腐川「わ、私には白夜様が……」苗木「それは違うよ!」 (153)

腐川「ち、違うってなによ! わ、私には……」

苗木「腐川さん、キミは気付いている筈だ。十神クンがキミに振り向く事なんてない、って」

腐川「……!!」

苗木「だからさ、腐川さん。十神クンの事は諦めようよ」

腐川「で、でも……」

苗木「それに……」ギュッ

腐川「!?」

苗木「キミにはボクがいるじゃないか!」

腐川「な、苗木……」

十神「」

霧切「」

十神「おい」

霧切「……なにかしら」

十神「あれはなんだ?」

霧切「それはこっちが聞きたいわね」

十神「……」

霧切「……」

霧切「彼女、あなたに惚れ込んでたと、記憶してるけど」

十神「……」

霧切「……あなた、こういう方面でも苗木君のかませなのね」

十神「……!?」

十神「はっ! 馬鹿馬鹿しい。あれが誰に惚れようが知ったことか」

霧切「逃げるのね」

十神「なんだと……?」

霧切「学級裁判でも真実に一歩届かず、そして異性との関係も」

十神「黙れ」

霧切「……」

十神「ふん、ずいぶんと好き勝手に言ってくれたな。腐川の奴など、全くもってどうでもいいが……」

十神「苗木に劣ると勘違いされたままでは十神の名が廃る!貴様に見せつけてやる!苗木から腐川を奪い返すさまをな!」

霧切「へえ、楽しみにしてるわ」

十神「抜かせ。直ぐに俺に対する認識を改めさせてやる」タッタタタ

霧切「……」


霧切「はあ、全く……人の恋路にまで手を貸すなんて、お人好しにも程があるわよ、苗木君」

――――
――

葉隠「十神っちと腐川っちの二人をくっ付ける?」

苗木「うん。みんなにも、協力して欲しいんだ」

朝日奈「でも、なんでまた急にそんな事を?」

苗木「別に急に、って訳じゃないよ。あの二人は……というより、腐川さんは元々十神クンにぞっこんだったし」

苗木「学園を脱出して、ボクらも保護されて最近は落ち着いてきたでしょ? だからさ」

霧切「……でも、どうするつもり? 腐川さんはともかく、十神君が彼女に振り向くなんて難しいと思うけど」

苗木「それなら簡単だよ。ボクに任せて欲しい」

――――
――

霧切「任せろ、とは言われたけど……十神君を煽るような手を使うなんてね」コソコソ

腐川「わ、私は……」

苗木「あはは、分かってるよ。ボクは十神クンみたいにかっこよくないし、完璧でもない」

苗木「でも」ギュッ

腐川「!?」

苗木「キミに対する想いは彼に負けてないよ」

腐川「な、苗木……ほ、本気でい、言ってんの?」

苗木「もちろんだよ」

腐川「わ、私は、その……」

霧切「……」

霧切「……見てて余り気分の良いものじゃないわね」

十神「おい」

腐川「び、白夜様!?」

苗木「やあ、十神クン」

十神「苗木、貴様何をしていた?」

苗木「何って、別に大したことじゃないよ。ちょっと腐川さんと話してただけだよ」

十神「ふん……」

苗木「あはは、何だか機嫌悪そうだね……ボクはそろそろ行くよ」サッ

腐川「あっ……」

苗木「それじゃあね、腐川さん。十神クン」タッタタタ

十神「……」

はよおおおおおおおおお

まじで?

乗っ取るぞゴラァ

十神「………」

腐川「………」

十神(……何と言えばいいのかわからんッ!)

腐川「…チラッ」

十神「…!サッ」

十神(いかん…なぜ目をそらしてしまったのだ)
十神(ついて来いと言えばいいのだ…簡単なことだ)

十神「つい…」

腐川「…タタッ」

十神「!?」
霧切「!?」

霧切(どういうこと?腐川さん…十神くんから離れていくわ…)
霧切(しかもあの方向…苗木くんが去った方向…)
霧切(まさか…)

苗木(ふー…これであの二人もいい感じになるんじゃないかな)
苗木(十神くんもきっと腐川さんのこと好きになってくれるよ…たぶん)
苗木(さて…みんなの所にもどろうか…な?)

腐川「………」

苗木「えっ…腐…川さん?」
苗木(えっ!まさか即バレ?!そんな!)「ど…どうしたの?十神くんは?」

腐川「…本気なの?」

苗木「え゛?」

腐川「さっき私に言ったこと…信じて…いいの?」

苗木(えええええっ?!)
苗木(まさかそんな…僕の方に傾いちゃったの?!)
苗木(ど…どうしよう…うわ近づいてきた!)

腐川「………どうなの」

苗木(どどどどどうしよう目の前で俯いてるよ……って…)
苗木(…涙…?)

苗木(そういえば…腐川さんって…過去にひどいことされてるんだっけ…)
苗木(腐川さんにとって他人を信じるって…すごく勇気がいる事なんじゃないだろうか?)
苗木(それなのに…僕は…)

苗木「…ふ…腐川さん」

腐川「………」

苗木(えっ!?)
苗木(あれっ…腐川さんってこんなに…可愛らしかった?)
苗木(な…なんだ…胸が…ドキドキしてる)

苗木「…腐川さん」

腐川「…苗木…」

苗木(…抱きしめたい…)
苗木(なぜだろう…腐川さんがとても愛しくなってしまった…)
苗木(僕は混乱してるのか…いや…そんなことはない!)
苗木(僕は今まで気付けなかったんだ…腐川さんという存在に…)

苗木「腐川さん…僕は…」

霧切「苗木くん」

苗木「うわぁっ!!」

腐川「ひぃッ!!」

霧切「…ごめんなさい驚かせたようね」

苗木「いっ…いや大丈夫だよ…あ…えっと…」

腐川「……ジャマ」

霧切「葉隠くんが探してたわよ、なにか用事があるみたいね」

苗木「え…あ、そう…すぐいくよ」
苗木「えっ…と…じゃあ…また…腐川さん…」

腐川「……ん」

霧切「……」

~~~しばらくして~~~

霧切「苗木くん」

苗木「え?なに?」

霧切「あなた何考えてるの?」

苗木「な…なんのこと?」

霧切「腐川さんと十神くんよ」
霧切「あの二人をくっつけるんじゃなかったの?」

苗木「あ…それがその…ちょっと予定が狂っちゃって…」

霧切「彼女…あなたに騙されてると知ったらまた傷付くわよ」

苗木「騙してなんかいないよっ!!」

霧切「!?」

苗木「あ…いや…そうじゃなくて…もう少し時間がかかるんだ」
苗木「また後で…じゃあ…」

~~~別の場所~~~

腐川「………」

腐川(な…え…ぎ…)
腐川(ほんとうに…私のこと…こんな私に…?)
腐川(きっとまた…ウソなんだ…でも…)
腐川(あんなにハッキリ…真っ直ぐに言われたの…はじめて…)
腐川(苗木…信じて…いいの…?)
腐川(……ウトウト……zzz…)



ジェノ「おいいいいいいいいっ!!!!」

腐川「ひやぃえッ!!」

ジェノ「おめえええええなぁぁぁにやってんだよぉ!!」
ジェノ「十神様置き去りにしやがってぇぇぇ!!」

腐川「あッ…アンタは…なんで?!」

ジェノ「ハァン?ここはおまえの夢の中だからだよぉ!言わせんな恥ずry」
ジェノ「んなことよりテメェどういうつもりだよ!あたしらの十神様放り出してよぉおお!!」

腐川「……らなぃ」

ジェノ「アアン?」

腐川「私にも…わからない…」
腐川「でも…あの時は…」
腐川「…苗木と…居たかった…」

ジェノ「……まこちーと?」

腐川「…ええ」

ジェノ「はぁぁぁぁぁぁあああああ?!」
ジェノ「なんで美しい十神様よりあんなチビと居たいんだよぉ!!」
ジェノ「イカれた?頭おかしいアタシよりおかしくなっちったか?!ギャハハハ!!」

腐川「……ウルサイ」

ジェノ「あ?」

腐川「うるさいっ!!」

ジェノ「?!」

腐川「苗木は…苗木なら…」
腐川「きっと…裏切らない…」
腐川「こんな…私でも…きっと……見てくれる…」

ジェノ「……ハハッ」
ジェノ「マジかよマジかよ…大マジだなぁ!ええ?」
ジェノ「お前がっ!他人をっ!信用してんのか!ひゃああああ!」

腐川「……なんとでもいいなさいよ…でも…」
腐川「私は…苗木が…」

ジェノ「ストーップ!はいそこまでぇ!!」
ジェノ「…おまえかわったな…ほんとかわったわ」
ジェノ「こないだまで殻に閉じこもってウジウジしてたのにねぇーニャヒヒ」
ジェノ「もう大丈夫だなぁ~アタシがいなくても」

腐川「…え…」

ジェノ「アタシが生まれた時…お前はボロッボロだったよなぁ…」
ジェノ「人を信じられず好きにもなれず…全てを拒絶してたわ」
ジェノ「十神を好んでたのもただ美形だからで心からこのんでたわけじゃあない、フリだよフリ」
ジェノ「そうやってなんでも”フリ”をして生きてきたんだもんなぁ」

ジェノ「でも…おまえはアイツを信じた…」
ジェノ「自分から踏み出したんだよぉおぉぉおぉおぉ」
ジェノ「だから…もうお前はアタシに逃げなくていいんだ」
ジェノ「アタシよりお前のほうが強くなったんだからなぁぁっぁあ!!イヒヒヒィッ!!」

腐川「…翔…」

ジェノ「お前が主導権握ってんだ!だからアタシに会えたんだよぉ!」
ジェノ「最初で最後になっちったけどな!ギャハハッ!!」
ジェノ「…いけよ…アイツんとこに」
ジェノ「そんで押し倒せ!寝技で仕留めろよ!」

腐川「なッ…///」

ジェノ「目が覚めたらお前はもう”お前だけ”だ」
ジェノ「なんでもできるだろ?簡単だぜ?一歩踏みだしゃあいいんだ」
ジェノ「さっきみたいにな………」

腐川「………翔……・・ ・・  ・  ・  ・

ねむい限界おばっばっばばbb

~~~~どっか~~~~

苗木(僕は…どうすればいいんだろう…)
苗木(腐川さんのことが…頭から離れないよ…)
苗木(やっぱり…僕は…)

霧切「苗木くん」

苗木「ファッ!?」

霧切「…ごめんなさい驚かしてしまったみたいね」

苗木「あ!いや!うん大丈夫…なに?」

霧切「…腐川さんのこと」

苗木「…あ…」

霧切「………」

苗木「………」

霧切「…好きなの?」

苗木「えッ!?」

霧切「苗木くん分かりやすいもの…見てれば分かるわ」

苗木「………」

霧切「でも…よく考えて」
霧切「貴方は十神くんと腐川さんをくっつけようとした」
霧切「始めはその感情は無かったはずよ」

苗木「…うん」

霧切「貴方のその感情は一時的なものかもしれないわ」

苗木「…!」

霧切「そうだった場合、腐川さんは今以上に人を信じられなくなる」

苗木「そ…僕…は…」

霧切「もう一度よく考えたほうがいいわ」
霧切「悪意は無くても騙したのは事実ですもの…」

苗木「僕…は…」

腐川「………」

霧切「!」
苗木「!」

苗木「ふ…腐川さん!」

腐川「……ダッ!」

苗木「腐川さんッ!待って!!」ダダダ…

霧切「…苗木くん……」

~~~~~~~~~~~~~~~~~

腐川「ハァッ……ハァッ…」
腐川「…はっ…あはっ…あっはは…」
腐川「ばかみたい…やっぱり…ウソだった…」
腐川「私って本当に愚か…他人なんて信じれるわけがないのよ…ッ」
腐川「もう…私…もう…」

苗木「腐川さんッッ!!!」

腐川「!!」

苗木「ハァッ……ハァッ…腐川…さん…」

腐川「…よらないでよ汚らわしい…」

苗木「腐川さん…」

腐川「おもしろかった?私みたいのはすぐに騙せるからおかしかったでしょ?」

苗木「ちがっ…」

腐川「いつもそう…いつもそうだった!」
腐川「やさしい顔で近づいて!その後笑いものにして放りだすのよ!」
腐川「誰もいらない…本があればいい…なんにも関わりたくないッ!」

苗木「ふか……」

腐川「ほおっておいてよ!!」
腐川「なにもしてないじゃない!ただ…本が好きなだけよ!」
腐川「それなのに…なんで…なんでこんなっ…」

苗木「……」

腐川「消えてよ…他人も…社会も…」
腐川「この世の全てがきえればいいのよおおおおおおおッ!!」

苗木「腐川さんッ!!!」バッ

腐川「?!」

苗木「…ごめん」ギュ

腐川「あ…」

苗木「僕…腐川さんのこと騙してた」
苗木「あやまってすむことじゃない…でも…」
苗木「今の…この気持ちは…ウソじゃない」

腐川(…いや…騙されるのは…いや…)

苗木「あの時…腐川さんの涙を見たとき…」
苗木「僕は気付いたんだ…」

腐川(うそ…ぜんぶ…うそよ…)

苗木「腐川さんは変わり者でも…特別でない…」

腐川(いやだいやだいやだ)

苗木「どこにでもいる…傷つきやすい…普通の女の子なんだ…って」

腐川(信じない…信じられない…)

苗木「ぼ…僕は…そんな…腐川さんが…」

苗木「……す…好きなんだッ!」

腐川「!?」

苗木「………」

腐川「………」

苗木「…僕は…」
苗木「腐川さんの気持ちを…知りたい…」

腐川(………うそ………)
腐川(うそにきまってる………うそよ)

腐川(きっとみんなが見てるんだわ……みんなで笑いものにしようと)
腐川(いやよしんじられないしんじないみんなみんなぜんぶうそなのよ)

苗木「……腐川さん…」

腐川(いやよもういや!ひとりがいい!ずっとひとりでいたい!)
腐川(はなしてよ!もう…もう私は…ッ)




  (((簡単だぜ?一歩踏みだしゃあいいんだ)))


腐川「!?」
腐川「……わ」

苗木「……」

腐川「わ…たし…も」
腐川「……すき……」

苗木「…!!」

腐川「私も…苗木のこと…好き///」

苗木「腐川さん…」

腐川「………あ…アレ?」
腐川「私……なんで…泣いてるの」

苗木「腐川さん……」

腐川「やっ……ヒック…見ないで…ヒック…」
腐川「ウッ…うれしいのに………ふぇ…ウウゥ…」

苗木「腐川さん…」ギュゥ

腐川(……あったかい……心が…)
腐川(もう…あんしん…苗木がいてくれる…)
腐川(私は…前をむいて…歩いていける……)
腐川(最後に…ありがとう……)
腐川(そして……さようなら………翔………)


               ~おわれ~

霧切「…………チッ」

ああああああおわたああああ即興疲れるウウウウ
乗っ取りなんてするもんじゃねぇなあああああ
明日も仕事なのにぃいいいいい


おやすみまんこ

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年09月27日 (金) 04:59:13   ID: SB8bL3XS

腐川さん可愛い。

2 :  SS好きの774さん   2013年09月30日 (月) 08:01:42   ID: rIu_894Y

そうだな、だが件の霧切厨が暴れてる
残念だssが良いだけに残念だ

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