モバP「事務所に新しいアイドルが増えた」 (75)
智恵理「プ、プロデューサー……今日の、お仕事……どうでしたか?」
P「そうだなあ、前座だけどライブなんだし、もうちょっと思いっきり声を張り上げたほうがよかったかな」
智恵理「……す、すみませ……」
P「けどまあ、一度も転ばなかったのはよかったぞー。智恵理は入ってまだ日も浅いしこれからし、もっと先輩たちのライブ見て勉強しような」ナデナデ
智恵理「は、は……い……///」
菜々「プロデューサー!ナナも今日のライブは転んでませんよ!褒めてください!」
P「はいはい、菜々もえらいえらい」ポンポン
菜々「キャハっ!」
藍子「二人とも本番前から緊張してましたからね」
P「藍子だって二人に負けないくらいよかったぞ。一番落ち着いてたし安心して見ていられたよ」
藍子「そ、そうですか?うふふ、ありがとうございます♪」ニコニコ
凛奈緒加蓮未央卯月「…………」
加蓮「ねえプロデューサー」
P「ん、どうした?」
凛「私たちもライブ頑張ったんだけど」ムスッ
P「おうそうだな。よく頑張ったぞ」
菜々「もっとウサミンパワーを磨いてライブ出てお客さんを盛り上げたいですね!!」
P「はははっ、なんだよウサミンパワーって。まあ菜々がその調子ならどんどんファンも増えていくよ」
智恵理「わ、私も……もっと頑張り……」
藍子「ふふっ、もう智恵理ちゃん、そこは胸張って『頑張ります!』って言わないと」
ワイワイキャッキャ
奈緒(……今回のライブ)ムスッ
未央(NGとTPの合同ライブがメインだったのに)
楓(プロデューサー……やっぱり新しい子のほうが新鮮で嬉しいのね)プクーッ
卯月「あれっ、なんで私の代わりに楓さんが膨れてるの……?」
――夜、事務所
P「……あれ、これ流す曲順間違ってるな……直すか」カタカタカタッ
留美「あら、ちひろさん……ここ、金額の計算が合わないわよ」カリカリ
ちひろ「あれ?あ、ホントだ……ちょっと直しますね」カタカタ
楓「……」ゴロゴロボケー
美優「お茶ですよー」
ちひろ「あっ、すみません美優さん」
P「ありがとうございます」
留美「ありがとう。あなたも今日は1日中グラビア撮影があって疲れたんじゃない?」
美優「いえ……私はそれほどでも……それに皆さんはいつも遅くまで仕事していますし」
P「そこでソファの上でゴロゴロしてるだけの人もいますけどね」
楓「飲み会が始まるまでゴロゴロし続けられる自信があります」
留美「暇なら少しは手伝いなさいよ……」
ちひろ「それにしても、留美さんたちが来てくれてプロデューサーの負担が少しは減るかと思ったら……」
留美「またアイドル増やすなんて何考えているのかしら」
P「いやあ……現場から帰る途中でつい良さそうな娘がいたら声を掛ける癖が……」
美優「……」ムスッ
ちひろ「週休0日の日常に戻りたいんですか?」
P「いや、出来れば戻りたくはないんですが……まあ仕事してるほうが落ち着きますし」
P「あいつらのために俺はやるんだ、やるぞー!って感じでむしろ気力が湧いてきますよ」
留美(重症ね……)
ちひろ(これだからワーカーホリックは……)
楓「最近のプロデューサーは新しい子たちに夢中ですからね」
P「ははは……」
楓「でも、凛ちゃんたちは不満そうでしたよ」
P「えっ、あいつらが?いやまあ今日のNGとTPのライブの前座で智恵理たちを出してやりましたけど、目立つミスとかは……」
美優「そうじゃなくて、きっとプロデューサーさんに構ってもらえなくて寂しいんですよ」
P「あいつらが……いやいや、そんなまさか」
ちひろ「最近、凛ちゃんたちが仕事した後にちゃんと褒めたりしてますか?」
P「そりゃあもちろん、報告だって聞いてますし」
留美「そうかしら?何となく耳に入れてるだけで終わりっていう感じに見えていたけど」
楓「前より大げさに喜ばなくなりましたよね」
P「え……うーん、まあNGとTPも十分場慣れしてきましたし……」
お絵かきのほうになってなかったわ。すまんの
ちひろ「こらこら、慣れてきたからって適当にしていい理由にはなりませんよ」
楓「せっかくみんなと仲良くなったんですから、ちゃんと褒めてあげないと……」
P「そう言われると返す言葉が……まあ、確かにあいつらだって頑張ってくれてるんだし、俺がしっかり褒めなきゃダメですよね」
美優「そうですよ。あの子たちだって……プロデューサーさんに褒めてもらえたらきっと喜びますよ」クスッ
留美「P君がこの事務所の大黒柱なのよ?ちゃんとみんなのことを見てあげないと」
P(確かにな……よし、明日からは気をつけよう)
――翌日午前、▼★スタジオ
卯月加蓮「~~♪」
監督「はいカット!いいよいいよー」
卯月加蓮「お疲れ様でした!」
P「よかったぞ二人とも!いつもより声の調子が良かったんじゃないか?」
加蓮「えへへ、そうかな?」
卯月「やっぱりカメラが回ってるとやる気が違いますからね!」
P「よしよし、監督さんも喜んでくれてるみたいだし、この収録はお前たち二人を選んでよかったよ」ポンポン
加蓮「もう、そんなに褒めなくても……」
卯月「えへへ♪」
P「それじゃあ俺は少し監督さんと話してくるから、控え室戻って着替えておいてくれよ」
卯月加蓮「はーい」
――午後、○○公園
カメラマン「はいっ……はいそこで可愛く」パシャッパシャッ
未央「こうですか?」クイッ
カメラマン「お、いいねいいね。奈緒ちゃんもやってみて」パシャパシャ
奈緒「こ、こう……こうかな?」ググッ
カメラマン「はははっ、奈緒ちゃんは恥ずかしがってるほうがいいかもねー。そのままそのまま」パシャパシャパシャパシャパシャ
P「……」ウムウム
……
…………
P「二人ともお疲れさん。結構可愛く撮れたんじゃないか」
未央「うひー、たくさん撮ってもらっちゃった」
P「秋物のファッション特集だし、この後も何回か着替えて撮るみたいだぞ」
奈緒「マジかよ……あたし変な顔してなかったかな」
P「恥ずかしがってる顔はよかったぞー。カメラマンさんも気に入ってたじゃないか」グリグリ
奈緒「バ、バッカ……恥ずかしいわけないって!」
未央「途中から顔真っ赤だったよー?」ニヤニヤ
奈緒「うう……」
P(確かにちゃんと褒めると喜んでくれるな……せっかくこいつらと仲良くなれたんだし、今度からもっと気にしておこう)
P「よし、それじゃ俺は凛たちのラジオ収録見てくるから、あとは任せたぞ」
未央奈緒「はーい」
――■■スタジオ
P(凛たちは……お、いたいた。頑張ってるじゃないか)コソコソ
P(ああ、智絵理が頑張ってカンペ見ながら喋ってるな……いま噛んだな……)
P(菜々は妙に慣れてる感がするな……藍子はちゃんと出来てるな、うん)
凛「……!」サササッ
P(お?凛がこっち近づいてきた……とりあえず部屋の外で)クイクイッ
凛「プロデューサー来たんだ。忙しくないの?」
P「いや、今日は1日中外回ってたしな。調子はどんな感じだ?」
凛「いつもどおり大丈夫だよ。私はレギュラーだし慣れてるよ」
P「おっ、さすが凛――」
凛「!」ピクッ
P「――っと、そういえば智絵理たちはどんな感じだ?」
凛「……」ムスッ
P「凛?」
凛「……いまはゲストコーナーで3人でやらせてるけど、智絵理はかなりガチガチになってるかな」
凛「菜々は喋れてるけどちょっとテンポが速くて聞き取りにくいかも」
凛「藍子は菜々に引っ張られちゃってる感じで相槌が多いね」
P「ふむ……パッと見て菜々は問題なさそうだったけど」
凛「ガラス越しで声は聞こえなかったしね、プロデューサーも聞いてみるとそう思うよ」
P「そうか。んー、やっぱりトークはもうちょっと慣れさせないとダメか」
凛「そうだね」
P「凛くらい落ち着いてしっかり喋れるといいんだがな。まだ難しいか」
凛「そ、そんなこと――」ガチャッ
リンチャーン、ツギノコーナーハイルヨー
凛「……」
P「お、ほら次出番みたいだぞ。いってこい」ポンポン
凛「……うん」スタスタ
――夜、某ファミレス
卯月「今日はプロデューサーさんに思いっきり褒めてもらっちゃった!」
奈緒「あたしは思いっきり弄られたよ……」
未央「またまた~。嬉しそうにしてたじゃん」
奈緒「そ、そんなことないっての!」
加蓮「えへへ、事務所に戻る前にプロデューサーにアイス買ってもらったしね」
ソレデプロデューサーガ……
凛「……」
凛(みんな褒めてもらってるんだ……)
奈緒「プロデューサー、最近は智絵理や菜々さんに付きっきりだもんなあ」
未央「藍子ちゃんたちもレッスンだけじゃなくて現場に出るようになってきたしねー」
凛「……プロデューサー、最近新しい子にべったりしすぎだよね」
卯月「うーん……けど3人ともまだ入ったばっかりだし」
加蓮「プロデューサーが気にしちゃうのも仕方ないよね」
奈緒「ま、あたしたちも仕事始めたばっかりのときはあんな感じだったんだろうなあ」
未央「最近は私たちも成長してきたー!って感じでバリバリ仕事やってるしね!」
加蓮「仕事のしすぎでプロデューサーみたいに働かなくちゃ生きていけない体になったりして」
島村「プロデューサーさんっていつも狂ったように働いてるもんね!」
奈緒「働きすぎてまた病院行きにならなきゃいいけど……」
加蓮「いまは留美さんたちもいるし、そこら辺きっと大丈夫だよね」
凛「……」
凛(みんな、ちょっと前までは私と同じでプロデューサーに文句言ってたのに……)ムスッ
――翌日、レッスン場
トレ「1、2、1、2……」タンタンタン
智絵里「きゃっ!?」グラッ……ドテッ!
菜々「あっ、智絵里ちゃん!」
トレ「っと、ストップストップ!」
凛「智絵里大丈夫?」
智絵里「は、はい……うう……」クスン
藍子「立てる?ほら、手伸ばして」グイッ
智絵里「あ……ありがと……」
凛「いまの回るところもっと手伸ばしたほうがいいよ。それにもうちょっと思いきり回らないと遅れちゃう」
智絵里「はい……ごめんなさい……」
凛「もうちょっと練習すればできるよ。ほら、もう一回やろう」
トレ「それじゃあまた最初からやるわよー」
ベテランかどうかは考えてないな
菜々「――中々上手くいかないですねぇ」
藍子「あそこが出来たら、もう少しで最後まで通せるようになるし頑張ろう?」
智絵里「……ごめんなさい」
菜々「ここはナナのウサミンパワーを智絵里ちゃんに注入して……ムムムっ」
P「こらこら、変なもん注入するな」ガチャッ
藍子「あ、お疲れ様ですプロデューサー」
P「みんな頑張ってるみたいだな。……トレーナーさん、調子はどうです?」
トレ「そうですね……凛ちゃんたちは形になってきてますね」
P「おっ、さすが――」
凛「!!」ピクッ
トレ「ただ智絵里ちゃんがちょっとキツそうですね……今日はあまり進んでなくて……」
智絵里「うう……」シュン
P「そうですか……まあはじまったばかりだし、もう少し頑張っていこうな智絵里」ナデナデ
菜々「そうですよ!一緒に頑張りましょう!!」
藍子「本番まではまだまだ時間もあるし、ゆっくりやりましょう?」
智絵里「は、はい……がんばり、ます」
凛「……」
智絵里「り、凛さん……私、もっと頑張ります、から……」
凛「……」プイッ
智絵里「……あう」シュン
P「こらこら、凛は先輩なんだから智絵里たちに色々教えてあげなきゃダメだろう?」
凛「……そう」プイッ
菜々「……り、凛ちゃんはさっきまで智絵里ちゃんに色々指導してあげてましたよ!!」
藍子「ターンのやり方とか、智絵里ちゃんが出来てないところ、ちゃんと見てくれていたものね」
P「そっか、ならいいか。智絵里、そのできないところやってみてくれないか?少し見てあげるよ」
智絵里「……ほ、ほんとですか……あり、ありがとう……プロデューサー……///」
凛(……何よ)
――夕方、事務所
凛「ただいま」ガチャッ
ちひろ「おかえりなさい」
楓「……おかえりなさい」ゴロゴログデー
ちひろ「あら、凛ちゃんって今日は智絵里ちゃんたちとレッスンじゃなかったかしら?」
凛「……他のみんなはプロデューサーが車で送っていったよ。私は事務所に荷物置いたままだったから戻ってきたの」
ちひろ「そう。みんなのレッスンの調子はどう?」
凛「いいんじゃないかな。本番まで時間あるし多分何とかなるよ」プイッ
楓「凛ちゃん、レッスンの後だから疲れてる?」
凛「別に、慣れてるし大丈夫だよ」
楓「そう……凛ちゃんはNGとTPのリーダーもやってるんだから、あまり無理しないで」
凛「わかってるよ」
ちひろ「そうそう、無理してぶっ倒れるのはプロデューサーだけで十分ですしね」
凛「プロデューサーならもっともっと働いても大丈夫じゃないかな」
凛「それじゃ帰るから。お疲れ様です」ガチャッ
ちひろ「気をつけて帰ってねー」
楓「お疲れ様」ゴロゴロ
バタンッ
楓「……」ゴロゴロ
――夜、事務所
P「……うーん、先方は元気のある子がいいって言ってたしなあ。NGにやってもらうか」カタカタ
P「あとは仁奈も連れてって……よし、明日留美さんが来たら相談してみるか……ってもうこんな時間か」
P「今日は誰もいないしなー。もう少しやっておくか――」グッ
楓「ダメですよプロデューサー」ムクリッ
P「っておおおお!楓さんまだいたんですか!?」
楓「飲み会が始まるまでソファの上でゴロゴロし続けられる自信があるって言ったはずです」
P(それは飲み会のある日だからじゃないのか……?)
楓「というわけでプロデューサー、ちょっと一杯いきましょう」グイグイッ
P「ええっ!?いや、ちひろさんたちがいるときにしましょうよ……」
楓「いえいえ、今日は飲む以外にも大事な話があるので」グイグイッ
P「え、大事な話……?」
楓「そうです。なので残業しすぎなプロデューサーの大事も兼ねて飲みにいきましょう、ほら」グイグイッ
P「ホントに大事な話あるのかよ……」
――居酒屋
P「それじゃ乾杯」
楓「乾杯」ゴクゴク
P(もう飲んでるし……)
楓「一仕事終わったあとのお酒はまた格別ですね」ゴクゴクゴク
P「俺最近、楓さんが事務所でゴロゴロしてる光景しか見てないんですけど……」
楓「失礼ですね……私だってちゃんと仕事いってきてますよ」プクーッ
P「ははは……っとそうだ、そういえば大事な話って?」ゴクゴク
楓「凛ちゃん、最近すごく不機嫌そうな顔してますよ」ゴクゴク
P「え、凛が?」
楓「今日も事務所に戻ってきたときは膨れっ面になっていました。あ、生おかわりで」ゴクゴク
P「うーん……最近凛には新人3人を任せてるからなあ。ちょっと辛いのかもしれないですね」
楓「違いますよ」ゴクゴク
楓「プロデューサーが凛ちゃんに構ってあげてないから不貞腐れているんですよ」ゴクゴク
P「ええっ、凛が?いやいや、あいつそんな誰かに甘えるタイプじゃないですって」
楓「……どうしてそう思うんですか?あ、生おかわり」ゴクゴク
ナマイッチョー
P「凛はNGとTPのリーダー両方掛け持ちでもしっかりやれてるし」ゴクゴク
P「藍子たちも言ってましたけど、後輩の面倒もちゃんと見ているみたいですからね」
P「みんなを引っ張っていくタイプですよ、あいつは」
楓「……確かにそうかもしれませんけど」ゴクゴク
ゴトッ
楓「けど、凛ちゃんは智絵里ちゃんたちのこと羨ましそうに見てましたよ」
P「え……?」
楓「プロデューサー、私とちひろさんが言ったのに凛ちゃんのこと褒めてないでしょう?」
P「いや、そんなこと……あれ、どうだったかな……」
楓「ほら、やっぱり褒めてないじゃないですか」
P「う、うーん?卯月たちにはちゃんと褒めてるはずなんだけど……」
楓「凛ちゃんがどれだけしっかりしている子でも、頑張ったことはちゃんと褒めないとダメですよ」
楓「それが当然だとしても、自分のやったことがちゃんとプロデューサーに見てもらえてるって分かると嬉しいはずです」
P「ま、まあ……」
楓「……プロデューサーは、凛ちゃんたちに『ありがとう』ってちゃんと言ってもらえたらどう感じますか」
P「……嬉しいです。すごく」
楓「そうですよね」
P「初めて、ちゃんとあいつらに『ありがとう』っていってもらえたとき、最初は驚いたけどすごく嬉しかったです」
P「やっとあいつらに認めてもらえたんだ、アイドルの仕事を楽しんでもらえてるんだろうなって……」
P「……ははっ、やっぱり俺ってまだまだダメですね」
楓「そんなことないです。ちゃんと気付けたじゃないですか」
P「楓さんに教えてもらえなかったら、気付くのがもっと遅れてたかもしれないですけど」ポリポリ
楓「プロデューサーなら、きっと私が言わなくても気付けていましたよ」ゴクゴク
P「そうかな……ははっ、ありがとうございます、楓さん」
楓「それに……」サササッ
楓「私だって褒めてもらえるとすごく嬉しいんですよ?」ガシッ
ギュウウウウウ
P「痛てててててててて!」
楓(強く抱きつき過ぎちゃった……)
ギュッ
楓「新しい子が入ってきてから、私だってプロデューサーさんに褒めてもらった記憶がありません」ゴクゴク
P「あれ、そうでしたっけ……」
楓「そうです、差別です、贔屓です。やっぱり男の人は新しい子に目移りしちゃうんですね……」シュン
P「そ、そんなことないですよ!」
楓「じゃあ褒めてください」ギュッ
P「ええっ……こ、ここでですか?」キョロキョロ
楓「はい」
楓「最近は○×携帯電話会社のCM撮影がありました。あと脇役ですけどドラマの撮影もやりました」
P「そ、そうですよね、CM出来もよかったですし……」
楓「はい。だから私にも子供たちと同じように頭をぽんぽんしてください。さあ」ズイッ
P(こ、子供か……)
P「よ、よく頑張りました。えらいえらい……」ポンポン
楓「ふふっ、なでなでもしてください」
P「い、いい死体っぷりでしたよー」ナデナデ
楓「ついでにぎゅってしてください」
P「はいはいいい子――ってさすがにあいつらにもハグはやってません」バシッ
楓「叩かれた……結局私の頑張りはハグらかされちゃうんですね……なんて」フヒッ
P(ダメだ……もう意識が正常じゃないぞこれは……)
――翌日、レッスン場前
凛「あ、タオル忘れてきちゃったかも」
菜々「あらら、それはいけませんね」
智絵里「あう……大変です……」
凛「大したことじゃないから……ゴメン、先に事務所に戻ってて」タタタッ
藍子「分かりましたー」
……
…………
P「あれ、あいつら……おーい!」
菜々「あれプロデューサーさんじゃないですか。お疲れ様です」
藍子「どうしましたか?」
P「いやあ、ちょっとレッスンの様子を見にこようと思ってな。もう終わったか?」
智絵里「はい……あ、あの……」
P「ん?」
智絵里「今日の、レッスン……昨日プロデューサーと、凛さんに教えてもらったおかげで……うまくできて……その……」
P「おお、すごいじゃないか!最後まで出来るようになったか?」
藍子「まだ最後までやれてないんですけどね、もう少しで通しで踊れるようになると思いますよ」
菜々「智絵里ちゃん今日は頑張りましたからね!」
智絵里「え、えへへ……」
P「そうかそうか、よしよし……っと、そういえば凛は?」
P(もしかして先に帰ったか?)
菜々「凛ちゃんなら忘れ物があってレッスン場に戻っていきましたよ?」
P「そうか……それじゃお前らは先に戻っててくれ。俺は凛と一緒に戻るよ」
P(危ない危ない。凛とすれ違う前に急いでレッスン場に向かうか)
――レッスン場
凛「あったあった」ヒョイッ
凛「さてと……私も早く事務所に――」
ダダダッガチャッ
P「おーい、凛いるかー?」
凛「プロデューサー……!?」
P「お、よかったよかった。まだいたか」
凛「……何」ツーン
P(ああ確かに、これは膨れてるな)
P「ちょっとレッスンの様子を見にきただけだよ」
凛「もう終わってるし、智絵里たちなら先に帰ったよ」
P「そっか。3人の様子はどうだった?」
凛「……昨日失敗してたところは抜けたし、もう少しで一通り出来るようになるんじゃないの」プイッ
P「そっかそっか」
凛(いつもいつも、3人のことばっかり……)
P「やっぱり凛に3人を任せて正解だったな!」
凛「……え、どうして」
P「凛にはNGとTPのリーダーやってもらってるし、3人を任せるなら凛が一番適任かと思ってたんだよ」
凛「わ、私は別に……ちゃんとやれてないよ」プイッ
P「そんなことないだろう?ラジオの収録だって3人のダメなところはちゃんと見てくれていたじゃないか」
P「昨日のレッスンだって、智絵里ができなかったところ、ちゃんと指導してやったんだろう?」
凛「そ、そうだけど……」
P「リーダーも兼任して大変なのに、俺の代わりにちゃんとみんなの面倒見てくれて助かるよ。ありがとう」ナデナデ
凛「!!」ビクッ
P「凛はメンバーの中で一番出来るから、つい頼っちゃうんだよな。あんまり凛のこと見てやれなくてすまない」ナデナデ
凛「べ、別に……そんなに大変じゃないし……」
P「ははは、卯月や未央はおっちょこちょいなところもあるしな」
P「加蓮や奈緒はまだ後輩の面倒を見れるほど余裕があるわけじゃないからな」
P「凛は普段からみんなのまとめ役になってくれてるし、ちゃんとやってくれると思ってたんだよ」ナデナデ
凛(……そっか、私、プロデューサーに頼られてたんだ)
P「大変だったり、困ったことがあれば相談してくれよ?あんまり凛の負担になるようなことはさせないからさ」ナデナデ
凛「だ、大丈夫だって……それに、頭撫ですぎだから!」バッ
P「おおっと、すまんすまん……」
凛「……」ジーッ
P「ん?」
凛「や、止めていいって言ってないし……」
P「お、そ、そうか……ほらほら、いい子いい子ー」グリグリ
凛「こ、子供扱いしないでってば……!」アセアセ
P「はははっ」
凛「もう……///」
P(何だかんだいっても、まだまだ子供なんだよな……俺もしっかり見てやらないとなあ)
P「そうだ、いつも頑張ってくれてる凛には何かご褒美をあげないとな」
凛「べ、別にいいってば」
凛(なでなでしてくれたし……)
P「事務所帰る前に、ちょっと寄り道して甘い物でも食べに行くか」
凛「……行く」
P「よし、それじゃ早速――」ギュッ
P「ん、スーツの裾なんて掴んできてどうした?」
凛「何でもないから……それより早く行こうよ」
P「はいはい、それじゃどこに行こうか」
――夕方、事務所
P「ただいまー」
凛「ただいま」
ちひろ「お帰りなさい。遅かったですね?」
P「ちょっと寄り道にな。ほらみんな、アイス買ってきたぞ」
卯月「ありがとうございます!」
未央「おー、さすがプロデューサー!」
奈緒「あたしバニラにしよう。智絵里はどうする?」
智絵里「わ、私も……同じやつで……」
藍子「それじゃあ私は抹茶で」
菜々「ピピッ!!ウサミンレーダーがイチゴ味のスー○ーカップの場所を指し示してますよ!!」ガサゴソ
留美「P君も気が利くわね。はい美優」ガサゴソ
美優「まだ暑いですからね……ありがとうございます」
加蓮「あれ、凛は食べないの?」
凛「私はプロデューサーと外で食べてきたからいいよ」
P「おいおい凛、それは内緒……」
未央「えー!いいなあ」
島村「贔屓ですかプロデューサーさん、最低ですよ!」
P「ははは……すまんすまん、みんなも機会があればな」
凛「ふふふっ♪」
ちひろ(あらあら、プロデューサーさん、ちゃんとみんなと仲良くやれてるじゃないですか……ふふふっ)
楓「……♪」ガサゴソ
楓「……お酒が……ない……」シュン
Pちひろ「あるわけないだろ」
おわり
自分も頑張っているのに中々褒めてもらえなくて不貞腐れる娘と
それに気付けなかったお父さんを諭してあげるおばあちゃんという感じで
俺は出てきたメンバーの中では美優さんしかSRもってないよ
結婚してくれ
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません