もこっち「続・モテないし囲碁をやる」 (68)

もこっち(さて帰ってゲームやろ…今日も誰ともしゃべらなかったな…)

老人「…よっこいしょっと」

もこっち(なんだ?老人が倉の掃除してる…老い先短いのになにやってんだ…)

老人「うーむ物がいっぱいだな」

もこっち(溜め込みすぎだろ、ゴミ屋敷かよ…碁盤とかあるし)

老人「ん?やあこんにちわ」

もこっち「こ、こんにちわ…」

老人「いや~倉の整理をしてるとこなんだが物が多くてな」

もこっち「そ、そうですね……いろいろ捨てちゃったほうが…その碁盤とかシミついてるし」

?「見えるのですか?」

もこっち「え?だれ?」

佐為「私は藤原佐為」

もこっち「へ?さい?」

佐為「はい、私の姿が見えますか?」

もこっち(えっと…この変な格好の…)

佐為「よかった、見えてるようですね、でも変な格好は余計です」

もこっち(なんで考えてることがわかったんだ!?)

佐為「私はあなたの意識の中にいます」

もこっち(なんだってぇー!?何者なんだ!?)

佐為(え~っと幽霊ですね)

もこっち(ゆっ、幽霊だと!?あばばばば!)

佐為「ど、どこへ行くんですか!ちょっ…ちょっとまってくださ~い!)

もこっち「ナンマンダブナンマンダブ!」

佐為「あの…怖がらないで聞いてください…」

もこっち「なんで着いてきてんだぁ!?お願いだから成仏してくれぇえ!」

佐為「大丈夫です、わたし悪霊じゃあありませんから」

もこっち「そうじゃなくても怖いもんは怖いんだよぉぉお!」

佐為「……まいりましたね、お願いがあるのですが」オロオロ

もこっち(もうやだ…怖いのいやだ…)

佐為「お願いですから怖がらないでくださ~い」

―20分後―

もこっち「わかった、話を聞こう」

佐為「やっとわかってくれましたか♪」

もこっち「言っておくけどまだ怖いんだからな…今にも私の女子力が解放されかねないぞ」

佐為「女子力?」

もこっち「………それでそのお願いというのは?」

佐為「ヒカルに会いたいのです」

もこっち「そうすれば成仏してくれると?」

佐為「いえ、それはわかりませんが…」

もこっち(わかんねーのかよ!つかえねーな!)

佐為「すいません…」

もこっち(やべ…聞こえてた)

もこっち「ふーん、前に憑いてたのが進藤ヒカルって人なんだ」

佐為「そうです」

もこっち「というか…もしかして…」

佐為「なんですか?」

もこっち「囲碁やってる前髪金髪な人?」

佐為「そうです!知ってるんですか!?」

もこっち「えっと…この間囲碁教わった…」

佐為「おお~~なんという偶然」

もこっち(いや囲碁界狭すぎるよ…このミッションちょろすぎだろ…)

佐為「ここがヒカルの家です」

もこっち(他人の家か…キンチョーするな…)ピンポーン

ヒカル「はい?」

もこっち「こ、こんにちわ…」

ヒカル「あれ?黒木じゃん、俺ん家誰に聞いたんだ?」

もこっち「そ、その…さ、さい…」

ヒカル「さい?」

佐為「ヒカルーー!久しぶりですー!」

ヒカル「どうした?囲碁教わりにきたのか?」

佐為「私が見えないんですかヒカルぅ~~…」

もこっち(うっ…!)

ヒカル「なんだ?」

もこっち「~~~~~~!?おえええぇえ!げろげろげろぉお!」

ヒカル「うわぁ!?なにいきなり吐いてんだ!?」

もこっち(もうヤダ…死にたい!)

ヒカル「お、おい!どこ行くんだよ!」

佐為「智子ちゃん!待ってくださーい!」

もこっち(家の前でいきなり吐くって最悪だ私!)

佐為「ちょ、ちょっと~!」

もこっち(幽霊に取り憑かれるしイケメンの家でゲロ吐くし…)

佐為「智子ちゃ~ん聞いてくださ~い」

もこっち「うるさい!お前のことなんてもう知るか!」

佐為「そ、そんなぁ…」

もこっち「――で、私が吐いたのはあんたが悲しんだせいだと?」

佐為「すいません…ちなみにヒカルもそれで吐いたことあるんですよ♪」

もこっち(そっか、事情を話せばわかってもらえるかも…)

佐為「そうです、だからもう一度ヒカルに会いにいきましょう」

もこっち「………わかった」

佐為「わーい!ありがとうございます」

もこっち「ただしちゃんと成仏するんだぞ」

佐為「それは保障できませんが…というか成仏したくありません…」

もこっち(また来たわけだが…)

佐為「がんばってください」

もこっち(わかってる…)ピンポーン

ヒカル「はーい…あ、黒木?」

もこっち「あの…昨日は…す、すいません…」

ヒカル「まったくだぜ、突然ゲロって…」

もこっち「その…ふ、藤原佐為…」

ヒカル「え?佐為だって!?」

佐為「ヒカルー私はここですよー」

もこっち「その…ゲロは…さ、佐為のせいで…」

ヒカル「ゲロの話はもういいよ!佐為がいるのか!?」

もこっち「は、はい…」

ヒカル「佐為、いるのか?」

佐為「いますよ、姿は見えなくとも」

もこっち「―――だ、そうです」

ヒカル「そっか…お前まだこの世にいたんだな…」

佐為「智子ちゃんのおかげです」

ヒカル「そっか、ありがとうな黒木!」

もこっち「え?え、え…あ、い、いえ…そそ、そんな…」

ヒカル「とりあえずあがれよ」

もこっち「え?な、なんて…?」

ヒカル「俺の部屋で話そうぜ」

もこっち(お、男の…しかもイケメンの部屋に私があがるだと!?)

母「あらヒカル?お客さん?」

ヒカル「ああ、友達」

もこっち(と、友達?)

母「いらっしゃい、あとで飲み物用意するわね」

もこっち「は、はひ!お、おきづかいなく」

ヒカル「黒木、俺の部屋2階」

もこっち「あ、は、はい…」

佐為(そんなに緊張しなくていいですよ)

もこっち(そ、そうだ…私はこの幽霊を返還するために来たんだ、落ち着け)

もこっち「おじゃまします」

ヒカル「ゆっくりしてけよ」

もこっち(けっこう片付いてるな…それにこれが男の匂いか…でゅふふ…)

ヒカル「打ちながら話そうぜ、いいかな黒木?」

もこっち「えっ?!な、なんて?」

ヒカル「いいから打とうぜ佐為」

佐為「うれしい…また碁が出来る…」

もこっち「ちょ…な、泣いてんの?」

ヒカル「じゃあニギれよ」

もこっち(握る?ナニを?)

佐為「碁石ですよ、先番を決めるんです」

もこっち(ああ、そっちか…そうだよな)ギュッ

ヒカル「俺が白だな」

もこっち(私は黒か)

佐為「右上スミ星」

もこっち(ここだな)パチッ

ヒカル「佐為、俺お前がいなくなってからあっちこっち探したんだぜ」パチッ

佐為「心配をかけましたね」

もこっち「―――だ、そうです…」パチッ

ヒカル「いろいろ回ったなぁ、あと北斗杯でさ…」

もこっち(話についていけない…まぁいいんだけど…)パチッ

もこっち(別にいいや…こうしてイケメンの部屋で一緒に過ごすだけでも満足だ)

母「ヒカル~入るわよ~」

もこっち(ちっ…邪魔が入ったか…でも一瞬のことだ)

母「あかりちゃんが来たんだけど」

あかり「ヒカル、囲碁教わりに…あれ?」

もこっち(あいつ!この間の女だ!)

あかり(あの子…この間ヒカルと一緒にいた…)

ヒカル「なんだよあかり、今忙しいからあとでな」

あかり「ヒカル…その子は?」

ヒカル「あ~友達だよ友達」

あかり「そ、そう…」

もこっち(なんだこれ?修羅場ってやつか!?)

もこっち「えっと…でへへ…ど、どうも…」

あかり「どうも…」

もこっち(なんだこれ!?この先どう展開したらいいんだ!?)

ヒカル「あかり今大事なとこなんだお前帰れよ」

あかり「え…どうしてそんなこと…?」

ヒカル「いいから帰れよー忙しいんだって!」

佐為「ダメですよヒカル、またあかりちゃんに冷たくして」

あかり「そっか…忙しいんだ…ごめんね、じゃあまた」

もこっち(なんだ!この美少女の訪問を追い返すってありえねーだろ!)

佐為「まったくヒカルったら…」

もこっち(こいつ意外と嫌な奴なのか?)

佐為「ヒカルは嫌な奴じゃありませんよ~」

もこっち(けどなんだ…この湧き上がる勝利感)

ヒカル「黒木、つづきやろーぜ」

もこっち(完全勝利!そうだ、まさに今私は完全勝利した…)

ヒカル(形勢は黒がいい、中央へのびて黒石をキッていくか…)

もこっち「勝った…」

ヒカル「なにっ!?佐為のやろー」パチッ

佐為「私はなにも言ってませんよー」

もこっち(あ…しまった…)

ヒカル「ありません」

もこっち(あ、これ勝ったのか)

ヒカル「やっぱり佐為は強えな」

佐為「ヒカルこそいつの間にか強くなりましたね」

もこっち「――だそうです」

ヒカル「そっか、ははっ、よ~しもう一局」

佐為「ヒカルだめですよ智子ちゃんだって事情が…」

もこっち(ない、問題ない、明日までだって大丈夫)

佐為「本当にいいんですか?」

もこっち(イケメンと部屋で二人っきり…こんなチャンス誰が逃すかよ)

もこっち「おじゃましました」

ヒカル「悪いな遅くまでつき合わせて…」

もこっち「いえ、ぜ、全然気にしないでください…」

ヒカル「ははっお前いいやつだな」

もこっち(うほっ!?)

ヒカル「そうだ、連絡先教えてくれよ」

もこっち「は、はい!090の…」

ヒカル「へえ携帯もってるのか、俺も持とうかな」

もこっち「そ、そうすればいつでも連絡できますし…」

ヒカル「そうだな、そしたら俺のも教えるよ、じゃあまたな」

もこっち(う…うれしいっ…!今日は人生最良の一日だ!)

佐為「ヒカル、また打ちましょうね」

もこっち(ありがとう幽霊、ありがとう幽霊)

もこっち「――と、言うことはあんた強いんだ?」

佐為「そうですよ、誰にも負けません」

もこっち「囲碁のプロって稼げるのかな…カチカチ…」

佐為「かなり稼げるらしいですよ」

もこっち「タイトル全部とったら1億超だと……?」

佐為「そうですね、すごい金額でしょう多分…この時代の金銭感覚は詳しくありませんが」

もこっち「よし、プロになって一緒に稼ごう!」

佐為「ええっ!?」

もこっち「いいじゃん、あんたは碁が打てる私はお金を稼げる」

佐為「それはそうですが…」

男「おい、あれ黒木智子じゃね?」

男2「ホントだかわいいなぁ」

もこっち「なにかごよう?」

男3「実物は美人だなぁ~サインください」

男4「囲碁棋士8冠でこんなに美人なのかぁ」

もこっち「別にたいしたことないわ」

男5「すげーかっけー!」

―――
――

(妄想ここまで)

もこっち(どぅふふふ…金がもらえてモテる、最高だぜ…)

佐為「思ったより俗な女の子なんですね…」

もこっち「じゃあプロになってくる」

佐為「そんな軽く言われても…」

もこっち「試験とかやればいいんだろ?予選の日はもうわかった、手続き方法も調べた」

佐為「ああ、思った以上に本気なんですね…」

もこっち「よーし、プロ棋士になってモテまくるぞー!」



 もこいっち「続・モテないし囲碁をやる」 おわり

   プロ試験編につづく

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