白剣士「未来が平和なこと」(349)

 
【少年剣士シリーズ】
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上記作品の白剣士シリーズの3幕、最終編になります。


■前回までのあらすじ
・1幕
普通の生活を送ってきた白剣士は、ある日、馬車に轢かれそうになった男を助ける。
彼は、"悠久王国"で起きている問題を解決するために、英雄剣士への助けを求めた。
実は彼の正体は実は女性で、しかも変化の術で逃げてきた"悠久王国"の姫様だった。
そして、白剣士は紛争へと巻き込まれていく。

・2幕
1幕…それから1ヶ月。誘拐された姫を助け出し、姫の前で"力"を見せた白剣士は、姫から姿を消す。
だが、ウィッチの計らいで、再び白剣士と姫は再会することができた。
それからすぐ、王国側の重鎮が全員悲惨な結末を迎え、姫は落胆する。
白剣士は、王国の人間と約束を果たすため、姫を守る決意を固めた。

やがて姫と白剣士は南下し、女エルフの家でお世話になった。
そして、そこで出会った「錬金学士」という人間と仲間を組み、"星降町"へ侵入と兵器の破壊を目指す…。

 
That's where the story begins!
―――――――――――――
【白剣士「未来が平和なこと」】
―――――――――――――
Don't miss it!

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【船の中】

…ボォォォッ…


白剣士「…で」

錬金学士「改めて宜しくお願いします!」

白剣士「どんだけ…はしゃいでるんだよ」


錬金学士「もう誰も来なかったら…どうしようと思ってましたので…」

 
女剣士(悠久姫)「…そうか、よかったな」

白剣士(女剣士って事にしてるが、無駄に演技上手いんだよなコイツ…)


錬金学士「…あの、女剣士さんはいつまでローブをかぶってるんですか?」

白剣士「え…あ、あぁー…うーん」


女剣士「いいのか?ローブとっても」ボソボソ

白剣士「…どうするかな。まあ…いい…のか?」

女剣士「わかった」ボソボソ

 
…パサッ

錬金学士「…!!」

女剣士「ふぅ、やっぱりローブはないほうがスッキリしていいな」


錬金学士「う…美しい…」

女剣士「え?」

錬金学士「そ、そんな美しいのに、なぜローブを!?勿体ないですよ!」

女剣士「そ、そうか…?ありがとう」


錬金学士「…あ、もしかして…お二人はお付き合いを…?」

 
白剣士「付き合い…?」


女剣士「ど、どうなんじゃ?」ボソボソ

白剣士「し、しらねぇよ!」

女剣士「どう言うべきか…」

白剣士「とりあえず、うんって言っとけ」

女剣士「う、うん!」

白剣士「お、俺にじゃねえよ!」


女剣士「まあ…一応そうだな?白剣士?」

 
白剣士「…え?あ、ああ…そうだな」


錬金学士「へえ…いいですね、白剣士さん。こんな…きれいで…可愛い子が…彼女なんて!」

白剣士「ま、まあな?」

錬金学士「はあー…僕もこんな人とお付き合いしてみたいです」


女剣士「ふふ、ありがとう」

錬金学士「はい!で…えっと…、何か聞きたいことはありますか?」

 
白剣士「お前の出身は?」

錬金学士「東方ですよ。母は、今は小さな錬金店を経営してます」

白剣士「なるほどな。その、設計された兵器…爆弾っつったか。それってどんくらいのモンなんだ?」


錬金学士「…火魔石の魔力を圧縮、それを封印し、展開できるようにしたものです。国1つがなくなるほどだと思ってもらっていいです…」

白剣士「…そんなものが作られてるとは知らなかったぜ」

錬金学士「中央軍が秘密裏に開発を進めさせたものですからね」


白剣士「それで、本当に今の戦争状態が収まるのか?」

 
錬金学士「収まるでしょう。脅迫に近いですが、国を沈める兵器を持てば、沈静化することも簡単になるでしょうし…」

白剣士「…まあ、そうだな…」

錬金学士「武器などの製造に多く関ってきましたが…、まさか自分で造ったもので、自分が痛い目に合うとは思いませんでした…」

白剣士「…」


錬金学士「…」ハァ


女剣士「そういえば…自分も聞きたいことがあるのだが?」

 
錬金学士「…は、はい?何でしょうかっ!何でも答えます!」

白剣士「…」


女剣士「星降町へ着いたら、顔を隠して行動したいのだが…その点は大丈夫なのか?」

白剣士「あ、そうだ。今、星降町への関与は著しく規制されてると思うんだが…」


錬金学士「どっちも問題ありません。星降町へ直接降りるわけではありませんし、侵入経路は調べておきました」

白剣士「ふむ」

錬金学士「元々自然が多い地形なので、侵入できる場所はいくつかあります。あと、顔隠しはローブでも十分だとは思います」

白剣士「…そうか。下調べがあるなら…大丈夫か」

 
錬金学士「一応頭を使うこと位しか出来ないので…」

白剣士「兵器の造られていたら、破壊…というか、停止…は出来るんだろう?」

錬金学士「出来ます」

白剣士「そうか。それを聞いて安心した」

錬金学士「…もちろんです」


白剣士「この破壊が、世界を救う手立てになるはずだ。頼むぞ」

錬金学士「…はい」

 
…コンコン

白剣士「はい、どうぞ」

…ガチャッ


船員「失礼します。白剣士様に、ご連絡をしたいという方がいるようです」

白剣士「連絡?船の上で?」

船員「遭難に備え、一応軍の技術である通信技術を積んでいるのです。中央軍の方から、白剣士さんに…と」

白剣士「なるほど。ちょっと行ってくるぜ」


錬金学士「はい」

女剣士「わかった」

 
…バタンッ


錬金学士「…」

女剣士「…」

錬金学士「…あの」

女剣士「ん?」


錬金学士「…その、どうして、女剣士さんは…白剣士さんと一緒にいるのですか?」

 
女剣士「私が?」

錬金学士「あの人、妙に強くて、ちょっと怖いところがあったり…、あなたみたいな人が一緒にいるっていうのが信じられなくて…」

女剣士「白剣士は、確かに暴力的なところもあるかもしれない。だけど、それ以上に優しいんだ」

錬金学士「優しい…」


女剣士「…そうだ。私はそれにいつも救われてきた」

錬金学士「優しさなら…」

女剣士「?」


錬金学士「…あ、いえ…何でもないです」

 
女剣士「…?」

錬金学士「…、こんな話、今言うべきじゃないんでしょうが…」

女剣士「どうした?」

錬金学士「…あなたのような人、初めてです」

女剣士「私のような…人?」


錬金学士「見た瞬間、心を打たれました」

女剣士「…?」

 
錬金学士「素直に言います。好きになりました…」ペコッ

女剣士「な、なに!?」

錬金学士「人の彼女だと分かっていながら…こんな事言ってごめんなさい」

女剣士「好きになって貰えるのは嬉しいことだが…」


錬金学士「…本当にすいません、勢いに任せて言ってしまいました」

女剣士「…いや、気にするな」


錬金学士「…」

女剣士「…」

 
錬金学士「その、何ていうか…、女剣士さんは…僕のこと、どう思いますか?」

女剣士「え?」

錬金学士「…」

女剣士「まだ会ったばかりだしな…、どうこうは言えないよ」


錬金学士「そ、そうですよね…」

女剣士「頭がいいんだろう、とか、真面目なんだろう、とか、そういうことでは…ないのだろう?」

錬金学士「そうです…ね」

女剣士「なら…何とも言えないな。それに、私には白剣士がいる」

 
錬金学士「…そうですよね」

女剣士「だけど…」

錬金学士「はい…?」


女剣士「君みたいに、素直な子は嫌いではないよ」


錬金学士「…~っ!」

 
…ガチャッ

白剣士「ういっす、ただいま」

女剣士「お帰り、誰からだったんだ?」

白剣士「叔父さんだ。既に星降から中央軍に爆弾の完成と、軍の介入をやめるように言われて困っているらしい」


女剣士「…そうか。それで?」

白剣士「俺らの今の状態を伝えた。気をつけてくれ、だそうだ」

女剣士「はは、あの人らしいな」

白剣士「笑えるだろ?引き止めるのも何もないからな」

 
錬金学士「…白剣士さんの叔父さんは軍の関係者だったんですね」

白剣士「ん、まあな」


女剣士「ふう、ちょっと疲れた」

白剣士「…じゃあそこのベッド使って休んでおけ」

女剣士「白剣士はどうする?」

白剣士「俺はソファーでいい。錬金学士も、もう1つのベッド使っておけ」


 
錬金学士「そ、それなら…僕がソファーでも」

白剣士「ああいい。気にするな。つか、3人部屋いったのにベッドが2つしかない意味がわからん」

錬金学士「…そうですよね」


女剣士「なら、私と一緒のベッドで寝ればいいだろう。私一人じゃ少し大きすぎる」

白剣士「あ、そうか。分かった」

女剣士「うむ。それじゃ、先に休んでる…」

…ゴロンッ

 
錬金学士「…」


白剣士「さて、剣でも磨いておくかな…」

…ストンッ


…ゴシ…ゴシゴシ…

錬金学士「…立派な剣ですね」

白剣士「ありがとよ。親父の剣なんだ」

錬金学士「…お父さん、冒険家だったんですか?」

白剣士「まあな」

 
錬金学士「あなたも、こうやって冒険している…2世ってわけですね。僕と一緒だ」

白剣士「そうだな」

錬金学士「凄い方だったんですか?」

白剣士「…どうだろうな。…今になってようやく、親父がどんな人間だったか分かる気がするぜ」


錬金学士「今になって?」

白剣士「色々あってな」

錬金学士「…なるほど」

 
白剣士「…」

…ゴシゴシ…


錬金学士「白剣士さんって、クールですよね」

白剣士「そうか?」

錬金学士「やっぱり、そういう男のほうが惹かれるんでしょうか」

白剣士「…俺が惹かれる?誰に?」


錬金学士「…女性、とか」

 
白剣士「何を言ってるんだお前は…」

錬金学士「結構真面目なんですけどね…はは」

白剣士「俺はモテたことなんざねーよ。昔からな」


錬金学士「女剣士さんは夢中じゃないですか」

白剣士「姫…じゃない、女剣士が夢中?俺に?」

錬金学士「はい」


白剣士「…夢中なのかは分からんが、まあ色々あったしな」

 
錬金学士「そっちも色々、ですか」


白剣士「…」チラッ

女剣士「…」スゥスゥ


白剣士「まあ、夢中なのは俺のほうなのかもしれないけどな」ハハハ

錬金学士「…そうですか」

白剣士「どうした?」

錬金学士「いえ、何でも」

白剣士「…?」

 
錬金学士「…僕も、少しだけ休みますね」

白剣士「おう」

錬金学士「失礼します」


…トコトコ…ストンッ


白剣士「…俺も、剣と道具のチェックが終わったら少し休むか…」

 
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・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

本日はここまでです。ありがとうございました。

皆様ありがとうございます。
投下いたします。

 
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――パチッ


白剣士「…」

…ムクッ


白剣士「…結構寝てたか」

…キョロキョロ


白剣士「…あれ?」

 
…シーン

白剣士「…どこ行ったんだ、2人とも」


…ガチャッ

白剣士「…お」


女剣士「お?目が覚めたか」

白剣士「まあな。今、何時だ?錬金学士どこ行った?」

女剣士「あれ…さっきまでいたんだけどな。今はもう夜9時だぞ」

白剣士「マジか…少し休むつもりがガッツリ寝すぎたな…」

 
女剣士「私は大浴場で体を流してきたが…白剣士もどうだ?スッキリするぞ?」

白剣士「…そうだな、ところで」

女剣士「ん?」

白剣士「俺と2人きりのときは、役になりきることはねー。自分らしさのままでいい」


…ポンッ

女剣士「…うん、わかった」

白剣士「うっし。それじゃ俺も大浴場行ってくる。…っと」


…ゴソゴソ

 
女剣士「?」

白剣士「姫にプレゼントだ。王国の茶。もう少ししかねーけど、これでも煎じて飲んでろ」ポイッ

女剣士「おぉ…」

白剣士「…じゃ、行ってくる」


女剣士「うむ、お茶を作って待っているぞ!」


白剣士「おう、風呂上りのウメーお茶、期待しとくぜ」


…ガチャッ…バタン

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【 大浴場 】


…パサッ

白剣士「…やっぱり人は少ないな。そりゃこの時期に旅行者なんかいないか」

???「そうでもないんじゃないか?」

白剣士「…あん?」


???「一応、自分も冒険者の端くれだしな。一応、用事があって行くんだが」

白剣士「…ほう?」

???「…」


白剣士「って、お前誰?」

ナイト「俺はナイト。初めまして」ニカッ

白剣士「…?」

 
――――…ジャーッ…
 
…カポーン


白剣士「で、オッサン…ナイトとか言ったっけ」

ナイト「オッサン…か?」

白剣士「俺から見たら年上はみんなオッサンなんだよ」

ナイト「そ…そうか」


白剣士「何か用だったのか?」

ナイト「…いや別に。ちょっと独り言が聞こえたから反応しただけだ」

 
白剣士「そうか」

ナイト「星降に何の用だい?」ジャブジャブ

白剣士「…何?」ピクッ


ナイト「だから、星降に何の用かなーって」


白剣士「オッサン。この船は…どこ行きだかわかるか?」

ナイト「…星降の手前の港だろ?」

白剣士「なんで、俺が星降に用事があるって思ったんだ?」

ナイト「…あ」

 
白剣士「…オッサン、何者だ。場合によっちゃ容赦しねーぞ」スッ

ナイト「…」ギロッ

白剣士(何て眼つきだ…、できるな…)


ナイト「…」ググッ


白剣士(来るか!?)


ナイト「ぷっ…はっはっは!」

 
白剣士「…!?」

ナイト「ついつい、素性をチラつかせるのは俺のクセなんだよなぁ」

白剣士「どういうことだ?」


ナイト「俺の今の本当の名前は熟達騎士。聖剣士の友達だ。お前が子供のころ、何度か会ってるんだがな」


白剣士「…叔父さんの友達?……、そういや…いた気がする…」

ナイト「はっはっは、昔の名前は、童子騎士って言ってたがな」

白剣士「…童子さん!思い出した!」

ナイト「おう、思い出してくれたか」

 
白剣士「でも、何で偽名使ってるんだ?つか、何でここにいる?」
 
ナイト「…ま、そっちのほうが気に入ってるってだけだ。ぜひ、そっちで呼んでくれ」


白剣士「…わかった」

ナイト「実はな、お前らが行動する時、守ってくれってお願いされてたんだ」

白剣士「ま、まさか」


ナイト「聖剣士にお願いされていた。あいつほどじゃないが、俺も出来るほうだと思うぜ?」

白剣士「…助かる」

ナイト「素直に受け入れるのか?」

 
白剣士「今は一人でも味方が欲しい所だった。叔父さんの紹介なら、大丈夫だろうしな」

ナイト「態度がデケーのはそのまんまだが、聞いてた話より、ずっと丸くなってる感じじゃないか」


白剣士「俺が?」

ナイト「そうだ」


白剣士「色々あったからな。少しは変われている…と思う」

ナイト「はっは、そりゃ結構。で、どこまで進んでる」

白剣士「進んでる?」

 
白剣士「今は一人でも味方が欲しい所だった。叔父さんの紹介なら、大丈夫だろうしな」

ナイト「態度がデケーのはそのまんまだが、聞いてた話より、ずっと丸くなってる感じじゃないか」


白剣士「俺が?」

ナイト「そうだ」


白剣士「色々あったからな。少しは変われている…と思う」

ナイト「はっは、そりゃ結構。で、どこまで進んでる」

白剣士「進んでる?」

 
ナイト「計画だ。兵器の…破壊だろ?」ボソッ

白剣士「あぁ…まだ全然だ。仲間の1人からの情報だが、隠れる場所ですらまだ決定していない」

ナイト「そうか。あとで部屋に案内してくれ。俺を仲間としてみてくれりゃいいんだが」

白剣士「ま、大丈夫だろ。叔父さんのことを知ってるからな…あいつは」


ナイト「姫様、とかいう子か」

白剣士「あぁ」

ナイト「心強い仲間が増えて安心してくれ、とでも伝えてくれりゃ十分だ」ハハハ

白剣士「わかったわかった」

 
…ジャバァァ…

白剣士「…」

ナイト「…」

白剣士「…はぁ」


ナイト「どうした?」

白剣士「いや…なんつうか…、俺の周りの人間て、スゲーやつらばっかだなーとか…ね」

 
ナイト「…そうか?」

白剣士「いやオッサンのことじゃねーぞ」

ナイト「…そうか」シュンッ


白剣士「叔父さんにしろ、ウィッチにしろ、側近にしろ…この短期間で出会った皆は…本当に凄いやつらばっかりだった」

ナイト「…」

白剣士「結局、一人でやったっていう気になっても、周りの人間が凄すぎて…自分がやってる実感がまったくないんだ」

 
ナイト「…1つ!」

白剣士「…」ビクッ


ナイト「人が人であること、人は人であること、人に人であること、人は結局、最後まで人と人である!」

白剣士「…なんだよ、それ」

ナイト「俺が好きな言葉。人が人って言えるのは、結局、他人がいるからこそ、だろっていう意味じゃねーの?」

白剣士「…意味わからん」

ナイト「俺もわからん」

 
白剣士「…んだよ…それ…」プルプル

ナイト「わからねーよ!」


白剣士「なんだよそれ…ははははっ!」バンバン

ナイト「わからねーって!はっはっはっは!」


白剣士「はー…オッサン、アホだな」ニカッ

ナイト「アホアホいうな、この青二才が」ニカッ


白剣士「はは…あー…、本当にアホらしいぜ。オッサン、今から皆に紹介するから、部屋こいよ」

ナイト「ありがとよ」ハハ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


白剣士「…というわけで、仲間に入るオッサンだ。皆よろしく」

ナイト「どーもオッサンです。って、オイ」


女剣士「はは、宜しく」

錬金学士「宜しくお願いします」ペコッ


白剣士「そういや、さっき学士はどこに行ってたんだ?」

錬金学士「いや…少し気持ち悪くなっちゃって…甲板出てたんです…」

 
白剣士「おいおい、大丈夫かよ」

錬金学士「船酔いする体質なんです…おえっ…」

白剣士「…また外いって休んだほうがいいんじゃないか?」

錬金学士「そ、そうします…」

…フラフラ


女剣士「大丈夫…?私、着いてってあげようか」

錬金学士「…そんな、させるまでには及びません…」フラフラ

 
女剣士「あー…ほら、もう。しっかりして。休ませてくるよ…」

白剣士「そうだな…頼んだ…」


…ガチャッ…バタンッ


ナイト「あれが姫様か。話にゃ聞いてたが、本当に美しい方だな」

白剣士「…まあ、な?」

ナイト「付き合ってるんか?」

白剣士「何ですぐそっちの話に皆もってくのかね…」

 
ナイト「気になるじゃないか。いい子っぽいし」

白剣士「いや、いい子ってのは認めるぜ。付き合ってる、付き合ってないで言ったら…どうなんだかな」

ナイト「微妙な線か。どんな関係か、わからなくはないな」


白剣士「…ふん、別にいいだろ」

ナイト「ははは、そうだな。それじゃ、オッサンは部屋に戻ってるとするぜ」

白剣士「おう。港に着くのはもうすぐだし、着いたら色々考えよう」


ナイト「そうだな。お休み」

白剣士「お休み」

 
…ガチャッ…ピタッ


ナイト「あ、そうだ」

白剣士「ん?」

ナイト「うかうかしてるとな、あんないい子、すぐに盗られちまうぞ?しっかりな?」ハハハ

白剣士「うっせ!早くいけ!」


ナイト「おぉ怖い怖い!お休み!」

…バタンッ

 
白剣士「…何が、盗られるだ」

…シーン


白剣士「…」

…ドサッ

白剣士「はー…風呂上りに横になるのは…気持ちいいもんだな…」

…シーン


白剣士「…」

…シーン

 
白剣士「…」

ゴロゴロ…、ゴロゴロ…


…シーン


白剣士「あいつら、遅いな」

ソワソワ

白剣士「学士に何かあったんか?」

ソワソワ…

 
白剣士「…」

ゴロゴロ

白剣士「いやだが…あんま時間もたってないか…」

ソワソワ…


白剣士「…まあ、淹れてくれてた…お茶でも…飲んでるか…」

…スタッ

トコトコ…ガシッ……グビッ…

 
白剣士「…ちょっと冷たくなってるじゃねーか」

グビグビ


…ガチャッ

白剣士「おわっ!」


女剣士「なんだっ!」ビクッ

白剣士「お、おおぉ…、おかえり」

女剣士「た、ただいま…どうしたんだ?」

白剣士「ふん…何でもねーよ」

 
錬金学士「…うぅ…ベッドで横になっておきます…」

…ドサッ


白剣士「あーあー…しっかりしろよ!もうすぐ着くんだからよ」

錬金学士「努力します…」


白剣士「はー…、ま、しゃあないか」

女剣士「あ…そのお茶、飲んだのか?」

 
白剣士「冷たくなってたな。ま、風呂上りだったし…」

女剣士「それ私が飲んでたやつだ…。来たら淹れてあげようと思ってたんだ」

白剣士「えっ…えー…」

女剣士「ごめんっ!」


白剣士「まあしゃあない。また、淹れておいてくれよ」

女剣士「うん…そうだな。次はアッツイの用意しておく!」

白剣士「頼むぜ。さ…俺らも横になっておくか」


女剣士「そうだな…、ふわぁ…」

 
錬金学士「…」


…ゴソゴソ

女剣士「こうして、端っこのほうに丸くなれば…白剣士の体でも充分寝れるだろう?」

白剣士「んなことしなくても、半々でいい。常に疲れはしっかりとっておくことだ」

女剣士「…むう、だがな…」


白剣士「よっこらしょっと」

…グイッ

女剣士「わわっ」

 
白剣士「うん、そんくらい遠慮なく範囲をとれ。あ、そうだ…俺は道具の最終チェックをしてから寝ないとな」

女剣士「そうなのか」

白剣士「そう。んじゃ、2人ともしっかり寝ておけよ」


錬金学士「…ふぁい」

女剣士「わかった…」


白剣士「んじゃ、おやすみ」

 
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・・・・・・・・・・・・・・
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・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…コチコチ


錬金学士「…」パチッ

…ゴソゴソ

錬金学士「朝…か。みんなまだ寝てるのかな…」

…スタッ


錬金学士「…!」

 
白剣士「…」スゥスゥ


錬金学士(ソファで…寝てる…)

…チラッ

女剣士「…」スヤスヤ


錬金学士(まさか、この人…女剣士さんを休ませるために…)


白剣士「…」パチッ

 
錬金学士「…あ」

白剣士「んむ…ふわぁ……、お…、ん?朝か?」

錬金学士「お、おはようございます。朝です」

白剣士「んお、なんだ起きてたのか」

錬金学士「少し前に。そ、それより…白剣士さん、あなたソファーで…」


白剣士「…ん…あ、あぁー」ボリボリ

…スタッ

白剣士「よいしょっと。ま、内緒にな。今日には着くんだろうから、しっかり準備はしとけよ」

 
錬金学士「…は、はい」

白剣士「…どうした?」

錬金学士「いいえ…何でも…ないです」


白剣士「そうか。それじゃ、朝飯でも調達してくるから、待ってろよ」

錬金学士「あ、お手数かけます」

白剣士「おう、気にするな」


…バタンッ

 
錬金学士「…」チラッ

女剣士「…」クゥクゥ


…トコトコ


錬金学士「寝顔も…可愛い…」ジッ

女剣士「…」スヤスヤ

錬金学士「…」


女剣士「うーん…」

モゾモゾ…ゴロンッ

 
錬金学士「…っ!」

女剣士「…」スヤスヤ

錬金学士(服がはだけて…背中が…!)


女剣士「んー…」


錬金学士「…」キョロキョロ

…スッ

 
錬金学士(ふ、布団をかけなおすだけ…。女剣士さんが…風邪を引くとダメだから…)

…ブルブル

錬金学士(…て…てて、手が滑って…間違って触ったとか…そういう…ことにしたり…何て…)



ナイト「おぉーーっと、それ以上はちょっとした犯罪だぞ、健全な青年クン」ニヤニヤ

錬金学士「ふひゃいっ!?」ビクッ

ナイト「あ、もしかしてジャマしちゃった?」

錬金学士「…な、ナイトさん…!」


女剣士「うーん…?」モゾモゾ

本日はここまでです、ありがとうございました。

そして気づいた初日の書き込みの大部分が全部修正前のものだったということ…
後日、修正分入れるか検討しときます(A´ω`)

読んでいただき、コメント等ありがとうございます!
投下いたします。

 
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錬金学士「つ…つい…ご、ごめんなさい!これは…白剣士さんには…言わないでください!殺されます…」ブルブル

ナイト「…全く。いったい何をするつもりだったんだ?布団をかけなおすにしては、随分と…」

錬金学士「…そ、そ、それは…」ブルブル


ナイト「ま、気持ちは分からんでもないがな。俺があと10年も若かったら…同じようにしてたかもな」ハハハ

錬金学士「…」ガクガク

ナイト「…君がやろうとしたことは、白剣士への裏切りだ。それは分かるな」

 
錬金学士「は、はい…」

ナイト「…男なら、こんな姑息な手で、欲求を満たす事をするんじゃない」

錬金学士「…」

ナイト「君は、この子のことが好きなのか?それとも、欲望に身を任せそうになったのか?」


錬金学士「好きです…一目惚れです…、だけど…白剣士さんがいる限り…」

ナイト「ま、そりゃそうだわな。だからって、こういうことをするのは、好きなこの子への裏切りでもあるだろうが」

錬金学士「…そ、そうですよね…」

 
ナイト「ったく…、若い子は欲求ばっか満たす方向に走りやすいんだからな…」

錬金学士「すいませんでした…」

ナイト「このオッサンがいる限り、こういうことは見過ごさんぞ。次は、ないと思うことだ」

錬金学士「はい…」


…ガチャッ

白剣士「飯、もってきたぞ…って、オッサン。いたのか」

ナイト「あ、ちょっとね。飯か…ありがとう!」

白剣士「オッサンの分はねーよ。部屋戻って自分でとってこい」

 
ナイト「ひ…ひどい!」

白剣士「ほらよ、学士。っと…起きろ、女剣士。飯だ飯」


女剣士「むー…?」

白剣士「飯だっての、めーしーー!朝だー!起きろー!」

女剣士「んー…眠い…」

白剣士「はやく起きて食わないか!」

 
女剣士「白剣士が作ったのなら食べるー…。目玉焼きー…」

…ガバッ…ハグハグ


白剣士「あ、おい!お前、寝ぼけてるな…、それは俺の耳だ!おいこら!」

女剣士「うぬー…私は姫だぞ…言うことをきけ…」ボソボソ

白剣士「お、おい!」


女剣士「悠久王国の姫様…、悠久姫とは私のことだ…側近…ウィッチ…集まれー…」

白剣士「ばっ…」


錬金学士「ひ…姫…?」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…モグモグ

白剣士「…」

悠久姫「…その、耳…どうしたのだ…?」

白剣士「お前が食ったの」

悠久姫「あ、あはは…寝ぼけて覚えていないのじゃ…」


白剣士「おまけに正体までベラベラしゃべってな…はあー」


錬金学士「お、お姫様だったんですね…」

 
悠久姫「バレてしまったのう…少なからず、いつかはバレそうではあったが」

白剣士「寝ぼけて正体明かすなんて、アホだな!」

悠久姫「アホアホいうな!この、アホ!」


白剣士「ふんっ、ま、そういうことだ…。事情は察してくれ…」


錬金学士「大体…悠久国のお話は聞いてますし…分かってます」

白剣士「そうか…物分りがよくて助かる」

錬金学士「ですが、姫様が星降に行くのは危険なのでは?」

 
白剣士「その為にも俺がいるんだがな。俺はこいつを守るんだよ」

錬金学士「…守るって、そういうことだったんですね」

白剣士「あん?」

錬金学士「姫様だから、守るってことですよね?」


白剣士「あ?ちげえよ?」

錬金学士「え?」

白剣士「俺は一人の女として守るって言ったんだ。姫とかは関係ない」


悠久姫「…へへ」


錬金学士「…かっこいいですね。姫様が惚れるわけだ…」

 
白剣士「は、何をくだらないことを…うし、そろそろ…ローブやら準備しておくか」

錬金学士「…はい」

白剣士「とりあえず、星降の境界まで行ってみよう。そこから侵入経路がないか、探す」

錬金学士「そうですね、一応…緩い部分は模索しておきましたので、後で教えます」


白剣士「頼んだぞ。それじゃ、準備開始だ」

 
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――――【星降町・境界線(出入り口門付近)】


…トコトコ

ナイト「…兵器の解体で、本当に戦争は終わるのか?」

錬金学士「少なくとも、それで星降…つまりは西軍の最終手段が失われると思います」

ナイト「そうか。東軍だけが兵器を持てば、脅威になるから…か」

錬金学士「そういうことです」


白剣士「さて…、あそこが星降の入り口か?やっぱり現状に警備されてるなー…」

 
ナイト「強制突破でどうだ」

白剣士「オッサン…」

錬金学士「そんなことしたら一発でお尋ねモノですよ…」


白剣士「どうする?」

錬金学士「少し移動した場所に、森と境界線が重なってる部分があると思います。そこに行ってみましょう」

白剣士「わかった」


錬金学士「そこなら、森の中なので比較的安全に抜けれると思います」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【星降の境界線・森】


ザッザッザッザ…


悠久姫「…人は少ないようじゃな」

…ザスッ

悠久姫「痛っ!」


白剣士「ローブが引っかかりやすいんだ。枝に気をつけろ」

悠久姫「うむ…」


錬金学士「腰を下ろせば大分楽ですよ…こうです」スッ

 
悠久姫「おぉ…本当じゃ。ありがとうな!」ニコッ

錬金学士「いえ…」カァッ


白剣士「…」


ナイト「何ボーっとしてるんだ、さっさと進むぞ」

白剣士「お、おう」

ナイト「…待て、半歩下がれ」スッ

白剣士「敵か?」スチャッ

 
錬金学士「…」ジッ

ナイト「あれは軍服…星降軍か?」

錬金学士「…ですね」


白剣士「この距離だとちょっとな…、ここから中心街はどのくらいだ?」

錬金学士「そろそろ森に入って時間もたちますし、あそこの軍人が町前の門番じゃないでしょうか」

白剣士「なるほどな。人数は見えるか?」


ナイト「…1、2…3、4人か。ワンパーティみたいだな」

 
錬金学士「すごいな…あの2人…」

悠久姫「まっ、さすがと言ったところじゃの」

錬金学士「はー…それに比べて、僕は…」


悠久姫「何、お主が兵器を開発しなければ、この戦争は終わりが見えなかったのだろう?」

錬金学士「そ、それはそうかもしれませんが…」

悠久姫「そう考えれば、お主も立派な戦士じゃ。胸を張るがよい」

錬金学士「そっ、そうですかね…?」

悠久姫「当たり前じゃ!」


錬金学士「ありがとうです…へへ」

 
…スタッ

白剣士「終わったぞ。来い」

悠久姫「わかった」


…ダッ…タタタタタッ


星降軍人たち「」


悠久姫「…死んでるのか?」

白剣士「いんや峰打ちだ。さすがに姫の前ではな」

悠久姫「うむ…あまり…な…」

 
ナイト「ここに立つと、町が見えるな。とりあえず中で宿を探そう」


白剣士「そうするか…」

悠久姫「敵の陣地の真ん中…か」ブルッ

白剣士「…」

悠久姫「…べ、別に怖いことなど…ないぞ…?」


白剣士「ったく、無理すんなっての、ほら…こっち来い」

…グイッ

悠久姫「わわっ」

 
白剣士「まー大丈夫だ、俺もいれば、オッサンもいる。怖いときは、素直になってもいいんだぜ?」

悠久姫「う…うむ…」

白剣士「手握っててやるから、行くぞ」

悠久姫「…うん…」ギュッ


錬金学士「…」

ナイト「…ほれ、いくぞ錬金学士。ボーっとするな」

錬金学士「は、はいっ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【星降町・宿】


宿番「…お客さんですか?」

ナイト「あぁ。何日かは分からないが、しばらく泊めてほしい」

宿番「あなたたち…どこから…?今は旅行者は入れないはずですが…」

ナイト「ちょっと野暮用でな。あと、相談がある」


宿番「はい…?」

 
ナイト「…」

…チャリンチャリンッ


宿番「じ、十万金貨!?何枚あるんですか…これ…!!」

ナイト「ほしいか?」

宿番「…」ゴクリ

ナイト「なら、俺たちが泊まっていることを記帳せず、俺らがここにいることを秘密にしてほしい」


宿番「そ、それだけでいいんですか…?」

ナイト「出来るだけ、関与はしないでほしい。あと、俺らを探して誰かが来たら、教えてくれ」

宿番「分かりました…!」

 
白剣士「やれやれ…お金の魅力は怖いね」


宿番「それで、部屋は…一番いいのを用意します」

ナイト「2つ頼む。1つは、あそこの剣士クンと女性用。もう1つは、あそこの青年と俺用だ」

宿番「了解しました。鍵を用意してきます」

ナイト「頼んだ」


白剣士「とりあえず…拠点はおけた感じか?」

悠久姫「これからどうする?」

ナイト「それも含め、部屋で話し合おう。まずはそれからだ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

コポコポッ…スッ

悠久姫「お茶、淹れたぞ」


白剣士「ありがとさん。で、どうする?」グビッ

ナイト「…侵入できたのまでは成功だ。あと、倒れた軍人たちが俺たちのことを上に告げるだろうな」

白剣士「それが問題なんだよな。ここにも絶対、調査が入るしな…」

 
ナイト「星降の軍人たちを仕切る、民軍准尉とかいうヤツは相当頭がキレるらしいしな」

白剣士「…全くだ」

ナイト「知り合いか?」

白剣士「一度会ってる。嫌なヤローだよ」ハァ


ナイト「…、それで、錬金学士」

錬金学士「は、はい」

ナイト「兵器はどこにあるんだ?俺たちの目的は第一にそれだからな」

錬金学士「…恐らく、軍の本部の地下でしょう。友人から、そこで兵器開発を行っていると聞いたことがあります」

 
白剣士「まーた厄介な場所に…」

ナイト「強行突破…というわけにもいかないな」

白剣士「どうするよ」

ナイト「いい案があればいいんだが…」


全員「うーん…」


悠久姫「あっ」

 
白剣士「何だ?」

悠久姫「げ…下水とかどうだろう…なんて…」

白剣士「下水?」

悠久姫「父上に、星降の下水は町全域を繋いでて、管理がしやすいように巨大な下水になってると聞いたことがある」

白剣士「ほう」


ナイト「それが地下の開発施設に繋がってる…か?」

白剣士「それはなー…確証がない以上、何ともいえないからな…」


ナイト「…捕まえるか」


白剣士「え?」

 
ナイト「どうせ、ここにも調査に軍人が来るだろう。そいつを捕まえよう」

白剣士「…なるほど」


悠久姫「…酷いことを…するのか…?」


白剣士「…捕まえて訊くだけさ。そうだろ?オッサン」

ナイト「お、おう…そうとも!」

悠久姫「そうか…」ホッ


白剣士(そりゃ…そうだよな)


ナイト「まず、本部への侵入経路の確保。それと、兵器の場所の確認。陣営の把握…やることは沢山ある」

 
白剣士「大体が、捕まえて訊けば分かりそうなことだな」

ナイト「だろう?」

白剣士「…そこはオッサンに頼むぞ」

ナイト「そうだな…任せてくれ」


悠久姫「…」グゥゥ


白剣士「お姫様?」

悠久姫「…気のせいだ」

 
白剣士「そうか」

悠久姫「…」

白剣士「…」


悠久姫「…」グゥゥゥ~…


白剣士「…姫様?」

悠久姫「…気のせ…」

白剣士「じゃないな。オッサン、買出しとか出来るか?俺も少し腹が減った」

 
ナイト「どうだろうか…危ないから…あまり外には出たくないのだが…」

白剣士「つか、ここは料理とか出してもらえるのか?」

ナイト「そうか、一応3食付ではあるからな…」


…コンコン

白剣士「はい?」


…ガチャッ

宿番「失礼します。もうじき夕食ですが、外で食べますか?こちらでご用意をいたしますか?」

 
ナイト「いいタイミングだ。気が利くな」

宿番「恐らく、悩む所であるとは思いまして」

ナイト「生憎…あまり外には出たくないからな。部屋まで運んでもらえるか?」

宿番「承知しました。出来るだけ、ご期待に添える料理を出したいと思います。何かご希望はありますか?」


ナイト「みんな、何かあるか?」


白剣士「いや…俺は別にないぞ」

悠久姫「私もないな」

錬金学士「同じくありません」

 
ナイト「…ということらしい」

宿番「はい。それならこちらも腕を充分に振るいますよ!」

ナイト「はは、旨い食べ物は活力になるからな。こちらの女性が、既にお腹をすかせてるそうだ。よろしく頼んだぞ」


悠久姫「…むぅぅ」カァッ


宿番「こ、これは気づけず!すぐにご用意致しますので、お待ちください!」

白剣士「あ、ゆっくりでもいいぞ」

悠久姫「白剣士ぃぃ…」

白剣士「ははは!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ゴクンッ!

悠久姫「プハァ…旨かった!」

ナイト「ご満足いただけたようで何よりですな」ハハ

悠久姫「…悠久国も近いからの。懐かしい味がした…」


白剣士「…」

悠久姫「…おいしかった」


錬金学士「姫様、どうしたんですか…?」

 
ナイト「…」

悠久姫「何…ちょっと思い出しだ」グスッ

錬金学士「どど、どうしたんですか!?」


白剣士「…」

…ポンポン

悠久姫「…最近は、涙もろくなっていかんな…はは…」

白剣士「仕方ないことだ。ご飯も食ったことだし、作戦もひとまずは練られたしな…今日は休もうとしようぜ」


悠久姫「うん…」

 
ナイト「うし、それじゃオッサンたちは隣の部屋だからな。何かあったら来いよ?」


白剣士「分かった」


ナイト「それじゃ料理は下げてもらってくるか。錬金学士、手伝え」

錬金学士「は、はいっ」

…カチャカチャ


ナイト「それじゃ、お休み」

悠久姫「おやすみなさい」

白剣士「おう」

 
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本日はここまでです。ありがとうございました。

皆様ありがとうございます、投下開始いたします

 
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…チュンチュン


白剣士「…」パチッ

…モゾッ


悠久姫「…」スヤスヤ

白剣士(うおっ!なんで一緒のベッド…目の前に姫が!?)


悠久姫「…」

…ギュウッ

 
白剣士(な、なんだ…?)

悠久姫「…」

ギュウウッ


白剣士(涙の痕…?そうか、コイツ…)

悠久姫「…」クゥクゥ


白剣士(朝なんだが…しゃあないな…、少しだけ、横になっといてやるか…)

ゴロンッ

 
白剣士(しかし…こいつ…)

悠久姫「…」


白剣士(よく見ると、出会った時より女っぽくなったというか…成長してる感じだな…)

悠久姫「ん~…」モゾモゾ

白剣士(髪の毛も、サラサラで…改めて…見れば…、やっぱ可愛いっつーか…)

…サラッ


白剣士(俺にとって、守るべき存在か…)

 
悠久姫「…んむ」パチッ

白剣士「お、目ぇ覚めたか?」

悠久姫「あ…、白剣士…」


白剣士「…別にいい。分かってるからな」

悠久姫「…」

モゾッ…

白剣士「お…おいおい、どうした?」


悠久姫「やっぱり…白剣士…あったかい…」ギュウッ

 
白剣士「はは、そうか」

悠久姫「うんっ…」

白剣士「…」

悠久姫「…」スヤッ


白剣士「…寝やがった…こんな抱きつかれてたら、俺も動けないじゃねーか」

 
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・・

 
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…ドンドン!!

ナイト「白剣士!姫様!起きてくれ!」


白剣士「…っせぇな…」モゾッ

悠久姫「…」スヤスヤ


白剣士「あ…」ハッ


ナイト「大丈夫か!?何かあったのか!?」ドンドン!

 
白剣士「やっべ、また寝ちまってた…姫、起きろ!」

悠久姫「んん~…」

白剣士「寝ぼけてる場合じゃない、何か騒いでるぞ、オッサン、今開けるぞ!」


ガバッ!!…タッタッタッタ、ガチャッ!!


ナイト「おはよう、全然部屋も開かないから、何かあったのかと思ったぞ」

錬金学士「おはようございます!」

 
悠久姫「…あ、おはよう…」ボケーッ

白剣士「寝ぼけすぎだ。…って、俺も人のこと言えたモンじゃねーが…」


錬金学士「…一緒に寝てたんですか?」

白剣士「あー…いや、そういうことじゃないぞ?あいつが人のベッドに潜り込んできてたんだよ」

錬金学士「姫様が…?」

白剣士「まあ、な。んで、オッサン…どうしたんだ?」


錬金学士「…っ」


ナイト「ああ、えっとな…さっき、宿番から連絡が入った」

 
白剣士「どうしたんだ?」

ナイト「やはり、昨日の軍人たちに関してだ。今日、ホテルや旅行者の一斉調査を行うかもしれん…らしい」


白剣士「それじゃ…」

ナイト「あぁ…"チャンス"到来ってわけだ」

白剣士「…作戦通り、かな」


ナイト「あぁ。人数にもよるが、捕まえるのは手伝ってもらうが、そこからは任せてくれ」

白剣士「もちろん」

ナイト「…それじゃ、連絡が来るまでこっちの部屋ででも待たせて貰おうかな」

白剣士「おう」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ズズーッ…


白剣士「ぷはー…お茶うめぇ」

悠久姫「さすがに落ち着いているな」

白剣士「当たり前だ。こんな状況だからこそリラックスだ」


ナイト「そのくらい図太くないと、とてもじゃないけどね」ハハ

錬金学士「僕は気が気じゃない部分ありますけどね」

ナイト「はっはっは、オッサンが守ってやるよ」


錬金学士「そ、そうですか…」

 
ナイト「それなりに働いてくれてるって感じだな。いい宿で良かったよ」

白剣士「まったくだ」


悠久姫「いずれ、ここの宿番にも感謝せねばな」

白剣士「あぁ、勲章の授与でもしねーとな」ハハ

悠久姫「我が国には勲章がなかったな…、いっそのこと落ちついたら制度を確立して…」


白剣士「どんだけマジメなんだよ」

ビュッ

悠久姫「はっ!」

…ガシッ!!

 
白剣士「お、俺のゲンコツを受け止めた…だと」

ナイト「おぉ…」


悠久姫「ふははは、白剣士、見切ったり!」

白剣士「あっ、左腕が勝手に!」

…ゴツッ!!


悠久姫「~~…!」

白剣士「甘かったな!」

悠久姫「痛いっ!」

 
白剣士「え…、お?」

悠久姫「痛かったぞ!あー…痛い…」チラッ

白剣士「…す、すまん」


錬金学士「だ、大丈夫ですか?」


悠久姫「痛かったなー」チラッ

白剣士「…わ、わるかったよ…」

ナデナデ…

悠久姫「…うむ」エヘヘ

 
ナイト「…ところかまわずイチャつくのは、見てるほうが恥ずかしいぞ」

白剣士「…そ、そういうのじゃねぇ!」


…コンコン


ナイト「!」

白剣士「!」


ナイト「どうぞ」

 
宿番「失礼します。今、表のほうに軍服を着た人らが見えました。恐らく、調査かと」

ナイト「…感謝する。一番奥の部屋、借りられるかな」

宿番「大丈夫です」

ナイト「ありがとう、それじゃ行こう」


白剣士「この2人はどうする?」

ナイト「どこをどう調べるか、分からないからな…。壁際に固めて、守る形で迎え撃とう」

白剣士「把握した」


宿番「では、ご案内します」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ドカドカ


星降軍人A「自分は、民軍准尉様の直属軍である。ここに、滞在者がいると聞いた。調べさせてもらう」

星降軍人B「まずは宿泊帳を見せてもらおうか」


宿番「へい、しかしうちには誰もいませんよ?」

…スッ


星降軍人A「…」

星降軍人B「…」

…ペラッ…ペラペラッ…

 
星降軍人B「…確かに記載はないようだな」

宿番「だから言ってるじゃないですか」


星降軍人A「…とにかく中を案内してもらおう」

宿番「何も出てきませんよ?」

星降軍人A「いいから案内しろ。反逆罪で拘束されたいのか」


宿番「は、はい…」

コツコツコツ…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…コツ…コツ…


白剣士「…」

ナイト「足音。来たか?」

白剣士「1人…2人、3人か。1人は宿番だとして、相手は2人だな」


ナイト「…さてと、準備はいいか?」スチャッ

白剣士「もちろん」チャキッ


悠久姫「…」ゴクリ

錬金学士「…」ドクンドクン

 
ガチャッ…

宿番「この部屋が最後です」


星降軍人A「むっ」

星降軍人B「なんだ、お前ら!」



ナイト「行くぞ!」タァンッ!!

白剣士「おらああっ!」ダッ!!

 
ズバァァン!!キィン!!

星降軍人A「…っ!」

星降軍人B「…くっ…」


白剣士「ダメだ、こっち側、反応が早くてガードされた!」


星降軍人B「貴様、その顔…白剣士とかいうヤツか!」

白剣士「やっぱり俺は…大人気者だね!」

…ダッ……ブゥン!!

 
星降軍人B「舐めるなよ!」

キキキィン!!…キィンッ!


白剣士「へぇ、やるな」

星降軍人B「だが、この状況はちと多勢に無勢だな」

白剣士「逃がさんぞ…」チャキッ


…ブンッ!!


星降軍人B「小火炎魔法っ!」

…ボォン!!…クルクル…ザシュッ!!

 
白剣士「くっ!俺の剣が!」 

ナイト「剣だけ狙って火魔法で吹き飛ばすとは」


星降軍人B「俺は意外と細かい作業は得意なんでね…?」

白剣士「あちち…面倒くせー野郎だな…」


コソッ…

白剣士「!」

 
悠久姫「おりゃーーーっ!」

…ゴォォォンッ…

星降軍人B「ひぎっ!」


…ドシャッ


ナイト「き、金属ポット…」


星降軍人A「」

星降軍人B「」

 
白剣士「おま…」

悠久姫「…どうじゃ、白剣士!やる時はやるんじゃ!」

白剣士「危ないマネすんじゃねぇ!ケガしたらどうするつもりだ!」

悠久姫「…私だって、役に立ちたかっただけじゃ…」


白剣士「そういうことじゃねえ!」

悠久姫「それと…、こうやって…一矢報いたかった…」


白剣士「…っ」

 
悠久姫「…すまん」

白剣士「この…バカが…!」ユラッ

…トコトコ…


悠久姫「…」

白剣士「…」

…スッ

悠久姫「…っ!」ビクッ

 
白剣士「…手、見せてみろ。ケガとかしてないだろうな」

悠久姫「え…?…う、うむ」

白剣士「…はぁー…助かったっちゃ、助かったが…こういう事、もうすんなよ?」

悠久姫「うむ…すまなかった…」


白剣士「普段こんなことしてないだろ?腕とか大丈夫か?」

悠久姫「平気だ!」

白剣士「そうか。それならいいんだ」

ポンポン…

 
悠久姫「へへ…褒められた…」

白剣士「褒めたが、バカだ。無茶な怒りと半々で、評価は変わらん!」

悠久姫「うぬぬ…」


白剣士「ま、上出来だ。オッサン、あとは頼んだぞ?」

ナイト「任された。宿番、この部屋しばらく貸してもらうぞ」


宿番「はい、大丈夫です」


ナイト「っと、縛り上げて…と。あとは俺がやるから、みんなは部屋に戻っといてくれ」

本日はここまでです、ありがとうございました。

ありがとうございます、投下いたします

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

白剣士「…ふぅ」

錬金学士「お、お疲れ様でした…」

白剣士「さすがに打ち損じた時はどうしようかと思ったぜ」


悠久姫「でも、私の勇敢なリカバリーによってだな…」


白剣士「調子のんな!」

悠久姫「…」ショボーン


白剣士「さて、ちょっと宿番のところいってくる」

 
悠久姫「私も行くぞ」

白剣士「いや、すぐ戻ってくる。待ってろ」

悠久姫「むぅ…」


錬金学士「いってらっしゃい」

悠久姫「気をつけての」


白剣士「近くだからな。何も気をつけることなんかねえから大丈夫だ」


ガチャッ…バタン

 
錬金学士「…」

悠久姫「ふぅ…お茶でも淹れておくか…」


…トコトコ…カチャカチャ


錬金学士「あ、ああの…」

悠久姫「ん?お茶は嫌か?」

錬金学士「そ、そういうことではなくて…、腕、その、大丈夫ですか…?」


悠久姫「ん?」

 
錬金学士「その、殴った時の…」

悠久姫「ん…あぁ、大丈夫じゃ」

錬金学士「よ、よかったです」


悠久姫「心配してくれてたのか、ありがとうな」ニコッ

錬金学士「いい、い、いえ…」


悠久姫「…」

…カチャカチャ…コポコポ…

 
錬金学士「…きちんと倒したのに、白剣士さんは、文句を言うんですね」

悠久姫「まぁな。それだけ心配してくれてるんだろう」

錬金学士「…でも」


悠久姫「あいつの優しさは私がよく分かってる」

錬金学士「…そうですか」


悠久姫「…さ、お茶でも飲むがいい」スッ

 
錬金学士「…ありがとうございます」


悠久姫「ふんふん~♪」

錬金学士「…」

悠久姫「あいつは熱めが好きだからの…、もうちょっとしたら淹れてやろう」


錬金学士(背中姿…)

…ドクン…ドクン…

 
錬金学士「…っ」

…フラ…フラフラ……


悠久姫「んん~♪」

錬金学士「…」ゴクッ


悠久姫「ん?」クルッ


錬金学士「…っ!」ハッ

悠久姫「うわっ!…ど、どうしたのだ…?」

錬金学士「あ…あ…、い、いや…その…」

 
…ガチャッ

白剣士「ただいまーっと」

悠久姫「お、白剣士。おかえり、何をしてきたのだ?」

白剣士「んむ、ちょっとな。つーか、何してんの?」


錬金学士「あ、い、いや…白剣士さんにお茶を淹れようとしてたので…て、手伝おうかなと…」


白剣士「そ、そうか…」

悠久姫「熱い茶を淹れるぞ。待っておれ!」

白剣士「おう…それと、ほら」

…ガサッ…

 
悠久姫「…何だこれは?」

白剣士「食い物。見たら分かる」


悠久姫「…?」

…ガサガサ…

悠久姫「お…おぉ、これは…」


錬金学士「…?」


悠久姫「…あの時の…、私たちが会った時の…?」

白剣士「そ。昨日の飯の材料に使われてたから、あるかなと思ってな」

 
悠久姫「懐かしいな…」

白剣士「だろ?」

悠久姫「でも、何でこれを?」


白剣士「お前の反抗記念。なんつってな」ハハハ


悠久姫「反抗記念…?」

白剣士「お前が、お前の手で、初めて敵を倒しただろ?」

悠久姫「そ、それだけで…?」

 
白剣士「まあ、人を倒すってのは…後味が悪いもんだ…生死に関わらずな」

悠久姫「う…」ドキン

白剣士「気にしないようにしてたって、ダメだ。いずれ思い出すし、感触は嫌というほど甦る」

悠久姫「…」


白剣士「金属バッドで人殴るのも、金属ポットで殴るのも、思いっきりやったら変わらないってことだ」


悠久姫「…」

白剣士「だから、少しでもケアを…と思ってね。少し休め」

 
悠久姫「…うむ」


錬金学士「…人を殴っただけで、そんなに嫌に思い出になりますか?」

白剣士「…お前は、人を殴ったことがないのか?」

錬金学士「あ、あるわけがないじゃないですか!」


白剣士「だから…分からないんだ。些細なケンカでも、人をどついた感触は嫌でも残るもんだ」


錬金学士「…そうなんですか」

白剣士「もし、本気で人を殴ったり…殺したりして…罪悪感に悩まされなかったら…自身が壊れてるか、よっぽどなバカかのどっちかだろうよ」

 
悠久姫「…」

白剣士(俺はよっぽどなバカなんだろうな)


トコトコ…ストン

悠久姫「…」

白剣士「ま、姫。お疲れサン」

悠久姫「…うむ」

 
白剣士「…」

悠久姫「そういえば、私は…この他にも、思い出として大好きな食べ物があるのじゃ」

白剣士「なんだ?」

悠久姫「チョコレート。ずーっと昔、子供のころ、よく覚えていないのだが、貰ったのだ」

白剣士「…覚えてないのに、好きって…」


悠久姫「今もあの甘い味は覚えている。誰かに貰ったことなど、当に忘れているのだがな」

白剣士「へぇ…」


…コンコン

白剣士「お、誰だ?」

 
…ガチャッ

ナイト「ただいま」

白剣士「お、オッサン」

ナイト「訊けた。下水は開発施設と繋がっているらしい」

白剣士「マジか!」ガタンッ


ナイト「そもそも、開発施設は下水の一部を使ってるものらしいからな。だが、既に他の場所とは閉鎖されている部分が多いそうだ」

白剣士「なるほどな」

ナイト「それと、今は厳戒態勢みたいだな。俺らの情報がモロで漏れてる」

 
白剣士「まあ…そりゃわかってたことだ」

ナイト「兵器まで近づけるかどうか。下水の見張りもそれなりに多いみたいだしな」


白剣士「下水を通る…のが最善か?」

ナイト「…だろうな」

白剣士「いっその事、奇襲で正面突破とかどうだ?」


ナイト「…悪くないが、死ににいくようなものだ」

 
錬金学士「じゃあ…あの2人の服を使って、変装…とか…」

ナイト「…悪くないな」


白剣士「だが2着か。それに、俺らは顔バレしてるからな。着るなら…」チラッ


ナイト「俺と…」

錬金学士「ぼ、僕ですか!?」


白剣士「しかいないだろ」

 
錬金学士「む…むむむ、無理無理無理無理ぃぃ!無理です!!」

白剣士「…おい」

錬金学士「無理ですって!死にます!すぐバレます!!本当に無理です!!」

白剣士「…こら」


錬金学士「あ…そんな目で睨まないで下さい!!無理なものは無理です!!」


白剣士「話をきけぇーーー!」

…ゴツッ!!!

 
……ドサッ

錬金学士「ひっ…い、痛い…」


白剣士「おい」

錬金学士「…ひぃぃ」

白剣士「おい!」

…グイッ


錬金学士「…な、何で殴るんですか、痛いじゃないですか…」

  
白剣士「お前、友達救いたくないのか」

錬金学士「…え?」

白剣士「いいか。ここは敵の陣地の真っ只中だ」

錬金学士「…」ブルブル


白剣士「逃げる事はできる。立ち向かう事は難しい。だが、立ち向かうしか道がないに等しい。分かるか?」


ナイト「…」

悠久姫「…」

 
白剣士「お前が、友達を救いたいと言ったのは…ウソか?」

錬金学士「ほ、ほほ…本当です…」

白剣士「だろうな。俺にもわかる。だが、今、助ける手段…世界を救う手立ては…、これしかねえ」

錬金学士「…」ブルブル


白剣士「味方はこれだけだ。人がいない。だが、誰よりも頼もしい味方だと思ってる」


錬金学士「ぼ…僕も…?」

白剣士「俺には考えつかねぇ頭がある。見た目以上に勇気がある。仲間と仲間は信頼してこそ、だろうが」

 
錬金学士「…ゆ、勇気…?」

白剣士「ここにいる時点で、お前は人より人以上の勇気の持ち主だよ」

錬金学士「…っ」


白剣士「だから、できないことはねぇ。本当は、俺とオッサンで充分だが…俺はこの作戦をできないんだ。わかるか?」

錬金学士「…はい」

白剣士「肉体派じゃないお前に頼むのは酷だと思ってる。だが…やってくれるとも思ってる」

錬金学士「…」


白剣士「やって、くれるな?」

 
錬金学士「…失敗したら?」

白剣士「俺とオッサンが全力でカバーする。俺らを信頼、できないか?」

錬金学士「…で、できます…!」


白剣士「…ありがとよ。お前も立派な戦士だぜ」


錬金学士「戦士…!」

白剣士「おう。それじゃ、服奪って、そこからだな」


ナイト「だな。それじゃ…行くとするか」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
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・・・・・・
・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【森林側】


ザッザッザッザッザッザ…

白剣士「…上でよかったのか?服を使えば、下水も安全に通れたんじゃ?」

ナイト「下水を攻める事は、相手も考えているだろう。なら、正面突破で表を狙う」


白剣士「そう簡単にいくか?」

ナイト「どの道、上下どちらかは決めねばならなかった。だろ?」

白剣士「まあな」

 
悠久姫「本部は意外と近くにあったのじゃな」

白剣士「…また戻ってくることになるとは思わなかったぜ」

悠久姫「だが、いよいよ…」

白剣士「…決する時、か」


…ザッザッザッザ


錬金学士「はぁ…はぁ…」

悠久姫「大丈夫か?」

錬金学士「なんの、これしきですよっ…!」

 
白剣士「その意気だ」

錬金学士「はは…、僕も仲間ですからね…」

ナイト「…」


白剣士「っと…」

…ズザザッ


ナイト「見えた。あれが本部だ」

白剣士「軍人が多いな。俺が来た時より遥かに厳重になってやがる」

 
悠久姫「暴れすぎたからの…相手も本気じゃな」

白剣士「さぁ、頼むぜ」


錬金学士「…任せて下さい」

ナイト「俺らが道を探してくる。それまでここで待機しててくれ」

錬金学士「…大丈夫ですよね」

ナイト「あぁ、大丈夫だ」


白剣士「健闘を祈る」


ナイト「行くぞ」

錬金学士「はい…」

 
ガサッ…トコトコトコ


星降軍人「…」ジロッ


錬金学士「…」ブルブル
 
ナイト「変に意識するな。怪しまれる」


星降軍人「…」ビシッ

ナイト「…」ビシッ

 
星降軍人「本部に、何か御用でしょうか」

ナイト「例の怪しい旅行者の情報が見つかりました。そのご報告です」

星降軍人「…ご苦労様です。准尉殿は、一番奥の部屋におります」


ナイト「はっ!」

…ビシッ



星降軍人「へ?」

ナイト(やばっ、何か不味ったか…!?)

 
星降軍人「やだなぁ、軍曹殿。新人だからって、からかわないで下さいよ」アハハ

ナイト(軍曹…?)

星降軍人「階級証くらい覚えています。軍曹殿、お勤め、ご苦労様です!」ビシッ


ナイト(あぁ…なるほど)

錬金学士(…!)

ナイト(…と、なると…、この軍服は顔を覚えられている可能性があるな…、このまま中には入れねぇ…)


錬金学士「ナイトさん、ご相談があります」ボソボソ

ナイト「なんだ?」

 
錬金学士「とりあえず、戻りましょう。ちょっと、考えがあります」

ナイト「わかった」ボソボソ


星降軍人「?」

ナイト「ちょっと急用を思い出した。後で戻ってくるから、しばし待て」

星降軍人「はっ!」ビシッ

本日はここまでです、ありがとうございました

皆さまありがとうございます、投下致します。

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ストンッ…

ナイト「あーーーっ!肝を冷やしたぜ。まさか軍曹だったとはな…」

白剣士「相手が新人じゃなかったら、今頃…」

ナイト「言うな…」


錬金学士「…やっぱり」

ナイト「あ、そうだ。学士、一体どうしたんだ?」


錬金学士「あそこの建物のマーク、あれが星降軍のマークですよね?」

 
ナイト「…そうだな?」

錬金学士「道中、町の中の建物でそのマークを見かけました。おそらく、支部だと思います」

ナイト「…ほう」


錬金学士「あそこが本部だというなら、このまま侵入しても、白剣士さんたちを入れる経路の確保は難しいと思うのです」

白剣士「…そう、だな」

錬金学士「下水があるなら、やはり下を行きましょう」


白剣士「…どうやって?」


錬金学士「支部、です」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…カツーン…カツーン


白剣士「下水…広いな。本当に繋がってるのか?開発施設と」

錬金学士「一番近くの支部なら、支部という名目で人も少ないかったですし、何かしらで繋がってはいるでしょう」

白剣士「まぁ、人が少なかった分、簡単に忍び込めたが…」


悠久姫「それにしても、支部が開発施設と繋がってる根拠はあるのか?」


錬金学士「…思い出したんです」

白剣士「何をだ?」

 
錬金学士「友達が、本部周辺の支部は、効率化を図るために秘密の通路で繋げている、と」

白剣士「秘密の通路…」

錬金学士「おそらく、下水のことでしょうね」


白剣士「やるじゃないか」

錬金学士「…えへへ」


白剣士「…!」ハッ


ナイト「止まれ。足音を出すな」

 
…ピタッ

白剣士「明かりが見える」

ナイト「…人がいるか?」

白剣士「T字路になってる。右側に明かり、左側が暗い。右側に人がいる」


ナイト「…ビンゴ、だな」

白剣士「そうみたいだな。音が反射しすぎ、狭すぎて、近くまで行けないか…」

ナイト「奇襲をしかけるにも…」

白剣士「だからこそ、こんな場所に作ってるんだろうが…」

 
錬金学士「…ちょっと待って下さい」

白剣士「あん?」

錬金学士「雷魔法とか、使えますか?」

白剣士「一応。小魔法だけどな」


錬金学士「…」ジッ

…ブツブツ


白剣士「…?」

錬金学士「…ここです」スッ

 
白剣士「ここ?」

錬金学士「この…」

…ゴソゴソ…キュッキュッキュ


錬金学士「この、丸の範囲内に、寸分狂わず雷を放って下さい」

白剣士「小魔法だが?」

錬金学士「大丈夫です」


白剣士「…お得意の、計算ってやつか?」

 
錬金学士「…信じられませんか?」

白剣士「いや…信じることが大事っつっただろ」

…スッ


白剣士「小雷撃魔法!」

バリバリッ!!!…バリバリバリ!!

…ビシィ!!バリッ…バリッ…!!バリッ!!!


悠久姫「…おぉ」

ナイト「壁を反射しながら雷が…」

 
星降軍人「…」キョロキョロ

…バリバリバリ!!


星降軍人「!?」

…ビリビリビリ!!!………ドシャッ……



ナイト「…お、おぉ、届いた!」

白剣士「…まじかよ」

錬金学士「よしっ!」グッ

 
悠久姫「おぉ…す、すごいな…」

錬金学士「こんなことくらいしか、役に立てませんから…」


白剣士「充分すぎるぜ。ありがとよ」

錬金学士「は、はいっ!」

白剣士「それじゃ、先に進むぞ」


ナイト「あと少しだ」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【開発施設・前】


…コソッ

白剣士「…あった。ここだな」

錬金学士「間違いないですね。資料や、サンプルが置いてありますし」

白剣士「…白衣を着ているのは研究員か?」


ナイト「恐らくな。軍服もいる…戦闘要員か…」


白剣士「研究員が1人、戦闘員が3人…厄介だな」

 
ナイト「…どうするか」

白剣士「…お?」


コンコン…

研究員「はい?」

…ガチャッ

民軍准尉「失礼しますよ」


研究員「み、民軍准尉殿!」

 
白剣士「…!」

悠久姫「み、民軍准尉…っ!」


研究員「こんな地下まで…どうしたのですか?」

民軍准尉「不埒な話を聞いてますから、一応視察です」

研究員「なるほど…」


民軍准尉「爆弾の扱いは丁重に行ってますか?」

研究員「はい。一応、責任者である自分が、その鍵を持ってますし」

 
民軍准尉「結構です。あの爆弾は、我々が巨大な敵組織である中央軍への最後の布石。大事にしてください」

研究員「はっ!」ビシッ

民軍准尉「一応、外側の警備員は増やしておきました。何かあったら連絡を下さい」

研究員「わかりました!」


民軍准尉「それでは、また後ほど」

研究員「はい」

…ガチャッ…バタンッ…

 
白剣士「…聞いたか?」

ナイト「…ありがてぇ」

悠久姫「あの研究員、面白いようにしゃべってたの」

錬金学士「どうします?」


白剣士「とりあえず、相手は4人か…。外にも警備いるっつってたし、出来れば物音立てずに倒したいんだが…」


ナイト「こんな時、俺らの出番…だろ?」

錬金学士「変装用の服、もう1度役にたつんですね」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


バシャバシャッ!!


ナイト「おーい!誰か!」

戦闘員A「ん?どうしたー!?」

ナイト「こっち側で怪しい人物を捕まえた!来てくれ!」


戦闘員A「待て!今行く!」

タッタッタ…

 
白剣士「せーの…っ!」


戦闘員A「!…何だ、お前っ…」

ゴシャッ…ドサッ


戦闘員B「…何だ今の音」

戦闘員C「おーい!どうしたー!」


錬金学士「早く来てください!大変なことがー!」

 
戦闘員B「わかった!今行く!」

戦闘員C「待ってろ!」

タタタタッ…


白剣士「よいしょーっ」ブンッ

 
………ドスドスッ!!!

ドサッ…ドサッ………


研究員「…あれ?どうしたんだ皆?」

…トコトコ


白剣士「…」

…グイッ!!…チャキンッ…


研究員「ふむぐっ!?」

白剣士「…声を出すな、斬るぞ」

 
研究員「むーっ…!」

白剣士「…いくつか聞きたい事がある。お前の持ってる鍵は、中央軍から盗んだ設計図の爆弾のある部屋か?」

研究員「…」


白剣士「…」ブンッ

…ゴツッ!!…ドロッ…


研究員「~っ…!」

 
悠久姫「…っ」
 
 
白剣士「もう1度聞く。盗んだ設計図の爆弾のある部屋、なのか?」

研究員「…」コクン

白剣士「よし。その部屋はどこにある?」

研究員「…」チラッ


白剣士「…あの赤い扉の部屋か?」

研究員「…」コクン

 
白剣士「お前らの、切り札…それは爆弾だけでいいんだな?」

研究員「…?」

白剣士「あ、いや…質問が悪かった。星降が、中央への脅しで使うのは、爆弾が全てなんだな?」

研究員「…」コクン


白剣士「わかった。他に何か聞きたいことがあるやつは?」


錬金学士「あ、あの、練成師ってやつは…いませんか?」

研究員「…」チラッ

 
白剣士「…同じ部屋か?」

研究員「…」コクン


錬金学士「本当ですか、ありがとうございます!」


白剣士「ご苦労さん、情報ありがとよ」

研究員「…」ホッ

…ゴツンッ!!……ドサッ…


白剣士「…よっしゃ、鍵は…これだな。準備は、いいな?」

 
ナイト「いいぞ」

悠久姫「…いつでも」

錬金学士「いいですよ…」


カチャカチャ…ガチャッ…ギィィィィ…!

 
白剣士「…人がいる」


錬金学士「…練成師!?」

練成師「…その声は錬金学士?いや…まさかこんな場所に…」

錬金学士「僕だよ!」


練成師「錬金学士…どうしてここに!?」


錬金学士「…君を助けに。今、爆弾を処理して、素直に言えば、罪はきっと軽くなるはず!」

練成師「…そ、それで来たのか…?敵の陣地真っ只中に…?」

 
錬金学士「そうだよ…僕と、中央に帰ろうよ…!」

練成師「…嫌だね」

錬金学士「…」


練成師「…ようやく俺は民軍准尉様に認められるところまで来たんだ。それを帰れるワケがない」


錬金学士「で、でも…友達として、僕は君を…!」

練成師「友達?誰が?」

錬金学士「…え?」

 
練成師「俺は、君を友達と思ったことは一度もないよ?」ハハッ

錬金学士「え?…え?」

練成師「…え?」


錬金学士「で、でも、僕がイジめられてた時、助けてくれて…!励ましてくれたじゃないか…!」

練成師「あ、あぁー…それは…君が使えると思ったからだよ」ハハハ

錬金学士「つ…使える…?」


練成師「そうさ。君は頭がよかったからね。いずれ、星降に有益な技術を造ってくれたりするんじゃないかなーとか思ったりして」

 
錬金学士「そ、そんな事で…?」

練成師「俺は、星降のためなら一生を棒に振って構わないと思ってたからね。それに、やっぱり、こうして爆弾を作ってくれたし」ハハハ

錬金学士「…と、と…友達っていうのは…ウソ、だったの…?」

練成師「ウ、ソ」


錬金学士「…っ!」


練成師「気持ち悪いんだよ、お前。少しイジめられたからって、うじうじさ…」

 
錬金学士「……今までかけてくれた言葉も、ウソだったの…?」

練成師「…友達じゃないんだから、当たり前だろ」

錬金学士「そん…な…」


悠久姫「な…何て…ヤツじゃ…」


白剣士「おい…錬金学士、顔あげろ」

錬金学士「…うっ」グスッ

白剣士「俺らは、仲間だろ?仲間はさ、その前に友達だと思うんだ」


錬金学士「僕らは友達…ってことです、か?」ポロポロッ…

 
白剣士「僕らも何も、仲間だろ。仲間は友達だろ?な?元気だせ」

錬金学士「…!」

白剣士「俺みたいなのじゃ不満かもしれねーけどな」

錬金学士「そ…そんなこと…!!」


白剣士「…ってなわけだ。練成師」

練成師「…何が、というわけなのさ」

 
白剣士「俺の友達を、よくもバカにしたな?これで殴る理由はできたっつーわけだ」コキコキッ

練成師「…なるほど。理にかなっている」

白剣士「覚悟しろよ」


練成師「…あ、そうだ」

白剣士「あん?」

練成師「民軍准尉さんに…言われていたことがあったんだった」

白剣士「民軍准尉に?」

 
白剣士「そんなこと、させるかよ!」


練成師「え?」

…カチッ


ナイト「なっ…スイッチを押し…っ」

悠久姫「…!?」

錬金学士「れ、練成師…君は…一体何をして…」


白剣士「何やってるんだ、てめぇ!!!」

本日はここまでです、ありがとうございました。

>>217 >>218の間
 
練成師「…見て気づかない?今、ここに…爆弾は?」


白剣士「…ないな」

ナイト「そう。おかしいと思った。この部屋にいるのは、君と…その手に持っている赤いモノ」

錬金学士「…スイッチです」

白剣士「スイッチだと」


錬金学士「遠隔操作に改造したのかっ…、恐らくあれは爆弾が射出されるスイッチです!」

練成師「その爆弾は、中央国の都市部へ…"ボン"さ」

>>221 >>216>>217の間ですね 
重ね重ね申し訳ない。指摘ありがとうございました。

ありがとうございます、投下いたします。

 
練成師「だから、民軍准尉さんの言葉。もし、この場所に、敵が入ったら…爆弾を射出しろってね」

白剣士「な…に…」

練成師「ま、発射まで時間あるかなぁ。屋上から中央都市部へ綺麗に飛んでいくよ」

白剣士「…っ」


練成師「処理されて困るくらいなら、使っちゃえって軽くいわれたんだ。で、今はそのときでしょ?」

白剣士「…頭のネジ、2、3本ないんじゃねーのお前…!」

練成師「ははは、そうかもね」


錬金学士「…」

 
ナイト「こうしちゃいられない、屋上へ急ごう!」

白剣士「…お前は、いつかぶっ飛ばす…覚えとけ、クソヤローが!」


練成師「…」


白剣士「姫、走れるか?今回はちっとキツイぞ」

ナイト「強行突破になる。とにかく、走らなければ!」

悠久姫「大丈夫じゃ。足手まといには…ならぬ!」

白剣士「その意気だ…いくぞ!」

 
錬金学士「…練成師!」

練成師「あん?」


錬金学士「…必ず僕が、処理してみせる。待っていろ!」


練成師「ははっ、せいぜい頑張って」

…タッタッタッタッタッタッタ


練成師「どうせ、屋上にゃ…あの方が…ね」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…ウ~!!!

白剣士「おらああっ!どけぇぇ!」


…キィン!!!ズバッ…ドスッ!!

戦闘員A「ひるむな!進め!」

戦闘員B「し、しかし…強すぎます!」



白剣士「峰打ちはできないぞ…死にたいヤツから前に出ろぉ!」

ナイト「姫様、学士、大丈夫か!?」

 
悠久姫「余裕じゃ!」

錬金学士「大丈夫です…あっ!」

白剣士「なんだ!?」


戦闘員達「数で攻めろ!屋上に行かせるなとご命令だ!」

…ダダダダダッ!!


白剣士「何人いるんだよ…虫みてぇに沸きやがって!」

 
錬金学士「…あそこの電灯に雷魔法を!」

白剣士「…小雷撃魔法!」


バチバチッ!!……ボォォォォン!!!

……バリバリバリバリバリッ!!!!


戦闘員達「ぬ、ぬああああっ!」

…ドサドサドサッ…

 
白剣士「やるじゃねぇか!」

錬金学士「ありがとうございます!」


ナイト「姫様、学士、後ろだ!2人とも、頭下げるんだ!」


錬金学士「ひっ!」

悠久姫「うむっ!」

…ヒュンッ!!

 
戦闘員「うおっ!」


ナイト「特突連弾!!」

…ビュビュビュビュッ!!!


戦闘員「ぬぐっ…が…」

…ドシュドシュドシュッ…ドサッ…


ナイト「危なかったね。この調子で、屋上まで行くぞ!」

白剣士「もう少しだ、あの扉で最後だ!」

 
ダダダダダダダッ!!!

白剣士「おらあああっ!」


…ガチャンッ!!


白剣士「はぁ…はぁ…やっと着いた…」

ナイト「あったか…?爆弾」

悠久姫「爆弾は…ある」

錬金学士「…」

 
白剣士「…っち、先回りされていたか」

ナイト「先客…か」

悠久姫「お主は…」ギリッ

錬金学士「あの人が…」


民軍准尉「おやおや、皆様、お揃いで…」

 
白剣士「…久しぶりだな」


民軍准尉「姫様と一緒にいた剣士さん。やはり、手配しといて正解といった所でしたね」

白剣士「おかげで、俺もかなりの有名人になっちまったみたいだな」

民軍准尉「はははっ、お礼ならいりませんよ」


悠久姫「…」

民軍准尉「お姫様も、お久しぶりです」ニコッ

悠久姫「…みんなを…よくもっ…!」

 
民軍准尉「みんな?あぁ…王国の幹部共ですか?」

悠久姫「…」ギリッ

民軍准尉「最後までよく戦いましたが…、最期は我が軍人と同じように…迎えて貰いましたよ」ハハハ

悠久姫「く…」


白剣士「…その口、永遠に閉じさせてやろうか」チャキ

民軍准尉「おぉっと、自分は戦闘員ではないので。それより、この爆弾でしょう?目的は」

 
ナイト「話すのもいいが、今は最優先であの処理だぞ!」

悠久姫「わかって…いる…」

白剣士「くっ…」


民軍准尉「別に処理できるなら、どうぞ?自分が戦っても、無駄に殺されるだけですので。自由に処理してください」


白剣士「…妙に物分かりがいいじゃないか」

民軍准尉「ははっ」

 
白剣士「…だが、あれを何とかしない限りはどうしようもならん。出来るんだな?錬金学士」



錬金学士「…その為に、僕は…ここにいます。任せてください!」

白剣士「よく言った。任せるぞ」

 
…タッタッタッタッタ…スチャッ

錬金学士「数分もあれば…、この程度!」

 
白剣士「で、どうする?民軍准尉。お前の野望も、この兵器とともに終わるんじゃないか?」

民軍准尉「おぉ…そうですね。困った…」

白剣士「…」


民軍准尉「確かに、これがなければ、兵器の差、戦力差で、中央には勝つことができないでしょう」

白剣士「降参か?」

 
民軍准尉「…まさか。いいましたよね?"自分が戦っては負ける"と」

白剣士「あ?」


民軍准尉「…来い!デュラハン!!!!」


ドォォォンッ!!…パカラッ…パカラッ…スタッ

デュラハン『…』フゥゥ


悠久姫「ひっ…何じゃあれは…」

白剣士「…!」

ナイト「おいおい冗談じゃないぜ…上級魔物まで、お前の手下なのか?」タラッ

 
民軍准尉「昔、倒され放置されていた魔物を、研究を重ねて甦らせたんですよ」

白剣士「…面倒くせぇことを…」

民軍准尉「これが、本当の自分の最終防衛線です。果たして、守りながら…戦えますか?」ニタッ


白剣士「…やってやるしかないんだろうが」

ナイト「オッサンも、本気で行くぞ」

悠久姫「私は…」

白剣士「学士の手伝いだ。そいつの処理を早く終わらせるように、手伝ってやれ!」


悠久姫「わかった!」

 
民軍准尉「それでは…デュラハン、よろしく頼みますよ」


デュラハン『はっ。お任せください』スチャッ


白剣士「…来るぞ」

ナイト「こんな仕事になるなんてね。聖剣士のやつめ…」

白剣士「…今更悔やんでもな…、来い!デュラハン!」


デュラハン『ぬううおおおおお!!!』

 
…ブゥンッ!!!

白剣士「…早い!だが、避けられる!」ヒュンッ


デュラハン『…ぬおおおおおっ!!』

ブゥン…ブゥン!!!


ナイト「あの巨体で、あの大剣を軽々振り回すか…厄介だな」

白剣士「乗ってる馬から処理するべきか?」

ナイト「鎧が厚い。本体も厚ければ、馬も同じだ。どうするか…」

 
デュラハン『どうした!かかってこぬか!』

民軍准尉「くくく…」


白剣士「馬を攻めてみる。オッサンは本体のほうを頼む」

ナイト「分かった」


白剣士「…火炎装っ!」

…ボワッ!!


デュラハン『ほう、武器に属性付与か』

 
白剣士「…おらぁぁっ!」

…ブンッ…キィィン!!!


デュラハン『ふはは、その程度の攻撃で我が愛馬は倒せぬぞ!』

白剣士「くそっ、オッサン!」

ナイト「特突っ!」


…ビュッ…ギィィンッ!!!ギギィン!!


デュラハン『くく…軽い軽い、鎧にキズ一つ付かぬわ!』

 
…スタッ

白剣士「かてぇ…」

ナイト「攻撃が全く効かないとは…」


民軍准尉「仮にも死神の名を持つ最上位の魔物。そう簡単に倒されるはずがないですね」ククク


白剣士「…こいつは蘇らせられたんだろ?じゃあ、こいつを倒したやつはバカみてーな強さを持ってたってことだな」

民軍准尉「はは、そりゃそうですよ。彼を倒したのは、あの"2代目英雄剣士"なのですから」

白剣士「…何だって」


デュラハン『…』

 
ナイト「…そういやそんな話、昔聞いたな」

白剣士「俺の親父は、こんなヤツを倒したのかよ…」

民軍准尉「…何ですって?」


白剣士「英雄剣士は俺の親父だ。それは調べてなかったのか?」


デュラハン『何…?』


白剣士「聞こえなかったのか?てめぇを倒した、憎い剣士の息子が俺だよ!」


デュラハン『…ふ、ふははははっ!!!』

ビリビリビリ

 
白剣士「う、うるせぇぇ!」


デュラハン『何という因果!何という日よ!』ブワッ

白剣士「うっ…、なんつう気迫だ…!」


民軍准尉「少々予想外ですが、あなたはその英雄剣士ほどの強さはないでしょう?」

白剣士「…どうだと思う?」

民軍准尉「デュラハン!さっさとそいつらを…ねじ伏せろ!」


デュラハン『言われなくとも…お任せを!』

 
…グググッ


白剣士「…何か来る」

ナイト「抵抗魔法!…肉体鋼鉄化!攻撃増大魔法!」パァァァッ


デュラハン『闇波動!』

グォォォォッ!!!!


ナイト「闇波動!?」

白剣士「このくらい…」

ナイト「それはダメだ!避けろ!」

白剣士「!」

 
ヒュンッ!…ズザザ…ドンッ

白剣士「…くっ」

ナイト「…忘れてたぜ。あんな技があったな…あれをまともに受けたら、いくら何でもただじゃすまない」


デュラハン『ほう。あれを見切るか』


白剣士「近接はダメ、距離も置けない、どうすりゃいいんだよ!」

ナイト「秘策とかはないのか?」

白剣士「な…くはない…が…」チラッ

 
悠久姫「頑張るのだ…白剣士!」


白剣士「…くそっ」

ナイト「使えないのか?」

白剣士「使えなくもないが…出来れば…」

ナイト「…無理にとはいわん。だが、状況を打破できる手立てがない」

白剣士「そうなんだよな…」

 
民軍准尉「さっさと決めろデュラハン!いい加減、爆弾を処理されてはこっちの負けになる!」


デュラハン『もう少し余韻を楽しみたかったのですが』

民軍准尉「ならば、そっちの処理に回っているほうから殺せばいい」

デュラハン『仰せのままに!』


白剣士「なっ…おい、待て!!」


民軍准尉「ふっ」

 
デュラハン『…死ねぃ!』

…ビュッ!!


錬金学士「!!」

悠久姫「ひっ!」


ナイト「いかん!間に合わないぞ!」

白剣士「く…くそがああ!」

本日はここまでです、ありがとうございました。
次回更新が最終話となります。

ありがとうございます、投下いたします。

 
…スッ

ドクンッ…

ビキ…ビキビキ……!!


白剣士「竜波動っ!!!」

ブワアアッ!!!!


民軍准尉「!」

ナイト「!」

悠久姫「!」

錬金学士「!」


デュラハン『ぬぐうっ!!』ブワッ

 
…ズドォォォン…パラパラ…


白剣士「はぁ…はぁ…やめろ!デュラハン!相手は俺たちだろうが!」

ナイト「お、お前…今…。その腕…、今の技は…」

白剣士「…こっちを見るんじゃない…見ないでくれ…」


悠久姫「まるで…体半分が…竜のようじゃ…」


白剣士「…」


デュラハン『く…ふははは!面白い!竜の混血か!?はたまた竜人族か!?」

 
白剣士「…う、うるせぇ…」

悠久姫「白剣士…」


民軍准尉「ま、まさか…竜族…?それはありえない…どういうことだ!答えろ!」

白剣士「…」

民軍准尉「人と竜の混血!?ありえない!」

白剣士「…ありえるんだよ。現に俺がそうだ」


民軍准尉「バカなっ!」

 
白剣士「…」


デュラハン『…さすが英雄剣士と謳われた男の息子!そう来なくては!』

白剣士「かかってこいよ、クソヤローが」クイッ


デュラハン『…ぬううおおおっ!』

グググッ


白剣士「…」

グググッ

 
デュラハン『闇波動!』

白剣士『竜波動!」

カッ!…ズドォォォォン!!!…グラグラグラ…ッ!!!


民軍准尉「な…なな…」

ナイト「…こりゃたまげた」


白剣士「うらあっ!」

タァンッ!!


デュラハン『飛んだ…?高いっ!』

 
白剣士「竜斬っ!」

…ガキィィィィンッ!!!…ピキピキッ…


デュラハン『ぬぐっ…!我が鎧にヒビを…!』

白剣士「もう一度!」ブンッ

デュラハン『させぬ!大斬っ!」

白剣士「…ちっ」


キィィィン!!!

 
…ズザザザ…スタッ


白剣士「…はぁ…はぁ」

デュラハン『面白い…面白いぞ!血が滾る…血が踊る!』

白剣士「あぁ、そうだな」

デュラハン『さぁ、続けよう…戦いを!』


民軍准尉「き、貴様、そんなことより、そっち側の処理に回っているやつを何とかしろ!」

 
デュラハン『…ですが』

民軍准尉「貴様を蘇らせたのは俺だ!お前が、俺に従うといったのは、ウソだったのか!」

デュラハン『…分かりました』


白剣士「させねえぞ!」

タァンッ!!


デュラハン『…ぬっ!』

…キィィン!!

 
民軍准尉「何をやっているんだ!さっさと…倒せぇぇぇ!!!」


デュラハン『くっ…』

白剣士「ここに…もう一撃!!!」

…ブンッ!!ガキィィィンッ!!!


デュラハン『…っ!』

…ピキ…ビキビキビキ…バキャアアンッ!!


白剣士「入った…!」

デュラハン『わ、我が鎧が!』

 
ナイト「勝機は逃さん!特突…連弾っ!!」

ビュビュビュビュッ!!!

…ドシュドシュドシュッ!!!


デュラハン『ぐぬおおおっ!』

 
悠久姫「や、やった!?」


デュラハン『…まだだ!まだ終わらぬ!』ブンッ!!

白剣士「無駄だ!」キィン!!

 
デュラハン『…くっ…!』

白剣士「お前の負けだ、諦めろ」ビシッ

デュラハン『我が名はデュラハン!死神と呼ばれた騎士…この程度で…負けぬわ!」クワッ


白剣士「おらああっ!」ビュンッ

デュラハン『ぐっ!』ズバッ…ド゙サッ!


ナイト「デュラハンが馬から落ちた…いけぇ!白剣士!」

民軍准尉「な…しっかりしろ、デュラハン!!」

悠久姫「いけーっ!白剣士!」

 
タァンッ…!!ビキビキビキッ…

白剣士「うおおおっ!」グググッ

デュラハン『この魔力は…我では…防ぎきれぬ…!』


白剣士「…じゃあな、また、どこかで会おうぜ」

デュラハン『…久方ぶりの戦い。楽しかったぞ…』


…ビュンッ


…………ザシュッ…ドサッ…

 
クルクル…スタッ!!


白剣士「…ふぅ」

民軍准尉「な…ななな、で、デュラハンを…!」

白剣士「で?お前の手段は、これが最後なわけ?」


錬金学士「出来た…白剣士さん!出来ました!!これで、もうこの兵器は使い物になりません!」

白剣士「よくやったぞ!」

錬金学士「はいっ!」


民軍准尉「く、くそが…よくも…俺の…計画を…!」

 
白剣士「お仕置きの時間だぜ?」

民軍准尉「…貴様に殺されるくらいなら」

…スッ


白剣士「何をするつもりだ」

民軍准尉「自分で自分の命を絶てばいい…これで、誰も俺に勝てるやつはいない!」


…スパッ…ブシュウッ…

民軍准尉「うひ…、ひ…」

白剣士「…」

 
ポタ…ポタポタ…ドサッ


白剣士「…なんつう幕切れだよ…」

悠久姫「…」


ナイト「…だが、本当にこれで全部終わった。中央軍に連絡しよう」

白剣士「兵器の解体が終われば、すぐに中央軍の本当の兵器を使って降伏勧告がされるだろうよ」

ナイト「あぁ。戦争も、終わるぞ」


白剣士「…平和が、一番だ」

 
タタタタッ…
 
悠久姫「し、白剣士…大丈夫か!?」

白剣士「…姫」

悠久姫「…」

白剣士「来るな!!」


悠久姫「っ!」ビクッ

 
白剣士「この体を…見ないでくれ…。ただ気持ち悪いだけだ…」


悠久姫「そんなことはない…」

…ギュッ


白剣士「姫…」


悠久姫「どうせ、また消えるつもりだったのじゃろ…?そんなことはさせん…!」

白剣士「俺は、化け物だぞ…?」

 
悠久姫「そんなことは関係ない…。この腕も、体も、全部、白剣士。それ以上でも、それ以下でもないのだ…」

白剣士「…」

悠久姫「…お主が化け物であろうと、私は、お主が好きじゃ!」

白剣士「…」


悠久姫「…」

白剣士「…」


…ギュッ

 
悠久姫「…白剣士」

白剣士「ありがとう、姫。俺も、好きだ」


ナイト「やれやれ」

錬金学士「…はは」


ナイト「…ん?」

 
白剣士「どうした?」

ナイト「…民軍准尉の死体、どこに行った」

白剣士「は?」

ナイト「ない。そこにあったはずの、死体が」


白剣士「血痕が…階段のほうに!」


ナイト「まだ、何かするつもりか…!?」

白剣士「くそっ、油断した!」ドンッ

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

…カツーン…カツーン…!!

民軍准尉「くっ…血が…止まらないが…俺は…死なないぞ…」


…フラフラ

民軍准尉「…ぐ、うぅ…この恨み…必ず…」


バチバチバチッ…ギュゥゥゥンッ!!!

 
民軍准尉「何だ…この音は…空間移動術か…?」


…スタッ

???「…」ニコッ

民軍准尉「な、何…何故…ここに…」


???「酷いケガだな。ヒール!!」

…パァァッ

 
民軍准尉「キズが…癒えた」

???「…」

民軍准尉「助けてくれるのか…!?」

???「まさか。お前は、償う罪が多すぎる。逃げることも、死ぬことが、許されないだけだ」

ドスッ…!!


民軍准尉「そ、そんな……うぐっ…」

ドサッ…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


白剣士「とにかく、追いかけるぞ!」

ナイト「血痕を辿るか…だが、どこへ逃げ込んだか…罠かもしれん」

白剣士「俺の力で…屈服させる。負けない…、ここまで来て、逃がせるものか…!」


…ガチャッ


白剣士「…誰だ!?」

 
???「…」


ナイト「…ま、まさか!」

錬金学士「…あなたは…!」

悠久姫「…!」


白剣士「親父…」


英雄剣士「…白剣士。久しぶりだな」

ポイッ…ドサッ

 
民軍准尉「…」
 
ナイト「民軍准尉…キズがない?」


英雄剣士「暫くは目が覚めないだろう。罪を償わせる為だ。治しておいた」


白剣士「親父…どこ行ってたんだよ!今、この世界は大変なことになってて…!」

英雄剣士「…」

白剣士「親父がいれば、もっと犠牲も少なくなっていたかもしれないのに…なのに…」


ナイト「白剣士…」

 
英雄剣士「熟達騎士。息子を守ってくれるようにしていたんだな…ありがとう」

ナイト「師匠…」


白剣士「一体、親父はどこに行ってたんだ!答えろ!」

英雄剣士「…言い訳にしかならない」

白剣士「言い訳でもいい…聞かせろ!」


英雄剣士「この世界を、守っていた」

 
白剣士「何だと…?」


英雄剣士「そこの民軍准尉だ。そいつが、デュラハンを蘇らせる過程で、闇の魔石を多量に使ったんだ」

白剣士「…」

英雄剣士「それによって、時空の歪が生まれ、魔界とこちらが繋がる状態になってしまったんだ」

白剣士「…そうなのか」


英雄剣士「俺と母さんは、その歪から新たな魔物が介入できないように、魔界側で戦い続けていた」

 
白剣士「…」

英雄剣士「それから、身内にこちら側の出来事を聞いて、急いだのだが…どうしても時間の差が生まれてしまったんだ」

白剣士「…そうかよ」


悠久姫「…」


英雄剣士「あなたが、姫様ですね。初めまして」ニコッ

 
悠久姫「ひゃ、ひゃじめましゅてっ!」

白剣士「何で緊張してんだよ。ただのオヤジだ、こんなもん」


英雄剣士「相変わらずだな。だが、お前の活躍は聞いたぞ。立派に…なったな」


白剣士「ふん。親父こそ、相変わらず世界を守ってるんじゃねーか」

英雄剣士「…はは」

白剣士「で、どうすんだよ。あと少しで戦争は終わりだ」

 
英雄剣士「俺の考えが正しければ、お前は凄い事になるぞ?」ハハハ

白剣士「あん?」

英雄剣士「まぁ、もうすぐ分かるさ」

…クルッ


白剣士「あ、おい!どこに行くんだよ!」

英雄剣士「まだ仕事が残っているんだ。みんなに、よろしく言っておいてくれ」

白剣士「…また、数年後か?」


英雄剣士「…長い戦いだ」

 
白剣士「たまには…遊びに来いよ。叔父さん直伝の、旨い料理、食わせてやるからよ」

英雄剣士「…楽しみにしているさ。それじゃあな」

白剣士「あぁ」


ナイト「師匠…師匠!!!」

英雄剣士「…熟達騎士、お前も…精進して、その道をしっかり歩いていけよ」

ナイト「は、はい…っ!」


…バチッ…バチバチバチッ…ギュゥゥゥゥンッ…

 
ナイト「自力で時空の扉を開けて帰るなんて…相変わらず、無茶苦茶な人だ」


白剣士「…」

悠久姫「行ってしまった、か」

白剣士「相変わらず、好かないが…。親父は、親父なりの戦いをしてたんだな」

悠久姫「…」


ナイト「さ、総仕上げだ。これから忙しくなるぞ!」パンパン


白剣士「…おう」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・
・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
――――それから2ヶ月。

"最悪"と呼ばれた大陸戦争は、完全に終結する。


星降は以後、軍事の保持を禁止され、完全に中央軍の目下に置かれることになった。
 

悠久王国は再び、悠久姫を"王女"として迎え入れ、

国民たちは行列を作り、王の死、側近たちの死を涙で見送った。

 
星降を意のままに動かしてきた民軍准尉は掴まり、次元の狭間へと幽閉される。

裏切りと世界を破滅に導こうとした錬成師もまた、次元の狭間へと幽閉されることとなった。


そして、世界が落ち着きを取り戻してきた頃…

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【中央国・広場】 
 

ザワザワ…

アレガコンカイノ…セカイヲスクッタッテイウ…?

ヒメサマキレイ…


元帥「…諸君!この度の働き…ご苦労であった!!」

 
白剣士「…」

悠久姫「…」

ナイト「…」

錬金学士「…」


元帥「特に、熟達騎士。君は、2度目だな」

 
ナイト「はっ。一度受けた大陸名誉称に、名を恥じぬよう、日々努力を重ねてきました」

元帥「まことにご苦労であった。こうして再び、会いまみえて…本当に嬉しいぞ」

ナイト「勿体なきお言葉!」


元帥「軍の所属者として…、君には2階級特進。それと、"聖騎士"、パラディンの称号を与える!」

パラディン「…へ?」

元帥「聞こえなかったのか?聖騎士、だ」


パラディン「…ほ…、本当…ですか…」

 
元帥「ここで冗談など言うものか」

パラディン「ありがとうございますっ!!!」


元帥「続いて、錬金学士くん。君は、色々とやってくれたからね」

錬金学士「うっ…」

元帥「だが、勇気を出し敵の陣地に赴き、その兵器を停止、破壊。それは充分、賞賛に値する」


錬金学士「ありがとうございます」

 
元帥「君の所属は、開発部だったね。評判は聞いている。それを考慮し、大尉の階級、君の研究機関を設置しよう」

錬金学士「ぼ、僕の研究機関!?」

元帥「題材は自由だ。君が、今後"世界の為に"なる、いっそうの努力を期待する」

錬金学士「ありがとう…ございますっ!!」


元帥「元気がいいのはいいことだ…では、悠久国の…姫様」

 
悠久姫「はいっ」

元帥「姫という立場、あ…失礼。今は王女でしたか」

悠久姫「そんな…姫と今も呼ばれているので…」

元帥「そうですか。では姫様。あなたは、姫という立場ながら、よく健闘をしてくれた」


悠久姫「当然のことです」


元帥「悠久王国を守れなかったこと、非常に申し訳なかった」

悠久姫「…仕方のないことです」

 
元帥「今後、中央国、中央軍は悠久王国と対等な立場で見ていきたいと思っています」

悠久姫「…!」

元帥「まだ国内は揺れている。そこで、我が中央の優秀な部下を送って、安定するまで支援を行いましょう」

悠久姫「…助かります」


元帥「安定したら手を引きます。ぜひ、そこまでの面倒を見させていただく。もちろん、資金面もです」


悠久姫「本当に…ありがとうございます…!」

 
元帥「最後に…白剣士。君は、あの英雄剣士殿の息子であると聞いた」


…ザワザワ…

国民「すげぇ…道理で…」

国民「英雄剣士の息子は、やっぱり俺たちの英雄だったんだ…」

国民「白剣士、万歳!」

 
白剣士「…」

元帥「その行動力。その強さ。世界を守ろうとする、意思の強さ。何をとっても、素晴らしい」

白剣士「どうも」


元帥「本当は、軍に入ってもらえれば、いいポストを用意するのだが…君は不満なんだろう?」

白剣士「俺は軍に入るつもりはありませんから」

元帥「残念だ。それと…君には"3代目英雄剣士"の名をつけるのが相応しいと思っていた」

 
国民「え、3代目?」
 
国民「ああ。あいつの親父は2代目で、確か、その親父も英雄と呼ばれた剣士なんだ」

国民「げげっ、マジで!?」

国民「もう5、60年前になるかな。魔王軍が攻めてきた時、魔王を倒したのがあいつの爺ちゃんだったはず」

国民「すげぇな…世界を守るためにいる一家じゃないか…」

ザワザワ…


元帥「英雄剣士の名。…それも、不服なのだろう?」

 
白剣士「不服というか…、俺は親父を越えたつもりはありません」

元帥「ふむ」

白剣士「俺が英雄剣士と名乗るなら、それはきっと親父を越した時だと思っています」

元帥「…なるほど。君は、大した器だ」


白剣士「…」


元帥「今回は、大陸名誉賞の授与だけとする。だが、君が思わずとも…振り返ってみなさい」

白剣士「?」

…クルッ

 
国民「うおー!英雄剣士!英雄剣士!」

国民「世界を平和にしてくれて、ありがとう~!」

国民「今日の飯が旨いのは、お前らのおかげだーーー!」

国民「最高だ、あんたら!!」



元帥「世界は、君を"英雄"と、呼んでいるようだ」

白剣士「はは…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
・・

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【さらに、1年の月日が流れ】


白剣士「俺で、よかったのか?」

悠久王女「だから、何度も言ってるだろう。私は、白剣士じゃないと嫌なのだ」

白剣士「…そうか」


悠久王女「ほら、みんなに顔を出すのだ。お待ちかねじゃぞ」


白剣士「…だけどな、こんなんなるって聞いてないぞ!」

 
ワァワァ!!…ザワザワ…!!

悠久民「王女様ー!早く顔を見せてください!」

悠久民「重大発表って聞いてます!何ですかぁぁ!?」

悠久民「王女様~!」


白剣士「…何で、俺が…」ブツブツ
 
 
悠久王女「お主は、王女である私の…お…お、お、夫になる人物だぞ?」テレッ

白剣士「そ、そうだけどよ…いきなり王とか言われても…」

 
悠久王女「大丈夫じゃ。白剣士」チュッ

白剣士「…」

悠久王女「お主なら、きっと。きっと、大丈夫じゃ」ニコッ

白剣士「…」

 
悠久王女「どうした英雄!その程度で怖気づくのか!」バンッ


白剣士「ちっ…上等だ!俺が世界最高の王だってこと、見せてやるよ!」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

――光があれば、闇がある

表があれば裏がある

俺は、どっちかというと表舞台には"立てない"人間だった


まぁ…確かに普通に友人を作り、遊び、学校に通い、不自由が少ない生活を送ってたと思う


学校を卒業後、俺はのんびりと近くの店でバイトをして過ごし

それが当たり前の何もない日々…それが俺の日常だった

 
―――バイトが終わると、考えるのは今日の夕食

そして明日のバイト

それが毎日毎日、明日も明後日も、ずっと続くのだろうと…


"思っていた"

 
だが、その毎日は突然失われた。

そして、1人の乙女の明日が失われた。

やがて、世界は未来を失った。


俺は、俺を見つめてくれた人の為に、あれほど嫌いだった剣を握った


俺の毎日は失われても

その子の明日を、世界の未来を取り戻すために。

 
気が付けば


世界は未来を取り戻した。


その子の明日が、取り戻せた。


人々の毎日を取り戻せた。


俺の日常は壊れてしまったけど、今のほうがよっぽどマシだ。

 
だが、俺の戦いはまだまだ続くんだろう。

俺の大事な人の為に。

国の為に。世界の為に。


――――この道の続く先…未来の為に。

 
【E N D】

 
■あとがき

4部を終えて、5部の構想はまだ完全に確立しておりません。
その代わり、4部と同時にこっそり執筆していた、世界観は一緒なものの、繋がりが微妙にある新作を既に公開してあります。
(既に読んだ方はいるとは思いますが)

今回は冒険というより、1部(少年剣士編)のように、それぞれの人物を成長させる過程をメインにしました。
ですが、今までと比べるとやはり作品として別モノのようになっておりますね。
今回の作品だけ読んで頂いても、過去のものがどういう作品だったか、というのが分かるよう上手く出来たとは思います。

後半は失速気味だったかな?とも思いますが。

序盤と最後の書き部分が修正前のそのまま載せてしまい、相変わらずミスが多い仕様なのは自分でも笑ってしまいましたw
ですが、今回はそれも良さとして受け取っておこうかなと思います。

P,S
ちょっとした過去の話をアップし、完全に終了となります。

 
■SPECIAL-EPISODE【白剣士の秘密】
 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
――――【13年前・北西部】


生徒A「やーい!化け物!」

生徒B「気持ち悪いんだよ!何だよその体!」

生徒C「本当に、あの英雄剣士の息子なの?」


白剣士「…」ブルブル

 
生徒A「お?また怒って化け物になるの?」

生徒B「先生に言ってやるよ!なってみろよ!」ハハハ


白剣士「…」プイッ


生徒A「ははは、弱虫ー!」


タッタッタッタッタッタ…

 
白剣士「…何だよ、何だよ…なんだよ!!」

…タッタッタッタ

白剣士「人のこと化け物化け物って…、俺だって…好きでこんなんなったんじゃ…!」グスッ


…ドンッ!!


男「うわっ!」

白剣士「いってぇ…」

男「すまなかったね、大丈夫かい?」


白剣士「…別に」

 
男「…おや。泣いているのかい?」

白剣士「うっせぇ!放っとけ!」

男「…」

ゴソゴソ…スッ


男「顔を拭きなさい。折角の男前が、台無しですよ」ニコッ

白剣士「うっせぇ!バーカ!真っ赤なハンカチとか、気持ち悪いんだよ!」


…タッタッタッタ


男「はは、嫌われてしまいましたか」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


白剣士「何だっつーんだよ…」

…エーン、ドコー…?


白剣士「ん?」

女の子「うぇえん…紳士…どこぉーー…?」

白剣士「おい、どうした」


女の子「…しんしと…はぐれちゃったの…」ヒクッ

 
白剣士「紳士?」

女の子「うん…う…うわあああんっ!」

白剣士「うっせぇ!」


女の子「うぁぁぁんっ…」


白剣士「その辺の大人に聞けば大丈夫だろ。適当に聞いてみろ」

…タッタッタッタ


白剣士「…」チラッ
 
女の子「…ううう…」グスッ


白剣士「ちっ…」

 
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


女の子「ど、どこに行くの?」

白剣士「その紳士ってやつを一緒に探してやるよ!面倒くっせえな!」グイッ

女の子「ほ…本当に?」

白剣士「泣きたいのは俺のほうだっつーの…」


女の子「えへへ…ありがとう」

 
白剣士「…で、どんなやつなんだ。その紳士ってのは」

女の子「えっとね、真っ黒な服を着てね…、白髪なのー」


白剣士「…ん?」


女の子「それで、いっつも赤いハンカチ持ってるの」

白剣士「んん…?」

女の子「そしてね、誰にでも優しいんだよ!」


白剣士「…さっきのヤツじゃねえか!」

 
女の子「え?」

白剣士「さっさと行くぞ!さっきの場所なら、まだいるかもしれない!」

女の子「う、うん!」


タッタッタッタ…


白剣士「…」キョロキョロ

女の子「紳士…いないね…」

白剣士「さっきはこの辺にいたんだが…どこに行ったんだ」

 
女の子「紳士、私を残してどっかいっちゃたのかな…」グスッ

白剣士「…げ」

女の子「う、うぇえええんっ!」


白剣士「うっせええ!あー…もう、ほら!」

ゴソゴソ…スッ


女の子「…?」

白剣士「チョコレート。舐めろ。甘くて、旨いぞ」

 
女の子「…」ヒクッ

…ガサガサ…パクッ…


白剣士「…どうだ?」

女の子「甘い…」

白剣士「だろ?少し落ち着いたか?」

女の子「うん、ありがとう、お兄ちゃん」ニコッ


白剣士「気にすんな」

 
…タッタッタッタッタ!!

紳士「いたぁぁ!お嬢様!!」

女の子「あ、紳士ぃ!」


白剣士「無事会えたみたいだな」


紳士「あなたはさっきの…」

白剣士「ども」


女の子「このお兄ちゃんに、一緒に紳士を探してもらったの!」

 
紳士「それはそれは…。お礼をしなければ…」

白剣士「いらねえよ!」

紳士「しかし…」

白剣士「別に会えたなら良かったよ。じゃ、俺はこれで」


タッタッタッタッタ…

 
女の子「行っちゃった…」

紳士「気持ちのいい子でしたね」

女の子「…また、会えるかなぁ?」

紳士「えぇ。いつか、必ず」


女の子「そういえば、紳士、もうすぐお父様からしょーしん?されるんだよね?」

紳士「昇進ですね。はい、王に認められ、私は"側近"に昇進です」ニコッ

女の子「今まで通り遊べる?」

 
紳士「遊べます。それと、もうすぐ貴方と同じ歳の女の子が、お城に来るんですよ」

女の子「えーっ、本当!」

紳士「はい」

女の子「お友達になれるかなぁ?」


紳士「お嬢様なら、きっと大丈夫ですよ」


女の子「うん!」

紳士「それじゃ、帰りましょう。久々の旅行、楽しかったですよ」

女の子「お父様とお母様に、お土産買って帰るんだ…!」

 
紳士「…夕焼けが、きれいですね」

女の子「あの子も、この夕焼け…見てるのかなぁ」

紳士「…そうでしょうね。それでは、行きましょうか」


女の子「うん、かえろっ!」


 
………

【E N D】

これで今回は終了になります。
本当に、読んでくださった方、コメントを下さった方々、心より感謝致します。
ありがとうございました。

おつ!

つぎ話は竜騎士のssが終わったあとぐらいになるんですか?

>>339
こちら側はまだ未定です…。
一応構想自体はあるのですが、始める時はスレが残っていれば告知致します。
お言葉、感謝します。

ありがとうございます。
剣士シリーズの続編ではございませんが、
一応の繋ぎの作品としてやや短め予定の新作を開始したのでお知らせしておきます。


勇者「時空に飛ばされたら魔王がアパートに住んでいた」

勇者「時空に飛ばされたら魔王がアパートに住んでいた」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1381850994/l50)

向こうも終わりましたね~。
次はこっちかな?

竜騎士編を目にしていただいた方へ、
竜騎士「孤島に残されサバイバル生活」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1382707710/l50)
竜騎士「孤島に残されサバイバル生活」を開始致しました。


>>344
現在、こちらの公開は未定ですが、
構想もまとまり、近々新作として出す予定はあります。
もし、また目を通されたなら、その時は宜しくお願い致します。

長らくお待たせ致しました。

真剣士「英雄の…血…?」
真剣士「英雄の…血…?」 - SSまとめ速報
(http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/internet/14562/1383997828/)

剣士シリーズの新作が始動致しました事を報告いたします。


【簡易 相関図】

■初代英雄剣士―【結婚】―英雄魔法使い

《息子》

■少年剣士(青年剣士/2代目英雄剣士)―【結婚】―幼馴染(魔法使い)

《息子》

■白剣士(3代目英雄剣士)―【結婚】―悠久姫


■少年剣士(青年剣士/2代目英雄剣士)

《義弟》

幼剣士(聖剣士)―【結婚】―吟遊詩人


■冒剣士―【?】―女メイジ

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