モバP「凛…お前にこの種をやろう」 (42)

渋谷凛「この種…なんの種なの?」

モバP「今はまだ秘密だ」

凛「へぇ…女の子に隠し事しちゃうんだ…よくないなぁ…」

モバP「まぁ仕方ない…ほんとのこと教えたら意味がないからな」

凛「この種は花屋の娘たる私への挑戦状と受け取ったよ」

凛「なんの種か解明して見せる!」

モバP「期限は三年だ…もっとも、凛にはわからないかもしれないがな」

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凛「それから私の三年間は始まった」

本田未央「それなんて言うんだっけ…編集点?」

島村卯月「プロ意識の高さはさすが凛ちゃんですね!」

凛「ちょっと茶化さないでよ…結構真面目なんだからね?」

未央「で、なんの種か検討はついてるの?」

凛「いや、さっぱり」

卯月「花屋さんでもわからないことがあるんですね!」

凛「見たことない種だし…そもそもうちは花育てたりしないし…卸業みたいなもんだし…」

未央「おや?早速弱気発言ですな?これはプロデューサーの勝利確定かな」

凛「べ…別にそんな勝負みたいなことしてる訳じゃないし…」

卯月「そんなこんなで不安しかない凛ちゃん対プロデューサーさんの謎の種の対決が始まりました!」

凛「…だめかぁ」

未央「なにがだめだったんだい?」

凛「親に聞いてみたけど二人とも知らなかったみたい」

卯月「進展なしですか…」

凛「でも農家の人に聞いてくれるっていってたから少し待ってれば希望はある…はず」

未央「ほらほら!そんなに待ってる暇あるのかなー?三年なんてあっという間だよ?」

凛「そうかな…一年があっという間になるのは歳をとってからだと思うけど」

卯月「一年生のときの一年間はすごくあっという間でした!」

卯月「い…一年生…?あ…ぁ…や、やめてください…もう声はこれ以上でないんです…う…うぅ…か、歌詞…?す…すみません…お、覚えてませんでした…ぃや…やめてください…!許してください…!」

凛「う…卯月?」

未央「とにかく一年も三年もあっという間に過ぎちゃうからね!モタモタしてられないよ!」

凛「あれ大丈夫なの?」

未央「墓穴を掘って自滅したということで我関せずを貫くのがポイントだよ!」

凛「そっか…」

凛「…」

卯月「どうしたんですか?凛ちゃん…」

凛「農家の人も知らないっていってた…もしかしたらいままでなかった新しいのかもって」

未央「いやー…さすがにプロデューサーとはいえ新種を押し付けて何か当てろなんてひどいことはしないと思うよ?」

凛「うーん…じゃあ仕方ないけどとにかく実験あるのみだね」

未央「実験ってことはとにかく咲かせるつもり?」

卯月「島村卯月!種付けを行います!」

凛「結局はこれが一番早いんじゃないかなって思ったんだ」

未央「でもしぶりんって花育てたことあるの?」

凛「大丈夫、もしだめでも先輩アイドルに植物に詳しい人たちがいるから」

卯月「お花とか育てるのが得意なんですか?」

凛「米作りしてるっていってた」

4月
凛「残していこうか…私たちの記録…!」

卯月「一年かけてだんだん植えていくなんて大変ですね…」

凛「うちにあった種の袋にはうえる時期が書いてあったからね」

未央「なにかわからない以上は毎日でも植えるって訳だね!」

凛「幸いプロデューサーは100グラムぐらいの種を寄越したからね…」

卯月「そこまでしてわかってほしかったんでしょうか…」

未央「種100グラムって多すぎじゃない?いっぺんにそんなに渡されたの?」

凛「ううん、毎日少しずつ渡されるの…十日たった今日で100グラム」

卯月「プロデューサーさんはなにと戦ってるんでしょうか…」

未央「植え方はどうする?」

凛「発芽しやすいように浅目に植えて軽く土を被せるくらいにしようか」

未央「じゃあこの植え木鉢に名札みたいなあれでも刺しておこうか!」

卯月「小学校の朝顔みたいですね!」

卯月「しょ…小学校…?あ…あぅ…」

凛「ちょっと、卯月?」

未央「また発作が…!」

卯月「正直五年も前のことなんて忘れました!」

凛「未来の話しても発作起きるんじゃない?」

5月
凛「こんげ」

誤射

5月
凛「今月も残していこうか…私たちの記録!」

未央「これ毎月やるの?」

卯月「凛ちゃんらしくていいと思いますけど、もう少し捻りがほしいと思います」

凛「そうだね、考え直すよ」

卯月「それにしても…」

未央「先月植えたのは生えてこないね…」

凛「いきなりは成功しないね」

未央「ちゃんと水やりとかしたの?」

凛「その辺は抜かりないよ」

卯月「先月は忙しかったのにも関わらず凛ちゃんは熱心ですね!」

凛「桃華に頼んで天気予報を変えてもらったからね」

未央「予報だけ変えても意味ないよね…てかその手口どっかで…」

卯月「…!」

未央「…!じゃわからないよ?」

凛「今月も植えていこうか…私たちの種!」

卯月「32点です」

凛「辛辣だね」

未央「とりあえず水やりは一日交代でやろっか」

6月
凛「私たちの記録…残していこうか!」

未央「倒置法かぁ…」

卯月「雨続きで根腐れしちゃいそうですね」

凛「4月も5月も生えてこなかったよ…」

未央「発芽まで時間がかかるタイプなのかな」

卯月「私も芽が出るまで時間がかかっちゃいましたからね…もしそうならこの種に愛着が沸きそうです!」

凛「こういういかにもなことではトラウマにならないんだ」

卯月「大事な育成期間でしたから!」

未央「いい話かな?」

未央「で、今までと同じように植えるの?」

凛「小学校のときに対称実験ってしたでしょ?一年目はそれに費やしてもいいかなって」

未央「でもそう考えてなさそうな娘もいるけどなぁ」

卯月「島村卯月!ガン掘ります!」

凛「…どこを?ここ屋上だけど?」

卯月「凛ちゃん、動かないでくださいね?」

凛「え…」

アッー

7月
凛「わたのこ」

未央「四文字で略すのはやってるもんね」

卯月「このわたみたいですね」

凛「卯月のこのわたも食べてみたいかな」

未央「結局しまむーが掘った穴に植えたのも発芽しないね」

凛「私という最高の土壌でも発芽しないなんて…贅沢な種だね」

卯月「凛ちゃん食べちゃったんですか!?」

凛「割りと美味しかったからガツガツ食べちゃった」

未央「ひまわりの種みたいなものなのかな…」

卯月「でも、そんなに食べたら植えられる数が減りますよね」

未央「そりゃそうだ」

凛「あんまり植えても仕方なくない?」

卯月「もしかしたら天文学的な確率で発芽するのかも知れませんよ?」

凛「…そうだよね、これからは気を付けるよ」

未央「でもやることは植えて待つだけなんだ」

8月
凛「…」

未央「しぶりん?」

凛「あ…ごめんねボーッとしてた」

未央「考えるの飽きたの?」

卯月「一ヶ月も考える猶予あったんですよね?」

凛「そういう訳じゃないんだけどね?でもレス始めに言えなかったから来月に持ち越すね?」

未央「で、種の方は?」

凛「プロデューサーが少し入院してから植える量が減ったかな」

卯月「4月からの種もまだ発芽しないです」

凛「医者になにか言われたのか知らないけど種の供給が少なくなってさ…」

未央「少なくできるなら天文学的な確率で発芽する線は無いかもね」

卯月「あとはやっぱり、愛情ですかね…」

凛「愛情?」

卯月「凛ちゃんは種がなにか知りたいだけで、出てきた植物は観察対称としてしか見てないのかもしれないです」

凛「愛…かぁ…」

未央「しれっとどうしようもないこといったね…」

凛「決めた。私、この種と一生を遂げるよ」

未央「なんて発言してるんだいしぶりん」

卯月「その意気です!頑張りましょう!」

未央(もしかしてこれって三年たてばかってに答えわかるんじゃ…)

8月
凛「蹣芵苄芢花芤芩腣躄芽芿苌譌類腉」

未央「あれ…?レスを跨いだのに月が変わってない…てかしぶりんなんていったの?」

卯月「たぶんあれはShift-JISがUTF16BEになってますね!」

卯月「いってることは最初と何ら変わってないと思います!」

凛「ちぇ、ばれたか…」

未央「ていうよりなんでまだ8月なの?9月じゃないの?」

凛「なにいってるのさ未央…あれからもう一年がたったんだよ?」

卯月「島村卯月、留年したので今年も高二です!」

未央「んなばかな…」

凛「ちなみに未央は出席日数足りなかったから留年だったよ」

未央「そんな…」

卯月「冗談ですよ冗談!ほんとは8月32日ですよ!」

未央「なんだ8月32日か…」

未央「は?」

凛「特殊条件下でしか発芽しないかと思って桃華に頼んで暦を変えてもらったんだ」

未央「何で桃華ばっかりなの?他にも適任いるのに」

凛「いや…一番いうこと聞いてくれそうだし…」

未央「はぁ…で、どうなの?」

凛「今日植えたばっかりで発芽するわけないじゃん」

未央「…」

卯月「この調子で9月も乗りきりましょう!五月病なんかには負けませんよ!」

未央「どこまで冗談でどこまで本気なの…」

一年後4月
凛「色々残してきたね…私たちの記録」

未央「まだ半分すらたってないのに過去形ですか」

卯月「一気に時間がとんだ感覚です!」

未央「一ヶ月ごとに飛んでたのにいまさら…」

凛「それにしても発芽のはの字もなかったね…」

未央「うん…」

モバP「そんなお前らにヒントをやろう」

モバP「場所と時だ」

未央「そっか…」

凛「場所と時…か…」

卯月「一年ぶりですね!プロデューサーさん!」

モバP「あと人だ」

凛「人…?」

未央「そんな限定条件突きつけてたの?そりゃ一年たっても発芽すらしないわけだ…」

モバP「卯月と会ったのは5時間前だった気がするんだがなぁ…」

凛「やっぱり新宿のビルの屋上じゃダメだったね」

未央「むしろなんでそこにしたの」

凛「先輩がそこがいいって…もしくは福島っていってたから遠いし…」

卯月「つぎはどこに植え付けましょうか!」

凛「そうだね…新宿がダメなら…渋谷かな」

未央「気候とか新宿とたいして変わらなそうだから脚下」

凛「そんなこともあろうかと桃華に頼んで世界中に種を植えてもらったよ」

卯月「凛ちゃんは桃華ちゃんの弱味でも握ってるんですか?」

凛「別に?ただただ桃華の優しさゆえじゃないの?」

5月
凛「思ったより残らないものなんだね…記録って…」

未央「原型があんまりないけど?」

卯月「それにしても本当にこれは種なんでしょうか…」

未央「種って言われたから種なんじゃない?」

凛「間違いなく種だね…花屋の娘が言うんだから間違いないよ」

凛「でも福島でもだめだったのは意外かな」

卯月「先輩をとっても信頼してるんですね」

未央「そうですねー」

凛「結婚三年目の夫婦みたいに覚めきってるね」

未央「正直どんな種でもいいかなって」

6月
凛「なにいってるの未央!今まで一年もかけて考えてきたんでしょ!?」

7月
卯月「そうですよ未央ちゃん!今までの一年を無駄にする気ですか!?」

8月
未央「だって今まで何してきたっての?植え付けして駄弁ってるだけじゃん!」

9月「それの何がいけないのさ!」

10月
未央「何が…いけない…?」

12月
卯月「私たちはニュージェネとしての思い出を残していたいんです…」

3月
凛「ごめんね…私が悪かった…こんななんの種かもわからないようなのを育てようとしてたのが間違いだった…」

4月
未央「みんな…そんなことを思って…」

5月
未央「…」

6月
未央「私、この種をちゃんと育てる!みんなと向き合ってみせる!」

7月
凛「未央…!」

8月
卯月「未央ちゃん…!」

9月
未央「って一年以上経ってる!」

凛「私たちも高三だよ」

卯月「大学合格しました!」

未央「嘘でしょ!?なんでこんなに時間かかったの!?せいぜい二三分のやり取りでしょ!?」

凛「9月がしゃべった!」

未央「反応が一年遅れだよ!」

10月
凛「光陰矢のごとしとはこの事か…」

卯月「結局あと五ヶ月なのになにも進展してないですね…」

未央「ニュージェネがオールドになりつつあるだけだよこれじゃあ」

卯月「そんなことより二人は受験大丈夫なんですか?」

未央「えっ」

凛「あっ」

未央「なにもしないうちにこんなに時間がたってた…」

凛「ほら…ちゃんと種がなんなのか解明するって決めたでしょ?」

未央「それはそうだけどあまりに残り時間が少なすぎるよ」

卯月「大変ですね受験生は…」

11月
モバP「凛、なんの種かわかったか?」

凛「ううん、全然」

モバP「そっか…そうだよな」

凛「あのさ…どうしてプロデューサーはこの種を私にくれたの?」

モバP「伝えたいことがあったからから」

凛「てことは花言葉的なあれが込められてるんだね」

モバP「ん?んー…まぁそうかなぁ」

凛「なにそれ、あいまいにしないでよ」

モバP「まぁ、あと四ヶ月だから頑張ってくれ」

凛「ヒントをもう少しくれてもいいと思うんだけどな」

モバP「答えがでなかったら約束通り耳はもらうからな」

12月
凛「もう終わりだ…」

未央「いきなり重いね」

凛「桃華が無理だって言ってきた…」

未央「なにを?」

凛「もう付き合いきれないって…協力は終わりにするって…」

卯月「桃華ちゃんも中学生ですもんね」

凛「くっ…ときの流れがまたしても思わぬ弊害を…」

未央「じゃあさ…またここに植えようよ」

凛「何をいってるの?」

未央「二年もたっちゃったし…原点回帰も悪かないかなって」

凛「未央…」

卯月「いいですね!そうしましょう!」

凛「卯月…」

凛「そうだね…またこの新宿に植えよう!私たちの再スタート!」

3月
凛「いやまぁ知ってたけど」

未央「最初にやってダメだったんだからダメなもんはダメだよね」

卯月「二人とも大学合格おめでとうございます!」

凛「まずいよ…来年にはもう18歳だよ…」

卯月「島村卯月、飲酒デビューです!」

未央「なんて無駄な三年間を過ごしたんだ…」

モバP「おう、お前ら揃ってたか」

凛「あ、プロデューサー…三年も待っててくれたんだね」

モバP「正直三年間答えを聞きに来なかった忍耐力に驚いてる」

未央「私も答え聞きたいなー」

モバP「なに、あと一ヶ月の辛抱だから耐えろ」

三年目の4月
凛「三と4が統一感ないなぁ…」

モバP「よく来たな」

凛「うん、答えを教えてもらいに来たよ」

モバP「あっという間だったなこの三年間」

凛「そうだね…ところで今日からは種をくれないの?」

モバP「まぁ教えてからだ」

凛「そっか…で、その正体は?」

モバP「あぁ、あれ?あれは俺の子種だよ」

凛「は?」

モバP「正直三年間も俺の子種が土に埋められ続けてたって考えると笑いたくなる」

凛「え、なんで三年間も私に子種を渡してたの?」

モバP「んなのプロポーズに決まってんだろ言わせんな恥ずかしい」

凛「そんな形のプロポーズ聞いたことないんだけど」

モバP「凛がこういうの好きかなって思ってさ」

凛「なんで三年目にしてやっと教えてくれたの?子種を植え付け続けた三年間の私馬鹿みたいじゃん」

モバP「だって18歳にならなきゃ世間の目が厳しいんだよ…」

凛「そ…そんな理由で…」

モバP「さ、今日もお前に種をやるからなー」

凛「ちょ、ちょっと…いまから…?」

モバP「遺していこうぜ…俺たちの遺伝子…!」

凛「それ私の台詞だし…」

モバP「植え付けを行う♂」

凛「ちょ…ちょっとさぁ」

モバP「凛は…嫌か?」

凛「嫌じゃないけどさぁ…ちょっと時間ちょうだい…整理させて…」

モバP「そうだよな、生理してないと遺せないもんな」

凛「そうじゃないって!」

モバP「これ以上は問答無用!」

凛「あっ…」
アッー

卯月「場所は凛ちゃん…もとい女の子だったんですね」

未央「時間はあの日だったわけだ」

卯月「でも私の予想も当たってましたよね!発芽まで時間がかかるみたいなやつ!」

未央「そうだね…十月十日後が楽しみだね」

未央「じゃあしまむー、締めお願いするよ?」

卯月「はい!島村卯月、頑張りました!」

おわり
書き始めた日にペパーミントの種を買いました
これなんの種?子種ってのが思い付いただけです
html依頼してきます

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