キョン「ハルヒを攻略したいんだ」(568)

キョン「いやいや、今日はお忙しい中、集まってくれてありがとう」

キョン「さて、何故君達は集められたのか…わかる人」

古泉「あの…」

キョン「古泉。お前は黙ってろ」

古泉「……」

長門「わからない」

みくる「あ、あたしも…わかりません」

キョン「うむ。察しのいい君達なら、すぐわかると思ったのだが…」

長門「……」

キョン「実は、俺」

みくる「……」

長門「……」

古泉「……」

キョン「ハルヒを攻略したいんだ」

古泉「それならもうとっくに…」

キョン「古泉。お前は黙ってろ」

みくる「攻略?」

長門「どういう事?」

キョン「つまり!」

キョン「あの馬鹿で傲慢で我が儘で自分勝手で無敵で傍若無人で」

キョン「それでいてどこか女の子らしいところがあって、時折見せる表情や仕草がかわいくて…」

みくる「……」

長門「……」

キョン「まあだいたいそんな感じな『涼宮ハルヒ』を我が物にしたい!」

キョン「ってことだ」

長門「あまり理解出来なかった」

みくる「え…っと、それってお付き合いしたいって事じゃ…」

キョン「ああ、そうとも言いますね」

長門「……」

古泉「付き合う?突き合うじゃなくてですか?」

キョン「お前は黙ってろ」

長門「何故わたし達を集めたの」

キョン「よくぞ聞いてくれた」

キョン「今日、お前らを集めたのは言うまでもない…」

みくる「……」

長門「……」

キョン「攻略するためには何をしたらいいの?」

みくる「えっ」

長門「えっ」

古泉「とりあえず強引に…」

キョン「黙ってろ」

みくる「な、なんであたし達に聞くんですか?」

キョン「それがですね…」

キョン「まあ、俺もいろいろ考えたんです」

キョン「しかし!」

キョン「今までこういう事に関心があまり無かった俺には、難しい問題だった」

キョン「だから、ギャルゲーとかやってみたんですよ」

長門「どうしてそうなった」

キョン「もういっその事、攻略大王になってやろうと。そういう事を考えてた訳だ」

みくる「…それで?」

キョン「しかし…」

キョン「俺はハルヒと登校中にぶつかったり!(もちろんパンツが見える)」

キョン「偶然同じ部活になったり!」

キョン「偶然隣の席になったり!」

キョン「実は許婚だったり!」

キョン「もともとあっちにその気があったり!」

キョン「弁当を『仕方なく』作ってきてくれたり!」

キョン「飲みかけのジュースくれたり!」

キョン「街で他の女の子といるのを目撃されたり!」

キョン「そのせいでちょっと気まずくなったり!」

キョン「俺とハルヒには…そんな事一切これっぽっちも無かった!」

古泉「異議有り!」

キョン「…ほう、なんだ?言ってみろ」

古泉「あなたはぶつからないにしろ、涼宮さんと衝撃的な出会いをした筈です!」

キョン「それは俺だけじゃない。五組の奴全員だ」

古泉「パンツじゃなくとも、ブラジャーなら見た筈!」

キョン「それも俺だけじゃない。五組のほとんどだ」

古泉「同じ部活じゃないですか!」

キョン「偶然じゃなく、強制的にな」

古泉「あなたの後ろの席はいつも涼宮さんだ!」

キョン「だから何だ?フラグも何も立ちやしねぇよ」

古泉「朝比奈さんとの間接キスを涼宮さんは防いだ!」

キョン「…そんな事あったか?」

古泉「涼宮さんはあなたを独占しようと、休日は団活としてあなたの浮気阻止!」

キョン「それはあいつが馬鹿なだけじゃないか」

古泉「涼宮さんはこんなにもぁぐむっ」

みくる「禁則事項です!」

キョン「…?」

キョン「まあ話を戻すが…」

キョン「ハルヒが居るから、ギャルゲーのヒロインに感情移入できねえんだよ!」

古泉「そっちに話を戻すんですか」

キョン「そこで、君達に作戦を立てて欲しい」

長門「了解した」

みくる「そ、そんな急に言われても」

古泉「まあ、これで世界は安定ですね」

みくる「そうですけど…」

キョン「ん、じゃあ思いついた人から言っていってくれ」

長門「はい」

キョン「はい長門」

長門「わたしと付き合って涼宮ハルヒの出方を見る」

キョン「!!」
みくる「!!」
古泉「!!」

長門「それで涼宮ハルヒが嫉妬すればあなたに気がある」

長門「でなければ涼宮ハルヒにその気は無い。諦めてわたしと付き合い続けるべき」

キョン「ちょ、ちょっとストップ!」

長門「何」

キョン「いや、何…じゃなくてだな」

みくる「禁則が禁則事項して禁則事項…」

古泉「僕のバイト量が…」

キョン「…いや、結構いい手段かもしれん」

キョン「とりあえず、ハルヒの俺に対する好感度が知りたかった事だしな」

古泉「ギャルゲーのやり過ぎですね」

翌日



キョン「よ、ハルヒ」

ハルヒ「おはよ」

キョン「お前もまともな挨拶が出来るようになったじゃないか」

ハルヒ「死にたいの?」

キョン「いきなりそれか」

ハルヒ「挨拶なんか昔っから出来るわよバカ」

キョン「自己紹介も、挨拶の一部だと思うんだが」

ハルヒ「はぁ?自己紹介が挨拶な訳ないじゃない」

キョン「ホントに、相変わらずだな」

ハルヒ「え?」

キョン「いやなんでも」

キョン「あ、そういえば」

ハルヒ「何よ」

キョン「俺、長門と付き合う事になったんだ」

ハルヒ「……は?」

キョン「長門は、俺の彼女って事さ」

ハルヒ「な!何言ってんのよ!有希があんたなんかに…」

キョン「なんとでも言え。ただし、長門を悪く言うのは許さないからな」

ハルヒ「あ、あんた!団内は恋愛禁止っていったじゃない!そんなのダメよ!」

キョン「じゃあ、俺と長門は退団させてもらうぞ」

ハルヒ「…っ!このバカ!勝手にしろっ!!」

キョン「……」







古泉「セカンドレイドッ!」

放課後



キョン「ってな訳で、ハルヒはあれから帰って来ず、古泉はバイト、もう最悪だ」

長門「そう」

キョン「朝比奈さんは?」

長門「まだ」

キョン「そうか…」

ガチャ

ハルヒ「あら、二人共、いたの」

キョン「は、ハルヒ…!」

ハルヒ「邪魔だったかしら。あたし帰るわね」

キョン「ちょっと待ったぁ!」

ハルヒ「……」

キョン「あのなハルヒ、実は冗談なんだ!真っ赤な嘘!トナカイもびっくりだ!」

長門「えっ」

キョン「すまん!この通り!」

ハルヒ「……」

ハルヒ「…有希、ホントなの?」

長門「……」

長門「…彼の言っている事は正しい。わたし達はそんな関係では無い」

ハルヒ「…そう」

キョン(なんだよその顔!悪魔でもそんな顔しねぇぞ!)

ハルヒ「キョン」

キョン「はいっ!?」

ハルヒ「今日、ちょっとここに残りなさい」

キョン「了解しました団長様!」

みくる「遅れてすいませぇん…」





みくる「なんですかこの空気」

キョン「そんなこんなで部活終了の時を迎えた訳であるが」

キョン「例のごとく例によって、俺はハルヒと二人っきりという状況に身を置いているのである」

ハルヒ「誰に言ってんの?」

キョン「さぁてね。…で?俺は何をすればいいんだ?土下座しながら靴磨きか?それとも…」

ハルヒ「バカね、そんな事させる訳ないでしょ」

キョン(どこの口がそれを言うんだ)

ハルヒ「謎スポット巡りよ」

キョン「は?」

ハルヒ「この辺の、謎な場所をあんたにまわってもらおうってわけ」

キョン「俺だけ?んなの不思議探索の時やりゃいいだろうに」

ハルヒ「それが出来たらあんたに頼んでないわよ」

キョン「つまり?その場所ってのは、俺以外の人間は近付いてはいけないようなとこなのか」

ハルヒ「まあそういう事。みくるちゃんに何かあったら困るじゃない」

キョン「き、危険な場所なのかよ!」

ハルヒ「だからあんたに行けっつってんでしょ」

キョン(すまんみんな…攻略する前にBADENDを迎えてしまうかもしれん…)

ハルヒ「ま、まあ、あんたがどうしても…って言うなら、あたしも着いて行ってやらない事も…」

キョン「マジか?」

ハルヒ「う、うん」

キョン「よし。死は免れそうだ」

ハルヒ「あたしはボディーガードじゃないんだけど」

キョン「いや、お前は十分頼もしいぞ」

ハルヒ「……」

キョン「いつ行くんだ?」

ハルヒ「そうね、土曜日がいいかも」

キョン「土曜日か…」

ハルヒ「……」

キョン(危険な場所に行くというのに、こいつはどうしてこんなに楽しそうなんだか…)

翌日 放課後



キョン「ハルヒが帰宅するのを見計らって、俺達はまた部室に集合した」

キョン「ハルヒに悪い事をしている気もしなくはないが、仕方のない事だろう」

みくる「きょ、キョン君、誰に言ってるんですかぁ?」

キョン「君達、またまたすまないね」

古泉「長門さんの作戦はどうでした?」

キョン「ああ。まあ失敗だろ。怒らせるだけだった」

古泉「それってつまり涼宮さんなりの嫉tもごっ」

みくる「ダメです古泉君!」

長門「…残念」

キョン「さ、次に行くか」

キョン「なんか案がある人、いるか?」

古泉「やっぱり人任せなんですね」

みくる「じゃあ…」

キョン「朝比奈さん、どうぞ」

みくる「態度を変えてみたらどうでしょうか」

キョン「と、いうと?」

古泉「成る程。つまり…」

キョン「お前にゃ聞いとらん」

みくる「…えっと、ちょっと冷たくしてみたり」

みくる「と思ったら優しくしてみたり…みたいな感じですかね」

キョン「やってみます」

みくる「い、いいんですか?」

キョン「あなたの意見には、喜んで従いますよ」

みくる「は、はは…」

古泉「……」

長門「……」

翌日



キョン「雨というものは、止めと願っても止む筈もなく、」

キョン「時間に対して止まれ願っても、それは願望の枠を超えないのであり」

キョン「昨日の作戦会議から一転、今はもう昨日の翌日にあたる日を迎えている」

キョン「ちなみに今日は金曜日である。明日にはハルヒとの不思議探索が控えているのだが、」

キョン「このやたらと降りしきる雨が、俺の心をますます不安にさせるばかりで」

キョン「不安の元凶であろう団長様は俺の後ろで窓とにらめっこの最中であった」

キョン「俺もつられて窓を見ているが…、いやはや、何故こいつはこんなに不機嫌なのだろう」

キョン「まあそんな事考えたって、ハルヒの機嫌が直る訳でもなければ、」

キョン「この雨が止む事もないんだが…」

ハルヒ「…キョン?あんた何一人で言ってんのよ」

キョン「あ、ああ、いや、たまにはこういうのやんないとさ」

ハルヒ「…?」

キョン「とりあえず、俺が今やるべき事は一つ」

キョン「朝比奈さんが考えてくれた作戦の実行だ」

ハルヒ「またなんか言ってるし…」

キョン(手始めに、冷たくしてみるか)

ハルヒ「あんた頭大丈夫?」

キョン「あ?お前が大丈夫かよ」

ハルヒ「…はぁ?」

キョン「お前の事だよ。ったく、もう話し掛けてくんなよ」

ハルヒ「キョン、ど、どうしたのよ」

キョン「うぜぇんだよ」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「…あんた、そんな事思ってたのね」

ハルヒ「当たり前よね。…今までごめん」

キョン「…え?」

キョン「ちょ、ちょっと待てよ」

ハルヒ「…じゃあね。あたし、もう今日は帰るわね」

キョン「おいハルヒ!」



キョン「……」

キョン「…どうしてこうなった」







古泉「なんですかこの神人の量…!」

古泉「1、10……30!?」

キョン「な、長門ぉ!」

長門「何やってんの」

キョン「いや、俺はちょっと冷たくしてみただけでだな…」

長門「あれは言葉の暴力。酷い」

キョン「ぐっ…」

長門「今から時間を書き換える。もう次は無いと思っていい」

キョン「わ、わかった」

長門「では」

キョン「すまん長門、いつもお世話になってるな」

長門「いえいえこちらこそ」

ハルヒ「あんた頭大丈夫?」

キョン「!!」

キョン(こ、ここは…教室?ハルヒがこっちを見ている…)

キョン(俺がハルヒを怒らせる直前か?)

ハルヒ「こら、聞いてんの?」

キョン「聞いてるぞ、もちろん聞いてますとも!」

キョン(ここは作戦Bだ…おもいっきりこいつに優しくしてやる!)

ハルヒ「今日、なんかおかしいわね」

キョン「何がだ?」

ハルヒ「あんた」

キョン「俺か?はは、そうかもな」

ハルヒ「…そういうとこが」

キョン「ハルヒは、相変わらずかわいいけどな」

ハルヒ「!?」

キョン「正面から思いっきり抱きしめたいぐらいだ」

ハルヒ「な、ななな何を」

キョン「ん、どうしたハルヒ」

ハルヒ「あ、あんた、い、ば、バカ!」

キョン「顔赤いぞ。熱でもあるのか? …どれ」

ピト

ハルヒ「ぅあっ!」

キョン「……熱は無いみたいだな」

ハルヒ「こ、こら!さっきから何やってんのよエロキョン!!」

キョン(今思ったんだが、優しくするってこういう事でいいのだろうか)
キョン(どうすれば優しくしてる事になるんだ?)

ハルヒ「しかもあんた!さっき、その…」

キョン(ハルヒはもじもじしてるし。なんだか訳がわからなくなってきたぞ…)

ハルヒ「な、なんて…言ったのよ!もっかい言いなさい!」

キョン「あーすまんハルヒ。今のくだり、無しにしてくれ」

ハルヒ「今の…くだり?」

キョン「ああ。全部無しだ」

キョン「すまん。全部冗談って事にしてくれ」

ハルヒ「じょう…だん…」

キョン「そういう事だ」

ハルヒ「……」

キョン(朝比奈さん。俺には無理でしたよ。すいません)

ハルヒ「……この、」

キョン「ん?」

ハルヒ「ばかぁ!!」

キョン「……へっ?」







古泉「イグニション!」

キョン「長門ぉ!」

長門「何やってんの」

キョン「すまん…まじすまん…」

長門「大丈夫」

キョン「え?」

長門「涼宮ハルヒはあまり怒ってない」

キョン「何?」

長門「そういう事」

キョン「へっ?」








古泉「よ、ようやく終わりましたか…」

昼休み



キョン「適当に授業を寝て過ごし、俺は今部室にいる」

キョン「生徒にとってなくてはならない時間、昼休み」

キョン「その時間に何故俺がSOS団アジトに居るのかというと…」

キョン「長門に礼を言うためにほかならない」

キョン「しかし、寡黙な宇宙人の姿はそこには無く、」

キョン「代わりにいたのは、胡散臭い笑顔を顔に張り付けた超能力者であった」

古泉「なんですかこれ…。しかも胡散臭いって…」

キョン「いや、一応状況説明が必要だろ?」

古泉「……」

キョン「それにしても、ボロボロだな」

古泉「さっきまで戦ってましたから」

キョン「すまん。朝比奈さんの作戦、うまくいかなくてさ」

古泉「いいんですよ」

キョン「…すまん」

古泉「僕の作戦を言ってみていいですか?」

キョン「お、なんだ?」

古泉「見ての通り、今日は雨です」

キョン「雨だな」

古泉「ずばり、涼宮さんと相合い傘して帰ってみてはどうでしょうか」

キョン「相合い傘って…」

キョン「フラグの塊じゃねぇか!」

古泉「その通りです。傘、ありますか?」

キョン「…そういや、今日は持って来てなかったんだ」

古泉「そう言うと思ってました。では、僕の傘を差し上げましょう」

キョン「いいのか?」

古泉「頑張って涼宮さんを攻略して下さい。僕は、あなたがそれを達成できれば満足ですから」

キョン「古泉…」

古泉「それに、僕達…友達でしょう?」

キョン「ああ…!」

古泉「んふ」

キョン「……」

キョン「いや、それにしてもハルヒと相合い傘か…」

キョン「久しぶりだなぁ」





古泉「久しぶり…だと…?」

放課後



長門「……」パタン

ハルヒ「じゃあ今日は解散!」

キョン「そういえば古泉、お前…傘あるのか?」

古泉「ありますよ」

キョン(こいつは何本傘を持ってきてるんだ…)

ハルヒ「雨かぁ…」

みくる「傘、持ってきてて良かったです」

長門「わたしは合羽」

キョン「合羽!?」

長門「合羽の方が楽」

キョン「そ、そうか」

ハルヒ「……」

ハルヒ「…あんた帰らないの?」

キョン「…お前こそ」

ハルヒ「あたしは……雨が止むの待ってんの」

キョン「傘、忘れたのか」

ハルヒ「そういう事。別に濡れてもいいんだけど」

キョン「じゃあ、そろそろ帰るかな」

ハルヒ「…じゃあね」

キョン「何してんだ?早く帰るぞ」

ハルヒ「え?」



キョン「…一本あれば、十分だろ」

すまんまじすまんもう限界だお…

明日続き書きますのでどうか保守してくださいお

おはようございます

すまんあと2時間待ってくれ

続きいくじぇえぇ!

キョン「ほら。もっとこっち寄れって」



キョン「誰がこんな展開を予想しただろうか」

キョン「こんなに、ハルヒがすんなり俺の隣に来てくれるとは…」

キョン「世の中、何が起こるかわかったもんじゃない。いや、少なくとも俺はそう思う」

キョン「先程のセリフにあったように、俺とハルヒは相合い傘帰宅の真っ只中である」

キョン「俺にとっては願ってもない事なのだが、古泉から渡された傘は、高校生二人がまるまる入るような大きいものではなく…」

キョン「ましてや何か目立った特徴もない、言わば普通のビニール傘だった」

キョン「ハルヒを傘に入れてやる事で、俺の左肩はもうとっくに湿度100パーセントを越しているのだが…」

キョン「横で嬉しそうにしているハルヒを見てると、そんな事はどうでも良かった」

キョン「幸い、この独り言も雨音でハルヒには聞こえていないようだしな」

ハルヒ「キョン?何か言った?」

キョン「…いや、なんでもないぞ」

キョン「…濡れてないか?」

ハルヒ「大丈夫よ」

キョン「そうか」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「…キョン、肩」

キョン「お前が濡れなきゃ、俺はそれで十分」

ハルヒ「そんなの許さないわよ」

キョン「俺の我が儘ぐらい聞いてくれよ」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「…あんたさ、」

ハルヒ「好きな人とか、いるの?」

キョン「…!」

キョン(こ、これは…!)

キョン(とあるゲームで、ここで『はい』を選ぶと…)

キョン(なんやかんやでHAPPY ENDを迎えるが)

キョン(あのゲームで『好きな人がいる』と答えると…)

キョン(確か、その後妹に刺されて死んだ…)

キョン(一体全体、どっちが正しいんだ?)

キョン(しおらしい今のハルヒは、反則なまでに可愛かった…って)

キョン(そんな事考えてる場合じゃねえ!早く何か言わねば…!)

キョン「あー、俺に好きな人?」

ハルヒ「……」

キョン「ま、まぁ、どうだろうな」

キョン(何だそりゃ。結局出て来た言葉がそれかよ)

ハルヒ「…はっきり言いなさいよ」

キョン(そりゃそうだ)

キョン「えーっと、実はだな…」

キョン「い、いなくもない」

ハルヒ「いるってこと?」

キョン「…まあ」

ハルヒ「ふーん…」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「お前は?」

ハルヒ「いる訳ないでしょ」

キョン「…だよな」

ハルヒ「……」

キョン「……」

キョン(なんか気まずくなっちまったぞ…)

キョン(どうしてこうなった…責任者呼べよ!)

ハルヒ「あんたさ」

キョン「ん、何だ」

ハルヒ「最近おかしいわよ」

キョン「そ、そうか?」

ハルヒ「うん」

キョン「別に…いつも通りだ」

キョン(こいつの勘の鋭さは異常だろ…)

ハルヒ「あたしに隠し事してるでしょ」

キョン「なっ」

ハルヒ「言いなさい」

キョン「断る!」

ハルヒ「言いなさい」

キョン「ぅぐ…」

キョン(ちくしょう…ここで俺が)

キョン(「お前と付き合いたい。そしてあわよくば突き合いたい」)

キョン(とか言っちまったらもう最悪だ…!)

キョン(学校中の笑い者…いや、日本中の笑い者……)

ハルヒ「はぁやぁく!」

キョン「か、かかか隠し事なんて無い!」

ハルヒ「ふーん…」

キョン「おい」

ハルヒ「何よ」

キョン「前に立つなよ」

ハルヒ「嫌よ。あんたが白状するまで通してあげないから」

キョン「濡れるぞ」

ハルヒ「知らないわよ」

キョン(…このやろうめ。人の弱みを握る事がそんなに楽しいか)

ハルヒ「早く言わないと、明日ひどいんだからね」

キョン「何がどう酷くなるというんだ」

ハルヒ「移動費全部あんた持ち」

キョン「……」

ハルヒ「昼食代もあんた持ち」

キョン「…勘弁してくれ」

ハルヒ「じゃあ早く言いなさい!」

キョン「……」

キョン「…明日だ」

ハルヒ「は?」

キョン「明日、教えてやる」

ハルヒ「……」

キョン「とりあえず、今日は見逃してくれ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「…まあいいわ。明日、約束破ったら死刑だから」

キョン「分かってる。死刑は嫌だからな」

ハルヒ「絶対だからね」

キョン「……」

キョン(…古泉。ダメだ。ハルヒの前だと、いかなるフラグも意味を成さないぞ)

キョン(普通の女の子と相合い傘して帰った日には、もうルート確定したようなもんだが)

キョン(ハルヒだとこうも違うとは……参ったな)

ハルヒ「……」

キョン(しかも、お前!いつもの元気はどこに行った!何故こういう時に限って静かなんだ!)

ハルヒ「……」

キョン「……」

キョン(くそ、ハルヒが攻略出来ない…攻略Wikiでもあればいいんだが…)

ハルヒ「……」

翌日



キョン「あれから、俺達は会話という会話もしないまま、黙っていただけただった」

キョン「流石にまずいと思い、ハルヒに声をかけたりしたのだが…」

キョン「ふーん。とか、で?とか、そんな事しか言わないハルヒに、俺は攻略を諦めざるを得なかった」

キョン「もちろん、ハルヒを家まで送ってやったのだが…」

キョン「あっそ」

キョン「俺が『家まで送るよ』と、優しい言葉をかけてやったのに、この返事である」

キョン「あいつは俺になんの気も持っちゃいない。そう感じた」

キョン「長門。朝比奈さん。ついでに古泉。すまん、俺には無理だったぞ」

ハルヒ「こらキョン!遅い!罰金!」

キョン「……」

キョン「…やれやれ」

ハルヒ「時は遡って一週間ぐらい前…」

ハルヒ「あたしはある決意をしたわ」



―――――

ハルヒ「みんな、適当に座ってちょうだい」

みくる「一体何が始まるんですかぁ…」

ハルヒ「今日はみんなに大事な大事が話があります!」

長門「……」

古泉「それは、彼抜きでないと話せない内容なのですか?」

ハルヒ「そう!実はあたし…」



ハルヒ「キョンを攻略したいのよ」

古泉「おやおや」

みくる「…!」

長門「涼宮ハルヒを敵性と判断」

ハルヒ「あのバカでマヌケでどっか抜けてて…」

ハルヒ「でも優しくて、我が儘を聞いてくれて、いつもあたしを助けてくる…」

古泉(若干妄想が混じってますね)

ハルヒ「そんなキョンを、我が物にしたいの!」

みくる「す、すごくいいと思います!」

古泉「朝比奈さんに同じです」

長門「……」

ハルヒ「な、なんか白々しいわね…」

ハルヒ「まあいいわ!とりあえず、なんかいい案ない?」

古泉「そうですね、後ろから抱き着いてアイラブ…」

ハルヒ「却下」

古泉「……」

長門「こういう事は自分で考えるべき」

ハルヒ「だ、だって…」

ハルヒ「まさか自分からこういう事に首を突っ込むなんて、思ってもなかったもん」

みくる「デートとか誘ってみたらどうでしょうか…」

古泉「あ、いいですねそれ」

ハルヒ「でも、それってあたしから誘わなきゃいけないのよね」

みくる「ま、まあ」

長門「……」

古泉「罰ゲーム感覚で誘ってみては?」

ハルヒ「え?」

古泉「不思議探索という名のデートですよ。彼が何かやらかした時に、罰として不思議探索に誘えばいいのです」

ハルヒ「…古泉君ナイス!」

長門「セフセフ」

みくる「せ、セフセフです!」

ハルヒ「そして今に至るわけ!」

ハルヒ「で、デートプランなんて、普通なやつしか思いつかなかったけど」

ハルヒ「…キョンだし、なんとかなるわよね」

ハルヒ「それにしても…昨日はびっくりしたわ…」

ハルヒ「キョンから相合い傘しようなんて…雹でも降るかと思ったわよ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「…あたし、ちゃんと話せてたかな」

キョン「何ぶつぶつ言ってんだ」

ハルヒ「!?」

キョン「ん?」

ハルヒ「な、なんでもないわよ!」

キョン「っていうか。俺は遅刻してないが」

ハルヒ「あたしより遅かったんだから、罰金なのは当たり前でしょ」

キョン「……」

ハルヒ「さ、行くわよ!」

キョン「どこに行くんだ」

ハルヒ「不思議な場所その1よ」

キョン「その不思議な場所その1とやらが、一体どこなのか聞いてるんだ」

ハルヒ「着いてからのお楽しみ!」

キョン「……」

キョン(何だろう。全然楽しくないぞ)

ハルヒ「こっちこっち!」

キョン「い、いつの間にそんなとこに…」

ハルヒ「あんたが遅いのよー!」

キョン「一応聞くぞ。ここのどこが不思議で危険なんだ」

ハルヒ「この映画を作った監督が、死んじゃったらしいのよ」

ハルヒ「それで、関わった人達も次々と死んでいく呪いの…」

キョン「呪いの映画?ホラーとかだったらよく聞く話だが、こんなべったべたの恋愛物で?」

ハルヒ「そ、そうなの!」

キョン「もしその話が本当だったとして、俺を巻き込むんでどうする」

キョン(お前一人で呪いにでもかかってろよ。いちいち人を巻き込んでんじゃねぇ)

ハルヒ「別に巻き込んでなんかないわよ。もともと、あんただけが行く予定だったんだし」

キョン「つまりなんだ?お前は俺に死ねと?」

ハルヒ「そんな事言うわけ無いでしょ?」

ハルヒ「第一、噂がホントかどうかわかんないし、ホントだったとしても見た人まで死ぬなんて事は無いわよ」

キョン「じゃあ何の為にここに来たんだよ」

ハルヒ「うるさい。あんたは黙って映画見てればいいの」

キョン(こいつは何を考えてんだか…)

ハルヒ(何よこいつ…文句ばっかり!)

ハルヒ(じゃああんたもデートプラン考えなさいよバカ!)

ハルヒ「……」

ハルヒ「…キョン?」

キョン「…んにゃ」

ハルヒ「…寝てるし」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「くかー…」

ハルヒ「ふふ、映画よりこいつの顔見てた方が面白いわね」

キョン「……」

ハルヒ「ホントに気持ち良さそうに寝る奴ね」

キョン「ん…」

キョン「ハルヒとの不思議探索はまだまだ続く。映画館で睡眠時間を確保した俺が次に足をはこんだのは……」

キョン「なんの変哲もない、遊園地であった」

ハルヒ「キョーン!あれ乗るわよー!」

キョン「ハルヒは絶好調。もう誰にも止められない勢いである」

ハルヒ「なーにやってんのよー!はやくしなさーい!」

キョン「わーったよ。今行くから少し静かにしろって…」

キョン(こいつも少し恥じらいというものをだな…)

キョン「んなぁ!?」

ハルヒ「ほらほら!さっさと進んだ進んだ!」

キョン「い、嫌だ!無理だ無理!こんなの人間が乗るもんじゃ…」

ハルヒ「うるさーい!黙ってこっち来る!いい高校生がジェットコースターごときでびびってんじゃないわよ!」

キョン「駄目だ!ハルヒ!無理だって!俺こういうの乗った事ねぇんだよ!」

ハルヒ「じゃあ今乗りましょうよ!」

キョン「  」

ガタン  ガタン

キョン「あ、上がってる…上がって……」

ハルヒ「た、確かにちょっと…」

キョン「お、お前も初めてか!?」

ハルヒ「わ、悪かったわね」

ガタン ガタン

キョン「ああいやだいやだ死にたくない死にたくない」

ハルヒ「へぇ、あああ案外たったた高いわねぇ」

キョン「ハルヒ。声が震えてるぞ」

ハルヒ「そ、そんなわけないでしょ」

ガタン ガタン

キョン「うそだろ…」

ハルヒ「地面が…真下に…」



キョン「うぎゃああぁぁあ!!」
ハルヒ「きゃああぁぁぁぁあ!!」

キョン「…俺も同じので」

店員「かしこまりました」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「……地獄を見た俺達が次に向かったのは、どこにでもあるような喫茶店である」

キョン「もちろんここには昼食をとるために来たわけだが…」

キョン「今の俺達が、まともに食事なぞとれる筈もなく」

キョン「結局、俺とハルヒは飲み物だけ頼む事にした」

ハルヒ「…何ぶつぶつ言ってんのよ」

キョン「…お前に呪いの呪文をかけてたんだよ」

ハルヒ「…ばーか」

キョン「…人の事言えねーだろ」

ハルヒ「……ぅえ」

キョン「……ぅげ」

ハルヒ「ぐ、具合悪い…」

キョン「もう不思議なんかどうでもいい、帰って寝たい。というか、最初っから不思議なんかどうでもいい」

ハルヒ「よくないわよバカ…」

キョン「不思議といえば。あの遊園地のどこに危険な不思議があったんだ?」

ハルヒ「十分危険な体験したじゃないの」

キョン「ジェットコースターは不思議じゃねぇし、一応危険でもないからな」

ハルヒ「いいじゃないどうでも。あんたは黙ってついてきなさい」

キョン(当初の目的はなんなのか、もう忘れちまったのかこの馬鹿は)

ハルヒ「……」

キョン「…次はどこに行く気だ」

ハルヒ「……」

キョン「…やれやれ…」

ハルヒ「やったぁ!見て見てキョン!またストライク!」

キョン「へいへい、見てますよ」

キョン(お察しの通り、ここはボウリング場である。何故ボウリングなのかは知らん。俺に聞くな)

ハルヒ「あんたも、もうちょっと真面目にやりなさいよ」

キョン「余計なお世話だっ!」

ガコン

ハルヒ「はいガーター」

キョン「……」

ハルヒ「四回も連続でガーターなんて…不思議だわ」

キョン「俺かよ。俺が不思議なのかよ」

ハルヒ「いくらなんでも下手くそすぎるわよ」

キョン「……」

キョン「カラオケ?」

ハルヒ「そ。早く入りましょ」

キョン「なあハルヒ」

ハルヒ「…何?」

キョン「ここにはどんな不思議があるんだ」

ハルヒ「入れば分かるわよ」

キョン(またそれか。ボーリングの時も、それでごまかされた)

キョン(こいつは一体何がしたいんだ…?)

キョン「……」

ハルヒ「…キョン?」

キョン「あ、いや、なんでもない」

ハルヒ「…変なの」

キョン「……」

長門「空オーケストラ」

古泉「いやそこは素直にカラオケって言いましょうよ」

長門「わたしたちも入るべき」

みくる「映画に遊園地…ボウリングでもう疲れました…」

古泉「まあ、いいじゃないですか」

長門「わたしの役目は涼宮ハルヒの観察。仕方ないこと」

みくる「……」

古泉「……」

古泉(長門さんの目が…キラキラしている…!)

キョン「これとか」

ハルヒ「うーん…」

キョン「だから俺に聞くなって言っただろ。自分で選べ」

ハルヒ「あんたのお金で買うんだから、あんたに選ばせてやるって言ってんの」

キョン「俺の金!?お前の服を!?」

ハルヒ「遅刻した罰よ」

キョン(どうやら、こいつは俺の事を財布だとしか思ってないらしいな…)

キョン「…一つだけだぞ」

ハルヒ「いいの?」

キョン「俺に拒否権なんて無いんだろ?」

ハルヒ「まあ、そうね」

キョン(ちくしょう、こうなったらとびきり恥ずかしい服を選んでやる…!)

キョン「先程の会話にあった通り、団長様がカラオケの次に選んだ場所は服屋だった」

キョン「不思議要素など何一つとして無い、全く普通の衣類専門店である」

ハルヒ「まだ?」

キョン「…そうだな、これとかどうだ」

ハルヒ「……」

キョン「何だよその顔」

ハルヒ「…これをあたしに着ろって?」

キョン「俺が選んでいいんだろ」

ハルヒ「死ね変態」

キョン「死…っておい!」

ハルヒ「バカ。何よこれ。あたしはこんなの絶対着ないからね」

キョン「…話が違うじゃないか」

ハルヒ「……」

キョン「あー、その…なんだ、次は真面目に選ぶ」

ハルヒ「…最初っからそうしなさいよ…」

ハルヒ「ど、どうかしら」

キョン「…!」

キョン(やばい。いろいろまずいぞ…!なんというか、いや、普通にかわいい)

キョン「ま、まぁ、いいんじゃないか」

ハルヒ「何よそれ」

キョン「…似合ってるぞ」

ハルヒ「…あっそ」

キョン(ちくしょう、なんだってんだ)

キョン(反則だろ…ハルヒのやつ、外見だけはいいからな…)

キョン(いや、何を言っている俺。ハルヒは実際かわいいのだ。一度は攻略しようとさえ思った)

キョン(ぶっちゃけ昨日までそう思ってたが)

キョン(あの傍若無人な性格も完全に許容範囲内であって…)

キョン(駄目だ駄目だ!あいつは俺の事を財布としか思ってないんだぞ?俺には攻略不可能なんだ)

キョン「……」

キョン「…はぁ」

携帯の充電死亡間近

すまん15分まって

古泉「なんですかあの人達。なんで堂々といちゃついてるんですか」

長門「……」

みくる「いいかんじですねぇ」

古泉「流石に、ここまでやれば彼もデートだと分かってますよね」

みくる「キョン君は…」

長門「多分分かってない」

古泉「……」

みくる「……」

長門「……」

古泉「ま、まあ彼ならやってくれますよ」

みくる「キョン君がですか?」

長門「おそらく彼は何も分かってない」

古泉「……」

みくる「……」

長門「……」

キョン「一体何をしたかったのか分からないまま、時間は午後5時を過ぎた」

キョン「やれやれ。俺の小遣いが減っただけじゃねぇか」

ハルヒ「……」

キョン「横にいるハルヒは、昨日と同じで何も喋らなくなっちまったしな」

キョン「流石のハルヒも疲れたんだろ。まああれだけ遊べばそうなるか」

キョン「ちなみに俺はというと、あまり疲れてはいなかった」

キョン「何故かは分からんが、なんだろう。不思議探索もなかなか悪くない、そう思ってしまったのだ」

ハルヒ「…ねぇ」

キョン「どうした?」

ハルヒ「早く教えなさいよ」

キョン「何をだよ」

ハルヒ「昨日、教えてくれるって言ったじゃない」

キョン「…!」

キョン(やばい、すっかり忘れてた…)

ハルヒ「忘れてたって言ったら」

キョン「…死刑はやめてくれ」

ハルヒ「…もっかい」

キョン「はぁ?」

ハルヒ「来週も罰として不思議探索だからね」

キョン「な…なんですと?」

ハルヒ「だ、だから!あたしとあんたで不思議探索に行くの!」

キョン「来週も?」

ハルヒ「そうよ!あんたに拒否権は無い!」

キョン「……」

キョン「…まぁ、そういう事なら別にいいが」

ハルヒ「あ、あったりまえでしょ」

キョン(…俺もまんざらじゃあないしな)

ハルヒ(よ、よし、来週こそはキョンを攻略してみせるんだから…)

ハルヒ「…もうこんな時間かぁ」

キョン「十分だろ?収穫は無しだがな」

ハルヒ「…あるわよ」

キョン「は?」

ハルヒ「収穫ならあるわ」

キョン「何の事だ?」

ハルヒ「……」

ハルヒ「……あんたが買ってくれた服」

キョン「……」

ハルヒ「次の不思議探索の時、着てきてあげる」

ハルヒ「絶対、着てくるから…」

キョン「お、おう…」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「もう帰る」

ハルヒ「…キョンなんか大っキライ!」

キョン「あ……」

キョン「……」

キョン(一体、あいつは何がしたかったのだろう)

キョン(大っキライか…)

キョン「……」

キョン「…帰って寝よう」

みくる「あ、あれ?」

長門「おかしい」

古泉「何がです?」

みくる「涼宮さん、怒ってるみたいでしたよ…?」

長門「デートの後に、接吻の一つ無いとはどういう事か」

長門「愛し合う二人ならば、そのぐらいしないと締まらない」

古泉「!?」

みくる「せっぷん?」

長門「そう教わった」

古泉「誰から教わったんですかそんな事!」

長門「涼宮ハルヒ」

古泉「あちゃー」

みくる「あの、せっぷんって何ですか?」

古泉「……」

長門「……」

月曜日



キョン「ハルヒに大っキライ宣言されてから二日たったわけであるが」

キョン「実際、その事実は俺を若干憂鬱にさせている…」

キョン「攻略出来ないにしろ、友達として仲良くやっていきたかったからだ」

キョン「…どこの選択肢で間違ったのか、誰か俺に教えてくれ…」

キョン「……」

キョン「はぁ…」

ハルヒ「歩くの遅い。遅刻するわよ?」

キョン「ぅわっ!?」

ハルヒ「な、何よ」

キョン「は、ハルヒ」

ハルヒ「だから何よ」

キョン「いや、なんでもないが…」

ハルヒ「何よ。ちゃんと最後まで言いなさい」

キョン「…あのさ」

キョン「お前、俺の事嫌いなんだよな」

ハルヒ「はぁ?」

キョン「すまん!俺が何をしたか分からんが、ホントに悪かった!」

ハルヒ「ば、バカ。何言ってんのよ!」

キョン「え?」

ハルヒ「…誰があんたを嫌いになるのよ」

キョン「ちょっとまて。お前、土曜日に大っキライだって言ったよな」

ハルヒ「あんたは相変わらずね…」

キョン「?」

ハルヒ「ふんだ。キョンのバカ。大っキライなんだから」

キョン(…笑顔で言うな。どう反応していいか分からんだろ)

ハルヒ「教室まで競争!負けたら罰ゲーム!」

キョン「あ!こら!待てハルヒ!」

放課後 部室



キョン「ほらよ」

ハルヒ「ん」

古泉「僕にも一つお願いします」

キョン「黙ってろ」

みくる「あはは…」

キョン「長門。ここ置いとくぞ」

長門「……」

古泉「いやあ、あなたのメイド姿を拝む日が来るとは」

キョン「…足の速さでハルヒに勝てる訳がねぇだろ」

古泉「僕にはお茶は無いんですか?」

キョン「死んでもやらん!」

ハルヒ「キョン、あんたなかなか似合うわね」

キョン「んな事言われても嬉しくねぇわ!」

―――
――


キョン「やあ、君達すまない。また集まってもらったのには理由がある」

古泉「新しい作戦ですか?」

キョン「違う。実は…」

キョン「ハルヒ攻略は諦めたいんだ」

古泉「えっ」
みくる「えっ」
長門「えっ」

キョン「すまん。でもな、俺じゃ無理なんだよ」

みくる「そんなぁ」

長門「…何故そう判断したの」

キョン「無理だと確信したのは…土曜日にあった不思議探索の時だ」

みくる「土曜日?」

古泉「不思議…探索…?」

長門「ユニーク」

キョン「そん時…」

古泉「ちょっと待って下さい!」

キョン「…何だ」

古泉「その不思議探索について、詳しく聞かせてくれますか」

キョン「詳しく…って言われてもな。不思議探索は不思議探索だろ」

長門「二人だけで?」

キョン「ん、まあな」

みくる「ど、どこに行ったんですか?」

キョン「えっとですね…」

キョン「遊園地とか、ボーリングとか、カラオケとか…」

キョン「あ、あと映画にも行きましたね」

古泉「ははっだめだこいつ」

みくる「キョン君何やってんですか…」

キョン「え?」

長門「すけこまし」

古泉「単刀直入に言いますと」

キョン「何だよ」

古泉「デートですね」

みくる「はい。完璧にデートでした…じゃなくて、デートですね」

キョン「へ?な、何が?」

古泉「あなたが土曜日に行った事は不思議探索ではなく、デートだと言ったんです」

キョン「……」

キョン「…あっ、ホントだ…」

長門「ばかやろう」
みくる「だめだこの人」
古泉「ハハッワロス」




おわり

一応これで終わりですけど…



異論は認める

後日談っておまえら…

二人がいちゃいちゃする話しか思いうかばんぞ



それでもいいなら書くお

キョン「ハルヒが俺を攻略?」

古泉「ええ。実はそうなんですよ」

キョン「冗談はよせよ」

みくる「キョン君、これ聞いてみて下さい」

キョン「え?」

カチ

『キョンを攻略したいのよ』

キョン「!?」

長門「録音しといた」

古泉「お分かりですね?あなた達は…相思相愛なんです」

キョン「なんてこった…」

キョン(こんなに嬉しいハプニングがあるか?いや、そうそう無いだろ…)

長門「どうするの?」

キョン「……」

キョン「…問題はそれなんだよな」

古泉「何が問題なんです?後ろから抱きしm」

キョン「黙ってろ」

キョン「とりあえず、俺があいつの…好意に気付いたのを、あいつに感づかれちゃいけないと思うんだが」

みくる「なんでですか?」

キョン「なんか俺だけずるい感じがするんですよ、それだと」

キョン「だから、俺は今日ここで何の話も聞かなかった事にする!」

長門「おお」

古泉「それはそれは」

キョン「そして…」

キョン「来週の不思議探索(デート)を、恋人同士として迎えたい!」

長門「おお」

古泉「これはこれは」

みくる「ふぇ…」

キョン「それで、だ」

キョン「なんかいい告白の仕方、ないか?」

古泉「また人任せですね」

みくる「普通に放課後呼び出してみたらどうですか?」

キョン「とりあえず、それでいってみます」

長門「頑張って」

古泉「なんかあっさり決まりましたね」

翌日



ハルヒ「今あたしの鞄には、弁当が二人分入ってるわ」

ハルヒ「何故かというと…、こ、これはその、昨日の夜、みんなとメールで作戦会議したんだけど」

ハルヒ「ま、まあ、その結果というか…」

ハルヒ「とにかく!キョンの分のお弁当をあたしが作ってきてやったわけです!」

ハルヒ「感謝しなさいよバカキョン!」

ハルヒ「……」

ハルヒ「…うまくいくかなぁ」

キョン「ようハルヒ。今日は社長出勤か」

ハルヒ「うるさい。黙れバカ」

キョン「……」

ハルヒ(ま、またやっちゃった…!)

キョン「…なんかあったのか?」

ハルヒ「別に」

キョン「そうかい」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「…キョン」

キョン「何だ」

ハルヒ「昼休み、屋上に来なさい」

キョン「…!」

ハルヒ(よし。言えたわ。昼休みからが勝負よ涼宮ハルヒ!)

昼休み 屋上



キョン「何か、おかしい」

キョン「いや、あきらかにおかしい」

キョン「ハルヒから呼び出され、何事かと思った俺が目にしたのは…」

キョン「悔しいんだか、怒ってんだか分からない表情のまま、頬を赤らめ俯いていたハルヒだった」

キョン「手には弁当箱が二つ。これは…あれで間違いない筈だが…」

キョン「ハルヒが放つ謎のプレッシャーにより、何が正解か分からず、俺は沈黙するしかなかった」

ハルヒ「……」

キョン「……」

キョン(…俺も男だ!何か言わねば…!)

キョン「な、なあハルヒ…」

ハルヒ「……」

キョン「えーっと、何故俺をここに呼んだか説明してくれないか?」

ハルヒ「……」

キョン(駄目だこりゃ)

キョン「俺が暇つぶしに素数を数え始めたころ、ハルヒは凄い勢いでこっちに…ってうおっ!」

ハルヒ「こ、これ!あんたの弁当!あたしが…っ、あたしが作ってきたんだから!」

ハルヒ「のっ残したら嫌なんだからね!!」

キョン「……」



キョン「そういうと、ハルヒはすぐさまここを去っていった…」

キョン「弁当を渡す事が、そこまで恥ずかしい事なのだろうか。なあハルヒ。どうなんだ?」

キョン「それに、こういうのは、二人で一緒に食べるものなんじゃないのだろうか」

キョン「……まぁ、涙ぐむハルヒが可愛かったからどうでもいいか」

部室



キョン「やっぱりここか」

ハルヒ「な、何しに来たのよ!」

キョン「弁当を食いに来たんだよ」

ハルヒ「一人で食べなさいよ…!」

キョン「落ち着け。これ作ったのお前なんだろ?じゃあ、食べた感想聞かせないとな」

ハルヒ「そ、そんなのいいから!」

キョン「ハルヒと一緒に食べたい」

ハルヒ「!!」

キョン「お前が嫌だって言っても、俺はここで食うぞ」

ハルヒ「…勝手にしろバカ!」

キョン「…何で俺の好物知ってんだよ」

ハルヒ「…知らないわよ」

キョン「ん、うまい。かなりうまい」

ハルヒ「そ、そう?」

キョン「あー、毎日作って来てくれたら最高なんだがな」

ハルヒ「……」

ハルヒ「あ、あんたがそこまで言うなら、作ってきてあげないこともないわ」

キョン「マジか?」

ハルヒ「あたしに二言は無いわ。マジよ」

キョン「言ったな。後悔すんなよ?」

ハルヒ「しないわよ」

キョン(いや、こうしてみるとハルヒってやっぱかわいいな…)

キョン(顔真っ赤にして。隠してるつもりかもしれないが、バレバレだぞハルヒ)

ハルヒ「…あたしも食べる」

キョン「そうしろ。隣に来るか?」

ハルヒ「誰があんたの隣なんか!」

キョン「冗談だ」

ハルヒ「……」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「…おい」

ハルヒ「なによ」

キョン「ここ、付いてるぞ」

ハルヒ「ん?」

キョン「頬っぺた」

ハルヒ「どこ?」

キョン「ここだって」

キョン(…ん?このシーンはまさか…!)

ハルヒ「どこよ」

キョン(口で…取っていいのか?)

キョン(まて落ち着け!まだ俺とハルヒはカップルでもアベックでもないんだぞ!)

キョン(いやでもマウスtoマウスじゃない訳だから別に…って違う!)

キョン(ハルヒの頬っぺたに俺が口付け?駄目だ駄目だけしからん!)

キョン(もしやったとして、その後どうなる?)

キョン(最悪世界滅亡…いや、俺達相思相愛…いや、もう一回しちゃってるし…)

キョン(って違う違う!何考えてんだ俺!馬鹿か!)



ハルヒ(キョン…なんで悶えてんだろ…)

ハルヒ「早く取ってよ」

キョン「あ、ああ」

キョン(いいのか!?口で取って!?やってみていいのか!?)

キョン(このシチュエーションは恐らくこれが最初で最後…)

キョン(逃したら後はない…だから今やるんだろ?)

キョン(男を見せろ俺…!ハルヒにキスするなんて今しか無いぞ!)

キョン「と、取るぞ」

ハルヒ「早くしなさいよ」

キョン「……」

ハルヒ(な、なんか顔近くないかしら?)

キョン(何故お前は目をつぶった!?いいのか!?どうなんだハルヒ!)

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「結論から言おう。手で取った」

キョン「チキンで悪かったな…。無理だ。俺には出来ん」

キョン「まあ、頬を赤らめて目をつぶっていたハルヒが可愛かったのでよしとしよう」

キョン「そして今は授業中であり、」

ハルヒ「……」

キョン「我らが団長様は睡眠中である。その寝顔もまた、なんとも言えない」

キョン「今度写真に取ってやろう。新しくHARUHIフォルダを作らねばな」

ハルヒ「……」

放課後 部室



キョン「王手だ」

古泉「おや?もしかして詰みましたか?」

キョン「もしかしてじゃなく、詰んだな」

古泉「完敗です」

ハルヒ「こら有希!あばれちゃだめ!」

長門「これは抵抗」

みくる「す、涼宮さんダメですよぉ」

キョン「あいつらはさっきから何やってんだ?」

古泉「どうやら涼宮さんは、長門さんにもコスプレさせたいようですね」

キョン(何にせよ、助けてやらねばなるまい)

キョン「おいハルヒ。長門嫌がってんだろ?やめとけよ」

古泉(バイトの予感…!)

ハルヒ「何よあんた。有希のコスプレ、見たくないの?」

キョン「そういう問題じゃねぇだろ。そんなにやりたきゃ、自分でやれよ」

ハルヒ「みんなでやんなきゃつまんないじゃない!」

キョン「自分の都合で他人を困らせんな。何度言えばわかるんだ」

ハルヒ「あんたに指図される覚えは無い!」

キョン「俺は長門が困ってたからだな…」

ハルヒ「…!」

ハルヒ「何よ有希有希って!」

古泉(…困ったものです)

キョン「…違う!」

キョン「俺はお前がコスプレした姿が見たいんだよ!」

古泉「えっ」
みくる「えっ」
長門「えっ」
ハルヒ「!?」

古泉「僕はバイトですので」



キョン「あの後、ハルヒは俺に手当たり次第の罵声を浴びせ、騎馬のような突進力で部室を出てってしまった」

キョン「朝比奈さん、長門も帰り、古泉はバイトだそうだ」

キョン「従って、今日決行するはずだった作戦も明日に見送りとなった」

キョン「…全く、俺にどうしろってんだ」







ハルヒ「……」

ハルヒ「コスプレかぁ…」

翌日



キョン(今日は昨日のようなミスはしたくない…従って!)

キョン(出会い頭に言ってやる!)

ハルヒ「あ、キョン」

キョン「ハルヒ。放課後、部室に残っててくれ」

ハルヒ「ん…え?」

キョン「頼む」

ハルヒ「別に…いいけど、」

ハルヒ「くだらない事だったらぶっ飛ばすわよ」

キョン「物騒だな」

ハルヒ「ま、せいぜい期待しとくわ」

キョン「ああ、そうしてくれ」

放課後



ハルヒ「キョン、あたしに何の用事かしら。気になって授業中眠れなかったわ…」

ハルヒ「このバカ。後で覚えてなさいよ」

キョン「今バカって言っただろ」

ハルヒ「言ってない。それより、早く部室来なさいよ?あたし先に行ってるから」

キョン「ああ」

ハルヒ(見てなさいキョン…!このあたしをこけにした事、後悔させてやるんだから!)

キョン「ノックして…っと」

コンコン

ハルヒ「はーいどうぞー!」

キョン(朝比奈ボイスを期待したが、まあハルヒでもいいか…)

ガチャ

キョン「……」

ハルヒ「じゃーん!」

キョン「……」

ハルヒ「……」

キョン「何だその格好は」

ハルヒ「メイドさんよ!」

部室

ハルヒ「あ~っもう!なんかムズムズしてきたじゃない…キョン…」

ハルヒ「キョン、何の用事なのかな…まさか二人きりで…ってあの鈍感キョンがそんな事する訳無いか」

同時刻教室

キョン「今日こそは俺が真のニュータイプだという事を証明してやる」

キョン「そろそろ行かなきゃまたハルヒにどやされちまうな」

部室ドア前
キョン「すーっ、はーっ。今日こそは…よしっ!」

バタン

キョン「うぃ~っす、ってハルヒだけか?長門がいないのは珍しいな」

ハルヒ「…」

キョン「目の前に現れたのは、太陽のような笑顔を振り撒くメイドさんだった」

ハルヒ「ふふ、どう?」

キョン「どう?じゃねぇよ。脱げっ!」

ハルヒ「ほらほら、早く座った座った!」

キョン「他のやつらが来る前に脱げ!なんだそれは、メイドは朝比奈さんで十分だ!」

ハルヒ「何赤くなってんのよ!はい、お茶ね」

キョン(お前もかなり赤いがな)

キョン「……」

ハルヒ「お、おいしい?」

キョン「…何故お前がそれを着てるんだ」

ハルヒ「何って、気分よ気分!コスプレはみんなでやるもんなの!」

キョン「……」

ハルヒ「ふふ、なかなかメイドさんもいいわね」

キョン「…そうかい」

ハルヒ「……あんたってコスプレ萌えなの?」

キョン「そっそんな訳無いだろ!(ここで首を縦に振ったらハルヒに何を言われるか…)」

ハルヒ「あっそ。(明らかに動揺してるわね。ちょっとカマかけてみようかしら)」

すまん一時間ぐらいで戻る

ハルヒ「なんかだんだんみくるちゃんのメイド姿も飽きてきたわね~そうだキョン、このメイド服をあなたにあげるわ!」

ハルヒ「このメイド服を写真付きでいやらしい店に売って違う衣装かって来なさい!」

キョン「なっ、何馬鹿な事言ってるんだお前は!」

ハルヒ「馬鹿はあんたよ。さっさと行ってきなさい!
キョン「んな事でK…バキっ!ぐおわっ!」

ハルヒ「これ以上蹴られたくなかったら早く行きなさい!」

すまんまたせた

ガチャ

古泉「失礼しま…」

古泉「失礼しました」

キョン「おい待て帰るな!」

ハルヒ「古泉君、いらっしゃい!」

古泉「…事態を把握しかねます」

キョン「俺が聞きたい。なんなんだこれは」

ハルヒ「はい古泉君!ハルヒ特製のお茶です!」

古泉「あ、ありがとうございます」

ガチャ

長門「……」

長門「…失礼した」

キョン「おい待て長門」

ハルヒ「有希!はやく入りなさい!」

長門「……」

みくる「遅れてすいませぇん…」

みくる「…えっ!?」

キョン「朝比奈さん。今日はハルヒがメイドらしいですよ」

ハルヒ「そういう事!みくるちゃんは着替えなくていいからね!」

みくる「ふぇ…ど、どういう事ですかぁ」

古泉「彼が涼宮さんに着せたらしいのです」

キョン「古泉。嘘はいけないな」

長門「……」

ハルヒ「みくるちゃん、あたしの席に座っていいわよ」

みくる「そ、それは…」

古泉「いや、いいですねぇ」

キョン「何がだよ」

古泉「涼宮さんですよ」

キョン「……」

古泉「…睨まないで下さいよ」

キョン「俺はいつものように古泉とボードゲームに興じたのだが…」

キョン「ハルヒのせいで、俺はそれどころではなかった」

キョン「そう、今のハルヒの髪型はポニーテールなのだ」

キョン「ついついハルヒを見てしまうのは、もはや不可抗力といったところだろう」

キョン「動く度にぴこぴこ揺れる髪がなんとも…」

古泉「もしもーし、帰ってきて下さーい」

キョン「…ん?」

古泉「今日の団活は終了ですよ」

キョン「もうそんな時間か」

ハルヒ「そろそろ着替えるわね」

古泉「了解です」

キョン「長門と朝比奈さんは?」

古泉「あなたが妄想してる間に、帰っちゃいましたよ」

キョン(ああ、今のうちにハルヒのポニテメイド姿を脳内フォルダに保存しとかねば…)

キョン「入るぞ」

ハルヒ「…みんなは?」

キョン「帰った」

ハルヒ「そう。…で?話って何よ」

キョン(来た…!ついに俺にも修羅場が…!)

キョン「ハルヒ」

ハルヒ「はい」

キョン「聞いてくれ」

ハルヒ「嫌って言ったら?」

キョン「…茶化すなよ」

ハルヒ「嘘よ。それで?早く言いなさい」

キョン「……」

キョン(くそ、いざ言うとなると…なかなかどうして…)

ハルヒ「……」

いいね

キョン「お…俺と」

ハルヒ「……」

キョン「つ、つ…釣りに行かないか」

キョン(なんだそりゃ)

ハルヒ「……」

ハルヒ「…帰る」

キョン「いや、そうじゃなくてだな…」

ハルヒ「…何よ!あたしは忙しいの!もう帰るからね!」

キョン「お、おい!」

キョン(このまま帰られたら最悪だ!もっと勇気出せ!何やってんだ俺!)

キョン(ちくしょう…何も言葉が出てこない…)

キョン(ハルヒ!俺はお前が大好きなんだ!頼む!気付いてくれ!)





ハルヒ「…ひゃ!?」

キョン(なんだこのいいシャンプーの匂い…そして手には何やら柔らかい感触が…)

キョン(……ん?)

ハルヒ「な、ぁ、」

キョン「……ん!?」

ハルヒ「ば、ばか!あんた、な、何してんのよ!」


キョン「そう。俺は知らず知らずの間にハルヒを抱きしめていたのだ」

キョン「いやぁ、本能って恐ろしいね。改めてそう思ったよ」

ハルヒ「は、離しなさいよばか!!」

キョン「そういうハルヒは暴れはするものの、本気で抵抗しているとは言いがたかった」

ハルヒ「ぅ、こら!い、いい加減にしなさい!」

キョン「ハルヒ」

ハルヒ「な、何よバカ!」

キョン「あのさ」



キョン「お前のメイド服姿、反則的なまでに可愛かったぞ」

ハルヒ「……」

ハルヒ「…はぁ!?」

キョン「思い起こせば長かった。あいつらに協力を得たり」

キョン「ギャルゲーやったり。大変だったんだ」

ハルヒ「あいつら?ギャル……え?」

キョン「だが。俺はもう逃げないからな」

キョン「ハルヒ。よく聞いてくれ」

ハルヒ「……」

キョン「ずっと前から、お前の事が好きだった」

キョン「その性格も。容姿も。お前の全てを愛していたと言っていい」

キョン「…ハルヒ」



キョン「俺と――」



キョン「――時は流れて、今日は土曜日。ハルヒとデートの日だ」

キョン「あの後については、各々の想像にお任せしようと思う」

キョン「まあ取り立てて思い出すような事は無いだろ。そうだな、ハルヒの以外な一面が見れた、とだけ言っておこうか」

ハルヒ「遅い!罰金!」

キョン「やっぱり、まだ短いな」

ハルヒ「う、うるさい!あたしは、あんたが喜ぶと思って…」

キョン「いや、十分似合ってるよ」

ハルヒ「…あ、ありがと…」





キョン「さて、今日はどんな不思議に会わせてくれるのだろうか」

キョン「俺は、神様よりも無敵な、ポニーテールがよく似合う、自慢の彼女と手を繋ぎながら、そんな事を考えるのであった」





終わり

眠いお…もう限界だお…


おまいら、サンキュー




異論は認める

おはよう

おいw

なんでまだ残ってんだwww

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