒したら、私はあなたに殺されてもいいわ」
まどか「ほむらちゃん…」
ほむら「でもお願い。それが終わったら、どうかあなた自身の幸せを求めて。あなたなら希望に満ち溢れた魔法少女になれるはずよ」
まどか「………」
ほむら「あなたの幸せ。それだけが私の旅の終焉地……」
ほむらちゃんはそう言って一人、お風呂場を後にしました。
マミ「臭ぇ!ちゃんとケツの穴まで洗って来い!」
ほむら「申し訳ありませんマム!」
ほむらちゃんはマミさんに蹴飛ばされ、すごすごと戻ってきました。
翌朝。
マミ「おはようクソッタレども。いい朝だな」
さやか「おはようございますマム!」
昨日のお風呂場でのまどか……あれは以前と同じ状況……
マミ「本日0800時をもって、ミッションの開始を…」
まどか「アイ、マム!」
決戦が終われば、おそらくまどかは巴マミに仕掛ける……
マミ「この一ヶ月間、よく耐えて…」
杏子「光栄でありますマム!」
今までで最も強いまどかと、隙のない巴マミ。私には止めることすらできない。
魔法力を温存……その余裕が私にあるか?毎回、ワルプルギス戦で真っ先に戦闘不能になる私に。
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
ほむら「えっ?」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ほむら「ほむっ!」
突然、私の顔に巴マミのグーパンチが炸裂する。
マミ「聞いているのかマギカ2!貴様のするべきことはなんだ!エロ妄想か!」
ほむら「お、囮になり、敵、使い魔を引き付けることですマム」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ほむら「ほぶっ!」
答えた瞬間、2発目が叩き込まれる。私、何か間違った?
まどか「ほむらちゃん、マミさんは紅茶の準備をしろ、て言ったんだよ」
マミ「わかったな?情報を聞き漏らした奴から戦死する。集中力は切らすな!」
さやか「アイ、マム!」
杏子「…どうしたほむら、らしくねーぞ」
ほむら「迂闊だったわ。もう大丈夫よ」
考えるのはあとにしないと。ワルプルを倒さないことには、何も進まない…
翌朝。
マミ「おはようクソッタレども。いい朝だな」
さやか「おはようございますマム!」
昨日のお風呂場でのまどか……あれは以前と同じ状況……
マミ「本日0800時をもって、ミッションの開始を…」
まどか「アイ、マム!」
決戦が終われば、おそらくまどかは巴マミに仕掛ける……
マミ「この一ヶ月間、よく耐えて…」
杏子「光栄でありますマム!」
今までで最も強いまどかと、隙のない巴マミ。私には止めることすらできない。
魔法力を温存……その余裕が私にあるか?毎回、ワルプルギス戦で真っ先に戦闘不能になる私に。
まどか「ほ、ほむらちゃん!」
ほむら「えっ?」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ほむら「ほむっ!」
突然、私の顔に巴マミのグーパンチが炸裂する。
マミ「聞いているのかマギカ2!貴様のするべきことはなんだ!エロ妄想か!」
ほむら「お、囮になり、敵、使い魔を引き付けることですマム」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ほむら「ほぶっ!」
答えた瞬間、2発目が叩き込まれる。私、何か間違った?
まどか「ほむらちゃん、マミさんは紅茶の準備をしろ、て言ったんだよ」
マミ「わかったな?情報を聞き漏らした奴から戦死する。集中力は切らすな!」
さやか「アイ、マム!」
杏子「…どうしたほむら、らしくねーぞ」
ほむら「迂闊だったわ。もう大丈夫よ」
考えるのはあとにしないと。ワルプルを倒さないことには、何も進まない…
マミ「マギカ1よりマギカ2、トラップの設置はどうなっている?」
ほむら「こちらマギカ2、作業は95%まで進行」
マミ「マギカ3、マギカ4、状況を報告しろ」
杏子「マギカ3、右翼クリア」
さやか「マギカ4、左翼クリア」
マミ「了解だ。各員、指示があるまでその場で待機」
まどかは巴マミと一緒に先陣。もう話をする時間はない。
ほむら「マギカ2、トラップの設置完了」
まどか「マギカ5より緊急報告!風向きが変わった。雷雲が発生するよ!」
マミ「よし、[田島「チ○コ破裂するっ!」]やめ!パンツ上げ!総員戦闘準備!」
「了解!」
お願いよ…早まったことはしないで…
発生した雷雲は、ものすごい速度で勢力を増していく。
マミ「説明した通り、奴には魔法武器による攻撃しか通用しない。魔翌力を惜しむな!全力で叩け!」
⑤
杏子「派手にやってやろうじゃん!」
④
さやか「マギカ3、集中しなって」
③
まどか「おいで、噛ませ犬!」
②
ほむら「まどか…」
①
マミ「It's show time!」
[sage]やない[saga]や
幕が開き、ワルプルギスの夜が顕現する。
その巨大な姿、存在感はいつ見ても圧倒される。
ワル夜「ウェヒッ、ウェヒヒヒッ」
杏子「…あ?」
まどか「これって…」
ほむら「まどか笑い!?」
さやか「マギカ5、アンタは奴に何を吹き込んでるのよ」
まどか「えー」
マミ「マギカ5!構うな!」
出鼻をくじかれる形になったが、すぐさま気を取り直して攻撃を開始する。
マミ「会いたかったぞ!ワルプルギスの夜!」
ワル夜「イヒッ、ティヒヒヒッ」
まどか「わたし、そんな笑い方なんて……しないっ!」
まどかと巴マミの凄まじい攻撃が降り注ぐ。
早い段階で撃ち落とし、接近戦に持ち込まなくては…
>>39
失礼しました。度々感謝です。
ほむら「マギカ2よりマギカ1、トラップGとBを順次発動します」
マミ「許可する」
私が用意していた兵器群、ロケット弾や榴弾砲を次々と放つ。
杏子「並みの魔女なら一発で片付くよな…」
ほむら「全てはこの時のため!」
でも、私の武器は見た目は派手だが、全然効いていない。
先のまどか達の攻撃に比べれば、何のダメージにもなってないことが見て取れる。
ワル夜「ウェへへへ…」
さやか「ほむらの方を向いた!?」
ほむら「かかったわね、デカブツ!」
マミ「マギカ5!ヤツの土台にお見舞いするぞ!」
まどか「アイ、マム!」
ワル夜「ウヒッ、イヒヒャヒャァー!」
マミ「墜ちろ!墜ちろ!墜ちろぉぉぉ!」
まどか達の猛攻、だけど…
まどか「イヒッ、ヒャーハハハハ!」
さやか「…やっぱ似てるよね」
杏子「…だな」
ほむら「二人とも、来るわ!」
ワルプルギスの夜は、私とまどか、そして巴マミを敵と認識したようだ。
マミ「マギカ5、下がるぞ!マギカ3、4は攻撃開始!」
ほむら「トラップ発動、ビルの倒壊に気をつけて!」
「了解!」
二人が下がったところに、左右からの渾身の一撃を仕掛け、倒れたビルの下敷きにする作戦。
これで飛行能力を奪うことができたら、優位に戦いを進めることができる。
さやか「たあぁぁっ!」
杏子「終わりだよっ!」
狙いは歯車の軸部分。先の攻撃で脆くなっているはず…!
ワル夜「ウェヒヒッ」
マミ「反応が速い!」
杏子「チィッ」
ワルプルギスの夜は、二人の前に使い魔を盾として召喚、攻撃は命中こそしたものの、威力を大きく削がれてしまった。
ワル夜「イヒッ、ヒャハハハッ」
さやか「上を向いた!?」
まどか「危ないよー」
杏子「おいおい…」
早々に本気になり、上向きになったワルプルギスの夜。その頭上に崩れたビルが落下する。
ワル夜「ウヒャハァァァ!!!」
さやか「怒んないでよ」
杏子「バカが、自業自得だろ」
まどか「やったのはほむらちゃんだよ」
ほむら「えー」
怒ったワルプルギスの夜は、私を中心に反撃を開始する。
無数の使い魔、エネルギー波が襲い掛かってきた。
マミ「いいぞマギカ2、そのまま引き付けろ!」
ほむら「マギカ2より各員、10秒後に時間停止、使用武器はほむバズーカ、爆風に注意よ!」
「了解!」
今まで本気になった奴に、私が持ちこたえられたのはほんの数分…
今回はかなりの数のGSがあるが、それでも長くは持たないだろう。
私はエネルギー波を盾で弾き、確実に使い魔を撃ち落としていく。
杏子「随分とムキになってやがるな」
さやか「囮作戦、うまくいってるじゃん」
ワルプルギスの夜は、他のみんなからの攻撃を無視し、ひたすら私へと集中してきた。
まどか「後頭部のビル直撃、よっぽど痛かったのかな?」
ほむら「通常攻撃は効かないと言ったはずよ」
杏子「マギカ1、いくらなんでもマズくないか?援護してやったほうが…」
マミ「それが奴の狙いだ。誘いに乗るな、消耗戦に持ち込め!」
巴マミの言う通り、過去の敗北は援護に回ろうとしたり、大技を使おうとした隙を突かれたものだった。
ほむら「5秒後に時間停止よ!武器は変わらず!」
「了解!」
しかし、予想以上に魔力の消費が激しい……こんな攻撃、初めてね。
ほむら「3秒後!以下同文!」
さやか「余裕無くなってきてるじゃない」
マミ「各員奮闘しろ!マギカ2の犠牲を無駄にするな!」
……勝手に殺さないでくれるかしら。
ほむら「マギカ2よりマギカ1、こちらのGSの予備が底をついたわ」
マミ「了解、よくやった。以降、マギカ1はマギカ2と合流、囮作戦を続ける!」
杏子「大将が囮になってどうすんだよ!」
マミ「もし私がやられたら指揮はマギカ3が引き継げ」
杏子「マジかよ…」
マミ「頼むぞ。奴のケツにブッといのをブチ込んでこい!」
杏子「チッ…くたばるんじゃねーぞ。アンタはあたしがぶん殴るんだ!」
マミ「…覚えておこう」
お願い……早く倒れて……
まどか「ハイパーまどかビーム!」
ほむら「マギカ5、それはダサいからやめてって言ったじゃない!」
まどか「で、でもほら……効いたみたいだよ?」
ほむら「えっ?」
ワル夜「ティヒッ!?」
杏子「やったか?」
まどかの必殺技名に脱力したのか、私の願いが通じたのか、遂にワルプルギスの夜が大きくグラついた。
…と同時に、一瞬気の緩んだ私に向けて、エネルギー波が撃たれる。
ほむら「きゃああっ!」
まどか「ほむらちゃん!」
盾で直撃こそ防いだものの、私は瓦礫の山の中へと吹き飛ばされた。
さやか「待ってて!すぐ助けるわ!」
マミ「私が行く。貴様らは奴にトドメを刺せ」
さやか「しかし…」
マミ「我々の第一目標は奴の首をマミることだ!履き違えるなウスノロ!」
さやか「くっ…了解っ!」
さっきのお返しとばかりに、私めがけてビルが落ちてくる。
マミ「マギカ2!」
ほむら「大丈夫、かわせるわ!」
代わりに魔力を使い切ってしまうことになるけど…
マミ「ティロ・フィナーレ!」
ほむら「ちょ、待てコラ」
巴マミの放ったティロ・フィナーレが、ビルを粉々に砕く。
当然のことながら、細かくなった破片が私の頭上に降り注ぐことになった。
ほむら「かなりダメージ大きいんだけど…」
マミ「油断した罰よ」
結局、痛い思いをした上に回復で魔力を失った私。大損じゃない。
マミ「これで敵は一人……いえ、二人かしら?」
ほむら「…マミ?」
まどか「ナァストロ・フィナーレ!」
さやか「スクワルタトーレ!」
杏子「今度こそ終わりだよっ!」
まどかの巨大ボウガン、美樹さやかの大技の後、杏子の槍がワルプルギスの夜を貫く。
ワル夜「キャハッ、キャハハハ…」
ワルプルギスの夜はボロボロと崩れ、断末魔とともに消え去っていった。
ほむら「終わった…の?」
マミ「ええそうよ。これで私も…」
マミの胸元から四枚の紙切れが飛び出し、光の粒子となって消滅する。
あれは……あの時の契約書?
マミ「これを持ってて」
ほむら「え?」
マミから手渡されたのは、小さな可愛いポシェット。何が入っているの?
まどか「巴マミィィィ!」
ほむら「まどか!?」
マミ「下がって!ティロ・フィナーレ!(蹴)」
ほむら「ほむっ!」
マミは私を蹴飛ばし、再び瓦礫の中へと避難?させた。
そして間一髪、まどかの攻撃をかわし、マスケット銃を取り出す。
マミ「…予想外ね。三人ともなの?」
まどか「契約の効力は無くなったよ。もうわたしたちは自由の身」
ほむら「ま、まどか……お願いやめて……」
まどか、杏子、美樹さやかの三人は、武器を構えてマミを囲んでいた。
まどか「ほむらちゃんを蹴らなかったら、ヴェスバーも用意できたのにね」
マミ「………」
マミの銃は二本、照準はまどかと杏子に向けられている。
ほむら「ダメよまどか!戦えばあなたも無事では…」
まどか「ほむらちゃんは黙ってて!」
さやか「まどか…」
杏子「………」
マミ教信者の美樹さやかは、おそらく攻撃を躊躇うだろう。杏子だって殴るだけで済ませるかもしれない。
でも、まどかは……
まどか「さすがマミさんだね。ほむらちゃんを抑えれば勝機はある。そう考えてのこと?」
マミ「どうかしらね?」
また……繰り返さなければならないの…?
膠着状態が続く。
まどかも感づいているだろう。マミが自分だけを狙っていることに。
長引くほど不利になるはずだけど、まどかは仕掛けない。いや、マミのプレッシャーで仕掛けられない?
このままじゃダメ……良くても相討ちになるだけ……
ほむら「まどか……私は一体、何のために……」
絶望に囚われ、涙する私の手がマミのポシェットに触れる。
その途端、身体に魔力がみなぎるのを感じた。
ほむら「これは!?」
中に入っていたのは、マミのストック分のGS。
まさか……私に託して自分は!?
私は涙を拭って立ち上がる。
ほむら「まどか…」
まどか「ほむらちゃん!?魔力残ってたの?」
私は時間停止を使い、背後からまどかを抱きしめた。
まどか「セクハラなんかしてる場合じゃないんだけど」
ほむら「いいえ違うわ。あなたを止めるためよ」
右手に持った銃を、まどかの胸元に突きつける。
マミ「暁美さん!?」
まどか「ほむらちゃん……どうして?わたしを守ってくれるんじゃないの?」
ほむら「これ以上血は見たくないの。全員、武器を収めなさい」
さやか「アンタが鼻血まみれよ。まどかをほむほむするから」
ほむら「…これは本能よ。仕方ないわ」
杏子「煩悩だろ」
私が撃てないと思っているのか、みんなは構えを解こうとはしない。
しかしそんな中、巴マミの殺気だけが消えていく。
マミ「…暁美さん、もういいのよ」
ほむら「マミ、待ちなさい!」
マミはマスケット銃を降ろし、遠くへと投げ捨てた。
マミ「覚悟は……していたの」
ほむら「………」
まどか「だってさ、良かったねほむらちゃん」
私も静かにまどかから離れ、銃を片付ける。
マミ……だから私にGSを渡したの?でも私は……
さやか「まどか、どうするの?」
まどか「それじゃマミさんにほむらちゃん、変身を解いてSGを渡してくれる?」
ほむら「わかったわ」
マミ「え…」
まどかの指示に、素直に従う私を見て、マミは意外そうな顔をする。
マミ「なぜ暁美さんまで?」
ほむら「あなたと同じよ。私はまどかが生きて元の生活に戻れるなら、それで満足なの」
私とマミは、それぞれのSGをまどかに手渡す。
まどか「ほむらちゃんには悪いけど、わたしにはもう元の生活なんて無理だよ」
ほむら「まどか?」
まどか「だってわたし、覚えちゃったんだもん……血と火薬の匂いを、鉛弾で砕ける骨の音を、ナイフで切り裂く肉の感触を」
何それ?たった一ヶ月で目覚めてしまったというの?
マミ「ま、まさか私たちを…?」
まどか「ウェへへへ…」
怪しい視線で私たちを見つめるまどか。
…ちょっといいかも、と思った私を殴りたい。
杏子「まどか、あんまりビビらせたら可哀想だろ」
まどか「ティヒッ、冗談だってば。とりあえずマミさん、これ返すね」
マミ「…鹿目さん?」
マミのSGを投げ返すまどか。真意がわからない…
まどか「さやかちゃんが、マミさんは殺すなって言うから、助けてあげる」
マミ「美樹さんが?」
まどか「その代わりマミさんは、これからもぼっちだよ。ずっとずっと、たった一人で魔女と戦い続けるの」
さやか「マミさんごめんねー。それが妥協案になっちゃった」
マミ「ずっとぼっちだなんて……死ぬよりももっとひどい…ひどいっ…!」
これは妥協案なんかじゃない。絶対妥協してない。
ほむら「まどか、あなたはこれからどうするの?」
まどか「わたし?」
ほむら「元の生活にも戻らず、マミとも決別して、一体どこへ行こうというの?」
私の問いかけに、少し考える素振りをするまどか。だが…
まどか「…それをほむらちゃんが知る必要なんて…ないっ!」
まどかは私のSGを、空高く放り投げる。
まどか「さよなら、ほむらちゃん」
ほむら「まどか…」
銃を取り出し、SGに向けて構えるまどか。
私はそれを見て、そっと目を閉じる。
最後に聞こえた銃声。私のレクイエムにはお似合いね…
数日後、某ファミレス
マミ「鹿目さん、どこへ行ってしまったのかしら…」
さやか「マミさん直伝のサバイバル術があるし、そう簡単に死んだりしないって」
杏子「そうだな、長生きするぜアイツは」
集まった三人の魔法少女。別れの前の最後のひととき。
マミ「美樹さんも行ってしまうのね……寂しくなるわ」
さやか「あたしもまどかほどじゃないけどさ、もう学校には戻れないから」
マミ「勉強くらい見てあげるのに」
さやか「それもあるけど、やっぱ恭介と仁美がいちゃついてるの見たら、絶対殺しちゃうからねー」
杏子「さらりと恐ろしいこと言ってんじゃねえ」
軽いノリで話しているものの、さやかの言葉には真実味が込められていた。
さやか「ま、あたしは杏子と一緒に、気ままに生きてみるわ」
マミ「見滝原じゃダメなの?」
杏子「この街はアンタが守ればいい。あたしはもう、アンタの面を拝むのはゴメンだ」
さやか「そんな顔しないでよ。たまには遊びに来るからさ」
杏子「アンタがくたばったら、この街をいただきに来てやるよ。せいぜい頑張りな」
マミ「佐倉さん…」
立ち上がる杏子とさやか。その手には伝票が握られていた。
マミ「あ、お金…」
杏子「ここはあたしが出してやるよ。これで貸し借りナシだ」
さやか「マミさん、杏子はあんなこと言ってるけどさ、ホントは…」
杏子「余計なこと言うんじゃねえ!殺すぞ!」
さやか「はいはい、それじゃごめんねマミさん、元気でね」
マミ「ええ、あなたたちも…」
マミはただ一人、その背中を見つめていた。
ほむら「マミ…」
マミ「暁美さん!?」
二人が立ち去った後、一人で店を出てきたマミに声をかける。
マミ「見てたなら、あなたも来ればよかったのに」
ほむら「その必要はないわ。それに、二人とも私がいたことに気付いてるはずよ」
マミ「もう…」
…あの時、まどかの撃った銃弾はSGをかすめ、私は意識を失った。
目を覚ました時には既にまどかの姿はなく、その行方は誰も知らなかった。
まどか……誰よりも心優しい子。
私の新たな使命は、いつかあの子が戻ってくる日まで、マミと共に見滝原の街を守ること。
それがあの子の優しさへの、私なりの答え。
なんだけど…
マミ「暁美さん、うちへ寄っていってくれる?限定販売のチーズケーキがやっと買えたのよ!」
ほむら「ま、またなの?」
マミ「だって、美味しいものは一緒に食べた方が、もっと美味しいじゃない」
…どうもマミは共に戦うパートナー、というのを勘違いしてるみたい。
ほぼ毎日のケーキ攻勢、登下校の送り迎え、しまいにはランチタイムやお手洗いまで誘いに来る有様だ。
最初は悪い気はしなかったけど、こう四六時中付きまとわれては……正直ウザい。
マミ「ほらほら暁美さん、行きましょ」
ほむら「仕方ないわね…」
ホント、マミって誰かがそばにいるとダメな子だ。
そのうち鍛え直すことにしよう。
まどか…
あなたは今、どこの街で戦っているのかしら?
遠い未来のことかも知れないけど
いつか、あなたに再び会える日が来たら
今度こそ、本当のお友達になりましょう
その時は、あなたのとびっきりの笑顔を見せてね
ウェヒヒッ
まどか「マドカ戦記、じゃなくてマミさんの魔法少女教室、完結だよー」
何かとミスが多くて申し訳ありませんでした。
助言をしてくれた方に感謝いたします。
他にもいくつか書いているので、時間がある時にまた投下しようと思います。
ではでは
このSSまとめへのコメント
うーん、特別悪くはないが最初まどか視点だったのに知らない間にほむら視点に切り替わってたのが気になった