ミサト「ごめーん!お待たせ!」
シンジ「……」
ミサト「乗って!早く!!」
シンジ「はあ」
ミサト「飛ばすわよ!しっかりシートベルト締めて!」
シンジ「……」
ミサト「碇シンジくんよね?」
シンジ「はあ」
ミサト「手紙にも書いたから知ってると思うけど、私は葛城ミサト。よろしくね」
シンジ「はあ、よろしく」
ミサト「……」
シンジ「……」
ミサト「随分落ち着いてるのね。
戦闘機が飛び交う中、目の前には怪獣がいるっていうのに」
シンジ「はあ」
ミサト「…あの怪獣が何なのかとか気にならないワケ?」
シンジ「はあ」
ミサト「…っ!
(ムキー!何なのよこの子は!無愛想にも程があるわ!
まるでレイの男版ね、やりにくいったらありゃしない!)
・・・・・・<ネルフ本部>・・・・・・
ミサト「おっかしいわねー、たしかこの道のはずよねぇ…」
シンジ「……」
ミサト「ごめんねー、まだ慣れてなくって」
シンジ「はあ」
:
:
ミサト「あ、あらリツ子」
リツ子「何やってたの葛城一尉、人手もなければ時間もないのよ」
ミサト「ごめ~ん」
リツ子「…例の男の子ね」
ミサト「そ、マルドゥックの報告書による、サードチルドレン」
リツ子「よろしくね」
シンジ「はあ、よろしく」
ミサト「(ゴニョゴニョ)これまた父親そっくりなのよ、可愛げのないところとかね!」
・・・・・・<発令所・司令席>・・・・・・
コウゾウ「碇。シンジくんが到着したようだぞ」
ゲンドウ「…ああ。冬月、後は頼む」
コウゾウ「今度はもう少しうまくやれよ」
ゲンドウ「…ああ。わかっている」
・・・・・・<初号機格納庫>・・・・・・
リツ子「今、灯りをつけるわ」
ガシャン!
初号機「……」
シンジ「……」
リツ子「(え?ノーリアクション!?)」
シンジ「……」
リツ子「(何か訊きなさいよ!)」
シンジ「……」
リツ子「…あー、コホン。これはね、人の作り出した究極の汎用人型決戦兵器
人造人間エヴァンゲリオン。その初号機よ。」
シンジ「はあ」
リツ子「……」
シンジ「……」
ゲンドウ「シンジ!」
シンジ「…父さん」
ゲンドウ「久しぶりだな」
シンジ「はあ、久しぶり」
ゲンドウ「今まですまなかったな」
シンジ「!?」
シンジ「……は?」
ゲンドウ「見ての通りパパは今までとても大事な仕事をやっていたのだ。
そう、人類を救う大切な仕事だ!」
ミサト「(パパ!?)」
リツ子「(キモッ!)」
ゲンドウ「その為にお前にかまってやれなかったことは本当にすまないと思っている」
ドゴーン!!
ゲンドウ「ぬおっ!奴め、ここに気付いたか!
頼むシンジ!このロボットに乗って戦ってくれないか?」
ミサト「しかし!レイでさえシンクロするのに7ヶ月もかかったのに…
いま来たばかりのこの子にはとても無理です!」
リツ子「座っていればいいわ。それ以上は望みません」
ゲンドウ「シンジ。お前にしか出来んのだ、その理由も後で話す。
今は時間が無い、頼む、乗ってくれ」
シンジ「はあ」
:
:
マヤ「エントリープラグ、注水」
シンジ「……」
リツ子「!!」
ミサト「なに驚いてるのリツ子?」
リツ子「LCLの説明はしていなかったのに…
彼、なんの躊躇いもなくLCLを吸い込んだわ」
ミサト「…それってつまり?」
リツ子「わからないわ。でも、何かあるわね。
使徒にもエヴァにも驚かなかったのにも何か関係があるのかもしれない」
「主電源接続」
「全回路、動力伝達」
リツ子「了解」
マヤ「第二次コンタクトに入ります。A10神経接続、異常なし」
リツ子「思考形態は日本語を基礎原則としてフィックス。初期コンタクト、すべて問題なし」
マヤ「双方向回線開きます。シンクロ率……え!?」
リツ子「どうしたの、シンクロ率は?」
マヤ「あ、す、すみません。シンクロ率、は、81.7%」
リツ子「なんですって!?」
コウゾウ「碇、これはもしや…」
ゲンドウ「ああ。間違いない。シンジも戻って来ている…
…………しまった」
コウゾウ「どうした」
ゲンドウ「さっきパパとか言ったのが恥ずかしくなってきた」
ミサト「発進!!」
ミサト「シンジくん、今は歩くこ……シンジくん!?」
シゲル「初号機!目標に向かって全力疾走!」
ガキィーン!
ミサト「あ、あれは!?」
リツ子「使徒のATフィールド…!あれがある限り使徒には接触できな…」
シゲル「初号機もATフィールドを展開!位相空間を中和していきます!」
リツ子「なっ…!」
初号機「がおー!」
サキエル「うわー!」
ちゅどーん!
シゲル「も、目標消滅…」
ミサト「…い、一体何者なの、彼……」
コウゾウ「圧倒的だな」
ゲンドウ「ああ」
コウゾウ「まあ、第四使徒の光の鞭や、第五使徒の加粒子砲が一撃で致命傷だったのに対し
あいつの攻撃は何発も打ち込んでようやく初号機の装甲を壊せる程度だったからな。
初号機がその上ATフィールドを展開すれば手も足も出まい」
:
:
リツ子「…おつかれさまシンジくん」
シンジ「はあ」
リツ子「付いてきて。色々と検査しないといけないの。
訊きたいことも山ほどあるわ」
シンジ「はあ…その前にシャワー浴びたいんですが。
LCLでベトベトなので、出来れば替えの服も…」
リツ子「…シンジくん」
シンジ「はあ」
リツ子「どうしてその液体がLCLという名前だと知ってるの?」
シンジ「あ」
リツ子「…悪いけどシャワーは後にして。検査が先よ」
ゲンドウ「かまわん」
リツ子「司令!?」
ゲンドウ「シンジ、シャワーを浴びてこい。替えの服も用意させる」
シンジ「はあ」
リツ子「しかし…!」
ゲンドウ「かまわん」
リツ子「はい…
(司令は既に知っているのね…シンジくんのこの得体の知れない"何か"の正体を…)」
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
コウゾウ「シンジくんは?」
ゲンドウ「着替えが終わったらここへ来るように伝えた」
コウゾウ「そうか」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「…碇、お前もユイ君に会えたんだな?」
ゲンドウ「ああ」
コウゾウ「もういいのか?」
ゲンドウ「…人は思い出を忘れることで生きていける」
コウゾウ「これからどうするつもりだ?」
コンコン
ゲンドウ「シンジか、入れ」
シンジ「……」
ゲンドウ「率直に訊こう。お前もサードインパンクトが起こった世界から戻ってきたんだな?」
シンジ「…そう、父さんもなんだね」
ゲンドウ「ああ。ついでに冬月もだ」
コウゾウ「ついでとは何だ」
シンジ「そう…」
ゲンドウ「……」
シンジ「で、僕を殺すの?」
ゲンドウ「!? 何を言っている」
シンジ「父さんの補完計画を遂行するにおいて、色々知っている僕は邪魔なんでしょ」
ゲンドウ「…そのことだが
シンジ「殺すんなら早く殺してよ」
ゲンドウ「話をきけ。もう私に補完計画を遂行する意志はない。
今は……お前の幸せだけを願っている」
シンジ「…………僕にトウジを…友達を殺させようとして、牢に放り込んで。
もうエヴァに乗らないって言ったら…必要じゃなくなったら
『もう会うこともあるまい』って言ってまた僕を捨てた父さんが?」
ゲンドウ「……」
シンジ「それに…僕が第12使徒に飲み込まれた時
パイロットの生死は問わず初号機の救出が最優先って言ったんだってね」
ゲンドウ「……」
シンジ「そんな父さんが『僕の幸せを願っている』?ははは」
ゲンドウ「……本当にすまなかった」
シンジ「別に。どうでもいいよもう。話はそれだけ?」
コウゾウ「他に誰が戻ってきているのかはわからんかね?」
シンジ「わかりません」
コウゾウ「どうやって戻ってきたかは覚えてるかい?」
シンジ「覚えてません」
コウゾウ「…前の世界で覚えている君の最後の記憶は?」
シンジ「誰もいなくなった砂浜で寝てました。起きたら戻ってました。
ミサトさんが迎えに来てくれるところまで」
コウゾウ「むう…」
シンジ「あの」
コウゾウ「ん?」
シンジ「もういいですか?」
コウゾウ「ああ、そうだな、すまなかった。
使徒との戦闘で疲れているだろうに。また明日にしよう。
聞きたいことは尽きない、今後のことについても話合いたい」
シンジ「……」
コウゾウ「そうだ、住居の方だが、葛城三…いや、今は一尉だったな。
また同居するかね?」
シンジ「勘弁してください。一人でいいです」
コウゾウ「…そうか。とりあえず職員用の宿舎でいいかね?」
シンジ「どこでもいいです」
コウゾウ「わかった。今日はもう休んでくれ。
また、明日の10:00(ヒトマル:マルマル)にここへ来てくれないか?」
シンジ「わかりました。失礼します」
コウゾウ「さっきの言葉は本当か碇」
ゲンドウ「なんのことだ」
コウゾウ「シンジくんの幸せだけを願っていると言ったことだ」
ゲンドウ「ああ。私の残りの人生は全てシンジのために捧げよう…
…それで私の罪が清算されると考えているわけではないが」
コウゾウ「俺まで巻き込んでおいて今さら…勝手な奴だ」
ゲンドウ「…申し訳ありません」
コウゾウ「まあいい。お前がそう決めたのなら俺は何も言うまい。
ここまで来たら最期まで付き合ってやる」
コウゾウ「しかし…今のシンジくんの状態は危険だぞ」
ゲンドウ「ああ。完全に自暴自棄になっている」
コウゾウ「わかっているなら何とかしろ。お前が。
今もシンジくんと話していたのはほとんど俺じゃないか」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「とにかくシンジくんのことはお前が何とかしろ。親なのだから。
他にも考えなければたくさんあるのだぞ」
ゲンドウ「ああ、そうだな…」
コウゾウ「ゼーレに対してはまだ叛意を露にする必要はなかろう。
以前のように従順に接するのが吉だな。とりあえずは」
ゲンドウ「ああ。さしあたっての問題は次の使徒か…
……次の使徒…どんな奴だったか」
コウゾウ「は?」
ゲンドウ「俺は留守だったからな。多分今回もそうなるだろうが」
コウゾウ「戦闘記録ぐらい見ただろう」
ゲンドウ「…覚えてない。冬月に任せる」
コウゾウ「また貴様は…戻って来てまで俺に仕事を押し付けるつもりか」
ゲンドウ「頼みますよ冬月先生」
コウゾウ「先生と言えば許されると思うな」
ゲンドウ「今回はシンジとのコミュニケーションに時間を割かねばならんのですよ」
ゲンドウ「使徒との戦いも、今回は相手の特性も来襲日時もわかっている。
前回は何もわからずとも勝てたのだから問題なかろう」
コウゾウ「勝てたと言っても毎回綱渡り、紙一重の勝利だったではないか。
それに"わかっている"のは我々だけだろう。
作戦の立案も指揮も葛城君が行うのだぞ」
ゲンドウ「お前がやればいいではないか」
コウゾウ「出来るわけなかろう。作戦部は使徒が攻めてくる今まで仕事らしい仕事が無く
ネルフの金食い虫だとか穀潰しとか言われて苦汁を飲んできたのだ。
そのやっと来た仕事まで私が奪っては要らぬ反感を買うぞ」
ゲンドウ「お前が作戦部長を兼任して作戦部を使えばよい」
コウゾウ「葛城君を差し置いてか?彼女が納得すると思うか?
使徒を倒すためにネルフに入ったのだぞ彼女は」
ゲンドウ「問題ない。彼女はクビにする」
コウゾウ「解雇にするならばそれなりの理由が必要だぞ」
ゲンドウ「理由などどうとでもなる。
たとえば今日の使徒戦では何の役にも立っていなかった」
コウゾウ「それだけでは厳しいな」
ゲンドウ「今回は厳重注意に留めておく。『次はない』とな。
そして次の使徒との戦いは葛城君の指揮に任せ、シンジにわざと苦戦してもらおう」
コウゾウ「そして解雇か…。だが彼女は野に下らせるには情報を持ちすぎているぞ。
戦自あたりに売らんとも限らん」
ゲンドウ「解雇した後に事故に見せかけて始末すれば良い」
コウゾウ「そうだな」
コウゾウ「だがちょっと待て。シンジくんは悲しむぞ。
シンジくんもお前なんかよりはよっぽど葛城君に心を許していたようだしな。
シンジくんの幸せだけを考えるのではなかったか?」
ゲンドウ「先ほどのシンジの様子を見るにその心配はあるまい。
何があったのかは知らんが、今はそれほど葛城君に執心していないようだ。
仮にそうだったとしても、葛城君が死ぬのは事故なのだ。
事故ばかりはどうしようもあるまい」
コウゾウ「事故なら仕方ないな」
ゲンドウ「そういえば赤木博士が何やら感づいていたな」
コウゾウ「我々が遡ってきたことを誰かに知られるのはまずいな。少なくとも今はまだ。
ん、まずいのではないのかね?
シンジくんはこの後、赤木博士に呼び出されていたようだが」
ゲンドウ「シンジとて遡ってここにいる。うまくやるさ」
コウゾウ「随分信頼しているんだな」
ゲンドウ「自慢の息子ですから」
コウゾウ「だが相手があの赤木博士では厳しいのではないか?」
ゲンドウ「問題ない。いざとなれば始末すればいい」
コウゾウ「馬鹿を言うな。赤木博士なくしてエヴァとMAGIの運用はならんぞ。
それにダミープラグの…そうだ、ダミープラグはどうするんだ?」
ゲンドウ「開発は進めておくに越したことはない。
例の計画がなくなった今、それほど重要性は無いがな」
コウゾウ「使う時は来るのか?前回はたしか第13使徒戦だったか」
ゲンドウ「あいつが戦いを拒んだから使うことになったがな
例えば今回シンジが本気で戦ったとしても、勝てる保証はあるまい」
コウゾウ「確かにな。零号機も弐号機も一蹴した使徒だったからな」
・・・・・・<ネルフ内、とある廊下>・・・・・・
リツ子「待ってたわよシンジくん」
シンジ「……」
リツ子「お父さんとの3年ぶりの再会はどうだった?」
シンジ「はあ。別に」
リツ子「…そ。じゃあこれから色々検査があるから付き合って貰えるかしら」
シンジ「…今日はもう帰って休めと言われました」
リツ子「…検査が終わってから休んでちょうだい。
エヴァに乗ったことであなたの体に何らかの異常が生じているかもしれないの」
シンジ「いえ、結構です」
リツ子「結構?勘違いしないでね、別にあなたの為だけに検査するわけじゃないの。
これからもエヴァを運用していくのに必要な検査なの」
シンジ「お断りします」
リツ子「これは命令です」
シンジ「命令?僕はここの職員でもないから、あなたの部下でもありません」
リツ子「…何を言っているの?
あなたは既にサードチルドレンとして任命されたの」
シンジ「はあ。任命するのは勝手ですが、受諾した覚えはありません」
リツ子「拒否権は認められないわ」
シンジ「はあ、そうですか。じゃあこちらも言い直します。
僕は副司令に今日はもう帰って休めと"命令"されました」
リツ子「……」
シンジ「じゃあ失礼します」
リツ子「…ひとつだけ教えてくれるかしら
どうしてLCLを知っていたの?」
シンジ「…司令か副司令に聞いてください。それじゃ」
リツ子「……」
・・・・・・<ネルフ内、とある病室>・・・・・・
レイ「……呼ばれなかった……何故……?
前と違う……? …碇君。 ……碇君。
…今度こそ碇君とひとつになるの…」
.第一話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
・・・・・・<ネルフ内、職員用休憩所>・・・・・・
ミサト「あらリツ子。シンジくんは?」
リツ子「帰ったわよ」
ミサト「はあ!?」
リツ子「副司令に帰れって言われたからですって」
ミサト「何よそれ!それでアンタほんとに帰しちゃったの!?」
リツ子「…ああ言われちゃ仕方ないわよ」
ミサト「ああって?」
リツ子「かくかくしかじか」
ミサト「はぁ!?なんなのよそれ!
司令の子供だからって調子んのってんじゃないの!?
ほんっとどこまでも可愛くないガキねー」
リツ子「(司令の息子だから…?
違うわね…そんな理由じゃない…何を隠してるのかしら…
あの子も…司令も……副司令もね…)」
ミサト「ってどうすんのよ、今日中に伝えないといけないことたくさんあるのに。
機密の保持に関してや、今後の訓練のスケジュール云々や…」
リツ子「直接シンジくんの所に行ってみたら?」
ミサト「直接って…どこにいるのよ?まだ住居も決まってないんじゃないの?」
リツ子「そういえばそうね。私も知らないわ。
その事もそうだし、色々聞かないといけないことがあるわね。
これから司令の所へ行くけれど、あなたも付いてくる?」
ミサト「…そうね」
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
コウゾウ「レイはどうする」
ゲンドウ「…レイ……」
コウゾウ「補完計画なき今、レイの必要性は零号機パイロットとしてのみだが…
…そういえばシンジくんはレイのことをどこまで知っているのかな…」
ゲンドウ「…あれにも出来ることならば幸せになってもらいたい」
コウゾウ「本気か?レイに人並みの生活など望めんだろう。
『幸せ』という概念があるかどうかもわからんものだ」
ゲンドウ「…いや、あれは最後に私よりもシンジを選んだ」
コウゾウ「…本当か」
ゲンドウ「ああ。レイにもきっと…
プルルルルル…
ガチャ
ゲンドウ「私だ……わかった、通せ」
コウゾウ「赤木博士か?」
ゲンドウ「ああ。葛城君も一緒だ」
:
:
リツ子「早速ですが、今後のシンジくんの処置についてお話したいのですが」
コウゾウ「ふむ」
リツ子「彼はサードチルドレンとして登録、まずこれはよろしいのですね?」
コウゾウ「……まだ本人に確認は取っておらんがな。
あらかたは説明した。おそらく了承してくれるだろう」
リツ子「早めに了解を取っていただけると助かります。
先ほど、彼に検査を要求したのですが『自分はここの職員ではない』と一蹴されましたから」
ミサト「この後の訓練スケジュールにも影響が出ます」
コウゾウ「まあ待て。彼は今日ここに来たばかりで
いきなり見たことも聞いたこともないエヴァに乗せられ
使徒と戦わせられたのだ。精神的に混乱している。
いきなり迫っては了承してくれるものもしてくれなくなるぞ。
焦らず、今は落ち着かせるのが先決だ」
ミサト「混乱しているようには見えませんでしたが」
ゲンドウ「…何が言いたい」
ミサト「彼はここへ来る前からエヴァのことを知っていたと存じます」
ゲンドウ「そのような事実はない」
ミサト「彼の今日の戦闘、あれが初めてエヴァに乗った者の動きでしょうか?」
ゲンドウ「その今日の戦闘で君は何をしていた」
ミサト「え?」
ゲンドウ「作戦部は何の為にある。ただ戦闘を傍観するのが作戦部長の仕事か」
ミサト「…も、申し訳ありません」
リツ子「(…話題をすりかえたわね…)」
リツ子「戦闘経験の有無はともかく、彼がLCLを知っていたのは事実です。
説明も受けず肺に入れ、それがLCLという名であることも知っていました」
コウゾウ「む…」
リツ子「彼にそれを尋ねたところ、理由は副司令に聞いてくれと言われました」
コウゾウ「(っ…!なにぃ~、親子揃って俺に面倒を押し付けおって…!)」
リツ子「副司令」
コウゾウ「ん、あ~オホン、そう…初号機の最初の起動実験の日、シンジくんもその場にいたのだよ」
リツ子「!!」
コウゾウ「10年前とはいえ、目の前で母親の…
リツ子「副司令!」
コウゾウ「おっと、そうだな(ニヤリ)葛城一尉は下がりたまえ」
ミサト「…え?」
コウゾウ「ここからの話は技術部の管轄に属するA級機密事項だ。下がりたまえ」
ミサト「…わかりました。失礼します」
バタン
コウゾウ「ま、そういうわけだからな。
シンジくんがLCLを知っていても不思議ではないだろう」
リツ子「……。
(そう言っても、10年前といえば彼は3歳…。覚えているというの?
納得がいかないわね…やはり何か隠しているのね…)」
コウゾウ「君ももう下がりたまえ。
サードチルドレンの今後に関してはこちらで進める」
:
:
ゲンドウ「危なかったな」
コウゾウ「ああ。やはり赤木博士は要注意だ」
<翌日>
コンコン
ゲンドウ「シンジか、入れ」
ガチャ
シンジ「……」
ゲンドウ「……」
シンジ「……」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「(ゴニョゴニョ)おい碇!シンジくんとコミュニケーションをとるのではなかったのか」
ゲンドウ「……シンジ」
シンジ「はあ」
ゲンドウ「おはよう」
シンジ「え?ああ…お、おはよう…」
ゲンドウ「……」
シンジ「……」
コウゾウ「……」
コウゾウ「…シンジくん、まず最初に聞いておきたいんだが
また初号機には乗ってくれるのか?」
シンジ「はあ。どっちでも…乗っても乗らなくても…どうでもいいですよ」
コウゾウ「…本当にすまない。君にはまた辛い目にあわせてしまう」
ゲンドウ「いいのかシンジ」
シンジ「死にたいとは思わないけど、別に死んだら死んだで構わないし」
ゲンドウ「シンジ!」
シンジ「…なに」
ゲンドウ「お前は死なない。 …私が守るから」
シンジ「……」
コウゾウ「……」
ゲンドウ「…………///(カァー)」
シンジ「でも条件があるんだ」
ゲンドウ「言ってみろ」
シンジ「ネルフには所属しない」
コウゾウ「!? どういう意味かね?」
シンジ「命令に従う義務が出来るのが嫌なんです。
今さら訓練も実験も大した意味を為さないでしょう」
コウゾウ「むう、しかしそれは…組織としてまずいのだよ。
他の者に示しが付かん」
シンジ「訓練や実験はともかく、戦闘中の作戦に従わなければいけないのが致命的です。
ミサ…葛城さんの作戦に。
葛城さんは遡ってきていないのだから…」
コウゾウ「ああ、その点は心配ない。作戦の指揮は私がとる」
シンジ「…葛城さんが大人しく降りるとは思えませんが…
あの人は父親の…」
コウゾウ「知っていたのかね」
シンジ「…ええ」
コウゾウ「そうなのだ。今のままでは彼女を降ろすのは難しい。
そこで一つ提案があるんだ。
次の使徒戦だけは彼女の指揮に従ってくれないか」
シンジ「…………ああ、なるほど、わかりました」
コウゾウ「ん?わかってくれたのか」
シンジ「ええ、それで苦戦しているように見せればいいんですね」
コウゾウ「その通り、すまんね。だから、どうだろう?
やはりサードチルドレンとしてネルフに籍を置いてくれないかね?
訓練や実験も必要最低限に抑える。週2回でいい」
シンジ「わかりました。それなら構いません」
コウゾウ「それで、次の使徒は大丈夫そうかね」
シンジ「ええ…前回もあれが無ければ勝っていたはずですから」
コウゾウ「ああ、君のクラスメートだったな…
今回はあんなことが無いようにシェルターの監視と警備を強化しておくよ。
そうだ、クラスメートと言えば、シンジ君の転入手続きをまだ済ませていなかったな」
シンジ「結構です」
シンジ「全て一度聞いた授業ですから」
コウゾウ「むう、しかし授業だけが学校の全てではないだろう。
将来のことも考えるとやはり学校には行った方がいい」
シンジ「将来?あんなことが起きるのに将来も何もないでしょう」
コウゾウ「…今回はああならないように最大限の努力をするつもりだ」
シンジ「そうですか。
"将来"は全部終わったとき僕が生きてたら、その時に考えますよ」
コウゾウ「……本当にすまなかった」
ゲンドウ「……」
・・・・・・<ネルフ内、とある病室>・・・・・・
レイ「……今日は碇君が葛城一尉とお見舞いに来たはず……
…来なかった…碇君……何故……?
…用済み…?…私は用済み……」
.第二話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
ミサト「週二日ァ!?」
リツ子「そ。それがシンジくんがサードチルドレンになる為に出した条件」
ミサト「ふっっっざけんじゃないわよ!
ドイツのアスカなんてもう10年も訓練してるのよ!
昨日今日やってきたばかりのシンジくんなんていくら時間があっても足りないってのに!」
リツ子「私に怒鳴られてもどうしようもできないわ。
副司令の決定よ」
ミサト「…ちょっち文句言ってやんないと気が済まないわコレ」
リツ子「およしなさいな。
あなた、先の戦闘での失態を責められたばかりでしょう。
シンジくんのことより自分のことを考えなさい。
(何にせよシンジくんのことはあなたの手に余る問題だもの)」
ミサト「だからこそよ!次の戦いで汚名返上しなきゃいけないのに!
その為にはシンジくんの訓練は不可欠なのよ!」
リツ子「…とにかく、これは司令部の決定事項。上に言っても覆らないわ。
そう、覆すならシンジくん自身の意思ね」
ミサト「! それよ!」
リツ子「でも、司令だってその辺は諭したでしょう、多分。
お父さんの司令が言っても聞かなかったのに、あなたに説得できるかしら」
ミサト「まっかせんしゃい!」
リツ子「何かいい考えでもあるの?」
ミサト「ええ。ほら、司令ったらあの時自分のこと"パパ"とか言ってたじゃないプッ
あの司令が自分の息子にあんな低姿勢で挑むとは思ってもみなかったわププ
いや~、あの時は笑いをこらえるのが大変だったわよ、プププ」
リツ子「…で?」
ミサト「だーかーら!甘ったれてんのよあのガキは!
あの子に足りないのは厳しさよ!ガツンと大人の威厳ってのを見せてやるわ!!」
・・・・・・<職員用居住区>・・・・・・
ミサト「え~っと…FブロックB107…………この部屋ね」
ピーンポーン
「……」
ミサト「シンジくーん、いるー?」
ピンポピンポーン
「……」
ミサト「葛城よー、開けてくれないかしらー?」
ピピピピンポピンポーン
「……」
ミサト「いるのは知ってるのよ、開けなさい!」
ピピピンポピンピピピンポーンピピンポーン
ミサト「シンジくん!開けなさい!」
…ガチャ
シンジ「…なんですか」
ミサト「どうして早く開けなかったの?」
シンジ「…寝てたんですけど。
それよりピンポン連打はやめてください…近所迷惑です」
ミサト「だったら早く開けなさい!」
シンジ「だから寝てt…
ミサト「口ごたえするんじゃないの!」
シンジ「…は?」
ミサト「私はあなたの上官なのよ。その辺をわかっているのかしら?
中学生と言っても、ネルフに所属する以上そういったケジメは守ってもらうわ。
司令の子供だからといって我儘は通らないわよ」
シンジ「…今は勤務時間外なんですけど」
ミサト「何言ってるの?今はまだお昼の2時よ」
シンジ「…ですから、今日は僕は出勤日ではないんです。
僕の出勤は火・木の週二日って、聞いてませんか?」
ミサト「そんなの関係ないの!
ネルフは超法規の特務機関!休日だろうが勤務時間外だろうが
非常時には命令に従う義務があるの!わかる!?」
シンジ「今は非常時なんですか?」
ミサト「…っ!!」
シンジ「お帰りください」
バタン
・・・・・・<リツ子研究室>・・・・・・
ミサト「あんのクソガキィ~~~~!!」
リツ子「…仕事の邪魔をするなら帰ってくれないかしら」
ミサト「何言っても聞く耳もたないのよ!
リツ子「わたし忙しいのだけれど」
ミサト「なんっでアンタはそんな冷静なのよ!」
リツ子「仕方ないでしょう。上が決めたことなんだから。
とりあえず次の火曜はシンジくんのシンクロテストが入ってるし
その時に色々と訊いてみるわよ」
ミサト「…シンクロ率80%だっけ?あれはどういうことなの?」
リツ子「だから今は何もわからないって言ってるでしょう。
(聞く耳もたないのはミサトも同じね…)
そうそう、シンジくんのスケジュールなんだけど
火曜が実験、木曜が訓練になってるから」
ミサト「…ふふふ」
リツ子「なに?気味悪いわね」
ミサト「そう、訓練があるのよね…
みっちりしごいてやるわあのクソガキ、血ヘド吐くまでやってやるわ!
大人の怖さっていうのを教えてあげなきゃね…ふふふ」
・・・・・・<火曜日>・・・・・・
マヤ「シンクロ率、82.1%で安定。ハーモニクス異常ありません」
リツ子「…大したものね。この前のはまぐれじゃなかったようね」
マヤ「すごいですね…」
リツ子「…わかってはいたけどね」
マヤ「え?」
リツ子「いえ、なんでもないわ…。
シンジくん、聞こえる?あがっていいわよ」
シンジ「はあ」
リツ子「シャワー浴びて着替えたら私の研究室に来てちょうだい」
シンジ「はあ」
・・・・・・<リツ子研究室>・・・・・・
リツ子「かけてちょうだい」
シンジ「はあ」
リツ子「そうね…訊きたいことはたくさんあるのだけれど
何から訊こうかしら」
シンジ「……」
リツ子「この前の戦闘のことなんだけれど
どうやってATフィールドを張ったの?」
シンジ「…ATフィールド?」
リツ子「…使徒が使ってた光の防壁。あなたも使ってたでしょう」
シンジ「はあ、使ってましたか?わかりません」
リツ子「ATフィールドを破るには同じくATフィールドが必要なの。
まさしく初号機が使徒のATフィールドを破ったとき
初号機からもATフィールドの発生を確認したわ」
シンジ「はあ、そうなんですか。よくわかりません」
リツ子「…じゃあ使徒と戦っていた時に考えていたことを
なるべく詳しく教えてくれる?」
シンジ「はあ、ただ助走をつけて力いっぱい殴ろうと。
で、実際その通り殴りつけて。気付いたら勝ってました」
リツ子「そう。じゃあコアを狙ったのは何故?」
シンジ「コア?」
リツ子「…使徒の胸にあった赤い玉よ。そこを殴ったでしょう」
シンジ「はあ、そうでしたっけ。別にどこに狙いをつけていたわけではありませんが。
偶然そこにヒットしたんでしょう」
リツ子「コアは使徒の弱点なの。一撃で偶然そこを捉えたというのかしら?」
シンジ「…言いたいことがよくわかりませんが」
リツ子「率直に訊くわ。あなた何者?」
シンジ「碇シンジです」
リツ子「そういうことじゃないわ。
どうして使徒とエヴァを知っていたの?」
シンジ「いや、知りませんでしたけど」
リツ子「知りもしないエヴァをあんなに上手く乗りこなし
知りもしない使徒の弱点を見抜き一撃で葬ったというわけ?」
シンジ「はあ、そうなんじゃないですか」
リツ子「…どうしても教える気はないみたいね」
シンジ「いやあ、知ってることは全て教えてるつもりですけど」
リツ子「…もう今日はこれでいいわ、下がってちょうだい」
シンジ「はあ、失礼します」
バタン
リツ子「……」
:
:
ミサト「で?何かわかったわけ?」
リツ子「大した収穫はないわ。
ただ、エヴァと使徒のことをここに来る前から知っていたのは確かのようね」
ミサト「どうやって」
リツ子「とことんしらばっくれてたわ。
シンジくん自身の意思で言わないのか、司令に口止めされてるのか」
ミサト「文字通りの秘蔵っ子ってわけね。
ま、いいわ。明後日は訓練の日、私の出番ね…ふふふ
力ずくでも聞き出してやるわ、ふふ」
リツ子「何を考えているの、拷問でもするつもり?」
ミサト「なーに物騒なこと言ってんのよ、あくまで訓練よ、ク・ン・レ・ン♪
ま、ちょーっちキツイかもしれないけど、人類の未来のためだから仕方ないわね!
でも、知ってること話してくれたら訓練も少し優しくしてあげるか・も・ねってだけのことよん」
・・・・・・<ネルフ内、とある病室>・・・・・・
レイ「……明日で退院……碇君…一度も来なかった……
……何故……?碇君…何があったの……?
…でも学校……学校に行けば会える…碇君……」
.第三話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
・・・・・・<第三新東京市立第壱中学校>・・・・・・
レイ「……」
女生徒A「(ヒソヒソ)あ、綾波さんよ…」
女生徒B「(ヒソヒソ)どうしたのかしら…あの怪我」
レイ「(……碇君…いない……まだ来ていないの?)
教師「えー、じゃあHR始めます」
レイ「(碇君…来ない……欠席?)
教師「出席を取ります。相田ー」
ケンスケ「はーい」
教師「上田ー」
上田「はーい」
レイ「!? 碇君は!?」
教師「ん?どうしましたか綾波さん」
レイ「碇君…」
教師「イカリ?誰かねそれは」
レイ「(…どういうことなの……)」
レイ「…早退します」
教師「え?ちょっ、綾波さ…
・・・・・・<リツ子研究室>・・・・・・
コンコン
リツ子「開いてるわよ」
ガチャ
レイ「失礼します」
リツ子「レイ?あなた今日から学校でしょう?」
レイ「い…サードチルドレン」
リツ子「え?」
レイ「サードチルドレンはどこですか?」
リツ子「レイ…あなた彼のこと知ってるの?」
レイ「……いえ」
リツ子「どうしてあなたがシンジくんを探しているの?」
レイ「…………………戦闘」
リツ子「え?」
レイ「使徒との戦闘について…と、エヴァの操縦
…について、訊きたいことが」
リツ子「……」
レイ「……」
リツ子「(シンジくんはレイのことを知っているのかしら…
……彼なら何を知っていてもおかしくないわね。
知っているとしたらどこまで知っているのか…
フフ、なるほどこれは面白いかもしれないわね)」
レイ「…赤木博士」
リツ子「え?ああ、ごめんなさい。シンジくんね。
そうね、会って話を聞いてみるのも今後の為にいいかもしれないわね。
本部に住んでるから会ってみるといいわ」
レイ「…本部に?」
リツ子「ええ、職員用の居住区よ。いま住所書いてあげる」
レイ「(本部に住んでる…? …どういうことなの……)」
・・・・・・<職員用居住区>・・・・・・
レイ「…FブロックB107……ここ。
……ここに…碇君が…」
ピンポーン
・・・・・・<リツ子研究室>・・・・・・
リツ子「…着いたようね。
フフ、職員用居住区なら監視カメラの備えはバッチリよ」
ピンポーン
「……」
レイ「……」
ピンポーン
「……」
レイ「……」
ガチャ
シンジ「…はい………あ、綾波…?
レイ「!!」
シンジ「……
(あれ?僕ってまだ綾波と面識ない筈だよね…
なんで?あ、いま"綾波"って言っちゃった。
まずかったかな…まあいいや、別にどうでも)」
レイ「そう…碇君もなのね…」
シンジ「!!」
《リツ子「…さすがに音声までは拾えないけど…今のシンジくんの唇…
間違いなく"あやなみ"と言っていたわ…」》
シンジ「…もしかして…綾波も?」
レイ「碇君……碇君!」
ぎゅっ!
シンジ「あ、あ、綾波!?」
《リツ子「…レイがいきなりシンジくんを抱き締めた…?どういうこと…?」》
レイ「碇君…ひとつになりましょう」
シンジ「え、ちょっ、待っ…
(え?どういうこと?"ひとつになりましょう"って…
え、それって確か第16使徒の時の…でもあの時綾波は…
この綾波は2人目?3人目?いや、この綾波の体は間違いなく2人目だけど
遡ってきてるってことは中身は3人目?
でも"ひとつに~"って言ってたのは2人目の…あれ、わかんない
3人目も言ってたっけ?いや、3人目の綾波とはほとんど話してないし
いや、でも聞いた気が、あれ、なんでだろう、ああ、あの巨大化した綾波の…
あの辺記憶が曖昧で…ってとにかくこの状況はよくないよ
ネルフは監視カメラだらけだもん、これリツ子さんあたりに見られてたらまた面倒な…
ねえ、初対面のはずの二人がこんな…どうしよう、とりあえず綾波に、どうしよう…
…………いいや、別にどうでも。副司令になんとかしてもらえば」
レイ「碇君…」
シンジ「あの、綾波。話があるんだ、ちょっと…とりあえず離れてくれないかな」
レイ「…このままでも話はできるわ」
シンジ「いや、まずいんだよ。僕らは"初対面"だから…その…察してよ。
(盗聴まではされてないとは思うんだけど…ここで話すのはまずいよね)」
レイ「…わかったわ」
シンジ「司令執務室に行こう」
レイ「何故」
シンジ「副司令から詳しく話を聞くといいよ」
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
プルルルルル…ガチャ
ゲンドウ「私だ…………繋げ。
……私だ。 …………わかった」ガチャ
コウゾウ「誰だ?」
ゲンドウ「シンジだ。今から来る。レイも一緒だ」
コウゾウ「レイ?…………ま、まさかレイも…?」
ゲンドウ「…おそらく」
:
:
ゲンドウ「入れ」
ガチャ
シンジ「……」
レイ「失礼します」
ゲンドウ「…シンジ」
シンジ「ん」
ゲンドウ「…レイもか?」
シンジ「うん」
ゲンドウ「そうか…」
コウゾウ「なんと…!これで4人目か…」
レイ「?」
シンジ「綾波。この二人も"戻って来てる"んだ」
レイ「!! …そう。何故」
シンジ「わからないよ」
コウゾウ「レイ、お前はどこまで覚えている?」
レイ「第16使徒との戦いで…自爆」
コウゾウ「なに?では…」
シンジ「え!? じゃあ…綾波は2人目の…」
レイ「2人目…?
…そう、やはり私は、死んだのね…
3人目が、いたのね……」
シンジ「……」
レイ「(では…碇君は…知っている…?
知られている…。私は、ヒトじゃない…こと…)
…………い、碇君…」
シンジ「……」
コウゾウ「(レイが…怯えている?そんなことがあるのか…)」
ゲンドウ「…シンジ、お前はレイのことをどこまで知っている」
レイ「…やめて」
シンジ「父さん…」
ゲンドウ「かまわん、言え」
シンジ「…地下の水槽にいるたくさんの綾波を見たよ…」
レイ「!!」
ゲンドウ「…レイ、耳を塞ぐな。お前も聞け」
コウゾウ「おい碇…」
ゲンドウ「かまわん、続けろシンジ。他には」
シンジ「…知っているのはそれだけだよ…。
でもサードインパクトで見たよ…綾波と…カヲルくんを…。
だからきっと綾波もカヲルくんと同じ…その……
ゲンドウ「わかった、もういい」
レイ「(……そう…ワタシは、ヒトじゃない……
ヒトはヒトでないものを拒絶する……碇君も……)
………………だめなのね……もう……」
コウゾウ「(泣いている…レイが!?レイにここまで激しい感情があったとは…。
…だが何故?
…シンジくんか…? シンジくんに知られたことが怖いのか?悲しいのか?)」
ゲンドウ「シンジ、お前には全て教えてやる。
レイのことを話す前にお前の母親のことを話さねばなるまい」
シンジ「……母さんの?」
ゲンドウ「ユイは初号機に溶けたのだ。第14使徒戦の時のお前のようにな」
シンジ「…知ってるよ。
というより思い出したんだ。サードインパクトの時にね…」
ゲンドウ「そうか…。
お前の場合はサルベージに成功したが、ユイは帰ってこなかった…」
シンジ「……」
ゲンドウ「魂は初号機に残り、欠けた肉体だけが戻ってきた。
その欠けた肉体を、第二使徒リリスの魂と体組織で補完して生まれたのがレイだ」
レイ「(…………そう…………そうだったの…
……司令が私を通して見ていたのは…碇ユイ、その人…
……でも、もういい…どうでも…。
再び無に還ることが私の使命…望み……そのための存在…造られた……)」
シンジ「…じゃあ綾波は僕の母さん…?
え…でも…使徒……? ……え?」
レイ「(…そう、使徒……ヒトとは相容れない…私は…)」
ゲンドウ「ユイの肉体から造られたといってもユイと同じではない。
遺伝子的にも似てはいるが別人だ」
シンジ「……はあ」
コウゾウ「(碇め、どういうつもりだ…なぜ話した……?
シンジくんとレイの幸せを願うと言ったのは嘘だったのか?
見ろ、シンジくんは混乱してるし、レイは泣いたまま放心してるぞ…)」
ゲンドウ「そうだな…レイはユイの娘といったところだ」
シンジ「はあ」
ゲンドウ「つまりお前らは兄妹ということだ」
シンジ「は?」
レイ「…え?」
シンジ「…僕と綾波が…兄妹?」
ゲンドウ「一応お前の方が先に生まれているからお前がお兄ちゃんだ」
コウゾウ「(おい、そのツラで"お兄ちゃん"とか言うのやめろ)」
レイ「兄妹…?絆……
お兄ちゃん…?兄…?……碇君が……でも、私は…
ゲンドウ「人間とて18番目の使徒だ」
レイ「!!」
ゲンドウ「地下の素体も時期が来れば処分する。
もはやお前に代わりはいない……レイ、これからは好きに生きろ」
レイ「司令…」
ゲンドウ「シンジ」
シンジ「……」
ゲンドウ「シンジ!」
シンジ「え?…あ、ああ、なに?」
ゲンドウ「妹を守るのは兄の役目だ」
シンジ「妹?…ああ、綾波が……妹…」
ゲンドウ「シンジ」
シンジ「あい?」
ゲンドウ「苗字で呼び合う兄妹などいない」
シンジ「……」
レイ「……」
ゲンドウ「……」
シンジ「……レ、レイ///」
レイ「///」
ゲンドウ「(ニヤリ)今日はもう帰って休め」
:
:
コウゾウ「碇、お前もたまにはやるではないか」
ゲンドウ「たまにとはなんだ」
コウゾウ「しかし、ますますわからなくなったな」
ゲンドウ「何がだ」
コウゾウ「何故遡ってきたのかということだよ」
ゲンドウ「時間を遡るなどもはや人の為せる術ではない。
…考えるだけ無駄だ」
コウゾウ「たしかに、あのときのサードインパクトは
既にヒトの手から離れていたものだ…何が起こってもおかしくない。
だが、そういう意味ではない。何故我々なのかということだ」
ゲンドウ「む?」
コウゾウ「私とお前、そしてシンジくんとレイ。
何故この4人なのだ?遡ってきている者と、そうでない者の違いは何だ?」
コウゾウ「遡ってきた仕組みなど、お前の言った通り考えてわかるものではないだろう
だが、サードインパクト原因であることは間違いないと思っていた」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「だが、あのレイはそのサードインパクトすら経ていない…」
ゲンドウ「…今は先のことを考えるべきだ」
コウゾウ「その"先のこと"にも関わってくるだろう。
極端な話、ゼーレの中にも遡ってきた者がいたとしたら?」
ゲンドウ「……難しくなるな」
コウゾウ「ああ。だからせめて遡ってきている者の条件をある程度絞れれば
遡ってきた人物の推測が出来るだろう。
…碇、何か心当たりはないか?我々4人の共通点と考えてもいいだろう」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「……」
ゲンドウ「……ユイ」
コウゾウ「ユイ君?」
ゲンドウ「我々はみな、形はどうあれユイと縁が深い」
コウゾウ「…なるほど、では初号機の中のユイ君が我々4人を遡らせたと?」
ゲンドウ「わからん…が、そうだとした場合
他に戻ってきている可能性のある人物は?」
コウゾウ「キール議長とて戻ってきても不思議ではないだろう…」
ゲンドウ「……気が重くなってきた」
コウゾウ「一服いれるか…」
・・・・・・<ドイツ、とある地下>・・・・・・
カヲル「君に会える時が楽しみだよ……碇シンジくん」
.第四話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
・・・・・・<予告>・・・・・・
シゲル「パターン青!使徒です!
これは…まずい!既に本部内に進入してます!」
リツ子「なんですって!?」
マコト「この位置は…自販機コーナー!?」
シゲル「主モニターに回します!」
パッ―――――――――――――――
《ミサト「かーっ、疲れたー!ったくなんで自販機コーナーにビールが置いてないのよ!
それにしてもムカつくわねーあのヒゲ司令!」》
―――――――――――――――――
マコト「……え?」
リツ子「ミサト…?」
シゲル「ま、間違いありません!葛城一尉からパターン青が検出されています!」
ゲンドウ「…総員第一種戦闘配置」
リツ子「司令!?」
ゲンドウ「目標は確認しだい射殺しろ」
※第五話は未定です
・・・・・・<シンジの部屋>・・・・・・
シンジ「(…昨日は疲れたな…。
綾波が妹だったなんてね。
あの場では流されるまま感動のシーンを演じちゃったけど
正直、大した感慨が湧かないんだよね。
綾波はえらく感激してたな。あの綾波が…。
あの後しきりに意味も無く"お兄ちゃん"連呼してくるし。
でも、なんかどうでもいいんだよねホントもう。
なんでだろ、前の世界で綾波が死んだ時はあんなに悲しかったのに。
どうしてこうなったんだろう、僕は。いつからこうなったんだろう。
綾波が死んだ時…?
水槽の綾波が崩れていくのを見た時…?
壊れたアスカを見た時…?
カヲルくんを殺した時…?
……カヲルくん。
会いたいなカヲルくんに。
カヲルくん、今の僕を見たらなんて言うかな…。
こんな僕でもガラスのように繊細って言ってくれる?
カヲルくん……
…またあの時と同じことになったら…
今度は僕がカヲルくんに殺してもらおう…)」
ピンポーン
シンジ「(…誰だろう…今日の訓練は午後からだったよね
…まだ10時前だよ)」
ピンポピンポピンポーン
シンジ「(ああ…この連打は葛城さんだな…)」
ピピピピピンポピンポピンポーン
シンジ「(はは…頭の中でもいつの間にか"葛城さん"って呼んでる…
……そうだよ、"ミサトさん"はもうあの時に死んだんだよ……)」
ゴン!ゴンゴン!ゴン!
シンジ「(うわ、遂にドア蹴り出した…
放っておくと拳銃使っててでもこじ開けてきそうだ…開けるか…)」
ガチャ
シンジ「…はい」
ミサト「何をやってるの!!」
シンジ「はあ?」
ミサト「いま何時だと思ってるの!?」
シンジ「…10時です」
ミサト「10時ですじゃないでしょう!!
どうして訓練所に来ないの!?」
シンジ「…今日の訓練は午後からなんですけど」
ミサト「はァ!?訓練は週に1回なのに、それも午後から!?
甘えるのもいい加減にしなさい!」
シンジ「…いや、そう決められてるんで」
ミサト「そう、では作戦部長の権限によってあなたの訓練予定を変更します!
今から開始、終了時間は未定とします!さあ、とっと着替えてきなさい!!」
シンジ「…作戦部長」
ミサト「なにかしら?」
シンジ「僕、司令部所属なんですけど」
ミサト「……は?」
シンジ「ですから、僕の直属の上司は司令と副司令と青葉さんだけです」
ミサト「はァ!?チルドレンは作戦部所属よ!?
レイ…ファーストチルドレンもそうなんだからアンタも…」
シンジ「あ、ファーストチルドレンも昨日付けで司令部に異動になったそうです」
ミサト「……は?」
シンジ「お帰りください」
バタン
ミサト「…………きいいいいいいいいぃぃぃぃ!!!!!」
・・・・・・<リツ子研究室>・・・・・・
バーン!
ミサト「リィーツ子ー―!!」
リツ子「…ノックぐらいしてくれないかしら」
ミサト「レイとシンジくんが司令部所属ってどういうこと!?」
リツ子「シンジくんは元から。レイには昨日辞令が出たわ。
あなたの所にも書類が行ってるはずよ」
ミサト「知らないわよ!」
リツ子「はぁ…どうせまたあなたの執務室の書類の山に埋もれてるんでしょ。
たまには掃除したらどうなの?あなた最近生ゴミ臭いわよ」
ミサト「んなこと訊いてんじゃないわよ!何故なの!?」
リツ子「…これ見てみて」
ピッ
ミサト「…何これ?監視カメラの映像?」
リツ子「シンジくんの部屋の前よ」
ミサト「盗み撮り?趣味悪いわねー」
リツ子「…昨日、レイがここに来たの。
『シンジくんに会いたい』って」
ミサト「へえ、レイが他人に興味示すなんて珍しいわねー。
まさか一目惚れってやつぅ?(ニヤニヤ)
…ん?あれ?そういえばあの二人って…」
リツ子「そう、面識はなかったはず。昨日まではね。
まあ、とりあえず見てなさい」
:
:
ミサト「…なにこれ、どういうこと?」
リツ子「で、この後は二人で司令の執務室に向かったみたいね」
ミサト「…ワケがわからないわ、ちゃんと説明して」
リツ子「説明も何も今見せた通りよ」
ミサト「あの二人、今のが初対面なんじゃないの?」
リツ子「そうじゃないのは確かね」
ミサト「聞いてないわよ!?
マルドゥックの報告書の経歴にもレイとの接点なんてなかったわ!」
リツ子「"聞かされていない"のよ。私たちには。
ちなみに、この二人が司令の執務室から出てきてしばらくしてからね
レイの異動の辞令が出たのは」
ミサト「……一体何を考えてるの司令は?
シンジくん…レイも、一体何を知ってるの?」
リツ子「それが私達も知っていい情報なら、とっくに知らされているわ。
わかる?つまり"知ってはいけない情報"なの。
下手に頭突っ込むと痛い目見るわよ」
ミサト「…あんたはそれで納得できるの?」
リツ子「仕方ないじゃない。司令部の所属になったら迂闊に探りも入れられないわ。
(…なんて、私はレイに接触する機会はいくらでもあるから)」
ミサト「ぐっ…!」
・・・・・・<ネルフ内、とある廊下>・・・・・・
シンジ「(…訓練、やけに易しかったな。3時間で終わったし。
父さんか副司令がそういう風に手回してくれてるんだろうな。多分、副司令。
組織として云々とか言ってたから、訓練してるっていう事実さえあればいいんだろう。
それに使徒なんて訓練して勝率上がるような相手じゃなかったもんな、今思えば。
次に来るカブトガニはともかく。
あと魚と…分裂マンと…参号機と、僕が初号機に溶けた時の奴。
それくらいじゃないかな、戦闘らしい戦闘したの。
他は空から落ちてきたり融合してきたりで、訓練なんか全然活きない相手ばっかり…)」
レイ「お兄ちゃん」
シンジ「(まだ4時か…暇だな…。
暇だけど別に何かする気にもなれないんだよな)」
レイ「お兄ちゃん」
シンジ「(帰って寝るかな)」
レイ「お兄ちゃん!」
シンジ「…ん?あ、綾波。いつの間に」
レイ「…(ムッ)」
シンジ「あ…レイ」
レイ「(ニコッ)」
シンジ「なんで本部に…?何かあった?」
レイ「…お兄ちゃんに、会いに」
シンジ「(お兄ちゃん?…あ、僕のことか)
あ、ああ、そうなの…。何か用?」
レイ「…学校」
シンジ「ん?」
レイ「学校。何故、来ないの?」
シンジ「一度聞いた授業だし」
レイ「…中学校は、義務教育」
シンジ「…そうだね」
レイ「……」
シンジ「……」
レイ「……」
シンジ「(睨まないでよ…)」
シンジ「わ、わかったよ。そのうち行くよ(行かないけどね)」
レイ「いつ?」
シンジ「…そ、そうだね、転入手続きが終わったら行くよ」
レイ「いつ?」
シンジ「え?」
レイ「いつ、手続きするの?」
シンジ「え!?い、いつかなぁ~、わかんないよ」
レイ「いま」
シンジ「ええ!?い、今は無理だよ…」
レイ「なぜ」
シンジ「いや、ほら、保護者の承諾とか必要だし…」
レイ「そう。じゃあ行きましょう」
シンジ「え?」
レイ「総司令官執務室」
シンジ「ちょ、ちょっと待ってよ綾波!」
レイ「(ムッ)」
シンジ「あ、レイ…その、ちょっと待って」
レイ「なに」
シンジ「いや、父さんってあれで一応司令だし、忙しいから…
レイ「パパは『何かあったらいつでも来い』と言っていたわ」
シンジ「パパ!?」
シンジ「ちょっ、パパって…もしかして父さんの…こと?」
レイ「パパが、そう呼べって言ったから」
シンジ「(なに考えてるんだよ父さん…
そういえば"こっち"来て初めて会った時も僕に言ってたな。
元々パパって呼ばれたい願望があったんだろうか…
パパ…………うわ、気持ち悪い!
ってかまずいでしょ、ネルフの人たちは事情を知らないわけだし。
ある日いきなり綾波が父さんのことパパなんて呼び出したら
絶対違う意味のパパだと思われるよ
ただでさえ父さんはロリコン疑惑がかかってるのに…)」
レイ「…お兄ちゃん?」
シンジ「あ、ごめん。
あのさ、レイ。とりあえずその呼び方はやめた方がいいよ
(できればお兄ちゃんっていう呼び方もやめてほしいけど)」
レイ「なぜ」
シンジ「と、とにかくまずいんだよ」
レイ「なぜ」
シンジ「…副司令に訊いて」
レイ「じゃあ、なんて呼べばいいの?」
シンジ「今まで通り"司令"でいいよ」
レイ「……嫌」
シンジ「なんで?」
レイ「…家族、だから」
シンジ「(…なんか昨日の話聞いてから綾波、人が変わったようだよ…
…いや、そうでもないか。"前"の時も絆がどうとか言ってたし。
よっぽど人との関係が希薄だったんだな綾波…
それは"前"からわかってたけど、昨日の話を聞くと納得がいったし
それは僕が想像してた以上なんだろう…
……なんかそう考えると綾波が可哀相に思えてきた)」
レイ「……」
シンジ「…そうだね、じゃあ"ヒゲ"なんてどうかな」
レイ「…それはパパの一部であって、パパではないわ」
シンジ「愛称ってやつだよ」
レイ「…ヒゲ」
シンジ「そう、ヒゲ。次から父さんを呼ぶときはそう呼ぶといいよ」
レイ「…ヒゲ.…ヒゲ…」
シンジ「(今がチャンス)
じゃあ、僕は帰るから…」
:
:
シンジ「(学校のことはうまくうやむやに出来て良かった…
……学校か。
近いうちに死ぬってわかってるのに
知識を蓄えるとか、交友関係を築くとか…
そういう建設的なことする気になれないよ…。
いや、何もする気になれない…)」
・・・・・・<ドイツ、とある地下>・・・・・・
カヲル「シンジくん…今度こそ君だけは幸せにしてみせるよ」
.第五話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
・・・・・・<予告>・・・・・・
シャムシエル「第五話は全然話が進まなかったね。
次こそ僕が出てくると思うよ。
いきあたりばったり流れのままに話を進めてると
ミサトさんがでしゃばってきて、なかなか話が進まないんだよね。
だからミサトさんが死んだ後はもう少し話がスムーズに進むと思うよ。
うそうそ。出来るだけみんなハッピーエンドにしたいから。出来るだけ。
だから多分ミサトさんは死なないよ。多分。
え?シンジは誰とくっつくのかって?さあ?
誰かとくっ付くかもしれないし、このまま誰にも関心を示さず自殺するかもしれないし。
強いて言うなら、本命がカヲル、対抗馬がアスカ
ダークホースの副司令、大穴のレイといったところじゃないかな。
僕としては副司令を推したいね。シンジ×コウゾウハァハァ。。ごめん、うそ。
ラブコメ要素は期待しないでほしいな。
ゲンドウとリツ子の濡れ場くらいはあるかもしれないけど。
ごめん、うそ。そんなもんないよ。
その前にカヲルが出てくるところまで話が続くかもわからないよ。
下手するとアスカにすら会えないよ。僕もラミエルも強敵だからね。
そうそう、設定がおかしいところとかあるかもしれないけどごめんなさい。
たとえばこの話だと、イメージ的に
マヤはリツコの部下(=技術部)、マコトはミサトの部下(=作戦部)、シゲルはコウゾウの部下(=司令部)
ってなってるんだけど、原作ではちゃんと違う設定があるらしいんだ。
でも本編で言及されてないからいいかなあなんて。
生暖かくスルーしてもらえると嬉しいよ。
ああ、ちゃんと次回予告しないとね。次回は僕が主役だよ。
頑張って初号機倒すよ。次回が最終回になるように頑張るよ。応援してね!
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
ゲンドウ「冬月、例の件はどうなった?」
コウゾウ「ああ、なんとか上手くいったよ」
ゲンドウ「そうか」
コウゾウ「全く、嫌な仕事ばかり俺に押し付けおって」
ゲンドウ「向こうの要求は?」
コウゾウ「エヴァの研究資料の閲覧だ」
ゲンドウ「…よかったのか?」
コウゾウ「心配するな、渡す資料なんぞ当たり障りのない機密レベルの低いものだ。
これで穏便に事が済めば安いものだよ」
ゲンドウ「ポジトロンスナイパーライフル…
やはり、以前と同じように徴発してしまえば良かったのではないか?」
コウゾウ「あの時は状況が切迫していたから徴発も止むを得なかったが
ことさら戦自と溝を深めることもあるまい。
…今回はそもそもA-801など発令されないようにしたいがな」
ゲンドウ「…ああ。だが時期尚早ではないか?
まだ第四使徒も来ていないのだぞ」
コウゾウ「"前"の時、あの急ごしらえのライフルと盾で上手くいったのは
運が良かったに過ぎん。
ライフルも、通電設備も盾も。今回は万全の状態で臨まねば…
でだ、碇」
ゲンドウ「なんだ」
コウゾウ「やはり赤木博士は引き込めないのかね」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「今言ったライフルの点検・整備、盾の強化。
技術部の協力は不可欠だ」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「それだけではなく、この先のこともある。
MAGIにハッキングする使徒、あれは赤木博士が殲滅させたようなものだ。
他にも、虚数空間の使徒、参号機に寄生する使徒、衛星軌道上の使徒…
彼女に前もって協力してもらえば随分楽になるぞ」
ゲンドウ「…遡ってきたことを話せと?」
コウゾウ「そうは言っとらん。
要は『次はこういう使徒が来るから、こういうものを用意してほしい』
そういった命令に納得してくれればいいのだ」
ゲンドウ「…次に来る使徒のことがわかる、納得できる理由…か」
コウゾウ「そしてそれを秘密裏にする理由も合わせてな」
ゲンドウ「…………冬月先生」
コウゾウ「…やらんぞ。頼みにくい頼みごとをする前だけ先生呼ばわりするな。
赤木博士の説得はお前がやれ…彼女はお前のコレ(小指)だろう?」
コウゾウ「だが、その話を赤木博士にするなら葛城君を解雇した後だぞ」
ゲンドウ「む?」
コウゾウ「我々は次の使徒の特性がわかってるのに、それを作戦部長に伝えないのは致命的
なのに何故、技術部長の自分には伝えて作戦部長の葛城君には伝えないのかと
疑問を抱くだろう」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「その後に葛城君を解雇し、私が指揮を執るとなると
その葛城君の解雇は我々が仕組んだものだと赤木博士は感づくだろう」
ゲンドウ「なるほどな…」
コウゾウ「だから第四使徒戦で葛城君が目に見える失態を犯した後に解雇。
それから暫く後に赤木博士にこれから先の使徒のことを伝える。
第四使徒戦の時にはまだ使徒の情報は持っていなかったと言え」
ゲンドウ「……やはり冬月先生が説得してくれませんか」
コウゾウ「断る」
コウゾウ「それにな、シンジくんからも言われているのだよ」
ゲンドウ「なに?」
コウゾウ「赤木博士が会う度に色々勘ぐってきて、うっとおしいから何とかしてくれとな。
葛城君も、時には部屋まで訪ねてくると。追い返すそうだが」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「それと、シンジくんは本当に学校に行かせなくていいのか?
実験と訓練、それと食堂に食事に行く時以外はずっと部屋に篭もりっきりらしいぞ。
もしかしたら"こっち"に来てから一度も外に出てないんじゃないか?」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「レイからも何度も言われてるんだぞ。
『お兄ちゃんの部屋に行っても居留守を使われる』と。
碇…お前は本当にあの二人の親になる気があるのか?」
ゲンドウ「(……何故だ、何故シンジもレイも…私ではなく冬月に相談する…!?)」
ゲンドウ「…シンジの所へ行ってくる」
コウゾウ「もう9時過ぎだぞ。また明日にしろ」
ゲンドウ「…明日からは出張だ」
コウゾウ「ああ…そうだったな。
ならばなおのこと、お前ももう休め。
どっちにしろ行っても居留守を使われるだけだ」
ゲンドウ「……」
:
:
:
:
《ただいま、東海地方を中心とした、関東・中部の全域に
特別非常事態宣言が発令されました。
速やかに指定のシェルターに非難してください。
繰り返しお伝え致します…》
シャム「がおー!」
・・・・・・<発令所>・・・・・・
シゲル「目標を光学で捕捉、領海内に侵入しました!」
コウゾウ「総員、第一種戦闘配置」
「了解、対空迎撃戦、用意!」
マコト「第三新東京市、戦闘形態に移行します」
「中央ブロック、収容開始」
シゲル「政府、および関係各省への通達、終了」
「現在、対空迎撃システム稼働率53%」
ミサト「非戦闘員、および民間人は?」
シゲル「既に待避完了との報告が入っています」
ミサト「…碇司令の居ぬ間に第4の使徒襲来…意外と早かったわね」
マコト「そうですね…
(…なんか葛城さん最近生ゴミみたいな臭いがする…)」
「エントリー、スタートしました」
マヤ「LCL電化」
・・・・・・・・・・・・
シンジ「(…勝てるかな……まあ、別に勝てなくても…いや、よくないか…
カヲルくんに会うっていう一応の目標が出来たんだし…
でも、またあんな痛い思いするなら…いっそ……
いいや、どうでも…なるようになるさ……)」
ミサト「シンジくん、出撃…いいわね?」
シンジ「はあ」
ミサト「もっとシャキッとしなさい!シャキッと!!」
シンジ「はあ」
ミサト「わかってるの!?
あなたが負けたらみんな死ぬのよ!」
シンジ「はあ」
ミサト「…っ!…あんたねえ
リツ子「よしなさいミサト」
ミサト「…ちっ、エヴァンゲリオン発進!!
(いいわ、これで不甲斐ない戦いしてみなさい…
訓練日程、その他のあなたの扱いについての見直しを
上に叩きつける絶好の機会になるわ…)」
シャム「がおー!」
シンジ「(…副司令に言われた通り、最初はやられないと…
いやだな…痛いのは……)」
ミサト「敵のATフィールドを中和しつつ、パレットの一斉射!
いいわね!?」
シンジ「はあ」
バババババババババババババ…!!
ミサト「馬鹿!!爆煙で敵が見えない!何やってんのよグズ!!」
シゲル「(馬鹿、グズって…いくらなんでもそりゃ酷いっすよ葛城さん
あなたが出した命令でしょうが…)」
シャム「がおー!」
パシーン!
初号機「うわー、やられたー」
ズテーン
マヤ「左腕部装甲破損!」
ミサト「何やってんのよ!さっさと立ち上がりなさい!!」
コウゾウ「もういい、葛城一尉」
ミサト「副司令?」
コウゾウ「本作戦における葛城一尉の指揮権を剥奪。
以降は私が指揮を執る」
ミサト「副司令!?待ってください!」
コウゾウ「シンジくん、聞こえるかね?」
シンジ「はい」
コウゾウ「パレットライフルは捨てて、装備をプログナイフに変更。
ATフィールドで防御しつつ接近、コアへ直接攻撃だ」
ミサト「待ってください!危険で
シンジ「了解しました」
初号機「がおー!」
シャム「うわー!」
ちゅどーん
マコト「目標、完全に沈黙しました」
ミサト「……」
コウゾウ「葛城一尉」
ミサト「…はい」
コウゾウ「事後処理が一段落したら司令室へ来たまえ」
ミサト「……はい」
マコト「(葛城さん…)」
シゲル「(終わったな…)」
リツ子「(今回は…ダメかもね…)」
マヤ「(不潔…)」
.第六話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
Hosssh
シンジ「(なんかあっさり勝てちゃったな…
あのカブトガニ、もっと強かったような気がしたけど。
鞭もATフィールドで防げちゃったし。
前はATフィールドごと機体貫通されちゃったのに。
シンクロ率高いとATフィールドの強度も上がるのかな。
"前"のこの時と比べると、今はシンクロ率倍近く高いしね。
ああ、そういえばあの時トウジとケンスケ乗せてたんだっけ…
……トウジ…ケンスケ…
この頃から二人と仲良くなったんだよな…
それからしばらくは色々あっても結構楽しくやっていた気がする。
アスカも…アスカとは最初からずっとケンカばっかりだったけど
そんなに険悪なものじゃなかった。
トウジ…ケンスケ…アスカ……どこでおかしくなったんだろう…
やっぱり参号機…?あれにトウジが選ばれて……
足…トウジの足……僕が…………
……また死にたくなってきた)」
シンジ「(そもそも何でトウジがパイロットに…?
僕が選ばれたのはきっと初号機のコアに母さんがいるから…
じゃあトウジも…?
いや、参号機が完成したばかりだって聞いた。
トウジのお母さんはもうずっと前に亡くなったって…
…エヴァのコアにいるのは母親でなくてもいい…?
そう、綾波なんてそもそも母親が存在しないわけだし
…そうだ、相互間実験…綾波は初号機にも乗れたんだ
僕は暴走しちゃったけど、きっとシンクロできる可能性があるから
実験に参加させられたんだろうし。そしてアスカだけは不参加だった。
…やっぱりエヴァとの適正は血縁的なものに関係あるんだ…
じゃあトウジは……わからない…今度訊いてみよう。副司令に)」
シンジ「(副司令…そうだ、今回の戦い
一応副司令の言うとおりに出来たと思うんだけど、どうかな。
多分、これで葛城さんが作戦部長降ろされるんだろうな。
副司令も人の良さそうな顔して結構腹黒いよね。でも、仕方ないよね。
勝つためには先を知ってる副司令が指揮をとらないと。
葛城さんじゃ勝っても無駄な損害が多くなるだろうし。
葛城さん一人の私怨の為にみんなに危ない橋は渡らせる訳にはいかないよ。
作戦部長降ろされた後はどうなるんだろう…?
昨日まで上司だった人がいきなり同僚や部下になっても
本人も周りの人もやりにくいだろうし
きっと違う支部にでも飛ばされるのかな…?
…もう葛城さんと会うことは無いかもしれないな)」
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
コウゾウ「入りたまえ」
ガチャ
ミサト「…失礼します」
コウゾウ「なぜ呼ばれたかわかっているね?」
ミサト「…はい」
コウゾウ「そうか、話が早くて助かる。では、辞表をもらおうか」
ミサト「はァ!?」
コウゾウ「……」
ミサト「…は?……え、辞表?」
コウゾウ「…わかっていないではないか…」
ミサト「ま、待ってください!
私に至らなかった点があることは認めます!
ですが解雇とはあまりにも…
コウゾウ「初号機の小破、周辺地域への被害。
君が出した作戦の結果がこれだよ」
ミサト「使徒と戦う上である程度の損害は…
コウゾウ「指揮官にあるまじき感情的な言動」
ミサト「サ、サードチルドレンのあのような勤務制度では
作戦部との意思疎通、潤滑な命令伝達もままならず…
コウゾウ「話をすり替えるな葛城君。
それにシンジくんは君の命令に忠実に行動していたではないか。
命令の伝達に何の問題もなかった」
ミサト「くっ…!」
コウゾウ「さらに君は指揮権を剥奪された後も発言、指揮系統を混乱させた」
ミサト「……」
コウゾウ「『至らなかった点がある』どころの話ではない。
至る点が一つもないではないか」
コウゾウ「依願退職の形にするのはこちらの善意だ」
ミサト「…お願いします!どうか御再考を
コウゾウ「わかった、懲戒免職の方が良いのだな。
下がりたまえ」
ミサト「なっ…!?」
コウゾウ「正式な処分は碇が戻ってから通達されるだろう。
下がりたまえ」
・・・・・・<リツ子研究室>・・・・・・
ミサト「……」
リツ子「…どうだった?」
ミサト「…クビ」
リツ子「…でしょうね。
これからどうするの?」
ミサト「…ちょっち用意してもらいたい物があるんだけど」
リツ子「私に?」
ミサト「そう、リツ子にしか頼めないわ」
リツ子「私にしか用意できない物?
…一般人になったあなたに渡してもいい物かしらそれ」
ミサト「……お願い」
リツ子「ネルフの機密をできる限り握って
それを別の組織に売り込んで再起を図る、なんて言うんじゃないでしょうね?」
ミサト「……」
リツ子「悪いけど、協力はできないわね。
そんなこと私がOKすると思った?」
ミサト「なりふり構ってらんないのよ!」
リツ子「…出てってくれるかしら」
ミサト「リツ子!!」
リツ子「復讐なんて不毛なこと、もうおやめなさい」
ミサト「私はそれだけの為に生きてきたのよ!
私から父と青春を奪った使徒に復讐するために!
ここで降りたら私の今までの人生を全て否定することになる、それだけは…!」
リツ子「今までのことより、今からのことを考えなさい」
ミサト「…………もういいわ。
悪かったわね、変なこと頼んで。…行くわ」
リツ子「どうしてもやめられないのね」
ミサト「……」
リツ子「長い付き合いだったわね」
:
:
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
ゲンドウ「…どうだった?」
コウゾウ「被害は軽微。滞りなく終わったよ」
ゲンドウ「葛城君は?」
コウゾウ「全てシナリオ通りだ」
ゲンドウ「そうか」
コウゾウ「…次は赤木博士だな」
ゲンドウ「…ああ」
.第七話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
・・・・・・<予告>・・・・・・
◇「戻ってきたゲンドウ
解雇されたミサト
絆を求めるレイと、他人を拒絶するシンジ
それぞれの運命は…?
そして突如上空に出現した僕。
全使徒中、ゼルエルに次ぐ実力と、タブリスに次ぐ人気を持つ僕に対し
シンジとレイとコウゾウはどう立ち向かうのか!?
次回、最終回『決戦、第3新東京市』
この次もみーんなで見てね!」
ジャンピングオナニー
まず少し高い所(ベッドなど)でオナニーをします。そして、イきそうな瞬間そこからジャンプしてみてください、すると空中で射精する事が出来るので新しい快楽が生まれるでしょう。
注意点としては、空中で射精するために精液が飛び散る点と力が抜けてしまうのでうまく着地出来なくなり、ケガをする恐れがあります、注意してジャンピングオナニーに励んでください。みなさまが快適なオナニーライフを遅れる事を願っています。
・・・・・・<市内、とあるホテルの一室>・・・・・・
リツ子「…次の使徒?」
ゲンドウ「委員会からの情報だ」
リツ子「詳細を知りたいのですが」
ゲンドウ「文書に起こすことは出来ん。
私と冬月しか知ることを許されていない」
リツ子「……」
ゲンドウ「冬月がその情報を元に作戦を練っている。
君は冬月の指示に従ってくれ」
リツ子「…わかりました」
:
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
ゲンドウ「…といった感じで説得した。色々突っ込まれたが」
コウゾウ「どうやってかわした?」
ゲンドウ「細かいことは冬月に訊けと
コウゾウ「おい」
・・・・・・<シンジの部屋>・・・・・・
シンジ「(次の使徒…どうするのかな…
さすがにあれは正攻法じゃ勝てる気がしないよ。
地上に射出されて数秒でやられたからね。
またヤシマ作戦かな…?
あれでもまた成功させる自信ないな…
綾波も死にかけたし…
……まあ…副司令ならうまくやってくれるかな)」
シンジ「(…………それにしても暇だな。
学校は絶対に行きたくないし。
宿舎だとチェロも弾けないし。
…部屋変えてもらおうかな。
綾波が本部に来る度ここ訪ねてくるのもうっとおしいし。
それに常時地下っていうのもね
この鬱屈とした気分を作ってる一因のような気がする。
別に外に出たいわけでもないんだけど…
…副指令に相談してみるかな)」
ピッ ピッ ピッ
…プルルルルルルル…プルルルルルルル…プルルルルルルル…
シンジ「(…いない。父さんの所かな…?
そういえば前に司令室直通の回線教えてもらったな。
かけてみよう)」
ピッ ピッ ピッ
…プルルルルル・ガチャ
シンジ「…あ、父さん?僕。副司令いる?
いない?じゃあいいや」
ガチャ
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
…ツー、ツー
ゲンドウ「…………何故だ」
:
:
:
コウゾウ「…昨夜シンジくんから電話があってな」
ゲンドウ「なに!?」
コウゾウ「な、なんだ」
ゲンドウ「あ、いや……昨日の昼過ぎにここにもシンジから電話がきて
お前はいないかと言われてな…」
コウゾウ「そうか、悪かったな」
ゲンドウ「…で、なんだと?
(私ではなく冬月でないといけない用件とは一体…?)」
コウゾウ「住所を地上に変えてくれないかとな」
ゲンドウ「な…
(そんなもの私に言えばいいではないか…!
むしろ私に相談すべき内容ではないか!なぜ冬月に!?)」
コウゾウ「外に出ることはシンジくんの精神的にも良い傾向だと思ってな。
了承しておいたよ」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「そういえばレイも、もうあの廃屋に住まわせる必要はなかろう。
レイも新しい部屋に引越しさせるか」
ゲンドウ「…その必要はない」
コウゾウ「ん?何故だ」
ゲンドウ「レイもシンジも私の家に住めばよい」
コウゾウ「おい馬鹿やめろ」
ゲンドウ「何故だ。親子なのだから一緒に住むのは自然なことだ」
コウゾウ「そんなことを言い出したらシンジくんが
引越しをやめてまた宿舎に篭もりっきりになるぞ。
せっかく外に出ようとしているというのに」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「そういうのはもっと時間をかけて
お前がシンジくんと打ち解けてからにしろ」
ゲンドウ「むう…ならばレイだけでも…」
コウゾウ「やめろ」
ゲンドウ「何故だ」
コウゾウ「レイも最近は少しずつ感情を表すようになって
周りの色んなものに興味を持ち始めてきた
人格の形成途上のような状態だ。
そんな時にお前との同居がいい影響を与えるとは思えんな。
お前のその捻じ曲がった性格と嗜好がレイにまで移ったらどうする」
ゲンドウ「…最近口が悪くなってきたな冬月」
コウゾウ「しかしシンジくんとレイの同居はいいかもしれんな。
ゲンドウ「なに?」
コウゾウ「前にも言ったが、やはりシンジくんは絶対に学校へ行かせるべきだ
レイと一緒に住めば、レイが毎日学校へ行っているのに
シンジくんだけ家に引き篭もっているのも居心地悪かろう。
自然と学校へ行かざるをえまい」
ゲンドウ「……」
コウゾウ「それに、レイからもう何度も泣きつかれてるのだよ。
『お兄ちゃんが学校に来ない』『お兄ちゃんが私を避けている』
『やはり私はヒトではないから』と。
可哀相で見ておれんよ」
ゲンドウ「おい冬月」
コウゾウ「なんだ」
ゲンドウ「随分とシンジとレイに入れ込んでいるではないか」
コウゾウ「何を言っている?
これからはシンジくんとレイを幸せにするために生きると言ったのはお前ではないか。
お前は何をしてるんだ」
ゲンドウ「……私は何をすればいいのでしょう先生…」
コウゾウ「何はともかくまずは明日の使徒戦が片付いてからだな」
ゲンドウ「どうするのだ?」
コウゾウ「既にライフルは地上に設置済みだ。
発令所から遠隔操作で照準を合わせ発射できるように改良してある」
ゲンドウ「遠隔操作?エヴァを使わないのか」
コウゾウ「ATフィールドの中和が必要ないのだから
エヴァを使う必要もあるまい。
今回は前もって蓄電してあるから停電の必要もない」
ゲンドウ「盾は?」
コウゾウ「盾は赤城博士に一任したよ。機動性は問わず出来るだけ頑丈な物をと。
少なくとも"前"の急ごしらえの盾よりは頑丈な物が出来るだろう。
おそらく使うことにはならんがな。念のためだ」
ゲンドウ「零号機の再起動実験は?」
コウゾウ「スケジュールは変更したよ。射手は必要ないからな」
:
:
:
ラミエル「らーらー」
・・・・・・<発令所>・・・・・・
シゲル「目標、射程距離圏内まであと100!
……50…20…
コウゾウ「発射!!」
バシューン
ラミエル「きゃー」
マヤ「パターン青、消滅」
シンジ「(…え?これで終わり?
……さすが副司令)」
この方法で他の使徒もだいたい倒せる気がしてきた
アスカ「(…10日後には日本、か……。
もう最初っからミサトん家に住まわせてもらおっかな
1ヶ月後にはどうせ住むことになるんだし…)
.最終話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
ゲンドウ「>>418」
コウゾウ「今回の戦法は、第五使徒のように動きが緩慢で
なおかつ攻撃パターンも決まっているような相手にしか使えんよ。
エヴァで牽制・誘導してライフルで狙撃といった使い方はできるかもしれんが
あまり有効的ではないな」
ゲンドウ「それより本当に最終話なのか」
コウゾウ「ああ、日曜日ももうすぐ終わるからな」
♪ ∧,_∧
(´・ω・`) ))
(( ( つ ヽ、♪
〉 とノ )))
(__ノ^(_)
∧,_∧ ♪
(( ( )
♪ / ) ))♪
(( ( ( 〈
初号機 「ビッグシールドガードナー召喚!!」
ラミレス 「!?」
・・・・・・<オーバー・ザ・レインボー>・・・・・・
アスカ「(初戦は問題ないわね。
そもそも船から落とされずに勝てるわ、きっと。
今ならあの第14使徒にだって勝つ自信があるもの。
弐号機にはママがいるから。
こっち来てからはシンクロ率は常時99%。
きっとアタシが弐号機のママの存在を認めたから。
こんな簡単なことだったなんて。
"前"の時、シンクロ率で一喜一憂してたのがアタシが馬鹿らしく思える。
エリートだからパイロットに選ばれた、その誇りも…
アタシがパイロットに選ばれたのはエリートだからじゃない。
弐号機にママがいるから。それだけのこと。
シンジにもまるで見当違いの対抗心なんか燃やしちゃって、バカみたいね)」
アスカ「(シンジか…
弐号機にアタシのママがいるってことは、きっと初号機には……
…アイツも結構悲惨な奴なのよね…
半ばムリヤリ命懸けで戦わされて
ジャージ…友達を自分の手で殺させられて…
しかも自分のパパに。
でも、だからといってアタシとファーストを置いて逃げたのは許せないわ…!
最後の時だってどこで何してたのよ!
極めつけは気付いてみたらアタシの首絞めてるし…
まあ、あの時のアイツがまともな状態じゃないのは一目でわかったけど
それでも…ねえ……
……アイツ、もしかして今もあの世界で一人なのかな……)」
・・・・・・<副司令執務室>・・・・・・
シンジ「…僕じゃなきゃ駄目ですか?」
コウゾウ「あの時の戦闘の記録は私も見たが
さすがに水中の様子まではわからなかったからね。
詳しいことはシンジくんしかわからんのだよ」
シンジ「……わかりました」
コウゾウ「すまんね」
シンジ「いえ…」
・・・・・・<シンジの部屋>・・・・・・
シンジ「アスカ…
"前"の時、僕はアスカと綾波を残して逃げ出した…
精神汚染を受けて泣き叫ぶアスカを僕はただ見ていた…
最後の戦いでもアスカが必死に戦っているのを知っていて
僕は何もしなかった…
それに病室ではあんな状態になったアスカを見て僕は……
……僕は…………最低だ……
アスカのことを考える度、自分が最低な人間だと改めて思い知らされる。
アスカ…会いたくない…見たくない……)」
シンジ「(僕が"ここ"へ来た時、最初に考えたのはアスカのことだった。
あの世界で最後に残ったのが僕とアスカの二人なら…
その僕が戻って来たのなら…アスカも戻って来てるかもしれないって。
でも何故か父さんと副司令も戻ってきていて
2人目の綾波も戻ってきていたから
もしかしたら、遡ったこととサードインパクトは関係なかったのかなって
じゃあアスカは戻ってきてないのかもしれない
そう考えて少し安心してしまった、僕は……どこまでも最低な人間だ…
……もしアスカが戻ってきてるなら…アスカが"アスカ"なら
僕、会った瞬間に殺されるかもしれないな。
アスカにはその理由も資格も充分にある。
…そうだ、それもいい。
アスカに殺されるなら、それもいい。
そう決めたなら少し楽になった気がする。
明日、死ねるかもしれない……)」
~~~<閑話休題>~~~
ジェットA「ねえ、なんで俺の出番カットされてんの」
ガギエル「あの回はミサト主役だったけど、ミサトもういないし」
ジェットA「いや、主役は俺だろ。つーかアスカとかいらねーし。
回想長いのはシンジだけで充分なんだよ。ジジイの台詞も一々なげーし。
VIPのSSなのにこれ以上長文多くなると誰も読んでくれねーぞオイ、どうすんだよ」
ガギエル「…ベラベラうっせーなポンコツ」
ジェットA「あん?」
ガギエル「お前と違ってこちとらもうすぐ出番なんだよ、静かにしろや」
ジェットA「…お前ってさ」
ガギエル「あん?」
ジェットA「人気ないよね」
ガギエル「……」
ジェットA「零号機デビュー戦のラミエルはあんなに人気者なのに
同じように弐号機デビュー戦の相手したお前はなんでそんな人気ないの?」
ガギエル「……」
~~~~~~~~~~~~
:
:
・・・・・・<総司令官執務室>・・・・・・
ゲンドウ「…弐号機の引渡し…行かせるなら
ある程度使徒のことを伝えている赤城博士の方が良かったのではないか」
コウゾウ「彼女とシンジくんをネルフの外で会わせるのは避けたいのだよ。
それにアダムのこともある。赤城博士は彼と旧知の仲のようだしな
色々勘ぐっている彼女に無駄に材料を与えるのは得策ではない」
ゲンドウ「……そろそろ着く頃か」
・・・・・・<太平洋上、ヘリ機中>・・・・・・
シゲル「俺もセカンドチルドレンに会うのは初めてなんだけど
可愛い女の子って聞いてるぜ?嬉しいだろシンジくん?よっ!」
シンジ「はあ」
・・・・・・<オーバー・ザ・レインボー>・・・・・・
アスカ「(…来たわねバカシンジ)」
:
アスカ「(…降りてきた…あ、ミサト…と…いた!シンジ!
かーっ、相っ変わらず暗い顔してるわねー…って変わらないのは当たり前か
…あれ?そういえばジャージとメガネは……
あ!よく見るとあれミサトじゃなくてオペレーターのロン毛じゃない!!
紛らわしい髪型しないでよ!って、え、なんで?は?
何がどうなってんのよ……)
シゲル「君が、セカンドチルドレンの惣流・アスカ・ラングレーさんかな?」
アスカ「え、ええ…」
シゲル「そっか!俺は青葉シゲル二尉、よろしくなアスカちゃん!」
(エリートって言ってもやっぱりまだ14歳だからな
これから本部付きで周り全員知らない人っていうのも不安だろう
ここはフレンドリーに接して緊張を和らげてあげよう)
アスカ「……」
(なんでロン毛が…?)
シンジ「……」
(アスカ…"アスカ"なのかな…)」
シゲル「(ちょ、ちょっと馴れ馴れしくしすぎたかな…?)
よ、よかったなあシンジくん!
こんな可愛い子が来てくれて、これから楽しくなりそうだな!」
シンジ「……」
(…今さら何を怖がってるんだろう僕は…
アスカが"アスカ"なら…ここで終われるのに…そのつもりで来たのに…
…アスカを見たくない……アスカに見られたくない……
今すぐここから逃げ出したい…僕は…僕はどこまで…)
アスカ「…っ!」
(なに俯いてんのよ、こっち見なさいよバカシンジ!
コイツ…初めて会った時ここまで暗かったっけ…?
いや、目も合わせないなんて暗いとか言うより怯えてるような…
…………もしかして……いや、まさかね)」
シゲル「……」
(何か喋ってくれよ…)
アスカ「…そう、その子がサードチルドレンね」
シゲル「あ、ああ!サードチルドレンの碇シンジくんだ
ほら、シンジくんも挨拶しなきゃ…」
シンジ「……あ…ぁ……あの…………」
アスカ「…っ!サードチルドレン!!」
シンジ「…は」
アスカ「ちょっと付き合いなさい!」
シンジ「…え…な、なん…」
アスカ「いいから!」
シンジ「ちょ…まっ…手ひっぱらないで…!」
:
シゲル「…行っちゃった。
いいのかな……ま、いっか。
今のうちに弐号機の引き受け終わらせてくるか」
・・・・・・<船内廊下>・・・・・・
シンジ「(どうなってるんだろう…"アスカ"じゃないのかな…
"アスカ"だったら僕にこんな風に話しかけるわけないし…
…手つないでるし…
"前"にアスカと最初に会った時どんなんだったっけ…
たしかいきなり叩かれて…あれ、なんで叩かれ……
ああ、アスカのワンピースが風で……あ…
…アスカ…ジーンズ履いてる…
やっぱり"アスカ"なの…?じゃあどうして…
もしかして何も知らない僕だから?
アスカは僕が遡ってることを知らないから?
じゃあ…もしもこのままアスカにそれを知られなかったら……
…何を考えてるんだ僕は…この期に及んで…
副司令達もいるんだ、日本に着いたらどうせわかるんだ…)
……………………アスカ」
アスカ「!!
……シンジ?」
~~~~~~~~~~~~~~~
ゲンドウ「冬月」
コウゾウ「なんだ」
ゲンドウ「前回で最終回ではなかったのか」
コウゾウ「…翌日帰ってきてスレを見たら
何故かまた週末に書くことになっていた。
丸一日保守されて、また改めて終わりですよと言える雰囲気じゃなかったのだ」
ゲンドウ「では続けるのか」
コウゾウ「いや、明日から出張だ。しばらくは無い。
ここで第一部・完とする」
ゲンドウ「では保守は必要ないのだな」
コウゾウ「ああ」
ゲンドウ「冬月」
コウゾウ「なんだ」
ゲンドウ「おめでとう」
コウゾウ「ありがとう」
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
保守時間目安 (平日用)
00:00-02:00 60分以内
02:00-04:00 120分以内
04:00-09:00 210分以内
09:00-16:00 120分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
保守時間目安 (休日用)
00:00-02:00 40分以内
02:00-04:00 90分以内
04:00-09:00 180分以内
09:00-16:00 80分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
保守時間目安 (平日用)
00:00-02:00 60分以内
02:00-04:00 120分以内
04:00-09:00 210分以内
09:00-16:00 120分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
保守時間目安 (休日用)
00:00-02:00 40分以内
02:00-04:00 90分以内
04:00-09:00 180分以内
09:00-16:00 80分以内
16:00-19:00 60分以内
19:00-00:00 30分以内
・・・・・・<操舵室>・・・・・・
シゲル「このたびはエヴァ弐号機の輸送援助、ありがとうございます。
こちらが非常用電源ソケットの仕様書です」
艦長「はん!大体この海の上であの人形を動かす要請なんぞ、聞いちゃおれん」
シゲル「まあ、万一ってこともありますんで…
艦長「その万一の事態に備えて、我々太平洋艦隊が護衛しておる。
いつから国連軍は宅配屋に転職したのかな?」
副長「某組織が結成された後だと記憶しておりますが」
艦長「玩具一つ運ぶのに大層な護衛だよ。太平洋艦隊勢揃いだからな」
シゲル「はあ、どうでもいいっすけど、とりあえずこの引渡し書類にサインを…
艦長「まだだ!エヴァ弐号機および同操縦者は
ドイツの第3支部より本艦隊が預かっている。君らの勝手は許さん!」
シゲル「ではいつ引渡しを?」
副長「新横須賀に陸揚げしてからになります」
艦長「海の上は我々の管轄だ。黙って従ってもらおう」
リョウジ「どーもー」
艦長「加持君!君をブリッジに招待した覚えはないぞ!」
・・・・・・<弐号機格納庫>・・・・・・
アスカ「……"シンジ"なの?」
シンジ「…………うん」
アスカ「ちょ、ちょっと!イチから説明してよ!
なんで時間が戻ってんのよ!?」
シンジ「…わからない…サードインパクトが起きて…
気付いたら第3使徒が来る日まで戻って…た…」
アスカ「サードインパクト!?…起こったの?」
シンジ「……」
アスカ「…アタシさ、"前"の最後の方の記憶が途切れ途切れなのよね。
気付いたら弐号機に乗せられてるし
しかも相手は使徒じゃなく人やエヴァだし」
シンジ「……」
アスカ「……そっか、サードインパクトが起きたってことは…
やっぱりアタシ…負けちゃったのか……」
シンジ「……」
アスカ「…で、次に目が覚めた時にはアンタがアタシの首絞めてるし」
シンジ「…っ!」
・・・・・・<士官食堂>・・・・・・
リョウジ「加持リョウジ、保安部所属の一尉だ。よろしく」
シゲル「あ、どうも、自分は青葉シゲル二尉、司令部所属であります」
リョウジ「はは、そうかしこまらなくったっていいさ。
ネルフじゃあ階級なんて大した意味は無いしな」
シゲル「はあ」
リョウジ「しかしアテが外れたなぁ。
アスカの出迎えなら葛城が来ると思ったんだがな」
シゲル「え?」
リョウジ「ああ、葛城とアスカはドイツにいた頃の顔見知りでね」
シゲル「いえ、その…葛城さんはもう……」
リョウジ「え?」
・・・・・・<弐号機格納庫>・・・・・・
アスカ「なんであんなことしたのよ」
シンジ「…………ごめん」
アスカ「誰が謝れって言ったのよ、なんでかって訊いてるの」
シンジ「……わからない」
アスカ「ハァ?」
シンジ「僕も…あまり覚えてないんだ、その辺のこと……
(…嘘だ、覚えてるんだ…僕はアスカと二人きりになったのが怖くて…
そのアスカに拒絶されるのが怖くて……僕は……)」
アスカ「ふーん、まあいいわ」
シンジ「…え?」
アスカ「明らかにおかしかったものね、色々と。空も海も赤いし。
アンタの頭がパンクしたって仕方ないわね、バカシンジだもん、フフ」
シンジ「……
(おかしい…おかしいよ…
首を絞められたことも覚えてるって言ったのに
どうしてこんな普通に僕に話しかけられるの?
なんでそんなに明るいのアスカ?
いや、明るいと言うより…初めて会った頃のような…もともとの…
…アスカ……本当に"アスカ"なの…?)」
アスカ「そもそも軍隊が攻めてきたことからして…
って、そういえばさ、なんで軍隊が攻めてきたのよ?」
シンジ「…僕も、詳しくは知らない…副司令に訊いてよ」
アスカ「副司令?なんで」
シンジ「副司令と綾波も戻ってきてるんだ、"ここ"に」
アスカ「ハァ!!???」
アスカ「え?副司令ってあれでしょ、あの白髪のおじいちゃんでしょ?
それにファーストぉ!?どうして!?」
シンジ「だから…わからないんだよ、誰にも…」
アスカ「…で、その副司令は何て言ってんのよ?」
シンジ「え?」
アスカ「これからのことよ。副司令は何て言ってんの?」
シンジ「あ、ああ…
『今度はあんなことにならないように最大限の努力をする』って…」
アスカ「ふーん、なんか頼りない言葉ねえ…
ってかアタシ副司令と話したことってほとんど無いんだけどさ、信用できんの?」
シンジ「…わからない…僕にはどうでもいいし…」
アスカ「は?どうでもいいってどういうことよ」
シンジ「……」
アスカ「…ねえ、なんでアンタそんなんなっちゃってんの?
"前"の5割増しで暗いわよアンタ」
シンジ「…アスカこそ…なんでそんなに明るいんだよ…
あんなことがあったのに……」
アスカ「だから今度はあんなことにならないように頑張るんでしょーが!
『覆水盆に返らず』って言うけれど、水は返ったのよ。なんでか知らないけどね。
アンタはそれをまたこぼすつもりなの?」
水は返ったわけじゃなく、新しい水を入れただけなんだよ…」
アスカ「…どういう意味よ」
シンジ「…同じ人だと思えないんだ」
アスカ「は?」
シンジ「ミサトさんも、リツ子さんも、他のみんなも…
僕は相手のことを知っているのに、相手は僕のことを知らない
だから…それが、まるで別人みたいで…」
アスカ「だから何?
じゃあアンタは鈴原がまたあんなことになったとしても
"前"の鈴原とは別人だから別に構わないって言うワケ?」
アスカ「っ!あー――イライラするわね!!
一体何をどうしたいのよアンタは!」
シンジ「…僕……僕は……
ドゴーン!!
アスカ「水中衝撃波…!来たわね…話は後よ、来なさい!」
シンジ「えっ…」
・・・・・・<操舵室>・・・・・・
『各艦!艦隊距離に注意の上、回避運動!』
副長「状況報告はどうした!?」
『シンベリン沈黙!タイタス・アンドロニカス!目標、確認できません!』
艦長「クソッ…!何が起こっているんだ……」
シゲル「あのー…
艦長「戦闘中だ!見学者の立ち入りは許可できない!」
シゲル「いや、アレどう見ても使徒っすけど…
艦長「全艦任意に迎撃!」
シゲル「聞いてねえ」
・・・・・・<弐号機格納庫>・・・・・・
シンジ「ま、また僕も乗るのぉ!?」
アスカ「生まれ変わったアタシと弐号機の力、見せてあげるわ!
はい、プラグスーツ」
シンジ「いや…僕、自分の持ってきてるから…
アスカ「ダメ。アンタはそれ着るの」
シンジ「な、なんでだよイヤだよ!」
アスカ「いいから!」
シンジ「だ、だからなんで……
アスカ「(ボソッ)アタシの首絞めたくせに…」
シンジ「っ!……わ、わかったよ…」
:
:
シンジ「き、着たよ…」
アスカ「あはははははははは!!!」
シンジ「ひ、ひどいよ…」
パシャ!
シンジ「え?…わ!ちょっ、な、なな何撮ってるんだよ!
な、なんでカメラなんか持ってんのさ!」
アスカ「いやー、この画を撮らない手はないと思って
用意しといたのよね、プププ!」
パシャ!パシャ!
シンジ「や、やめてよ!」
アスカ「あははは!!」
ドゴーン!
アスカ「…っと、あんまり遊んでらんないわね
ホラ!行くわよ!」
シンジ「うぅ……」
・・・・・・<操舵室>・・・・・・
『オセローより入電!エヴァ弐号機起動中!』
艦長「なんだと!?いかん!起動中止だ!元に戻せ!!」
シゲル「いや!構わないぜ!やっちまいなアスカちゃん!」
艦長「エヴァ及びパイロットは我々の管轄下だ!勝手は許さん!」
シゲル「非常時には我々ネルフの指揮権が優先されるはずです」
副長「しかし本気ですか?弐号機はB型装備のままです」
・・・・・・<エントリープラグ>・・・・・・
シンジ「…ど、どうするのアスカ?」
アスカ「まあ見てなさい!」
ガギエル「がおー!」
アスカ「きた!」
弐号機「オラァッ!!」
ドゴォッ!
ガギエル「ぎゃー!」
アスカ「使徒殲滅!」
シンジ「すごい…手刀一発で…」
:
:
・・・・・・<甲板>・・・・・・
艦長「ペ、ペアルック…!」
シゲル「いやーんな感じ!!」
シンジ「(…………死にたい)」
.第十話 ┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
終わり。感想くれると嬉しいです。
このSSまとめへのコメント
おーーーカヲル君の運命はどうなるのーー