坂本「宮藤の担当はバルクホルンとシャーリー、どちらが良いか……」 (186)

ロマーニャ地方 501基地 ミーティングルーム

ミーナ「それでは定例ミーティングを始めましょう。何か報告はあるかしら?」

バルクホルン「私からは特にない」

シャーリー「はいはい。それじゃあ、あたしから。最近、ルッキーニが基地の地下遺跡を探検したいって言ってるんですけど、させてもいいですか?」

美緒「遺跡に関してはまだ詳しい調査ができていないからな。どのような危険性があるのか分からない以上、安易に許可は出せんな」

シャーリー「やっぱりダメかぁ」

バルクホルン「シャーリー。担当官としてもう少し毅然とした態度をとれないのか?」

シャーリー「あたしはルッキーニの担当じゃないぞ。それを言うなら、バルクホルンだってハルトマンの部屋の整理をきちんとさせなきゃまずいんじゃないのか?」

バルクホルン「言って聞くようならこんなに苦労はしていない」

ミーナ「はいはい。他にはないかしら?」

美緒「今、バルクホルンから担当官という言葉が出たが、私としてはそういう存在があってもいいと考えている。近頃のミーナはどうも疲れ気味でな」

ミーナ「さ、坂本少佐。別にそんなことは……」

シャーリー「担当官って必要ですか? 教官は少佐がいれば十分だと思うし」

美緒「いや、そうではない。生活管理や健康管理のほうでだ。私も気にはしているがな」

バルクホルン「確かに現在はミーナがその手のことは一人で担当しているようなものだからな」

ミーナ「いいのよ。それが隊長としての務めなんだから」

美緒「そうはいうがな、ミーナ。お前、疲れが顔に出ているぞ」

ミーナ「そ、そうかしら?」

シャーリー「やってもいいですけど、具体的にはどんなことを?」

美緒「何、やることは大して変わらんさ。それぞれが担当する者の生活面を気にかけてくれればそれで良い」

美緒「あとは悩み事などを聞いてやってくれるとありがたいか。その場で解決できるようなら、私やミーナに報告する必要もない」

シャーリー「なるほど」

バルクホルン「つまりは、カウンセラーか?」

美緒「身も蓋もない言い方だが、そうなる。まぁ、担当官というのも形だけだ。堅苦しく考えなくても良い」

バルクホルン「そういう存在があるというだけで、多少相談を持ち掛けやすいという利点はあるかもしれないが……」

シャーリー「で、問題の担当はどうするんですか?」

美緒「そこは私が決めるよりもお前たちで選んだほうがいいだろう。相性もあるだろうしな」

バルクホルン「私はハルトマンだな。アイツをシャーリーや少佐に任せるのは気が引ける」

ミーナ「もうずっと担当官みたいなものだものね」

バルクホルン「そういうつもりではないが、腐れ縁だ」

ミーナ「はいはい」

シャーリー「それならあたしもルッキーニを選ぶか」

美緒「ルッキーニもお前でなければ愚図ってしまうか?」

シャーリー「そんなに子供じゃないですって。あたしとしても慣れているからって理由が大きいし、何よりバルクホルンが担当官になっても結局はあたしのとこに来ますから」

バルクホルン「それは同感だな。ルッキーニがわざわざ私に相談等を持ちかけるとは思えない」

シャーリー「だろ?」

美緒「私もペリーヌからよくその手の話は聞くから、ペリーヌの担当を任せて欲しいところだ」

シャーリー「ああ。それはもう、どうぞどうぞ」

ミーナ「残るはエイラさん、サーニャさん、宮藤さんにリーネさんね」

バルクホルン「……」

美緒「宮藤とリーネは私でも……」

バルクホルン「いや、少佐。それでは少佐の負担が多くなる。ここは分けるべきではないか」

美緒「ん? そうか?」

シャーリー「宮藤ご指名か?」

バルクホルン「そういうことではない。少佐も隊長補佐としての仕事があるんだ。ここは私かシャーリーが一人でも多く担当すべきだと言っている」

美緒「そこまで考えてくれていたのか。流石だな、バルクホルン大尉」

バルクホルン「いや。当然だ」

ミーナ「シャーリーさんはどう?」

シャーリー「うーん。あえて選ぶなら……エイラ、サーニャ……宮藤とリーネでも……」

バルクホルン「……」

美緒「バルクホルンは?」

バルクホルン「誰でも構わない」

美緒「そういわれると困ってしまうな」

バルクホルン「本当に、誰でも構わない」

ミーナ「難しいところね。美緒が先に一人を決めたらどうかしら?」

美緒「私か……。そうだな、そうするか」

バルクホルン「……」

美緒「では、私はリーネはエイラを担当しよう」

シャーリー「お? なんでまた」

美緒「エイラから個人的な相談を受けた経験がほとんどない、というのが選んだ理由だ」

シャーリー「まぁ、エイラはサーニャにべったりですからね」

バルクホルン「……」ヨッシャ

ミーナ「トゥルーデ、何か言った?」

バルクホルン「何も。シャーリー、次はお前が決めるといい」

シャーリー「そうだなぁ。それじゃあ、少佐と同じような理由でサーニャとリーネにしようか――」

バルクホルン「よし。では、私は宮藤だな。分かった。解散だ」

シャーリー「おいおい。待てよ。まだ決めてないって」

バルクホルン「いーや。決まった。問題ない」

美緒「シャーリーだけ三人になってしまうが、いいのか?」

シャーリー「ああ、人数は全然気にしませんけど。本当にいいんですか? これで」

>>16
美緒「では、私はリーネはエイラを担当しよう」

美緒「では、私はエイラを担当しよう」

美緒「宮藤は誰とでも相性が良いからな。シャーリーでもバルクホルンでも構わないが」

バルホルン「だ、そうだ」

シャーリー「バルクホルンは宮藤から結構個人的な相談受けてるんじゃないのか?」

ミーナ「あら、そうなの?」

バルクホルン「言うほど多くはない。宮藤は少佐を圧倒的に信頼しているからな」

美緒「そうなのか?」

シャーリー「気づいてなかったんですか」

美緒「はっはっはっは。それは存外に嬉しいものだな」

バルクホルン「なので、これを機に宮藤が私を頼ってくれればと……」

シャーリー「それをいったら、あたしだって条件は同じだけど」

バルクホルン「お前はもうサーニャとリーネを選んだだろう。これで話は終わりだ。では、私はこのことを宮藤に伝えてくる」

美緒「あ、ああ」

シャーリー「おい!! もっとしっかり話し合ったほうが……!!」

ミーナ「美緒。私のことを気遣ってくれるのは嬉しいけど、何もこんなことしなくても」

美緒「頼れるうちに頼っておけ。シャーリーもバルクホルンも細かいところまでよく見てくれるから心配はないだろ? それにどうやら満更でもないようだしな」

食堂

芳佳「それでね、小熊の親が出てきて、ぐわーって立ち上がったの」

サーニャ「それで、芳佳ちゃんはどうしたの?」

芳佳「そこで小熊の治療を止めるわけにはいかないから、必死で続けたの。そしたらなんとか小熊は元気になってくれたんだ」

サーニャ「へぇ……」

芳佳「親の熊もそれで安心してくれたみたいで、小熊を咥えて森に帰っていったんだけど。元気にしてるかなぁ」

サーニャ「きっと、次にあったときは芳佳ちゃんよりも大きくなってるかも」

芳佳「そうだね。それなら背中に乗せてもらおうかなぁ。なんて」

サーニャ「うふふ。芳佳ちゃん、動物とも仲良くなれてうらやましいわ」

芳佳「サーニャちゃんだって仲良くなれるよ」

バルクホルン「――宮藤」

芳佳「あ、はい」

バルクホルン「これからは私がお前の担当官だ。何かあればすぐに私を頼れ。以上だ」

芳佳「え? あ、はい」

バルクホルン「ではな」

サーニャ「……なんだったのかしら」

芳佳「わかんない。担当官ってどういうことかな?」

シャーリー「お。宮藤、サーニャ。今、バルクホルンが来なかったか?」

芳佳「シャーリーさん。はい、来ました。でも、よくわかんないことを言われて……」

サーニャ「担当官がどうとかって……」

シャーリー「あいつ、どういう説明したんだ」

芳佳「一体、なんですか?」

シャーリー「さっきミーティングがあってさ。そこであたしやバルクホルンがみんなの生活管理を監督したらどうかって話になったんだ」

芳佳「そうなんですか?」

シャーリー「話し合いの結果、バルクホルンは宮藤の担当になった。ってことだ。ちなみにサーニャはあたしが担当するから。よろしく」

サーニャ「はい。こちらこそお願いします」

芳佳「でも、私は坂本さんに日ごろから色々と……」

シャーリー「ああ、別に宮藤が少佐に相談したかったらしたらいい。担当官っていうのも形だけって少佐も言ってたからね。もちろん、あたしでも大歓迎だ」

芳佳「そうですか。わかりました」

シャーリー「ま、バルクホルンは宮藤に頼られたいみたいだから、できるだけあいつを頼ってやってくれ。それじゃ」

サーニャ「シャーリーさんが私の担当……」

芳佳「なんだか、急なことでびっくりだよね」

サーニャ「そうね。でも、悪いことじゃないと思うわ」

芳佳「そうなの?」

サーニャ「私の相談相手っていったら、ハルトマンさんぐらいしかいなかったから……」

芳佳「サーニャちゃん、そんなことないよ」

サーニャ「え?」

芳佳「私もサーニャちゃんの相談なら、いつでもきいてあげるから」

サーニャ「芳佳ちゃん」ギュッ

芳佳「まぁ、その、聞くだけになるかもしれないけど」

サーニャ「ううん。嬉しい」

芳佳「えへへ」

エイラ「――サーニャ、部屋にいないとおもったら……あぁー!! 宮藤ぃ!! なにサーニャと二人っきりで、しかも手まで握って……!!!」

芳佳「あ、エイラさん」

エイラ「はなれろぉー!!! ばかぁー!!」

ブリーフィングルーム

ミーナ「もう各担当官から通達はあったと思うけど、これからはそれぞれに担当者がつくことになりました」

美緒「飽くまでも試験的なものであり、また不満があるというのなら申し出てくれ」

エイラ「はいはい!!」

美緒「なんだ、エイラ?」

エイラ「私の担当官はサーニャで」

美緒「……私では不服ということか?」

エイラ「……」

美緒「……」

エイラ「いや、少佐でいいです」

美緒「そうか。よかった。はっはっはっは」

エイラ「(こえぇ……)」

サーニャ「(エイラ、失礼よ)」

エイラ「(だって……)」

ペリーヌ「坂本少佐がわたくしの担当官だなんて……はぁ……もうあんなことや、こんなことを……あぁ!! そんな!! 少佐!! ダメですわぁ……!!」モジモジ

ミーナ「それでは、細かい質問は担当官に直接聞いてね。それでは解散

リーネ「シャーリーさーん」

シャーリー「ん? どうした?」

リーネ「あの、どんなことでシャーリーに相談したらいいんですか?」

シャーリー「なんでいいよ。飛行技術のこととか、もっと胸を大きくしたいとかでもな」

リーネ「こ、これ以上は……ちょっと……」

ルッキーニ「にひぃ!! ねね!! シャーリー!! それじゃあ、早速相談があるんだけどー!!」

シャーリー「はいはい。なんだ?」

ルッキーニ「遺跡の探検、してもいいよねっ! ねっ!?」

シャーリー「あぁ……そうだなぁ……」

サーニャ「探検?」

ルッキーニ「この前、新しい洞窟の入り口をみつけたんだよ!!」

リーネ「そうなんだ」

ルッキーニ「リーネも一緒に探検しない!?」

リーネ「え、えーと……危険がないなら……」

バルクホルン「いいか。軍人たるもの、1に規律、2に規律、3、4、5、6、7――」

エーリカ「宮藤の担当がトゥルーデってもう作為的というか恣意的というか」

芳佳「私はバルクホルンさんでもシャーリーさんでも、良かったですよ」

エーリカ「私でも?」

芳佳「もちろんですよぉ」

エーリカ「よしよし。なら、宮藤の担当官はこのエーリカ・ハルトマン中尉が勤めよう」

バルクホルン「こら。勝手なことをいうな。シャーリー班とは違い、こちらは厳しくいくからな」

芳佳「え? でも、担当官って形だけって聞きましたけど……」

エーリカ「別に誰がどの担当でもいいんだろ?」

バルクホルン「う……まぁ、そうだが……」

芳佳「バルクホルンさん?」

バルクホルン「か、形だけとはいえ、私は二人の担当だ!! まずは私に相談をしろ!!」

芳佳「は、はい!!」

エーリカ「げぇ……私はいつもと変わんないからいいけどぉ」

バルクホルン「何を言っている。宮藤の規範になるように生活態度を改めろ、ハルトマン」

エイラ「サーニャがいいなぁ」

美緒「何か言ったか?」

ミーナ「まぁまぁ。エイラさんも無理に坂本少佐を頼ろうとしなくていいのよ?」

美緒「その言い方は傷つくな、ミーナ中佐」

ペリーヌ「そうですわよ、エイラさん。少佐に選ばれたことを誇りに思わなくてどうしますの?」

エイラ「ペリーヌはいいよなぁ」

美緒「あまりに畑違いなことを持ちかけられても力にはなれないかもしれないが、最善は尽くすつもりだ」

エイラ「畑違いって?」

美緒「それは……」

ミーナ「料理を教えて欲しい、とかね?」

エイラ「なるほどな」

美緒「……」

ペリーヌ「そ、それは他の担当官も同じことですわ!!」

エイラ「バルクホルン大尉は普通に料理上手いじゃないか」

ペリーヌ「うっ……」

夜 通信室

美緒「サーニャ。定時報告を頼む」

サーニャ『こちらサーニャ。異常はありません』

美緒「分かった。引き続き頼む」

サーニャ『了解』

シャーリー「――少佐。交代の時間ですよー」

美緒「おお。もうそんな時間か」

シャーリー「ゆっくり休んでください」

美緒「では、あとのことは頼む。今日は平和な夜になりそうだがな」

シャーリー「それはいいことです。あ、そうそう。少佐」

美緒「どうした?」

シャーリー「ルッキーニがどうしても探検したいって言ってるんですけど」

美緒「その話か……」

シャーリー「担当官の判断で探検しちゃ、ダメですかね?」

美緒「引率するということか? しかしな……。って、シャーリー。まさか、このためにルッキーニの担当官を申し出たのか?」

シャーリー「いや、そういうつもりは……ちょっとだけ」

美緒「やれやれ。調査もろくに済んでいないんだ。無茶なことだけはさせるな」

シャーリー「お? ってことは」

美緒「何かあれば担当官の責任だ」

シャーリー「はい。了解っ」

美緒「……困ったものだな」

シャーリー「いやー。よかったぁ。これでルッキーニも喜ぶぞ」

美緒「まだ初日だが、問題はないか?」

シャーリー「いえ、全く。バルクホルンが妙に張り切ってるぐらいですかね」

美緒「バルクホルンが?」

シャーリー「宮藤の相談役になれたことが嬉しいみたいで、ずっとニヤニヤしてましたよ」

美緒「そうか。……正直な気持ちとしては、バルクホルンに任せるのは不安だがな」

シャーリー「え? なんでですか?」

美緒「宮藤は一度決めたことは上官の命令であっても曲げることはしない。それはハルトマンも同じだ。故にそういう似た者を二人も抱えて大丈夫だろうかという心配もある」

シャーリー「大丈夫ですよ。宮藤だって、バルクホルンのことは尊敬してますし、余程のことでもないと困らせたりはしないんじゃないですか?」

翌日 廊下

ルッキーニ「よっしかぁー!!」

芳佳「どうしたの? 何か嬉しいことでもあったの?」

ルッキーニ「にひぃ。わかるぅ?」

芳佳「いつも以上にニコニコしてるもん。わかるよ」

ルッキーニ「実はね、シャーリーが探検してもいいって言ってくれたんだぁ!!」

芳佳「あ。新しい洞窟の入り口を見つけたって話?」

ルッキーニ「そうそう!! 芳佳も一緒にどう?」

芳佳「うん。行きたい。なんだか楽しそうだし」

ルッキーニ「やったぁ! それじゃあ芳佳も探検隊の一員ね!」

芳佳「ありがとう」

ルッキーニ「よぉーし!! 他の隊員も見つけてこなきゃぁ!!」

芳佳「ふふっ」

芳佳(ルッキーニちゃん、本当に楽しそう。なんだが、ルッキーニちゃんを見てるだけでこっちまで楽しくなるから不思議)

芳佳「あ、お掃除しなきゃ」テテテッ

芳佳「ふんふふーん」ゴシゴシ

シャーリー「宮藤、鼻歌しながら掃除って。そんなに掃除が好きか?」

芳佳「いえ、違いますよ。さっきルッキーニちゃんに探検隊の一員にしてもらったのが嬉しいんです」

シャーリー「なっ……。あいつ、宮藤まで誘ったのか」

芳佳「え? わたしまでって……?」

シャーリー「あたしとリーネ、サーニャも引き入れてるんだ。もしかしたら、全員を誘うつもりか……?」

芳佳「いいじゃないですか。みんな一緒のほうがきっと面白いですよ」

シャーリー「そうはいうけど、あまり大事にはしたくないんだけどなぁ……うるさいやつもいるからさぁ……」

芳佳「あの……」

シャーリー「誰かって? 訊かなくてもわかるだろ? バルクホルンだよ、バルクホルン。絶対、何か言ってくる」

芳佳「シャーリーさん……」

シャーリー「なに?」

バルクホルン「……リベリアン」

シャーリー「おわ!! い、いたのかよ」

バルクホルン「宮藤を危険なことに巻き込んでほしくはないというのも、うるさいことか?」

シャーリー「あぁー、始まった」

バルクホルン「まだ調査が済んでもいない古代遺跡を探検するメリットはどこにある?」

芳佳「あ、あの」

バルクホルン「宮藤は黙っていろ」

芳佳「は、はい」

シャーリー「心配ないって。あたしがいるんだし」

バルクホルン「心配を取り除く要因には成り得ないな」

シャーリー「なんだと?」

芳佳「ちょっと、あの……」

シャーリー「担当官はこういうことにも口を出してもいいんだっけ?」

バルクホルン「担当官として当然の忠告をしているに過ぎないが?」

芳佳「あぁ……」オロオロ

シャーリー「なら、バルクホルンも一緒に探検するか?」

バルクホルン「なに?」

芳佳「あ! それいいですね!! 行きましょうよ、バルクホルンさん!!」

バルクホルン「余計なリスクを負う真似などしない」

シャーリー「なんだよ。宮藤は行きたいよな?」

芳佳「できれば」

バルクホルン「宮藤……」

芳佳「お願いしますっ!!」

バルクホルン「許可できない」

芳佳「えぇ……」

シャーリー「よぉーし。なら、あたしが許可する」

芳佳「わーい」

バルクホルン「まて!!」

シャーリー「なんだよ?」

バルクホルン「宮藤の担当官は私だ!!」

シャーリー「形だけだろ?」

バルクホルン「形だけでも、私が担当官であることには変わりない!!」

芳佳「あ……あ……さ、さかもとさーん!! たすけてくださーい!!」

美緒「――お前たちがしっかりしないと、宮藤だけでなく、他のものも混乱するだろう」

シャーリー「はぁい」

バルクホルン「しかし、少佐!!」

美緒「宮藤が探検への同行を希望しているのなら、頭ごなしに否定するのではなく、きちんと話を聞いてやるべきではないのか?」

バルクホルン「それは……」

シャーリー「ですよねー」

美緒「シャーリー」

シャーリー「は、はいっ」

美緒「お前も、どう安全なのか、どういう事情があって宮藤を探検に誘うのか、バルクホルンが納得できるだけの説明をしたのか?」

シャーリー「いえ……」

美緒「では、バルクホルンが頑なになるのも当然だ。二人とも反省しろ」

シャーリー「わかりましたぁ」

バルクホルン「了解」

芳佳「……で、結局、私は探検に行ってもいいんですか?」

美緒「担当官であるバルクホルンに相談するといい。それは個人的な相談だと、私はそう判断したぞ、宮藤」

バルクホルン・エーリカの部屋

エーリカ「すぅ……すぅ……」

芳佳「お邪魔します……」

バルクホルン「こっちに座ってくれ」

芳佳「はい」

バルクホルン「先ほどは恥ずかしいところを見せたな」

芳佳「いえ、そんな」

バルクホルン「……それで、どうしても行きたいのか?」

芳佳「はい。行きたいです」

バルクホルン「怪我をする危険があるぞ?」

芳佳「だからです」

バルクホルン「なに?」

芳佳「ルッキーニちゃんって、ほら、結構危ないことを平気でやりますから。私がついていればもしものときもすぐに処置ができますし」

バルクホルン「そうか。なるほど。ただ遊びたいからという理由ではなかったのか」

エーリカ「……ん? あれ、宮藤だ。おはよー。なになに? なにかったの?」

バルクホルン「お前は黙っていろ」

エーリカ「なんだよー。いつもは早く起きろーっていうくせにぃ」

バルクホルン「宮藤」

芳佳「はい」

バルクホルン「いいだろう。許可する」

芳佳「あ、ありがとうございます!!」

バルクホルン「ただし」

芳佳「な、なんですか?」

バルクホルン「私も同行する」

芳佳「はいっ! バルクホルンさんも一緒なら心強いです!!」

バルクホルン「違う。シャーリー含め、軍規違反するようなことをしないか、監視するためだ」

エーリカ「……」

バルクホルン「なんだ、ハルトマン。言いたいことがあるようだな」

エーリカ「宮藤が心配なだけだろ?」

バルクホルン「お前は寝てろ」

格納庫

シャーリー「なに!? 同行、するのか?」

バルクホルン「ああ。何か問題でもあるのか?」

シャーリー「あー、いやぁー……宮藤、どう説得したんだ?」

芳佳「私は何も」

バルクホルン「それで。詳細な予定は組んであるのだろうな?」

シャーリー「まぁ、色々と」

バルクホルン「すぐ書類で提出しろ」

シャーリー「無茶いうなよ!!」

バルクホルン「話は以上だ」

シャーリー「あ、おい!!」

芳佳「シャーリーさん、バルクホルンさんはその、みんなが怪我をしないかどうかを気にしているみたいで……だから……」

シャーリー「分かってる。他に言い方を考えて欲しいところだけどな」

ルッキーニ「シャーリー!! いつ出発するー!?」

シャーリー「とりあえずメンバーを全員ここに呼んで来てくれ。それからだな」

シャーリー「えー。では、間もなく出発するんだが……」

サーニャ「エイラ、一緒に行くの?」

エイラ「当たり前だろ。サーニャが行くなら、私もいくんだ」ギュゥゥゥ

シャーリー「エイラ。担当官からの許可は出たのか? あとで怒られるぞ?」

エイラ「少佐はいいって言った」

シャーリー「なら、いいか」

バルクホルン「早く進めろ」

シャーリー「……」

リーネ「だ、大丈夫、かなぁ?」

芳佳「大丈夫!! リーネちゃんは私が守るから!!」

リーネ「うんっ、ありがとう! その心配はしてないよ!!」

シャーリー「みんなにはインカムをつけてもらう。もし逸れた場合はこれで連絡をとりあってもらう」

シャーリー「それと、少佐、中佐、ペリーヌ、ハルトマンが常に非常時に備えて待機してくれる。これだけ万全ならいいだろ?」

バルクホルン「……それを先に言え」

シャーリー「無理だけはしないでくれ。何かあればすぐにあたしかバルクホルンに報告してほしい。どんなに小さいことでもいいからな」

ルッキーニ「それじゃあ!! しゅっぱーつ!!!」

芳佳「おー!!」

シャーリー「あははは」

バルクホルン「……なにがおかしい?」

シャーリー「あの二人が幸せそうだからだけど?」

バルクホルン「そ、そうか」

リーネ「はぁー。なんだかドキドキする」

サーニャ「うん」

エイラ「サーニャ? 疲れてないか? 怪我してないか?」

サーニャ「まだ、ほとんど歩いてないけど」

エイラ「やっぱり部屋で寝ておかないか?」

サーニャ「エイラ……」

シャーリー「今なら引き返せるぞー」

サーニャ「いえ、行きます」

エイラ「よし。なら、私もいく」ギュッ

洞窟内

ルッキーニ「おぉー!! 前に入ったところと全然ちがーう!!」

芳佳「ホントだねー」

リーネ「芳佳ちゃん、足元に気をつけてね。滑りやすいみたい」

芳佳「うん! だいじょ――ぁ」ツルッ

リーネ「芳佳ちゃん!!!」

シャーリー・バルクホルン「「宮藤っ!!」」ガシッ

芳佳「あ……す、すいません、シャーリーさん、バルクホルンさん……」

シャーリー「怪我はなさそうだな。よかったよ」

バルクホルン「行くぞ」グイッ

芳佳「あぁ……あの……手を繋いでもらう必要は……」

バルクホルン「上官に従え」

芳佳「は、はい」

シャーリー「なんだ、あれ。随分と仲のいい姉妹だな」

ルッキーニ「いいなぁー!! シャーリー!! シャーリー!! 私も手、つないでぇ!!」

エイラ「私はもうサーニャと手を繋いでるからな」ギュッ

サーニャ「……エイラ」

エイラ「なんだ――ぁ」ツルッ

サーニャ「あぶない」グイッ

エイラ「おぉ……サーニャ、ここは危ない。要注意だ」

サーニャ「うん」

リーネ「お化けでそう……こわいよぉ……」

シャーリー「リーネもあたしと手、繋ぐか」

リーネ「あ、ありがとうございます」ギュッ

バルクホルン「――シャーリー。分かれ道だ。どうする?」

シャーリー「右か左か真ん中か……」

芳佳「あ! こういうときはエイラさんの出番ですね!」

エイラ「え?」

サーニャ「がんばって、エイラ」

エイラ「よ、よし。……えーと……真ん中だな」

シャーリー「――行き止まりか」

サーニャ「エイラ……」

エイラ「いや、でも、ここまで罠とかなかっただろ!?」

芳佳「エイラさんは一番安全な道を選択したってことですね!?」

エイラ「そ、そうだ。実はそうなんだ」

芳佳「流石です! エイラさん!!」

サーニャ「……」

リーネ「戻りましょうか?」

シャーリー「それしかないな」

ルッキーニ「ここまで結構あるいたのにぃ……」

エイラ「よ、よし!! 戻るぞ!!」

バルクホルン「……」

サーニャ「どうかしたんですか?」

バルクホルン「いや。ここだけ、他の壁とは色が違うような気がしてな……」

サーニャ「あ……本当……。とくにここが――」ポチッ

ゴゴゴゴ……

バルクホルン「サーニャ……何をした……」

サーニャ「え? あの……」オロオロ

シャーリー「お決まりのパターンか。てとこは罠か壁が開くかのどっちかだなぁ」

バルクホルン「こんなときに何を落ち着いている!!」

リーネ「きゃー!! きゃー!!」

芳佳「リーネちゃん!! こっち!!」ギュッ

リーネ「よ、よしかちゃん……」

ルッキーニ「おぉぉ!! なにがおこるかなぁ!! たっのしみぃ!!」

エイラ「――危ない!! 天井が崩れるゾ!!」

シャーリー「罠か!!」

バルクホルン「ちっ……!!」

サーニャ「あ……ごめんなさい……」オロオロ

シャーリー「サーニャ!! こっちにこい!!」グイッ

バルクホルン「全員この場を離れろ!!」

リーネ「いやぁー!!」

芳佳「みんな!! 離れないようにして!!」

ルッキーニ「うにゃぁー!!」

エイラ「サーニャ!! サーニャぁ!!」

サーニャ「ここにいるから」

シャーリー「ダメだ!! 崩れるのが早い!!」

バルクホルン「だから、私は反対だったんだ!! どうするつもりだ!!」

シャーリー「今、そんなこと言ってる場合じゃないだろ!?」

芳佳「大丈夫!! いざってときは私がシールドでみんなを守るから!!」

シャーリー「お。頼りにしてるぞ。宮藤ぃ」

芳佳「まかせてくだ――」

――ズズズズッ!!

芳佳「え?」

サーニャ「あ」

シャーリー「地面が崩れ――!?」

芳佳「うぅ……ぅ……」

サーニャ「芳佳ちゃん……芳佳ちゃん……」

芳佳「あ……え……?」

サーニャ「しっかりして、芳佳ちゃん」

芳佳「うぅん……」モミモミ

サーニャ「あぁっ……芳佳ちゃん、どこさわって……」

芳佳「これは……サーニャちゃんだ……」

サーニャ「大丈夫?」

芳佳「う、うん……。どうなったの?」

サーニャ「落ちちゃったみたい」

芳佳「えぇぇ!? 他のみんなは!?」

サーニャ「今、シャーリーさんが連絡をとってくれているけど」

シャーリー「バルクホルーン。おうとうしろー。バルクホルーン」

バルクホルン『――シャーリー!! どこだ!!』

シャーリー「分かったら苦労しないって。そっちはどうなんだ?」

エイラ「サーニャぁ!! サーニャぁ!!!」

リーネ「よしかちゃーん!!! よしかちゃーん!!! 返事してー!!」

ルッキーニ「うえぇぇぇん!!! シャーリーがしんだぁぁぁ!!!」

シャーリー『勝手に殺すな!!!』

ルッキーニ「あ、シャーリーっ♪」

バルクホルン「怪我はないのか?」

シャーリー『ああ。宮藤もサーニャも問題ない』

バルクホルン「お前は?」

シャーリー『なんともない』

バルクホルン「非常事態発生だな。少佐たちにも来てもらうぞ」

シャーリー『仕方ないか。呼んでくれるか?』

バルクホルン「既に呼んである。しばらくそこで待っていろ』

シャーリー『これ、監督責任だよなぁ』

バルクホルン「当然だ」

シャーリー『はぁ……』

シャーリー「だそうだ」

芳佳「はぁ……。良かったですね」

シャーリー「悪かったな。巻き込んで」

サーニャ「そんな……」

芳佳「シャーリーさんは何も悪くないですよ!!」

シャーリー「そういってくれるだけで、少し楽になるよ」

芳佳「あ。シャーリーさん。向こうになにかありますよ」

シャーリー「え?」

サーニャ「何か、光がもれてる……」

シャーリー「本当だな」

芳佳「行ってみますか?」

シャーリー「いや、待つように言われてるからな。ちょっとだけ我慢だ」

芳佳「そうですね」

サーニャ「……」

シャーリー「助けがくるまで暇だなぁ」

サーニャ「私が余計なことをしたから……」

芳佳「そんなことないよ!!」

サーニャ「でも……」

シャーリー「サーニャ、気にするな。あれはバルクホルンが煽ったみたいなものだし」

サーニャ「そうですか……?」

シャーリー「ルッキーニがバルクホルンの傍にいたら、ルッキーニが押してたって」

芳佳「私も押しちゃってたかも」

サーニャ「……ありがとうございます」

シャーリー「しかし、怪我がなくて本当に良かったな。どちらか一人にかすり傷でもあったら、あたしは殺されてた」

芳佳「そんな!! いくら坂本さんやミーナ中佐でもそこまではしませんよ!!」

シャーリー「いや、違う違う。バルクホルンとエイラにさ。バルクホルンは宮藤の担当官だし、エイラはサーニャ愛に満ちてるからな」

サーニャ「……否定、できません」

芳佳「えぇぇ!?」

バルクホルン『――シャーリー。応答しろ』

シャーリー「どうした? もう来たのか?」

バルクホン『崩落の影響で洞窟の入り口がふさがってしまっている。これではミーナたちもすぐには救助に来ることができない』

シャーリー「なに?」

バルクホルン『力ずくで破壊してもいいが、それをすれば洞窟全体がどうなるか分からないからな』

シャーリー「当たり前だ。で、どうする?」

バルクホルン『とりあえず、他に出口がないか探ってみようと思う』

シャーリー「分かった。それじゃあ、あたしたちも探すことにするよ」

バルクホルン『やめろ。お前たちは救助される側だぞ。無闇に動くな』

シャーリー「そんなのバルクホルンだって同じだろ」

バルクホルン『そうだが……』

シャーリー「心配するな。こっちにはサーニャと宮藤がいるからな」

バルクホルン『無茶だけはするな。いいな?』

シャーリー「了解」

芳佳「シャ、シャーリーさん」ギュッ

サーニャ「私たち、どうなるんですか?」ギュッ

シャーリー「ここで待っていても救助はこないから、ちょっと探検してみるか。行くぞ、二人とも」

海岸

美緒「困ったな」

ミーナ「そうね」

ペリーヌ「宮藤さん!! リーネさん!! ルッキーニさん!! エイラさん!! サーニャさん!!」ドンドン!!!

エーリカ「ペリーヌ、岩を叩いてもどうにもならないし、声は届かないって。インカム使わないと」

ペリーヌ「ですが……!!」

エーリカ「ここは私の魔法で……」ゴォォォ

美緒「ハルトマン。冗談でもやめろ」

エーリカ「はぁーい」

ミーナ「どこかに別の入り口はないかしら……」

美緒「そうだな……」

ペリーヌ「そ、そうですわ!! 少佐!! 先日、わたくしが宝探しで入った洞窟がありますわ!!」

エーリカ「あぁ、あそこか。こっちと繋がってるのか?」

ペリーヌ「行ってみないとわかりません!! 少佐、どうでしょうか!?」

美緒「そちらの可能性に賭けてみるか。よし、急ぐぞ」

洞窟内

サーニャ「……」ギュゥゥ

シャーリー「光のあるほうに行ってみれば、案外外に繋がってたりしてな」

芳佳「だといいんですけど……」ギュゥゥ

シャーリー「宮藤もサーニャも、そんなに怖がらなくてもいいだろう?」

サーニャ「おばけが……いるかもしれません……」

芳佳「ネウロイ以外の……怪獣が……」

シャーリー「いるわけないだろ」

サーニャ「うぅ」ギュゥゥ

シャーリー「よしよし。好きなだけしがみ付いていいよ」ナデナデ

芳佳「シャーリーさん。光が強くなってきましたよ」

シャーリー「あたしが様子を見てくる。二人は待っていてくれ」

芳佳「き、気をつけてください」

サーニャ「早く戻ってきてください」

シャーリー「きっと、この角を曲がった先に出口が――」

祭壇の間

シャーリー「――宮藤ー、サーニャ。安全だから、こっちこいよー」

芳佳「シャーリーさん!! 出口ですか!?」テテテッ

サーニャ「……」テテテッ

シャーリー「いや。なにかの魔法で明るくなっているだけで、出口はなさそうだな」

サーニャ「そうですか……」

芳佳「ここ、なんですか?」

シャーリー「何かの祭壇だろうな。儀式とかで使ってたんじゃないか?」

サーニャ「儀式?」

シャーリー「恐ろしい化け物に生贄とかささげていたとかさ。よくあるだろ」

サーニャ「……」ギュッ

芳佳「シャーリーさん、でましょう!! なんだが、怖いです!!」

シャーリー「はいはい。でも、調べてみるか。隠し扉があるかもしれないし」

サーニャ「わ、わかりました」ギュゥゥ

シャーリー「できれば手分けして探したいんだけど……。いや、一緒に探すか」

シャーリー「うーん……。周囲の壁に怪しいところはないか」ペタペタ

サーニャ「……」オロオロ

シャーリー「どうした?」

サーニャ「また崩れるようなことがあったら、嫌ですから。あまり、触りたくないんです」

シャーリー「あははは。それじゃあ、そこで見ててくれ。何かトラップが襲い掛かってきたらあたしを助けてくれ」

サーニャ「わかりました」

シャーリー「うーん……」ペタペタ

サーニャ「あれ、芳佳ちゃんは……?」キョロキョロ

芳佳「シャーリーさーん!! サーニャちゃーん!!」

シャーリー「どうした、宮藤?」

芳佳「この祭壇のところー!! なにか書いてまーす!!!」

サーニャ「芳佳ちゃん、そこにはあまり近づかないほうが……」

シャーリー「宮藤!! ちょっと待て!!」

芳佳「えーと……なんて読むのかな……? うーん……掠れててよくわからない……」ピッ

シャーリー「宮藤!!」

洞窟内

エイラ「おわぁ!!」

リーネ「きゃっ!! ど、どうしたんですか!?」

エイラ「……死神のカードが出た」

バルクホルン「エイラ。こんなときにやめろ。士気に関わる」

エイラ「でも、サーニャが心配で」

ルッキーニ「あたしもぉ……シャーリー……」

リーネ「わ、私だって……芳佳ちゃんのことが……ぐすっ……」

エイラ「サーニャぁぁ……どこだぁぁ……」

ルッキーニ「シャーリぃぃ……」

リーネ「よしかちゃーん!!」

バルクホルン「お前たち。いつでもシャーリーたちとは連絡が取れるんだ。心配は――」

「――宮藤ぃ!!! みやふじぃ!!」

バルクホルン「この声は……!!」

ルッキーニ「シャーリーだぁ!!! シャーリー!!!」テテテテッ

バルクホルン「だが、どこからだ……?」

リーネ「バルクホルン大尉!! 向こうに光が見えますよ!!」

バルクホルン「あっちか」

エイラ「いそぐぞ!! いそぐんだぁ!! こっちにサーニャがいるんだ!!」

ルッキーニ「シャーリー!! どこー!?」

シャーリー「――あぁ!! お前ら!! どうやってここまで!?」

バルクホルン「進める道をただひたすら歩いてきただけだ」

シャーリー「そ、そうか……。道は、他にもあったのか……」

バルクホルン「どうした?」

エイラ「サーニャは!? なぁ、サーニャは!?」

サーニャ「……エイラ」

エイラ「サーニャ!! 三千光年ぶりだなぁ!!!」ギュッ

サーニャ「……」

エイラ「サーニャ……? 私と再会できたのに嬉しくないのか?」

リーネ「あ、あれ? あ、あの、芳佳ちゃんは……?」

(やった!ストパンSSだ)

祭壇の間

リーネ「芳佳ちゃん!! 芳佳ちゃん!!」ユサユサ

芳佳「……」

ルッキーニ「芳佳ぁ? どうしたの? こんなところで寝てたら風邪ひくぞー」

エイラ「宮藤、おい。起きろ。外へ出るぞ。ほら」ユサユサ

芳佳「……」

サーニャ「芳佳ちゃん……目を覚まさないの……」

リーネ「え……?」

バルクホルン「シャーリー? 宮藤はどうなっている?」

シャーリー「わからないんだ。淡い光に包まれたと思ったら、そのまま意識を失って……」

バルクホルン「お前がついていながら、どういうことだ!!!」グイッ

シャーリー「ぐっ……わ、わるい……あたしの責任だ……」

バルクホルン「シャーリー……!!!」

エイラ「おい!! ケンカすんなぁー!!」

ルッキーニ「よしかぁー……おきてー……」

リーネ「どうしよう……どうしたら……」

ルッキーニ「前みたいな、昔のウィッチの呪いかなぁ?」

エイラ「宮藤!! 目を覚ませ!! こらぁ!!」

サーニャ「よ、芳佳ちゃん……」

バルクホルン「……原因は魔法なのか?」

シャーリー「だから、分からないって」

バルクホルン「ならば探せ!! 私たちが来るまで何をしていたんだ!!」

シャーリー「すまん……」

バルクホルン「もういい。とにかく宮藤を運びだすぞ」

リーネ「ま、まってください!!」

バルクホルン「なんだ?」

リーネ「も、もし、何かの魔法なら、どうなるかわかりません!! 動かした途端に芳佳ちゃんがし、死んじゃうかも……」

バルクホルン「くっ……」

エイラ「一応、脈はあるな。完全に眠ってるだけだ」

ルッキーニ「それじゃあ、ほっぺた抓ればなんとかなるかもぉ」グニッー

リーネ「ルッキーニちゃん……」

ルッキーニ「ほりゃほりゃー」グニッグニッ

芳佳「……」

エイラ「ダメダナ。眉ひとつ動かない」

サーニャ「そんな……」

バルクホルン「シャーリー!! どうするつもりだ!!」

シャーリー「……」

バルクホルン「お前が探検の許可を出さなければ……こんなことには……!!!」

シャーリー「……」

ルッキーニ「や、やめて!!」

シャーリー「ルッキーニ……」

ルッキーニ「シャーリーはあたしの我侭を聞いてくれただけなんだから!! 怒られるのはあたしのほう!!」

バルクホルン「ルッキーニ少尉の担当官はシャーリーだ。責任はシャーリーにもある」

シャーリー「言われなくても分かってるさ、それぐらい。責任をとって宮藤が目を覚ますならどんな処分でも受けてやる。でも、それじゃあ解決しないだろ?」

バルクホルン「……そうだな。とにかく、宮藤が昏睡してしまった原因を探すしかあるまい」

芳佳「……」

リーネ「芳佳ちゃん……芳佳ちゃん……やだよ……こんなお別れなんて……わたし……」

エイラ「リーネ。やめろよ」

ルッキーニ「エイラが死神のカード出すから……」

エイラ「ルッキーニもやめろよぉ!!」

バルクホルン「宮藤はこの祭壇を調べていたんだな?」

シャーリー「ああ。そうだ」

サーニャ「シャーリーさん。そういえば芳佳ちゃんが何かを見つけたって言ってませんでしたか?」

シャーリー「あぁ!! そうだ!! 宮藤は何か読もうとしてたんだ。その直後に……」

バルクホルン「眠ってしまったのか。ならば、そこに何か手がかりがありそうだな」

シャーリー「探そう!! みんなも探してくれ!!」

ルッキーニ「うんっ!!」

リーネ「うぅぅ……よしかちゃん……」

エイラ「リーネ。お前も探せって」

バルクホルン「宮藤……必ず救ってやるからな……」

ルッキーニ「――おりょ? シャーリー!! ここになにか書いてるよー!!」

シャーリー「ホントか!?」

バルクホルン「でかしたぞ!! ルッキーニ少尉!! 流石、ロマーニャの軍人だ!!!」

エイラ「で、なんて書いてんだ?」

シャーリー「これ、何語だ……?」

サーニャ「ラテン語……みたいです」

バルクホルン「読めるか?」

サーニャ「なんとか。でも、掠れていてところどころ読めません」

バルクホルン「構わない。分かるところだけでいい」

サーニャ「はい」

サーニャ「――この祭壇に……魔女は永久の……につくことに……。魔女の茨を解くには魔女の……を捧げよ」

サーニャ「……そう書いています」

シャーリー「どう思う?」

バルクホルン「文章を埋めるなら『この祭壇に触れた魔女は永久の眠りにつくことになる。魔女の茨を解くには魔女の力を捧げよ』といったところか?」

エイラ「力ってなんだ? 魔法力のことか?」

なんかこういう時のトゥルーデってウザいよな
正論述べで批判する前に対策を考えようとはしないのかってなる
お仕置きしたくなる 輪姦そう

サーニャ「必ずにもそれが正解とは限らないけど……」

バルクホルン「やってみるか」

リーネ「どうすればいいですか?」

バルクホルン「リーネ……」

リーネ「私に……やらせてください」

ルッキーニ「でもでも、どうやって魔法力を芳佳にあげるの?」

シャーリー「問題はそこだよな……」

リーネ「芳佳ちゃん!! 待ってて!!! 今すぐになんとかするからね!!」パァァ

バルクホルン「リーネ。傍でお前が魔法を使っても意味はないだろう」

リーネ「だったら、どうしたら……」

シャーリー「魔法力は渡せない。となると、違うものを捧げないといけないのかもな」

エイラ「違うものって?」

シャーリー「考えられるのは……生贄とかかな」

サーニャ「……!」

シャーリー「捧げるのは魔女の命かもしれない」

エイラ「おいおい。まぁ、祭壇だしなぁ……」

バルクホルン「シャーリー……」

シャーリー「……可能性としては一番近いだろ?」

リーネ「ここで死ねば芳佳ちゃんが助かる……!! ――んぐっ!!」

エイラ「こらぁ!! リーネ!! 息とめたって死ねないってぇ!!」

サーニャ「やめて」オロオロ

リーネ「うぐぐぐぐ……!!」

ルッキーニ「リーネ!! しんじゃやだぁー!! ――コチョコチョコチョ」

リーネ「んぐぅ!? あはははは!! や、やめてぇ!! ルッキーニちゃん!!」

バルクホルン「馬鹿な真似はよせ。リーネ」

リーネ「で、でも……」

バルクホルン「確証が欲しいな。他にも文字が刻まれていないか、探してみよう」

シャーリー「ああ」

バルクホルン(だが、もしそうなら……私が……)

シャーリー(宮藤はあたしが救う……)

洞窟内

エーリカ「結構、奥まで来たなぁ」

美緒「時々、エイラやリーネの叫び声は聞こえるな。かなり近づいているのだろう」

ミーナ「このまま道が繋がっていればいいのだけれど」

ペリーヌ「宮藤さーん!! リーネさーん!! 聞こえましたら返事をー!!!」

エーリカ「ペリーヌサーン」

ペリーヌ「宮藤さん!? 宮藤さんですわね!? 声がしましたわ!!!」

美緒「ハルトマン。悪趣味なことはやめろ」

エーリカ「いや、ペリーヌがあまりにも可哀相だから勇気付けてあげようとおもって……」

ペリーヌ「ハ、ハルトマン中尉!! 余計なお世話です!!!」

ミーナ「そろそろ連絡をしてみましょうか」

美緒「そうだな」

ミーナ「バルクホルン大尉、シャーリー大尉。応答してください。サーニャさん、宮藤さん。ルッキーニさん、エイラさん」

美緒「ダメか?」

ミーナ「ええ。繋がらないわ。どうしたのかしら」

ペリーヌ「ま、まさか……みなさんの身になにか……!!」

エーリカ「トゥルーデとシャーリーがいて、何か起こるほうが奇跡だと思うけど」

ペリーヌ「そ、そんなのわかりませんでしょう!?」

美緒「魔女の遺物だからな。何らかの障害があるのかもしれん」

ミーナ「尚のこと早く合流して外に出ないといけないわね」

美緒「ああ。いつまでも洞窟探検に興じているわけにはいかないからな」

エーリカ「そうだなー」

ペリーヌ「ルッキーニさん!! エイラさん!! サーニャさん!!」

エーリカ「コッチダヨー」

ペリーヌ「ルッキーニさん!? どっちですの!?」

ミーナ「ハルトマン中尉?」

エーリカ「あ、ごめん」

美緒「……よし。こっちに行くぞ」

ミーナ「ええ」

ペリーヌ「みなさん!! どこですのー!?」

祭壇の間

エイラ「――おい!! こっちだ!! こっち!!」

シャーリー「何かあったのか!?」

エイラ「何か書いてるだろ、ここ」

ルッキーニ「サーニャ!! はやくぅー!!」

サーニャ「――ええと。千年の眠り……魔女……祭壇で……血……命を……かえて……」

シャーリー「……そう書いてるのか?」

サーニャ「はい」

エイラ「やっぱり……命ナンダナ……」

バルクホルン「祭壇の上で魔女が血を流せばいいということか」

サーニャ「そ、そこまでは……」

バルクホルン「他に手立てもなさそうだ。やるしかないな」チャカ

シャーリー「おい。何する気だ?」

バルクホルン「見て分からないか? 拳銃で自分の胸を打ち抜くつもりだ」

リーネ「や、やめてください!!」

シャーリー「バルクホルン」

バルクホルン「止めるな」

シャーリー「他に方法はあるって」

バルクホルン「これだけ探しても意味深な文言しか見つからない。結果は分かりきっている」

シャーリー「だからってお前が死ぬことないだろ」

バルクホルン「いいんだ」

シャーリー「なんで……」

バルクホルン「一度、宮藤に救われた命だ。私の身一つで宮藤が助かるのなら、安いものだろう」

シャーリー「お前!! 責任はあたしにあるっていったじゃないか!!」

バルクホルン「私が死んだことまではお前の責任ではない。心配するな。ここにいる全員が証言してくれる」

エイラ「大尉!! やめろ!!」

サーニャ「さ、さがしましょう……きっと……まだ見つけていないものがあるはずです……」

ルッキーニ「やめて!! おねがいぃ!!」

シャーリー「許可はしないぞ、そんなこと」

バルクホルン「私の担当官はお前ではないし、階級もお前と同じだ。お前に私を止めることはできない」

芳佳「……」

リーネ「やめてください!! 芳佳ちゃんだってそんなこと望んでません!!!」

バルクホルン「宮藤がこのまま眠り続けてもいいのか?」

シャーリー「いいわけないだろ!!」

バルクホルン「なら!!」

シャーリー「全員で助かる道を探せよ!!」

バルクホルン「ない場合は?」

シャーリー「探すんだ。あきらめるな。宮藤も同じこというぞ?」

バルクホルン「シャーリー……」

シャーリー「それに諦めるときはあたしが死ぬ」

ルッキーニ「えぇぇ!? なんでぇぇ!?」

シャーリー「宮藤がこうなったのはあたしの責任だからな」

バルクホルン「宮藤の担当官は私だ。私に救命の義務がある」

シャーリー「形だけの担当官にそんな義務があるとは思えないな」

バルクホルン「お前はこんなときにまで屁理屈を捏ねるのか!!」

エーリカ「……ん?」ピクッ

ペリーヌ「はぁ……はぁ……みなさん……いったいどこに……」

エーリカ「こっちだ!!」ダダダッ

美緒「ハルトマン!! 一人で行くな!!」

ミーナ「まって!! フラウ!!」

ペリーヌ「ハルトマン中尉!! お待ちになってください!!」

エーリカ「――トゥルーデ!!」

バルクホルン「私が死ぬ!! 手を離せ!!!」

シャーリー「あたしが死ぬって言ってるだろ!!! その強情さは死ぬまで直らないのか!?」

バルクホルン「お前に言われたくはない!!」

エイラ「あばれんなぁー!! 暴発したらどうすんだぁー!!」

サーニャ「やめて……やめて……」

ルッキーニ「うぇぇぇん!!! シャーリー、しんじゃやだぁぁぁ!!!」

リーネ「冷静になりましょう!! とにかく冷静に!!!」

エーリカ「な、なんだ、これ……?」

やっぱりシャーゲルは最高だなシャーゲルは真理

ストパンSSがあるのは嬉しいんだけど誤字脱字が気になる まぁ自分で補完してるけど

美緒「どうした!?」

リーネ「少佐!!」

ミーナ「何をしているの!! あなたたち!!!」

バルクホルン「ミーナ……」

シャーリー「少佐……中佐……」

美緒「何があったんだ?」

ペリーヌ「はぁ……はぁ……み、みなさん……ご無事でしたのね……。全く、ハルトマン中尉がどれだけ心配していたのか、わかりまして!?」

エーリカ「えぇー? そりゃ、心配はしてたけどさ」

エイラ「少佐!! 大変だ!! 宮藤が……宮藤が……!!」

美緒「宮藤?」

サーニャ「眠ったまま、目を覚まさなくて……」

美緒「なんだと!?」

ミーナ「美緒!」

美緒「分かっている!! 宮藤!! 大丈夫か!!」

芳佳「……」

美緒「――そうか。古代の魔女が残した罠で」

バルクホルン「ああ」

ミーナ「宮藤さんを救う方法は、魔女の命を捧げる。確かなの?」

シャーリー「今のところ、手がかりはそれしか……」

美緒「命か……物騒な話だ……」

エーリカ「みーやーふーじー」グニッー

芳佳「……」

エーリカ「ダメだね」

バルクホルン「少佐。担当官である私が宮藤を救う。いいな?」

シャーリー「待て!! 責任はあたしにある!! あたしが宮藤を救う。でも、その前に別の方法がないか探してくれ!!」

美緒「……」

ミーナ「トゥルーデ」

バルクホルン「許せ、ミーナ」

ミーナ「許せるわけないでしょう? 何を言っているの」

エーリカ「キスしたら目覚めるんじゃないの?」

リーネ「え!?」

美緒「ハルトマン。何をこんなときに」

エーリカ「いや。魔女が魔女を生贄にするなんて、ちょっと変じゃないか?」

サーニャ「どういうことですか?」

エーリカ「周りを見ればわかるじゃん。魔女を目覚めさせるために魔女が死ななきゃならないなら、ここには亡骸がひとつもない。キレイなまま」

エイラ「それは助けてもらったやつが持って帰ったんじゃないか?」

エーリカ「血のあとがどこにもないよ」

ルッキーニ「乾いたんじゃないの?」

エーリカ「乾いたからって、あとまで消えることってあるかな……」

リーネ「考えてみたら。どうしてそんな罠をここに仕掛ける必要があるんでしょう?」

ルッキーニ「どういうこと?」

ペリーヌ「そうですわね。この祭壇に宝でも眠っているのなら、罠を仕掛ける意味もあるでしょうが。単純に魔女を眠らせてしまうだけのものだとしたら……」

エーリカ「魔女が魔女を殺すために作った、と考えるのが自然だけど。こんな回りくどいことしなくてもいいと思わない?」

シャーリー「あぁ、そうだな。祭壇に触れたやつを何かで殺せばいいわけだし」

エーリカ「でしょう? とりあえず、祭壇に宝がないか調べてみようか」

美緒「――どうだ、ミーナ?」

ミーナ「宝と呼べるものどころか、それを納められそうな空間すらないわね」

美緒「ということは……」

エーリカ「この祭壇は魔女を眠らすだけのもの」

シャーリー「でも、血がどうのこうって……」

バルクホルン「命をかえてとも書いてあった」

エーリカ「だからさぁ、とりあえずキスしてみたらいいんだって。童話でもよくあるだろ? 魔女が呪いをかけて王子様がお姫様を救うやつ」

シャーリー「ありえるかぁ……?」

美緒「減るものでもあるまい。試すだけの価値はある」

ミーナ「美緒!!」

リーネ「芳佳ちゃん!!!」ダダダッ

エイラ「リーネ!! 待て!!」

サーニャ「ダメ!! 私が……」

エイラ「!?」

ルッキーニ「あたしがしゅるー!!」

バルクホルン「静まれぇぇ!!!!」

リーネ「きゃ……!?」

エーリカ「わっ!?」

バルクホルン「ハルトマンの推測だ。当てになど到底できない」スタスタ

エイラ「大尉……でも……」

バルクホルン「いいか? 宮藤の命がかかっているのだぞ? 遊びではないのだ」スタスタ

サーニャ「は、はい」

バルクホルン「これは人命救助だ」

ルッキーニ「どうするの?」

バルクホルン「……宮藤……すまない……私が――」

芳佳「……」

リーネ「ま、まってください!!!」

バルクホルン「止めるな!! リーネ!! 私が宮藤の担当官だ!!!」

シャーリー「なんの関係があるんだよ?」

バルクホルン「助けるためにキスするのも担当官の義務だ!!!」

トゥルーデェ…
(下心丸見えで顔が蕩けてそうだったらお仕置きだな)

美緒「誰もしないのか。なら、私がしよう」

バルクホルン「少佐!?」

リーネ「あ、まって――」

美緒「んっ……」

芳佳「……」

ミーナ「……ぁ」

ルッキーニ「おぉぉ……!!」

サーニャ「……」

エイラ「ど、どうだぁ?」

美緒「……ふぅ」

シャーリー「宮藤は!?」

芳佳「……」

エーリカ「……ダメ、なの?」

美緒「宮藤、起きろ。宮藤」

芳佳「……ぅ……うぅん……」

ミーナ「宮藤さん!?」

美緒「おぉ。意識が戻ったぞ」

芳佳「ぁ……ん……」モミモミ

美緒「どこを触っている」

芳佳「あ、これは坂本さんだぁ……」

美緒「もう心配はいらないようだな」

芳佳「あ、れ? 私……?」

リーネ「芳佳ちゃぁん!!!」ギュッ

芳佳「リーネちゃん!? ど、どうしたの!?」

リーネ「芳佳ちゃん!! 芳佳ちゃん!! よくないけど、よかった!! よかったよぉ!!」

芳佳「え? え?」

エイラ「はぁ……心配かけさせるなよぉ……」

サーニャ「よかった……」

ルッキーニ「やったぁ!! 芳佳がおきたぁー!!!」

エーリカ「ホントにキスで目が覚めるなんて」

あれ?ペリーヌ息してる?

バルクホルン「宮藤!!!」

芳佳「は、はい!! おはようございます!!!」

バルクホルン「……無事なら、それでいいんだ」

芳佳「は、はぁ……」

シャーリー「宮藤、よかったなぁ!! ホントにもう焦ったんだからな!!」

芳佳「な、なにがあったんですか?」

ペリーヌ「全く。それよりも早く外に出ましょう」

ミーナ「そうね。ウィッチが基地を留守にしている状態はまずいわ」

美緒「ああ。宮藤、立てるか?」

芳佳「はい。なんとか」

美緒「シャーリー、宮藤を抱いて一足先に外へ向かえ。外傷はないようだが、念のため診てもらったほうがいいだろう」

シャーリー「外までの道のりは?」

エーリカ「私が案内するよ!」

シャーリー「了解。行くぞ、しっかりつかまれ」

芳佳「は、はい。お願いします」ギュッ

美緒「我々も急ぐぞ」

ミーナ「ええ」

ペリーヌ「行きますわよ、みなさん!!」

ルッキーニ「ねえねえ、ペリーヌ。怒らないのぉ?」

ペリーヌ「なにがですの?」

エイラ「いや、少佐と宮藤が……」

ペリーヌ「はい? 坂本少佐が宮藤さんを救ったのでしょう? すばらしいことですわ」

エイラ「……どう思う?」

サーニャ「見なかったことにしたのか、それとも気がついてないだけとか……」

ルッキーニ「にひぃ! ペリーヌも余裕がなかったんだぁ!!」

ペリーヌ「なんのことですの?」

バルクホルン「おい!! 何をしている!! さっさとついてこい!!」

リーネ「は、はい!!」

ペリーヌ「ほら見なさい!! 怒られてしまったでしょう!?」

エイラ「はいはい。早く出よう」

坂本「よーし宮藤も元に戻ったし基地に帰るぞ わっはっはっは」

エーリカ「まさかキスとはね~」

ミーナ(美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒美緒)
リーネ(芳佳ちゃんの唇…駄目ぇ)

トゥルーデ(少佐に先を越された…)

ルッキーニ「よかったよーよしかぁ~」

シャーリー「宮藤ぃ危ない目に合わせて悪かったなぁ…」

芳佳「う~ん…寝てたからよくわかりません お腹空きませんか?戻ったらご飯つくりますね」

サーニャ(………)

エイラ「なにはともあれ良かったんダナ でもカードが死神って…まぁイイカ」




ペリーヌ(少佐ぁ少佐ぁ少佐ぁ…zzz)

そこには冷たくなって祭壇で眠るペリーヌの姿が…

海岸

美緒「ネウロイは?」

ミーナ「大丈夫みたい」

美緒「そうか。では、私は宮藤の様子を見てくる」

ミーナ「お願いね」

バルクホルン「……」

ミーナ「トゥルーデ?」

バルクホルン「……なんだ?」

ミーナ「あとで話があるから」

バルクホルン「了解」

リーネ「はぁ……」

エイラ「だから、少佐と宮藤がキスしたんだって」

ペリーヌ「はい? 意味が分かりませんわ」

エイラ「いや、わかるだろ」

ペリーヌ「人語で話してくださいな、エイラさん」

ペリーヌェ…

(ペリーヌがおかしくなったのはネウロイの影響という伏線か?)

ただの現実逃避か

食堂

エイラ「あぁー、つかれたなぁ、サーニャ?」

サーニャ「うん……」

ルッキーニ「でもでも、楽しかったよねぇ」

ペリーヌ「ルッキーニさん。宮藤さんが無事だったから良かったものの、そういう発言は不謹慎ですわよ」

芳佳「いいですよ、ペリーヌさん。私もなんともなかったんですし」

リーネ「でも、結局、あの祭壇はなんだったのかなぁ」

エイラ「血とか命のか書いてたのになぁ」

エーリカ「その文字の意味は想像するしかないね。誰かが悪戯で彫ったとか、昔はキスが魔女にとって血とか命と同等の価値があったとかさ」

リーネ「そ、そんなことって……」

エーリカ「まぁ、あの祭壇が造られた目的はなんとなくわかったけど」

エイラ「なんだ?」

エーリカ「ウィッチがウィッチとキスする口実のためでしょ?」

芳佳「えぇぇぇ!? それだけのためにぃ!?」

エーリカ「そうとしか考えられないね。あんなに大掛かりな仕掛けを作る意味が他にある?」

糞真面目だった時代のエーリカSSみたいなっと

ミーティングルーム

美緒「――洞窟内でなにがあったのかは、わかった」

シャーリー「申し訳ありません。あたしの監督責任です」

美緒「それもある。が、状況を考えずに先走ったバルクホルンの責任は重いな」

バルクホルン「承知している。引率しなければならない立場である私があのように取り乱したのだ。それなりの処分は覚悟している」

ミーナ「トゥルーデ。もう生き急がないって約束したでしょ?」

バルクホルン「すまない」

美緒「担当官という役割がそこまで重責に感じられたのか?」

バルクホルン「いや……」

シャーリー「宮藤の命がかかってたからなぁ」

バルクホルン「余計なことをいうな!!」

美緒「そうか。宮藤が原因か」

バルクホルン「違う!! 宮藤は何も関係はない!! 宮藤であったからという行動ではない!! もしあそこにいるのが、リーネやエイラでも私は……!!」

ミーナ「担当官、変更したほうがいいかしら?」

美緒「そうだな。宮藤の担当はバルクホルンとシャーリー、どちらが良いのか……」

食堂

芳佳「私が決めるんですか!?」

美緒「お前も洞窟内で何があったのかは、聞いただろう?」

芳佳「はい……。坂本さんが、あの……」

美緒「ただの人口呼吸だ。気にするな」

芳佳「あ、そうですね……すいません」

美緒「あの一件を踏まえたうえで、担当官をお前に選んで欲しい」

芳佳「む、無理ですよぉ」

美緒「はっはっはっはっは。そういうと思った」

芳佳「坂本さん!」

美緒「いや、私も迷っている。仲間のために命を投げ出せるバルクホルン、冷静に皆のことを考えながら行動できるシャーリー」

芳佳「……どちらもすごい人ですよね」

美緒「だから、迷っている。どちらでもいいからな」

芳佳「はい。あ、だったら」

美緒「なんだ、決まったのか? 言ってみろ」

翌日 ミーティングルーム

シャーリー「担当官のシフト割……?」

バルクホルン「少佐……これは……?」

美緒「宮藤の提案だ。できるだけ、いろんな人に相談がしたいと言っていた」

ミーナ「各人の担当を週で変えるのね」

美緒「考えてみれば、特定の相手とだけ親密になるのも問題があるからな」

シャーリー「あー……でも、まぁ、形だけですもんね」

美緒「いや、それも見直すことにした」

シャーリー「え?」

美緒「担当官はきっちりと面倒を見ろ。問題があればそれなりの処分もあるからな」

バルクホルン「な、なに!?」

美緒「一気に厳しいものになるが、まぁ、試験的なものだ。上手くいかないようならばすぐに廃止する」

シャーリー「あー……」

美緒「なんだ、面倒という文字が顔に浮かんでいるようだが?」

シャーリー「いえ! しっかりやらせていただきます!!」

食堂

ルッキーニ「うえぇー!? 今週、少佐が担当官だぁー!!」

ペリーヌ「いいではありませんか。わたくしはシャーリー大尉でしてよ」

ルッキーニ「シャーリーがいぃ!!」

ペリーヌ「坂本少佐が良いに決まってますわ!!」

エーリカ「私、トゥルーデなんだけど……シフトミスしてない?」

エイラ「私はシャーリーか。サーニャは?」

サーニャ「バルクホルンさん」

エイラ「まぁ、サーニャは怒られる心配はないもんな」

リーネ「私は坂本少佐だ。芳佳ちゃんは誰?」

芳佳「……書いてない」

リーネ「え!?」

芳佳「私の名前……書いてないよぉ……リーネちゃん……どうしよう……私、見捨てられたのかなぁ……」

リーネ「い、言ってきたほうがいいよ。きっと書きもれちゃっただけだよ、芳佳ちゃん」

芳佳「うん。そうだね! ちょっと坂本さんのところに行ってくる!!!」

廊下

美緒「忙しくなるはなるが、遣り甲斐はあるだろ?」

シャーリー「そうですねー。よっし。気合、いれるかぁ!!」

バルクホルン「しかし、処分まで検討されているとなると、昨日までのようにはいかないな」

ミーナ「大丈夫よ。貴方たちなら何もしなくても、ついてきてくれるわ」

バルクホルン「だといいが――」

芳佳「坂本さーん!!!」

美緒「どうした?」

芳佳「私の名前が書いてません!! 誰が担当官なんですか!?」

ミーナ「あら? ホントね。坂本少佐、宮藤さんだけ割り当てられていないわ」

美緒「む。はっはっはっは。すまんな、宮藤。では、お詫びに好きに選んでいいぞ」

芳佳「え!?」

シャーリー「おー。誰がいいんだぁ、宮藤ぃ?」

バルクホルン「……ふっ」キリッ

芳佳「もー!!意地悪しないでくださーい!!!」
                                 おわり

>>30
リーネ「あの、どんなことでシャーリーに相談したらいいんですか?」

リーネ「あの、どんなことでシャーリーさんに相談したらいいんですか?」

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