実乃梨「30歳独身……」(177)

実乃梨「最近、大河と高須くんから届く年賀状を見るのが辛い…」

そりゃキチガイは売れ残るわな

亜美「で、私に相談してきたの?」

実乃梨「うん……」

亜美「いや、しょうがないんじゃない?」

亜美「あんた最近まで現役だったんでしょ、ソフトボールの」

亜美「金メダル獲ったじゃない。何か不満でもあるの?」

実乃梨「……」

実乃梨「いやあさ」

実乃梨「大河のとこの子どもってかわいいじゃない」

亜美「まあ、あの二人から出てきた子どもにしては」

実乃梨「すっごいかわいいの」

亜美「まあね」

実乃梨「あんまりかわいくて」

実乃梨「窓から投げたくなった」

亜美「ちょっ、重症」

亜美「いや、いくら30歳、男性経験なしと言ったって、それはまずいわよ」

実乃梨「だ、男性経験くらいあるよ!」

亜美「え、あるの?」

実乃梨「……ないっス」

亜美「だよねー…」

実乃梨「……」

実乃梨「ねえ、あーみん」

実乃梨「私、ネットでなんていわれてるか知ってる?」

亜美「さあ、見ないから」

亜美「でもテレビでは有名人じゃん」

亜美「十代のころから日本のエースだったわけだし」

亜美「フィーバーすごかったじゃん」

実乃梨「あーみん」

実乃梨「私さ、ネットではゴーリキーって呼ばれてるんだよ…」

亜美「……」

亜美「鍛えてるもんね……」

実乃梨「鍛えなきゃ良かった……」

亜美「あー、泣かない泣かない!」

亜美「ほら、そのおかげでオリンピック出れたんだし!」

実乃梨「オリンピックより……」

実乃梨「高須くんが良かった……」

亜美「それは……」

亜美「なんともいえない!」

亜美「ほ、ほら!」

亜美「国際大会とかあったんでしょ?」

亜美「そこで外国人の人と出会いとか……」

実乃梨「アメリカの人、みんな笑ってた…」

実乃梨「指差して『ワオ、ゴーリキー!』って…」

亜美「……」

亜美「世界共通語!?」

亜美「あのころの元気はどこいったのよ」

亜美「今のあんた、どうかしてるわよ」

実乃梨「……元気なだけじゃ」

実乃梨「振り向いてくれなかったし……」

亜美「うじうじしてるよりはましでしょ?」

亜美「つーか、あんたまだ高須くんのこと忘れられないの?」

実乃梨「あーみん」

実乃梨「高須くんがダメなら、高須くんの息子なら大丈夫かな?」

亜美「……だ」

亜美「大丈夫なわけないだろ!」

実乃梨「大河のとこの男の子すっごいかわいいの」

実乃梨「みのりーん、みのりーんってなついてきて」

実乃梨「良くキャッチボールしてあげてる」

亜美「おー、憧れの櫛枝選手とキャッチボール」

亜美「全国の野球少年大喜びね」

実乃梨「寝顔もすっごいかわいくて」

実乃梨「寝てる隙に……」

亜美「……」

亜美「……いや、寝てる隙になにしたの!?」

亜美「でも、あんた世間の30歳にしては確実に美人だとは思うわよ」

亜美「一緒に仕事してる女優に人でも必死で皺とか隠してごまかしてる人とかいるもん、30だと」

実乃梨「でも、二の腕が……」

亜美「いや、二の腕フェチとかいるでしょ?」

実乃梨「私……二の腕フェチとしか結婚できないんだ……」

亜美「いや、そんなことは言ってない!」

亜美「風の噂で聞いたけど」

亜美「スポーツキャスターの仕事のオファーあるんでしょ?」

実乃梨「うん」

亜美「受けてみなって、そういうのって結構出会いあるから」

実乃梨「あーみんは…」

実乃梨「出会いあったの?」

亜美「……」

亜美「ほっといてよ!」

実乃梨「正直さ」

実乃梨「高須くんくらいのスペックの男の子っていないんだよね」

亜美「いないわね」

亜美「顔だけ見るなら高須くんより上の男は山ほどいるけど」

亜美「総合的に見ると間違いなく最上級のスペックの男だわ」

実乃梨「料理が出来る……」

亜美「優しい……」

実乃梨「働きもの……」

亜美「話を聞いてくれる……」

実乃梨「無駄な出費をしない……」

亜美「背が高い……」

実乃梨「なんでオリンピック選んだんだろう……」

亜美「いや、金メダルは誇りに思おうよ!」

亜美「妥協点探そう!」

亜美「ほら、私たちの知り合いで丁度いい妥協点…」

実乃梨「北村くん」

亜美「結婚済み」

実乃梨「春田くん」

亜美「結婚済み」

実乃梨「能登くん」

亜美「無理」

実乃梨「妥協……」

亜美「妥協……」

亜美「もう真っ只中にいたときはまったく気づいてなかったけど」

亜美「あの恋愛は勝てば天国、負ければ地獄の勝負だったのね」

実乃梨「でも、あのころは完全にみんなで高須くんと大河とくっつけようみたいな感じで」

実乃梨「抜け駆けとか許されない空気だったし……」

実乃梨「でも私は大河が幸せならそれでいいんだよ?」

亜美「……」

実乃梨「……」

亜美「ねえ」

亜美「あんた、高須くんの子どもの写真持ってる?」

実乃梨「あ、うん、持ってる」

ガサガサ

実乃梨「これ」

亜美「あんた、手帳に挟んでるの?それ」

実乃梨「寂しくなったときはこれを見てる……」

亜美「……いや、まあいいけど」

実乃梨「……」

亜美「……」

じーっ

亜美「……かわいいじゃない、この子」

実乃梨「基本的な感じは大河なんだけど、ちょっと目つきが高須くんの面影あるよね」

亜美「あの目元をちょっと柔らかくすれば、こんなに魅力的になるのか……」

実乃梨「大河という素材を生かしてるよね」

実乃梨「……」

亜美「……」

実乃梨「あの、あーみん」

実乃梨「逢いに行こうとか思ってない?」

亜美「え?」

亜美「いやいやいやいや!」

亜美「でも、そういえば、出産のときに立ち会ったときと」

亜美「ほんとに赤ちゃんのときに一回会っただけだし」

亜美「それ以来顔見せてないから、一度くらい会っておくべきかなあって…」

実乃梨「ダメっ!!!!!」

実乃梨「この子は……」

実乃梨「私と……けっ、結婚するの」

亜美「………」

亜美「いやいやいやいや」

実乃梨「こ、この子、『みのりんだいすきー』って言ってくれた…」

亜美「いや、まあ子どもの言うことだし……」

実乃梨「『みのりんとけっこんするー』って……」

亜美「10年経ったら忘れてるかと……」

実乃梨「このチャンス逃したら私、多分このまま独り身なの!」

亜美「落ち着いて!」

亜美「これは婚期じゃない!」

実乃梨「だって、高須くんは大河の旦那さんだけど」

実乃梨「高須くんの遺伝子は……」

実乃梨「かけがえのない遺伝子だから……」

亜美「あの、落ち着こう」

亜美「落ち着かないと多分とんでもないことになる」

実乃梨「わ、私は冷静だよ!」

亜美「あにね、それは冷静じゃないひとが言う台詞で」

亜美「あんた、一応大学の職員なんだよね?」

亜美「ほら、男の子だったら大学に可愛い子がいるんじゃない?」

亜美「本当はこれもまずいけど、大河の息子に手を出すよりは」

実乃梨「いないの……」

亜美「えっ?」

実乃梨「あの目!あの目を持った男の子なんていないの!」

実乃梨「あの鋭い目!鋭いけど、奥に底なしのやさしさがあるあの目!」

実乃梨「あの目で見つめられるだけで私……」

実乃梨「ううっ…」

亜美「あー、こりゃ重症だわ」

亜美「まさか、大河から高須くんを奪え、とは言わないわよ」

亜美「それやったら、さすがに縁切るもん」

実乃梨「それは絶対やらない…」

実乃梨「大河に酷いことはしない…」

亜美(友達の息子を強奪するのは結構酷いことだと思うんだけど…)

亜美(まあ、いいや)

亜美「でもねー。確かにこの子上玉よね」

亜美「ちょっとうちの事務所に子役として話持ちかけてみたいくらいだもん。超上玉。」

実乃梨「やだ!絶対渡さない!この子わたしの!」

亜美「ええっ!何様!?」

亜美「とりあえず、お酒抜こう」

亜美「お酒抜いてさ、頭冷やそう?」

亜美「あの、すみませーん、麦茶ー」

店員「よろこんでー」

実乃梨「……」

亜美「ほら、飲んで」

実乃梨「グビグビ」

亜美「落ち着いた?」

実乃梨「うん」

亜美「で、どうする?」

実乃梨「あの、私、思いついたの?」

実乃梨「大河にもう一人男の子生ませればいいじゃん、って」

亜美「どうしてそうなった!?」

実乃梨「だって、この子は私と婚約したわけじゃん?」

亜美「じゃん?って言われても…」

実乃梨「だってあーみん」

実乃梨「高須くんの息子以上に理想の妥協点って存在する?」

亜美「……」

実乃梨「……」

亜美「……いや、納得しかけたよ!」

亜美「まずいまずい!」

>亜美「あの、すみませーん、麦茶ー」

>店員「よろこんでー」

亜美「そもそも、今この子8歳でしょ?」

亜美「結婚できるころにはあんた40よ?」

実乃梨「今すぐ結婚する」

亜美「法律的に無理だから!」

実乃梨「法とか超える」

亜美「もう言ってることめちゃくちゃだよ!」

>>3
今更だけどお前殺すよ?
発言取り消せやカス

>>100
えっ僕ころされるの…?
こわいよう(´;ω;`)

実乃梨「だって、私、気づいたの」

実乃梨「UFOはここにあったって……」

亜美「詩的な表現で自分をごまかさないで!」

亜美「そりゃあ、私も寂しくなったとき」

亜美「たまに自動販売機の隅にこっそり隠れて」

亜美「共演者に何やってんですか?とか言われたりするけど!」

実乃梨「……」

亜美「……」

実乃梨「……やっぱダメだよね」

実乃梨「冷静じゃないとは、私も思ってるけどさ」

亜美「……まあ、10年経って向こうにその気があるならいいんじゃない?」

実乃梨「おばさんだよ、私?」

亜美「40過ぎてもビックリするほど美人な人もいるから」

実乃梨「二の腕」

亜美「二の腕フェチになるよう仕込んどけば?」

実乃梨「あーみん」

亜美「なによ?」

実乃梨「ありがとう」

亜美「やめてよ辛気臭い」

亜美「ま、私はほら、出会いがあるから」

亜美「こんな仕事だし?」

亜美「今度撮る映画も、若い男の子とのラブストーリーだし」

亜美「まだまだ枯れるには早いっていうか、捨てたもんじゃないっていうか?」

実乃梨「……ううっ」

亜美「あの、冗談だから本気に獲らないで…」

亜美「で、悩みは解決した?」

実乃梨「深まった」

亜美「でしょうね…」

実乃梨「まあ、でも気持ちはちょっとスッキリしたかも」

実乃梨「ほんのちょっとだけど、諦めがついたというか」

亜美「それは良かった……のかな」

実乃梨「わかんない、えへへ」

亜美「もう、そうしてればかわいいんだから、あんた」

亜美「お姉さん好きの男の子とかすぐ落とせるわよ」

実乃梨「もうあーみん、お世辞が巧いんだから」

実乃梨「あ、そうだ」

実乃梨「もうすぐお歳暮の時期じゃん?」

亜美「そんな時期ね」

亜美「私は毎年ワインだけど」

実乃梨「私ね、ちょっと今年は大河のところに送るお歳暮悩んでて」

亜美「うん」

実乃梨「ちょっとね、どっちかにしようと思ってて」

亜美「どれとどれ?」

実乃梨「ええと、マムシ酒とウナギ」

亜美「……」

実乃梨「……」

亜美「ウナギにしときなさい。」

亜美「常識的に考えて」

  _
  \ヽ, ,、
_  `''|/ノ

\`ヽ、|
 \, V

    `L,,_
    |ヽ、)                ,、
   .|                   ヽYノ
   /                     r''ヽ、.|
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  ヽ,  y'   /` ‐ 、    ,.. -'ヘ   ヽ. }ノ
   ヽ,'     /   /`,ゝ' ´     ヽ   Y.
.    i    ,'     { {        ヽ   `、
    l    ,イ─- 、.._ ヽ ,, _,.. -─:}   !
.    |  r‐i| ー=ェェ:ゝ ,.∠ィェェ=ー' |r 、.  l
   |  {ト」l|.      : | "    ``: |!トリ  |
.  │  ヽ、|      ;.」_      |'ソ    !
.  │     ヽ     r──ッ    /ノ    |
    |      lヽ    ̄ ̄     / イ    │
.    !    丶ヾヽ    ~   , ' ノ │   !
    ト.    ミ.ゝ ヽ.____./  /  l   /
    ヽ  ヽ           イ ,' / , '       ┼ヽ  -|r‐、. レ |
     \.             ノレ'/         d⌒) ./| _ノ  __ノ

16話・大河の反省文


今回、私、世界の逢坂大河は、生徒会長であり3年生の先輩である狩野すみれさんに
不快な思いをさせてしまい深く謝罪致します。

まず、私が会長を木刀で殴った行為を働いた経緯を説明しますと、
次期生徒会長選挙演説中に北村君が会長に告白した際、会長がすっとぼけたもので
私は、そこで、アラっと思ってしまい、殴りこみをしてしまいました。

選挙演説前にクラス内で「あの女ならある程度いっても大丈夫だろう」
という噂があったのです。
このキャラレベルなら殴ってもOKだろうという私の安易な考えが、
生徒会長を傷つけてしまった事を深く謝罪したいと思います

私が狩野さんを木刀で殴ってしまった事は紛れもない事実であります。
しかし、狩野さんといえば一般的に臆病者卑怯者というイメージがあるという事も事実であります。

よってここは一つ喧嘩両成敗という事で、水に流して頂けないかと思っている所存でございます。
今回、私的には、「このキャラレベルでも木刀はだめなんだな」
という事が分かった事は大きな勉強となりました。

とらドラ!のメインヒロイン・世界の逢坂大河

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