腐川「私の友達はカメ虫のカメ子。あとは…」苗木「……」【ダンガンロンパ】 (67)

・ネタバレとキャラ捏造。
・時系列は学園に入学して少し経った頃。
・世界は核に包まれた。



それはある何気ない日のことだった。
彼等は今もその時のことをよく覚えている。

――いや、正確には忘れられないのだ。


腐川「あ、あたしに友達がいないですって?!」

朝日奈「そんなこと言ってないよ!」

腐川「フ、フン! そうよね……! どうせあたしなんか……」ギリィ!

朝日奈「だから言ってないって!」

大神「お主は少し人の話を聞け……」

苗木「どうかしたの?」

舞園「あ、苗木君」

セレス「いつもの発作ですわ。お気になさらないでください」

腐川「あたしなんて~~~!」キィィィ

桑田「あー? なんだなんだ?」



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大和田「騒がしいぞ」

石丸「休み時間とは言え、学校は教育の場だ! 静かにしたまえ!」

葉隠「いや、石丸っちが一番うるさいべ」

朝日奈「な、なんか大事になってきちゃった。そんなたいした話じゃないんだよ!」

不二咲「どうしたのぉ?」

朝日奈「私はただ、腐川ちゃんにもっと一緒に遊ぼうよって言っただけなんだよ!」

霧切「朝日奈さんは善意で彼女を誘ったの。ただ、腐川さんがいちいち自虐するから
    もう少し明るくしないと友達が出来ないと助言してあげたのよ」

山田「あー、そういう……」

江ノ島「ほっときゃいいじゃん。こっちのミリオタだってコミュ障ボッチだけど何だかんだやれてるし」

戦刃「うん、問題ない」

苗木「そういう扱いでいいんだ……」

腐川「キィィ! どど、どうせあたしは無口で根暗な軍人以下よ! 床を拭いた雑巾よ!」

大神「そこまで卑屈にならずとも……」

舞園「大丈夫ですよ。腐川さんもかわいいですから」

腐川「……フン! 出たわね。美人の上から目線発言……! 自分より明らかにブスな人間を
    周囲に置いて引き立て役にしようという……その手には乗らないわよ……!」

桑田「ほんとめんどくせーな、こいつ……」


葉隠「腐川っちは今のままだとクラスから浮く。俺の占いは三割当たる!」

大和田「占いじゃねえだろ、それ」

不二咲「あれだけ仲が悪かった石丸君と大和田君だって仲良くなれたんだし、腐川さんも……」

腐川「あたしにだって友達の一人や二人いるわよ!」

セレス「あら、本当ですか?」

腐川「う゛……そ、そうよ! いるわ……あんた達なんかよりよっぽど性格が良くてかわいいのがね!」

石丸「そうか! では僕達の心配は杞憂だった訳だな! これにて一件落着。解散!」

桑田「バーカ。どう見ても強がりだろ……」

腐川「ば、馬鹿にすんじゃないわよ……! ほ、本当に……」

十神「うるさいぞ! 全く、おちおち本も読めん」

腐川「あ、びゃ、白夜様……! 申し訳ありま……」

十神「その友人という奴が貴様お得意の妄想でないのならここに連れてきてみろ」

腐川「えっ」

苗木「と、十神君!」

十神「出来ないなら二度と俺の視界に入るな」

腐川「えっ、えっ……えぇっ?!」


朝日奈「ちょっと十神! あんた……」

十神「そいつが自分で言い出したことだろう? それとも何だ? 嘘をついたのか?」

腐川「あ、え、その……」

十神「さっさと行け!」

腐川「は、はいぃぃぃぃ!!」


バタバタバタ……!


葉隠「と、十神っち……いくらなんでもそりゃあんまりじゃねえか?」

大和田「ダチなんていねえだろ、アイツ……」

山田「経験者だから言いますが、ボッチに友達作れはなかなかキツイですぞ……」

石丸「? 今いないのならこれから作れば良いではないか!」

十神「そうだ。俺は別に無理難題を言った訳ではない。出来なければ出来ないでいい厄介払いだしな」

セレス「あら十神君。つまりあなたは腐川さんに発破をかけた訳ですか」

十神「気色の悪いことを言うな! 友人でも出来れば俺に対するストーキング行為も
    少しはマシになると思ったからだ。断じてアイツのためではない」

霧切「少し厳しいやり方だけど、彼女にはこのくらいの方が効くかもしれないわね」

戦刃「でも、もし友達が出来なかったらどうするの?」

朝日奈「私達が友達になればいいんだよ!」

舞園「そうですね。一緒に遊びに行きましょう!」


大神「フッ、これで解決だな」

石丸「素晴らしい友情だ! 僕は感動したぞ!!」

桑田「じゃ、俺達も解散すっか。苗木ー、メシ食いに行こーぜ」

苗木「うん」


こうして何事もなく終わった、と彼等は思っていた。

――が、しかし。


腐川(どうしようどうしようどうしようどうしよう……!! このままじゃ白夜様の前に出られない!!)


彼女はそうは思っていなかった。


腐川(友達なんて出来る訳ない! 今までの人生だって出来た試しがないんだから!
    どうしよう、ごまかす? 無理よ! 白夜様の目をごまかせるなんて……)

腐川「ううぅ~!!」ボロボロ

???「?」

腐川「ううぅううぅ!! ……ん? な、なによアンタ……!」

???「――――?」

腐川「え? なんで泣いてるかって? なんでもいいでしょ……! あたしみたいなブスほっておきなさいよ!」

???「――――」

腐川「えっ」


― 翌日 ―


腐川「連れてきたわよ!!」

苗木「え? 連れてきたって誰を?」

腐川「友達よ、友達! 言ったでしょ? あたしにだって友達くらいいるって!」

桑田「マジで?!」

江ノ島「へぇー、ほーん」

腐川「なによ、その反応……」グギギ!

江ノ島「ほらー、最近流行ってるらしいじゃないですか。結婚式に呼ぶ友達が
     いなくて友達の振りをする代行業者。いくらで頼んだのかなーって……」

腐川「払ってないわよ!」

朝日奈「え、江ノ島ちゃん……失礼だよ。腐川ちゃんに友達がいたっていいじゃん」

舞園「そうですよ。昨日はなんだか失礼なこと言っちゃいましたね」

腐川「ふ、ふふ……わかればいいのよわかれば」

葉隠「で、どこにいんだべ?」


腐川「紹介するわ。これが私の友達の……」




















腐川「カメ子よ」

カメ子「こいつらが冬子のクラスメイトか。よろしく頼むぜェ」CV:若本規夫


苗木「」

舞園「」

桑田「えっ」

朝日奈「」

大神「ぬなっ?!」

大和田「」

石丸「」

不二咲「」

セレス「ブブッ!」←ロイヤルミルクティー噴いた

山田「熱っちゃああああああああ!!!」

江ノ島「」

戦刃「」

霧切「」

葉隠「」

十神「…………は?」


一瞬で、ざわざわしていた教室が静まり返る。


葉隠「いやあ……でっけえカメ虫だべ。角つけてヘラクレスオオカブトってことにすれば高値で売れっかな」

腐川「人の友人売ろうとしてんじゃないわよ!!」

山田「な、成程。腐川冬子殿のご友人は超高校級の腹話術士か何かなんですね、そうですね……」

腐川「何言ってんのよ。ここにいるでしょ?」

不二咲「わ、わぁ。よく出来たラジコンだねぇ……」

カメ子「おいおい、お嬢ちゃん。人をラジコン呼ばわりはあんまりじゃあないか? 虫だけどよぉ」

石丸「しょ、諸君……僕は疲れているのだろうか……この虫が喋っているように聞こえるのだが……」

大和田「安心しろ、兄弟……俺もだ……」

石丸「ハッ! もしやこれがお笑いでよくあるドッキリというものなのか?!
    諸君、学校でのドッキリは禁止だ! 危うく心臓が止まるかと思ったぞ!」

大神「いや、これはドッキリではない……」

舞園「……確かに、虫さんが喋ってますね」

十神「どういうことだ……苗木、説明しろ!!」

苗木「僕もわかんないよ!!」

カメ子「どいつもこいつも虫だ虫だと馬鹿にしやがって。一寸の虫にも
     五分の魂って言葉を知らないのか? ああん?」

桑田「いや、一寸て……俺の拳くらいあるぞ、おめー……」


葉隠「認めねえ! 虫が喋るなんてオカルトチックなことはぜってぇに認めねえぞ! 気持ち悪いし!」

カメ子「……ちょっと痛い目見せた方がいいみたいだな、小僧。ぶるあああああ!」


ブーン。ぴとっ。


葉隠「ぎゃああああああああああああああああ! 顔に! 顔にいいいいいいいいいい!!」


バターン!


山田「ヒィィィ!」

朝日奈「きゃああああああああああああああ!」

カメ子「おーっと、俺の必殺ビタースメルを喰らう前に倒れちまったか。
     最近の若いのは情けねえなぁ。ま、俺の方が年下だけどよ」←三歳

苗木(倒れた葉隠君の顔の上で、その何かは勝ち誇ったような顔をしている。
    と言っても表情なんて見えないんだけど……)

苗木(平和な日常を壊す突然の非現実……僕達はそれが、これから起こる嵐のような
    日常の前触れだと気付かなかったんだ。そう、もしかしたらこれこそが真の絶ぼ……)

舞園「苗木君! ポエムを読んで現実逃避をしている場合ではないですよ!」

苗木「何で僕の考えてることわかったの?!」

カメ子「フゥ、よっこらせっと」

霧切「どうやら本当に種も仕掛けもないみたいね……」


腐川「当たり前よ! カメ子を何だと思ってんの!!」

山田「あの、声も話し方もどう考えても男性なんですがそれは……」

腐川「しょうがないでしょ……初めて会った時はまだしゃべらなかったんだし」

カメ子「懐かしいなぁ。冬子との出会い。あれはロマンティックだったぜぃ」

腐川「う、うふふ……そうね。忘れもしないわ、あの冬の日……」

カメ子「お前さんは橋の上で、三つ編みをたなびかせて立っていた」

腐川「視線を感じて顔を上げるアタシ。目の前にいたのは今までに会ったことがないタイプのあなた」

カメ子「イッツ・ア・ロマンティック――」

腐川「あれが二人の運命の出会い。そして歯車が回り出す……」


ラーラー♪ ラーラーラー♪ (なんかムーディーな音楽)


山田「どこから音楽が?!」

苗木「いや、今はそれどころじゃないよ!」

大和田「虫とロマンを語り合ってるぞ、アイツ……」

江ノ島「いやー、流石のアタシでもこれは予想外だったわ……」

江ノ島(え、は? なに? 喋る虫? 実はアタシが知らないだけど希望ヶ峰が極秘に開発した?
     いやそれはないはず……じゃあどこか別の機関が? でもなんでそれが腐川のとこに?
     なんなの? 一体なんなの? マジでファンタスティックなの???)


江ノ島は混乱した!


霧切「あなたは何者なの? 正体はなに?」

カメ子「正体? フッ、少し情熱的で義理に篤いただのカメ虫さ……」

セレス「全くもって普通のカメ虫ではありませんが」

セレス(研究機関にはいくらで売り飛ばせるでしょうか。これはかなりのチャンスでは?
     ……ただ、触れるのはおろか直視するのも嫌なのが問題ですが)

腐川「あああ、あんた! 金の亡者だからね……! あたしの大切な友達を
    どっかの研究機関に売ろうとか考えてんじゃないでしょうね?!」

セレス「考えていません」シラッ

カメ子「こいつは嘘をついている臭いがプンプンするぞぉ」

葉隠「あ、あでで……臭いのはお前さんの方だべ!」復活!

戦刃「あ! 思い出したよ!」

江ノ島「は? 何を?」

戦刃「昔、ジャングルで原住民の人から聞いたんだけど、稀に大きくて言葉を話す虫が現れるんだって。
    現地の人はそれを神と崇めていたの。チャチャカイ・ウロロン……あれ、ウパウパだったかな?」

江ノ島「この際名前なんてどうでもいいんだよぉ!」

石丸「で、では! このウパウパ殿は神様?!」

カメ子「おいおい、そんな大層なモンじゃねえよ。仲良くしようぜ?」

朝日奈「仲良く、かぁ……差別は良くないってわかるんだけど、虫はちょっと……」


大神「我は山で修業をする故、虫には慣れているが、しかし……」

カメ子「フッ、女子供に受けないのは百も承知。男の価値ってのはな、女にモテた数じゃねえ……
     如何に男にモテるかよ。男に慕われる男こそが、真の漢ってやつだ」

石丸「お、おおおお! その通りです! 勉強になります!」

カメ子「兄ちゃん、なかなか見所があるじゃねえか。どうだ?
     酒でも交わしながらオッサンの話でも聞くか?」

石丸「是非!」

大和田「落ち着け、兄弟! 相手は虫だぞ?! 虫!」

カメ子「いいか、不良の兄ちゃん? 人には人の、虫には虫の生き様ってもんがある。
     他人の価値観を否定するってことは自分自身を否定することに繋がるんだぜ?」

大和田「うっ」

桑田「虫に説教されてるぞ……」

山田「負けてどうするんですか! 頑張ってくださいよ!」

大和田「う、うっせー!」

石丸「ついていきます、カメ子先生!」

苗木「お、落ち着いて石丸君!」

不二咲「……腐川さんのお友達は凄いんだねぇ」

腐川「当然だわ。これで白夜様もあたしを認めて……」チラッ

十神「寄るな!」

腐川「ぶびゃっ?!」


カメ子「おいおい、どうしたぁ?」

十神「今すぐその気持ちの悪いものを連れてここから出て行け……」ワナワナ

腐川「そ、そんな……あの……」

十神「俺は虫が嫌いなんだ。さっきから聞いていれば、たかが虫ごときに傾倒しおって……恥を知れ!」

石丸「十神君! そんな言い方はないぞ! カメ子先生は道理をかなりわかっていらっしゃる!」

舞園「確かに、よくよく話せば知的かもしれませんね……」

十神「馬鹿か!! 虫に人間の道理を説かれてどうする! 虫は所詮虫けらだ。俺が踏み潰せば簡単に死ぬ」

カメ子「……言ってくれるじゃねえか、眼鏡小僧。どうやら俺のスメルの餌食になりたいようだな」

腐川「だ、ダメよカメ子! そんなことしたら嫌われてもう二度と話せなくなるわ!」

十神「大体、友達を連れてこいと言われて虫を連れてくるとは……お前の脳みそは虫並みだな!」

苗木「十神君、そんな言い方は!」

十神「人間の友人を連れてこい、人間の!」

腐川「に、人間の友だ……」

「います!」

十神「誰だ?! 出てこい!」


「言われなくても!」
























カムクラ「僕が腐川さんのお友達です」

一同「」


江ノ島「」ブフッ!

石丸「……腐川君! 虫の次はワカメかね?! 人間の友人を作った方がいいぞ!」

大和田「落ち着け、兄弟! こいつは人間だ!」

朝日奈「え、なにこの人……」

葉隠「髪がバサバサで目は赤く光ってるし、ヤバいヤツだべ」

山田「髪に関しては葉隠康比呂殿は何も言えないのでは……」

十神「な、何だこいつは……?!」

江ノ島「どうせ泣いてる所を声をかけてもらって頼んだとかでしょ」

腐川「」ギクッ

カムクラ「確かに僕と腐川さんの出会いは昨日です。しかし、時間の短い友情は
      友情ではないのでしょうか? 大切なのは時間ではなく質では?」

桑田「いや、まあそうだけど……」

カメ子「おうイズル! 遅かったじゃねえか」

カムクラ「どうも、カメ子さん」

山田「なんか通じ合ってる?!」


カメ子「イズルとは一晩飲み明かしてなぁ。今やすっかりマブダチよ」

カムクラ「そう、僕とカメ子さんはソウルフレンドなのです」キリッ

カメ子「男の生き様や今の世相について熱く激論を交わしたもんだ」

カムクラ「初めて会ったのに、まるで十年来の友人のような感覚です」

苗木「シュール過ぎる……」

江ノ島「ちょっと、あんた一体どういうつもり?」ボソッ

カムクラ「どうもこうもありませんよ。ツマラナイことしかないと思っていた
      この世の中に、言葉を喋る虫ですよ? オモシロイと思いませんか?」

江ノ島「いや、あんたもあいつも大分オモシロイ奴だけどさ。人前に出たらまずいっしょ」

カムクラ「いいじゃないですか。どうせ記憶は消すんでしょう?」

江ノ島「…………」

戦刃「盾子ちゃん、カムクラってみんなの前に出ても……」

江ノ島「わーわー! この馬鹿! 声が大きい!」

カムクラ「とにかく、僕は自分がオモシロイと感じたもののために動きます。
      目下は腐川さんのために十神君をなんとかすることです」


朝日奈「ねーねー、腐川ちゃんとはどこで会ったの?」

カムクラ「寄宿舎の前の道路です。泣いている腐川さんに声を掛けたのがきっかけです」


回想。


カムクラ『どうかしたんですか?』

腐川『……別に、どうだっていいでしょ……』グシュグシュ

カムクラ『確かに僕にはどうでもいいのですが、超高校級の文学少女が
      何故こんな所で一人で泣いているのかは興味があります』

腐川『なんであたしのことを……い、いやそれはこの際おいとくけど、
    どいつもこいつも一人一人って……馬鹿にしてんじゃないわよっ!!』

カムクラ『成程、友人がいないことを馬鹿にされたのですね』

腐川『?! な、なんでそれを……』

カムクラ『超高校級の読心術師の才能くらい持ってますよ』

腐川『だから何?! あんたもあたしを嘲笑うわけ?!』

カムクラ『そんなツマラナイことはやりませんよ。それに……』

カムクラ(消滅したはずの日向創の心が頭の片隅に残留思念のように残り、彼女を助けたがっている。
      こんなことは初めてです。もしかしたら、オモシロイものに出会えるかもしれない……)


良かった。誰もいないかと思った。ちょっと風呂休憩


カムクラ『どうです? 僕があなたの友達になりましょうか?』

腐川『は? はああああああああ?! 冗談じゃないわ! あ、あんたみたいな
    気持ち悪い奴と友達だなんて、逆にドン引きされるわよ!』

カムクラ『気持ち悪いのはお互い様でしょう? それにあなたには時間がないのでは?』

腐川「結構言うわね、あんた……」

腐川(……確かに、今のままでは白夜様の視界に入ることも叶わない……
    友達なんて一日二日で出来るものじゃないし……)

腐川『わかったわよ……あんたに頼むわ。じゃあ、もう一人の友達にも紹介しなきゃね』

カムクラ『もう一人の友達?』


回想終了。


カムクラ「こうして僕はカメ子さんとも出会った訳ですが、何だか意気投合してしまいまして」

カメ子「今やイズルは俺にとって冬子の次に大事な友人って訳だ」

カムクラ「ああ、そうだ。すっかり忘れていました。今日はカメ子さんにお土産を
      持ってきていたんです。あなたの大好きなベリーナイスなメロンです」

カメ子「ぬおおおおおおおおおおお! ベリーメロンじゃねえか! 流石イズル!
     よくわかってるぜぃ。おお、ベリーメロン! ベリーメロォォォン!!」

霧切「奇妙な歌と振り付けで踊りだしたわ……」


苗木「……メロンが好きなんだ。贅沢だね」

腐川「当たり前よ! カメ子はグルメなの」

十神「?! そ、それは……?! 馬鹿な……セレブしか入手出来ない、一玉20万の
    超最高級マスクメロンだぞ?! 貴様、どうやって手に入れた!」

カムクラ「超高校級の卸業者の才能があるので」

葉隠「一玉20万……?!」

朝日奈「いいなー。美味しそう」ジュルリ

カムクラ「……では、お近づきの印に皆さんにもあげましょう。まだたくさんあるので」


スポポポポポポ!


山田「どこから取り出したんですか?!」

カムクラ「超高校級の手品師の才能くらい持ってますよ、と」

石丸「こ、こんな……こんな上等な物をもらっていいのか?! お返しをしようにも我が家はお金が……」

カムクラ「粗品です。粗品とはお返しは不要の贈呈品を指します」

石丸「20万のメロンが粗品、だと……?! う゛っ……」バターン!

大和田「兄弟ー?!」


苗木「ハ、ハ……アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ! 素晴らしい! 素晴らしいよ!
    このメロンは実に希望に溢れてる! これこそが僕の追い求めてきた希望! 希望! 希望!」

舞園「落ち着いてください、苗木君! 興奮しすぎて希望厨みたいになってますよ?!」

葉隠「うーん。食うべきか売るべきか悩む所だべ……」

桑田「悩むなよ」

不二咲「ナマモノは売らない方がいいんじゃないかなぁ……」

朝日奈「わーい、ありがとー! カムクラって超いいやつじゃん!」

セレス「最初に失礼なことを言いましてお詫びします。どうです?
     わたくしのナイトになりませんこと?」

戦刃「盾子ちゃん、このメロン凄く美味しい!」ハムハム!

江ノ島「食べるのはえーよ!」


ワイワイ! カムクラヤベー!


カムクラ「フッ、掴みは上々のようですね」

腐川「あんた……なかなかやるじゃないの……! その、ちょっと見直したわ……」


カムクラ「最初に言ったじゃないですか。僕の友情力は530000だと」

腐川「その言葉の意味はよくわからないけどね……」

カムクラ「ちなみにあと三回変身を残しています」

カメ子「フ、甘いな。俺は二回の変身で完全体になるぜ?」

桑田「ワケわかんねーよ……」

カムクラ「二人の出会いに」

カメ子「素晴らしい友に」

カメ子・カムクラ「乾杯」チン☆


二人はどこからか取り出したワイングラスで乾杯している。ちなみに、カムクラは未成年飲酒だ。


カムクラ「フフフ……」

カメ子「ハハハ……」

カムクラ・カメ子「ウワーハッハッハッハッハッ!!」

霧切「……ついて行けないわ」

江ノ島「はい、私も同意見です。あまりに訳のわからないノリで絶望的です……」


続きはまた明日




カムクラ「>>16の僕の台詞ですが」


>カムクラ「僕が腐川さんのお友達です」

→カムクラ「僕が腐川さんのお友達のカムクライズルです」


カムクラ「に直しておいてください」

苗木「誰に話してるの?!」

カムクラ「超高校級のメタフィクション作家の才能も持ってますので」


腐川「全てのカメ虫へ愛をこめて……」




愛と情熱と衝撃のカメ虫SS

再開


十神「クッ! なんだこの奇人変人集団は……! おい、腐川!」

腐川「ひゃ、ひゃいっ! なんでしょう……?」

十神「臭くて陰気に留まらず、訳のわからん連中とつるむとは……お前にお似合いだな。
    友人が出来たのなら遠慮せずそいつらと仲良くすればいい。金輪際俺には関わるな!」

腐川「びゃ、白夜様ぁ……」

カメ子「おいテメエ! こちとらいい加減堪忍袋の尾が切れそうだぜ!」

十神「俺が気に入らない? なら力付くでどうにかしてみたらどうだ? 俺の考えは変わらないがな!」

カムクラ「……それは違うよ」ネットリ

戦刃「え、今のって……」

カムクラ「77期生の彼の真似をしてみました。僕には超高校級のものまね士の才能もあるので」

霧切「妙な才能ばかりね。そもそもあなた……」


何か言いかけようとする霧切の言葉にかぶせながらカムクラはずずいと前に出る。


カムクラ「では彼の真似をしながら、十神君を論破してみましょうか」

十神「論破だと? この俺を論破など出来るはずがない。何せ俺は超高校級の完璧なのだからな!」

カムクラ「ハァ、十神君には正直ガッカリさせられました。あなたには期待していたのですが」

十神「何だと?」


カムクラ「仮にも超高校級の完璧を自称するお方が、たかが虫程度に右往左往するなんて
      見苦しいと思いませんか? そんなあなたの姿に希望を感じられないんです」

十神「貴様、言わせておけば……!」

カメ子「全くだぜ。他のメンバーを見ろよ? 最初こそ混乱してたが、今ではすっかり慣れちまったぜ」

苗木「いや、慣れたっていうか……」

大和田「ただツッコミが追いつかねえだけなんだが……」

カムクラ「腐川さんを見てください。たとえ相手が虫であろうと人間同様に愛せる
      彼女の姿は、大いに希望を感じます。……あなたなんかよりよっぽどね」

十神「ググ……!!」

カメ子「そもそも最初に冬子に友達作れとか偉そうなことを言い出したのは
     お前さんだが、お前さんこそ友達はいるのか? ああん?」

十神「う、友人だと? 友人なぞ十神家次期後継者の俺には必要ない!」

カメ子「友人も作れない人間に人の心がわかるか! お前に人の上に立つ資格なんざねえわああああ!」

カムクラ「友人を作る能力がないことを後継者を言い訳にしてごまかすなんて、
      ガッカリすぎてツマラナイ。あなたはツマラナイ人間だったんですね」

十神「ク、友人などわざわざ作らなくても……」チラッ

江ノ島「え? あんた以外のヤツらは友達だけどあんただけは友達じゃないから」

戦刃「十神君は同じクラスの人かな」

石丸「優秀なクラスメイトだな!」


苗木「……えーっと、僕は友達だと思ってたけど十神君からはまだ友達って認めてもらってないし」

十神「」

カムクラ「アルェ? 十神君、一人だけ友達いないんですかぁ?」

十神「一人だけだと……?」ギロ

舞園「霧切さん! 後で一緒にショッピング行きましょう!」

霧切「いいわね。私も気になっている喫茶店があって、一緒にどうかしら?」ファッサァァァ!

石丸「僕も少し前までは一人だったが今は兄弟がいる!」

大和田「おう! ダチなんてレベルじゃねえ。魂のマブダチだぜ!」

戦刃「えっと、私は……盾子ちゃんは友達じゃなくて妹だし……」アセアセ

朝日奈「戦刃ちゃんは私の友達だから大丈夫! 後でドーナツ屋さん行こ!」

大神「我も参加させてもらおう」フフ

戦刃「いいの? あ、ありがとう……」

十神「…………」

十神(まだだ! セレスには下僕の山田しかいないはず! あいつだって一人……!)


セレス「苗木君、わたくしとあなたはお友達ですわよね?」

苗木「えっ、僕はそう思ってるけどセレスさんは……」

セレス「ですわよね?」<●> <●>カッ!!

苗木「あ、はい。友達です」

カメ子「ボッチは十神だけか」

カムクラ「え? まさか自分は友達いないのに腐川さんにはあれだけ上から
      目線だったんですか? 違いますよね? 違いますよね、十神君?」

桑田「ねーわー、マジでねーわー」

大和田「最低だな」

山田「孤高を貫く俺カッケーもわかりますが、やっぱり友達は作った方がいいですぞ?」

江ノ島「プッ、あんだけ偉そうなこと言ってたのに全部ブーメランだったなんて、ダサッ!」

朝日奈「人のこと言えないじゃん!」


やーいやーい! ボッチボッチ! ボッチッチーのーチー!! お前のかーちゃんデーベソー!


十神「う、ぐ……!!」ビキビキビキ…!

十神「愚民と一緒にするな! 俺ならお前らよりよっぽどまともな友人を作れる!」

カメ子「言ったなぁ? 逃げんなよ」


カムクラ「結果を楽しみにしています」

十神「……!」


バッ、ダダダッ!

ピタッ! クルッ。


カムクラ「おや? 忘れ物ですか?」

十神「言っておくが……俺の母親はデベソなどではない。断じてだ!!」

桑田「うん。知ってる」

十神「クッ!」


ダダダダダダダダッ……!


苗木「あれで良かったのかなぁ」

不二咲「ちょっと可哀相な気もするけど」

大和田「可哀相なことあるか! あいついっつも偉そうだしよ」

霧切「自業自得ね」

セレス「彼の上から目線は度を超えていますもの」

山田「いや、セレス殿もかなり上から……」

セレス「口答えするなブタアアアア!」

山田「ヒィィィ!」


               ◇     ◇     ◇


小泉「あんたと友達? 嫌よ、あんた偉そうだし」

西園寺「豚足ちゃんの方が優秀そうだしねー!」

九頭龍「あ? 偉そうに見下ろしてんじゃねえぞコラ!」

澪田「友達っすか? バンドメンバーなら絶賛募集中っすけど。もしかして唯吹とセッション希望かな?!」

田中「フハハハ! 友を求めるなど堕ちたな、成功を約束されし闇の貴公子よ!」

花村「いいよ! 是非お友達になろうよ! じゃあ親愛の印にまずは僕の部屋でネットリ……」

終里「あぁ? ダチだぁ? お前強そうだしオレとバトって勝てたら考えてやるぜ!」

松田「断る。どんなに大金を積まれてもお前と友人になるなんてまっぴらごめんだ」

十神「…………」

十神「…………」

十神「…………」





ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!


その後、友達を作る難しさを知りメンタルブレイクした十神は腐川に少しだけ優しくなった。
また、以前よりもクラスメイトと一緒にいるようになりクラスの行事には必ず参加するようになったのだった。


― 二年後 ―


モノクマ「コロシアイ学園生活開幕です!」

苗木「そ、そんな……」

舞園「いやあああああああっ!」

十神「フン! 恐ろしいのはモノクマではなく、俺達自身だ」

大和田「テメエ!」

十神「誰が殺人を企んでいるかわかったものではないしな。俺は一人で行かせてもらうぞ」

腐川「あ、と、十神君!」

「まったくよぉ、折角改心したのにお前は相変わらずだな」

十神「な?! だ、誰だ!」

モノクマ「何奴?!」

カメ子「フッ、助けにきてやったぜオメエら」

山田「え、どこ? どこにいるんですか?」

腐川「その声は?! あ、あんた! まさか!」

カメ子「よぅ、冬子ぉ! 俺はここだあああああああああああ!」


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ドオオオオオオオオオオオオオオン!(よく見ると壁に張り付いている)


腐川「カメ子おおおお!」

桑田「え、なに ? ……まさかあのデカイカメ虫っぽいヤツのことじゃないよな?」

苗木「どうやらそのようだよ(白目)」


ブーン。


腐川「カメ子おおおお! 会いたかったわあああああ!」

カメ子「泣くなよ、冬子。しょうがねぇなぁ」

石丸「やたら大きな虫に頬ずりをしている……」

葉隠「ありえねえべ……」

不二咲「でもなんでだろう……なんだか凄く見たことある気がする……」

舞園「私もです……」


カメ子「当たり前だ! いいか、よく聞け! お前達は新入生なんかじゃねえ!
     二年間共に過ごした同級生なんだ! そこの黒幕に記憶を消されてるんだ!」

「ナ、ナンダッテー?!」ΩΩΩ!!

モノクマ「テ、テメエ! なんで生きてんだよおおおお!」

カメ子「フッ、甘いな。お前が不審な動きをしていることはとっくに察知していた。
     襲撃者の猛攻を凌ぎ、俺は今まで通風孔に身を隠していたんだ」

モノクマ(ざ、残姉ええええ! 何やってんだよ!)

戦刃(ごめえええん! 部屋が臭すぎて、死体を確認出来なかったんだよー!)

カメ子「オメエ等、今記憶を戻してやるからな。喰らえ、グレェテスト・ファンタズマ!!」


ぷぅ~~~ん。


「くさっ!!」

苗木「あ、でもなんだろう……なんか懐かしい臭いのような……」


蘇る過去の記憶!


苗木『カメ子さん、僕は一体これからどうしたら……』

カメ子『俺が言わなくてもわかるだろ。お前にはサイッコーにクールでイカした前向きさがあるからな』


カメ子『困ったことがあったら何でも言えよ。俺が全力で助けてやる』

苗木『カメ子さん……』キュン

・・・

石丸「む、この臭いは……?!」

大和田「おお?! なんだ、こりゃ……」

カメ子『男には、苦しいとわかってても行かなきゃならん時がある。行くぜ、野郎ども!
     真の“漢(オトコ)”っていうのがどういうもんか教えてやる! 俺についてこいやぁぁ!』

石丸『はい、カメ子先生! いや、師匠ぉぉぉ!!』

大和田『流石日本一のダンナだぜ! 一生ついていきます!!』

・・・

舞園『私、もう芸能界でやっていけないかもしれません……』

カメ子『そんなこと言うんじゃねえ! ファンはお前さんの笑顔を待っているんだぞ!』

舞園『カメ子さん……あなたの前でだけ普通の女の子でいてもいいですか? どうか、私を……』

カメ子『……俺はしがない虫だ。それをわかってもらえないなら、ここでさよならだ』

舞園『待って! 行かないで! カメ子さん!!』


・・・

セレス『また負けた……この私が、セレスティア・ルーデンベルクが……』

カメ子『お前さん、肝心な時に欲をかきすぎなのさ』

セレス『欲をかいてはいけませんか? 女は欲張りな生き物なのです。特にわたくしは……』

カメ子『欲しいものは全て手に入れないと気が済まないってか。いつか身を滅ぼすぞ』

セレス『構いませんわ。どうです? 次の勝負、もしわたくしが勝ったらあなたのことを……』

カメ子『……勝てたらな』

・・・

霧切『二人の間に言葉は要らないわ』

カメ子『…………』

霧切『お願い。抱いて』

カメ子『……やめろ。親父さんが悲しむ』

霧切『あの人のことなんて、関係ないわ! ねえ、カメ子……待って! 待ちなさい!』

カメ子『(男には、振り向いちゃいけない時がある。たとえ、女を泣かせるとわかっていても……)』


・・・

朝日奈『カメ子……私達、ずっと一緒にいてもいいよね……?』

大神『カメ子よ、我はそなたのことが……』

・・・

不二咲『男の子じゃ、ダメですか?』うるうる

・・・


ぷ~~~ん……


桑田「あ、なんか記憶戻ってきたかも。吐き気するけど」

葉隠「うわああああああああ。俺の借金がいつの間にか十倍にぃぃぃぃ?!」

カメ子「本来は精神を破壊する技なんだが、弱めにしたから死にはしないだろう。人呼んでカメ虫幻魔拳!」

山田「さっきと技名違いますよ……」

腐川「さ、流石うちのカメ子ね! 自慢の友人だわ!」フンス!

霧切「うううっ、うううううう!」

舞園「ぐすっ、ぐすっ! ううぅぅっ!」

苗木「舞園さんと霧切さんがめっちゃ泣いてるー?!」


セレス「そっとしておいておあげなさい。女には、泣きたくなる時があるのです」フゥ

苗木(なんでそんな悟ったような遠い目をしてるの?!)

カメ子「無事に記憶を取り戻したようだな。俺達との甘酸っぱくてスウィートビターな思い出をよ……」

モノクマ「あぎゃあああ。どこまでボクの計画を邪魔すれば……!!」

戦刃「今は四の五の言ってる場合じゃないよ。彼は私が排除する!」バサッ

大和田「な、カツラ?! 誰だ、お前?!」

不二咲「江ノ島さんが偽物だった?!」

石丸「彼女は確か……江ノ島君のお姉さんの戦刃むくろ君だ!」

苗木「やっぱりね! 顔が違いすぎると思ったもん! あと主に胸のあたりとか!」

朝日奈「男子って……」

大神「今はそんなことを気にしている場合ではないようだぞ」

モノクマ「ええい、こうなったら仕方ない! やるぞ、残姉!」

戦刃「覚悟! アチャチャイ・ウッポロケ・ピポポカー!」

モノクマ「お前適当に言ってるだけだろ、それ?!」


もう一個の方も更新せんといかんので、今日はここまで。

次で終わりです。


感 動 の 完 結 編 (嘘)


再開


突然現れた大量のモノクマと超高校級の軍人戦刃むくろがカメ子に迫る!


腐川「ひ、ヒィィィ! お助けぇ~!」

カメ子「安心しろ、冬子! そしてお前ら! 今こそ俺の真の力を見せてやる時だぜ!」


心から何かを守りたいとカメ子が願った時、正義の心が彼に力を与えるのだッ!!


「ぶるぁぁああぁあああぁぁぁあああぁあああぁぁああああぁぁぁあああああッッ!!!」




カ ッ ! !



カメ子完全体「この姿になるのは久しぶりだぜぇ」





モノクマ「」

戦刃「」

一同「」

山田「へ、へ、変身したあああああああ?! ワイルドハーフですか?!」

朝日奈「あ、懐かしい作品だね。昔ジャンプでやってたっけ。動物がかわいいよね」

苗木「知ってる。犬が主人公の漫画でしょ? みんなで赤カブトを倒すやつ」

山田「それは銀牙です!」

大和田「なんでもいいけどあいつはどう見てもセ○だろ、○ル! セル完全体!」

苗木「そうかー、この世界はドラゴンボールの世界だったのかー!」


不二咲「ドラゴンボールを集めたら僕も大きくなれるかな?!」

セレス「わたくしはお城が欲しいです!」

葉隠「夢は億万長者だべ!」

大神「我は桃白白と闘ってみたい……」

石丸「努力を放棄し他人に願いを叶えて貰おうなんて浅ましいぞ!」

霧切「み、みんな落ち着くのよ! 落ち着きなささささ」

十神「まずはお前が落ち着け!!」

桑田「誰か収拾つけろおおおおおおお!」

モノクマ「どうでもいいわっ!! 死ねっ、さっさと死ね!」

カメ子「ククク、言うに事欠いてそれか。完全体となった俺に死角なし。行くぞ!」

腐川「あ、あたし達の命運がかかってるのよ! あんた達もカメ子を応援しなさい!」


おおー! 応援するぞー!


――すると、どこからか凄く聞き覚えのあるイントロが流れ始めた。


チャラララララ、チャラララララ♪

チャッチャラ、チャッチャ、ジャジャッジャッジャジャーーン♪

ジャーーーン♪


苗木「光る 雲を突き抜けFly Away♪」  舞園「Fly Away♪」

(大和田「お、おい?! なんか歌い出したぞあいつら!」)

(桑田「俺に言うなよ、俺に! つーか舞園ちゃんとデュエットとか羨ましいなコンチクショー」)

山田「からだじゅうーにー 広がるパノラマ~♪」

(セレス「あら、意外といい声をしているのですね。山田君」)

(石丸「何故みんなは歌っているのだ?! 音楽の時間?! そうか、今は音楽の時間だったのか?!」)

葉隠「顔を 蹴られた地球が怒って~♪」  不二咲「怒って~♪」

大神「火山、を、爆発させる~♪」

(大和田「ああ、もうチクショウ! こうなりゃヤケだ!」)

(十神「俺は歌わんぞ! 絶対に歌わんからな!!」)

(カメ子「ああ、応援歌がないと負けるかも~。ヤバイかも~」)

(十神「…………」)


大和田「溶けた北極(こおり)の中に~♪」

桑田「恐竜がいたら~♪」

朝日奈「玉乗り仕込みたいね~♪」

(石丸「よし、僕も歌うぞ!」)

(霧切「ほら、十神君も!」)

(十神「どこからマイクが?!」)


タララ♪↑ タララララ♪↑


石丸「CHA-LA! HEAD-CHA-LA♪!!」

十神「何が起きても気分は~、へのへのカッパ~♪」

霧切「CHA-LA HEAD-CHA-LA♪」

腐川「胸がパチパチするほど~♪」

セレス「騒ぐ元気玉♪」

カメ子「スパァアアアアアアアアキィィィィィィィングッッ!!!!!」


BACOOOOOOOOOOOOOOOONN!!


モノクマ「ギャアアアアアアアアアアアアア!!」

山田「リ、リングにかけろみたいに綺麗に吹っ飛んで行った……」

カメ子「勝った! 第三部完ッ!!」


――こうしてコロシアイ学園生活は一匹の虫の活躍によりサクッと終了したのだった。


江ノ島「ぜ、絶望的ぃぃぃぃっ!!」


― 学園の外 ―


江ノ島「くっ! まだよ、まだ! 綿密に計画した計画がこんな訳のわかんない負け方で
     崩壊したのは最高に絶望的だけど、まだアタシは捕まっちゃいない!」

カムクラ「往生際が悪いですねぇ」

江ノ島「あ? なによ。あんたそういえばあの虫けらの友達だっけ? アタシの邪魔するつもり?」

カムクラ「邪魔なんて……僕はただ自分がオモシロイと思ったことを追求するだけです」

江ノ島「オモシロイ? 口を開けばツマラナイとしか言わなかったあんたが……変わったわね」

カムクラ「あなたも本当は気付いていたんじゃないですか? この世には誰も知らない、言葉を話して
      変身までする虫が存在した。全てを掌握したあなたの思い通りにならないことも、まだまだ
      たくさんあると。気付いていたのに、手近な絶望のために気付かないふりをしたのです」

江ノ島「…………」

カムクラ「わざわざ世界を絶望に染めなくても、世界にはあなたの求める絶望はたくさんある。
      超高校級の希望である僕にすら予想のつかないオモシロイこともたくさんある」

カムクラ「どうです? もし良かったら僕と一緒に行きませんか? 飽きっぽいあなたも
      飽きさせないくらい、世界にはまだまだ未知が溢れていると思うのですが」

江ノ島「なにそれ、誘ってるつもり?」

カムクラ「あなたも一応友人ですからね。とりあえず、南米に行きましょうか。
      あのチュパカブラの正体と目されるウパパカ・ピニョラピュルチェを探しに」

江ノ島「なにそれ、ダサい名前」

カムクラ「名前なんて飾りですよ。偉い人にはわからんのです」

江ノ島「……ま、暇だから付き合ってやってもいいけど」


― 八年後 ―


長である江ノ島自らが解体を宣言したため、世界を混乱に陥れた絶望集団は散り散りになり消滅した。

希望ヶ峰学園のOBで構成される組織・未来機関が先導となり世界はすっかり平和を取り戻したのである。


そしてここは希望ヶ峰学園の入り口。新入生が数名校門に集まっている……


新入生A「君達も新入生?」

新入生B「おう! 緊張してつい早く来ちゃったぜ」

女学生「あの希望ヶ峰学園にスカウトされたなんて、今でも夢みたいよ」

新入生A「まだ他の新入生は来てないだろうし、中で待たないか?」

新入生B「そうだな! 先にちょっと中を見てみるか」


ロビーに足を踏み入れる新入生達。入り口の真ん中にはやけにデカイ銅像が飾られている。


新入生A「うわ……なんだこの悪趣味な銅像?」

新入生B「キモっ! え、虫???」


女学生「なんでも、昔この学園のピンチを救ったらしいけど……気持ち悪いわね」

腐川「ちょ、ちょっとあんた達! うちのカメ子を気持ち悪いとは何よ、気持ち悪いとは!!」

新入生A「あ、ご、ごめんなさい!」

舞園「そうですよ! 学園長に対して失礼じゃないですか!」

新入生B「はっ?! 学園長??」

朝日奈「そうだよ! 学園長だよ!」


ゾロゾロゾロ。


カメ子「まあまあ、諸君。初対面の人間が怖がるのは仕方ない。だが、直にわかるはずだ。
     この私がただのカメ虫ではなく、この学園の学園長であるということがね」

新入生A「やたらデカイ虫がワイングラス片手に颯爽と歩いてきたー?!」ガビーン!

女学生「いやあああああああああああああああああああああ!!」バターン!

新入生B「お、おいしっかりしろ!」

女学生「ぶくぶくぶく……」

セレス「まったく情けないですわね。同じ女として恥ずかしいですわ」

新入生A「あの……あなた方は先生ですか?」


大神「否! 我らは全員……」

霧切「学園長の専属秘書よ」ファサァッ

カメ子「入学式までまだ間がある。好きに見学していなさい。ファッファッファッ」

舞園「あ、学園長! 苗木君達未来機関組が来週日本に戻ってくるみたいですよ!」

腐川「カメ子の設立した未来機関だってのに、あいつらばっかり目立って……」

カメ子「まあまあ、いいじゃねえか。友人の活躍は自分の活躍も同然、てな」

朝日奈「流石、カメ子! いいこと言うね!」


ゾロゾロゾロ……


新入生A「希望ヶ峰学園、パネエな……」

新入生B「ああ、パネエ……」

女学生「ぶくぶくぶく」


こうして状況についていけない新入生達を圧倒しながらカメ子達は去っていった。

カメ子が78期生達と共に希望ヶ峰学園の負の部分を取り払い、
今度こそ名前の通り世界に希望を届ける輝かしい学園にしたのはまた別のお話だ。


……ちなみに、カムクラと江ノ島は結婚し世界一のミステリーハンター夫婦として有名になっている。


― とある無人島 ―


戦刃「シーラカンス捕まえたよー」

江ノ島「絶望的にまずいのよね、それ。クセになる味だけど」

アンパンの精霊「捌くの手伝います」

戦刃「ありがとう」

目玉の父さん「うーむ、今日はご馳走じゃのう」

カムクラ「ピョピョリピポポ。パララハピハピ?」

グレイ「ピパペ。ニュルミヒャポポ! ピンビロビー」

江ノ島「…………」





江ノ島「……宇宙進出すっか」


Fin.


終わり。

電車に乗っていたら突然、カメ子が若本規夫の声で喋り出したら
面白いんじゃないかという電波を受けてその勢いのまま突っ走ってしまった
こんな訳のわからない電波SSを最後まで読んでくれた人達全員にThank You





苗木こまる「私の出番は?!」

腐川「ないわよ」

苗木こまる「ガーン!」


― 今度こそ完 ―

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月26日 (木) 19:45:41   ID: hNWgHJ5q

最高w
若本ヴォイスとかw

2 :  SS好きの774さん   2015年04月15日 (水) 13:17:59   ID: xJoX_e1b

面白かった!!色々吹っ切れてて、読んでるうちになんか元気になってきた!乙です

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