妹「猫薬?」 兄「猫薬」(198)

妹「何それ」

兄「猫っぽくなる薬」

妹「具体的にどうなるの?」

兄「ネコミミとしっぽが生える」

妹「ふーん。ところで、お兄ちゃんって猫属性保持してたっけ?」

兄「ああ、割と昔から持ってるぞ」

妹「んじゃ飲む」クピクピ

兄「わくわく」

妹「生えた」ニョキニョキ

兄「やったあ!」

妹「にゃーにゃーにゃー」

兄「猫言語機能はなかったと思いましたが」

妹「サービス」

兄「これは喜ばしい」

妹「それはそうと、学校行かなきゃ」

兄「そうだな。はい、パン」

妹「ありがと。ぱくりむしゃ熱っつい!」

兄「猫舌にもなるのか」

妹「水、水……いや、ミルクがいい」

兄「おお、猫っぽい。ほい、牛乳」

妹「ミルクの方がそれっぽいと思って。またしてもサービス」

兄「これはあまり嬉しくない」

妹「ちぇ。ごくごく……ふー。熱かった」

兄「俺も食うか。もしゃもしゃ。ごちそうさま」

妹「早いよ。早食いは太るよ?」

兄「以後気をつけよう。んじゃ、そろそろ行くか」

妹「ん。カギしめて……はい、おっけー。んじゃ行こっか、お兄ちゃん」

兄「あいあい」

妹「んー。そろそろ春だね。空気が暖かいね」

兄「そだな。気持ちいいな」ナデナデ

妹「なんで私の頭なでてるの?」

兄「ネコミミが可愛いので」

妹「じゃあしょうがないね」

兄「ああ、しょうがない」

妹友「おはよーおにーさん、それと妹……いもっ、妹っ!? どしたの、それっ!?」

妹「生えた」

妹友「生えたって……え、ええっ!? ちょっとちょっとおにーさん、どういうことなんですかっ!?」

兄「生えた」

妹友「いや、生えたって……なんでそんなローテンションなの!? とんでもないことじゃないの!? え、私がおかしいの?」

兄「いや、そんなことはないと思う」フニフニ

妹「お兄ちゃん、ミミ触るの好き?」

兄「ああ、ふにふにしてて気持ちいい」

妹友「いやいや、何をアンタら普通にしてるの!? ていうか何を普通に登校してるのっ!?」

妹「遅刻するよ、妹友」

兄「早くしないと置いてくぞ」

妹友「ああもう……もうっ! 説明を要求しますっ!」

妹友「なるほど、猫薬を……って、なんですか、猫薬って」

兄「さっきも説明した通り、猫っぽくなる薬だ」

妹友「それは聞きましたけど! そもそも、何のための薬なんですか? どこから手に入れました? 安全なんですか?」

妹「くぁぁ……」

兄「お、あくび。やっぱ普段より眠いとかあるか?」

妹「んー……分かんない。今日はいつもより暖かいし」

兄「そか。確かに暖かいもんな」ナデナデ

妹「んー」

妹友「私の話を聞いてくださいよぅっ!」

兄「あまり頭がよくないもので、難しい話は分からないんだ」ナデナデ

妹「ほふー」

妹友「じゃあせめて片手間に話すんじゃなくて、私ときちんとお話してくださいっ! 妹ちゃんの頭なでるの一時やめて!」

兄妹「「えー」」

妹友「えーじゃない」

兄妹「「ぶーぶー」」

妹友「しゃーらっぷ! ほらほら、とっとと離れる! はい、妹ちゃんは私の左! おにーさんは私の右!」

兄「ああ妹が、妹が離れていく」

妹「おにーちゃーん」

妹友「茶番はいいからっ!」

兄「叱られたね」

妹「怖いね」

妹友「きちんと説明してくれないと、妹ちゃんのネコミミを引き千切る」

兄「きちんと説明します」

兄「と言っても、大したことじゃないんだ。起きたら手に猫薬と書かれた薬瓶が握られてて、ラベルにさっき言ったようなことが書かれていただけなんだ」

妹友「……そんな怪しげなものを、妹ちゃんに飲ませたんですか?」

兄「猫っぽくなるって話だし」

妹友「妹ちゃんも、なんでそんな怪しげなものを飲んじゃうの?」

妹「お兄ちゃんが猫属性持ってるし」

妹友「アンタら、揃って馬鹿だ」

兄「馬鹿にされたね」

妹「本当だね」

妹友「ちょっとは深刻になってくださいっ! そんな訳の分からないものを妹ちゃんに飲ませて、何かあったらどうするんですかっ!?」

兄「責任をとって嫁にもらう」

妹「責任をとってもらって嫁にもらってもらう」

妹友「アンタら実の兄妹だっ!」

兄「とか言ってる間に学校に着いた」

妹「それじゃお兄ちゃん、また後でね」ピコピコ

兄「ああ。しっぽでバイバイは素晴らしい」ナデナデ

妹「んー」

妹友「ほら妹ちゃん、行くよ! おにーさんも、いつまでなでてるんですか!」

兄「ネコミミの感触がたまらないんだ」ナデナデ

妹「お兄ちゃんになでられるのはたまらないの」

妹友「ほらほら、いーから行くわよ!」

妹「ああお兄ちゃん、お兄ちゃーん」

兄「妹、妹ぉぉぉぉぉ」

兄友「……何やってんだ」

兄「おはよう」

兄友「ああ、おはよう。……いや、そうじゃない。私の見間違いじゃなければ、妹さん、なにか獣の耳が生えてたような……あと、しっぽも」

兄「ああ。生えた」

兄友「何を事も無げに……何があった?」

兄「さっき妹友に説明した通りだ」

兄友「……いや、私はその場にいなかったので分からないのだが」

兄「何度も説明するのが面倒なんだけど、それでも説明しなきゃダメか?」

兄友「ああ、そうしてくれると有難い」

兄「分かった。ひとまず教室へ行こう」


兄友「ふむ、着いたぞ。じゃあ、説明してもらおうか」

兄「かくかくしかじか」

兄友「ふむふむ、なるほど。いや、なるほどと言ったが、分からん。どうして寝てる間に薬瓶など持っている」

兄「俺に言われても」

教師「はいはい、授業を始めますよー」

兄友「む、もうそんな時間か。詳しい話はあとでまた聞かせてもらうぞ」

妹友「あの……妹ちゃん? みんなすっごい見てるけど……隠さなくていいの?」

妹「別に。ていうかなんで妹友がそんな恥ずかしそうにしてるの?」

妹友「だ、だって、みんなじろじろ見てるし……」

妹「気にしすぎだと思うけど」

妹友「妹ちゃんが気にしなさすぎなのっ!」

妹「そう? 別にどこの誰とも知れない視線なんて気にならないけどなあ」

妹友「どこの誰って……同じクラスの人くらいは分かるよね?」

妹「……ふあああ。猫になってるからか、なんだか眠いよ」

妹友「はぁ……本当に妹ちゃんはおにーさんのこと以外は興味ナシね」

妹「妹として当然じゃない」

妹友「これを冗談じゃなくて本気で言ってるから怖いよね」

教師「はい、授業を始めま……いっ、妹さんっ!? そ、その耳は!?」

妹「生えました」

妹友「先生にまでそれで押し通す気なの!?」

兄友「……ううむ、どれほど聞いても分からん。どういうことだ? それとも、私の頭がおかしくなってしまったのか?」

兄「いつまで言っている。もう昼だぞ。弁当を食わんのか。食わんのなら一人で行くぞ」

兄友「ああいやいや、私も行こう。今日も妹さんと一緒か?」

兄「当然だ」

兄友「このシスコンめが」

兄「当然だ」

兄友「怯みもしない、か……いやはや、本当に君は強敵だな」

兄「そんなヤワな絆なんて持ってないものでね」


妹友「あっ、おにーさんが来た。兄友さんも。……いやー、いつ見ても綺麗よね、兄友さん?」

妹「なんていやらしい笑み」

妹友「うっふっふー。傍観者は楽しいよね?」

妹「この野郎、いつか泣かす」


兄「おまたせ」

兄友「やあ、今日もお邪魔させてもらうよ」

妹「本当に邪魔かも」

兄「こら。そんなことを言うものではない」

妹「……そだね。ごめんなさい、兄友さん」ペコリ

兄友「いや、別に気にしてないからいいんだけど……いや、本当に猫の耳だね。すごいね、触っても構わないかい?」

妹「構います。私に触ってもいいのはお兄ちゃんだけです」

兄「やったあ」フニフニ

妹「んー♪」

妹友「そこは叱るところじゃないんですか!?」

兄「そうだった。ええと、どうしても嫌か?」

妹「……あとでお兄ちゃんが全力で甘やかしてくれるなら、我慢する」

兄「いっそ今甘やかそう。おいで、妹」

妹「予想外。だが好都合。ごろごろにゃーん」

兄友「……えーっと。私達はどうすればいいんだろうか」

妹友「石でもぶつけてやりましょう」

そして寝る。眠いので。

兄「堪能した」

妹「堪能した」

妹友「そこの馬鹿兄妹、終わったらとっとと飯の準備をしろ」

兄「あの娘さんは怖いね」

妹「怖いね」ペタン

兄「やや、ネコミミが恐怖でぺたりと。これは可愛い」ナデナデ

妹「はふぅ」

妹友「……この兄妹は学習機能がないの?」プルプル

兄友「あの、君達。妹友くんの身体が怒りで震えるレベルに達してしまった。これ以上怒らせる前に、早めに準備をした方がいいんじゃないかな?」

兄妹「「はい」」

妹友「あと1秒遅かったら殴ってました」

兄「とても怖いね」

妹「ね」プルプル

兄「ああ小動物のように震える妹はなんて可愛いんだ」ナデナデ

妹「にゃあ」

妹友「うがぁー!」

兄友「忠告したのに」

妹「怖かった」ブルブル

兄「痛かった」

妹友「はぁー……はぁー……」

兄友「大丈夫かい、兄くん?」ナデナデ

兄「あ、ああ」

妹「ふしゃー」

兄「ああ妹が威嚇を。だが、なでられて満更でもないのもまた事実。俺は一体どうすれば」

妹友「大人しく席に着け」

兄「はい」

妹「妹友がもうお兄ちゃんに敬語使わなくなってる」

兄友「……はぁはぁ」ナデナデ

妹友「兄友さん、そろそろおにーさんをなでるのやめてください。あと、息が荒いです」

妹「最後の砦と思われた兄友も実は変態か。ちくしょう、ここにいる全員頭おかしいぜ」

兄「俺も?」

妹「泣きそうなお兄ちゃん可愛い」

妹友「みなさん席に着きましたね? じゃあ、いただきます」

兄「いただきます(性的に)」

妹「いただかれます(性的に)」

兄友「…………」(違和感を感じるが、何が、とまでは分からない)

妹友「普通に食え」(言外のことを見通した)

兄「怖いね」

妹「ね」

兄友「……むう」(自分だけ分からなくて悔しい)

妹「そう言えば、今日はお弁当作ってなかった」

兄「総入れ歯?」

妹「そんなこと言ってない。そう言えば、って言った」

兄友「ん? 兄くんはみなぎ信者なのかい?」

兄「ああ、うん、そう。あれだけの情報量でよく分かったな、兄友。すごいな」

兄友「ま、まあね。私も漫画は好きだからね。……えへへ///」

兄「やや、兄友の照れる姿は中々の破壊力を誇っているなあ」

妹「デレデレするな」ギュー

妹友「おにーさん、ちょっと黙ってた方がいいです」ギュー

兄「双方から頬をつねられ、俺は一体どうしたら」

兄友「そ、そう褒めるものではないよ。簡単なことだよ。別に以前君から聞いて買い漁ったのではないよ。……えへへへ///」

兄「兄友はまだ夢の中か。ええい可愛いなあ」

妹「お兄ちゃん」ギュギュー

妹友「おにーさん」ギュギュー

兄「あと数刻で俺の頬は取れる」

兄友「……はっ! むぅ、どうやらしばし夢でも見ていた……うん? どうした兄くん、頬を押さえて」

兄「さる事情により、もげかけたんだ」

妹「仕方ないよね」

妹友「そうね」

兄友「……? まあいい、食事をしよう」

妹「そうだ、お兄ちゃん。そういうわけで、お弁当がないの。どうしよう」

兄「霞を食べよう」

妹友「仙人でもない限り無理です!」

妹「さすがお兄ちゃん、ないすあいであ」

兄友「妹くんはどうして賛同しているんだろうか」

妹友「何も考えずてないんですよ、きっと」

兄「じゃあ早速食べよう。ぱくぱく」

妹友「私たちは普通にお弁当を食べましょう、兄友さん」

兄友「あ、ああ。……えっと、放っておいていいのかな?」

妹友「しばらくしたら泣きついてきますよ、絶対」

兄「ぱくぱく。……お腹空いたね」

妹「ね」

妹友「兄友さん、その卵焼き美味しそうですね。私の魚フライと交換してくれないですか?」

兄友「構わないが……それだと少々交換レートに見合わないな。よし、それじゃこのミートボールを一つつけよう」

兄「しょうがないから妹のミミを噛んで我慢しよう」

妹「これは嬉しい提案。どうぞ」ピコピコ

妹友「おいそこの破廉恥兄妹、嬌声とか上げたりしたらタダじゃおかねえぞ」

兄「怖い人に釘を刺された。仕方ない、パンでも買いに行こうか」

兄友「あ、それは少し遅いかもしれないよ? もう昼休みになって10分は経過している、残ってるパンは人気のないものばかりだと思うよ?」

兄「これはやはり妹をミミを甘噛みして新たな性感帯を探す方向で行った方がいいのでは」

妹友「いいから素直に弁当分けてくれって言えや馬鹿兄妹」

兄「分けてください」

兄友「な、何も土下座までする必要はないと思うけど? あ、頭を上げてくれないか、兄くん? ……うぅ。妹くんも何か言ってやってくれないか?」

妹「土下座するお兄ちゃん可愛い」

妹友「知っていたけど、この兄妹はダメだ」

兄「どうにか昼食にありつけてよかった」

妹「でも、お兄ちゃんにミミを噛んでもらいたかった」

兄「家に帰ってから舐め倒すよ」

妹「その台詞だけでパンツが大変なことに」

妹友「ああコイツら殴りたい」

兄友「い、妹くんはとてもリベラルだね。う、うん、素直なのはいいことだよ///」

兄「なんでもない風を装って密かに照れてる兄友可愛い」

妹「死ね」ギュー

妹友「死ね」ギュー

兄「言われずとも、首を締められると死にます」

兄友「か、可愛いとか、そんな心にもないことを言うものではないよ。……う、うぅ///」

兄「ほら見ろ、可愛い」

妹「妹友、もっとだ。パワーを指に」ギュギュー

妹友「任せて」ギュギュー

兄「ぐげげぇ」

兄友「ま、まったく。兄くんもおかしなことを言うものだ。……兄くん? どうしてぐったりしているんだい?」

兄「ほんの少しの間、涅槃にいたんだ」

兄友「涅槃!? な、何があったと言うんだ!?」

妹友「気にしないでいいです」

兄友「え、いや、だが」

妹「大丈夫。いつものことだから」

兄友「……よく分からないが、兄くん、何かあったら相談してくれて構わないよ。これでも私は君の友人のつもりなのだからね?」

兄「唯一と言っていい常識人の心遣いに感謝する。もしもの時は頼むよ、兄友」ギュッ

妹友「おにーさんは兄友さんのトリップを見てなかっのかな」

妹「たぶん、なかったことにしたいんだろうね」

兄友「そ、そんな、結婚なんて……えへへぇ///」

妹友「手を握られて早速トリップしてるけど、あれでも見ないフリをできるの?」

妹「よく訓練されたお兄ちゃんだから、問題ないよ」

兄「…………」

妹友「トリップしてる隙に兄友さんのスカートを覗こうとするな」ズビシ

兄「目が、目がぁ」

妹「私のスカートの中を覗かないからだよ」

妹友「いや、それもどうかと思う」

兄友「内的宇宙の旅から戻ってきたら何やら兄くんがもんどりうって苦しんでいる。何があった」

兄「大変な目に遭った」

妹友「自業自得ですよ、おにーさん」

妹「そうだね。私のスカートを覗いていたらこんな事にはならなかったのに。……あ、箸がない」

兄友「私のを使えばいい。いつも余分に一膳持ってきているんだ」

妹「ありがとうございます、兄友さん」ペコリ

兄「そして俺も箸がない。誰か余分に持ってない?」

兄友「生憎だが、私はもうない」

妹友「私も持ってきてません」

妹「当然私も持ってないよ」

妹・兄友・妹友「「「…………」」」

妹・兄友・妹友「「「これは食べさせるしかない」」」

兄「いや、そのりくつはおかしい」

兄友「い、いや、そんなことはない。誰かが使い終わるのを待っていたら、昼休みが終わってしまう。な、なあ、そうだろう、妹友くん?」

妹友「え、ええ、そうですね。私もおにーさんみたいな人に食べさせるのは正直不本意なのですが、大事な友人のおにーさんを飢えさせるのもアレなので、しょうがなく食べさせてあげます。そ、そうだよね、妹ちゃん?」

妹「お兄ちゃんと恋人ごっこしてえ」

兄「妹に代わり謝罪する。こんな妹で申し訳ない」

兄友・妹友「「は、ははは……」」

妹「じゃあ、私が一番。二番が私。三番も私。ネバーエンド私」

兄友「待て。それは流石に酷すぎじゃないか? いくら妹くんとはいえ、看過できるものではないぞ」

妹友「そ、そうよ、妹ちゃん。おにーさんは共有財産ってこの間決めたじゃない」

兄「俺のあずかり知らない所で俺の処遇が決められていた」

兄友「……こうして議論を重ねていても悪戯に時間を消費するだけだ。ここは一つくじ引きで順番を決めないか?」

妹友「異論ありません。私のくじ運、見せつけてあげますよ」

妹「お兄ちゃんとぺろぺろしてえ」

兄「何やら協議しているようだが、そんなことをしている間に箸を貸してもらえばすむ話だと思うのだけど」

妹「わけの分からないことを話してる暇があるなら、萌え動作の練習してて」

兄「前の台詞も合わせ、妹が酷過ぎる」

兄友「せーの……っ! そ、そうか、私が一番か。そ、そうか。うん。一番か」

妹友「二番……まあ、いいわ」

妹「三番。……三番」

兄「よく分からないが、落ち込むな妹よ」ナデナデ

妹「んー。やはり、ネコミミ効果は抜群だ」

兄友「…………」ギリッ

妹友「兄友さん、そんな歯を噛み締めて悔しがらないでください。見てるこっちが怖いです」

兄友「と、とにかく、私が一番なんだ。妹くん、しばしの間、その席はもらうよ」

妹「……少しの間だけですからね」

兄友「……しょっと。じゃ、じゃあ、兄くん。食べさせるが、その、いいかい?」

兄「あまりよくはないけど、妹たちからのプレッシャーが尋常ではないので断れない」

兄友「え、ええと。兄くんは何が好きだい? 卵焼きはなんかはどうだい? ……あ、それはもう妹友くんに渡してしまった」

兄「卵焼き」

兄友「……知ってはいたが、兄くんはいじわるだね」

妹友「見て妹ちゃん、いじわると言っておきながら嬉しそうだよ」

妹「お兄ちゃんの常套手段だよ。普段はああして意地悪とか冗談ばっか言って、ここぞという時は優しく決めるんだもん」

妹友「あー……」(思い当たることがちらほらある様子)

妹「どうして私だけにそのスキルを用いないのか。あの野郎、いつか泣かす」

兄「そこの二人、せめて声を潜める努力をお願いします」

兄友「ああ、じゃあこれはどうだい? 一口大のハンバーグだよ」

兄「ああ、うん。好きだよ」

兄友「そ、そうか! わ、私も……す、好きだ。……もっ、もちろんハンバーグの話だぞ?///」

妹友「見て、ハンバーグが好きって言うだけであれだけの空気出してるよ」

妹「ちくしょう、私の番はまだか」

兄「外野がうるさいのでとっとと食べてしまおう」

兄友「そ、そうだな。じゃ、じゃあ、その。……あ、あーん///」

兄「あー」

兄友「あ、あーん。……ハァハァ、ハァハァ」

兄「目が血走って鼻息も荒い。とにかく怖い」

妹友「兄友さんは強敵だけど、変態だからまだ付け入る隙はあるわね。問題はこっちよね」

妹「ちくしょう、お兄ちゃんがすぐ側にいるのに触れられないから禁断症状が出てきやがった。手がふるえやがる」

妹友「……色んな意味で問題よね」

兄「もぐもぐもぐ」

兄友「……はっ! うん? あれ、兄くんが咀嚼している……ま、まさか、自分で食べてしまったのか!?」

兄「いや、なんというか、俺に箸を向けたままあらぬことを呟いていたので、勝手ながら食べさせてもらったまでだ」

兄友「な、なんということだ……。貴重な一手をこのような悪手で失うとは……!」

兄「何かの競技なの? 餌付けゲーム?」

妹友「さぁさぁ、次は私の番ですよ! 兄友さんは妹ちゃんのところに行っていてくださいね」

兄友「くぅ……なんと悔いが残る結果だ」

妹「次が私の番次が私の番次が私の番」ビタンビタンビタン

兄「妹のストレスがマジヤバイ。しっぽが荒ぶってる」

妹友「じゃあ、早めに食べてくださいね。はい、あーん」

兄「……やるの?」

妹友「当然ですよ。どうして私だけ飛ばされなくちゃいけないんですか」

兄「いや、妹友は鬼軍曹キャラだからこういうのあまり興味がなさそうな気がして」

妹友「誰のせいで鬼軍曹キャラになったと思ってんだこの野郎」

妹「妹友に脅されて涙目のお兄ちゃんマジ可愛い」

妹友「とっ、とにかく! 食べたら終わりなんですから食べちゃってください! はい、あーん!」

兄「あ、あーん」ブルブル

妹友「震えないでください」

兄「さっきの余波がまだ取れてないんだ」

妹友「はぁ……。もう怒ってないから大丈夫ですよ?」

兄「う」

兄友「見たか妹くん、妹友くんのあの柔和な笑みを。飴と鞭をあれほど巧みに使い分けるとは……いや、勉強になる」

妹「ええい、私の番はまだか。あたふたするお兄ちゃんというご馳走を目の前に置かれて、これ以上耐えられそうもねぇ」

妹友「ほら、おにーさん。あーん?」

兄「あの、いや、妹友よ。妹らの声は気にならないのか?」

妹友「……聞こえないフリしてるんです///」

兄「いかん、これほど自分が雑食だと思わなかった」

妹友「はい?」

兄「何やらお前が可愛く見えるって話だ」

妹友「なっ……何言ってるんですか! そ、そういうことは妹ちゃんか兄友さんに言ってあげてください! ……も、もぉ///」

兄「もがもがもが」

兄友「高速でおかずを兄くんの口にいくつも詰めているが……あれで呼吸はできるのだろうか」

妹「あの野郎、人の親友にまで手を出すか。ちくしょう、姉妹丼ならぬ親友丼をご所望か。いいぜ、そっちがそのつもりならやってやる」

兄「もがもが……ごくん。やってやるな」

妹「にゃあ」

妹友「ほっ、ほら、私の番は終わりました。ほら妹ちゃん、貴方の番よ」

妹「待ち焦がれた私の番。覚悟せよ、お兄ちゃん」

兄「嫌な予感がてんこもりだ」

妹「じゃあお兄ちゃん、とりあえず抱っこ」

兄「はい」ムギュー

兄友「抱っこ! そういうのもあるのか」

妹友「ないです! 妹ちゃん、本筋から離れないの!」

妹「叱られたね」

兄「そうだね」ナデナデ

妹「んー」スリスリ

兄友「くっ……やはり妹くんには一日の長があるか。一瞬にして持って行かれた」

妹友「ルールを守らないなら弁当は返してもらうぞ、親友」

妹「怖い子が意地悪するので普通に食べさせるね、お兄ちゃん」

兄「分かった」

妹「ただ、膝には乗せてもらう。そのくらいは都合してもらっても構わんだろう」ノシッ

兄「こっちが許可を出す前にもう乗ってるね」

妹「猫は膝に乗りたがるので」

兄「じゃあしょうがないね」ナデナデ

妹「しょうがない」スリスリ

兄友「……いいなあ」

妹友「ああもう動かなくなるまで殴りてえ」

兄「妹友が怖いので普通に進めよう」

妹「分かった。んじゃお兄ちゃん、んー」

兄「……どうして口でおかずを挟んでいる」

妹「……。食べさせる際、事故と称してキスしようと画策しているから?」

兄「なるほど。じゃあいただきます」

妹「んー」

妹友「待てそこの実の兄妹! ちょっとは疑問を持て!」

兄「? ……! そういえば妹よ、ネコミミと頭の境目ってどうなってるの?」

妹友「いやそこの疑問はどうでもいいだろ」

妹「……お兄ちゃんのえっち///」

兄「よし、この照れ顔だけで一週間は戦える」

妹「たまには媚びておかないとね」

兄友「ネコミミか……」

妹友「なんだこの空間。収拾がつかねえ」

妹「ひとまず満足したので、箸で食べさせるね」

兄「了解。あー」

妹「はい、どうぞ。おいしい?」

兄「もぐもぐ。おいしい」

妹「私が作ったものじゃないのに。嫉妬で気が狂いそうだ」

兄「しまった。どうにか誤魔化さねば。しかし、どうすれば」

妹「帰ったら監禁せねば。然る後に洗脳も必要か」

兄「……ええい、ままよ!」ナデナデ

妹「にゃあにゃあ」スリスリ

兄「誤魔化せた」

兄友「おお……流石は兄くん、あれほどの危機を脱するとは。驚嘆に値する」

妹友「何なの? ネタ? 事前に練習してたの?」

兄「妹よ、人が作ったものもおいしいが、お前が作ったものもおいしい。それでいいじゃないか」フニフニ

妹「お兄ちゃんの心は瀬戸内海より広いでー。あと、お兄ちゃん。ミミ触るのと頭なでるのと、どっちが好き?」

兄「うーん、どっちかなあ」ナデナデ

妹友「はい、食べさせたんだからもう終わり」ガシッ

妹「ああお兄ちゃん、お兄ちゃーん」

兄「妹、妹ぉぉぉぉぉ」

兄友「あれ、デジャヴ?」

兄「いや騒がしい昼食だった。だが、たまにはこんなのも悪くないかもしれないな」

兄友「何を言っているんだい? 次は私の番だよ」

兄「……え? いや、もう兄友には食べさせてもらったよ?」

妹友「一巡で食べきれるわけないじゃないですか。当然、お弁当がなくなるまで続きますよ」

兄「え」

妹「くぅ……次の私の番まで持つか?」ブンブンブン

兄「えーと。とりあえず」ナデナデ

妹「にゃふー」

兄友「な、何を勝手なことをしている、兄くん! 私の番だぞ!?」

妹友「まあ、その次は私の番なんですが。……ま、まあ、順番ですから仕方なく、ですけど」

妹「にゃふー」

兄「地獄のメリーゴーラウンドはまだ始まったばかりだ……!」

兄「ごちそうさまでした」

妹友「なんだかんだで、ほとんどおにーさんが食べちゃいましたね」

兄友「ふむ。君達、お腹は大丈夫かい? カロリーメイトでよければあるから、もしよかったらどうだい?」

妹「大丈夫です。このくらいなら晩まで持ちそうですし、家に帰れば何かありますから」

兄「俺の胃に反芻機能さえあれば、皆を苦しませずに済んだものを。すまぬ…すまぬ…」

妹友「一人で嘔吐してろ」

兄「はい、すいません」

兄「では妹、そして妹友よ。また後で」

妹「ああもうお兄ちゃんとの逢瀬の時間が終わってしまった。あとはただ耐えるだけの時間。これほど辛いならもう恋なんてしない」

兄「それにしてもネコミミは可愛いなあ」ナデナデ

妹「こんな甘くて素敵でほわほわなものをどうして捨てられようか」スリスリ

妹友「ほら、行くわよ妹ちゃん」ガシッ

妹「ああお兄ちゃん、お兄ちゃーん」ズルズル

兄友「兄くんも、行くぞ」ガシッ

兄「ああ妹、妹ぉぉぉぉぉ」ズルズル

兄友(兄くんと手を繋いでいる。……あ、兄くんと手を繋いでいる!///)

兄(引っ張られてらくちんだ。一生誰かに引っ張られてえ)

兄「教室に戻ってきてぼうっと授業を受けていたら放課後になっていた。スタンド攻撃に違いない」

兄友「何を言っているんだい、兄くん? 帰らないのか?」

兄「ああ帰る帰る。兄友は……今日も生徒会か?」

兄友「ああ。これでも私は副生徒会長でね、何かと忙しいんだ」

兄「そか。よければ手伝おうか?」

兄友「ふむ。折角の申し出だが、断らせてもらうよ。生憎と今は主だったイベントもなく、忙しいと言っても役員だけで十分まかなえる量の仕事しかないんだ」

兄「そっか。手が足らなくなったらいつでも言ってくれよ、基本的に暇なもので」

兄友「……その気持ちだけで十分だよ。ありがとうね、兄くん」ニコッ

兄「ところで兄くんとか言われると、シスプリの千影を思い出すな」

兄友「私のとっておきの笑顔を流すのか……」

兄「照れ隠しだ。許せ」

兄友「……ふふっ。照れるだけの威力があったのだ、十二分に報われたよ」

兄「いやはや。じゃあな兄友、また明日」

兄友「ああ。また明日」

妹「そしてすかさず妹の登場」

兄「ひぎぃっ」

妹友「……ごめんなさいおにーさん、妹ちゃんの暴走を止められませんでした」

兄「びっくりした。ドアを開けたら妹が突然姿を現したのでびっくりした」

妹「そんなことより私の頭をなでなさい」

兄「あ、はい」ナデナデ

妹「はふぅ。相も変わらず痺れがくるほどの衝撃。これだからお兄ちゃんになでられるのはやめらんねぇ」

妹友「……何か薬物を?」

兄「完全なるナチュラルです」

妹「お兄ちゃん、手が止まっている。もっとなでよ」

兄「ああはいはい」ナデナデ

妹「はふぅ。はふぅ」

妹友「……本当に何も?」

兄「何も」ナデナデ

妹「はぁ。ネコミミが生えてからお兄ちゃんのなでてくれる頻度が増えた。大変に喜ばしい」

兄友「(やはりネコミミ、か……)」

兄「ん? 何か言ったか、兄友?」

兄友「いや、何も」

兄「……? まあいいか、じゃあそろそろ帰るよ。またな、兄友」

兄友「ああ。妹くんや妹友くんも、またね」

妹友「はい。さようなら、兄友さん」

妹「ばいばい」フリフリ

兄「ああしっぽでばいばい可愛い」ナデナデ

妹「大成功。フヒヒ」

妹友「お前ら早く行くぞ」ガシッ

妹「あああ」ズルズル

兄「妹だけでなく、俺まで引きずるとはなんたる膂力」ズルズル

妹友「おにーさん、いい加減一人で歩いてください」

兄「引きずられると自分で動かなくていいから楽なんだ」ズルズル

妹「引っ張られるお兄ちゃん可愛い」

妹友「年下の女の子に引きずられて恥ずかしくないんですか?」

兄「普通の年下の女の子に引きずられるのは恥ずかしいが、今回の場合は鬼軍曹が引っ張っているので特には」

妹友「あ゛?」

兄「すいません一人で歩きますのでどうか妹の命だけは」ブルブル

妹「お兄ちゃーん」ダキッ

兄「大丈夫だ、何があっても妹だけは守る」

妹「お兄ちゃん……」

妹友「茶番は家に帰ってから人目につかないようにやれ」

兄「はい、すいません」

妹「もうちょっと続けてたらキスぐらいまでならいけたかもしれないのに。ちくしょう、悔やんでも悔みきれねえぜ」

妹友「それじゃおにーさん、私はこれで。妹ちゃん、何かあったら私か警察に通報してね」

兄「俺をなんだと思っているんだ」

妹「了解、孕んだら連絡する」

兄「しまった、妹の方が一枚上手だ」

妹友「三度目だが、お前ら実の兄妹だからな?」

兄「禁忌だね」

妹「燃えるね」

妹友「誰か止めてくれ」

兄「家に着いたね」

妹「そだね」ピコピコ

兄「何度見てもネコミミはいいなあ」ナデナデ

妹「よい薬を飲んだものだ。世界中の人にネコミミが生えたら争いなんて消えるのに」

兄「いや、野郎にそんなものが生えてもしょうがないだろ」ナデナデ

妹「お兄ちゃんなら似合いそう。食物に猫薬を仕込まれ、知らず摂取しネコミミが生え、私にミミを引き千切られまいと必死で逃げるお兄ちゃん萌え」

兄「妹がsに過ぎる」

妹「それじゃご飯の用意するね」

兄「……仕込まないでくださいね?」

妹「そうしたいのは山々なんだけど、もう薬が残ってないので。今考えると少しでも残しておけばよかった。そうすれば泣き叫ぶお兄ちゃんを見れたのに」

兄「俺のこと嫌い?」

妹「性的な目で見てる程度には好き」

兄「よかった」

──兄友家──

兄友「……ふぅ。いい湯だった」

兄友「それにしても、ネコミミ、か……」

兄友「……いやいや、何を言っているのだ、私は。猫薬などという怪しげな代物が、どこにあるというというのだ。そもそも、あんな可愛らしいものが私のような無骨な者に似合うはずもない」

兄友「……妹くん、兄くんになでられていたな。何度も何度も……」

兄友「……もし、もしだ。もし私にもネコミミが生えたら」

兄友「…………」

兄友「…………」

兄友「…………///」

兄友「っ!? いや、だから何を想像しているのだ私はっ!? ああもう、寝てしまおう!」


???『…………』

兄友『……? ……?』

???『…………』


兄友「……んっ、んぅ。……えっ?」

──通学路──

兄「ああ今日も眠い」ナデナデ

妹「右に同じく。お兄ちゃん、顔を舐めまわして眠気を取って」

兄「それはいい提案だ」

妹友「てめぇら自重という言葉を覚えろ」

兄友「……お、おはよう、みんな」

兄「ああ、おは……っ」

妹友「あ、兄友さん、そっ、それっ!」

妹「ふしゃー」

兄友「ああ、いや、うん。その、なんというか……はは。私にも生えたよ、ネコミミとやらが」ピコピコ

兄「良し。良し。良し」ナデナデ

兄友「えっ、あっ、あ、はは……な、なでられてるね///」

妹友「ど、どういうことなんですか、兄友さんっ!」

妹「ふしゃー」

兄友「何、どういうことも何も、昨日兄くんから聞いた現象が私にも起こっただけだ。起きると私の掌に猫薬が握られていたんだ」

妹友「……まあいいです、100歩譲ってそうだとしましょう。でも、だからってどうしてそれを飲んじゃうんですか?」

兄友「そ、それは……」チラッ

兄「良し良し良し良し」ナデナデ

兄友「じっ、純粋なる興味だよ、妹友くん。人に獣の耳が生えるという奇跡を、身を持って体験できるまたとない機会だったのでね?」

妹友「信憑性が欠片も感じられません」

兄友「何を言うのだね、妹友くんは。私が嘘をついているとでも」

兄「ああ妹のネコミミもいいがクールビューティーな兄友のネコミミもいいなあ」ナデナデ

兄友「……う、嘘をついているとでも言うのかい?///」ピーン

妹友「……猫は嬉しいとしっぽが立つといいます。偶然でしょうが、兄友さんのしっぽも立ってますね?」

兄友「ぐ、偶然だとも。生えたてなので、まだ上手に扱えないだけさ」ピーン

兄「そうだ、ノドの下もなでてみよう」

兄友「あっ、兄くんっ!? そ、そんなところを……ああ、あああ///」

妹友「これはひどい」

妹「ふしゃー」

兄「堪能した」

兄友「はぁ……はぁ……///」

妹友「うわ、エロッ」

兄友「ど、どこがだ! ただ執拗になでられただけだ!」

妹友「頬を上気させ、髪はほつれ、タイも乱れている。ここだけ見たら完全に事後ですよ」

兄友「じっ、事後!? な、何を言っているのだ、妹友くんは。た、ただ、その、なんだ。兄くんに可愛がられただけだ。……か、可愛がられた///」

妹「ふしゃー」

妹友「はいそこ、自分で言っておいて照れない。妹ちゃんもいい加減理性を取り戻して」

妹「ちくしょう、アドバンテージを奪われたか。こうなったらやりにくいぜ。もっと猫力が必要か」

兄「それにしても、ネコミミの女の子が二人もいて幸せだ」ナデナデ

兄友「ああ、またなでなでと……ああ、あああ///」

妹「ふにゃー。たまらん」

兄「ダブルなでなで。どう?」

妹友「日本が銃社会じゃなくて助かりましたね」

──校門前──

兄「じゃあ後でな、二人とも」

妹「くそぅ、猫力をたくわえねば。……なんだ、猫力って」

妹友「ええ、またお昼に。それと兄友さん、くれぐれも早まらないように」

兄友「ななっ、何を早まるというのだね妹友くん? わ、私が何かしでかすとでも?」

妹友「その新しい武器は、おにーさんには効果抜群ですから。……抜け駆けはナシですよ? 妹ちゃんが悲しみますから」

妹「泣くぜ」

兄「ほう、鳴くのか。やってみて」

妹「にゃあにゃあ」

兄「これは可愛い」ナデナデ

妹「しめしめ」

妹友「おにーさんは会話に入って来ないでください」

兄友「心配などせずとも、別に私は何もする気なんてないよ。兄くんはただの友人だ。そうだろう?」

兄「時折性的な目で見てはいるが、基本的にはそうだな」

兄友「せっ、性!? う、わ、私をだぞ!? な、何を言っているのだ兄くんは!?///」

兄「偶然にも今そんな目で見てる。なんかえろいんだよな、兄友は」

兄友「う、うぅ……あ、あまりそんな目で見ないでくれたまえ。私にも、一応羞恥心というものがあるのだよ///」ピシピシ

兄「ああしっぽでイヤイヤされた。これはたまらない」ナデナデ

兄友「……うぅ///」

妹友「舌の根が乾く前に抜け駆けされてるよ、妹ちゃん」

妹「しょうがない。脱ぐか」

兄「脱ぐな」ペシッ

妹「にゃー」

テポドン2「とりあえず北朝鮮が何かすればすぐ批判」

テポドン2「日本と戦争だ!」

テポドン2「日本にテポドンと弾道ミサイルを」

テポドン2「ついでに竹島も侵略と」

すまんこ。本当にすまんこ。誤爆したすまんこ。

──二年教室──

兄友「普通に教室に来たけど……そうだね、そりゃざわつくよ」

兄「割と普通に接していたが、ネコミミ生えてるものな。俺は全く問題ないというか嬉しい話なんだが、一般人は面食らうよな」

兄友「うぅ……やはり、皆が見ているよ。少し、恥ずかしいね」

兄「大丈夫だ、兄友。そんな表情も、そそる」

兄友「なんの慰めにもなっていないことに気づいてるかな?」

兄「それにしてもネコミミの兄友は可愛いなあ。一日中顔を舐めていたいなあ」

兄友「えええっ!?」

兄「あ、なんか心の声が漏れた気がする。……まあ、気のせいか」

兄友「そっ、そそそそうだとも。わ、私は何も聞かなかったよ?///」

兄「そうか、それは良かった。ところで提案なんだが、一日中顔を舐めてもいいか?」

兄友「……人が必死で聞き逃したというのに、どうして改めて聞いてしまうのだい、兄くん?///」

兄「照れ怒る兄友は可愛いなあ」

教師「はーい、授業をはじめま……ひっ、職員室で話題のネコミミ生徒が増えてる!? 呪い!?」

兄「20歳以上の女性が感染すると死にます」

教師「助けてぇ!」

兄友「しれっと嘘を教えるものではないよ、兄くん」


──1年教室──

妹友「それにしても兄友さんにもネコミミが生えるなんて……どうなってるのかしら」

妹「ちくしょう、人のチャームポイントをパクリやがって。許せねえ。にゃあにゃあ言ってりゃ可愛いとでも思ってんのか」

妹友「兄友さんはにゃあなんて言ってないわよ?」

妹「そういえば私しか言ってなかった。まあここにはお兄ちゃんいないし、バレても問題ない」

妹友「本当に妹ちゃんは……」

妹「かわいかろう? だが許せ妹友、私には百合属性はないのだ。妄想は許すから適当に自分を慰めてろ」

妹友「よし来い」

妹「しゅっしゅっ」

教師「はい、授業を始め……なんで教室で猫耳少女がボクシングやってんだ」

──中庭──

妹「あ゛~~~~~……」ダレーン

妹友「だらけすぎよ、妹ちゃん」

妹「お兄ちゃんがいないのに張り切っても……この気配は! お兄ちゃんが来た!」ピコーン

兄「そう、お兄ちゃんが来ました。お待たせ、二人とも」ナデナデ

妹「ああ数時間ぶりのなでなではたまらない。ああもう一生お兄ちゃんになでられてえ。なでられ奴隷になりてえ」スリスリ

妹友「……? どうしたんですか、兄友さん?」

兄友「……いや、その」

兄「兄友に生えたネコミミを見に、休み時間ごとに代わる代わる見物人がやってきてね。疲れているようだ」

兄友「それも一因だが、私が疲弊している真の原因は、その見物人を追い払うため、兄くんが私に負ぶさり、ずっと私のネコミミに頬ずりしていたからだ」

妹友「ほう」

妹「ほう」

兄「これはいけない」

兄友「確かに効果はあった。兄くんが頬ずりをすると、皆どこかへ行ってくれた。だが、だが……う、うぅ///」

妹友「そろそろ肉片になりましょうか、おにーさん」

妹「ええいもうここで構わん、私に種を注げお兄ちゃん」

兄「それぞれ違う意味で怖い」

兄友「兄くんの息遣いが私のすぐ真上から聞こえる。兄くんの体温、そして心音が背中越しに届く。だが、何より一番感じ取れたのは、兄くんの柔らかな頬の感触だ。ネコミミから伝わるその感触、そして時折触れる兄くんの唇に、私は、……わ、私は///」

兄「いかん、一番ヤバイのはコイツか」

妹友「妹ちゃん、なんか予想以上に強敵みたいよ」

妹「ちくしょう、変態レベルが高すぎるぜ」

兄友「はっ! ……うん? どうしたんだい、みんな。もう昼だ、早く食べないとチャイムが鳴ってしまうよ?」

兄「そ、そうだな。みんな、早く食べよう」

妹友「そうですね。おにーさんへの糾弾はいつでもできますし」

兄「助けてくれ妹よ」

妹「よし。じゃあ服を脱ぐので少し待ってて」

兄「やっぱり助けなくていいや」

妹「無念」

妹「今日はお弁当持ってきたよ、お兄ちゃん。偉い?」

兄「偉い」ナデナデ

妹「ほふぅ」

兄友「…………」チラチラ

妹友「……兄友さんもなでられたいんですか?」

兄友「なっ、何を言っているんだ妹友くんはっ!? そっ、そんなわけないだろう? は、ははは、はははは」

兄「なでなでコンボが発生した」ナデナデ

兄友「……こ、コンボとやらが発生したのならば仕方がないな。うん、仕方がない///」ニコニコ

妹「ちくしょう、文句の一つも言ってやりたいが依然お兄ちゃんのなでなでが続いてるから思考が制限される。ふにゃあ」

兄「two hit nadenade!」

妹友「巻き舌をやめろ」

兄「怒られた」クニクニ

兄友「あ、あの、兄くん? そ、その、ネコミミをくりくりするのは、そ、その、やめてくれないかな? そ、その、私にも都合というものが……うんッ///」

兄「これはえろい」

妹「新技か。私にも活かせそうだ。覚える必要があるな」

兄友「う、うぅ……あまり酷いことをするものではないよ、兄くん///」ペタリ

兄「なんて破壊力だ」ナデナデ

兄友「ううう……///」

妹「うんっ。……違うな。うんっ? ……ええい、どうすればあれほど艶のある声を出せる。兄友さん、教えてください」ペコリ

兄友「えっ、ええっ!? そ、そんなことを言われても……うぅ。あ、兄くん、助けてくれないか?」

兄「いや、俺もあの技は妹に伝授してほしいと思ってる。頼む、教えてやってくれ」ペコリ

兄友「えええっ!? わ、技とかじゃないのに……」

妹友「あーそぼろ美味え」

兄「結局教えてくれなかった。兄友はずるいね」

妹「ね」

兄友「うう……ずるいとかじゃないのに……」

妹友「茶番は終わったようですね」

兄「酷いな。今日はツッコミもなかったし」

妹友「さすがに三人相手に立ち回れる技術は持ってないもので」

兄友「わ、私も数に入っているのか!?」

妹友「この時間に関してなら、一番の強敵でしたよ」

兄友「うう……これでも常識人を自負しているつもりだったのだが……」

兄「ネコミミ生やしておいて常識も何もないだろ」ナデナデ

兄友「こ、これは、その……兄くんはひどいな」プゥ

兄「頬を膨らませるだと。そんなスキルまで隠し持っていたか」ナデナデナデ

妹「くそぅ、くそぅ。妬ましい、兄友さんが妬ましいぞ」

兄友「あ、あの、兄くん? ちょ、ちょっとなでなでが激しいような……あッ! こ、こら、ミミをくりくりするのはやめたまえと……んッ///」

妹友「あー茶が美味ぇ」

兄「堪能した」

妹「腹ン中が嫉妬でパンパンだぜ」

兄友「はぁ……はぁ……あ、兄くん。ミミをくりくりするのはやめてくれと、あれほど言ったのに……」

妹友「やっと終わりましたか。もうあまり時間が残ってませんよ」

兄「しまった、ネコミミ無双に夢中になるあまりに。仕方ない、急いで食おう」

妹「そうだね。じゃあお兄ちゃん、あーん」

兄「いや、今日は箸を持ってきて……あれ? 妹、俺の箸は?」

妹「昨日のあーんが楽しかったので、故意に忘れてきた。はい、あーん」

兄「えぇー」

兄友「あの、差し出がましいようだが、予備の箸なら私が持っているのだが……」

妹「ちっ」

兄「こら、舌打ちなどするものではない。もっとネコミミ娘らしく可愛く行動するように」

妹「そうだね、お兄ちゃん。舌打ちなんてしてごめんなさい、兄友さん。にゃー」

兄友「い、いや、別に私は構わないが……」

妹友「ネコミミを品性の基準に持ってくるのは、ちょっと理解が届かないわね」

妹「どうだ、お兄ちゃん。ネコミミらしかった?」

兄「うむ、語尾が素晴らしかったぞ」ナデナデ

妹「ほふー」

兄友「ところで、箸の件はどうなったのかな? 渡してもいいし、兄くんが望むなら、そ、その、昨日のように、その、だな。……あ、あーんをしても///」

兄「折角の提案だが、箸を貸してもらえるとありがたい」

兄友「そ、そうだね。当然そちらを選ぶに決まっているよ。はは。ははは」ションボリ

妹友「見て妹ちゃん、兄友さんのしっぽがだらんと垂れてるわ。悲しいみたいね」

妹「しっぽを完全に使いこなしている。ちくしょう、ネコミミでは勝ってるが、しっぽはリードを奪われてやがる。もっと精進が必要だぜ」

妹友「基準が分からないわ」

兄友「ほら、兄くん。箸だ、使ってくれ」

兄「ああ。ありがとう、兄友」

兄友「いやいや。こういう時のために持ってきたんだ、気にせず使ってくれると、こちらこそ嬉しいよ」

兄友(…………)

兄友(兄くんの使用済み箸。……な、なんて貴重なものが手に入るんだ!)

妹「お兄ちゃん、使い終わったらちゃんと洗って返さないとダメだよ?」

兄「ああ、そう言えばそうだな。教えてくれてありがとう、妹」

兄友「えええっ!? えっ、あっ、やっ、そ、そんな必要はないよ? ほ、ほら、友達だろう? わ、私は全く気にしないよ?」

兄「いや、友達だろうがなんだろうがケジメは大事だ。ちゃんと洗わせてもらう。まあ、本来ならこんなことは自分で気づかないとダメなんだけどな。はっはっは」

兄友「そ、そうかい。……はぁ」

妹友「すごいわ、妹ちゃん」

妹「これが妹の底力だー」

兄「何か目に見えない所で諍いがあったような気がしたが、気のせいだ」

兄「げぷ。さて、飯も食い終わったし、そろそろ教室に戻るか」

兄友「そうだね。それじゃ行こう、兄くん」

妹「もうちょっとだけ一緒にいたいと願うことは罪なのか、お兄ちゃん」シュルリ

兄「いや、まだ少しだけ時間があるから構わないが、どうしてしっぽを俺の腕に巻き付けるのだい、妹よ」

妹「未練が私のしっぽを突き動かすの」

兄「なるほど。ならその未練、解きほぐしてくれよう」ムギュー

妹「! よもやなでなでではなく、抱っこが来ようとは。これだからお兄ちゃんは最高だ」スリスリ

妹友「おいそこの実の兄妹、tpoって分かるか?」

兄友(抱っこ。……いいなあ)

──校庭──

兄「そう言えば5時間目は体育だった。飯を食ってすぐにランニングと、教師の体罰は留まることを知らない」

教師「せめてそういうことは教師のいないところで言え」

兄「悔し紛れに吐瀉でもしてやりたいところだ」

教師「だから、そういうことを淡々と言うなッ! 怖ぇよ!」

級友a「おい、兄。ちょっとこっち来い」

兄「呼ばれた」

教師「あー怖かった」

級友a「おー来た来た。ほら、今日は女子が高飛びしてるぞ」

兄「本当だ。お、兄友もいる」

級友a「向こうも気づいたみたいだな。……恥ずかしそうに手ぇ振ってるな」

兄「くそぅ、負けるか。こっちも振ってやる!」

級友a「何の対抗意識だ! ああ兄友さんが他の子に何か言われてる。……ああチクショウ。いいなあ」

兄「ネコミミが? 野郎に生えても楽しくないと思うが、価値観はそれぞれだ、個人で楽しむ分にはいいと思うぞ」

級友a「違えよッ!」

兄友「うぅ……兄くんめ。ちょっと手を振ったら必死に振り返したりして。……頑張るしかないじゃないか」


級友a「おおおっ!? おい見たか兄! すげぇぞ兄友さん! あんな軽々とバーを超えて……しかも、あんな綺麗に……」

兄「しっぽがいいなあ」


兄友「……ふぅ、なんとか成功したか。……よかった」

兄友「結局、他の生徒は皆失敗し、私ともう一人だけが成功したか」

兄友「バーが一段階上がる。……そういえば、彼女は陸上部だったな。負けて当然。……だが」

兄友(兄くんが見ている。……無様なマネだけはできそうにないね)

兄友「……私の番か。……さて、と」


兄友「…………」トボトボ

兄「よう」

兄友「……ああ、兄くんか。何か用かい? 生憎と、私はマットの片付けを任されているんだ。用がなければ邪魔しないでくれるかな?」

兄「暇なんで手伝いに来た」

兄友「……それは、折角だが、断らせてもらうよ。次の授業まで時間もないし、私を手伝っていたら兄くんの着替える時間がなくなってしまうよ?」

兄「暇なんで手伝いに来た」

兄友「…………。……はぁ、強情だね、兄くんは。仕方ない、そこまで言うなら手伝ってもいいよ」

兄「そうか。よかった」

兄友「…………」ズルズル

兄「…………」ズルズル

兄友「……どうして、何も言わないんだい?」ズルズル

兄「マットを引っ張るので精一杯なんだ」ズルズル

兄友「……嘘ばっかり。女子一人でも動かせる重さだよ、これは」ズルズル

兄「女子より筋力が劣ってるなんて、みんなには黙っておいてくれよ」ズルズル

兄友「……ふふ、ははは。ははははっ」

兄「そうそう。女の子はそうやって笑ってるのが一番可愛い」ズルズル

兄友「きっ、君は、本当に……ああ、うん。そうだな、私も一応女だからな」

兄「しかも、ネコミミ少女だからな。ちょお可愛い」ズルズル

兄友「そうかい? もしその言葉が本当なら、私はとても嬉しく思うよ」

兄「嘘なんか言わないよ。……よし、どうにか体育倉庫に運べたな。ああ疲れた」

兄友「お疲れ様。ごめんよ、後半は君一人に任せてしまったようだね」

兄「いいさ」ナデナデ

兄友「……兄くん」

兄「手がマットで汚れたので兄友の頭で掃除してるんだからねっ」ナデナデ

兄友「兄くん、嬉しくないよ……」

兄「ツンデレは世界共通だと思ったが。うーん。ええと、それじゃ、ネコミミに触りたくてたまらなかったんだ?」ナデナデ

兄友「私に聞かれても困るよ」

兄「それもそうだな。うーんうーんうーん」ナデナデ

兄友「……大丈夫だよ、兄くん。私はもう元気だよ?」

兄「なんだそ……い、いや、俺は兄友のネコミミを触りたくて仕方がないからなでただけだぞ?」

兄友「……♪」シュルリ

兄「ええと。兄友のしっぽが俺の腕に巻き付いているのだが」

兄友「あ、あれ? お、おかしいな、そんなつもりはないのに……」シュルシュルリ

兄「巻きつく一方だ」

兄友「あ、あれ? ち、違うんだよ兄くん? 私は外そうとしているんだよ?」シュルシュルシュル

兄「……まあいい。時間もないし、このまま戻るか」

兄友「ふぇええ!? そ、そんな、恥ずかしいじゃないか!」

兄「ネコミミなんて恥ずかしいモノを生やしておいて、今更恥ずかしいも何もないだろ」

兄友「そんな風に思っていたのかい!? な、なんのために私は……」

兄「いや、恥ずかしいけど超可愛いよね。個人的な意見でいいなら大好きです」

兄友「……それなら、まあ、いいよ。でも、それなら恥ずかしいモノなんて言わないでほしいね」プゥ

兄「またか。またその頬を膨らませる技か。いったい俺を惑わしてどうするつもりだ」ナデナデ

兄友「べ、別にそんなつもりはないよ! た、ただちょっと、不満が顔に出てしまっただけで、そ、その……う、うぅ///」

兄「ああ兄友の顔を一日中舐めてえ」ナデナデ

兄友「まだそれを言うのかい!?」

──1年教室──

妹「! この感じ……兄友さんか!」

教師「妹さん、授業中に突然立たないでください」

妹「ちくしょう、お兄ちゃんを篭絡しているな。ああもう1年早く生まれていればこんなことには。だが年下だからこそ妹として甘やかされているのもまた事実」

妹友「おいそこのネコミミニュータイプ黙って座れ」

妹「きゅりりーん」

妹友「光るな」

──2年教室──

兄「今日も終わった終わった。さてと、かえ」

兄友「あ、兄くん。いま帰りかい? 偶然だね、私も今日は生徒会がないから帰れるんだ。そ、その、よかったら一緒に帰らないかい?」

兄「腰を浮かしかけたその瞬間、兄友が素早い動きで俺の机の前までやってきて早口にまくし立てた。突然のことに頭が真っ白になる」

兄友「ものすごく冷静に説明してるのは、私の気のせいかな? ……それで、どうだい? その、無理にとは言わないが」ピコピコ

兄「そして冷静になった。ネコミミが可愛いから帰ろう」ナデナデ

妹「今日も妹が登場……くそぅ、予感は的中か。お兄ちゃんのなでなでが兄友さんに」

妹友「ものすごいだらしない顔でニヘニヘしてるわね、兄友さん」

妹「憎い、兄友さんが憎いぞ。嫉妬の炎で焦げそうだ」

兄「あ、二人とも来たのか」

妹「お兄ちゃん、どういうことなのか可愛い妹に説明を」

兄「よしよし」ナデナデ

妹「ふにゃぷー」

妹友「簡単すぎない、妹ちゃん?」

兄「妹友もなでていい?」

妹友「絶対に嫌です」

兄「絶対か。まあ既にネコミミハーレムだし、いいか」

妹友「いつか刺されますよ、おにーさん」

兄「嫌だな。よし、それじゃみんなで帰ろう」

妹友「あ、本当になでないんですか」

兄「嫌がってる奴を無理になでてもしょうがないないだろ」

妹友「……そですか」

兄「?」

妹友「ほら、何をぼーっとしてるんですか。帰りますよ、おにーさん。ほらほら、兄友さんも妹ちゃんも、正気に戻って」

兄友「な、何を言っているんだ、妹友くんは。私は元より正気だ」

妹「さっきのふにゃぷーで十分に萌えただろうか。もっと甘ったるい声の方が良かったか?」

兄「……? まあいい、帰るか」

今日はこの位で。
全体の半分は過ぎているので、もう少々お付き合いを。

──通学路──

兄「今日は大所帯になったな」

妹「いつもは私と妹友だけだからね。そこに新参ネコミミが混じってるからね」

兄友「……もしかしなくとも、私のことを指しているのかな?」ピコピコ

兄「そうだろうね」ナデナデ

兄友「……あの、兄くん。何かにつけて私をなでるのは、その、どうなのかな? い、いや誤解してほしくないんだが、嫌ということではないんだよ? た、ただその、人の目というものがだね?」ピーン

妹友「しっぽを立てておきながらあの台詞。どう思う、妹ちゃん?」

妹「私もなでられてえ」

妹友「私の親友はおにーさんが絡むとダメだ」

妹友「それにしても、妹ちゃんも兄友さんも奇特ですね。なんでこんなのがいいんですか?」

兄「本人を前にこんなのとは酷い話だ」

兄友「わっ、私は別に兄くんのことなんて何とも思ってないぞ!? た、ただの友達であって、そ、その、なんだ?」

兄「仮にそうだとしても、断言されると泣きそうになるよね」

兄友「ああいや違うんだよ兄くん!? 本当はそうじゃなくて、いやだがしかし……ああ、どうすればいいのだい!?」

妹「私はお兄ちゃんが大好きだよ?」ピコピコ

兄「なんて嬉しいことを。妹がいてくれてよかった」ナデナデ

兄友「ああ、あああ……こ、こんなハズじゃ……」

妹「にやり」

兄友「あ、兄くん、違うのだよ? 私は決して君を嫌ってなどいない、いやそれどころか、そ……その、だから、なんだ!? ん!?」

兄「兄友は何を焦っているのだ」

兄友「あ、焦る!? わ、私のどこが焦っているというのだ!?」

兄「よく分からんが落ち着け」ナデナデ

兄友「あ、うぅ……///」

妹「ちくしょう、私もあんな感じで優しくなでられてえ。どうすればいい」

兄「あんな感じというのがよく分からないが、お前はお前らしくあればいいのではないだろうか」ナデナデ

妹「まあなでられるならなんでもいいや。うへへ」

妹友「……本当、何がいいんだか」

妹「ん? お兄ちゃんを共有財産にしろと言った奴が何を言っているのか」

妹友「ああ、あれはそういう意味じゃなくて、男手が必要な時に借りやすいからそういう風に言ったの」

兄「隠し腕」ナデナデ

兄友「あ、兄くん、別に隠してもなんでもないように思えるのだけれど?」

妹友「……それだけよ」

妹「……まあいいケド。私としては好都合だし。ただ、まあ、親友だからな」

妹友「何の話だか」

妹「遠慮とか訳の分からないことを言うならぶっとばすって話だ」

妹友「……何のことかさっぱりよ」

兄「いかん、兄友を執拗になでていたら興奮してきた」

兄友「あああ兄くん!? な、何を言っているのだい君は!?///」

妹「ちくしょう私も混ぜろ。どさくさに紛れて挿入しやがれお兄ちゃん」

妹友「……はぁ。おいてめぇらいい加減にしないと存在が法で規制されるぞ」

──妹友宅──

妹友「……ふう。疲れた」

妹友「妹ちゃんだけでも驚いたのに、まさか兄友さんまでねぇ」

妹友「……ネコミミ、ね。私のガラじゃないわね」

妹友「……でも、もし私にも生えたら、おにーさんは……」

妹友「…………」

妹友「! べ、別に私は、あんな人のことなんて、全然……」

妹友「……何言ってんだろ、私。今日は早めに寝よ」

妹友「……寝たら何も考えなくてすむもんね」


???『…………』

妹友『……? なんで私を……?』

???『願いを……』


妹友「……ん、ん~っ。……ん? ……なるほど」

──通学路──

妹「昨日は驚いたね。兄友さんにまでネコミミが生えるんだもの」

兄「俺としては願ったり叶ったりだけどな」

妹「ちくしょう、お兄ちゃんが変態なので禁忌を気にしないのはいいが、そのせいであっちへフラフラこっちへフラフラしやがる。私だけを襲えばいいのに」

妹友「あー……ええと。おはよう、二人とも」

兄「ああ、妹友か。おは……ッ!」

妹「なんとなく嫌な予感はしてたぜ」

妹友「まあ、なんていうか。……その、こんな感じよ」ピコピコ

兄「ふははは。ふはははは」ナデナデナデ

妹友「ちょ、ちょっとおにーさん、何を勝手に人の頭を……」

兄「快い。快いぞ、妹友よ」ナデナデナデナデ

妹「ちくしょう、ネコミミが三人も揃っちまいやがった。もはやアドバンテージは0に等しい。どうすりゃいいんだ」

妹友「……お、おにーさん。……そんなになでないでください///」ペタリ

兄「うお」

妹友「? どーしたんですか、おにーさん?」ピコピコ

兄「いや、なんというか、普段とのギャップが」

妹「ちくしょう、よもや妹友が鬼軍曹キャラだけでなく、庇護欲をかきたてる照れ屋な純情キャラまで保持していようとは。勝ち目がねぇ、妹キャラだけでは勝ち目がねぇよ」

兄「よく分からんが、俺は妹キャラも大好きですよ」ナデナデ

妹「なんだ。じゃあいいや。にゃーにゃー」スリスリ

兄「ところで勝ち目って何に対して?」

妹「doki☆doki誰が最初に孕むかレース」

妹友「わっ、私はそんなつもりありません! ええ、ありませんとも! た、ただ、なんというか、みんな楽しそうだから、私もネコミミを生やしただけで……ほ、他の理由なんてないですからね!」

妹「ツンデレテラモエス」

妹友「舐めんなオタ猫」

妹「しゅっしゅ」

兄「よく分からんが、喧嘩するな子供たち」ナデナデ

妹友「こ、これは喧嘩とかじゃなくて、いつものコミュニケーションというか……うぅ、おにーさんはネコミミが生えてたら誰かれ構わずなでますね///」

妹「あー今日も脳が溶ける。ごろごろ」

兄友「おはよう、み……まっ、まさか妹友くんまでかい!?」

妹友「……みんな揃ったようだし、まとめて説明しますよ」

妹「あー」

妹友「……というわけで、私も皆さんと同じように、起きたら猫薬ってのを握ってたんですよ」

兄「ふぅむ。こうも立て続けに俺に近しい人だけにそんな現象が起きるとは、とても嬉しい半面、少しばかり怖いな」

兄友「今更かい!? 兄くんは随分とのんきだね……」

兄「でもネコミミハーレムが結成できたからどうでもいいやうへへへへ」ナデナデ

兄友「な、なんて言い草だい。そ、そもそも私はそんないかがわしい組合に入った覚えは、その……き、聞いているのかい兄くん?///」

妹友「よ、世が世なら粛清されてますよ、おにーさん。まったく、平和な世の中でよかったですね///」

妹「手が足りねえ。私だけがなでられていねえ。ちくしょう、嫌な予感が的中しやがった。悲しさが胸に去来しやがる。にゃあにゃあ」ションボリ

兄「ああションボリ妹猫が可哀想で仕方が無い。なんて酷いことをしてしまったのだ俺は。許せ妹よ」ナデナデ

妹「しめしめ」スリスリ

妹友「全く誤魔化そうとしないのは、ある意味感心できるわね」

兄友(私も兄くんに頬ずりしたいなあ。……いかん、想像だけで鼻血が出そうだ)

──校門前──

兄「さて、今日も一日勉強頑張ろうな、ネコミミズ」

兄友「間違ってはいないが、酷い言い草だね」

妹友「それにしても……ものすごい注目を集めてますね。通る人みんながこっち見てますよ」

妹「なでれ」

兄「流石に三人も揃うと目立つからな。ああネコミミに囲まれて幸せだ。正直死んでもいい」

兄友「流石に言い過ぎじゃないかな、兄くん?」

妹友「まったく……おにーさんはある意味幸せものですね」

妹「なでれ」

兄「こうか」ナデナデ

妹「執念の勝利」スリスリ

妹友「ほら、行くわよ妹ちゃん」ガシッ

妹「うぬれー。今日もか、今日もかー」ズルズル

兄友「兄くんも、行くよ」ガシッ

兄「分かった、分かったから引っ張るない」ズルズル

──2年教室──

兄友「ところで、兄くんはどう思っているんだい?」

兄「ああ、一夫多妻制の国への移住ってどうすればいいのか調べる予定だ」

兄友「なっ、何の話だい、何の!? そ、そうじゃなくて、これのことだよ!」ピコピコ

兄「ああ、ネコミミな。確かに、三人続けて、それも俺の知り合いばかりとなると、何らかの意味があるように思えるな」

兄友「そ、そうだよね。……と、ところで、さっきの話なんだけど、その……い、一夫多妻制の国というのは?」

兄「これほどネコミミ娘が増量したのだ、何らかの方法でかどわかして件の国へ連れていき、そこで洗脳して俺のお嫁さんになってもらう予定なんだ」

兄友「そ、そうなのかい。……べ、別に私は、その、せ、洗脳とかしなくても……///」

兄「ああ何度見てもネコミミは可愛いなあ」ナデナデ

兄友「あ、兄くん!? 人が一生懸命話してるのになでるなんて酷いじゃないか!」

兄「失敬、耐えられなかったので」ナデナデ

兄友「ううぅ……///」

──1年教室──

妹友「なんとなく想像はついてたけど……ものすごく注目を集めるわね、このミミは」ピコピコ

妹「さて、一時間目は何だったかな」

妹友「妹ちゃんは歯牙にもかけてないのね。この豪胆さは見習いたいものね」

妹「媚びるべき相手に媚び、そうでない者は意に介さない。簡単な話だ」

妹友「時々妹ちゃんを野武士のように感じるわね」

教師「はい授業を始……毎日ネコミミの生徒が増える。なんなんだこの学校は」

──2年教室──

兄「さあて、と。昼になったし、今日も行くか」

兄友「そうだね。……ところで兄くん、休み時間ごとに私をなでるのはやめてくれないかい? さすがに私も衆人環視の中でそんなことをされるのは、少しばかり照れるというか……」

妹友「話は聞かせてもらいました」

兄「うわあっ」

妹「もらったー」

兄友「妹友くん!? それに、妹くんも!? ど、どうしたんだい、教室にまで来るなんて」

妹友「たまには迎えに行こうという話になりまして。それよりおにーさん」

兄「は、はい」

妹「なでれ」

兄「ああなんだそういう話か。秘技、ダブルなでなで」ナデナデ

妹友「違いますっ! 邪魔しないで、妹ちゃん!」

妹「あー」

妹友「そうじゃなくて、妹ちゃんをないがしろにするのは許せないって話です。兄友さんをなでた分だけ、妹ちゃんもなでてください」

妹「なるほど、それは名案だ。あと、もちろん妹友にもな」

妹友「え?」

兄「ないがしろにしたつもりはなかったが……そうだな。じゃ、とりあえず中庭に行こう。流石の俺も教室でネコミミハーレムを愛でられるほどレベルが高くないんだ」

妹友「え、え?」

兄友「……なるほど。ふふ、よくよくできた友人を持っているじゃないか、妹友くん?」

妹友「え、え、え?」

──中庭──

兄「着いた」

妹友「な、なんで私の腕を押さえてるんですか、兄友さん? 妹ちゃんまで!」

兄友「いやなに、逃げられないようにね」

妹「往生際が悪いぜ、おじょうちゃん」

兄「それじゃあなでるわけだが……ええと。両側から押さえつけられているネコミミ少女を無理やりなでるなんて、絵面が悪すぎやしないか?」

妹友「そっ、そうですよ! 後で通報されたくなかったらやめてください、おにーさんっ!」

妹「ネコミミの以心伝心能力により、そんなことはしないと判明」

兄「えっ、そんな力があるの?」

妹友「ないですないです、あるわけないですっ!」

妹「…………」クイクイ

兄友「? ……ああ、なるほど。兄くん、妹友くんは嘘をついている。大丈夫、彼女はなでられたがっているよ」

妹友「兄友さんまで!? な、何を言っているんですか!?」

兄「そうなのか。じゃあいいか、なでよう」

妹友「いえいえちっともよくないですっ!」

兄「とりゃ」ポフリ

妹友「ひゃっ」

兄「そして、とうっ」ナデナデ

妹友「~~~~~~~!!!///」

兄「うむ、よいモフり加減。しかし、三者三様でそれぞれミミの感じが違うのな」フニフニ

妹友「う、うぅ……触らないでください。おにーさんのばか。へんたい。えっち」

兄「興奮しかしねぇ」

兄友「兄くん……」

妹「流石お兄ちゃんだ、なんともないぜ。他人だったら通報してるけど」

妹友「も、もうなでたからいいでしょう? ほ、ほら、終わったから手を離してよ、二人とも」

兄「いや、もうちょっと」ナデナデ

妹友「~~~~~!! お、おにーさん、手つきがいやらしいです」

兄友「兄くん、年下の子にセクハラするのは感心しないよ」

妹「ちくしょう、私もセクハラされてぇ」

兄「普通になでてるだけなのに」

今日はここまでー。

妹友「はぁ、はぁ……ほ、ほら、もういいでしょう? 私なんかより、妹ちゃんをなでてあげてください、おにーさん」

妹「まだか。まだそんなことを言ってるのか。構わないからもっとなでてやってくだせえ、お兄ちゃん」

兄「小悪党みたいな台詞だが、分かった」

妹「それと、あとでいいから私もなでれ」ピコピコ

妹友「ほらほらっ、妹ちゃんもあんなこと言ってますし! 私はもう放っといて、妹ちゃんをなでてあげてくださいよ、おにーさんっ!」

兄「心配するな、妹友よ。こんな時に、あってよかったダブルなでなで」ナデナデナデ

妹「ほふぅ」

妹友「あっ……。う、うぅー、なんで私までなでるんですかっ。妹ちゃんだけでいいのにっ。おにーさんのばかっ」

兄友(…………。私は年上だからな。この位、我慢できる。羨ましくなんてない。いや、本当。全然)

兄友(……兄くんは後で私もなでてくれるだろうか)

妹「諦めろ妹友、お兄ちゃんは天性の変態だ。ネコミミが生えた時点でお終いなんだ」

兄「酷い話だ」

妹友「……でも」

妹「あと、二人から三人に増えた所で、大して変わりはしない。それを受け入れる度量も、お兄ちゃんにはある」

兄「何の話か分からないので、邪魔をせずに暇つぶしに兄友をなでていよう」ナデナデ

兄友「あっ、こら兄くん!? そ、そんな空気じゃないのに……///」ピーン

妹「ああ私もしっぽを立たせたい。でも今は我慢。まあ、そんなわけで、あとは妹友の気持ち次第だ」

妹友「わ、私は、別に、そんな……」

兄友「……言う必要などないとは思うが、一応言っておこうか。私達に遠慮など必要ないからね? ……んッ! あ、兄くん、ミミをくりくりするなと言っているだろう?///」

妹「あそこのえろいお姉さんもそう言っている。本当に興味がないなら、これ以上はもう何も言わない。ただ、遠慮して身を引くなんて言うつもりなら、ぶっとばす」

兄友「えろいお姉さんって言われた……」ションボリ

兄「大丈夫、兄友はえろいよ」ナデナデ

兄友「確言されても嬉しくないよ、兄くん!」

妹友「……知らないわよ。後になって後悔しても」

妹「その程度で後悔するほどヤワな絆なんて持ちあわせてないものでね」

妹友「……本当、男前なネコミミね。もし妹ちゃんが男だったら惚れてたかも」

妹「残念ながら可愛い女の子なんでね、諦めてくれ」

妹友「というわけで、おにーさん」

兄「なんか話がこっち来た」ナデナデ

兄友「それならもう私を解放してくれないかい、兄くん? いつまで人をなでて……んぅッ! み、ミミの穴に指を入れるなんて、兄くんは何を考えているんだい!?///」

妹友「遅ればせながら、私も参戦させてもらいます。嫌なんて言わせませんからね?」

兄「何に?」

妹友「……妹ちゃん。この人、本当に分かってないの? それとも分かっててとぼけてるの?」

妹「ヒャア がまんできねぇ0だ! お兄ちゃんなでれ! あと抱っこしろ!」ピョンピョン

兄「飛びつくな」ナデナデムギュー

妹「あー。シリアスはきつい。あー」スリスリ

妹友「……あれほどかっこよかった人物とは思えない緩みっぷりね」

兄友「はは……でもまあ、らしいと言えばらしいね。……それで、君は混ざらないのかい?」

妹友「う。……さ、流石にあそこに飛び込む勇気はないですよ」

兄友「何を言ってるんだか。ほらほら、さっさと行った。大丈夫、兄くんは絶対に受け入れてくれるよ」グイグイ

妹友「わっ! お、押さないでください、兄友さん! ……って」ポフリ

兄「こんにちは」

妹友「……こ、こんにちは///」

妹「妹友が隣に来た。お兄ちゃん、親友丼の時間だ」

妹友「違いますっ! 違うけど……わ、私も、なでてください///」

兄「妹友がデレた!」

妹「これはめでてぇ。赤飯を炊こう。祭だ祭だ」

妹友「ええいこの兄妹は本当に腹が立つ。……そ、それで、なでてくれないんですか?」

兄「いや、ちょっとびっくりして。はい」ナデナデ

妹友「んっ……///」

妹「ほほう。間近で見るとなかなかえろい。妹友よ、兄友さんの後継者になれるかもしれないぞ」

妹友「そ、そんなのなりたくないわよっ!」

兄友「正直泣きそうだよ、兄くん」

兄「あとで嫌というほどなでて慰めてあげるので我慢してくれ」

兄友(これは死ねる)

妹友「おにーさん、それよりもっとなでてくださいっ」

兄「あ、はい」ナデナデ

妹友「はふぅ……///」

妹「ちくしょう、早くも自分のペースをつかんでやがる。この女、思ったよりやりやがる。お兄ちゃん、こっちもだ、こっちもなでやがれ」

兄「とてもじゃないが女性の口調とは思えないな、お前は」ナデナデ

妹「ぐにゃー。たまらん」ダレーン

兄「涎を垂らすな」

兄友(……私の入る隙間がない)

妹友「おにーさんっ、おにーさんっ。こっちもお願いしますっ」

兄「少しだけ疲れてきたよ」ナデナデ

妹友「えへへぇ♪ まだまだですよ、おにーさん?」

妹「にゃー。こっちもなでれー。にゃー」

兄「少し、というのを訂正させてほしい」ナデナデ

妹「ふにゃふにゃ。ああいっそお兄ちゃんに膝に住みてえ」

兄友(……私は大人なんだ。こんなことで泣くものか)

兄「ところで、そろそろ飯を食うのはどうだろうか。兄友もお腹が空き過ぎて涙目になってることだし」

兄友「なっ、泣いてなどいないぞ!? ……こほん。人をハラペコキャラに仕立て上げるのは感心しないな、兄くん?」

妹友「……もうちょっとなでてほしいです。ダメですか?」

兄「なんて破壊力だ。世界が終わるその時までなでていたい」ナデナデ

妹友「……おにーさん♪」スリスリ

妹「これはまずい。この妹、眠れる獅子を起こしてしまったやもしれんな」

兄友(本気で羨ましすぎる)

兄「しかし、いい加減に飯を食わないと昼休みが終わってしまう。なでるのはまた後日にしないか?」

妹友「……分かりました。我慢します。でも、あとでまたお願いしますよ?」ピコピコ

兄「あ、ああ」

妹「兄友さん、何らかの策が必要と思うのだけど」

兄友「……奇遇だね。私も似たようなことを相談しようと思っていたところだよ」

兄「さてと、準備もできたし、いただきまー」

妹友「おにーさんっ、おにーさんっ」クイクイ

兄「す?」

妹友「はい、あーん♪」

妹「一切の駆け引きのないあーん。純粋だからこそ美しい、か」

兄友「な、何を言っているのだい妹くんは!? い、いいのかい?」

妹「遠慮するなと言った手前、どうにも言いにくいのです」

兄「もがもが、ごくん。……うん、おいしい」ナデナデ

妹友「えへへへへっ♪」ピーン

兄友「とか言ってる間に兄くんが食べさせられているよ!? しかも、なでなでまで!」

兄「おいしいけど、俺ばかりが食べるのは悪いよ。ほら、後は自分で食べな?」

妹・兄友「「良しッ!」」

妹友「……じゃあ、食べますから、その代わりご飯の間、ずっとなでなでしてくれますか?」

妹「耐えらんねえ、これ以上耐えらんねえよ。私もなでてよお兄ちゃん。にゃあにゃあ」

兄友「何事も限度というものがあるのだよ。当然私にもその権利はあるよね、兄くん?」

兄「俺の腕の筋組織粉砕フラグがいま立った」

妹友「ほぉ……///」

兄友「ふぅ……///」

妹「にゃー……///」

兄「ぼくのいしにはんして、うでがぴくぴくとうごめいています」

妹友「……えへへ、とってもよかったです。また明日もお願いしますね、おにーさん?」

兄「お前は俺の腕の面白い感じが見えていないのか」

兄友(……死んでしまう。こんなことを毎日していたら死んでしまう。……だが、それも本望……ッ!)

兄「戻って来い、兄友」

妹「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」ペロペロ

兄「うべべ。顔を舐めるな」

兄友「っ!? そ、それは流石にルール違反だよ、妹くん!」

妹友「そうよっ、妹ちゃん!」

兄「頼もしい援護射撃だが、そこはかとなく嫌な予感がする」

兄友「そ、その、なんだ、私達もしていいなら、話は別だが?」

兄「ほら見ろ」

妹友「舐めていいですか、おにーさん?」

兄「なんて台詞だ。ここは学び舎だぞ、ダメに決まってるだろ」

妹「お兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃんお兄ちゃん」ペロペロペロ

兄「うべうべ。お前もいい加減止まれ」

妹「実は冷静」ペロペロ

兄「なお悪い」

兄友「ああもう、妹くんだけとは贔屓に過ぎるだろう! 今日は特に冷遇されているんだ、これくらいはいいだろう!?」ペロペロ

兄「ういいっ!? ちょ、ちょっと待て兄友、お前はそんなキャラじゃないだろう!? ていうか冷遇なんてしてたか?」

兄友「したさ! 君が悪いのだよ、兄くん! ひとつ年上なだけで我慢させられる私の気持ちも考えたまえ!」ペロペロ

兄「待て舐めるな鼻を舐めるな顔が俺の顔が」

妹友「じゃあ私もおにーさんをぺろぺろしちゃいますねっ♪」ペロペロッ

兄「いや別に全員がやる必要など欠片も存在しないようなうべべべ」

妹「お兄ちゃんうめぇ」ペロペロ

兄「涎まみれだ」

妹「やりすぎた」

妹友「途中から楽しくなっちゃって思わず」

兄友「今は反省している」

兄「ああもうベタベタだ。顔も手も……よくもまあここまで。ただ、よくよく考えてみれば、ネコミミ少女らに舐められるなんて嬉しい以外の感情が浮かばないので、結果としてはありがとうございます」

兄友「土下座っ!?」

妹「さすがお兄ちゃんだ、ブレないぜ」

妹友「おにーさんはよく訓練されてますね」

兄「とはいえ顔中ベタベタだ。ちょっと顔洗ってくる」

妹「じゃあ洗ったそばからお兄ちゃんの顔を舐めるために追随する」

妹友「それを止めるために一緒に行きますね、おにーさん?」

兄友「なら、私は妹友くんが暴走しないようついていくかな」

兄「全員ここにいてください」

妹・妹友・兄友「「「ぶーぶー」」」

兄「ふぅ……サッパリした」

妹友「あ、お帰りなさいおにーさん。言われた通り待ってましたよ? 偉いですか? 思わずなでたくなっちゃうくらい偉いですか?」

兄「今日はもう勘弁してください」

妹友「残念です……」

妹「げふー」

兄「そしてなんで俺の妹はゲップしながら腹をさすっているんだ」

兄友「もうチャイムが鳴るまで間がないので、残すのももったいないということで、兄くんの余った弁当を食べてしまったんだ」

兄「あ。そういや自分の弁当食った記憶がねえ」

妹友「私が最初に少しあーんした時の分しか食べてないんじゃないですか、おにーさん?」

兄「そうかも。どうしよう。このままじゃお腹が空いて授業中に泣いちゃうかも」

妹「私の兄がこんなに可愛いはずがない」

妹友「子供みたいですね、おにーさん。グミでよかったらありますけど、食べます?」

兄「それはよかった。ありがとう、いただくよ」

妹友「えっへっへー。どうしましょうかね?」

兄「グミくれよ!」

──2年教室──

兄「あの後、やーだよと言われたものの、なんとかグミを手に入れることに成功。もきゅもきゅしながら授業を受けていたら放課後になった」

兄友「誰に説明しているんだい、兄くん?」

兄「兄友は、今日は生徒会か?」

兄友「……非常に残念だが、肯定だ。明日までお別れだよ、兄くん」シュルリ

兄「そんなしっぽを巻きつかせるほど悲しむこともないだろ」ナデナデ

兄友「こっ、これはそのっ! ……あの、ところで手は大丈夫なのかい?」

兄「授業中に休めていたら治った」ナデナデ

兄友「……つまり、ノートをとっていないんだね。仕方ないな、兄くんは。また今度ノートを貸してあげるよ」

兄「ありがとうな、兄友。お前には頭が上がらないよ」

兄友「気にしなくていいよ。友達、だろう?」

兄「ああ、未来永劫永久不滅に友達だ」

兄友「……なんだか泣きそうだよ」

兄「友情に泣けてきたのだな」

兄友「わざとかい、兄くん?」

兄「なんだか分からんが元気出せ」ナデナデ

兄友「誰のせいだと思って……んッ! ああ、兄くんっ!? 教室でミミを触るのは反則だろう!?///」

兄「ああ今日も兄友はえろい」

兄友「き、君は本当に……んんッ!/// だ、だから触るのはダメだと……ひゃッ!」

妹「えろい」

妹友「えろいです」

兄「あ、来た」

兄友「きっ、ききき君達ッ!?」

妹「我らも一年であれほどえろくなれるのだろうか」

妹友「体つきは私達とそれほど違わないというのに……あれが上級生のえろさなのかしら?」

兄友「あ、あまり人のことをえろいえろいと言わないでもらえるかな?///」

兄「大丈夫、兄友はえろいよ」

兄友「だから、確言されても困るよ、兄くんッ!」

──通学路──

兄「ああ楽しかった」

妹友「あまり兄友さんをいじめてはダメですよ、おにーさん?」

兄「そうだな。以後気をつけよう」

妹「それにしても、変われば変わるものだ。あれほど恐ろしかった妹友の鬼軍曹もなりを潜め、今では萌え萌えにゃんしか表に出てきてこないのだから」

妹友「馬鹿にしてんのか妹猫」

妹「しゅっしゅ」

兄「なんでお前らはすぐ喧嘩すんだ。ほれ、落ち着け」ナデナデ

妹「ああー。あああー」

妹友「……本当に落ち着きますよね、これ」

兄「そうなのか? 自分じゃ分からんが」

妹「たまらんー。もっと、もっとなでれー」

妹友「ええ。なんと言いますか、安心するって言うんですか?」

兄「……コイツも?」

妹「なでれー。お兄ちゃん、なでれー」

妹友「……訂正。私は、安心します」

妹「私も安心する。なのでお兄ちゃん、もっかいなでれ」

兄「また今度な。今日はなですぎて疲れた」

妹「がーん」

妹友「ざまぁ」

妹「しゅっしゅ」

兄「だから、喧嘩すんなって言ってるだろうが」ナデナデ

妹友「あっ……つい。ごめんなさい、おにーさん」

兄「謝る相手は俺じゃないだろ?」ナデナデ

妹友「……そうですね。ごめんね、妹ちゃん。ついからかっちゃった」

妹「結果としてお兄ちゃんになでられたので許す」

妹友「このおにーさん至上主義者め」

妹「そのまま言葉を返す」

妹友「う」

兄(何度触ってもネコミミの感触はたまらないなあ)フニフニ

──兄妹宅──

妹「にしても、増えたよね。ネコミミ所持者」ピクピク

兄「あー、そだな。最初はお前だけだったのにな」ナデナデ

妹「ふにゃふにゃ。爆発的感染力だ」

兄「感染というが、猫薬を飲まなけりゃ生えないんだけどな」

妹「そもそも、あの薬はなんなの? 特に疑問を持たずに飲んじゃったけど」

兄「何、と言われても……以前説明した通りで、俺もそれ以上のことは分からない」

妹「まあ、これが生えてからお兄ちゃんとより一層仲良くなれたし、どうでもいいか。あとは最後の一線を超えるだけ」

兄「左手を添えるだけ?」

妹「にゃっ。スラムダンクが読みたくなった。おのれ、なんという策。ちくしょう、今日もしてやられたぜ。というわけでお兄ちゃん、ちょっと部屋に戻って漫画読んでるね」

兄「あいあい。飯ができたら教えるな」

妹「にゃーっ」

──夢?──

兄『……ん、んぅ……』

???『おい、起きぬか』

兄『はい』

???『うわあっ! 目覚めよすぎじゃ、馬鹿者!』

兄『それだけが取り柄で……って、誰? また新しいネコミミ娘? ちょっと多すぎでは。飽和するぞ』

???『くっくっく……馬鹿にするのもそこまでじゃ。ワシは、神じゃ!』

兄『へへー』ドゲザ

神『嘘っ、一発で信じた!? え、あれ、神通力が上がって威厳が上がったとかかの? ……えへへー、やったのじゃ♪』

兄『いや、ごめん嘘。信じた方が楽しそうだから信じたフリした』

神?『なっ、なんじゃとぉ!? せっかく力が強くなったと思ったのに……やっぱり人間は酷いのじゃ!』

兄『いや、酷いのは人間じゃなくて、俺という一個人だ』

神?『うるさいのじゃっ! やっぱり人間などろくでもないのじゃっ!』

兄『はぁ……まあいいや。それで、俺に何か用か?』

神?『ふん。近頃貴様の周辺で何か変なことがなかったか?』

兄『ない』

神?『ええっ!? えっ、いや、あるじゃろ? 何か突飛な事件が』

兄『ない。一切ない』

神?『え、あれ……あ、あの、最近の? 貴様の周辺で猫の耳が生えた哀れな娘とか現れなかったかの?』

兄『現れた』

神?『ほらあるじゃろーが! なんでないとか言うんじゃっ! 心配しちゃったじゃろーが!』

兄『落ち着け』ナデナデ

神?『ふにゃふにゃ……はっ! か、神をなでるでないっ、愚か者めがっ!』

兄『あーやっぱネコミミはいいなあ』

今日はここまで。あとちょっと。

神?『うるさいのじゃっ! よいか、今日が貴様の命日じゃ!』

兄『そんなぁ! 頼む、助けてくれ!』

神?『早いッ! まだ命乞いするところまで話は進んでおらん! もうちょっとワシが話してからやるのじゃ。よいな?』

兄『断る』

神?『断ってはいかんのじゃあ! ああもう、貴様は黙っておくのじゃ! よいかっ!?』

兄『…………』コクコク

神?『うむっ。えっとの、えーっと……あ、そうじゃ。……ふわはははーっ!』

兄『うわぁ』

神?『喋ってはいかんと言っとるじゃろーが! 特にうわぁとか言ってはならんっ! 泣いちゃうのじゃっ!』

兄『…………』コクコク

神?『まったく……ええと。ふわはははーっ! 今日が貴様の命日じゃ!』

兄『…………』

神?『近頃立て続けに猫薬なる怪しげな薬が出現したじゃろ? あれらは全て、ワシの仕業じゃ!』

兄(なんだって! なんていい神なんだ! 一生拝んでやる!)

神?『あの薬にはワシの呪いが込められておる。飲んだが最後、見るも無残な猫娘になってしまうという……恐怖の薬なのじゃ!』

兄(恐怖? 一体どこに恐怖などがあるのか。とてもありがたい薬じゃないか)

神?『あの娘どもには夢の中で甘言を弄し、飲ませたのじゃ。……当然、元に戻して欲しいじゃろ?』

兄(いや、全然。むしろ世界中の女性に飲ましてほしいくらいだ)

神?『ならば、その生命を捧げよっ! さすれば、元に戻してやるのじゃ!』

兄(いや何を言ってんだ)

神?『ふふ……どうするのじゃ? 貴様の大事な者か、貴様自身の命か。特別に好きな方を選ばせてやるのじゃ』

兄『…………』

神?『あ、もう喋ってもいいのじゃ。ふふーん、どうじゃ!』

兄『いや、どうも何も、ばーか』

神?『えええええっ!? 神様なのに馬鹿って言われたあ!?』

兄『あんな可愛い物を元に戻してどうする。悩むところがなさすぎるだろ』

神?『な……何を言っとるのじゃっ! 人間は、人間は誰もが猫を忌み嫌ってるじゃろッ!』

兄『え、いや、そんなことは』

神?『そうに決まっとる! じゃなければ、ワシは、ワシはどうして……』

兄『え?』

神?『……いや、なんでもない。ともかく、あの呪いを解いて欲しくば、その生命を捧げるのじゃ』

兄『いや、だから呪いだろうがなんだろうが、解くつもりなど毛頭ないっての』

神?『……神と交渉するつもりかえ? 言っておくが、貴様の態度次第では、かの娘らは一生あのままなのじゃぞ?』

兄『いいじゃん、一生ネコミミ。ああもう超可愛い』

神?『……適当な嘘をつくなッ! あんな気持ち悪いものを可愛いと思うハズないじゃろッ!』

兄『は?』

神?『人は皆、猫と見れば戯れで蹴り、石で打ち、川に放り投げる。……そんなものを、どうして可愛いなどと言えるッ!』

兄『いや、そんな酷いことしないだろ』

神?『うるさいうるさいうるさいッ! 貴様が何と言おうとも、猫など誰もが忌み嫌っておるのじゃッ!』

兄『…………はぁ。いい加減にしろよ、このクソ神』

神?『ひッ! す、凄んでも呪いなど解いてやらんのじゃ!』

兄『……ああもうなんか腹が立ってきた。あのな、こんな可愛いものを気持ち悪いと思うなんて、ましてや忌み嫌うだなんて、ありえないだろッ!』ナデナデ

神?『にゃあーっ!? こっ、こら、なでるな!』

兄『大人しく聞いてりゃ勝手なことばっか言いやがって。いいか、このネコミミは超可愛いんだ!』ナデナデナデ

神?『う、嘘じゃ嘘じゃ嘘じゃ! 絶対嘘じゃ! 貴様は呪いを解いてもらうため、嘘を言ってるだけなのじゃ!』

兄『ええい、まだ言うか! そもそも俺はネコミミのままでいてほしいのに、嘘なんてつくわけないだろーが! 俺の寝起きの良さと並ぶ特技、なでなでを喰らえッ!』ナデナデナデ

神?『にゃ、ふにゃ……ご、ごろごろ……え、ええいッ! ワシを篭絡しようとしても無駄じゃっ!』

兄『いや、そんなつもりはないのだけれど』

神?『ふーっ、ふーっ、ふーっ……。なんと言われようと、ワシは騙されんぞ。貴様は、あやつの子孫なのだから……ッ!』

兄『はい?』

神?『あんな非道なことをできる愚かな者の子孫なんじゃ、貴様もどうせ他の連中と一緒じゃ!』

兄『いや、あの、ちょっと話が見えないのだけれど』

神?『……貴様の先祖は、とある猫を執拗に執拗に虐待しておったのじゃ。ワシは、その一部始終を、ずっと、ずっと見ておったのじゃ』

兄『……俺の先祖が?』

神?『……思い出すのもはばかれる、酷い虐待じゃった。結局、その猫はその男に殺されてしもうた』

兄『…………』

神?『……あの猫の無念は、相当なものだったのじゃろう。……ワシは、あの猫の無念を受け取ることにした。……あの男を、祟ることにした』

兄『祟る、って……』

神?『七代祟る。ワシはあの男とその子孫、その七代まで祟ると決めた。その最後の子孫が貴様じゃ』

兄『……そんなことが』

神?『分かったら、とっとと選べ。自らの命を捧げ忌み嫌われる猫の耳をつけられた他者を救うか、他者を放って自分は生き延びるか。悩み苦しむ行為そのものが、ワシの……あの猫の復讐なのじゃ』

兄『……なるほど。でも、俺は最初から選ぶつもりはないっての。このままが幸せなんだ』

神?『貴様、まだ言うか……ッ!』

兄『言うさ。確かにその猫は可哀想だ。あんまりだ。俺の先祖が目の前にいたらぶっ殺してやりたいよ』

神?『……もし殺したら、貴様の存在も消えてしまうぞ』

兄『そのくらいムカつくってことだ。何度も言うが、猫は可愛いんだ。これっくらい』ナデナデ

神?『だ、だからワシをなでるなっ! わ、ワシは神であって、猫ではないっ!』

兄『ふーん。……本当に?』

神?『な、何を言っとるかや! あ、当たり前じゃろうが! ど、どうしてワシが神じゃないなどと思うのじゃ!?』

兄『いや、なんかね。他人事にしては、その虐待された猫に入れ込み過ぎてる気がして』

神?『そ、それは……わ、ワシが優しいからじゃ! それ以外にどんな理由があるというのじゃ!?』

兄『そうな。例えば、……神なんて最初からいなくて、虐待された猫が化け猫になり、勝手に神を名乗って祟っているだけ……とか?』

神?『っ!? なっ、ななな、何を、い、言っとるかや? そ、そんなわけ……』

兄『よし、決めた。そうだと勝手に思い込もう』

猫?『だっ、だから違うと言っとるじゃろーがっ! 勝手に猫扱いするでないっ!』

兄『というわけで、猫。俺と一緒に来い』

猫?『は……はぁ? な、何を言ってるかや、貴様は? 今は貴様を試しておる時なのじゃぞ?』

兄『お前は虐待されて死んだ可哀想な猫、と俺が勝手に思い込んでるので、死ぬほど可愛がりたい』

猫?『か、かわっ……ふ、ふざけるニャッ!』

兄『にゃ?』

猫?『あっ、いや、違う、ニャじゃない、なって言ったニャ! ……あ、いや今のも違くて!?』

兄『うん、可愛い。よし、やっぱりお前は俺が飼う!』

猫?『かっ、飼うッ!? なっ、なな、何を言うのニャ! そ、そんなの絶対にダメニャ!』

兄『完全に語尾がニャくんになってるが、決めた。お前を俺の飼い猫にして、嫌ってほど可愛がる』

猫?『……い、いいの? ……じゃないッ! だ、誰が貴様ニャんかに飼われるか!』

兄『じゃあ、選んでくれ。夢から覚めて、そこにお前がいたらそのまま飼う。いなけりゃ、これは夢だったと諦める』

猫?『わ、ワシに選べと言うのニャ? ……で、でも』

兄『好きにしてくれ。ただ、1つだけ言わせてもらうなら、俺は本当にお前と一緒にいたいと思っている』

猫?『わ、ワシのような子猫を相手に、何を言っとるニャ、この変態っ! ……も、もう、お前なんか元の世界に戻っちゃえばいいのニャっ!』

兄『うっぷす』

──兄妹宅──

兄「ん、んぅ……よし、起きた」

猫?「……う、うにゃー」

兄「ふむ。そして夢かもと思っていたが、件の猫も隣に……えっ、人の姿?」

猫娘「な、なに? ダメかニャ?」

兄「いや、俺はてっきり猫の姿でくるものだと思っていたので。でもこの姿も可愛いし、いっか」ナデナデ

猫娘「にゃ、ふにゃ……にゅう///」

兄「わはははは。かーわいーい」ナデナデ

猫娘「にゅう……べ、別にお前の飼い猫になったわけじゃないニャ。お前が自分可愛さで猫を嫌ってないと嘘をついていないか、この目で調べるために飼い猫のフリをしてるだけなのニャ。……そ、それだけなのニャ!///」

兄「ああチクショウ可愛いなあ」ナデナデ

猫妹「にゃ、にゃう……あ、あんまりなでるニャ///」ピーン

妹「おはようお兄ちゃん、朝のみるくしぼり……てめぇ誰だ」ゴゴゴゴゴ

猫娘「ひにゃあっ!?」

兄「朝から殺気を撒き散らすな、妹よ」

妹「またか。また増えたのか。どこからこんな猫娘を拾ってきた、お兄ちゃん」

兄「かくかくしかじか」

妹「なるほど、完全に把握した。……しかし、小柄な私より背が低いとは。何cmだ? 小学生くらい?」

猫娘「ぶるぶるぶる……こ、この娘、怖いニャ! 助けてニャ、ご主人さま!」ヒシッ

妹「語尾にニャ+ご主人様? なんてコテコテな。……いや、その位の方が逆にいいのか?」

兄「ああ大丈夫大丈夫。にしても、ご主人様っていいなあ」ナデナデ

猫娘「うにゅうにゅ……にゃー♪」

妹「ちくしょう、こいつぁまずい。私も媚びねば。お兄ちゃんお兄ちゃん、うっふんにゃん」

兄「それは萌えません」

妹「ちくしょう」

兄「ところで、さっき俺のことをご主人様と呼んだようだが、その」

猫娘「ち、違うのニャ! さ、さっきのは、偶然出ちゃった言葉なのニャ。本当はそんなこと思ってないのニャ。……で、でも、一応飼い猫ってことだから、イヤイヤそう呼んでやるのニャ!///」

妹「ああこの可愛らしさが憎い。川に流してしまいてえ」

猫娘「この時代でも流されるのニャー!?」

兄「落ち着け。そして妹よ、冗談でもそんなことは言うものではない。ほら、猫娘も震えているではないか」ナデナデ

猫娘「ぶるぶるぶる……」ヒシッ

妹「ああ、そっか。……ごめんね、猫娘ちゃん。お姉ちゃんを許してくれる?」

猫娘「……わ、ワシは寛容だから、特別に許してやるのニャ。で、でも、次言ったら許さないのニャ!」

兄「妹が自らをお姉ちゃんと。……これはこれで!」ナデナデ

妹「計画通り」スリスリ

猫娘「いいニャー」

──通学路──

兄「普通に猫娘も連れてきたが、よかったのだろうか」

妹「今更ネコミミが一人や二人増えた所で変わらないよ」

猫娘「うにゃー……ご主人さまと同じ服を着た人がいっぱい」

妹友「……また増えてる。おにーさん、この子誰ですか?」

兄「かくかくしかじか」

妹友「なるほど。……ん? 何か見覚えあるわね」

猫娘「それも当然なのニャ。お前の夢に出て、猫薬を与えたのはこのワシなのニャ。えっへんなのニャ!」

妹友「……なるほど。今のネコミミの群れの全ての元凶なんですね」

猫娘「そうニャ。本来は猫の耳が生えて周囲の人間どもに忌避される予定なんだったのに、ご主人さまのせいで何もかも台無しニャ。なんか受け入れられてるのニャ。おかしいのニャ!」

兄「おかしくない。喜ぶだろ、普通」

猫娘「喜ばないのニャ! ご主人さまがおかしいのニャ!」

兄「まだ言うか。こんな可愛いのにまだ言うか」ナデナデ

猫娘「にゃ、うにゃ……な、なでなではずるいニャ、ご主人さま///」

兄「ああ可愛い」スリスリ

猫娘「ふにゅー……///」

妹友「これはマズイわね」

妹「しかも、私達と違って天然物のミミときた。……いっそ千切るか?」

猫娘「にゃーッ!?」

兄「そこの娘さんがた、うちの猫が怖がってるのでやめてくれませんか」ナデナデ

猫娘「ぶるぶるぶる……」ヒシッ

妹友「う。……ちょっと可愛いのがムカつくわね」

妹「こうか。ぶるぶるぶる。……お兄ちゃん、可愛い?」

兄「可愛い」ナデナデ

妹「しめしめ」スリスリ

妹友「いかなる隙も見逃さないわね」

猫娘「いいニャー」

兄友「……毎日増えるね」

兄「おはよう。かくかくしかじか」

兄友「なるほどね。……ということは、この子も兄くんのハーレムの一員なのかい?」

兄「ハーレム?」

兄友「以前言っていたじゃないか、一夫多妻制の国へ移住すると」

妹「そいつぁ聞き捨てならねぇな」

妹友「そこは英語圏ですか? それならなんとかなりますが、それ以外となると今から勉強する必要がありますね」

兄「あれ、なんでみんなそんな乗り気なの? え、冗談じゃないの?」

兄友「冗談……?」

妹「お兄ちゃんが何を言っているかわからない件」

妹友「一人で全員分の稼ぎを得るのも難しいでしょうし、当然共働きですよね。海外でも有用な資格を在学中に取っておきましょう」

兄「あれ? あれ?」

猫娘「よく分からないけど、ご主人さまはみんなに好かれてるのかニャ?」

兄「いや、嫌われてはいないと思うけど、好かれてるかどうかは」

妹「まだそんなこと言ってるのかお兄ちゃんは。可及的速やかに種を仕込まれる必要があるな」

兄友「こっ、ここでかい!? ……せ、せめて最初くらいはちゃんとした場所がいいよ、兄くん///」

妹友「私はやはり妹ちゃんの親友として、一緒に奪われるんでしょうか。……や、優しくしてくださいね、おにーさん?///」

猫娘「……ひょっとして、ワシもなのニャ? ……し、しょうがない。一応飼い猫だから、特別に我慢してやるのニャ!/// ……でも、入るかニャ?」

兄「すごいことになってきた」

妹「誰が最初かじゃんけん、じゃんけん」

兄友「負けられない戦いがここにある……!」

妹友「私の勝負強さを知ってて挑むとは、妹ちゃんも落ちたものね。一緒に奪われるとはいえ、おにーさんの最初は私がもらうわよ」

猫娘「新参だからって負けないのニャ! ご主人さまのため、猫の底力、見せてやるのニャ!」

兄「……まあ、いっか。よし、頑張ろう」

妹・妹友・兄友・猫娘「「「「最初はグー、ジャンケンポン!!!」」」」


おわり

[後日談]


──兄妹宅──

兄「ええと」

妹「ふしゃー」

兄友「いやなに、ただの予行演習だよ。そう警戒しないでくれると嬉しいな」

猫娘「よこうえんしゅう?」

妹友「そうよ。将来のために、ね?」

兄「嫌な予感しかしねぇ」

兄友「それは気のせいというものだよ、兄くん。ただお泊りするだけさ」

兄「待て」

妹友「大丈夫ですよ、おにーさん。今日明日と学校はお休みですし、お泊りセットも、ほら、このとおりです!」ポンポン

兄「いやそんな心配はしてなくて」

妹「ふしゃー」

兄友「じゃ、じゃあ、その……こほん。ふ、ふつつかな娘ですが、よろしくお願いします」

兄「待ってなんで三つ指ついてるの? え、それって結納の時の台詞だよね?」

妹友「……幸せにしてくださいね、おにーさん?///」

兄「え、あれ、まだ結婚してないのに。あれ?」

妹「ふしゃー。許せねえ。お兄ちゃん、負けじとこっちも結婚しよう」

兄「結婚とは勝ち負けでするものではないと思うのだけど」

猫娘「よく分からニャいけど、ワシもご主人さまと一緒がいいニャ。ご主人さま、けっこん、けっこん!」

兄「お泊りの話じゃなかったっけ?」

兄「少し落ち着こう」

兄友「わ、私としたことが、少しばかり興奮していたようだ……深く謝罪させてもらう」

妹友「ちょっとだけ調子に乗りました。ごめんなさい、おにーさん」

兄「いや、分かってくれたらいいのだけれど……で、ちっこいの二人はなんで俺にしがみついてるんだ」

妹「血の繋がりだけでは優先性が薄いと判断し、肉体接触によりお兄ちゃんを篭絡せしめんと暗躍中」

猫娘「まねっこなのニャ。……ご主人さまにくっついてると、落ち着くのニャ♪」

兄「どういうわけか俺の周辺は腹黒が多いから、こういう子がいると安心するよね」ナデナデ

猫娘「にゃあにゃあ♪」スリスリ

兄友「ご、ごほん! 私達がいることを忘れてはいないかい、兄くん?」

兄「いや、忘れてはいないけど……結局、泊まりに来たってことだろ。うちはよくあるエロゲよろしく両親が海外赴任してるからいいけど、そっちは何か言われなかったのか?」

兄友「……とっ、特には何も言われなかったよ?///」

妹友「そっ、そうですね。た、大したことは言われませんでした///」

妹「……ほほう」

兄「?」

妹「負けらんねぇ。負けらんねぇよ。今日はスッポンだ」

兄「二度目だけど、嫌な予感しかしねぇ」

猫娘「ご主人さま、もっとなでてくれニャ!」

兄「あ、はい」ナデナデ

猫娘「にゃあにゃあ♪」

兄友「……まさかとは思うが、兄くんはロリコンなのかい? もしそうなら、私には勝ち目が……!」

妹友「いや、そんな悲観するほど兄友さんも大した胸を持ってないと思いますけど。……b?」

兄友「……慧眼を持っているね、妹友くんは」

妹友「……もっとも、私はそれに負けているんですけどね。妹ちゃんには勝ってるけど」

妹「安心めされい女衆。お兄ちゃんは貧乳好きなだけで、ようじょでなければ勃たないわけじゃない。私たちにも勝ち目は……ある!」

兄友・妹友「「おおおおおっ!」」

兄「俺のプライバシーが存在していない件」

猫娘「元気出すニャ、ご主人さま!」ナデナデ

兄「猫娘は優しいなあ」

妹友「さて、おにーさんの許可も頂いたし、今日は一日一緒ですね、おにーさんっ」ヒシッ

兄「近い近いです」

兄友「いつも妹くんや猫娘くんといるのだ、きっ、今日くらいは私がそばにいても構わないだろう?///」ヒシッ

兄「ああ反対側からああ」

妹「ここで妹が登場。乗るぜー超乗るぜー」

兄「そして妹が膝の上に」

猫娘「ワシも一緒なのニャ!」

兄「最後に猫娘がその隣に。もう動けません。このまま枯れ死ぬに違いない」

妹「人工呼吸」

男「まだ生きてます!」

妹「ちっ」

兄友「ほんの些細な機会も逃さない……認めたくないが、やはり妹くんは一歩先んじてるね」

妹友「こればかりは、ね。歴史が違うもの。……負けるつもりは更々ないけど」

猫娘「にゅう……ワシもちゅーしたいのニャ。ご主人さま、していいかニャ?」

兄「え」

今日はここまで。
後日談ーとか言われて簡単に有頂天になって書いちゃった文章だけど、いいじゃないか!
そういうのを許容して初めて人は成長するんだよ!

猫娘「あ、嫌なら全然いいのニャ。へっちゃらニャ。大丈夫なのニャ!」

兄「…………。いや、俺もちゅーしたいです」

妹「なんと」

猫娘「にゃ? ……にゃーっ!? い、いいのかニャ? いいのかニャ?」

兄「いいのニャ。はい、ちゅー」

猫娘「にゃー♪ ……あり? ほっぺ?」

兄「そう、ほっぺ」

猫娘「……ちょこっとだけ残念なのニャ。でも、嬉しいのニャ♪ ありがとニャ、ご主人さま!」

妹「ヘタレだ」

兄友「ヘタレだね」

妹友「ヘタレです」

兄「せめて俺から離れて陰口言ってくれませんかね?」

妹友「でも、まあ、猫娘ちゃん相手だからその方がいいかもしれないわね。流石に見た目が小学生の女の子に舌入れて全力のキスしてたら、ちょっと引いちゃうわね」

兄「酷い言われようだ」

兄友「しかし、兄くんのことだ。近い将来我慢できずにやってしまうだろうね」

兄「あ! なんだろう急に耳が聞こえなくなった!」

妹「よし、じゃあ今のうちに私もキスしとこう」

兄「ダメです」

妹「ちくしょう、聞こえてやがる。折角のちゃんすだと思ったのに。贔屓だ贔屓。私もお兄ちゃんとちゅーしてえ。にゃあにゃあ」

猫娘「むー……ご主人さま! 妹さまとちゅーしてあげるのニャ!」

兄「え」

猫娘「ワシだけ贔屓なんてダメなのニャ! みんな幸せじゃないとダメなのニャ!」

妹「思わぬ援護射撃だ。こいつはちゅーするしかないぜ、お兄ちゃん」

兄「え。えーっと。え?」

妹「はい、お兄ちゃん。ちゅー」

兄「ちゅー。……え?」

妹「ちゅ、はむ……ちゅぷ。……はぁ、お兄ちゃんとのちゅーは相変わらずたまらん。フヒヒ、うめーうめー」ペロペロ

兄友「口……だと……?」

妹友「一線を超えたというのに、一切の躊躇ナシ……やはり妹ちゃんは、凄い……!」

妹「あ、別にお兄ちゃんとするのはこれが初めてじゃないからへーきへーき」

妹友「どういうことだ実の兄妹」ゴゴゴゴゴ

兄「久しぶりの鬼軍曹の出現に震えが止まらないよ」

妹友「ポーズだけと思いきや、本当に愛し合っていたなんて……この兄妹の覚悟を見誤っていたようね」

兄友「うう……分かってはいたけど、実際に見ると、かなりの衝撃だね……」

猫娘「ご主人さまご主人さま、もっかいワシもちゅーしてほしいのニャ♪」

兄「ああはいはい。ちゅー」

猫娘「にゃー♪ ……またほっぺなのニャ。解せぬ」

妹友「このロリコンどもめ」

兄「一人です」

兄友「ああ……一歩どころか二歩も三歩も先に行かれているよ……」

妹「お兄ちゃん、もう一度だ。こちらももう一度頼む」

妹友「てめェわざとか」

妹「てへぺろ(・ω<)」

妹友「今のはマジで頭(てっぺん)来た。表出ろ」

妹「しゅっしゅ」

兄「あーもー。人の家まで来て喧嘩するな」ナデナデ

妹「あー。たまらん。あー」

妹友「あっ……。う、うぅ。おにーさんはなでればなんでも解決すると思ってるフシがありますねっ///」

兄「うん」ナデナデ

妹友「なんの躊躇もなく肯定ですか……うう、おにーさんらしいというかなんというか……」

兄友「またか。ここでもリードを奪われるのか、私は」

猫娘「いいニャー」

妹「あー」

兄友「……ええいっ! あっ、兄くんっ! そ、そのっ、なんだっ、……わ、私にもキスしてくれないだろうかッ!///」

兄「え」

兄友「い、いや、兄くんの言いたいことも分かる。だが、だが……私だって、兄くんのことが大好きなのだッ!///」

妹「言った……!」

妹友「……そう言えばハーレムを形成しているというのに、まだ誰も告白してなかったわね。……私としたことが、迂闊、ね」

兄「……そこまでまっすぐ来られたら、こちらも相応の覚悟で答えるしかないな。うん、俺も兄友のこと好きだよ」

兄友「あっ、兄くん……///」ピーン

妹「嫉妬で狂いそうだぜ」ブンブンブン

妹友「よくもまあ他の女の子を前にして、そんなこと言えますね」ブンブンブン

猫娘「ワシのことは好きじゃニャいのかニャ、ご主人さま?」ションボリ

兄「ああいや猫娘も好きだよ。あと、そこのストレスがマッハでしっぽの動きがヤバイ二人も好きだよ」

兄友「……本当、都合がいいね、兄くんは」

兄「自分でもそう思うが、みんな大好きなんだ。ぶち殺されても仕方ないかもしれないが、死にたくないので殺さないで」

妹「どこかで何らかのフラグが立ってなかったら、今頃お兄ちゃんは首だけになってたに100ガバス」

妹友「私もそれに100ペリカ。まったく、賭けになりそうもないわね」

猫娘「会話だけ聞くと怖いけど、二人とも嬉しそうに笑ってるニャ!」

妹友「こっ、これは、その……そ、そりゃ、嬉しいわよ。……大好きな人に好きと言ってもらっているのだから///」

妹「正直独占してえが、まあ、ここの連中はネコミミ同盟のよしみで許す」

兄「怖いより嬉しい方が先に立ってる俺はおかしいのだろうか」

兄友「……いや、らしいと思うよ。……そ、それで、兄くん。……そ、そろそろキスしてもいいだろうか?///」

兄「え、あ、はい」

兄友「……一応ファーストキスなのだから、覚悟してくれたまえよ?」

兄「元より」チュッ

兄友「ちゅ……ちゅる、ちゅ……ん、あ、兄くん……ちゅぷ、ちゅ」

妹友「うわ、うわあ……///」

妹「なんてえろさだ。これで本当に初めてというのか。ちくしょう、なんて才だ。正直この分野では勝てる気がしねぇ」

兄友「ん……ちゅ、んプ……あ、兄くん、少し待……ンうっ、ちゅ……」

猫娘「は、はニャ、はニャニャ……///」

兄「……ぷはっ。兄友、やっぱお前えろいな」

兄友「ひっ、酷いよ兄くんっ!/// 私はえろくなんてないよ!」

妹友「いいえ、兄友さんはえろいです」

妹「うん、えろい」

猫娘「えろニャ!」

兄友「みんなも!? しかも、猫娘くんまで!? い、一体私はどんな顔をしていたんだい!?」

妹友「じゃあ、最後に私ですね、おにーさん?」

兄「マジすか」

妹友「あれ、それとも私だけ仲間外れですか? 泣いちゃいますよ?」

兄「泣かれるのは困るな。それじゃ、なんというか、よろしくお願いします」

妹友「ふふっ。はい、よろしくお願いしますね、おにーさん。……幸せに、してくださいね?///」

兄友「そこであの台詞……妹友くんは策士だね」

妹「くそぅ、なんだあのお兄ちゃんのしまりのねぇツラは。ええぃ、私とちゅーした時にあんな感じになりゃいいのに」

猫娘「ワシも口でちゅーしたいニャー」

兄「感想を言うのがデフォなの?」

妹友「……そ、それじゃ、おにーさん」

兄「あ、ああ。目、つむって」

妹友「…………」プルプル

兄「……大丈夫、別に怖いことじゃないから」ナデナデ

妹友「あ……お、おにーさん///」

兄友「……なにあれ。私もあんな風がいい」プゥ

妹「頬を膨らませてる所悪いけど、兄友さんはお兄ちゃんになでられることすら感じちゃいそうだから無理かと」

兄友「ひ、酷いよ妹くん!」

猫娘「二人とも、黙ってるニャ!」

兄友「ね、猫娘くんに叱られるとは……」

妹「今日は猫鍋だ」

猫娘「ひィィッ!? だ、だって、ご主人さまの邪魔をしたらいけないから……」

兄「お前らムード返せ。あと猫娘を食うな、妹」

妹「しっぱいしっぱい。食べるのはお兄ちゃんの役目だった」

妹友「あーもー! 早くキスしてください、おにーさんっ! このロリコンどもめ!」

兄「だから一人だっての」ナデナデ

妹友「うぅー……。ちゃんと愛してくださいよ。おにーさんのばか」

兄「う。そんな台詞を言われては、愛さざるを得ない」

妹友「そうです。愛さざる得なくしてください」

猫娘「あいさざるをえにゃくにゃくにゃ?」

兄友「しっ。いいところだ、黙って」

妹「ただのデバガメだぜ」

兄「じゃ、今度こそ。目を」

妹友「は、はい……んッ!」

兄友「やった……ッ!」

妹友「ん、……ちゅ、……ん」

猫娘「いいニャー」

妹友「……ん、ん。……んちゅ、……ん」

妹「……長いな」

妹友「……ちゅ、ぷ。……ふぅ。……えへへ、おにーさんに私の最初、奪われちゃいましたね?」

兄「う」

兄友「確信犯めいた何かを感じるね」

妹「ちくしょう、興奮してきやがった。お兄ちゃん、えろいことしよう」

猫娘「これはひどいニャ」

兄「はぁ……こうも立て続けにすると、頭がおかしくなりそうだ」

妹「大丈夫、お兄ちゃんは元からおかしい」

兄「それもそうだ」ナデナデ

妹「んー」

兄友「肯定するのかい!? なんというか、兄くんは……」

兄「まともな頭してたら、こんな状況にはなってないだろ」

妹友「……当事者ですが、そうですね。よくもまあ、こんなネコミミまみれのハーレム作りますね」ピコピコ

兄「ハーレムとか言うない。偶然好きな子が沢山いただけだ」

兄友「最低だよ、兄くん……。ま、まあ、別に構わないが。た、ただ、これ以上増やしたりしたら許さないからね!」プゥ

兄「か、勘違いしないでよね、許してほしいんだからねっ!」

妹友「無意味な対抗心でフラグを立てないでくださいっ!」

妹「ツンデレテラモエス」

猫娘「ご主人さま、もっかいちゅーしてほしいニャ」

兄「いや、流石にちょっと疲れたので」

妹「そいつぁいい。私も足りないと思っていたところだ」

兄「え」

兄友「そうだね。二度目だからね、今度はえろいなどという汚名を返上できそうだよ」

兄「いや」

兄友「……子供は何人欲しいですか?」

兄「おかしい。最後おかしい」

妹「おお、そっちのでも私は一向に構わん」

兄「いかん、これはマズイ方向だぞ」

兄友「さ、最初から皆でするのかい!? ……だ、だが確かに、その方が怖くないかもしれないし……」

兄「戻ってきて最後の良心」

猫娘「こうびなのニャ、ご主人さま!」ダキツキッ

兄「ああもうそのものズバリだ。……ええい分かった。来いッ!」

妹「後悔するなよ、お兄ちゃん。……一生幸せにしないと、許さないから」

兄友「まったく、本当に兄くんはえっちだな。やはり私がそばで見ておかないとダメだな。……だから、まあ、その。……ず、ずっとそばにいさせてくれよ?」

妹友「えへへ。おにーさんも妹ちゃんも兄友さんも猫娘ちゃんも、みんなみんな一緒で嬉しいです♪」

猫娘「ご主人さまがワシを救ってくれて、とっても幸せなのニャ♪ ずっと、ずーっと一緒なのニャ♪」

兄「太陽が黄色く見えてしまうに一万カボス」



今度こそ おわり

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