ユミル「つきあって欲しい?」(139)

・ユミルとアルミン
・訓練兵時代
・ネタバレあり
・自由気ままに書いていくつもり


アルミン「うん、っていってもあくまで付き合ってる振りをしてほしいんだ」

ユミル「はぁ?ますます意味がわからねぇんだが。ちゃんと理由を教えてくれないとどうしようもないぜ」

アルミン「もちろんだよ。僕はね、エレンとミカサから少し距離を置きたいんだ」

アルミン「僕はあの二人のお荷物になってる。でも、そんな関係じゃ嫌なんだ」

アルミン「僕はきちんとあの二人と肩を並べられるような存在になりたい」

ユミル「だから、彼女作って距離置くってか?おい、頭の良いアルミン様はどこかに頭ぶつけでもしたのか?」

ユミル「だったら、マルコなり、ジャンなりと一緒にいれば良い話だろうが」


アルミン「もちろん、それだけだったらね。でも、僕はもう一つ考えていることがあるんだ」

アルミン「僕はエレンとミカサが恋人同士になれば良いなって思ってる」

ユミル「はぁ?」

アルミン「エレンはさ、巨人を駆逐することしか考えてないんだ」

アルミン「そこに巨人がいれば後先考えずに、多分突っ込んでいくと思う」

ユミル「アイツは死に急ぎヤローだからな」

アルミン「うん。でも、そんなんじゃいくつ命があったって足りないんだよ」


アルミン「僕はエレンに死んでほしくない」

アルミン「そのためには、誰か大切な人を作ってほしいんだ」

ユミル「アイツはその大切な人を守るために、突進していっちまう可能性だってあるだろうよ」

アルミン「もちろん、そういう可能性だってある」

アルミン「でも、大切な人をずっと守りたいって気持ちがあれば、そう簡単に命を投げ出そうなんてしないはずなんだ」

アルミン「僕とエレンとミカサの3人で一緒にいる限り、エレンはミカサの事を家族としてしか思わないよ」

アルミン「でも、もし僕が2人から距離を置いたら、きっと今までとは違う環境が生まれる」

アルミン「しかも、僕が恋人を作ったら、嫌でもそういう面に目を向けるようになると思う」


ユミル「もしかしたら、エレンがミカサの事を女として意識して、そういう関係になるかもしれない、と」

アルミン「うん、まぁ、そう上手くはいかないかもしれないけど」

ユミル「まぁ、アンタが付き合ってる振りをしてくれっていう理由は分かったよ」

ユミル「で、肝心なことをもう一つ聞いてないぜ」



ユミル「どうして、私と付き合っている振りをしてほしいんだ?」



ユミル「ここの回答は大事だぜ」ニヤリ


アルミン「ユミルはさ、実はすごく周りを見れてるよね」

アルミン「一見、クリスタのことしか考えてなさそうに見えるけど、実は周りをちゃんと観察して上手く立ち回ってる」

ユミル「お褒めの言葉、どうも」

アルミン「だからさ、振りをするなら上手く立ち回れる子が良いと思ったんだ」

アルミン「本当だったら、恋人を作るのが一番良いのかもしれないけど、僕はそういう気持ちはない」

アルミン「だから、あくまで振りで良いんだ。そう考えたら、ユミルが適切かなって」


ユミル「ははっ!でも、どうみたってアンタと私じゃ、色んな面で不釣り合いだろうよ。それでも計画に支障はないのかい?」

アルミン「そうかな?僕はそういうの良く分からないんだけど。で、どうだろう協力してくれる?」

ユミル「さぁね。そもそも、アンタに協力することで私にどんなメリットがあるのかさっぱりわからない」

ユミル「なんの報酬もなく、協力しろっていうのは少々無粋じゃないのか?」

アルミン「うーん、ユミルならこの状況を面白がって協力してくれるんじゃないかってちょっと思ったんだけど」

ユミル「まぁ、面白いは、面白い。だけど、タダって言うのもな」

アルミン「ひとつ、質問しても良いかな?」

ユミル「何だ?」


アルミン「どうして、ユミルはわざと試験の時、手を抜くの?」

ユミル「!」

アルミン「君は実技も座学もどっちも成績が良いはずだ。そんなの訓練を一緒にしていればわかる」

アルミン「最初はたまたまかと思ったけど、そうじゃない。教官に見つからないよう上手く手を抜いて10番以内に入らないようにしている」

ユミル「高くかってもらって悪いが、それが私の実力だよ。本番に弱いタイプなんだ」

アルミン「いや、そうじゃない。君は自分が引くことで誰かを10番以内に入らせようとしている」

アルミン「おそらく、君より成績が下なのはサシャとコニーとクリスタだ。その3人の誰かに成績を譲ろうとしている」


アルミン「そうなったら、当然、その相手はクリスタだ」

ユミル「おい、アルミン!」

アルミン「クリスタは君がそんなことしてるって多分知らないよね。もし、知ったらー」

ユミル「くそっ!分かった、協力してやるよ」

アルミン「ありがとう、そう言ってくれると思ってたよ」ニッコリ

ユミル「ったく、可愛い顔してとんだ策士様だな」

アルミン「あはは。褒め言葉として受け取っておくよ」


ユミル「おい、アルミン。アンタのその計画に協力してやるからさ、ちょっとツラかしな」

アルミン「え?」

ユミル「ほら、ちょっと近くに来な。なぁに、別に暴力を振る訳じゃない」

アルミン「何するつもり?」

ユミル「良いからさ。ほら、良い子だ。もう少し近くに」

アルミン(うわ、顔が凄い近くにある)

ユミル「じゃあ、これからよろしくな。アルミン♪」



ちゅっ



アルミン「へ?(お、おでこにキスされた?!)」カオマッカ


ユミル「ふふーん。やられっぱなしは性に合わないからな」

アルミン「え?え?え?え?」

ユミル「まぁ、ちゃんと恋人同士に見えるように努力してやるよ」

ユミル「あ、あと私は今まで通りクリスタと一緒にいるから」

アルミン「う、うん」

ユミル「だから、何かする時はクリスタと3人だな」

アルミン「あ、はい」

ユミル「じゃ、これからよろしくな~」

アルミン ぽかーん


~1週間後@男子寮~

マルコ「ねぇ、アルミン。最近、気になってることあるんだけど」

アルミン「へぇ、何だい?」

マルコ「あのさ、ユミルと何かあった?」

ライナー・ベルトルト((ここ1週間で気になってたこと、ついに聞いたーーーーー!!!!))

ジャン(グッジョブ!グッジョブだ、マルコ!!)

アルミン「あ、うん。えっとね、ユミルと付き合い始めたんだ」

マルコ「あ、やっぱり。最近、妙にユミル達と一緒にいるなって思ってたんだ」

ライナー・ベルトルト・ジャン(((やっぱり!!!!!)))


マルコ「ちなみにいつ頃から?」

アルミン「丁度、1週間前からかな。僕から、その言って」

マルコ「へー。そうなんだー」

ライナー・ベルトルト・ジャン(((まじかーーーーーー!!!)))

ライナー(いや、別に良いけど。意外すぎるだろ。てか、クリスタと一緒にもいて羨ましい)

ベルトルト(うわー、人ってどうなるかわからないもんだなぁ)

ジャン(最近、妙にエレンとミカサが2人だけでいる機会が多いと思ったら)


コニー「マジかよ!アルミン、あのブスと付き合ってるのかよ?!」

アルミン「コニー、ブスって」

マルコ「でもさ、アルミンがユミルと付き合うのも分かる気がするな」

アルミン「え、マルコもしかして」

マルコ「いや、別にユミルのこと気になってたとかではないけど。ユミルって意外と人のこと見てて、フォローするの上手だしね」

アルミン「あ、うん(マルコも気づいてたんだ)」

マルコ「さりげなく、慰めてくるって言うか。それで、ちょっと励まされたこともあるよ」


コニー「でも、アイツ、ブスじゃん」

マルコ「まぁ、そばかすが目立つけど、でも目鼻立ちは割と整ってるよ。スタイルも良いし」

ライナー「ああ、確かにそれは言えてるな。まぁ、俺はクリスタと結婚したい」

ベルトルト(あ、ライナーも交じるんだ。しかも、最後のはまるで関係ないし)

コニー「ふーん、で、エレンとミカサはそれ知ってるのか?」

アルミン「一応、付き合い始めて次の日には伝えたよ。2人ともびっくりしてた」

マルコ「だろうねー」


コニー「あれ、そのエレンは?」

マルコ「ああ、エレンならミカサと2人で談話室で勉強してるの見たよ」

ジャン(なんだと?邪魔してくるか!)ガチャ タッタッタ

ベルトルト(あ、ジャン、ミカサの所へ行ったな)

アルミン「なんか、2人でいる機会が多くなったみたい」

マルコ「そりゃ、アルミンがいなくなったら必然的にそうなるだろうね」

ライナー「でも、お前がユミルと付き合うなんて意外だな。あまり、接点ないように見えたが」

アルミン「そう、かな。でも、マルコの言った通り、ユミルにフォローしてもらう事も結構あって、それでっていうか」


マルコ「でも、これでユミルも彼氏もちかー。結構、陰でショック受けてる子もいるんだろうなぁ」

コニー「え、あのブスそんな人気あったのか?」

マルコ「そりゃ、人気って言ったらどうしたってクリスタとかになるけどさ」

ライナー「!」ドキッ

マルコ「クリスタみたいなアイドル的な人気じゃなくて、アネゴ肌って言うか。ひそかに憧れてたみたいなヤツは結構いるんじゃないかな」

アルミン「へー(そういう子たちには悪いことしちゃったな)」

アルミン(そういえば、ユミルに好きな人がいるかとか全然聞かなかった)

アルミン(ちょっと、気になるな。いや、別にユミルも言わないし。関係ない、かな)


~同時刻@女子寮~

ミーナ「ユーミール―?今日という今日は、話してもらうからね!」

ユミル「なんのことかな~」

ミーナ「もー、しらばっくれないでよ!アルミンとのこと!」

ミーナ「みんな知りたくて、うずうずしてるんだから!」

ユミル「そんなこと言われたってな。お、ちょうど水が切れてるから取ってくるぞ」

ミーナ「そうは行くか!サシャ、やっちゃいなさい」

サシャ「はっ!」


ユミル「おい、こら芋女!つかむな!!」ジタバタ

サシャ「そうはいきません!明日のパァンがかかってるんです!!」ギュッ

ユミル「くそ、買収されやがったな!!って、クリスタもか?!」ジタバタ

クリスタ「ごめんね、ユミル!でも、私も気になるの!!」ギュッ

アニ(うるさいなぁ)

ミーナ「うふふふ、ちゃんと、話してもらうからね!!」

ミーナ「さぁ、答えなさい!どう告白され、どう答えたのか!」

ミーナ「アルミンは照れながら告白したのか、それとも意外や意外、俺様系上から目線で来たのか!」クワッ


ユミル「別に話すようなことは何もねぇよ(そもそも、付き合ってる振りだし)」ツーン

ミーナ「それは私が決める!ほぉら、話しなさい!!」

サシャ「なんか、ミーナいきいきしてますね」ボソッ

クリスタ「三度のご飯より、恋愛話が好きだからねぇ」ボソッ

アニ(部屋移動しようかな)

ユミル「だから、別に普通だって。アルミンから気になってるって言われて、じゃあ付き合うかって答えただけだって」

ミーナ「何よー、それ!もっと色々とあるでしょー」プンプン


ミーナ「ここの所、アルミンとユミルとクリスタ、ずっと3人一緒じゃない」

サシャ「そういえば、ご飯の時も、授業も自習している時もなんだかんだで一緒ですね」

ミーナ「でしょう?だって、アルミンって今まではエレンとミカサといっつも一緒だったじゃない」

ミーナ「なのに、急にユミルとクリスタと一緒にいるようになってるし!」

ミーナ「で、話を聞いてみれば、ユミルとアルミンが付き合いだしたって言うじゃない」

ユミル「そこは素直に話しただろーが」

ミーナ「だから、急なのよ!そこに至る過程に何があったのか聞きたいって言ってるの!」

ユミル「だから、別に話した通りだって」


クリスタ「でもさ、急に付き合う事にしたってことは、それなりに何かきっかけがあったんだよね?」

ユミル「別に(まぁ、クリスタのせいっちゃ、せいだけど)」

ミーナ「あー、何か隠してるわね?」

ユミル「そんなことねーよ(めんどくせー)」

ミーナ「答えてってばー!」

ユミル「あーもー!!」


がちゃ


ミーナ「あ、ミカサ!ミカサもさ、ユミルとアルミンのこと気になるよね?何か聞いてない?」


ミカサ「特には。それより、ユミル。少し貴方と話がしたい」

ユミル「あ、ああ(うおっ、すげー目つき)」

ミカサ「じゃあ少し外へ」

ユミル「わかった。サシャもクリスタもミーナもいい加減、もう良いだろ」

ミーナ「えー!もっと聞きたかったのにー」

クリスタ「ミーナ、またユミルに色々聞こう。今日はもう、ね?」

ミーナ「ちぇー!!」

アニ(やれやれ、これでちょっとは静かになるね)


ユミル「で、ミカサ、話って何だよ」

ミカサ「貴方とアルミンが付き合ってるとこの間聞いた」

ユミル「ああ、そうだよ」

ミカサ「ユミルに聞きたいことがある。貴方はアルミンのことをどう思ってるの?」

ユミル「どうって、別に嫌いじゃないね」

ミカサ「アルミンは私にとって、大切な家族。もし、アルミンを傷つけるようなことがあれば」

ユミル「あのなー、ミカサ。そんな今にも人を殺しそうな目で私をみるなよ」

ユミル「私とアルミンが付き合ってるのは、お互い納得したうえだよ」

ユミル「別にいい加減に付き合ってるわけでも、利用しようとしてるわけでもない」


ミカサ「そう。それなら別に良い」

ユミル「ところで、ミカサ。アンタ、この所、エレンと二人っきりだろ?」

ミカサ「それが?」

ユミル「そっちこそ、なんか無いのかよ」

ミカサ「質問の意味がわからない」

ユミル「だからさ、アンタこそエレンと良い感じになってるんじゃないのかってことだよ」

ミカサ「それこそ、ユミルには関係ない。じゃあ、私は部屋に戻る」

ユミル「ふーん(あれはどういうことかね。まさか本当に何もない訳は無さそうだけど)」


~次の日の放課後~

アルミン「あれ?ユミル、ひとり?クリスタは?」

ユミル「ミーナに取られた」ブスッ

アルミン「へー、珍しいね」

ユミル「せっかく付き合ってるんだから、たまには2人きりにしてやったほうが良いだろう、だとよ」

アルミン「ああ、そうなんだ(クリスタと一緒じゃないから、機嫌が悪いのかー)」

ユミル「せっかく、クリスタといちゃいちゃ出来ると思ったのに」

アルミン「今日は一緒に勉強するの止めとく?別に付き合ってるからって、いつも一緒にいる必要性はないんだし」

ユミル「ていうか、むしろ付き合ってるわりに一緒に行動してない方だろう。ハンナとフランツを見てみろよ」


アルミン「え?(付き合うって、あの2人みたいにしなきゃダメなのかな)」アセアセ

ユミル「別にあの二人みたいにいちゃつく必要はないだろうが、ある程度はな」

ユミル「だいたい、ただでさえ突然で色々過程をぶっ飛ばしてるんだから、上手くやらないと偽物だってばれるぞ」

アルミン「そ、そうだね(ほっとしたような、残念なような)」

アルミン(あれ、なんで残念なんて思ったんだろう)

ユミル「ほら、さっさと終わらしちまおうぜ」

アルミン「あ、うん」


カリカリカリカリ

カリカリカリカリ

ユミル「ったく、今日のはややこしい問題ばっかりだな」

アルミン「そうだね、でも資料と照らし合わせれば割と」

ユミル「さっすが、秀才のアルミン様だけあるな」

アルミン「そういうユミルだって座学は割と成績いいだろう」

ユミル「別に悪かないけど、こういう地道でちまちましたやつが一番嫌いなんだよ」

アルミン「あはは、ユミルっぽいね」


カリカリカリカリ

カリカリカリカリ

アルミン(あれ、こうして見るとユミルって綺麗な字を書くんだな)

アルミン(それに手がすらっとしてて綺麗って言うか)

アルミン(って、僕は勉強中に一体、何を考えてるんだよ)ブンブン

ユミル「アルミン、お前何してんだ?」

アルミン「あはは。ちょっと虫が」

ユミル「はぁ?」


ユミル「ところで、アルミン。私とアンタが恋人同士って言うのになって1週間がたった訳だけど」

アルミン「うん?」

ユミル「アンタが当初目標としていたことは、達成できそうなのか?」

ユミル「別に私たちは意味なく恋人ごっこしてるわけじゃないだろ」

アルミン「そう、だね。といっても、まだ1週間だから劇的に変化してるわけじゃないかな」

アルミン「でも、僕はこの1週間で自分のダメさが嫌というほどわかったよ」

ユミル「ふーん」


アルミン「この間の山岳訓練なんか、コニーとジャンと組んでさんざんだった」

アルミン「2人に馬鹿みたいに迷惑かけて、改めていつもエレンとミカサに助けてもらってたんだって再確認したよ」

アルミン「なさけないよね」

ユミル「はぁー。あのなぁ、人には向き不向きってのがあるんだよ」

ユミル「お前は確かに実践は向いてねぇかもしれないが、他に色々出来ることがあるだろうが」

ユミル「別に劣等感持ったって良いけどな、遠慮して距離置き過ぎると戻れなくなるぞ」

アルミン「ユミル・・・?」


ユミル「で、もう一つの方はどうなんだよ」

ユミル「エレンとミカサは上手くいきそうなのか?」

アルミン「そっちも、どうだろうね」

ユミル「昨日、ミカサに聞いてみたけどまるで教えてくれなかったぜ」

アルミン「え、ミカサと話したの?」

ユミル「すげぇ怖い顔でアルミンと付き合ってるのかって聞いてきたよ」

アルミン「えっと、ごめんね?」

ユミル「まったくだ、ややこしいことに巻き込みやがって」


がちゃ

マルコ「あ、アルミンとユミルだ」

ジャン(2人で一緒にいるところ初めて見た!)

ユミル「なんだ、マルコとジャンじゃねーか」

マルコ「2人で勉強?仲良いね」

アルミン「あ、あはは。そうなんだ」

ユミル「アルミンがたまには2人でって言うもんだからさ」

アルミン「う、うん。たまには2人でも良いんじゃないかと思ってさ」

マルコ「そうなんだ。最初は2人が付き合ってるって聞いた時は意外だったけど、こうしてみるとお似合いだね」ニコッ

ジャン(お似合い、かぁ?)


ユミル「だろー?」ニヤニヤ

アルミン「あはは。そう言ってもらえると嬉しいよ(改めて言われるとなんか照れくさいなぁ)」

マルコ「そういえば、今度の休みの時に町でお祭りやるって聞いた?」

アルミン「へー、そうなんだ」

マルコ「結構、賑やかなんだってさ。フランツとハンナは2人で行くらしいよ」

ユミル「ほー、じゃあ私はクリスタでも誘うかな」

ジャン「おいおい、ユミル、この流れはアルミンと2人で行く感じだろうが」

ユミル「はは、冗談だよ。もちろん、アルミンと2人で行くさ(やべ、思った事口に出てた)」


アルミン「そうだね、今まで2人で出掛けたこともなかったし」

ジャン「へ?そうなのか」

アルミン「そうだよ。まだ、付き合い始めて1週間くらいしか経ってないしね」

マルコ「じゃあ、そのお祭りが初デートになるね」

アルミン「うん」

ユミル(おいおい、これって完全に2人でデートするしかねーじゃねぇか)

マルコ「楽しんできなよ、アルミンもユミルも」

ユミル「お、おう。ありがとな」

~休日~

ユミル「はぁー」

アルミン「えっと、ごめんね?」

ユミル「別に仕方ねぇよ。あの流れじゃ、よっぽどのことない限り2人で行かねぇと不自然だろうが」

アルミン「う、うん」

ユミル「あー、くそ。クリスタはミーナとサシャに取られちまうし」

ユミル「まぁ、ライナーの野郎にクリスタを取られなかっただけマシか」

アルミン(あー、やっぱユミル知ってるんだ、ライナーのこと)


ユミル「色々と協力してやってるんだから、今日はちょっとは奢ったりしろよなー」

アルミン「うん。ていうか、最初から今日は僕が全部お金出そうと思ってたんだけど」

ユミル「お、そうなのか!」

アルミン「色々、迷惑かけちゃってるし」

ユミル「なら早く言えよな!ふふーん♪」

アルミン(あ、機嫌直った)

ユミル「ほら、さっさと行くぞ」

アルミン「あ、待ってよ」


とりあえず、ここまで!
また、明日、書き込む!!


ワイワイ ガヤガヤ

ワイワイ ガヤガヤ

ユミル「お、やっぱすげー人だな」

アルミン「わぁ、すごい活気だね」

ユミル「ふふーん、何から攻めるかなぁ」

アルミン「ユミル、生き生きとしてるね」

ユミル「そりゃ、アルミン様っていう財布がバックにあるからな。愉しまないと損だろ」

アルミン「あ、あはは。(お金足りるかな)」


ユミル「お、あっちに旨そうな菓子が売ってるぞ」

アルミン「ぷっ!」

ユミル「おい、何笑ってるんだよ」

アルミン「いや、今の言い方がなんだかエレンにそっくりで」

ユミル「はぁ?」

アルミン「いや、休日になるとエレンとミカサの3人でよく町に買い物に来てたんだ」

アルミン「エレンってば、気になるもの見つけるとすぐにそっちに向かうもんだからはぐれて、ミカサと慌てて探すことになるんだ」

ユミル「ふーん」


アルミン「ごめん。こんな話、興味無かったよね」

ユミル「いや、別に。お前ら、本当に3人で1セットだったんだなって思っただけだよ」

アルミン「そ、そうかな」

ユミル「いーんじゃね。仲良き事は美しきかなって言うだろ」

アルミン「まぁ、そういうけど」

ユミル「ところで、今日はエレンとミカサは祭に来てるのか」

アルミン「どうだろう。エレンが来たいって言ったら、2人で来てるかもしれないけど」

ユミル「なんだ、聞いてないのかよ」

アルミン「なんだか聞きにくくて」

ユミル「なんだ、そりゃ。普通に聞きゃ良いだろうが」


アルミン「そうなんだけどさ。なんか上手く言えないんだけど、エレンとミカサの前ではあんまり上手く嘘がつけないっていうか」

アルミン「祭の事を聞いたら、嫌でも僕とユミルの話になっちゃうだろうから」

ユミル「ふーん、そんなもんかね。なぁ、それよりも、ちょっとどこかの店に入って休憩しないか」

アルミン「そだね。この人ごみだと動きづらいし、疲れちゃうよね」

ユミル「なんかこの辺で良い店あったら、そこに入るか」

アルミン「あ、じゃあこの先にエレンとミカサの3人で良く来るカフェがあるから」

ユミル「じゃあ、そこに案内してくれよ」

アルミン「うん」


ユミル「ほー、良い店じゃないか。よくこんな所知ってたな」

アルミン「エレンが発見したんだ」

ユミル「今度、クリスタと一緒に来るかな」

アルミン「なんかクリスタってこういうお店好きそうだよね」

ユミル「あいつと一緒にいるとすぐこういう店に入りたがるんだ」

アルミン「やっぱり、ユミルは休日はクリスタと過ごすことが多いの?」

ユミル「そうだな、あとはそれにミーナとかサシャが加わることが多いな」

アルミン「へー」


ユミル「そういうアルミンだって、ほとんどミカサとエレンと過ごすだろうが」

アルミン「そうだね、あとはマルコと一緒に本屋さん寄ったりとか」

ユミル「その本屋ってこの近くか」

アルミン「うん、ここから10分くらいの距離かな」

ユミル「ふうん。じゃあ、もう少しゆっくりしたらそこにでも行くか」

アルミン「え、良いの?」

ユミル「ちょっと見たいものもあるんだ」

アルミン「でも、祭の日に本屋さん行くなんてちょっと不思議だね」

ユミル「まぁな、でも祭だからってあんまりはしゃぐ歳でもないしな。ああいうのは空気が味わえれば割とな」


テクテク

テクテク

アルミン「ここだよ、ユミル。見た目は小さいけど、品ぞろえは結構しっかりしてるんだ」

ユミル「ところでアルミンはどんな本を普段読んでるんだ?」

アルミン「うーん、外の世界について研究してる本とか科学書とか、かな」

ユミル「お前らしいというか、なんというか」

アルミン「え、そうかな。ところで、ユミルは何の本探してるの?」

ユミル「ああ、クリスタが読んでる本がもうじき新刊出るとかでな。あったら買ってってやろうかと」

アルミン「相変わらず、クリスタのためなんだ」


ユミル「お、あったぞ。じゃあ、これ買っていくかな」

アルミン「へー、それどんな本なの」

ユミル「べったべたの恋愛もんらしいぞ。ミーナなんかときゃーきゃー言いながら読んでる」

アルミン「ユミルは読んでないの?」

ユミル「斜め読みくらいはするけどな。別にすごく好きって訳ではないな」

アルミン「そうなんだ」

ユミル「アルミンはこういうのは読んだりしないのか」

アルミン「さすがに恋愛ものは読まないなぁ」


ユミル「ふーん。でも、こういうの読んどきゃ、いざって時に役に立つぞ」ニヤッ

アルミン「うっ。じゃあ、ユミルは色々研究したりしてるの?そういうの読んで」

ユミル「私は別にいいんだよ。そこら辺はテキトーに知ってるからな」

アルミン「テキトーって。あ、そう言えばユミルに聞きたかったことがあるんだ」

ユミル「ん、なんだ?」

アルミン「あのさ、ユミルって好きな人とかいないの?」

ユミル「なんだ、今更」


アルミン「いや、ユミルのそういう事情なんてろくに聞かないで付き合ってる振りをし始めたでしょ」

アルミン「だから、もしユミルにそういう人がいたら申し訳なかったかなって」

ユミル「別にいねーよ。まっ、あえて言うならクリスタだけどな」

アルミン「そうなんだ、良かった(あれ、良かったってどういうことなんだ?)」

アルミン(別にユミルに好きな人がいても?いやいや、いたら協力してもらえなくなるし)

アルミン(なんで、そんなことが引っ掛かるんだろう)

ユミル「どうしたアルミン」

アルミン「い、いや何でもない」


ユミル「ほら、次の所でも周ろうぜ」

アルミン「うん、そうだね。少しでも人が減ってると良いんだけど」

ユミル「どうだかな。お、見てみろよ、アレ」

アルミン「え?あれはエレンとミカサ・・・?」

ユミル「やっぱり2人で来たみたいだな」

アルミン「そうだね」

ユミル「寂しいか?」

アルミン「え?」


ユミル「おまえ、今そんな顔してるぞ」

アルミン「うん、少しさみしい、かもしれない。いつも3人で一緒だったから」

ユミル「お前さ、もうちょっとしたら、また3人に戻っても良いんじゃねぇか」

アルミン「え?」

ユミル「アンタのさ、その目的は素晴らしいとは思うけど、あんまりにも離れてると戻れなくなるぞ」

ユミル「って、このことは前にも言ったな」

アルミン「う、うん。でも、まだ何も」

ユミル「お前の体力がなくて他の奴らに迷惑かけんのはどうしようもないことなんだよ。残念ながらな」

ユミル「だったら、迷惑かけても良いから自分にしかできないことを探せよ。頭の良いアンタなら出来るだろ」


アルミン「僕にしかできないこと?」

ユミル「ああ」

アルミン「そんなの・・・」

ユミル「じゃあ、今から考えろ。時間はあるだろ」

ユミル「それにあの2人は、お前がいなくなったことで多少は変わった。あとはまぁ時間の問題だろうさ」

アルミン「・・・・」

ユミル「なぁ、アルミン。お前だって分かってるだろ。付き合ってる振りなんて長く出来るもんでもないって」

アルミン「そう、だね。(頭ではわかってるのに、何でこんなに・・・)」ズキッ


ユミル「まぁ、もう少しだけ付き合ってやるからよ」

アルミン「ごめんね、迷惑かけて」

ユミル「ったく、お前は謝ってばっかりだな」

アルミン「あはは。そう言われると、なんて言って良いかわかんないや」

ユミル「ほら、行くぞ」

アルミン「うん」

アルミン(付き合ってる振りに限界がある聞いて、嫌だと思ったなんて、ユミルには言えないな)


~女子寮~

クリスタ「あ、ユミル、おかえり~!!」

ユミル「はいはい、ただいま、と」

クリスタ「ねぇ、デートはどうだった?楽しかった?」ニコニコ

ユミル(クリスタは相変わらず天使だなぁ)ホワン

ミーナ「あー、やっと帰ってきたわね!今日のデートはどうだったの?!」

ユミル「別にフツーだよ」

ミーナ「いっつもそうやってフツーって言うんだから」

ユミル「それ以外に言いようがねぇんだって」


ミーナ「えー!つまんなーい!!」

ユミル「つまんなくて結構だ。あ、そう言えばクリスタ、これ」

クリスタ「あ、本の新刊だ!買ってきてくれたの?」

ユミル「読みたがってただろ?」

クリスタ「うん!ありがとう、ユミル。お金払うね」

ミーナ「クリスタ、次は私に貸してー」

クリスタ「読み終わったら、すぐ貸すよ!」


ユミル「なぁ、それってどういう話なんだっけ?」

ミーナ「ユミル覚えてないのー?」

ユミル「斜め読み程度しかしてないからな」

クリスタ「えっとね、ある王国のお姫様の話なの。お姫様にはお兄さんがいて、お兄さんには仕えてる騎士がいるの」

クリスタ「いつも3人で仲良くしてたんだけど、次第にお姫様と騎士は惹かれあうようになる」

クリスタ「でも、2人の恋は身分違いの許されないものなの。そして、お姫様は他国に嫁ぐことが決まってっていう」

ミーナ「お姫様と騎士の恋がすごい切ないの!」

クリスタ「お兄さんも2人の恋を密かに応援してるんだけど、立場的に反対するしかないんだよね」


ミーナ「私、あのシーン大好きなの!」キャッキャッ

クリスタ「私はどっちかっていうとね」キャッキャッ

ユミル(こんだけ本の話に夢中になってりゃ、私の話は聞いてこないだろ)

ユミル(それにしても仲良し3人組ね。どこぞの誰かさん達を思い出すな)

ユミル(あまったヤツも恋愛に恵まれると良いんだけどな)

ユミル(って、この場合だとアルミンか。アルミンなぁ・・・)


~男子寮~

マルコ「あ、アルミン、おかえり」

アルミン「た、ただいま」

マルコ「楽しかった?」

アルミン「うん。あ、これお土産」

マルコ「わぁ、ありがとう。お菓子だね、これ好きなんだ。嬉しいよ」

アルミン「マルコにはお祭りの事教えてもらったりしたから」

マルコ「別に気にしなくても良いのに」


アルミン「そういえば、他のみんなは?」

マルコ「まだ帰ってきてなかったり、お風呂に行ってたりって感じかな」

アルミン「そっか。あのさ、マルコは誰かをその好きになったりしたことある?」

マルコ「どうしたの、突然」

アルミン「ちょっと気になって」

マルコ「僕はそんなに恋愛経験豊富な方じゃないと思うんだけど」

マルコ「でも、訓練兵になる前に少しだけ好きだった子がいたかな」

アルミン「それって、どういう気分だった?」


マルコ「えー、なんていうかなぁ」

マルコ「一緒にいると楽しくて、ちょっとでも長く一緒にいたかったっていうか。なんか改めて話すと照れるね」

アルミン「そっか、そうだよね」

マルコ「ユミルと何かあった?」

アルミン「え、ううん。別に。ちょっと聞いてみたかったっていうか」

マルコ「あはは。僕のなんかじゃ参考にならないだろうけど」

アルミン「いや、ありがとう」


アルミン(一緒にいると楽しくて、ちょっとでも長く一緒にいたい、かぁ)

アルミン(今、ユミルと一緒にいれるのは、あくまで付き合ってる振りだから、なんだよね)

アルミン(付き合ってる振りを止めたら、一緒にはいることは多分無くなる)

アルミン(それって当然なんだけど、すごく寂しく感じるのは何で何だろう)

アルミン(でも、ユミルの言ってる通り、振りなんていつまでも出来る訳ない)

アルミン(だから、いい加減、いつまで付き合う振りをするのか決めなきゃ)

アルミン(ユミルのためにも、僕のためにも)


~次の日~

アルミン「ユミル、このあとちょっと良いかな?」

ユミル「このあと?」

アルミン「うん、ちょっと話したいことがあるんだ。だから、ちょっと外いかない?」

ユミル「ああ、わかった」

ユミル「ってことで、クリスタ先に部屋に戻っててくれ」

クリスタ「うん、じゃあ、また後でね」


ユミル「で、話ってなんだ?」

アルミン「うん、昨日話したことなんだけど、ユミルはいつまでも付き合ってる振りは出来ないって言ったでしょ」

ユミル「ああ」

アルミン「僕もそう思う。だから、あと2週間だけ協力してもらっても良いかな」

ユミル「2週間?」

アルミン「うん、きっとそれだけあれば色々見えてくると思うんだ。エレンとミカサ、2人の事も。僕自身の事も」

ユミル「まぁ、そうだな。それくらいが限界かもな」

アルミン「うん、だからあと2週間だけど、よろしくね」


ユミル「しっかし、別れた時、周りになんて言うかな」

アルミン「確かに、そこが大変だよね」

ユミル「絶対、ミーナとかうるせーぞ。あと、ミカサの対応どうするかなぁ」

アルミン「ミカサには僕から上手く言うようにしておくよ。ユミルには迷惑かけない」

ユミル「そんなに上手くいくかね」

アルミン「うん、大丈夫」

ユミル「じゃあ、戻るか。クリスタ、待ってるし」

アルミン「うん、行こうか」


ベルトルト「・・・・」

ライナー「・・・・」

ベルトルト「何かたまたま来てみたら、すごいこと聞いちゃったね」

ライナー「まさか、振りだったとはなぁ」

ベルトルト「でも、なんで付き合ってる振りなんか?」

ライナー「大方、エレンとミカサが関係してるとかじゃないか」

ベルトルト「ああ、なら納得かな」

ライナー「このことは、やっぱり誰にも話さない方が良いよな」


ベルトルト「そりゃ、そうでしょ」

ライナー「まぁ、でも改めて考えてみれば、あの2人が付き合ってる訳が無いよな」

ベルトルト「そう?」

ライナー「だって、アルミンとユミルだぞ。不自然だろ」

ベルトルト「うーん、そうかなぁ」

ベルトルト(あの2人が一緒にいるの何度か見たけど、それこそ付き合いたてのカップルっぽかったけどなぁ)

ライナー「ほら、行くぞ」

ベルトルト「うん」


~数日後~

アルミン「あ、そこはその方式じゃなくて、こっちの資料を見ながらやった方が良いよ」

クリスタ「なるほど!さすが、アルミンだね」

アルミン「いやいや、クリスタののみこみが良いんだよ」

クリスタ「アルミンの教え方が良いからだよ」ニッコリ

アルミン(天使だ)ホワン

ユミル(天使だ)ホワン

クリスタ「それにしても、すっかり3人でいるのが馴染んじゃったね」

ユミル「まぁな。なんだかんだで一緒にいる時間長いしな」


クリスタ「私ね、ユミルと2人でいる時ももちろん楽しかったけど、今もすごく楽しいの」

クリスタ「私の大好きなユミルが好きな人と一緒にいて、それを横で見られるってすごく嬉しいなぁって」

ユミル「クリスタ・・・」キュンッ

クリスタ「えへへ、改めて口に出すと照れちゃうね」

ミーナ「あ、クリスター!これから、当番だよー!!」

クリスタ「あ、忘れてた!今、行くー!!じゃあね、ユミルにアルミン」

ユミル「はいはい、行っといで」

アルミン「いってらっしゃい。ここの片づけはしておくね」

クリスタ「ありがとう」パタパタッ


ユミル「・・・なんつーか、あれだな。クリスタを騙してるみたいで心が痛むな」

アルミン「う、うん」

ユミル「まぁ、なんのかんの言っても、あと1週間ちょいか」

アルミン「そうだね。寂しく、なるね」

ユミル「寂しい?」

アルミン「あ・・・(思わず、口に出ちゃった)」

ユミル「まぁ、ここんところ3人でいるのが当たり前みたいになってたからな」

ユミル「それにアルミンはクリスタと一緒にいる機会が少なくなっちまうからなぁ」ニヤニヤ


アルミン「クリスタだけじゃないよ、むしろユミルといれなくなるのが―」

ユミル「お、エレンとミカサじゃねーか」

アルミン「え?本当だ」

ユミル「お、こっちくるぞ」

アルミン「か、隠れよう!」

ユミル「へ、何でだよ?」

アルミン「わかんないけど、隠れた方が良い気がする。ほら、机の陰に!」

ユミル「お、おう」


ユミル「なんか揉めてる?」ボソボソ

アルミン「うん、まぁでも揉めるのは、いつものことかな」ボソボソ

ユミル「って、おい!ミカサがエレンにキスしたぞ!!」ボソボソ

アルミン「あ、エレンがミカサ突き飛ばした」ボソボソ

ユミル「あの、ヘタレ!」ボソボソ

アルミン「ユミル、落ち着いて」ボソボソ

ユミル「あー、ミカサの顔見えねぇけどどんな感じだ?」ボソボソ

アルミン「追いかけないね」ボソボソ


アルミン(って、今気づいたけどユミルとすごく密着してる?!)

アルミン(改めて、意識したらなんか恥ずかしくなってきた)

アルミン(それにユミルって、あったかいな。離れたくない、かも)

ユミル「おい、アルミン。ミカサが部屋から出ていったみたいだし、こんな狭いとこさっさとでようぜ」ゴソゴソ

アルミン「う、うん」ゴソゴソ

ユミル「それにしても、アレは何だったんだ?」

アルミン「なんかすごいものを見ちゃった気分だ」


ユミル「まぁ、でも良かったな」

アルミン「え?」

ユミル「だって、お前の言った通りになりそうだろ」

アルミン「そう、なのかなぁ」

ユミル「まぁ、見守っとけ、見守っとけ」

ユミル「にしても、ミカサもついに我慢の限界かね」

アルミン「うーん。詳しく聞いてみないと何とも」

ユミル「で、アルミン、アンタの方はどうなんだ?」

アルミン「え?」

ユミル「アンタにしか出来ないこと、見つかったのか?」

アルミン「正直、考えてるけど全然分からない」

アルミン「あの2人と肩を並べられるようになるには、どうしたらいいか、なんて」

アルミン「でも、離れていて思ったよ。やっぱり、あの2人は僕にとって大事な家族なんだって」

アルミン「だから、大切な家族を守るために僕も出来ることを考えたい。僕にしかできない方法で」

ユミル「ふーん。ま、一歩前進ってとこだな」


アルミン「ユミルのおかげだよ」

アルミン「ユミルがいなかったら、そんな風には考えられなかった」

ユミル「そりゃ、買いかぶりだ」

アルミン「ううん、そんなことない。すごく感謝してる」

アルミン「ところで、今度の休日は空いてたりする?」

ユミル「今度のか?ああ、多分空いてるぞ」

アルミン「もし良かったら、その1日を僕にくれない?」

アルミン「お礼をしたいんだ。その日で、付き合ってる振りは最後、だから」


アルミン「ほら、付き合ってる振りを止めた後だと、皆には別れたって思われるだろうから、一緒に居づらくなるし」

ユミル「ああ、言われてみれば、そうだな。突然、一緒にいなくなるのも変な話だし」

アルミン「うん、だからさ」

ユミル「わかったよ、その日は開けておく」

アルミン「最後までごめんね」

ユミル「ま、アルミン様が奢ってくれたら言う事なしだな」ニヤッ

アルミン「う、うん」


~休日~

アルミン「やぁ」

ユミル「悪い、待たせたか?」

アルミン「ううん、僕も今来たところだ」

ユミル「・・・・」

アルミン「・・・・」

ユミル「なんていうか、あれだな」

アルミン「うん、たった今、僕も同じことを思ったと思うよ」


ユミル「すげぇベタベタな会話だな」

アルミン「僕もこんな会話をする時が来るとは思わなかったよ」

ユミル「まぁ、行くか」

アルミン「そうだね。この間のカフェで良いかな」

ユミル「ああ、良いぞ。私もあそこ気に入ったしな」

アルミン「うれしいな。案内したかいがあったよ」


ユミル「で、結局どうなったんだ?」

アルミン「え、何が?」

ユミル「もろもろだよ。エレンとミカサのこととか、アンタの事とか」

ユミル「まぁ、エレンとミカサに関しては、見てれば分かるか」

ユミル「最近、ちょっとだけど変わったよな。なんか、かもし出してる雰囲気が」

アルミン「ユミルもそう思う?」


ユミル「まぁな。前みたいに、お節介な姉とダメな弟って感じじゃ無くなっただろ」

アルミン「うん。僕もそう思う」

アルミン「多分だけど、エレンはもうミカサのことをただの家族だなんて思ってないよ」

ユミル「だろうな、あんなキスされりゃ」

アルミン「詳しくは、まだ聞けてないんだけどね」

ユミル「まぁ、上手くいくと良いな」

アルミン「うん、これで訓練兵の間になんとか恋人同士になってくれればいいんだけど」

ユミル「ま、なった所で死に急ぎはそう簡単には直んねーよ」


アルミン「そうかな?」

ユミル「ありゃ、アイツの元来持ってる性質みたいなもんだろ」

アルミン「うーん」

ユミル「ま、でもミカサがちゃんとストッパーになるんじゃないか?」

ユミル「エレンも今までだったら口うるさい保護者が言ってるようにしか思えなかっただろうけど」

ユミル「まぁ、多少は変わってくるだろ」

アルミン「そうだね。そうなったら嬉しいな」


ユミル「あんまり期待し過ぎるなよ。結局はアイツら2人の問題だろうしな」

アルミン「うん、わかってるよ」

アルミン「でも、あの2人が一緒になったら嬉しいって、心の底から思うんだ」

アルミン「ずっと2人を見てきたから」

ユミル「ふうん。で、お前はどうするんだ?」

アルミン「僕?」

ユミル「ああ、お前の恋愛のほうだよ」

アルミン「そういう、ことか」カァアアア


アルミン「正直、その、あんまり考えたことないんだ」

ユミル「ふーん」ニヤニヤ

アルミン「う、そういうユミルはどうなんだよ?」

ユミル「私か?私だったら、現在進行形で恋愛中だぞ」

アルミン「え?」

ユミル「クリスタとな」

アルミン「ああ、なんだ。そういうことか」ホッ

ユミル「おいおい、アルミン、何まじめに捉えてるんだよ」


アルミン「別に、そんなんじゃ・・・」

ユミル「まぁ、余計なお世話だったな」

アルミン「ねぇ、ユミル。その、付き合ってる振りが終わった後も一緒にいてくれないかな?」

ユミル「はぁ?」

アルミン「この間、マルコに聞いたんだ。恋をするってどんな感じか、って」

アルミン「そうしたら、一緒にいると楽しくて、ちょっとでも長く一緒にいたいって思うって言われた」

アルミン「僕は、この1カ月、ユミルといてすごく楽しかったし、もっと一緒にいたいと思ったんだ」

ユミル「・・・・」


アルミン「正直、これが恋かどうかはわからない」

アルミン「でも、付き合ってる振りが終わったら、全然関係なくなっちゃうのは嫌なんだ」

アルミン「ごめん、勝手なこと言ってるのはわかってる。だけど―」

ユミル「なぁ、アルミン」

アルミン「え?」

ユミル「お前は勘違いしてるんだよ」

ユミル「今まで、ずっとエレンとミカサとばかり一緒にいて、急に違うヤツと一緒にいるようになったから」


アルミン「そんなこと・・・」

ユミル「ごめん、アルミン。そういうこと言われても、私はアンタに何にもしてやれない」

アルミン「別に、何かしてほしい訳じゃない」

ユミル「だとしてもだよ。私は誰ともそういう気はないんだ」

ユミル「だから、今日が終わったらアンタと私はそれでおしまいだ」

ユミル「悪ぃ、先に帰るな」

アルミ「ユミル・・・・」


~女子寮~

クリスタ「あ、ユミル、おかえり~」

ユミル「・・・・」

クリスタ「ユミル?って、びしょ濡れじゃない!!」

ユミル「ああ、雨が降ってきて」

クリスタ「もー、風邪ひいちゃうよ。待ってて、タオル取ってくるから」

クリスタ「ほら、服着替えて!髪拭いてあげるから」


ユミル「クリスタぁ・・・」

クリスタ「ユミル?」

ユミル「・・・・・・」ギュッ

クリスタ「わっ!ちょ、ユミル!急に抱きついてきて~」

ユミル「んー、もうちょっとだけ、このまま」

クリスタ「何か、あったの?」

ユミル「別に・・・・」


~数日後~

ミーナ「ねぇ、一体これはどういうことなの?」

サシャ「この間から、ユミルもアルミンも全然話さなくなっちゃいましたね」

ミーナ「あんなに一緒にいたのに、まるで嘘みたいになってるし!」

サシャ「アルミンはずっと暗い顔してますね」

ミーナ「ユミルは何かぼーっとしてる時が多いし。喧嘩でもしたのかしら?ねぇ、クリスタ、なんか聞いてない?」

クリスタ「特には・・・」

ミーナ「クリスタも知らないとなると・・・」


ミーナ「あー、でも全然、ユミル教えてくれないんだよなぁ」

クリスタ「ねぇ、今はそっとしておこう」

ミーナ「えー」

クリスタ「きっと、いつかちゃんと話してくれるよ」

ミーナ「そうかなぁ。ねぇ、サシャ、パンあげるから突撃してきてよ!」

サシャ「パァンですか!?」

クリスタ「もー、サシャもミーナもダメ!!」

ライナー(怒るクリスタも可愛いな)


ユミル「なぁ、クリスタ」

クリスタ・ミーナ・サシャ「「「!」」」ビクッ

クリスタ「な、なぁに?」

ユミル「私、これから倉庫の掃除当番があるから、先戻っててくれ」

クリスタ「う、うん。頑張ってね」

ユミル「ああ」

クリスタ・ミーナ・サシャ「・・・・」

サシャ「今の話、聞かれてましたかね?」

ミーナ「多分、聞かれてないと思うけど・・・」


クリスタ「もー、ともかく2人は黙ってて!」

ミーナ「えー!!」

クリスタ「下手に部外者が関わって、取り返しのつかないことになったらどうするの?」

サシャ「クリスタ、顔が怖いですよ」

ミーナ「天使の顔が、鬼のようになっている」

クリスタ「早く部屋に戻るの!」

ミーナ・サシャ「「はーい」」

ライナー(俺もしかってくれ!)


ユミル「ん、なんだ。今日の当番はベルトルさんか」

ベルトルト「ああ、よろしくね」

ユミル「さっさと、終わらしちまおうぜ」

ベルトルト「う、うん」

ユミル「・・・・・・」ザッザッ

ベルトルト「・・・・・・・」ザッザッ

ベルトルト「ねぇ、聞いても良いかな」

ユミル「ああ?」


ベルトルト「あのさ、何で最近、そんなに浮かない顔してるわけ?」

ユミル「別に」

ベルトルト「だってさ、アルミンとは付き合ってる振りだったんでしょ?」

ユミル「!」

ベルトルト「ごめんね、たまたま話してるの聞いちゃったんだ」

ベルトルト「だから、そのさ、今2人が離れてるのは付き合ってる振りが終わったから、なんだよね?」

ベルトルト「なのに何でそんな浮かない顔してるのかなぁって、単純に疑問なんだけど」


ユミル「そんなの、ベルトルさんには関係ないだろ」

ベルトルト「まぁ、関係ないって言われたら、それまでなんだけどね」

ベルトルト「ライナーも付き合ってる振りだって言うの聞いた時、同じ場所にいたんだ」

ベルトルト「ライナーはさ、2人が付き合ってるの不自然だって言ってたから、振りだっていうのにすごく納得してた」

ユミル「はっ、だろーな」

ベルトルト「でも、僕はね、結構意外に思ったんだよ」

ユミル「はぁ?」


ベルトルト「そりゃ、見た目的な話だったら、あんまりお似合いとは言えないけどさ」

ユミル「そりゃ、どーも」

ベルトルト「でも、2人でいるときの雰囲気は結構良い感じだなって、僕は思ったんだ」

ユミル「・・・・・・・」

ベルトルト「なんていうか、一緒にいて楽しそうだなぁとかね」

ユミル「で、何が言いたいんだよ?」

ベルトルト「別に。ただ、残念だなって思っただけ」


ユミル「そりゃ、ご期待に添えず申し訳ねーな」

ベルトルト「僕はさ、今、ユミルは落ち込んでるんじゃないかなぁとか思ってるわけなんだけど」

ユミル「あのな―」

ベルトルト「結局、ユミルはアルミンが結構好きだったんじゃないの?」

ユミル「ありえねーな」

ベルトルト「ふーん。ま、ユミルがそういうならそうなのかもね」


ユミル「で、くだらねー話はそれで終わりか?」

ベルトルト「うん。あ、アルミンとの付き合ってる振りが終わったなら、僕と付き合ってみる?」

ユミル「はっ、最高にくだらねーな」

ユミル「そんな話ばっかりなら、私は戻るから、あとよろしくな」

ベルトルト「えー。って、行っちゃったよ」

ベルトルト「あーあ。余計なことばかり話しちゃったなー」


アニ「アンタは一体、何してるんだい?」

ベルトルト「え?」

アニ「ったく、変な時間に人を口説いてるんじゃないよ」

ベルトルト「口説いた訳じゃ、別に。っていうか、何でアニがここにいるのさ!」

アニ「たまたま、通りかかって。で、今のは何なんだい?」

ベルトルト「誤解だよ、誤解!ちょっと、その、アルミンとユミルを・・・・」

アニ「ふーん。ま、私には関係ないけどね」

ベルトルト「え、ちょっと。アニ!!」


*

ミカサ「アルミン?」

アルミン「え、うん。どうかした、ミカサ」

ミカサ「アルミンこそ、何をしているの?」

アルミン「えっと、宿題のレポートを済ましちゃおうと思って」

ミカサ「その割には、全然進んでないみたいだけど」

アルミン「えっと、ちょっと考えごと、してて」

ミカサ「ユミルのこと?」


アルミン「・・・・・」

ミカサ「そう」

アルミン「ユミルは、その、別に悪くないんだ。僕が情けないっていうか、ふがいないっていうか」

アルミン「僕が一方的に迷惑をかけてたっていうか・・・」

ミカサ「・・・・・」

アルミン「ねぇ、ミカサ。ミカサはどうしてエレンを好きになったかとか、考えたことある?」

アルミン「もし、側にいたのがエレンじゃなかったら、別の誰かを好きになってたとか思ったりしない?」


ミカサ「もしかしたら、そういう未来もあったかもしれない」

ミカサ「だけど、私が生きた現実ではエレンが側にいた。だから、それは考えても意味のないこと」

アルミン「そ、っか」

ミカサ「それに、きっと好きになった理由なんていくら考えても仕方がないと思う」

アルミン「?」

ミカサ「私はエレンの好きな所をいくつでも言える」

ミカサ「でも、それはきっと後付けに過ぎないのだと思う」


アルミン「それって・・・」

ミカサ「つまり、私はエレンが好きで、とても大切」

ミカサ「でも、それはエレンがカッコイイから好きとか、目標に向かって一直線だから好きとかじゃなく」

ミカサ「結局のところ、エレンだから好きなんだと思う」

アルミン「エレンだから?」

ミカサ「もしエレンの好きな所を挙げて、それが無くなってしまったとしても」

ミカサ「それでも、私はきっとエレンの事が好き。もしかしたら、理由なんて無いのかもしれない」


ミカサ「だからもし、アルミンがそういうことで悩んでいるなら、悩んでもあまり意味が無いと思う」

アルミン「そっか、そうかもね」

ミカサ「アルミンはすぐ色々と考えてしまうけど、たまには直観で動いても良い」

ミカサ「もちろん、エレンみたいなのは困るけど」

アルミン「ふふっ。でも、エレンのそういうところ参考にしてみるのも良いね」

ミカサ「ねぇ、アルミン。もし、アルミンがユミルに伝えたいことがあるなら、きちんと伝えた方が良い」

ミカサ「きっと中途半端で終わってしまうのが一番後悔する」


ミカサ「それでも、もしダメだったら私とエレンが話を聞くから」

アルミン「うん。ありがとう、ミカサ」

ミカサ「あと、好きだときちんと言葉にした方が良い。曖昧はダメ」

アルミン「それはミカサの経験談?」

ミカサ「すごく時間がかかった。伝わらなくて、思わずキスしてしまった」

アルミン(あー、あれはそういう事だったのか)

ミカサ「ともかく、私はアルミンを応援している」


アルミン「う、うん」

ミカサ「それはきっとエレンも同じ」

アルミン「そういえば、エレンは?」

ミカサ「ライナーと格闘訓練している」

アルミン「ミカサは混じらなくて良いの?」

ミカサ「たまには離れることが、2人の絆を強くする」

アルミン「へ、へぇ(余裕出てきた故の変化かな、これも)」


ミカサ「アルミン、ユミルの所へは?」

アルミン「うん、今から行ってくる」

アルミン「行って、言いたいことを全部伝えてくる」

ミカサ「そう」

アルミン「ちゃんと、聞いてもらえるか分かんないけどね」

ミカサ「大丈夫」

アルミン「じゃあ、行ってくるよ」

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