明久「ねえ、家に泊めてくれない?」(168)

雄二「あん?」

明久「出来れば、卒業して一人暮らしを始めるまで」

雄二「おいおい、何を言ってんだこの馬鹿は?」

土屋「……意味不明」

秀吉「そうじゃぞ。いくらなんでも期間が長すぎる」

明久「何を言ってるのさ。女の子の秀吉の家にお邪魔するつもりはないって」

秀吉「ワシは男なのじゃが!?」

雄二「とにかく理由を説明しろ。意味がわからんぞ」

明久「理由を聞かずに家に泊めてくれるのが友達ってものじゃないの!?」

雄二「それはどこの世界のお友達だ!」

秀吉「話せない理由なのか? 明久よ」

明久「まあ……ちょっと話しにくくはあるね」

雄二「ほう、そりゃ面白い。是非聞かせてもらおうか」

秀吉・土屋「うんうん」コクコク

明久「……仕方ないなぁ」

明久「実はね、理由は姉さんなんだ」

雄二・秀吉・土屋「ふむふむ」

明久「さあ! 理由を話したんだから泊めてよね!」

雄二「舐めてんのかコラ!」

秀吉「確かに、今の説明には誠意が全く感じられなかったぞ」

土屋「……続きを」

明久「……仕方ないなぁ」

明久「最近、姉さんが妙にベタベタというか、
    イチャイチャしようとしてくるんだよ」

雄二「何だそりゃ? 惚気のつもりか?」

土屋「……自慢にしか聞こえない……!」

明久「そんなんじゃないって!」

秀吉「ベタベタイチャイチャとは、具体的にはどのように?」

明久「秀吉! 女の子がそんな事聞いちゃ駄目だ!」

秀吉「だから! ワシは男だと言っておろうが!」

雄二「ほほう。つまり、女には聞かせられないような事なのか」

明久「ギクッ! や、ヤダなあ雄二! そんなはずないじゃないか!」

雄二「こりゃ間違い無いな」

土屋「……完全にクロ」

秀吉「ワシは男であって、聞かせられないような事は何一つ無いぞ!?」

雄二「とにかくだ、具体的に何をされるのか聞かせてみろ」

明久「……仕方ないなぁ」

     ・    ・    ・
チュンチュン!

明久『……ん……もう朝か……』

玲『アキくん……んっ……』

明久『うわあっ!? なっ、何してるの姉さん!?』

玲『あら。おはようございます、アキくん』

明久『あっ、おはよう……って違う!』

明久『姉さんはどうして僕に覆いかぶさってるの!?』

玲『覆いかぶさる?』

明久『ねえ、どうして疑問系なの!?』

玲『アキくん、あまり大声を出したら近所迷惑になってしまいますよ』

明久『誰のせいさ! もう!』

玲『それに、私は覆いかぶさっているのではなく、
   おはようのチュウをしようとしているだけです』

明久『なーんだ、そっかぁ……じゃないよ!』

玲『そうですね。まだおはようのチュウをしていませんから。
   アキくん……んっ……』

明久『僕は表現の違いを指摘されたいんじゃなく、
    ましてやおはようのチュウを催促してる訳じゃなやめて姉さんストップ!』

     ・    ・    ・

明久「――これが、最近では毎朝の習慣になっててさ」

秀吉「それはまた……」

土屋「……羨ましい……!」

明久「羨ましいじゃないよ! 僕と姉さんは血の繋がった姉弟なんだよ!?」

雄二「はっはっは! あんな美人に目覚めのキスなんて羨ましいぞ!」

明久「雄二はこう言ってるけど、霧島さんはどう思う?」

翔子「……雄二、浮気は許さない」

雄二「翔子!? いつからそこにうぐおおあああ目がああああっ!?」

明久「もしかして、霧島さんは雄二におはようのチュウを?」

翔子「……頭の中では常にしている」

明久「ははは、愛されてるじゃないか雄二死ねばいいのに」

土屋「…………死ねばいい」

雄二「お前らなあっ!? この惨状を見てよくそう言えるな!?」

翔子「……躾は大事」

秀吉「だが……ワシがもし姉上にそうされたら確かに困るな」

明久・雄二・雄二「……」

     ・    ・    ・
チュンチュン!

優子『……んっ……』

秀吉『んっ……なんじゃ、姉上か』

優子『おはようのチュウよ』

秀吉『姉上……それではワシはまだ起きられん』

優子『もう、秀吉(性別)なのに、困った子』

秀吉『姉上……ん……んっ!』

優子『んんっ! ふぅ……ん、ちゅるっ、んんっ!』

秀吉『ふはっ……まだひゃ、まだ目が覚め……んっ、ちゅうっ!』

     ・    ・    ・

土屋「…………っ……!」

タパパパパパパパッ!

明久「しっかりするんだムッツリーニ!」

雄二「傷は浅い! 助けがくるまでの辛抱だ!」

土屋「…………俺が死んだら……コレクションは……」ガクッ!

明久「コレクションは!? コレクションはどうすさムッツリーニ!」

雄二「せめてそれを言い残してから逝きやがれ!」

明久「ムッツリーニいいいいいいいいっ!」

秀吉「ええい、お主ら! おかしな想像をするでない!
    それに何じゃ、途中の“秀吉(性別)”というのは!?」

明久「……これで分かって貰えたかい?
    姉がおはようのチュウをしてくる事の愚かさが」

雄二「……まあな。まさか、クラスメイトを一人失う事になるとは」

秀吉「お主らの想像の結果は、
    本来の“困った”とは大分違うぞ!?」

土屋「…………次回は、是非カメラに収めて欲しい」

秀吉「実際にはそんな事にはなっとらんと言うておろうに!」

姫路「――皆さん、そんなに楽しそうに何を話してるんですか?」

美波「さすがにうるさいわよ。声のボリュームを落としなさいよね」

明久「! まずい……!」

明久「いや~、別に何でもないよ。ねえ、雄二?」

明久(さすがにこの二人には内緒にしてよ?)

雄二「まあな」コクリ

雄二(ああ、お前の気持ちはよくわかってる)

明久「……!」

明久(雄二……やっぱり雄二は、いざという時頼れるね!)

雄二(おいおい、そんなの分かりきってた事だろう?)

雄二「明久が、毎朝“あの”姉さんとキスしてるって話だ」

明久「雄二コラてめえ!」

雄二「お前はさっき俺を見捨てただろうが!」

姫路「ま、毎朝キス……ですか……?」

美波「ほ、本当なの……アキ……?」

明久「違うよ! 今のは雄二が受信した電波を
    口から勝手に吐き出したにすぎないから信じちゃ駄目だからね!?」

雄二「人を頭の残念そうな人みたいに言うんじゃねえ!」

明久「ふふん、Fクラスの雄二が言っても説得力は無いね」

雄二「ほほう、その中でもぶっちぎりの馬鹿なお前は電塔か何かか?」

明久「何だと!」

雄二「やるか!」

姫路・美波「明久君(アキ)、ちょっと詳しく聞かせて?」

明久「……ねえ、二人共目が笑ってないけどどうしたの?」

姫路「明久君。私は、姉と弟でも毎朝き、キスをするのはどうかと思います!」

美波「瑞希の言う通りよ! どう考えてもおかしいわ!」

明久「ふっ、二人共落ち着いて!?」

姫路・美波「落ち着いてなんかいられません(ないわよ)!」

雄二「もう観念するしかなさそうだぞ、明久」

明久「雄二がおはようのチュウをして欲しいって、霧島さん」

翔子「……恥ずかしいけど、雄二がそれを望むなら」

雄二「誰が、いつ、そんな事を言った!?」

美波「とにかく、ウチ達にも説明しなさいよね」

姫路「そうです。私達には聞く義務があります」

明久「えっ? 義務って……権利の間違いじゃなくて?」

姫路「そ、それは……義務と権利は合わせて使うものだからです」

明久「成る程。さすが姫路さんだね」

姫路「……ほっ、助かりました」ボソッ

美波「ウチも妹が居るし、姉の立場からもアドバイス出来るかもしれないしね」

明久「……確かに、それもそうだね」

明久「――それじゃあ、続きを話すよ」

     ・    ・    ・

明久『……全く、最近の姉さんはどこかおかしいよ』

明久『おはようのチュウなんて、子供じゃんだからさ』

明久『……まあ良いや、とにかく朝ご飯を食べて学校に行こう』

ガチャッ

玲『――あら、もう少し待っててくださいね。
  あとちょっとでパンが焼けますから』

明久『ありがとう姉さんだけどその前に服を着てくださいお願いします!』

玲『安心してください。エプロンはつけてますから』

明久『裸エプロンは服を着てるとは言わないし、
    これっぽっちも安心出来ないよ!』

     ・    ・    ・

美波「朝から何をやってるのよアンタは~っ!」

明久「待って美波! 人間の肘はその方向には曲がらないから!」

美波「問答無用!」

明久「説明しろっていったのはそっちじゃない間接が増えちゃう!」

姫路「玲さんが裸エプロンだなんて……勝てるはずがありません!」

明久「勝つとか負けるとかじゃなくて助けて姫路さん!」

翔子「……雄二は裸エプロンは好き?」

雄二「いいや、吐き気がする程嫌いだ。
    だから翔子、絶対にそんな真似はするんじゃないぞ」

翔子「……残念」

秀吉「!? お主ら! 大変じゃ!」

一同「?」

秀吉「あれを見よ!」

一同「あれ……?」

土屋「…………我が人生に、一片の悔い無し……っ!」

明久「……なんだろう……なんだか、
    やけにムッツリーニの背中が大きく見えるよ……」

雄二「ああ……命を燃やし尽くした、
    男の中の男の威厳を漂わせてやがるぜ……」

姫路「――それで、他にはないんですか?」

美波「――そうね、余罪はまだまだありそうだわ」

明久「ねえ、雄二。僕はどちらかといえば被害者だよね?」

雄二「まあな。罪になるのは、お前の馬鹿さ加減だけだ」

明久「霧島さん。雄二は口では嫌だって言ってるけど、
    本当は霧島さんの裸エプロンが見たくて仕方ないんだってさ」

翔子「……夕ご飯は期待してて」

雄二「ははは、明久は本当に気遣いが出来る奴だなあ」

明久「ははは、そんなに褒められても何も出ないよ」

…ドゴォッ!

明久・雄二「くっ……さすがに良いパンチだ……!」

姫路「おはようのチュウに、裸エプロン……」

美波「アキ、包み隠さず全部しゃべりなさい」

秀吉「ふむ……その二つとくれば、あとは行って来ますのチュウかの?」

明久「えっ!? それは普通じゃないの!?」

一同「えっ?」

姫路「待ってください明久君! まさか、本当に!?」

美波「いっ、行って来ますのチュウをしてるっていうの!?」

明久「だっ、だって姉さんが――!」

     ・    ・    ・

明久『……やっと学校に行けるよ』

明久『まさか、僕が学校に行くのを待ち遠しく思う日が来るなんて』

玲『アキくん、忘れ物ですよ』

明久『えっ? 特に忘れてる物は無いと思うんだけど……』

玲『……本当に仕方ありませんね』

玲『忘れているのは――行って来ますのチュウです』

明久『……あのさ、姉さん』

玲『はい、何ですか』

明久『行って来ますのチュウって、
    本当にどこの姉弟でもしてるものなの?』

玲『当たり前じゃないですか。
  あれ程言ったのに、まさか忘れてしまったんですか?』

明久『ええと、仲が悪くなるのを防ぐために、
    最低限行って来ますのチュウはする、だっけ?』

玲『その通りです。良く覚えていましたね、アキくん』

玲『兄と妹、姉と弟という関係は、
  放っておいては仲が悪くなりがちです』

玲『それを未然に防止するために、
   海外では行って来ますのチュウをする事が奨励されているのです』

玲『なので、姉さん達もそれを取り入れるべきなのです。
  アキくんが、姉さんとの仲が悪くなりたいのでなければ、ですが』

明久『まさか、そんなはず無いじゃないか!
    グロ張るスタンドアップなだけなんだよね?』

玲『それでは、余りの気持ち悪さに立ち上がる、ですよ。
   グローバルスタンダードです、アキくん』

明久『おっと、そうだった』

明久『えっと、それじゃあ……うぅ、それでもやっぱり恥ずかしいなあ』

玲『ちなみに、頬は10点、額は8点、
  その他の口を除く所だと各5点になります』

明久『……しないけど、口は何点だっけ?』

玲『50点です。舌を入れて絡ませれば、
   一秒毎に1点ずつ加算されていきます』

明久『おっと、もう時間が無いや! 行って来まーす!』

ガシッ!

玲『アキくん、忘れ物ですよ』

明久『すみませんごめんなさいだから腕の力を緩めてお願い姉さんっ!』

     ・    ・    ・

姫路「それで、明久君は何点をとったんですか!?」

美波「アキ! 当然赤点だったのよね!?」

明久「いや、なんとか赤点は免れ痛い痛い間接が増えちゃう!」

ギリギリギリッ……!

美波「この変態のシスコンがーっ!」

姫路「冗談ですよね、明久君!
    明久くんが、どんなものであれ良い点を取れるはずがありません!」

明久「こ……かひゅっ……!」

雄二「姫路。さすがに明久でも手を緩めてやらんと息が出来んぞ」

秀吉「!? お主ら! 遊んでいる場合ではないぞ!」

一同「?」

秀吉「あれを見よ!」

一同「あれ……?」

土屋「…………激流に身を任せ同化する……っ!」

明久「……なんだろう……なんだか、
    やけにムッツリーニの背中が小さく見えるよ……」

雄二「ああ……だが、すべてを受け流すような、
    なんとも優しい空気を纏ってやがるぜ……」

明久「……――とまぁ、そういう事があるから、
    しばらく家に帰りたくないんだよ」

雄二「成る程な、事情はわかった」

明久「えっ、それじゃあ!?」

雄二「勘違いするな。
    何も、お前を無期限で泊めてやろうって事じゃない」

明久「なんだい、期待させて落とすなんて!」

雄二「話を聞け!」

明久「まさか……泊めるんじゃなく、僕に新しい家を提供してくれるのかい!?
    そんな、さすがにそこまでして貰うのは悪いよ」

雄二「話を聞けと言ってるだろうがこの馬鹿!」

雄二「要はだ。過度なスキンシップが問題なわけだろ?」

明久「まあ、そうだね」

雄二「だったら、俺達も交えて一度話し合ってみるってのはどうだ」

明久「そこまで皆に迷惑をかけるのもなぁ。
    だって、これは僕と姉さんの問題なわけだし」

雄二「それは、逃げるから家に泊めてくれと頼んだ奴が言う台詞じゃないな」

姫路「それに、明久君だけだと今度は何を吹き込まれるか……」

美波「そうね……だって、行って来ますのチュウが当然だって信じる位だし」

明久「だ、だって姉さんに真顔で言われたんだよ!?
    あの顔で言われたら、誰だって信じるに決まってるって!」

土屋「…………信じたくなる気持ち、わかるぞ」グッ!

明久「何をわかるのか知らないけど、まず僕の言葉を信じてよ!」

雄二「だがな、それが最善の策だと思うぞ」

秀吉「うむ。いくらなんでも、逃げ出すのはどうかと思うしの」

土屋「…………俺なら逃げない」

明久「ムッツリーニの“逃げる”は明らかに違うよね」

姫路「明久君。私達にも協力させてください」

美波「玲さんにはお世話になったし、姉弟仲が悪くなるのを
    見過ごすのは、さすがにどうかと思うしね」

翔子「……私も協力する」

明久「姫路さんに美波、霧島さんまで……。
    ちなみに、霧島さんは雄二が来ない場合はどうするの?」

翔子「……私は雄二について行く。死が二人を分かつまで」

明久「そうだよね。確かに、二人の仲は引き裂けそうにないや」

雄二「おい、話が思いっ切り逸れたぞ」

明久「それじゃあ……皆、よろしく頼むよ!」

雄二・秀吉・土屋「任せておけ!」

雄二・秀吉・土屋(こんな面白そうな事見過ごせるか)

姫路「任せてください!」

姫路(美波ちゃんだけ明久君の家には行かせられません!)

美波「任せといて!」

美波(瑞希だけアキの家に行かせるわけにはいかないしね!)

翔子「……任せて」

翔子(……夫の友人と円滑な関係を結ぶのは妻の務め)

明久「うわぁ、皆の心が一つだったり対立したり一途だったりしてる気がするよ!」

~特別コラム~ 鉄拳人生相談

【K下Y子さんのご相談】
鉄拳先生、悩みを聞いて。
もしも姉である自分よりも、弟の方がモテる場合はどうしたら良いのかな?
知る限りでは男子小学生からも告白されているらしく、
ちょっと自信を喪失しまうんです。
弟も弟で女装をしたりするので手に負えないんだ。
これはもう、全ての間接をヘシ折って外に出さない方が良いのかな?

【鉄拳先生のアドバイス】
まさか、相談役に復帰してから最初の相談がこんなにも答え難いものだとは思わなかった。
正直、逃げ出したい気持ちでいっぱいだ。
だが、私がこの相談に応えるのは教師として手本を示さねばという思いがあっての事だ。
君もこれからの長い人生、色々辛いことがあるだろう。
しかし、それから逃げず、正面から立ち向かい壁を乗り越える事も必要になってくる。
私にはこれだけしか言えない。申し訳ない。

【Y井A久さんのご相談】
鉄拳先生聞いて下さい。
前に相談した姉なんですが、今度は『おはようのチュウ』、『裸エプロン』が追加されました。
先生、僕に姉に常識を教えることは不可能でした。
むしろ逆に非常識を教え込まれる結果になってしまいました。
僕はこれからどうしたら良いのですか?

【鉄拳先生のアドバイス】

※西村先生が再度相談役を辞任された為、このコーナーは今回をもって終了させて頂きます。
ご愛読ありがとうございました。

     ・    ・    ・

明久「……」

雄二「? おい、どうした明久」

秀吉「ドアの前で立ち止まって……まさか、
    家の鍵をどこかで落としたのか?」

土屋「…………有り得る」

明久「いや、そうじゃないんだ。
    ただ……まだ、引き返せるなと思って」

雄二「なんだお前、ビビってるのか」

明久「雄二は簡単に言うけど、相手は姉さんなんだよ?」

明久「……下手をすれば、全員丸め込まれる事だって……」

雄二「安心しろ。俺達はお前程救いようの無い馬鹿じゃないんだ。
    丸めこまれたりなんかするか、なあ、姫路?」

姫路「はい。吉井くんならともかく、私達なら大丈夫です」

美波「ここは日本でしょ? 姉弟で行って来ますのチュウは有り得ないもの。
    GOに行ってはGOに従え、って日本の諺にもあるじゃない」

明久「……うん、そうだね!
    それにしても美波、日本語が上手くなったなぁ」

美波「べっ、別にこれくらい普通よ……///」

秀吉「お主らはどこまで行くつもりなのじゃ……?」

翔子「……駄目でも、色々参考になる」

明久「失敗した時のことを考えないで霧島さん!」

土屋「…………撮影は任せろ」グッ!

明久「僕はそれを任せた覚えはないよムッツリーニ!」

雄二「ここまで来たんだから覚悟を決めろ」

土屋「…………骨は拾ってやる」

明久「……わかった! それじゃあ――行くよ!」

一同「……!」

カチャカチャ……カチャリ!

明久「……ただいま――」

玲「おかえりなさい、アキくん。んっ……」

一同「!?」

明久「んんっ!? んむっ、姉さん、ちょっ、やめ、んん~っ!?」

玲「ふはっ、暴れないでください。お帰りなさいのチュウです……んんっ」

土屋「…………くっ……骨まで溶ける……っ!」

タパパパパパパパッ!

明久「んんっ! んーっ! んーっ!」

ブンブン!

玲「?……んんっ、ちゅ、ん……っ!」

明久「んん~~~っ! んっ! んんーっ!」

玲「?……ふはっ……どうしたんですか、アキくん?」

明久「はぁ……はぁ……! どっ、どうしたんですか、じゃないよ!
    ほら、皆完全に固まっちゃってるじゃないか!」

一同「……」

玲「あら、こんにちは。
  今日はお揃いでどうしたんですか?」

明久「ねえ、どうして姉さんは何事も無かったかのようなの!?
    もう少し恥ずかしがったり、驚いたりするものじゃないの!?」

明久「ねえ、皆からも何か言ってやってよ!」

雄二「お!? お、おぉ……」

秀吉「いや……なんだか凄いものを見て言葉が……」

土屋「っ……っ……!」

タパパパパパッ!

姫路「あ、あんなに濃厚なチュウを……!///」

美波「あ、あんなのドイツでも規制がかかるわよ……!///」

翔子「……おかえりなさいのチュウ、勉強になった」

明久「役立たずーっ!」

玲「アキくん、玄関先で大声を出すと近所迷惑になりますよ」

明久「えっ? もしかして僕、姉さんに常識を説かれてる?」

玲「この程度、常識の範疇に入れる程でもありません」

明久「くそっ……なんだこのこみ上げる気持ちは……!?
   これが、自分より点数が低い奴に馬鹿と言われた時の気持ちなのか……!?」

玲「これ以上騒ぐと本当に迷惑になりますね。
   皆さんもどうぞあがってください」

一同「は、はい……」

明久「皆、騙されちゃ駄目だ! 姉さんは本当は常識がまるで無い、
    非常識が服を着て、たまにその服も脱ぐような存在なんだ!」

玲「アキくん。いいから中に入りなさい」

明久「嫌だ! このまま中に入ったら、
    完全に僕の常識が負けることにな痛い痛い耳を引っ張らないでギブ! ギブ!」

     ・    ・    ・

玲「――それで、今日は皆さんお揃いでどうしたんですか?」

一同「……」

雄二「……どうしたもこうしたも、
    これほど堂々とされちゃあ話が切り出しにくいぜ」ボソッ

姫路「……私達に見られても、
    なんともなかったかのようですしね」ボソッ

美波「……これは、思っていた以上に強敵だわ。
    くうっ、度胸ってこういう時に使う言葉だったのね……!」ボソッ

明久「……別に、胸のサイズは関係ないと思うよ」ボソッ

美波「アキ、何か言った?」

明久「ううん、何も。だからその手を離してくださいいいいっ!」

玲「アキくん、異性と手をつないだので不純異性交遊です」

メモメモ…

明久「待って! これは手をつないでるんじゃなく、
    間接を極められているんであって!」

玲「言い訳は聞きたくありません」

明久「ちょっとは聞いてよお願いだから!」

玲「アキくんのお願いを聞くのなら、チュウをして貰わなければなりませんね。
   それが無理なら、後で罰としてチュウをする事になりますが」

明久「どっちにしろチュウするんじゃないか!」

美波「えっ、えっ?」

パッ…

玲「手をつないでいたのは14秒、ですね。
   もう少しでお嫁に行けなくなるところでした」

美波「えっ、あの……どういう事ですか?」

玲「アキくんと二人で決めたのですが、
   不純異性交遊をするたびに罰を与える約束をしたのです」

明久「それは姉さんが一人で決めたんじゃないか!」

秀吉「しかし、罰でお嫁に行けなくなるとは……穏やかではないのう」

姫路「あっ、あのっ!
    それは、明久君がその、散らしてしまうという事ですか!?」

明久「落ち着いて姫路さん! 僕は何が散ろうと元からお嫁には行かないし、
    何より何が散るっていうの!? ごめん聞きたくないから言わないで!」

玲「お嫁に行けなくなるのは姉さんの方ですよね、アキくん」

明久「ああ、そうだよね! お嫁に行けなくなった姉さんに
    罪の意識を感じながら今後の人生を送っていくっていう罰だからね!」

雄二「なんて恐ろしい罰なんだ……!」

秀吉「ワシの姉上でもそこまではせんぞ……!?」

土屋「…………罪の意識で死ね……っ!」

明久「皆は僕の味方だったはず……!
    それなのに、既に数名を圧倒し裏切り者まで出てきたか……!」

翔子「……参考になる」

雄二「おい、翔子! お前は俺達を裏切ったりしないよな!?」

翔子「……」

雄二「返事をしろおおおおっ!」

美波「でっ、でも! どうしてチュウが罰になるんですか!?」

姫路「そっ、そうです! いくらなんでもおかしすぎます!」

玲「いいえ、そんな事はありませんよ」

姫路・美波「えっ……?」

玲「瑞希さんと美波さんの目から見て、
   アキくんはチュウを喜んでいるように見えましたか?」

姫路「それは……やっぱり姉弟だから、嫌なんだと思います」

美波「嫌とは言わないまでも……愛情表現が強すぎて引いてるのかも」

玲「だからこそ罰になるんです」

姫路・美波「えっ……?」

玲「私は何も、アキくんを一人の男として愛しているからだけでなく、
   アキくんが嫌がることも罰として与えているんですよ」

姫路「嫌がることって……」

美波「チュウ……ですよね?」

玲「はい、そうです」

明久「意義有り! 今、一人の男として愛していると言いました!」

玲「アキくんの発言権を却下します」

明久「せめて発言は許して欲しいです裁判長!
    発言権が無いと、言われるがままの刑を受けるしかない!」

玲「……わかりました。百歩譲って発言権は認めます。
   しかし、発言は全て却下しますよ」

明久「ふぅ、危ない所だった……!」

雄二「おい、どちらにせよ結果は同じだぞ」

明久「えっ? だって、発言は出来るんだから……はっ! 騙したね!?
    百歩どころか、一歩も譲ってないじゃないか!」

玲「却下します」

明久「一方的すぎる!」

玲「アキくんには罰を与えないといけません。
  けれど、それは一方的すぎる関係です」

玲「なので、アキくんにはチュウで罰を与え、
   姉さんもそれによってお嫁に行けなくなるかもしれない」

玲「そうすれば、どちらも平等でしょう?」

玲「罰を受ける側のアキくんは、罰を受けないよう努力する。
  罰を与える側の姉さんは、罰を与えないように指導する」

玲「――そうすれば、お互いが対等で居続けると思いませんか」

姫路「言われてみれば確かに……」

美波「そんな気がしてきたかも……」

明久「何てことだ……! 二人がこうもアッサリと陥落するなんて……!」

雄二「――いいや、その理屈はおかしい」

明久「雄二! やっぱり、いざとなったら頼れるのは雄二だけだよ!」

玲「どこがおかしいのですか?」

雄二「罰だなんだとは言ってますがね、
    それじゃあさっきのチュウはどうしてしたんですか?」

玲「帰りの遅かったアキくんの罰です。
   下校時刻が過ぎているのに、教室で時間を潰していたのでしょう」

雄二「ぐっ……! それなら、おはようのチュウや、
    裸エプロンについてはどういう罰なんですか!?」

玲「おはようのチュウは、夜遅くまでゲームをした罰、
   裸エプロンに関しては、朝から罰だけだと一日が憂鬱だとうと思ってのご褒美です」

雄二「……すまん、明久。
    お前の姉さんの論理には、穴が全く無い」

明久「もっと粘ろうよ! せめて1ラウンド分くらいは頑張ってよ!」

雄二「これを崩すのは至難の技だぞ……!」

翔子「……雄二」

雄二「何だ翔子。忙しいから後にしてくれ」

翔子「……雄二も罰は……チュウが良い?」

雄二「!? いや、待て翔子! それはやめろ!」

翔子「……嫌なら……チュウにする」

雄二「!? い、いや! チュウが良い!
    頼む、チュウにしてくれ! 一生のお願いだ!」

翔子「……そこまで言うなら……チュウにする///」

雄二「どうしろって言うんだよチクショオオオオオ!」

明久「くくくっ……! これで雄二も真剣になるしかないみたいだね!」

雄二「くそっ……! とんだとばっちりだぜ!」

秀吉「――のう、一つ質問なのじゃが」

玲「はい、何ですか?」

秀吉「もし姉上殿の目の届かぬ所で明久が罰を受ける行動をした場合、
    その時の罰はどうしているのじゃろうか?」

明久「秀吉まで裏切るだなんて……!
    外の行動もチュウに結びつかせる気なの……!?」

玲「それに関しては、アキくんの報告を信じることにしています」

秀吉「ふむ、それでは問題があると思うがの」

一同「?」

秀吉「姉上殿には悪いが、
    明久は相当、いや、かなり、いや、絶対的な馬鹿じゃ」

玲「勿論知っていますよ。馬鹿で可愛い弟です。
  愛しています、世界中の誰よりも」

明久「酷い罵声と愛の言葉が同時に飛んできた!?
    くそっ、僕の心がどうしていいかわからないと叫んでる!」

雄二「どうしようもないだろ、馬鹿なんだから」

明久「どうしてくれようか、目の前の馬鹿を」

雄二「お前の前には鏡は無いぞ?」

明久「どうにかするのはお前だこの馬鹿!」

雄二「お前には言われたくねえぞこの馬鹿!」

土屋「…………五十歩十歩」

明久・雄二「お前もだ馬鹿!」

秀吉「まさかとは思うが、
    その報告を全て信じているわけではあるまい?」

玲「当然です。なので、報告よりも十割増しで罰を与えます」

明久「? それって、報告と変わらないって事じゃないの?」

雄二「十割り・増・し・だ。まあ、二倍って事だな」

明久「馬鹿だなぁ、雄二。
    どうして十っていう数字があるのに二倍になるのさ」

雄二「明久……お前……」

明久「どうだい雄二。これで、僕が馬鹿じゃないってわかっただろう?」

雄二「そうだな明久、お前がナンバーワンだ」

明久「へへっ! ようやく認める気になったみたいだね!」

一同「……」

秀吉「……とまぁ、このような明久の報告に信憑性はあるのかの?
    もしかしたら、罰を受けるようなことをしても忘れているかもしれん」

玲「確かに、それもそうですね。
   わかりました、これからは常に一定数以上の罰を与えることにします」

明久「ちょっ、ちょっと待ってよ!
    それはいくらなんでもひどすぎない!?」

玲「アキくん。これは全てアキくんのためなんですよ」

姫路「そうですよ明久君。玲さんの心遣いを無駄にしちゃいけません」

美波「そうよアキ。それに、姉弟だったら数に数えないって聞くし」

明久「これが、あの有名な四面体ってやつか……!」

雄二「確かに四面体は有名だが、お前が言いたいのは四面楚歌だろ」

秀吉「じゃが……果たしてそれで効果があるのかの?」

玲「と、言うと?」

秀吉「いくら罰を与えたとて、明久がその時の事を忘れていては意味が無かろう。
    それでは、ただチュウをしているだけになってしまう」

玲「……」

明久「えっ、何? どういう事?」

雄二「犬の躾をする時ってのはな、悪さをした直後にやらないと駄目なんだよ」

明久「なんでさ? それにどうして今そんな話を?」

雄二「まあ聞け。悪さをして時間が経ってから怒っても、
    犬はなんで怒られたのか理解が出来なくなっちまうのさ」

明久「へぇ、犬って結構馬鹿なんだねぇ」

雄二「時間が経ってから怒っても、犬は何故怒られたかわからない。
    つまり、何もしてないのに怒られたって思うんだ」

明久「そうなったとしたら、犬は怒った人間を嫌いになっちゃうよね」

雄二「ああ、そうだ。
    ……それじゃあ困りますよね?」

玲「……確かに、言われてみればそうですね」

明久「ねえ、雄二。どうしてそこで姉さんに話をふったの?」

雄二「わからないならそれで良い。
    説明が面倒だ」

明久「ふーん、面倒な説明だったら聞かなくても良いや」

玲「……ありがとうございます。
  皆さんのおかげで、ようやく間違いに気付くことが出来ました」

明久「えっ、どういうこと?」

玲「行き過ぎた罰は不仲を招く。
   おはようのチュウ、裸エプロン、お帰りなさいのチュウはやりすぎでしたね」

雄二「良かったな、明久。
    分かって貰えたみたいだぞ」

明久「あれ? なんだか抜けてる気がするけど……」

雄二「気のせいだろ」

明久「そっか、そうだよね」

玲「私は皆さんと違い学生ではないので、
   学校生活でのアキくんの行動を律することは難しいです」

玲「ですが、それでも姉さんはアキくんに立派な人間に成長して貰いたいのですよ」

明久「姉さん……僕、罰なんかなくても頑張るよ!」

玲「なので、皆さんのお力をお借りしてもよろしいでしょうか?」

明久「あれ?」

玲「チュウをしろとは言いません。
   皆さんをお嫁に行けなくするわけにはいきませんから」

姫路「わ、私は別に明久君なら……///」

美波「う、ウチも仕方なくだけど……///」

雄二・秀吉・土屋「何故、お嫁なのに視線がこっちにも……?」

翔子「……私はもう……雄二の妻だから無理」

玲「アキくんが外で罰を受けるような行為をした場合、
   皆さんが言葉で、拳でわからせてあげてください」

姫路「はい、任せてください!」

明久「あはは、叱るのにコブシをきかせてどうするのさ姉さん!」

美波「ウチ、そういうのは得意なんです!」

明久「美波は拳よりも関節技の方が得意だよ全身がミシミシとおおおっ!」

美波「どうしてウチの時は“拳”で話が進むのよ!」

玲「皆さんに任せておけば、もう必要以上に罰を与える事はないですね」

明久「ギブアップ! ギブア~~~ップ!」

雄二「……ま、これにて一件落着か。お手柄だったな、秀吉」

秀吉「ワシも姉が居るからの。
    もしもワシがこうなったと思ったらな」

玲「アキくん、女の子と体を密着させていますね」

明久「そこに僕の意思はないんだけどおおおっ!?」

美波「何!? ウチとくっつくのがそんなに嫌なわけ!?」

姫路「美波ちゃんだけズルいです!」

明久「姫路さん待って! さすがに同時に二人ぐおおおおっ!?」

玲「二人分ですね、アキくん」

秀吉「助け舟を出さずにはいられんじゃろう」

雄二「……まあ、それもそうだな」

明久「ぎゃあああああああっ!」

吉井玲先生の 特別英語(?)試験

問 あなたの今までの異性とのお付き合いや経験をした人数を、
肉親をカウントしても良いので英語で答えなさい

島田美波の答え

『Only one』

吉井玲のコメント
oneで終わらせることなく、Onlyをつけた事で美波さんの相手を想う気持ちが伝わってきます。
もっと長文を用いても良いのですが、短文でも相手に意味が正確に通じれば長文よりも効果的な場合があります。
試験という趣旨からははずれますが、美波さんの恋を応援させて貰いますね。
もっとも、ある特定の人物が相手でなければですが。


吉井明久の答え

『Tom』

吉井玲のコメント
人数を聞いているのに何故トムという名前が出てきたのですか。
まさかとは思いますが、姉さんを加えてもう一人居るという『Two』とスペルを間違えたのですか?
どちらにせよアキくんは補習です。覚悟してください。

     ・    ・    ・

明久「はーっ! 皆のおかげで朝の緊張感が無くなって助かったよ!」

明久「おかげで夜にゲームをやっても朝チュウをされないし」

明久「よし、今日はとことんやるぞー!」

玲「アキくん」

明久「!? ど、どうしたの姉さんん~~~っ!」

玲「ん……ちゅ、んん……ん」

明久「んんーっ! んんうーっ!?」

明久「んむ……ぷはっ! ねっ、姉さん!?」

玲「はい?」

明久「僕が馬鹿だからなのか知らないけど、
    どうして姉さんは今チュウしたの!?」

玲「皆さんに教えられたからです」

明久「なっ、何を?」

玲「夜のゲームの罰を朝に与えるのが駄目なのだから、
  夜のうちにしっかりと罰を与えなくてはいけない、と」

明久「成る程。それなら効果はあるんだよね」

明久「……って、結果的に何も変わってない!?」

玲「それに、夜にチュウをしたら効率が良いことにも気付きました」

スルッ…

明久「僕は姉さんが服を脱いでるのに気付きたくないよ!」

玲「夜チュウをして、そのままベッドで一緒に寝られますしね」

明久「やめて姉さん! 僕達は姉と弟なんだよ!?」

玲「姉さんは裸じゃないとグッスリ眠れないのです。
  それに、姉と弟だから恥ずかしがる必要はありませんよね」

明久「ね、ね……!」

明久「――姉さんはやっぱり非常識だ! んんっ……!?」

玲「アキくん……ちゅ、ん……んん……」

     ・    ・    ・
チュンチュン!

雄二「……ん……もう朝か……」

翔子「雄二……んっ……」

雄二「うおわっ!? なっ、何してる翔子!?」

翔子「チッ……おはよう、雄二」

雄二「おはようの前の舌打ちは何だ!?」

雄二「って、どうしてお前がここにいる!?」

翔子「……先生に教わった」

雄二「何を学んだんだ、何を!」

雄二「ったく、朝っぱらから勘弁してくれ」

翔子「……夫婦には必要なこと」

雄二「本当の夫婦にはな!」

翔子「……んっ」

雄二「だから! それはせんと言っとるだろうが!」

翔子「……雄二、ケチ」

雄二「あー、はいはい」

雄二「……ん? 携帯に着信があったみたいだな」

雄二「誰からだ……?」

ピッ!

3/9 23:45 吉井明久
3/9 23:48 吉井明久
3/9 23:52 吉井明久
3/9 23:56 吉井明久
3/9 23:59 吉井明久
3/10 0:05 吉井明久
3/10 0:09 吉井明久
3/10 2:15 吉井明久

雄二「っ……!? 何だ……これは……!?」

翔子「……雄二……浮気は許さない……」

雄二「待て翔子! これは明らかに違うだろ!?」

雄二「明久の身に何があったんだ……」

翔子「……時間が二時間程……あいてる」

雄二「ああ、それまでは何度もかけ直してるのに、
    最後の一つ前からはかなり経ってるな」

雄二・翔子「……」

雄二「……まあ、ここで俺達が気にしても仕方ないか」

翔子「……」コクリ

雄二「何があったのかは、学校で聞きゃ済むしな」

翔子「……ナニが……」

雄二「ん? 翔子、何か言ったか?」

翔子「……ううん」


翔子「……別に……ナニも」


おわり

こんなくだらないもん最後まで読んでくれてありがとう
おやすみ

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