唯「ムギちゃんその白いクスリなに?」(136)
うえ
紬「え?」
唯「いやだから今後ろに隠したその白いタマ薬だよー」
紬「き、きのせいじゃないかしら? それよりマドレーヌあるんだけど」
唯「えー、気になるよお」モグモグ
紬「はい紅茶♪」
唯「んぐ、はひはほー」ゴクゴク
紬「律ちゃん達はまだかしら?」
唯「はんはふたりはほうじっへいっへはほ」
紬「それじゃあ私もマドレーヌいただこうかしら」
唯「ムギちゃんのいれる紅茶はやっぱりおいしい!」
紬「そうかしら、照れちゃうわ」
唯「ってそうじゃないよムギちゃん!」
紬「へ?」ポカン
唯「隠しっこなしだよ。そのポケットに入れようとしているクスリ、何なの?」
紬「いや、それは……その」
唯「ま、まさか……!!」
紬「!」
唯「ムギちゃん、余命僅かな不治の病に……っ」ポロポロ
紬「違うわよー」
唯「え、じゃあなに?」
紬「お父さんがね、肌が綺麗になれる薬だってくれたの」
唯「ほえー」
紬「しかも気分を前向きにしてくれるんだって」
唯「なんでもできちゃう薬だね!」
紬「本当はグループの極秘開発の商品で、誰にも見せちゃいけないらしいんだけど……」
唯「大丈夫だよ、私口堅いから!」
紬「そうだ、唯ちゃんも試してみない?」
唯「え、いいの?」パァァ
紬「じゃあ三日間お試しってことで三錠ね♪」
唯「ありがとムギちゃん」
唯「……というわけなのですよ」
憂「そうなんだ、肌スベスベになるんだ」
唯「えへへ、よかったら憂にもわけてもらえるようにお願いしておくね」
憂「え、いいの?」
唯「うん、もちろんだよ」
憂「お姉ちゃん……優しい」
唯「これ、寝る前に飲むらしいよ。というわけで今日は早寝するんだ、おやすみ、憂」
憂「おやすみお姉ちゃん」
バタン
憂「お姉ちゃん肌きれいになりたいんだ……」
憂「よし、これからコラーゲンも意識して料理しよう」
唯「あーん」ゴクリ
唯「えへへ、こんにちは綺麗なすべすべお肌さん」
唯「あ、ギー太練習してから寝よっと」
唯「えっと、BM7だから……」
………
……
…
次の日
律「いやーごめん、昨日は宿題ド忘れしてて居残りさせられちゃってて」
唯「りっちゃんはドジですなあ」
律「なにおう? こないだ宿題写させてと泣きついてきたのはどこの誰だ」
唯「あははー」
紬「おはよう」
律「おはようムギ」
唯「あ、ムギちゃん今日の分くれない?」
紬「え?」
玉薬=錠剤です
唯「一日三錠を三日じゃないの??」
紬「一日一錠を三日……なんだけど」
唯「へ?」ポカン
律「何だお前らー、昨日私がいない間にドラッグパーティでもしてたのか?」
唯「あはは、そんなわけないよりっちゃん。実は昨日……って! 秘密にするんだった!!」
紬「うふふふ、なんでもないのよ」
律「えー、なんで唯には教えて私には教えないのさ。教えてよ」
紬「え、ええと……」
紬「私の使ってる美容品を試してもらったの」
律「いいなー、私も私もー」
唯「りっちゃんには必要ないよ!」
律「あ? そりゃどういう意味だ」
唯「だってりっちゃんのお肌もう輝いてるもの!」
律「え!? そ、そうかなあ?」テレテレ
紬(デコ……)
唯「というわけでまずは私が試してみる」
律「なんかうまく誤魔化された気がするぞー」
紬「あれ、澪ちゃんは?」
律「あー、澪は今日日直だって」
部活!
ジャジャーン
律「……いやあ、今日はいい感じだったな」
澪「新曲ももうすぐ出来そうだし、絶好調だな」
梓「今日は唯先輩のギターすっごくいい感じでした!」
唯「えへへ、ありがと」
紬「なんか唯ちゃんのギターに春を感じたわ」
澪「わかる、なんか甘くて暖かい感じで」
律「唯、好きな人でも出来たんじゃねーの?」ニヤニヤ
唯「そ、そんなことないよ」
律「どーだかねー」
唯「そ、そういうりっちゃんこそいるんじゃないの?」
律「へ、私? いるわけねーよお」
澪「そりゃそうだ」
律「どういう意味だよ」ムッ
澪「よし、今日はあがりにしようか」
律「無視かよ!」
帰り道!
紬「じゃあ一応薬分けておくね。一日一錠だからね」
唯「ありがと……」ギュッ
紬「? 唯ちゃん?」
唯「ムギちゃんの手、あったかいね」
紬「は…い?」
唯「」ハッ
唯「ご、ごめん。大事に飲むね、ありがと」
紬(唯ちゃんどうしたのかしら……)
紬(でも、なんか……イイ)
家の自室!
唯「ふう……」
唯「なんだろ、今日の部活……なんかすごいドキドキした」
唯「ギター弾いてるとどんどん気持ちが盛り上がってって」
唯「楽しいけど、なんか不安な感じだったなあ……」
唯「その後ムギちゃんの手を思わず握っちゃったし……」
唯「」ハッ
唯「まさか…………」
唯「 ギ ー 太 に 恋 を ? 」
唯「いやいやいくらなんでもそりゃないよ」ブンブン
唯「ギー太……」チラ
唯「ちょっと弾いてみよっかな」
ジャララーン
唯「いい音……」
唯「あ、ネックがいい匂いする……」クンクン
憂「お姉ちゃんごはんだよー」バタン
唯「うううっうっっっ憂!?」
憂「もう、抱きついて。またギー太に服着せたげてるの?」
唯「う、うん。そんなとこ」
憂「ごはん食べて、お風呂入ってからにしようね」
唯「うん」
憂「今日はハンバーグだよ」
唯「やった! 憂大好き!!」ギュッ
憂「えへへ」テレテレ
再び自室!
唯「あの感じ……もっかいだけ」
ピロピロピロ
唯「んっ……」
唯(お、音に胸キュン……?)
ジャカジャカジャンジャカ
唯「なんだろ、この感覚」
唯「なんか弾きたいコードが頭からあふれそう……」
唯「と、とりあえず書き留めておこう」カキカキ
それから!
唯「あれ……曲、出来ちゃった」ポカン
唯「なんかすごいスッキリするなー……」
唯「よし、これでぐっすり寝れるよー」
唯「っと、薬を忘れるとこでしたぜ」ゴクリ
唯「おやすみー」
次の日!
唯「おはよう!」
律「おう元気いいな」
唯「今日早起きしすぎて部室で練習してきちゃった」
律「今日雨でも降るのかなー」ガララッ
唯「しかもしかも! 昨日は曲まで出来ちゃったんだよ!!」
律「え、マジ?」
澪「どしたの?」
律「聞けよ澪、唯が作曲してきたんだぜ?」
澪「そ、そうなのか?」
唯「うん、我ながら傑作だよ」エッヘン
澪「じゃあその曲、放課後に聞かせてくれ」
唯「モチのロン!」ビシィッ
紬「おはよー」
澪「おはよう紬」
律「ムギ、唯が作曲してきたんだって」
紬「あら、すごいじゃない」
唯「えへへー」
唯「ムギちゃんの薬飲み始めてからだよ! なんかどんどん意欲が湧いてくるっていうか」
紬「そ、そうなんだ……」
放課後!
唯「じゃじゃーん、っと」
律「」
澪「」
梓「」
紬「」
唯「み、みんな反応してよ……」
律「なあ、唯」
澪「この曲」
梓「本当に先輩が」
紬「作曲……したの?」
唯「そりゃもちろん!」
律「なあ、澪。私最近自分の感覚に自信がなくてさ」
澪「奇遇だな。私も今自信がなくなったとこ」
梓「この曲……良すぎです!」
唯「へ?」ポカン
紬「完璧なコード進行、心の底に染み込むようなサビ。そして曲構成」
律「ほめられたい気持ちはわかる。でも盗作はいけないぞ、唯」
唯「違うよ。ちゃんと私が考えたやつだもん! あとは澪ちゃんが作詞するだけで……」
澪「私、この曲の作詞するの怖い……曲をダメにしちゃいそう」フルフル
唯「そこまで!?」
………
……
…
梓「あ」
律「どうした梓?」
梓「この間先輩達が言っていた、唯先輩のギターに何か関係があるんじゃないかと」
澪「甘い、ギター、だっけ?」
紬「たしかにこの曲は甘い曲よね……」
律「それじゃあこの間さわ子先生が置いていったこの譜面を弾いてもらえば唯覚めるんじゃないか?」
梓「そうですね。できる先輩なんてらしくないです!」
律「さりげにひどいな」
澪「インペリテリ……」
律「おーい唯、菓子食ってないでこっち来て」
唯「ん、なになに?」
律「これ、弾ける?」参考動画(2:40辺りから):http://www.youtube.com/watch?v=TAdgrlwdTjc
唯「うん、ちょっと待ってて」
唯「……」
唯「こんな感じ?」
ピロリロラロレロピピロピロピロ
梓「先輩かっこいい……」
律「マジだよこれ、どうしよう」
澪「インペリテリノーミス……」
唯「できたー」パァァ
律「本当に唯、だよね?」
澪「そうだ、きっと憂ちゃんなんだよ!」
梓「私はむしろこのさいこのままの方がいいです!」
紬「梓ちゃん落ち着いて」
唯「私は私だよー」ムスッ
律「と、とりあえず今日は解散!」
梓「ええ!? せっかくだし合わせてみましょうよ!」
澪「合わせるのこ、怖い……」
律「確かにな……あの腕前とはなあ」
紬「月が赤い……」
梓「」
部活後!
唯「結局合わせられなかったねー」
梓「せっかく唯先輩が上手になったのに」ムスッ
梓「ところで唯先輩、それなんですか?」
唯「あー、これはムギちゃんからもらったお薬だよ。肌がすべすべになるんだよー」
梓「へー、いいですね」
唯「そうだ、あずにゃんも使ってみる?」
梓「え、でも」
唯「こーやってパキっと」パキッ
梓「い、いいんですかね。錠剤を割るのは」
唯「半分でも効き目抜群らしいよ。今日は半分にするように言われてたし」
梓「そう……ですか」
唯「寝る前に飲むんだよ!」
梓「はあ、わかりました」
夜!
梓「肌の薬ねえ……」
梓「もしかしてこれが原因で唯先輩……」
梓「……これ飲んだらギター上手くなれるのかな」
梓「た、試してみるだけ。うん」
梓「……んっ」ゴクリ
梓「よし、寝なきゃ」
平沢家!
唯「ギー太いい匂いがするよお……」クンクン
憂(どうしよう、声かけづらいなあ……)
憂(あ、ギー太に鼻押し付けた)
憂(でも楽しそうだしいっか♪)
憂(お姉ちゃんが出てくるまで明日の下ごしらえしておこっと)
次の日!
唯「おっはよーあずにゃん!」ギュッ
梓「に”ゃあっ!?」
唯「今日もあずにゃんはかわいいよお」スリスリ
パン!
唯「へ?」
梓「あ……」
梓「ち、違うんです! 別に本気で叩くつもりじゃ……」
唯「…………」ジワ
唯「うう、憂にもはたかれたことないのに」ポロポロ
梓「ほ、本当にごめんなさい! それじゃあ私日直なんで」タタタッ
唯「うぐっ……あずにゃんの放置プレイ……」グスッ
それから数日!
唯「はあー……」
律「で、それ以来梓から避けられてると」
唯「そうなんだよ……」
澪「梓、部活にはちゃんと来てるけどな」
律「たしかにお前らギクシャクしてるもんなー」
紬「はい、お茶にしましょ」
唯「ありがとー」グイグイ
ガチャ
唯律澪紬「!!」
さわ子「やっほー」
律「ってなんださわちゃんか」
さわ子「何よ、その言い方。ところで唯ちゃん」
唯「?」
さわ子「唯ちゃんがメタルに目覚めたと聞いたんだけど、本当かしら?」
唯「別にそんなことないです」
さわ子「なんだ……そろそろデスボイス特訓でも始めるのかと思って準備してたのに」
律「放課後ティータイムはいつからメタルに?」
さわ子「りっちゃんのリズム練習のためにBPM800のメトロノームも用意してきたのに」
律「そんな曲あるの?」
さわ子「……てへ☆」
澪「今日は梓来ないな」
紬「たしか委員があるとか言ってたような気が……」
梓(どうしよう……部活、行きづらい)
梓(こないだはあんなこともあったし……)
梓(なんで叩いちゃったんだろう、私)
あのとき
唯「あーずにゃん!」ギュッ
喜びと不安と
唯「今日もあずにゃんはかわいいよお」スリスリ
混ぜこぜで、自分でも何が何だかわからなくて。
梓(それで……唯先輩を、叩いた。全力で)
憂「梓ちゃーん?」
いかん誰か保守頼んます
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