シンジ「……彼氏?」
レイ「ええ」
シンジ「え……え?」
彼氏「君がシンジ君か。レイから聞いてるよ。ヨロシク」
シンジ「レイ?……あ、ヨロシク……」
レイ「……どうしたの?」
シンジ「……だ、だって…」
彼氏「?…レイ、そろそろ行こう」
レイ「うん。…じゃ、さよなら」スタスタスタ……
シンジ「綾波………君は僕の事が好きじゃなかったの…?」
アスカ「シンジ?何ぼーっとしてんのよ?」
シンジ「…アスカ」
アスカ「まさか私が来るのを待ってたとか?」
シンジ「違うよ」
アスカ「!?…ふ、ふん!それもそうよね!アンタにそんな気づかいが出来る訳ないもんね!」
シンジ「うるさいな……帰るよ」スタスタ
アスカ「あ…ちょ、待ちなさいよ!私も帰るんだから!」
シンジ「(僕ですら名前で呼んだ事ないのに………綾波……綾波……)」
夜
ミサト「ただいまー!……ってあれ?シンジ君は?」
アスカ「おかえりミサト、…バカシンジは部屋に引きこもってるわ」
ミサト「どうして?喧嘩でもしたの?」
アスカ「違うわよ。よくわかんないけど落ち込んでるの」
ミサト「ふーん……アスカ、慰めてあげたら?」
アスカ「な!?だ、誰があんなのを……!!」
ミサト「あはは、まあそれは冗談として……ビッグニュースがあるのよ」ニヤニヤ
アスカ「ビッグニュース?」
シンジ「(……綾波……)」パラパラ…
シンジは密かに盗撮したレイの写真を見ていた
シンジ「(嘘だよね……君が彼氏を作るなんて…)」
シンジ「(そうだよ…彼氏なんて聞き間違いに決まってる……綾波はボソボソっと喋るからそう聞こえただけさ…ふふ、まあそういう所が可愛…
アスカの声「えーー!?優等生に彼氏が出来たー!?」
シンジ「」ピクッ
ミサト「帰り途中、街に寄ったのよ。それでなーんとなく辺りを見回したらレイと男の子が手を繋いで歩…
ガラッ
シンジ「…」
アスカ「あ、シンジ!凄いニュースよ!」
ミサト「シンジ君、レイがね?」
シンジ「アスカの馬鹿みたいな大声で聞こえましたよ。」
アスカ「ば!?」
シンジ「でもミサトさん…」
ミサト「ん?」
シンジ「それは見間違いですよ。綾波が街に行くなんて………男と手…てててテテ…手を繋いぐわけないじゃないですか」
ミサト「シ、シンジ君…顔色悪くない?」
シンジ「ミサトさん、僕は至って健康ですよ。むしろ調子いいですよ、シンクロ率400は行けますよ」
ミサト「そ、そう」
アスカ「シンジ…?今日のアンタ、なんか変よ?」
シンジ「……大丈夫だよ。ちょっと出掛けてくるよ」
ミサト「あ、シンジ君…」
バタン
アスカ「ね?なんか変でしょ?」
ミサト「うーん…………」
気づくと僕は綾波の自宅の近くに来ていた…
シンジ「綾波……」
部屋の電気はついている
カーテン越しに綾波のシルエットが見えた
シンジ「ふふ…そうだよ。綾波が男と出掛ける訳ないじゃないか……ミサトさんの目が腐ってただ………
その時、綾波のシルエットの他にもう一つのシルエットが現れたんだ
誰だ?綾波の家にいるもう一人の影は???
ネルフの人間か?
そうだよ、きっとネルフの人が何かを伝えにあああああああ
信じられない事態が起こった
なんと綾波の影がもう一つの影にまるでだ………だだだだ抱きつかれるように一つになったんだ
シンジ「あわわわ……」
そ……
そして綾波の影が少し顔を上げ、もう一つの影がその顔に向かって………
シンジ「ああああーー!!」
ピンポンピンポンピンポピンポーン
僕はピンポンダッシュをして逃げた
裏切られた……
綾波に…
ヤシマ作戦の時に命をかけて僕を護ってくれた綾波が……
笑う事を教えてあげた綾波が…
あの笑顔は僕だけのものじゃなかったのか…?綾波……
何故僕を裏切ってあんな男を選んだんだ…?
わからない……
僕だけの綾波……………
僕は心痛から学校を3日程休んだ
アスカ「ほらほら!!いい加減に起きなさいよ!!」
シンジ「…」
アスカが僕の布団をバッサバッサと動かす
止めろよ、ハウスダストが舞うだろ?
アスカ「大して具合悪くない癖に3日も休んで!今日はいい加減に登校しなさいよね!!」
馬鹿みたいに大きい声で怒鳴りつけてくる
この能天気高飛車怪力ドイツ人には僕の繊細な心は解らないんだろうな
アスカ「ほらほら!しゃっきり歩きなさい!」
シンジ「…」
アスカが僕をまるで犬みたいに引っ張り歩く
なんて馬鹿力だ
これは女じゃない
アスカ「…なにがあったかは知らないけど!いつまでもウジウジしてるんじゃないわよ!」
シンジ「…」
なんで君は女に生まれて来たんだろうね?
教室
トウジ「お?やっと来たか!風邪は完治したんか?」
トウジがなんか話しかけてきたが、僕には全く聴こえない
僕は綾波を探す事に全神経を集中させていた
レイ「…」
いた!いつもの席に彼女はいた!僕をチラッと見ただけですぐ外に頭をやってしまった
トウジ「心配したんやで?」
アスカ「ちょっとシンジ、人の話聞いてるの」
隣で関西人とドイツ人がなんか言っているが無視して綾波を見続けた
綾波は外を見つめたきり動かない
元気がないのか?
裏切られたとはいえ、やはり彼女の事は心配だ
ん?ちょっと待てよ?
綾波は休み時間は教室にいてああやって外を見ている
綾波はクラスの人間と関わりを持とうとしない
彼女は孤独を好む
まあ僕には恥ずかしがり屋さんだってのはわかってるんだけどね
…で、その彼女にどうやってか…彼氏が出来る!?
不可能さ!
仮に周りの飢えた男共が彼女を口説こうとしても無理だ
綾波のATフィールドは僕以外には破れない!
決まりだ!綾波に彼氏なんかいない!
ミサトさんはアホみたいにビールを飲むからアルコールで目と脳が腐ってそんな幻覚を見たんだ!
ごめんよ綾波、裏切り者呼ばわりしてしまって…
あんなアル中の言う事を真に受けて少し取り乱したけど、もう大丈夫!
命を張って僕を護り、僕にだけとびきりの笑顔を見せてくれた君が僕の気持ちを裏切ったりし………んんんんん!!???
レイ「…」ふりふり
あ………あやややや…綾波…?
そ、その手の動きはなに…!?
それはまるで………誰かに手を振ってるようじゃないか!
綾波が手を振ってる!
一体誰に!?
綾波、僕はここだよ!!
レイ「…」ニコッ
ぬおおっ!?
ほ……!?
綾波が微笑んだ!?
一瞬だったけど…
確かに微笑んだ!
あ……あれはまるでヤシマ作戦の時に僕にだけ見せたあの笑顔じゃないか!!
綾波?その笑顔は僕だけの物じゃなかったのか?
一体その天使の微笑みを誰に向けているんだ!?
アスカ「ちょっと聞いてるのシンジ?」
トウジ「何プルプル震えとんのや?大丈夫か?」
ドイツ人と関西人が僕を揺さぶる
止めてくれ、僕に触らないでくれ
綾波のあの誰にもバレないように小さく手を振る動作…
畜生!愛らしいじゃないか!!
綾波の視線の先には何があるんだ?
くそっ、邪魔だ関西人
君がそこにいると綾波の視線の先にあるものが見えないじゃないか!
毎日同じジャージ着てきて!
臭いんだよ!
僕が頭をずらそうとすると関西人はそれを阻止するかのように頭や腕を動かしてくる
なんだこいつは、こんな関西人とシンクロしたってちっとも嬉しくない!
僕は思い切って立ち上がった
ガタッ
トウジ「!?」
アスカ「…シンジ?」
綾波の視線の先にあるものっ!!
一体なぎええええええええええ!!??!??!!!
彼氏「」フリフリ
ま…まさか………
シンジ「あ……あう………あ…」
アスカ「ちょ、ちょっとどうしたの?」
父さん、僕を初号機に乗せて下さい
ドガララアァンッ
アスカ「きゃあっ!シンジ!?」
トウジ「お、おいどうした!?」
レイ「………?」
目を覚ますと、天井が目に入った
……僕の…知らない天井………
いやいや、ここは保健室の天井じゃないか
アスカ「シンジィッ!!!」
シンジ「うわっ!?」
ビックリした!
いきなり耳元で叫びやがってこのドイツ人め!
殺す気か!
文句の一つでも言ってやろうと彼女の顔を見上げた
アスカ「う………うぅ」
…え?泣いてるよ?
アスカ「馬鹿っ!心配させんじゃないわよ!!」
シンジ「し…心配?」
心配だって?
僕が君に何かしたか?
アスカ「アンタ、教室でいきなり倒れたのよ!」
倒れた?
ああ、そう言えばそんな気が…
でもなんで倒れたんだっけか?
何か衝撃的な事があったような…
アスカ「倒れた時、アンタ机に頭強打したのよ。……死んだかと思った…」
そうだったのか…
僕とした事が教室でそんな醜態を晒してしまうとは…
そんな僕の姿を見て綾波はどう思っ…………ん?綾波?
…なんだろう、何か引っかかる……
綾波の事でなんかあったような気が……
アスカ「ったく、馬鹿シンジがこれ以上に馬鹿にならなくて良かったわ」
シンジ「…うるさいな」
ドイツ人は嫌味を言い保健室から出ていった
一体なんなんだ、あの女は
女らしさが微塵も感じられないよ
死んだかと思った………とか言ってたけど、そんなヤバい状態なら保健室で寝かされてる訳ないだろ?
全く、馬鹿はどっちだよ
保険医「惣流さん、ずっと君の事見ていてくれてたのよ」
シンジ「えっ…そ、そうなんですか」
気持ち悪っ
…というか、綾波が来てくれてないのがちょっとショックだな……
まあ、彼女は恥ずかしがり屋さんだから仕方ないか……
もしかしたら綾波が来てくれるんじゃないかと淡い期待を胸に抱き、保健室で休んでいたが結局来なかった
次の休み時間にはドイツ人が僕を連れ戻しにまたやって来た
畜生
アスカ「もう大丈夫なんでしょ?早く戻るわよ!」
シンジ「ちょ…」
ドイツ人が僕の手を無理矢理引っ張って教室へ連れて行こうとする
くそっ
これが綾波だったらどれだけ幸せだったか!
トウジ「碇!大丈夫なんか?」
ケンスケ「いきなり倒れたから驚いたよ。思いっきり頭打ってたし」
シンジ「ああ…大丈
アスカ「大丈夫大丈夫、これ以上馬鹿になる事もないから!」
何言ってんだこ
のドイツ人
流石の僕でも怒…
って関西人と眼鏡も笑ってるし!
なんて失礼な奴等なんだ
なんで僕の周りには綾波以外にまともな人間がいないんだよっ
そうだ、綾波…綾波…
レイ「…」チラ
あ、いたいた
綾波、目が合った一瞬でもうわかったよ
君が僕の事をそんなにも心配してくれてたなんて
心配かけてすまなかった…
でも僕はこう見えて身体は頑丈な方なんだ
今度の体育の時間の時にその頑丈さを見せ……………………………ん?
レイ「…」ゴソ
おや?綾波が何かをポケットから取り出したぞ?
綾波が取り出したのは………携帯電話?
珍しいな
綾波は普段携帯なんていじらないのに…
レイ「…」ポチポチ
なんだろう……何やってるんだ…?
まさかメール………………?
いやいや、まさかね…
綾波が他人にメールアドレス教える事なんてしないだろうし……
レイ「…………ふふ」
えっ
笑った?
笑った?
綾波が携帯を見て笑った…?
いや、中々可愛らしい姿なんだけど…
まさか………え?
誰かとメールをしているのか?
そんな馬鹿な
僕ですら彼女のアドレスを知らないのに、一体誰が…!?
そうだよ、綾波がメールなんてする訳ないじゃないか!
きっと………………………そう!
アプリだよ!
何か面白いアプリでもやってるに違いない!
そうに決まってる!!
うん!
アスカ「シンジ?なに優等生の方見てるのよ?」
シンジ「うぇ!?」
馬鹿!
こんなクラスメイトが沢山いる所でそんな事言うなよ!
君の声はただでさえ馬鹿みたいにでかいんだから!
全く、綾波に聞こえたらどうするつもりだ、このドイツ人め
国へ帰れ
アスカ「あれ?…優等生が携帯いじってる…」
トウジ「お、珍しいな」
ケンスケ「そういえば、綾波さん彼氏出来たんだってね」
シンジ「……えっ」
え?
な…?何を言い出したんだこの眼鏡は?
トウジ「おお、ワシも驚いたで。朝二人で手を繋いで登校してきたの見た時は身体が固まったからなあ」
え……?
手を繋いで……?
僕、綾波と一緒に登校してきたっけ?
アスカ「へえ~!中々大胆ね…」
シンジ「…」
トウジ「そういえば…」ニヤニヤ
アスカ「ん?」
ケンスケ「君達二人も手を繋いで登校してきたんだってね」
アスカ「な!?ち、ちょ…そ、それは……」
トウジ「中々、お似合いだったなあ。なぁケンスケ?」
ケンスケ「うんうん、バッチリだったよ」
アスカ「ちょっと、止めてよね!誰が好きで馬鹿シンジなんかと手を繋いで登校しなきゃいけないのよ!あ、あれは遅刻しそうだったか急いでただけで…」
トウジ「そんな必死にならんでもええやろ」
ケンスケ「返って怪しさが増したなあ…」
アスカ「なー!!ち、ちょ……馬鹿シンジ!アンタも何か言いなさいよ!」
シンジ「…」
僕は三匹を無視して綾波を見続けていた
あ………綾波にか……彼氏が出来ただって……?
そんな馬鹿な……
綾波、君には僕がいるじゃないか!
シンジ「う…」ズキ
くっ…!
さっき打った頭が痛くなってきた……!
アスカ「…シンジ?」
う……な………何かが思い出せそうだ………
そ、そうだ…
確か綾波はあの時外の景色を見ていた………
そ……それで……て、手を振っていたんだ…!
ち、違うクラスの………男に……!!
う…ううウオオオォ………!!!
ケンスケ「め、目が充血しまくってるぞ?」
シンジ「え…?はは、馬鹿だな。そんなわけないよ」
アスカ「ちょっとシンジ、本当に目が真っ赤よ?」
ドイツ人が僕に顔を近づける
止めろ、馴れ馴れしく僕に顔を近づけるな
その行為が許されるのは綾波だけだ!!
レイ「…」ポチポチ
綾波は相変わらず携帯をいじっている
明らかにアレは文を打っている動きだ…
ま……まさか本当に……か……彼氏……と!?
僕は震える両足に力を込めなんとか立ち上がった
カタッ…
アスカ「…シンジ?」
トウジ「どうした?」
シンジ「ちょっと……また保健室に行ってくるよ……」
アスカ「だ、大丈夫なの?」
シンジ「うん……次の体育は休むよ」スタスタ…
ケンスケ「なんか様子が変だったなあ」
アスカ「…」
スタスタスタスタ…
まだだ!
まだ綾波に彼氏が出来たと確定した訳じゃない!!
次の時間で……ハッキリさせてやる!
今日の体育は外でサッカーだ
女子は教室で着替えて外へ行く
荷物は教室に起きっぱなしになるんだ
つまり……
綾波の携帯電話もあるハズ!!
シンジ「…」キョロキョロ
僕は通路に誰もいない事を十分に確認し、教室へと入っていった
シンジ「…」
綾波の机の前に立つといい匂いがした
綾波の匂いだ…
この匂いをかいだのは久しぶりだ……あの時、初めて綾波の家に行った時以来だ……
僕は綾波の机に手を伸ばす…
ごめんよ綾波…
こんな事をしてしまって……
でも、君へのあらぬ疑いを晴らすにはこの方法しかなかったんだ…!
ガサゴソ…
コツッ
シンジ「!」
硬いものが当たった………間違いない、携帯だ
スッ…
シンジ「…」
黄色い携帯…
綾波らしいナイスなチョイスだ
……人の携帯を持つとなんでこんなにドキドキするんだろう
シンジ「…逃げちゃ駄目だ」
パカッ
思い切って携帯を開いた
シンジ「………!!」
まず待ち受け画面が僕を迎え入れたあああああああああ
待ち受け画面には………綾波と………あ………あややや……綾やや波と………
あ……あの男が一緒に写っている画像が………
し……しかも綾波が……ま、まるで男に寄り添うかのように……………!!!
シンジ「」プルプルプル
なんて事だ………!
綾波が……僕を裏切って…ど、何処の馬の骨ともわからない男と……!
い、いやまだだ……!
まだ確定したわけじゃない……!
カチ… カチカチ…
僕は震える手で携帯を操作する…
次は……アドレス帳だ………
カチカチ…
シンジ「…」
カチカチ…
『碇司令』
『葛城三佐』
『二番目』
『彼氏』
シンジ「……………………!!!」
フオオオオォォーーーーーーーー!!!!!!!
シンジ「綾波……」
僕は涙を流していた…
綾波…僕の綾波………何故君はこんな僕じゃなくてこんな男を選んだんだ…?
っていうか父さんとアスカが登録されていてなんで僕が登録されてないんだよ!!
シンジ「うぅ……畜生………」
カチカチ…
涙で濡れた手で僕はメールボックスを開いた
From:彼氏
昨日は楽しかったね。また一緒に行こう!
楽しかったね……!?お、お前は昨日綾波に何をしたんだ…!?
カチカチ…
From:彼氏
この間はごめんね
ちょっと無理矢理すぎたね…反省
!!?
お、おま……!?
無理矢理!?
無理矢理って何!?
こ、この無理矢理に対しての綾波の返信はどうなんだ?
カチカチ…
僕は急いで送信ボックスを開く
あ、間違った
畜生、人の携帯はどうしてこんなに操作しづらいんだ!!
カチカチ…
シンジ「…!?」
To:彼氏
ごめんなさい、私の方から良いって言ったのに…
ちょっと……怖かったから……
あややややややややややや
綾波………君は奴に何をさせようとしたんだ…!?
ちっくしょおおぉぉ……!!!
シンジ「はぁ…はぁ…!」
これ以上メールを見るのは危険だ…
僕の中のMAGiが警告音を発している…
シンジ「はぁ…はぁ…!!」
僕は次にデータフォルダに手を伸ばした
僕はデータフォルダを開いた…
カチカチ…
シンジ「…」
グラフィックフォルダには何も入ってないみたいだが………
フォトフォルダに五枚の写真が入っているようだ………
シンジ「…く」ゴクリ…
僕はこのフォルダと向かい合い、果たして無事でいられるだろうか…?
見なければこれ以上傷つかないのに…
だが本能には勝てない…僕は恐る恐る親指を決定ボタンに乗せた
とりあえず古い順に見ていこう……
まずは一番下の写真……
シンジ「…」ポチポチ…
シンジ「…!これは……」
これは綾波が携帯を買ったばかりの頃、ネルフでこっそり撮影した集合写真じゃないか
真ん中にミサトさん、その右隣に綾波、左にアスカ、そして後ろに僕
誰も気づかないだろうが、この時僕は微妙に綾波寄りに立っている
この頃の綾波はまだ人前で笑顔を見せるのが恥ずかしかったんだっけ……
ふふ……僕がその笑顔を教えてあげたんだ…
ふふ……ふ…
二枚目……
ポチポチ
シンジ「えっ?」
二枚目はなんと父さんと冬月さんが写ってる写真だった
綾波が撮影したのか?
よく許可が下りたなぁ……
冬月さんは軽く笑っているが、父さんは相変わらず無表情だ
…というか椅子に座ってるのに腕を下に下ろして直立状態で撮影されている
怖いよ
父さん、仲間内で写真撮影した事無いのかな?
でも、綾波ってこういう写真を大事にするんだなぁ…
なんか微笑ましいや
ふふふ…可愛いなぁ……
僕は三枚目の写真を開いた
うおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!?
信じられない
セカンドインパクトだ
シンジ「あ…あぁ………!」
三枚目の写真……
なんと、綾波がカラオケボックスで歌ってる写真だ……
撮影したのはあの男か!?
くそっ!なんて破壊力なんだ…!
デート用の服装のオシャレな綾波…!
恥ずかしながらも一生懸命歌っているこの姿……!!!
あぎゃああぁ頭がどうにかなりそう!
シンジ「…」
既に僕はLCLに還元されそうなくらいヤバい状況になっていた
もう頭の中は真っ白
泣きたい
泣きながら街を走り抜けたい
震える指で僕は四枚目の写真を見た
おぎゃあああああぁぁぁぁぁぁ
四枚目の写真はデートが終わった後の写真なのか?
綾波の部屋だ
綾波の部屋で……
デ、デート用のオシャレな服装をした綾波がエプロンをつけて………
料理をバックにあの男と寄り添って写っている!!!
ぎえやあああぁ!!
シンジ「あばふっ」ブシュ
僕は鼻血を吹き出した
ポチポチ
シンジ「……あぁぁ!!」
大変な事に気づいてしまった
この四枚目の写真の詳細情報を見ると、撮影日がこの間、僕が綾波の家の前にいた日だったんだ!
し……しかもこの撮影時刻…!
僕がピンポンダッシュをしてすぐ後……!!!!
僕が哀しみに暮れている時にこの二人はうおおおおおぉぉぉ…
五枚目は待ち受けに使われてる写真だった
四枚目の画像を違うポーズで撮ったような感じだった
一番最初に見た写真だったのでこれ以上のダメージは受けないと思っていたが甘かった
よく見ると綾波の指に指輪がはめられていたんだ
追い討ちを食らった僕は机についた血を拭き、デート用の服装をした綾波の写真をこっそり僕の携帯へ送り、携帯を机に戻しふらつく脚で保健室へと戻り長い眠りについた
アスカ「馬鹿シンジ!!!」
シンジ「っ!?」
びっくりした!
またでかい声で叫びやがって!ドイツ人め!
アスカ「何時まで寝てるのよ?もう昼時間よ?」
シンジ「…別にいいじゃないか」
アスカ「はあ、ホントに馬鹿シンジね…お昼一緒に食べようって言ってんのよ」
シンジ「え…?」
お断りだ
なんで僕が昼休みまで疲れなくちゃいけないんだよ
関西人達と食べればいいじゃないか
シンジ「…いいよ、食欲無……
アスカ「いいからさっさと行くわよ!」
またもドイツ人は自慢の怪力で僕を無理矢理引っ張って行く
誰か僕を助けてよ!
結局僕はドイツ人と屋上で昼ご飯を取る事になった
シンジ「…はぁ」
アスカ「……いつまで落ち込んでんのよ」
シンジ「…」
アスカ「悩みがあるなら言いなさいよ。特別に聞いてあげるから」
シンジ「アスカには関係の無い事だから」
アスカ「っ!?…そ、そう!ま、まぁ馬鹿シンジの悩みなんてアタシが聞いてやる程の事でもないわよねぇ」
シンジ「…はぁ」
……あぁ、疲れる
アスカ「」ペチャクチャペチャクチャ
シンジ「…」モグモグ
それにしてもこのドイツ人はよく喋る
留まる所を知らない
くそ、本当なら綾波のオシャレな服装の画像をオカズに昼ご飯を食べるつもりだったのに!
アスカ「………あ」
シンジ「…ん?」
ようやく止まった………
……だけど、…あってなんだ?
アスカ「シンジのハンバーグ……美味しそうね」
は?
いきなり何を言い出したんだこの人は?
シンジ「…アスカと同じだよ」
アスカ「いーや!シンジの方が焼き色もいいし美味しそうよ!!」
味は同じだろ
アスカ「……それ、頂戴」
シンジ「…………え?」
え?
頂戴?自分のハンバーグ半分食べておいて何を言ってるんだ?
理解ができない
シンジ「半分食べてるんだから、そっちでも大丈夫じゃないか」
アスカ「んーん!アタシはそっちがいいのよ!」
何処のガキ大将なんだ、この子は
シンジ「…」
アスカ「ハンバーグ!ハンバーグ!」
うわあ、ハンバーグコールしだしたよ…
人がいないとはいえ、ハンバーグコールは恥ずかしい
不本意だが与えるしかないのか……
シンジ「…わかったよ」
アスカ「!ふふん、わかれば宜しい!さ、頂戴!!」
シンジ「…だけど半分だけだよ。僕のオカズが無くな…」
ハンバーグを半分に割り、片方をドイツ人にやろうとしたその時
アスカ「あ、あーん」
何してるのこの人!?
シンジ「…え!?アスカ?」
アスカ「早く!早く!」
シンジ「えぇ…?」
何考えてるの、この人?
なんか怖い
アスカ「早く!早く!ハンバーグ!ハンバーグ!」
ああ、ハンバーグコールがまた始まった…
仕方ない、誰も来ないことを祈ってさっさとやろう
シンジ「…じ、じゃあ行くよ」
アスカ「あ~ん」
なんで僕がこんな事を……
綾波にやってもらえるなら死んでもいいのに…
僕は恐る恐る、ハンバーグをドイツ人の口に運んで行く
アスカ「…」
なんで目を閉じてるんだよ……
何か知らないけどドキドキするじゃないか……
僕は妙な緊張感と恐怖から顔を少し横に向けた…………………………ん?
シンジ「…」
どうやら、僕達の前に先客がいたようだ……ちょっと離れててよく分かんないけど多分男じ…………………!!!?
あ、あ、綾、あ、綾波………!!!
なんという運命の悪戯!!!
綾波とあの男が……!この屋上で……!仲良く弁当を食べているじゃないか!
綾波を発見してしまったショックで僕は腕にブレーキをかける事を忘れ、ハンバーグはドイツ人の喉チンコに直撃した
アスカ「う゛ぉっえ!」
シンジ「あ、ごめん」
アスカ「……!げほっげほっ!!」
何て事だ……午前中にあれだけダメージを受けた僕に更なるダメージを与えるなんて……
あの男が食べている弁当……あれは綾波の手作りなのかな……?
いいなあ…
僕がカラスだったらあの男を襲撃するついでに弁当奪ってやるのに
アスカ「馬鹿シンジ!!!丸呑みしちゃったじゃない!!」
シンジ「あー、うん」
綾波…
畜生…!
なんて羨ましいシチュエーションなんだ……!!
君はあの男の何処の惹かれたんだ?
なんで僕を捨ててその男を選んだんだ!?
教えてくれよ、綾波ぃっ!
ああ、このモヤモヤとした気持ち…
どうにか晴らせないものか…
アスカ「あれ………優等生じゃない」
ようやく気づいたのか、鈍いな
シンジ「…うん」
アスカ「彼氏と一緒にお弁当かぁ……………………がれるなぁ」ボソッ
シンジ「じゃ、教室戻るよ」
アスカ「……!!!ちょ、待ちなさいよ馬鹿!!アタシを置いてくんじゃないわよ!!」
シンジ「…え?別に食べてればいいじゃないか」
アスカ「~!!本当っに馬鹿シンジ!!!」
日本語を喋れよ
…………
あぁ、やっと学校が終わった…
長い1日だった…
早く家に帰って画像を写真に……
アスカ「シンジ、待ちなさいよ!」
うっ
もう追いついて来やがった…
いの一番で教室出たのに……なんて速さ…さすがはドイツ人………
シンジ「…なに?」
アスカ「たまには寄り道していきましょ」
……僕、君と一緒に帰るつもりなんて無いんだけど…
ドイツ人に引っ張られ僕は街へと連行された
街に着く頃には夕焼けが出ていて学生カップルが溢れていた
アスカ「カップルばっかねえ……」
シンジ「…………うん」
嗚呼…
なんて綺麗な夕日なんだろう
こんな夕日の中、綾波と手を繋いで歩けたらどんなに幸せだろうか…
アスカ「ほら、行くわよ!」
シンジ「…うん」
チリーン チリーン
シャー…
僕達の目の前を自転車が横切る
乗っていたのは学生カップル……
……ああ、学校の帰り道、夕日に照らされ彼女を後ろに乗せ自転車をこぐ……
男のロマンだ
理想だよ…
これを綾波と出来ていたら僕はもう……
アスカ「……って、ちゃんと聞いてるのシンジ?」
シンジ「えっ、あ、うん…」
なんだ、独り言じゃなかったのか
全く、昼にあんだけ喋ったのにまだ動くのかこの口は…
このまま立ちっぱなしで長話されるのも苦痛だ…
何処か休める所を探そう
シンジ「アスカ、喫茶店でも寄ろうか」
アスカ「!!ほ、本当に!?」
え?なんだ、この反応?
シンジ「嫌ならいいけ
アスカ「問題無し!!行くわよ!!」
ギュッ
シンジ「え、ちょ…」
ドイツ人が僕の手を握ってきた
止めてくれよ、なんで君にドキッとしなきゃいけないんだよ
僕達は喫茶店に入った
ドイツ人がどうしてもクラシックな感じな所がいいと駄々をこねたので見つけるのに30分もかかった
その間、僕は何度か彼女から手を離そうとしたが、ドイツ特有の怪力により離す事は出来なかった
しかし、繋いでいる間は
ああ、彼女が出来たらこんな気分なんだなと妙な悦に浸ったりもして綾波に申し訳ないと思いつつも内心ドキドキしたりしていたんだ
僕とした事が…
なんでドイツ人にドキドキするんだ…
座った状態なら興味の無い話を聞くのも大分楽になるだろう
そう思ったがドイツ人に異変が起こった
アスカ「…」
シンジ「…?」
あのドイツ人が一言も発しないんだ
何故?さっきまで喋りまくってたのに…どうしたんだ?
沈黙って…意外と辛いんだな……甘く見ていたよ
シンジ「アスカ…?」
アスカ「! え、あーいや……はは、…なんか緊張するなーと思ってさ……」
シンジ「えっ」
アスカがそんな事抜かすもんだから僕の緊張もひと増しになった
シンジ「…」
アスカ「…」
やだな、何か喋ってよ…
暑いよ…主に両耳が………
誰かなんとかしてよ!
アスカ「……」
シンジ「……」
アスカ「……ぐ」
シンジ「?」
アスカ「グーテンモーゲン!」
シンジ「ブフッ」
カランカラーン
アスカ「!」
シンジ「!」
びっくりした……
お客さんか……ん?
レイ「…」
シンジ「あ!?」
綾波!まさかこんなタイミングで現れるなんて!
アスカ「優等生…」
レイ「…こんにちは……デート?」
アスカ「ぶっ」
シンジ「ぷっ」
綾波の突然の一言にアスカは紅茶を吹き、僕は角砂糖を吹いた
アスカ「ばっ……!げほっ!げほっ!!」
シンジ「ち、違うよ!ただ寄り道してただけだよ!」
レイ「…それってデートじゃないの?」
いやまあ世間一般に言えばこれはその…デ……デートって奴だけど…
僕とドイツ人はそんな関係じゃ…
アスカ「そ、そうよ!買い物のついでに寄っただけなんだから!」
レイ「…そうなの」
綾波……笑ってる?
そういえば、こうやって綾波と面と向かって話すのも凄く久しぶりな気がする………
不思議な事に、僕は綾波と話していても特に緊張も喜びも感じなかった
一体どうしたんだ?
日中は鼻血出るくらい精神的に傷ついたのに…
アスカ「あれ、彼氏は?」
レイ「別れたわ」
シンジ「えっ」
レイ「…嘘」
アスカ「なによそれ」
なんだうそか
心の片隅で喜んじゃったよ
らぶ あすか しんじ
アスカ「彼氏はどうしたの?」
レイ「アルバイト…」
シンジ「そうなんだ…」
アスカ「…優等生はどうやってあの彼氏と付き合う事になったの?」
綾波「えっ」
シンジ「!?」
え!?いきなりそんな事聞くのか?
ちょ、ちょっと待って…
ぼ、僕の心の準備が…
綾波「…」
待って!待ってよ綾波!
よし、ヒ、ヒ、フー、ヒ、ヒ、フー クワッ
よしOK!どっからでも来い!!
綾波「……屋上に呼び出されて告白されて……それで」
うがおあああぁぁぁぁぁ!!!!
危ない、なんとか持ちこたえたぞ……
まさか今時そんな告白をしてくる奴がいるなんて…侮れないな
夕焼けの屋上だったら危なか
綾波「…夕日が綺麗だった」
ぎゃわわあぁぁぁぁぁ!!!
アスカ「へえー…ロマンチックねえ」
綾波「…ええ」
シンジ「ハフー、ハフー」ピクピク
危なかった…後少しで還元される所だった…
綾波「……あの人といるとポカポカするの」
アスカ「え?」
シンジ「…?」
ポカポ……え?なに?
アスカ「ポカポカ?」
綾波「ポカポカ…」
ポカポカ……暖かい?
心がポカポカ…
幸せ?
シンジアスカ「幸せって事?」
あ、ハモった
綾波「…うん」
レイ「あなた方も…ポカポカになってもらいたい」
……え?
アスカ「…」
シンジ「…」
目があった……
ああ、なんだろう
なんだかまた顔が熱くなってきたぞ…
アスカ「…」
っていうかドイツ人がまだこっち見て………
レイ「…別に二人一緒になってって意味じゃないけろど……」
アスカ「!」
シンジ「!」
やられた!
アスカ「あ、あったり前よ!!だ、誰がこんな馬鹿シンジなんか…!」
シンジ「そそ、そうだよ!こんな馬鹿シンジなんか僕だって…!」
あ、いやいや、落ち着け僕
レイ「クスクス」
アスカ「わ、笑ったわね?もう!シンジ、アタシ先に帰るから!」スタスタスタ
カランカラーン…
行ってしまった
シンジ「……えーと……」
レイ「…頑張ってね、碇君」
え… う、うん
ドイツ人は本当に先に帰ってしまったようだ
…はぁ、今日は1日色んな事がありすぎて疲れた………
帰ったらすぐお風呂に入って寝よう
ドキッ
………!?
なんだ、この胸騒ぎ…?
何?家に何か置き忘れてたっけ?
……あああぁ!
綾波の盗撮写真が僕の机にッッ
って……なんでそんな事が心配になるんだ?
今までは全然気にならなかったのに…?
……アスカに見られたらマズイって思ってるのか…?
ははは、まさかね
アスカだって人並みの常識はある
人の机を勝手に開ける事なんてしないだろう
そんなやつは最低だ
ウィーン
シンジ「ただい…」
アスカ「あ」
シンジ「…あ」
いきなりお風呂上がりのアスカと遭遇してしまった…
え、やだ
なんかドキドキする
なにこれヤバい
アスカ「お風呂沸かしたけど…」
シンジ「え…あ、うん…入るよ」
おかしいな
目を見て話せない
シンジ「…」
アスカが入った後のお風呂……
シンジ「うわああぁ…なんなんだよ……なんか入ったら凄い申し訳ない気分になるのはなんでなんだよぉ」
今まではアスカやミサトさんが入った後のお湯は必ず捨てて新しいお湯で浸かっていたのに……
何故かそれをするのが申し訳ない気がする!
チャプン
シンジ「…」
入ってしまった……
チャプ チャプン…
でも…不思議……
なんなんだこの安心感は……?
まるで羊水に浸ったっているようなッ
この充実したような気分はなんなんだ!?
変態か僕は!?
風呂から出ると、アスカはリビングで缶ジュースを飲んでいた
シンジ「…ふう、さっぱりしたよ」
アスカ「…うん」
………………うん………………………うん
なんか空気が重いな
とりあえず僕も椅子に腰をかける
シンジ「…」
アスカ「…」
また沈黙だ
参った
こういう場合はどうしたらいいんだ?
教えてくれよ綾波
アスカ「…」ボソッ
シンジ「……?」
あれ?今なんか言った?
ヤバい、聞き取れなかった…
シンジ「パードゥン?」
アスカ「……ポカポカ?」
シンジ「!?」
ドクンッ
ポカポカ…?
出たよ礼のキーワード!
待て、落ち着けよシンジ!
アスカの言ったこのポカポカ…
よく考えるんだ、このポカポカの意味を!
チクタクチクタク…
秒針が無情に時を刻む………
シンジ「…っ」
くっ、どう答えたらいいんだ?
アスカ「…」
く……仕方ない…
なら僕はこうだ!
シンジ「……アスカは?」
アスカ「…ポカポカ」
あれ、あっさり返されたよ?
僕が思うに
アスカ「アンタ、私の事どう思ってるの?」
シンジ「…アスカは?」
アスカ「私は好き」
って流れだと思うんだけど………
いくらなんでも自惚れが過ぎないか僕?
もしただ風呂入ってポカポカした?って意味だったらどうする?
僕が恥ずかしいだけじゃないか!
ええぃ……どうしたらいいんだ…
父さんならなんて答えるんだ…
リツコ「指令・・・・私・・・・」
ゲンドウ(や、やべ・・・シンジ助けて・・・・)
今、父さんの悲痛な声が聞こえたような気がする…
ええい!!
親なんかに頼るか!
僕の返事は決まっている!!
シンジ「ポカポカ!」
アスカ「!」
アスカ「…ポカポカ?本当に?」
シンジ「ああ!本当だよ!!ポカポカだっ!」
アスカ「ポカポカ?」
シンジ「ポカポカ!」
アスカ「ポカポカ!?」
シンジ「ポカポカッッッ!!!」
アスカ「ポカポカー!!!」
アスカが椅子から飛びかかってきた
シンジ「ポカパマズ」
ドグシャーン
アスカ「あっはっは!ポカポカ!!」
シンジ「ポカポカだ!!僕達!」
ウィーン
ミサト「ただい……何してんの?」
アスカ「ミサト!おかえり!!ポカポカ!」
シンジ「ポカポカさんおかえりなさい!!」
ミサト「ポ、ポカポカ?」
アスカ「ミサト!私達ポカポカなのよ!!」
シンジ「ポカポカなんです!!」
ミサト「ポカポカ?私も?」
アスカ「そうよ、ポカポカ!」
ミサト「ポカポカ!?」
シンジ「ポカポカ!!!」
ミサト「わーっしゃっしゃっ!ポカポカーー!」
僕達は狂ったように踊った
こうして僕とアスカはポカポカ……いや、世間一般に言う男と女の関係になったんだ
どうもスレタイから脱線している気がするが、敷かれたレールの上を歩くだけの人生なんてつまらない
人生は自分の力で切り開くものなんだ!
数日後
アスカ「………きて、朝だよー………」
シンジ「…」
アスカ「………起きろっつってんでしょ馬鹿シンジーー!!」
ドガッ
シンジ「いたいっ」
アスカ「遅刻するって言ってるでしょ!早く支度しなさいよ!」
シンジ「わかったよ…ったく、蹴らなくてもいいじゃないか……」
アスカ「行ってきまーす」
シンジ「行ってきます」
アスカ「ほらシンジ!」
アスカが手を差し出した
朝から手を繋いで学校に行くのがポカポカするらしい
ちょっと恥ずかしいけど、僕もそれには同感だ
ギュッ
教室
ガラッ
アスカ「グーテンモーゲン!」
シンジ「お、おはよう」
レイ「おはよう、ポカポカね」
トウジ「なんやなんや、朝から見せつけおって~!」
∵「アツアツだね~!」
シンジ「はは…恥ずかしいな……」
∵=ケンスケかw
シンジ「委員長とトウジだって…」
∵「え!?」
トウジ「なな、何言うてんねん!!」
∵「もー…止めてよね」
委員長だったのかorz
キーン コーン カーン コーン…
アスカ「さて、帰りましょ」
シンジ「…わあ、凄い夕焼けだ」
アスカ「綺麗ねぇ…」
シンジ「…!そうだ、ちょっと待っててアスカ!」
アスカ「え?…うん、早く来てよね」
シャー…
キキッ
シンジ「お待たせ」
アスカ「自転車ぁ?」
シンジ「夕焼けをバックに彼女を乗せて自転車をこぐのは男のロマンなんだよ」
アスカ「聞いたことないわ、そんなの……ま、いっか!よいしょ!」
シンジ「よし、行くよ!」
アスカ「しゅっぱーつ!」
シャー
シャー…
アスカ「ねえ、シンジ!」
シンジ「ん?」
アスカ「私達はどんな事があっても、ずっとポカポカでいられるよね?」
シンジ「うん、勿論!この夕日に誓うよ…!僕達はいつまでも………ポカポカだ!!」
アスカ「…シンジ……」
アスカ「大好き!!!」
シンジ「僕もだ!!」
シャー…………
………
……
∵「おしまい♪」
悪くない
終わった疲れたありがとう
リツコ「ポカポカ・・・・////」
ゲンドウ(シ、シンジ!悪化しただろ!ふざけんな!)
彼氏「これでよかったのかい?」
レイ「……ウン…ありがとう付き合ってくれて」
彼氏「煮え切らない彼を振り向かせるための演技か……結果は残念だったけどね」
レイ「そんな気はしてたわ。でも彼の本当の気持ちわかっただけでいいの」
…
……
彼氏「本当に俺達付き合っちゃう?」
レイ「バカっ」
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