妹「電気つけないでぇっ!!!!」(1000)


妹「電気つけないでぇっ!!!!」

馬鹿でかい声が部屋に響いた。

家全体が揺れるくらいの叫び声に、思わず耳を塞ぎそうになる。


兄「す、すまん…」

妹「……」

そうすると、妹はパソコンに集中し始める。
カチ――カチというクリック音が部屋に鳴り渡る。

兄「ほ、ほら…正月ぐらいはさ…、部屋から出たらどうなんだ?」

妹「……」


お菓子のゴミや飲み物のペットボトルが乱雑した部屋。
妹の使っているパソコンデスク…といってもただのちゃぶ台だが、持ってきたお雑煮をそこに置いた。

そして――妹は、重度の引きこもり症だった。


(……)

慣れない臭いが漂う部屋の中――僕は適当に座ることにした。


兄「今日もそうやって一日中パソコンしてるつもり?」

妹「……」

モニターに向かい、ただ一点を見つめる妹の目。
どうやら返事は返ってきそうにない。

兄「学校も行かないで…毎日つまらなくないか?」

妹「…別に」

兄「オジサン達、1階に居るけど」

リビングのある1階には、ここ何年かぶりに来た親戚が集っている。
ただ、酒飲みの場と化している故、高校生の僕にとっては居ずらいのだが。


兄「…挨拶ぐらいしたら?」

妹「…いい」

兄「あっそう…」

僕は近くにあった漫画を手に取ると、ペラ――ペラとめくり読み始めた。





やがて夕方になり、窓の外は夕焼け一色に染まっている。

どうやら1階で騒いでいた親戚たちは帰ったようだった。

静かな時間が流れる。


すると、部屋の外…階段からドンッドンッという強い足音が聞こえてくる。

妹もそれを察知したのか、少し脅えている。


父「おい、妹っ!!!!」

勢いよく開いたドアの音と、父さんの罵声。
妹はその場でビクッと反応し、身をすくませた。

父「正月ぐらい挨拶ぐらいしたらどうだったんだ、ええ!!」

妹「……っ」

父さんは散らかった部屋の中をズカズカと進んでいくと、妹の腕を引っ張った。


妹「……いたっ、…い」

父「こんな暗くしょうもない部屋の中で…、風呂くらい入れ!!」

妹が無理やり父さんの手から逃れると、崩れるようにその場に座り込んだ。


兄「あの、父さん…そのくらいにさ」

父「兄ぃ、お前はいつも甘やかしすぎなんだ。厳しくやらんと引きこもりなんて直らん」

兄「まぁ、そうだけどさ…とりあえず、ちゃんと僕から言っておくから」


そして、父は僕と妹を交互に見比べると

父「…ったく」

そう言い、部屋を出て1階に帰っていった。


妹「……」

目に涙を溜めながら、すっかり体操座りをしてしまった妹の背中を撫で下ろす。

兄「ほら、父さん怒らすと怖いんだから…」

妹「……」

兄「お雑煮持ってきたんだから、食べようよ」

妹「……」

妹は腕に顔をうずめたまま、黙ったままでいた。
時々、泣き声のようなものが聴こえてくる。

(どうしたものか…)


兄「あ、そうだ…今月の小遣い…」

僕は財布から数千円を取り出すと、妹に差し出した。
一生懸命バイトで溜めた金。給料が入ると妹に少し与えてやっている。

妹「……」

兄「ここに置いておくね」

ちゃぶ台の上にそれを置くと、僕はそのまま部屋を立ち去った。


妹は、人と接することを拒んでいる。
いわゆる対人恐怖症ってやつだろうか?

小学校の高学年に上がってから虐めを受け――そのまま不登校。
それきり、学校には一度も行っていない。


そのせいなのか、妹は親からたびたび暴力を受けるようになった。
それを毎回、僕は介入して止めてやっている。

仕方が無いことなのかもしれない…

ただ――
両親の妹に対してのやり方は、もう虐待と言っても過言ではない。

妹を見かけるたびに罵声を放ち、酷い時には手を出す。
僕が学校やバイトに行っている時に、どんなことをされているのかもすら分からない。


だから、気付けば同情するようになっていた。

両親から、親戚から、世間から非難され続ける、ただ一人の妹のことを…。


次の日、帰りのホームルーム。

友人「んで妹がこう言ったのよ…」

前の席の友人と話している内、気がつくと妹の話題になっていた。

――。

友人「そういえば、おまえの妹って今何してんの? ウチの妹が全然学校来てないって言ってるけど」

兄「ああ…、いつも部屋で引きこもってるよ」

今頃、何しているんだろうか。
きっとパソコンしているんだろうか。

友人「対人恐怖症だっけ…? そういうの早く治さないとマズイんじゃないの」

兄「まあ、そうなんだが」


友人「将来とか心配すぎるだろ。精神科連れて行くとかさ…」

(……)

たしかに、妹は将来どうするつもりなのだろう?

あのまま引きこもった生活を続けていれば…
いずれ、両親から家を追い出されるかもしれない。

そうなったら、あの子はどうなるのだろう?

兄「そう、だな…」

もしかすると、あの子を救い出す義務があるのかもしれない。
たった一人の兄である自分が。ただ味方でいてあげられる自分こそが。


(まず、妹と普通に会話できるようにならないとな…)

だから僕は、妹と会話をする努力を始めた。


家に帰り、そのまま2階に昇り、妹の部屋をノックした。

兄「……」

居ないのかな…?
いや、そんなことは滅多にないはずだが。

そっとドアを開けてみると、部屋の中には誰もおらず、寂しくパソコンだけがついていた。

兄「…ん?」

(おかしいな?)


1階に駆け下り、リビングを探すと母さんが座っていた。

兄「あのさ、妹は?」


母さんは僕のことを一瞬見て、タバコの紫煙を吐き出し

母「知らない」

そう言って、それを灰皿に擦り付けタバコの火を消した。

-完-

完は冗談
書き溜めが無くなっただけです

急いで続き書きます


兄「あいつ何処行ったんだろ…」

妹が部屋から出るなんて、珍しい他ない。

その後、しばらくしてから2階に上がった。
妹の部屋の前に立ち、どうせ居ないだろうと思いノックもせずにドアを開けた。

妹「……」

兄「あ…」

妹が下着姿で、タオルを巻いた妹の姿があった。

兄「あ、ご、ごごめんっ」

焦って謝り、急いで部屋から出てドアを閉める。

(風呂に入ってたのか…)


部屋の前に座り込んで数十分が経つと、僕はそっと妹の部屋をノックする。

兄「入って…いいか」

…返事は無かった。

兄「入るぞ」

そう言って静かにドアを開くと、妹は暗い部屋の中でパソコンをしていた。
いつも通りの光景。

散らかった部屋の中を歩き、僕は妹のすぐ隣に座った。

兄「いつもパソコンで何やってるんだ?」

優しく声を掛けると、妹は「別に…」とそっけない顔をして言った。


兄「そっか…。…学校には行く気ないのか?」

妹「……」

兄「一週間に一回くらいで…いいからさ」

妹「…行きたくない」

兄「そっか…」


ただ、モニターに向かって一点をみつめる妹。
クラスから虐めを受けた経験を持つ妹にとって、そんな場所に行くよりもこうして部屋でパソコンしているほうがいいのだろう。

(でも、いつまでもそんなことじゃ…)


ふと妹のパソコンの画面をみると、なにやらゲームをしているようだった。
キーボードに指を乗せ、小さいキャラクターを操作してモンスターを狩っている。

(オンラインゲーム、っていうんだっけか…? こういうの)

兄「……」

妹「……」

その後しばらく流れる沈黙…。
情けない話、こんな妹に何を話せばいいのか分からなかい。

兄「…あ、そうだ。どこか出かけないか?」

妹「……」

兄「可愛い服、たくさん買ってやるから…」


妹「…いらない」

涼しい顔して妹はそう言うと、近くにあった毛布に身を包み頭巾のようにかぶった。
まるで、僕を見ないように――視界から兄の姿を断ち切るとでも言うように。

(どうしたものか…)

その直後、部屋の扉が勢いよく開いた。
壊れるんじゃないかと思うほどの、すごい音が部屋に響いた。

思わず、僕と妹はビクッと反応してしまう。

母「ちょっと妹!! お前風呂場の電気消さなかっただろ!!」

床に散らばったペットボトルのゴミを蹴り飛ばし、部屋の中を進む。

一方その頃俺の家では・・・

 ドコドコドン             ミ   ))←俺

       I    /            //        /
   _  ヽO丿    __      /O>      O セックス!!
  ( () ∧/ ←母  〔 TV 〕       __  /V \

   I ̄I   )       || ̄.||        |PC | /> ←父

妹が体をすくませている。怒り狂った母に対して脅えていのだ。

妹「――っ」

母が妹のシャツのえりを掴み、そのまま上へ勢いよく持ち上げた。

母「この馬鹿が!」

妹「…きゃっ」

そのまま引っ叩かれると、妹は後ろに投げ飛ばされる。

妹「…やめ」

母「うるさい!!」

母は足で妹の横腹を蹴り、腕を掴み無理やり立ち上がらせた。


妹「――っ、けほっ!」

そして、母の膝が腹に食い込み、妹がうめきを上げた。

ただ、兄である自分はポカーン…とその光景を見ているだけだった。
いつものように介入して止めなければ…そう思い立ち上がり

兄「そ、その辺にしなよ! 母さんっ」

母「タダ飯食らいが贅沢にパソコンなんか使ってんじゃねーよっ!」

僕の声を無視して妹を放り投げると、母はパソコンのコンセントを抜き投げ捨てた。

泣き叫ぶ妹の声が、部屋に響き渡っている。


兄「わかった!わかったから…俺から言っておくからもう止めてやりなよ!」

母の肩を両手で掴み、妹に振りかかる暴力を止める僕。


そして暫くし、母の怒りが静まると――

母「ったく…さっさとこの汚い部屋かたしておけよ」

そう妹に言い放ち、ドアを強く閉め母さんは部屋から出て行った。


兄「…大丈夫?」

妹「…うっ、…ぐすっ」

妹は泣きながらパソコンの電源を差し、スイッチを入れた…。

母は妹を罵倒して出ていった。

僕はすぐさまうずくまった妹にかけより、声をかける。

兄「だ、大丈夫?」

妹「...体が壊れたかも」

そう言いつつ立ち上がる妹だったが、その表情はいつもと違った。

しかし僕がほっとしたのもつかの間であった。

妹「確かめて」

なんと妹は服を脱ぎはじめたところで爆発した。

兄「次怒られないように、ちゃんと部屋片付けような…」

妹「……」

妹の背中を撫でてやりながら、僕はそう言った。

本当に、父さんもそうだけど両親のやり方は乱暴で良くないと思う。
もっと優しく接してやるべきだと思うのに、2人はそれを理解していないのだ。

そして僕はその場から立ち上がると、一人で妹の部屋を片付け始めた…。





(ん…なんだこれ?)

散らかった物ゴミを袋に放り込んでいくと、部屋の片隅になにやらノートが落ちていることに気付いた。

第一なんでPCなんて買い与えられてんだよw

>>86
ずっと前に買ったPCをずっと使っていて、スペックもアレだからしょぼいことしかできない。だけど我慢して使うんだ。
そんな引きこもりの女の子考えると悲しいだろ?俺は興奮する

メモリ増設したんじゃね?


妹に訊こうとしたが、本人は毛布に包まってパソコンに夢中。

ノートには、小さくボールペンで“日記”と書かれていた。
少し気になってしまい、軽い気持ちで1ページだけ開いた。

(部屋が暗くてよく読めない…)

ノートに顔を近づけ、文字を読み取ろうとすると――

妹「み、みないでっ!!」

妹は叫んで、僕からノートを取り上げた。
そして、僕を少しにらみつけるとそれを胸に抱きかかえた。

大事そうに、本当に大事そうに。


兄「…ご、ごめん」

妹「……」

毛布に包まったまま横になると、妹はため息を漏らした。

あの日記には、何が書いてあったのだろうか。
確かに人の日記を盗み読もうとした僕が悪かった。

(でも、あんな反応されると気になってしまう…)





妄想ダイヤリーEX の始まりである-


妹と普通に会話をする練習を始めて、数十分…あるいは数時間が経った頃。

妹「……」

相変わらず、妹は目の前のパソコンに夢中。

(何が楽しいんだろうな…)

自分はその場で寝転がりながら、妹の姿をみつめた。

肩まで伸びた短いツインテール…。
モニターの光に照らされて、少し茶色がかっている。

(普通に可愛いのにな…)

外に出ていないせいか、肌が白くみえる。

ちゃんと学校行ってれば、彼氏ぐらいできただろうに。
そんなパジャマ姿で引きこもってばかりで…。


(…そうだ)

兄「なぁ、明日どっか出かけないか? 一緒に」

妹「……」

兄「どっか行きたい所とかないのか?」

妹「……」

まったくの無反応。
やっぱり駄目か――そう思いかけた時、妹の口が静かに開いた。


妹「…秋葉原」


兄「…え?」

妹「……」

まさか、反応してくれるとは思ってもいなかった。
しかし秋葉原――いわゆるオタクってやつがよく行くアレだろ?

(僕行ったことないぞ…)

けど――

兄「分かった。明日バイト休みだから一緒に行こうか」

妹「……」

妹は小さく頷いた。

ふくぬいだ


次の日の朝、着替えて妹の部屋に向かった。
コンコン――とノックして扉を開く。

妹「……」

妹はぐっすり眠っていた。

兄「ほら、起きろ…。今日行くんだろ?」

妹「…んぅ」

可愛らしい寝顔だな…。
我が妹ながら、そんなことを思ってしまう。

兄「しょうがない…」

妹のわきに手を挟むと、そのまま持ち上げて半身を起こした。

そう、横乳を揉みながら


(ん…?)

妹の体は、驚くほど軽かった。
元々小柄だけど、そんなのは関係無しに。

たぶん、食事をちゃんと取っていないせいとか、そういう類の。

妹「おにいちゃん…?」

すると、妹がゆっくりと目を覚ました。

兄「おはよう――って」

妹「えへ…」

突然抱きついてくる妹。
まるで昨日や一昨日とは別人のようだった。

おれの息子もゆっくりと目を覚まし立ち上がった。

息子「い。妹…」


いったい、どうしたんだろう?

(もしかして、まだ寝ぼけてるのかな…)

いつもの雰囲気とは格段に違う妹の顔は、とても幸せそうに微笑んでいた。
僕の胸に顔を押し付け、唇を引き締め、目をうっとりとさせて――

妹「――っ」

そして、それが兄である僕だと判断するやいなや、その場から飛び跳ねて布団に潜り込んでしまった。


妹「……」

兄「ほら、さっさと着替えて行こうか」



妹まだネムそうだし、俺が着替えさせてあげるね^^


朝の妹の反応は、いったい何だったのか。
晴れた空を見上げながら、そんなことを考えていた。


妹「……」

家を出て少し歩いた後、妹はその場でしゃがみ込んでしまう。

兄「どうした?」

妹「…なんでもない」

妹は立ち上がり、歩き始める。
ここからバス停までたどり着くのに数分だが、妹の顔はいかにも辛そうだった。

兄「お、おい…なんだか無理してないか?」

妹「……」

俺「つらいのかい?俺のフェアレディZに乗って行きなよ」


また少し歩いた後、妹はしゃがみ込んでしまった。

(絶対何か無理してるよな、これ…)

兄「体調悪いのか?」


すると、妹は小さく頷いた。

妹「…生理かも」

――生理。
どれくらい辛いのかは男の自分には分からない。

けど、妹をそんなに無理させてまで連れ出そうとは思っていない。

兄「しょうがない、また今度にしようか」


妹「…うん」

そして僕は、妹の前にしゃがみ込み背中を向けた。

兄「ほら」

いわゆる、“おんぶ”ってやつだ。
それをみた妹は、目を細めながら汗を流し…

妹「…いい、だいじょぶ」

兄「ほら、そんな無理すんなって。たまには甘えていいんだぞ」

妹「でも…」

兄「たまには兄の顔を立てさせろ」

すると妹は小さくコクリ――と頷き、背中に乗っかった。



妹を背負って帰りながら、少し経った頃だった。
妹は恥ずかしそうに、僕の背中に顔をうずめたままだ。

兄「…久しぶりだな、こういうの」

妹「…?」

兄「こうやっておまえを担ぎながら家に帰るのってさ。」

妹「…そだね」

聞きそびれそうになるくらいの小さい声。

…果たして、いつぐらいからだったろうか。
こうやって、妹と普通に会話するのは。


子供の頃、よくこうやって妹をおんぶして家に帰っていた。
それが僕らの日常だったのに――

おおおおお俺はどうすりゃいいんだ!?

とりあえずパンツは脱いだんだが

>>193
皮もぬいどけよ



家に到着すると、両親は居なかった。

父は会社を経営し、母はどこへ行ったのかはわからない。
たぶん、どこか遊びに行ってるのかもしれない。

妹を部屋に連れ込み、布団にそっと寝かせた…。

兄「コンビニ行ってくるけど、何か欲しいものあるか?」

妹「…コーラ」

兄「分かった。ちょっくら行ってくる」





コンビニから帰ってくると、妹はぼーっとしていた。
半身を起こし、ただ天井をみつめたまま…。

兄「はい、コーラ」

妹「…ありがと」

それを渡すと、僕は布団の横に座り込んだ。


兄「…なぁ、なんでいつも部屋から出ないんだ?」

優しく声を掛けると、妹は僕の顔をみつめて

妹「…べつに」

そう言った

あの

今更なんだけど・・その・・・・


エロは無いんだ


兄「父さんと母さんのこと、どう思ってる…?」

妹「…こわい」


あたりまえだ。
妹は昔から虐待を受け続けてきて、精神、身体共に病んでいるはずだ。

兄「でもさ…将来どうするつもりだ?」

妹「……」


妹は、ずっと俯いたままだった。


兄「このままじゃいけないって分かってるだろ?」

妹「……」

本当は、こんなこと言いたくなんかない。
でも僕は妹のことを想って、将来のことを思って言っているんだ。

兄「ちゃんと彼氏作ってさ…」

妹「……」

兄「結婚してさ…」

妹「……」

兄「そいつに養ってもらえよ…」

俺が養ってあげるよ妹ーーー俺もにとだけど


妹「……」

分かってるはずだ。

兄「…父さんや母さんはいつまでも養ってくれないぞ」

そんなこと、この子だって分かっているはず。

兄「…だからバイトとかしてさ…」


――。

妹「…もう、やだ…よ」

妹は、その場で泣き始めてしまった。

支援

働くくらいなら死ぬわなjk


妹「そんなの…、言わないっ、で…」

(……)

困った。
少し言い過ぎたのかもしれない。

(でも…これは…)

いつもの泣き方とは、違う。
大粒の涙が頬を伝い、妹は手のひらで拭い続ける。


なんのことはない――ただ、兄に説教をされて泣いているだけだ。
だが、どうして、こんなに悲しそうに涙を流すのか。


兄「わ、わかったから…。もう色々言わないから、な?」

徐々に大きくなっていく妹の泣き声。
まるで子供みたいに、全てを拒絶するとでも言うように。

兄「お、おい…」

ドンッ、ドンッ、ドンッと足のかかとで床を叩きつけ、ついには大声で泣き出してまった。

兄「近所に迷惑だろ…、ほら落ち着けって」


…なんなんだ? これは
初めてみる妹の姿に、思わず寒気のようなものが背中を伝ってくる。


兄「ほら、よしよし…」

まるで子供を泣き止ますように、背中を摩ってやる。
それでも妹の大きな、家全体に響き渡る泣き声は止まることはなかった。

それでも、僕は背中を摩り続けた。

兄「ほら…」


もしかすると、妹は成長していないんじゃないか?
子供の頃から――部屋に引きこもり始めたあの頃から…僕はそんな風に考えてしまう。

寝れねー!!


両親から虐待を受け、誰にも構ってもらえず、何年もの間この暗い部屋の中で…。

『だらしない』
『怠慢だ』
そうやって世間から後ろ指を指されながら、黙って暴行を受け続けて…

兄「……」

僕はこの数年間、妹に何をしてやれたのだろう?

ただ見てみぬふりをして、妹がどれだけ傷ついてきたのか。
ただ偽善を振舞って何をしていたのか。

本当に…。


兄「…え?」

次の日、バイトから帰ると妹はリビングで倒れていた。

兄「おい、しっかり…」

そうやって妹を転がすと、手首に血がついていた。


――だから、もう遅いのかもしれない。

(そんな…)

吐き気のような不快感が喉を伝ってこみ上げてくる。
頭の中が真っ白になり、何をすればいいのか分からなかった。

妹「ぐすん、ぐすん、ひっく、ひっく」

兄「ちょwwww泣過ぎワロタwwwwww」


世の中から拒絶されて、家族から拒絶されて、今度は兄から拒絶されました?
だから手首を切りました?

――バカか、自分は。

僕は震える足を無理やり立ち上がらせ、電話のある方へ向かう。


そして救急車を呼ぼうと番号を打ちつける…
しかし、指が震えて何度も打ち間違えてしまう。

そして、しばらくして妹は救急車で運ばれた。
自分も同情して、妹の眠る顔をただ見つめていた。





幸い、妹は軽傷で済んだ。

人間そう簡単に死ねないということ。
そんなの、分かっている。


妹の部屋。
布団で眠る妹の顔は、とてもすっきりしているようだった。

兄「……」

どんな思いで、こいつは手首を切ったんだろうか。


『妹は過去に何度もリストカットをしている』

今日、病院で伝えられたこと。
どうして、もっと早く気付いてやれなかったのか。

徐々にこみ上げてくる、自分に対する怒りと嫌悪感。


妹は幼い頃から虐めを受け、両親から虐待を受けて――

本当に、辛い毎日だったのだろう。

(…なのに、僕は…っ)

思わず、拳に力を込めた。

なにここ、ゆとりのすくつじゃん

>>300
と、ゆとりがおっしゃっています

>>304
ゆとりじゃねーよばーか


いったい、どれだけ知らん顔してきたのだろう。

病む妹に対して、人と話せなくなった妹に対して。

それなのに、なんだ?
学校へ行け? 彼氏を作れ? 結婚しろ?

何なんだよ…僕は。
この、何もできやしない愚か者は。

守るべき人間が――妹を守るべきである兄が、それをできなくてどうする?


僕は妹の顔を撫でると、布団に涙を垂らし始めた。

>>305
と、バカがおっしゃっています。


それから、何時間経ったのだろう。
夜になり、それでもずっと、布団で眠る妹のそばに居続けていた。

家のドアが開く音がした。

(…やっと帰ってきたのか)

僕は妹の部屋を出て1階に下りていった…




>>316
お前さあ
冷静になれよ
もうちょっと暖かく>>1を見守ってやれないの?
しらけさせてるのは自分じゃん
えらそうなこと言っちゃってさ
んじゃ読まなきゃいいって話になるわけで


父「ああ…居たのか、兄」

兄「父さん…、妹のことをどう思ってる?」

父「なんだ、急に」

兄「……」

そして、父は僕の顔をみつめて黙り込んだ末

父「妹はな、おまえと違って出来損ないなんだよ」

兄「だから…暴力を振るうのか?」

父「ああ」

>>324
ヒント:縦読み


父「だから厳しくやらないとダメなんだよ、あいつは。」

父はそう言うと、タバコを取り出し火をつける。


兄「…あのさ、父さん」

父「なんだ?」


兄「今日、妹が手首を切った」

父「……」


兄「以前から、何回も切ってる…」

それを聞いた父は、タバコを吸い込み、少し黙り込んだ後…

父「それが、どうした」

兄「――っ」

この場で殴り倒したくなるような感情に襲われた。
親だからとか――そういうのは関係なく。


兄「…そうかよ」

吐き捨てるような言い方だった。

…そのまま、僕は2階に上がり妹の部屋に入った。


妹と相変わらず眠ったまま。

僕は妹の横に腰をおろすと、妹の寝顔をみつめた。

兄「…ごめんな、今まで」

思わず、そう呟いてしまう。
それは今までの謝罪のつもりなのかどうかはわからない。

ただ、妹のことを守りたい――そう思った。


布団の下に、何かがはみ出ていることに気付いた。

(これは…)

あの時、妹の部屋を片付けているときに見つけた、妹の日記帳らしきものだった。


1ページだけ、…そんな思いで僕はノートを開いた。
妹がどんな日々を送っているのか、どんなことを思って毎日を過ごしているのか。

そんなことが、とても気になってしまった。

兄「……」


『森の中に家を建てることにした』
『おにいちゃんと建てたログハウス』
『朝おきると、おにいちゃんが起こしてくれる』
『森の動物さんたちと、楽しく遊ぶ』
『夜になると、おにいちゃんにご飯を作ってあげる』

――なんだ、これは

メンヘル


『今日も“美味しい”って言ってくれた。すごく嬉しい』
『一緒に川まで魚釣りに出かけた。たくさん釣れた』

自分の身に覚えの無い、妹にとっての兄の姿…

『動物さんが怪我をした。おにいちゃんが手当てしてあげる』
『一緒にお風呂に入った。たのしかった』
『今日も一緒に寝る。おやすみって――

兄「……っ」

耐えられなくなり、ノートを閉じてしまう。

――この子は、いつも何を見ているんだ?

幻覚? 妄想? それとも…


もし、だ。

もし仮に、妹が幻のようなものをみていて、妄想の世界の兄と仲良く暮らしているとして…

この僕は、何だというんだろう。

この子の実の兄という自分は、なんの為に存在しているのか。


兄「……」

そんなことを考えると、とたんに悔しくなって、その場で涙を流した。



ようやく後編です

予想外だがまとめられるのか


この子はずっと一人で過ごしてきた。
暗い部屋の中で、仮想という心の世界を作って…自分の理想の兄の姿を作り上げて。

なのに、自分は妹を責めていた。冷たく接していた。

妹「…ん」

兄「妹……」


妹が、目を覚ました。

僕は、この子にどういう顔をしてやればいい?

>>406
それが心配だな…この速度だと1スレ消費するかもしれん


妹「…っ、おにい…ちゃん?」

妹は突然、少し驚いたような声をあげた。
僕の行動の意味を計りかねている、訝しんでいる、そんな反応だった。

兄「…ごめんな」

僕は思わず、妹のことを抱きしめていた。
頭の後ろを優しく撫で下ろし、妹の体――本当に小さい体を包み込む。

妹「……」

妹は、僕の言葉と行動に息を呑んでいた。
――そして、

妹「…うん」

僕の肩に顔をうずめ、静かに泣き声を漏らした。

>>421
まさかとは思いますが、この「妹」とは、あなたの想像上の存在にすぎないのではないでしょうか。
もしそうだとすれば、あなた自身が統合失調症であることにほぼ間違いないと思います。

>>424
先生じゃないですか!


兄「……」

妹「……」

部屋の片隅で、妹を抱きしめ続けていた。
背中に手を回し、ゆっくりと撫でる。

妹は既に泣き止んだが、僕に抱きついたままま。


(……)

この家族の中で、妹を守ることができるのは自分だけなのに
そばにいてやれるのは、兄である自分だけなのに。

なのに、自分は無意識的に妹のことを追い詰めていた。

そんな自分が憎くて憎くて仕方が無かった。
親から非難され続けて、親戚から非難され続けて、世間から非難され続けて…

こんな長い間、暗い部屋の中で妹はどんな明日をみつめて過ごしてきたのだろうか。


ただ後悔し続けて、妹を抱きしめたまま――数時間という時が流れていった。

(これからは…僕が守らないと)

これからは妹のためならなんでもすると。自分が守ると。


妹はただ一点をみつめながら、黙ったまま。

でも少し体を離し、妹の顔をみつめると

妹「…ふふ」

少し嬉しそうに、幸せそうに微笑んだ。


――ただ純粋に生きたかった、現実の兄に優しくしてほしかっただけの妹。


兄「妹…」

妹「…うん?」

兄「これから、ずっとおまえのそばにいてもいいかな」

なんて、ベタで恥ずかしいこと言ったり

妹「…いいよ」

そんな幸せそうに言う妹を抱きしめ続けたり。

…こんなのを、ずっと望んでいたのかもしれない。
僕の可愛い、ただ一人の妹は。


そのまま放心したまま、どれだけの時間が経ったのだろう。

すると1階から、いつもの足音が聞こえてくる。
とても耳障りで、妹が怖がっている――いつものやつだ。

母「部屋片付けたんだろうなっ…ってちゃんと片付いてるし」

そして、抱きしめ合う僕たちを一瞥すると

母「…何やってんのあんたら? …それより、パソコンつかってないなら電源消せっていってんだろっ!」


妹は、母の怒鳴る声など聞いてすらいなかった。
それが癪に障ったのか、

母「…おい、なんだよその態度は!ちょっとこっち来い」

妹「――っ」

妹の髪の毛を鷲掴みにした。
でも大丈夫、僕が…おにいちゃんがついてるから。


兄「っ ――――やめろっ!!」

気付けばそう叫んでいた。

轟音が部屋を揺らすように響き渡り、鷲掴みにする母の腕を思い切り掴んだ。
骨を折ってしまうんじゃないかと思うくらい力を込めて――

母はぎょっ目を丸くした目で僕をみつめ、すかさず妹から手を離した。

兄「…次手を出したら、その前歯圧し折るからな」

少なくとも、親に向かって聞く口ではない。
そんなことは分かっているのに、どうしても大事な妹に暴力を振るう母が許せなかった。





母「いや、前歯はちょっと・・・私も一応女なので・・・せめて奥歯・・・奥歯にしてください・・・」


兄「大丈夫か…? 痛かったな」

優しくそう声を掛け、僕は可愛い妹の頭を撫でた。

妹「……」

妹は茫然とした目でこちらをみつめていた。
何が起きたのかわからないような類の。


兄「怖かったな…でも、もう大丈夫だよ」

僕はぎゅっと妹のことを抱きしめ、背中を撫でてやる。

妹「…ん」

妹は、心地よさそうな声を上げると僕の顔をみつめ、少し顔を赤くして照れたような素振りをみせた。

減速しろっていう言葉の意味わかるかな?

>>477
減速しろks


それからずっと、妹と過ごした。
夜明けがやってきたのか、徐々に外が明るくなって行くのにつれ部屋に明るさが増していく。

妹「…ふふ、お母さん凄かったよ」

兄「ん…?何が」

妹「さっき、信じられないような目してた…。おにいちゃん、凄い怒ってたから」

妹はそう言って、くすくすと笑い始めた。

(そう、か…)

これで、正しかったのかもしれない。
こうやって妹が笑ってくれるのが、兄である僕にとって…とても幸せなことだ。

兄「なぁ…」

妹「んー?」

兄「一緒に、この家から出ないか…?」

ここから兄弟の壮絶なる未来が、人生が、膜を開ける。


妹「それって…家出ってこと?」

兄「うん…」

いっそのこと、国から出たかった。
妹を追い詰める、冷たい目で見下す、この世の中から。

妹「でも…宛てはあるの?」

兄「……」


僕たちは所詮学生。
バイトで溜めた金があるが、そんなちっぽけなものじゃ妹と暮らすなんて、たかが知れてる。

妹「別にいいよ、おにいちゃん…」

兄「…ごめん」

妹「いいの。おにいちゃん庇ってくれた時、すごい嬉しかったから…」

そう言って、妹は僕にもたれついた。

バッドエンドか両親洗脳エンドしか見えてこない

と、次の瞬間。


妹「この家で、おにいちゃんと一緒なら私はそれで…わたしは怒られても、殴られても別にいいよ」

兄「……」


…妹は、怒られるようなことをしたのか?
殴られるようなことをした?

なぜ冷たい目でみられないといけないんだろうか。
どうして世の中から、後ろから指を差されないといけないのだろうか。

――妹は、なにか悪いことをしたのだろうか?

兄「そんなこと、いうなよ…」

妹「ん…」

僕は妹をさらに抱き寄せた。

兄「あれがワイの空なんやでェ・・・」

妹「素敵やん」


おわり

兄「妹は、なにか悪いことをしたのだろうか?」

お前ら「引き篭もってるのがしかられる原因だと思うんだ」


兄「なあ…」

妹「なぁに?」

兄「…今日は、一緒に寝ようか」

そうして、妹は小さく頷いた。





兄「んじゃ、電気消すよ」

僕の部屋に妹を連れ込むと、2人はそのままベッドになだれ込むように入った。

妹「…うん」

掛け布団で口を隠しながら、妹がそう頷く。

妹「…ねぇ、おにいちゃん」

明かりのない静謐な空間の中、小さく声をかけてくる妹。

妹「どうして…あの時、守ってくれたの?」

(ああ…)

思い出したくも無い。
母が妹の髪を鷲掴みにした時の映像が脳裏を過ぎった――

兄「おまえが、大切だからだよ」

あたりまえだ。
そう言って肩まで伸びた髪をそっと撫でる

妹「大…切?」

兄「…うん」

すると、妹は嬉しそうに目を細めると

妹「そっか…」

――ふふ、と嬉しそうに笑いを漏らした。

あ なるほどここからスレタイにつながるわけか

>>518
お前やっちゃったな

――ふふ、と嬉しそうにパンツを濡らした。


兄「さ、寝ような」

妹「…うん」

頭を撫でた後、背中に手を回し、ポン、ポン…と子供を寝かしつけるように優しくリズムを刻んだ。

…やがて妹の可愛らしい寝息が聴こえてくると、僕は天井をみつめた。


ふと、妹の日記のことを思い出した。


――森の中でログハウスを建てて、仲良く妹と2人暮らす。


…いつか、そんな日がくるのだろうか。

そんなことを考えながら、目を瞑ると徐々に意識が遠のいて行くのを感じた。



妹「ゴムつけないでぇっ!!!///」

ふと気がつくと、見えない鎖に縛り付けられていた。

(……う)

体が自由に動かない。
しびれるような感覚に、思わず吐き気のようなものに襲われた。

なんだろう、この恐怖感は。
誰かに睨み付けられているような――耳元で誰かが呟いているような。

慣れない感覚に、思わず体をもがくも指一本すら動かせない。

徐々に大きくなっていく耳鳴り、それが段々女の悲鳴のように聞こえ始める。
すると段々、意識な無くなるような…魂が抜けるようになり、わけが分からなくなる。

体が振動している。恐怖で震えているのか、誰かに揺らされているのかは分からない。

体の痺れが強まっていく――


妹「…おにいちゃん」

兄「――っ」

妹が、僕のことを見下ろしていた。

どぴゅ


視界には部屋の天井――そして、不安げにみつめる妹の顔。

妹「…汗、すごいよ」

兄「…う、うん」

なんだろう?――初めての体験に心臓の鼓動が止まらない。

(金縛りってやつか…?)


兄「…あ、もうこんな時間か」

妹「…?」

ベッドに置かれた時計をみると、既に8時過ぎを回っていた。




一体何が起きたというのか?!


友人「なんかおまえ顔色悪いぞ」

訝しげな顔して、前の席から授業プリントを回してくる友人。

兄「ああ、ちょっと両親と喧嘩して…」

朝の金縛りのせいではあるが、そんなことみっともなくて言えない。
この歳で金縛りを体験してトラウマになりました――なんてお笑い草だ。

友人「へえ…めずらしいな。どうして?」

兄「ちょっと、妹のことで…な」

友人「ほう。ま、首突っ込む気は無いけどさ、まさか妹を庇ったのか?」

兄「? そうだけど」


友人「あんまり、そういうの止めてさ…そっとしてやるのがいいんじゃないか?」

兄「…。どうしてだ?」


友人「おまえの妹、対人恐怖症で引きこもりなんだろ?」

兄「…それがどうした」

どうしてなのか、徐々に湧き出てくる嫌な感覚。
とにかく、不愉快だった。


友人「そ、そんな怖い顔するなよ。別にそんなつもりで言ったわけじゃない。ただ…」

…ただ?

友人「おまえ、妹のこと、将来どうするつもりなのか訊きたくてさ」

兄「どうするって…」

友人「自分が養うつもりなら、…止めとけ」


兄「……」

確かに、一瞬そう考えてしまった。
もし妹がこのまま立ち直れないのなら――あるいは、妹が兄を必要とするのならば、そういうのも悪くないのかもしれない。

友人「まさかおまえ、一生妹のことを養っていくつもりか?」

目の前に映る、滑稽なようなものを見る目。

なんなんだ?
なぜ皆、そう否定するのか。

兄「そうだったら…?」

声に怒りのようなもの込めて、吐き出すように言った。


友人「なら、お前が死んだ後どうするんだよ」

兄「……」

妹がいるってだけでどんな奴でも自分より立場が上だと思えてくる・・・


友人「だから今の内はそっとしてやってさ…、妹ちゃんが自然回復するのを待てば…」

兄「もう、いい」

友人「あ、おい…何処行くんだよ…」


こいつの声は、もう聞きたくも無い。
鞄を手に取り、席を離れる。

今自分がどんな顔をしているのだろう。
横を通りすがるクラスメイトの、怯むような――気味の悪いものをみるような目は何なのか。

早歩きで、近くの椅子にぶつかるのも気にせず、教室を抜け出した。

教師が呼び止めにくるのも気にしない。
そのまま昇降口に向かい、校門の外を出た。

基本的に引きこもりや対人恐怖症の人間に将来の事を考えさせちゃダメ。

これをわかってない人が多すぎる。
現状にすら耐え切れなくて周りとのかかわりを遮断してるのに
更に先のことなんて考えさせようにも苦しめるだけ。
こういう患者の殆どは現状の自分、そして将来の自分の姿を想像して
もがき苦しみ自分自身を嫌いになってる人が多い。
家族はまず、もっとも信頼を置いてもらえる味方に徹するのが吉。

天よ、我に妹を与え給え

>>578
貴方が欲しいのはこの朝青龍似の妹ですか?
それとも高見盛似の妹ですか?

>>578
天に頼む前にご両親にお願いしてみては?


『自然回復するのを待てばいい――』

友人の言っていることは、確かに間違ってはいない。


しかし、あの家で?
あんな両親がいる乱暴な家庭で?

両親の暴力が振りかかる、そんな家庭で自然回復なんてできるのか?


恐らく、無理だろう。
少なくとも、あの子にとっては…。

(でも、どうすればいい…?)

このままでは僕の妹は…。

>>581
母「あら・・・・うふふふ」
父「・・・・・・・・・・・・・・・」

母「チラ」
父「//////」

>>581
もう一人妹作ってと母に言ったら「父に浮気して作ってもらえ」と真顔で言われた俺はどうすればいい

>>588
そういうのも中々いいな!


一寸先は闇。

果てしなく先の見えない、妹の未来。

兄「……」

いつか――
いつか、僕が妹を養うことになるのかもしれない。


そんなことを考えながら家に着き、家の門を開いた…。

その時、目尻に何か違和感を感じた。

僕の左手――庭の方に目を向けると、いくつもの家具が並んでいた。

>>588
俺は姉しか居らず、誕生日に「やさしいお兄ちゃんが欲しい!」って母親に言ったら
「家は誕生日プレゼントもクリスマスプレゼントも無い家なのはお前もわかってるだろ?」
って言われて、あぁそうだったwって思った幼稚園生時代。


兄「なんだ、これ…」

急いで庭の方へ駆け寄りそれを見回した。何度も何度も見回した。

(こんなこと、誰がやったんだ…?)

そして、僕はその家具の中からあるものを見つけた。

兄「これって…」

それは、まさしく妹のパソコンだった。


兄「――っ!」

もしや、と思い玄関を勢いよく開け――廊下を走り――階段を駆け上り
そして妹の部屋の扉を開ける。

妹「……」

部屋の隅で、体操座りをしている妹の腕には、アザがいくつものあざがあった。

オチが読めないなぁ
伏線があるから何かしらのどんでん返しがあるんだろうけど

~高校編~  につづく。


兄「…どう、して…」

僕はゆらゆらと…崩れそうになりながら妹に近づいていった。

妹「…ごめんね…おにちゃん」

目に涙を溜めたまま――

妹「お父さんが、この家から出てけ…って…」

――微笑んだ。


その場で座り込んで、肩に手を回し…僕は妹のことを強く抱きしめた。




>>607

兄自体が妹の妄想エンドかもしれないぞ?

まさかのザムザオチ

>>611
それだと兄の描写を独立で描く意味がよく分からないよな
読者を騙す為の不必要な存在しない一場面ってのも無理があるだろw

とマジレス


空っぽになった部屋には、もう妹の居場所はない。
この家庭が、妹を追放したということ。

僕は妹を抱きかかえ、自分の部屋に連れ込み、夜になるのを待った。

やがて父親が帰ってくると、まるで予想したかのように僕の部屋にやってきた。


父「…出て行けといったはずだ。なにをしている?」

妹「……」

兄「おい…どういうことだよ」

その場を立ち上がり、父を睨み付けて言う。


父「家具は全て売り払う。明日には業者が来る。やる事をやらない娘はウチにはいらない」

…本気で言っているのか? こんなの、娘に対してやることじゃない。
いや…もう娘ではないのかもしれない。あの父親にとって。

さて、これは立派なネグレット。
警察に連絡するか・・・それとも児童相談所か・・・

>>622
典型的なゆとり臭だよねw


そうして父はそう言ってから、その場を去った。

子供を見捨てるような、僕たちを見捨てるような視線を送って。


妹「…ごめん、いくね」

妹は目を赤くして、部屋を出て行こうとその場を立ち上がった。

兄「…まてよ」

伸びた僕の手が、妹を動きを静止させた。
どこに行くというのだろう?

妹がうな垂れるようにその場に佇んだまま、静寂が流れる。
もう妹の目には色がなかった。この世界に絶望したような、そういう…。

兄「…わかったよ」

妹「…え?」

僕は妹を連れて、家を飛び出した。


外は酷い寒さで覆われていた。

刺すような冷たい風に耐えながら、僕は妹の手を引っ張った。

妹「おにい…ちゃん」

兄「……」


何処へ行くというのだろう。
僕たちに、行く場所なんてあるのだろうか?

張り詰めた寒さの中、妹の手を強く握り締めていた。




>>623
ゆとりだなんて・・・嬉しい(*´ω`*)


町をさまよい続けて、数十分、あるいは数時間が経った。

氷のように冷たくなった妹の手――しっかりと、兄の手で妹を支えながら歩いていく。


先のみえない闇の中を進みながら、探し求める。

妹の居場所を。

僕たちの居場所を。


そんなもの、どこにも無いというのに――


結局、辿り着いた場所は、薄暗い森の中。

木を背もたれにして、僕たちはその場に座りこんだ。

あれ、妹ってまだ生理なんじゃ?


妹「……」

妹が体を震わせている。それを僕は背中に手を回し、優しく包み込む。

妹「…あったかい」

兄「…そうか」

白く濁った息が、僕らが生きていることを実感させた。


暗い森の中、僕は辺りを見回した。

兄「……」

視界に映るのは、無数の樹木ばかり。

(……)

そうか――

やっと、あの日記の意味が分かった気がした。


兄「なあ…妹」

妹「……なぁに?」

妹は手を震わせながら、こちらを向いた。


兄「……家、作ろうか」

妹「…え?」

一瞬、僕が何を言っているのか理解できないような、困惑した表情を見せた。

兄「木でできた家…ログハウス…作って2人で住もう」

妹「……」

兄「動物に囲まれた庭つくってさ…」

妹「……」

妹は泣いていた。
ひょっとすると、僕も泣いていたのかもしれない。



妹は涙を流しながら、微笑んでいた。

妹「…うん…うんっ! 作ろうよ!」

妹は声のトーンを変え、喜んで賛成してくれた。
妹の明るい声に、僕の体が温まるようなそんな気配がした…。

僕たちに居場所なんてない。


なら――居場所がないなら、作ればいい。


そして、僕たちは家を建てるための材料を探して歩き回った。


僕たちは、暗い闇の中を歩き回っていた。
妹の手をしっかりと掴み、荒れ道の中を進んでいく。

兄「足場、気をつけろよ…」

妹「うん…」


そして、あちこちから木の枝から太い丸太までかき集めた。

すでに夜明けを迎え、日が昇っている。


僕と妹はその場にへたり込み、仰向けになった。

兄「…よく、やったな」

そう言うと、握り締める手が少し強まるのを感じた。

この兄はハッサンか


土の上で仰向けになったまま、鈍色の空をみつめる。

ああ――ここが僕らの居場所なんだ。
ふと、そんなことを思ってしまう。


妹「ね、おにいちゃん…」

兄「…ん? ――っ」

一瞬、何をされたのか分からなかった。
妹は僕の上にのっかかり、唇を重ねている事に気付いたのはその後しばらくしてから。

妹「……」

兄「……」

そして、自分が微笑んでいることに気付く。

>>667
ハッサンなら速攻建て終えるだろうなw

おっと俺のパンツが役目を終えたようだぜ


兄「眠いか…?」

妹「…ん」

そう小さく頷くと、妹は空に視線を向けて、ゆっくりと目蓋を閉じた。
僕も同じように、上をみて目蓋を閉じた。


妹「ねぇ…おにいちゃん」

兄「…ん」

妹「…起きたら…ログハウス…できてるかな」

心に詰まるようなものを感じた。

兄「…ああ、きっとできてるよ」

妹「そっか…、楽しみだね…………ログハウス……」


そう言って、妹は眠りに堕ちた。

山岡「やれやれ!日本のログハウスというものは滑稽だねぇ!!」

兄「な、なんだお前は!」

山岡「明日もう一度ここに来て下さい、こんなログハウスよりもっと住み心地のいい
   最高の住宅をご覧にいれますよ」


そのまま、僕たちは手を繋ぎながら、何日も――あるいは何週間も土の上で眠り続けた。

夢をみていた。
森の中でログハウスを建てて、部屋の中でぬくもりを分け合って――


(…………)

そして、ふと起きた時には、空がとても暗く感じられた。

兄「……」

妹の方を向くと、妹は動かなかった。

(そっか……)

――そのまま僕は眠りにつこうとした

ゆっくりと目を閉じようとした時、近くにあるものが建っていることに気付いた。

最後の力を振り絞って顔を持ち上げ見ると――それはログハウスだった。


家の前には――妹が立っていて、僕を招いている。
妹の周りには色んな動物が囲んでいる。

(ああ……)


やっと見つけた。


僕は、一歩踏みしめる。

――妹との幸せの日々を想像しながら





             -終-

さくらむすび

ピャー(`工´)ー!お疲れSAMAEERです
読んでくれてありがとう

>>693
ごめん、正直意識してた

パトラッシュ・・・ぼくもう眠いよ。

俺もなんか次に目が覚めたら目の前に妹とログハウスがあるような気がしてきた、おやすみ

sexはまだか

>>726
惜しかったな、お前の頭上にあるものはsexではなくsixだ


映像化はだれがするの?

           /ニYニヽ
     (ヽ   /( ゚ )( ゚ )ヽ   /)       こ、これは>>1乙じゃなくて
     (((i ) /::::⌒`´⌒::::\  ( i)))     でっていうの舌なんだから
    /∠_| ,-)    (-,|_ゝ \    勘違いしないでっていうwwwww

    ( __  l  ヽ__ノ   ,__ )
        \   |r-_,,..、;  /
          |  | | .二二二二二二二二二 ̄ ̄>
         |  | |`|   |          ̄>./
         |  `ー'    |        / /
                        /  <___/|
                        |______/

>>736
主演俺、妹抱き枕でいいか?

妹「お兄ちゃん・・・はずかしいから電気つけないでぇっ」

兄「電気消したらお前の綺麗な体が見えないじゃないか・・・」

妹「/////」

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月05日 (日) 00:33:28   ID: CU6ySZ2V

ガチ泣きした

2 :  たくおおおおおおお   2016年03月22日 (火) 23:13:50   ID: ZcfhseEa

兄よもっと方法があっただろ

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