千秋「みなみけクエスト?」 (39)
この物語は南家三姉妹のちょっと変わった非日常の冒険を淡々と描くものです。過度な期待はしないでください。
千秋「……」ジーッ
夏奈「チアキ、なんだそれ?」
千秋「いや…保健の先生がくれたんだけど…」
春香「カセット?なにかのゲームとか?」
千秋「そうみたいです、ハルカ姉さま」
夏奈「ゲームったって、ゲーム機がないとなぁ…ファ○コンならうちにあるけど」
千秋「そんな古い機体に入るのか、コレ…」
夏奈「まぁ物は試しだ、やってみよう」
~~
夏奈「接続完了っと…よし、準備いいぞー」
千秋「しかし、コレ本当にはまるのか…?」
春香「大きさはファミ○ンと同じくらいみたいだけど…」
夏奈「まぁ、肝心のフ○ミコンが動くかどうかも謎だけどね」
千秋「よし、いくぞ…」コトッ
千秋「……」ガチャ
夏奈「……おぉ」
千秋「……はまった」
春香「はまったわね」
夏奈「よし!電源つけてみようぜ!」
千秋「第一段階はクリアしたが…」
春香「問題は、ファミコ○の電源がつくかどうかよね」
夏奈「頼むファミコンよ…動いてくれ…」
千秋「伏せ字やめたんだな」
夏奈「もう隠すところなくなったからね!いくぞ!夏奈おーん!」カチッ
ぐにゃぁぁぁぁぁぁ
夏奈「……へ?」
千秋「……!!」
春香「な、なに…?目が」
どこかのお城
ハルオ「と、いうことだ…どうか頼む」
春香「…えっ?」
夏奈「うわっ、どこここ?!」
千秋「見覚えのない豪華な部屋…なんか豪華な椅子で偉そうに座ってるヤツ…そうか」
夏奈「知っているのかチアキ!!」
千秋「どうやら私たちはどこかへワープさせられたらしい」
夏奈「いやそれは分かるよ!!もっとこう、ここはどこかとかさぁ!」
ハルオ「む…聞いているのか、勇者たちよ」
春香「あっ、すみません…なんというか、イマイチ状況が掴めなくて…」
ハルオ「む…ならばもう一度言おう、我らの姫を魔王の手から救い出してくれ、伝説の勇者たちよ」
夏奈「伝説の勇者?なんだそれ」
どこかの城下町
夏奈「ふーむ…なんとなくだが、ちょっとずつ分かってきたぞ…」
千秋「あぁ、こんな事になったのは、やはりあのゲームのせいで間違いないな」
春香「でもこんなリアルな世界に行けるゲームなんて…」
夏奈「物にも触れるしその辺のモブとも普通に会話ができる…ファミコンにしては出来すぎだ」
千秋「まぁなんでもいいよ。どうせこの手のゲームはクリアしたら元の世界に戻れるんだから、さっさとクリアして帰ろう」
春香「そうね、お夕飯の支度、まだ終わってなかったし」
夏奈「よし、そうと決まったらアレだ、まずは腹ごしらえだな!」
千秋「いや、帰ったら晩ごはん…」
街の食堂
マキ「らっしゃい!!」
アツコ「いらっしゃいませ」ペコッ
春香「マキ…アツコも!!」
夏奈「ふたりともなにしてんの?」
マキ「あれ?お客さん、ウチらと面識ありましたっけ?」
春香「へ?」
夏奈「なーに言ってんだ?面識あるもなにも…」
千秋「おい、カナ」グイッ
夏奈「なんだよチアキ」
千秋「もしかしたらだが…ここはバーチャル空間だから、私たちが知ってる人でもそいつは別人かもしれん」
夏奈「なるほど、そういやさっきの王様もどっかで見たことあったな」
千秋「このゲームに出てくる人物は、何かしら私たちと関わりがある人間のようだな」
マキ「ふーむ…魔王に囚われたお姫様を探している、ねぇ」
春香「そうなのよ…魔王の城がどの辺とか、なにか情報はないかしら」
アツコ「魔王のお城なら、この大陸にはないと思うな…」
マキ「なんにせよこの大陸からは出なきゃね!ま、四方を海に囲まれてるから、船でもなけりゃ出れないけど」
春香「船かぁ…うーん、すぐには用意出来ないわよね…」
アツコ「あ…噂に聞いたんだけど、この大陸の北に別の大陸に繋がる洞窟があるとか…」
春香「本当?それ、具体的な場所とか分かる?」
アツコ「あ、うん…簡単な地図なら用意出来るけど…」
春香「ありがとう!助かるわ」
夏奈「このチャーハンうめぇ!」
千秋「このスープもなかなかイケるぞ!」
夏奈「なぁハルカ~、本当にこんなとこから別の大陸に行けるの?」
春香「うーん、船がない以上は信じてみるしか…」
千秋「……ハッ!!」
春香「ん?どうしたの、チアキ」
千秋「魔物です…その曲がり角」
夏奈「なに?!魔物だとぉ?!」
スライム「ニノミヤクン!」バッ
春香「きゃっ!」
夏奈「でたな魔物め!悪霊退散!」ベシ
スライム「ニノミヤクンッ!」デュクシ
スライム2「センセイ!」タタッ
千秋「あっ、もう一匹きた」
夏奈「えーと…どうする?」
春香「…とりあえず先を急ぎましょうか」
ニノミヤクン!!センセイ!!ニノミヤクン!!センセーイ!!センセイ…サッ、サンノミヤクンッ?!
次の大陸のお城
田中「おお!よく来た勇者たちよ」
千秋「む…田中先生じゃないか」
夏奈「誰だ?」
春香「たしか、チアキの担任の先生よね」
夏奈「すごい適当な名前だな」
田中「さっそくだが、そなたらにお願いがあるのだ。最近この辺りを荒らし回っている山賊がいるのだが…そなたらに、退治してもらいたいのだ」
千秋「なんで私たちが…」
夏奈「自分の軍隊使って倒せばいいのにな」
春香「まぁまぁ…」
たか~~い塔
夏奈「うぉぉぉ!!高いなこの塔」
千秋「あんまりはしゃぐな、落ちるぞ」
春香「この高さから落ちたら即死よね~」
千秋「気をつけてください、ハルカ姉さま」
夏奈「おっ、ここが最上階への階段っぽいぞ!」
春香「本当にこんなところに山賊なんているのかしら?」
夏奈「いやいるって絶対。この塔、すげー意味ありげに立ってたし」
千秋「それに山賊になるようなアホはこういうとこ好きそうだもんなー」
夏奈「よし!とにかく最上階まで行ってみよう!」
塔最上階
??「あら?お客さんかしら」
千秋「あ、あなたは…!」
夏奈「知っているのかチアキ!」
千秋「熊田先生!!」
熊田「あら…誰?」
夏奈「お前こそ誰だよ」
千秋「私にカセットくれた先生だよ、保健の」
夏奈「あぁ…こいつが元凶なのか」
春香「あの…この辺りを荒らし回っている山賊というのはあなたですか?」
熊田「あ、荒らし回っているだなんて…ひどいわ、私は彼氏候補を探してるだけで…」
夏奈「は…?」
春香「と、とにかく…近隣の皆さんのご迷惑になっているそうなので、できればほどほどに…」
千秋「近所の人から苦情がでるとかどんだけ激しい彼氏探ししてんだよ」
再びお城
田中「おぉ!!山賊を追い払ってくれたのか!」
夏奈「いや、追い払ったというかなんというか」
千秋「彼氏を求めて新天地に旅立っただけだな」
田中「いやー助かったよ!お礼に私の親書をやろう!」
千秋「誰に宛てた親書だよ」
春香「というか、そんな旅人風情に渡していい物なのかしら…」
田中「ついでにこの映画のペアチケットもやろう」
夏奈「お、マジコイの劇場版チケットだ。てかこの世界映画あるんだ」
千秋「明らかにゴミを押し付けられただけだな…」
次の大陸のお城
川内「おぉ!あの田中王の親書か!そなたらは相当信頼されているのだな」
夏奈「本気で誰だ」
千秋「『局地的豪雨』の川内先生…」
春香「なぁに、それ?」
千秋「私がつけたあだ名らしいんですが…正直パッとしない…顔も出てないし」
夏奈「名前しか出てない奴のあだ名をよく考えれるな」
千秋「いや…登場してないだけで私は顔知ってるから」
川内「よし、そなたらにお願いがある」
夏奈「またかよ!まず自分たちでなんとかしようよ!」
千秋「どうやらこの世界の王は他人に物事をよく押し付けるらしい」
夏奈「勘弁してよ…」
春香「この辺りを荒らし回っている山賊みたいなのがいるから、退治してほしい、か…」
千秋「熊田先生……」
夏奈「国家レベルの問題になるほどの彼氏探しってどんな感じなんだ?逆に気になるな」
春香「ここから東の洞窟にいるそうよ。とにかく向かってみましょう」
くら~~い洞窟
夏奈「ジメジメしたところだなー。こんなとこにいるから彼氏もできないんだよ」
千秋「それは言ってやるな、カナ」
春香「そろそろ最奥部みたいよ」
洞窟最奥
熊田「あら、またあなた達?」
千秋「熊田先生…なにやってるんですか」
熊田「え?あいも変わらず彼氏候補を探してるところだけど」
夏奈「国中すっげー騒ぎになってますよ、マジ」
熊田「え、マジ?やっぱり思い切って女の子攫ったのはマズかったか…」
春香「えっ、女の子攫ったんですか?!」
熊田「えぇ、そしたら誰か助けにくるでしょ、もしかしたら王子様だったりして!!そして私と運命的に出会い、そしてそして…」
千秋「あっけなく剣のサビにされてしまうワケだな」
夏奈「妄想をぶち壊してやるなよ」
洞窟・牢屋
内田「うぅ…ここから出してよぉ…」
千秋「内田……」
内田「はれ?だぁれ?」
夏奈「おー、内田じゃん。お前なに捕まってんだよ」
内田「えーだって仕方ないじゃん。そこのおば……おねーさんがアイス奢ってくれるって言うんだもん」
熊田「悪かったわね、お嬢ちゃん。出してあげるわ」
内田「本当?わぁい」
春香「これからどうするんですか?」
熊田「う~ん…彼氏候補探しはうまくいかないし…どこかで寂しく余生を過ごすとするわ」
千秋「先生…、これ良かったら…映画のペアチケットです」
熊田「こ、これは今話題の劇場版マジコイ…」
千秋「これで誰か誘えばいいんじゃないですか?」
熊田「あなた……ふふ、ありがたく使わせてもらうわ」
川内「おぉ!山賊を追い払ってくれたか!あっぱれあっぱれ」
夏奈「追い払ったというかなんというか」
千秋「ま、めでたしめでたしってことで」
夏奈「いやー、あのチケットはナイスだったよ。先生も喜んでたみたいだし」
千秋「なに。ゴミを処分しただけだ」
川内「ふむ。気に入ったぞ!そなたらにはわが国の船を授けよう!」
春香「えっ!船をいただけるんですか?」
夏奈「おぉ!これで自由に大陸を行き来できるな!」
船
夏奈「意外と快適だなー!」
春香「風が気持ち良いわ…」
千秋「で…なんでお前はまだいるんだよ」
内田「し、しょうがないじゃん!行くとこないし…」
夏奈「家なき子か、少女よ」
内田「それよりなんかお腹空いたなー。この干し肉食べていい?」
夏奈「いや、それ私たちの非常食だから」
千秋「いいかげんにしないと降ろすぞバカ野郎」
春香「あら?陸が見えてきたわ」
更地
ヒロコ「私はヒロコ…傍観者ヒロコ。この更地で少しずつ街が出来ていく様を眺めているの」
春香「そ、そう……」
内田「街?街ができるの?!」
ヒロコ「そう…ここに立ち寄った旅人たちがここに小屋を立て、お店を立て、どんどん大きくなっていく…
そしてついには一つの街となり、人々の絆で作られた街はさらに発展してゆく…そんな予感がするの」
内田「すごい!私も見たーい!」
千秋「じゃあここに残るか、内田」
内田「えっ」
夏奈「そうかー。じゃここまでだな。じゃあな内田」
内田「えっ残るとは言ってないよ」
千秋「よし、出発しよう」
内田「えっちょっとまって」
ジパング
春香「まぁ…教科書で見たような建物ね」
千秋「竪穴式住居…ここは…」
モブ「ここは黄金の国ジパング…ヒミコさまの統治により成っている国です」
千秋「説明ありがとう、通行人Aよ」
夏奈「ヒミコさまってなんだ?」
春香「とにかくその偉い人に会いにいきましょうか」
夏奈「よーし!待ってろよヒミコ!」
一番大きいお屋敷
吉野「ようこそ、黄金の国ジパングへ」
千秋「よ、吉野…」
夏奈「ん?吉野がヒミコさまなのか?てかお前、下の名前ヒミコだっけ」
吉野「ううん、違うよ?私はヒミコだけど、ヒミコって名前じゃないよ」
千秋「芸名か…芸名なのか吉野!」
春香「吉野さん、この国では女の子を貢物にすると聞いたのだけど…」
吉野「春香ちゃんもしかして…私を疑ってる?」ゴゴゴゴ
夏奈「む……吉野の背後から蛇が!!蛇のオーラが!!」
千秋「あれはまさしくヤマタノオロチ!!恐るべし吉野ッ…!!」
夏奈「いやー、どうやら私たちの勘違いだったらしい」
千秋「女の子のイケニエなんて物騒な事、無かったなー」
春香「でも吉野さんから貰ったコレ…なんなのかしら?」
千秋「紫に光る球体…これは…」
夏奈「知っているのかチアキ!」
千秋「いや…しらん」
夏奈「あでっ」ズコー
千秋「しらんが…とても大切なモノのように思う」
夏奈「なんだそりゃ」
海賊の家
夏奈「こんなところに島があるとはなー」
千秋「こんな島に人が住んでるとはなー」
春香「ごめんくださーい」
熊田「あら、あなた達はいつぞやの…」
千秋「熊田先生?」
熊田「久しぶりねー。私いまここに住んでるのよ。この島、誰もいなかったから」
夏奈「彼氏探しは諦めたのか…」
熊田「そうだ、あなたたち冒険してるんでしょ、これを持っていきなさい」
春香「これは…」
千秋「吉野から貰ったオーブと瓜二つ…赤いな」
夏奈「よくわかんないけど二つ目のオーブゲットだ!」
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