霧切「……」
霧切「……なぜ?」
霧切「苗木くんとフラグを立てていたのは私のはず」
霧切「なのに、なぜ朝日奈さんと……?」
――
―
朝日奈「でも、意外だったな~」
苗木「なにが?」
朝日奈「苗木って、霧切ちゃんのことが好きだと思ってたからさ。ほら、よく二人で事件の捜査とかしてたじゃん」
苗木「あはは、ボクをスケープゴートにしようとした女性を好きになるような性癖はないよ」
朝日奈「苗木って、案外、根に持つタイプなんだね」
苗木「そ、それは違うよ。それに、霧切さんは最初から異性として意識したことなんてないよ、ボクが好きなのはキミだけなんだから」ギュ
朝日奈「んっ……えへへ」
霧切「江ノ島盾子を倒した後、私たちは学園を出た。そこまではよかったわ」
霧切「十神くんは腐川さんと、私は苗木くんと、残り二人でそれぞれ男女で結ばれてハッピーエンド」
霧切「その筈だったのに……」
霧切「……なぜ」
霧切「なぜ、苗木くんは頭に牛の糞を乗せたような頭をした朝日奈さんを選んだの?」
霧切「……なにか、ある」
霧切「これは、調査が必要ね」
霧切「まずは、なぜ苗木くんが朝日奈さんに寝取られてしまったのかを考えなければならないわね」
霧切「二人は特に接点もない。自由時間に二人で一緒にいるところを何度か見かけた程度だったかしら」
霧切「他は……朝日奈さんがジェノサイダー翔に怪我を負わされた時に苗木くんが手当てをした事、くらい……」
霧切「ふっ、この程度でフラグが立っているとは思えないわね」
霧切「一方の私は、最初の頃から苗木くんと積極的に行動をしていたわ」
霧切「最初に全員が行動に集まった時、最後にやってきた彼に一番最初に目をつけたのも私よ」
霧切「舞園さんが殺されて、捜査パートになった時にすかさず彼に近づき好感度を上げたわ」
霧切「知り合いの女の子が殺され、失意の最中、突如手をさし伸ばしてくれたクールな謎の美少女」
霧切「……惚れない要素がないわね」
霧切「その後も立て続けに起こる殺人、そして私と苗木くんとの共同作業」
霧切「もちろん、自由時間もずっと彼の後を追い、傍にいたわ」
霧切「そして自由時間、二人で過ごしたあの時。互いの思いが極限まで高まったとき、私は彼に言ったわ」
霧切「この手袋の中を見ていいのは家族になる人だけ」
霧切「最後の学級裁判で苗木くんはこの手をちゃんと見た」
霧切「そして、あの会話を知っていたのは苗木くんだけ」
霧切「つまり、苗木くんは私の手を見たあの時点で既に私と家族……夫婦だったのよ!!」キリ
霧切「あのに、あの牛の糞を乗せたホルスタインが苗木くんを!!」ギリ
霧切「……ふう」
霧切「いけないわ。冷静にならなきゃ。私は超高校級の探偵、霧切響子よ。こんな事で冷静さを欠いてはならないわね」
霧切「……」
霧切「いえ、今のは間違いね」
霧切「超高校級の探偵兼超高校級の妻、苗木響子ね」キリ
霧切「とにかく、原因を解明しないことには始まらないわね……」
霧切「朝日奈さんがあの胸が誘惑した?」
霧切「いえ、ないわ。苗木くんはきっと貧乳派よ。あんな脂肪の塊なんて興味もない筈……」
霧切「なら、他は……」
霧切「私との積み上げてきたフラグ、これが消えることなんてありえない……っ!」
霧切「……消える?」
霧切「もしかして……この学園を脱出した時、苗木くんの記憶が何らかの形で偽装された!?」
霧切「記憶の偽装……そんな事ができるのは一人しかいない!」
霧切「江ノ島盾子ッ! 死んでもなお、私たちの前に立ちふさがるのね」ギリ
霧切「謎は全て解けたわ。江ノ島盾子は死ぬ前に予め、苗木くんの記憶を偽装する罠を仕掛けていた」
霧切「それが作動する条件は恐らく、『この学園を出た時』」
霧切「そして、消された記憶の内容は……きっと、あの超高校級の絶望ことよ、『この学園の中で最も愛する人との記憶』を消したに違いない」
霧切「ごめんなさい、苗木くん……この罠にもっと私が早く気付いていれば」
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