誠子「人が多くてしにくいなあ」淡「えっ?」 (107)
誠子「おお、大星奇遇だな」
淡「う、うん」
淡(さっき亦野先輩、死ににくいなって)
誠子「どうしたんだ?こんな崖っぷちに来て」
淡「いや、亦野先輩こそ」
誠子「いやほら全国の成績私酷かったろ?そしたらここが頭をよぎってさ」
淡「そ、そうなんだ」ハハ
淡(これ完全にビンゴだよ)
淡(と、とりあえずここから離さないと)
淡「ね、ねえ先輩」
誠子「どうした?」
淡「最近できた近くの服屋さんに行きませんか?」
誠子「いきなりか?」
淡「いいじゃんいこーよー」
誠子「しかたないな、次は無いぞ」
淡「うんっ」
淡(次は無いぞってまさか)
誠子(まったくこんな行き当たりばったりじゃなくて次からは普通に誘ってくれないと行かないからな)
服屋
誠子「へえー色々あるんだな」
淡「ここは最近私が見つけた激安店なんだよ」フンス
誠子「そーでもないと思うが」
淡「いや、ちゃんと見てよ」
淡「ってあれ?前より高い」
誠子「それって開店セールとかだったんじゃないのか?」
淡「...あっ」
誠子「ハッハッハお前ってやつは」ゲラゲラ
淡「もーそんなに笑う必要ないじゃん」プンスカ
誠子「ごめんごめん謝るよ」ポンポン
淡「もー」
淡(でもよかった元気になってくれて)
誠子「なあ、淡」
淡「なーに?」
誠子「ここってロープは売ってないのか?」
淡「」
淡(ど、どうしようこれってアレだよね首にアレするあれだよね)
誠子「なあ、淡」
淡(と、とりあえずここから連れ出そう)
淡「せ、先輩わたしのどかわいちゃったなー」
誠子「どうした?いきなり」
淡「ちょっとっここから出て近くのカフェでも行こうよ」アセアセ
誠子「あ、ああっていきなりどうした?」
淡「出発進行ー」
誠子「何急いでんだよ」
淡「迷わずGO」ガシッ
誠子「ちょっと待てって」
モブa「あの二人仲良いねー」
モブb「カップルかなー」
カフェ
誠子「まったく」
淡「ご、ごめんなさい」
誠子「...別にいいよ、それで何飲む?」
淡「オレンジジュース」
誠子「わかった、すみませーん」
淡(どうしよう怒らせちゃったかな?)
誠子「それより大星は門限とか大丈夫なのか?」
淡「うん、門限は六時半までだから」
誠子「結構はやいな」
淡「ほんとだようちの親そういうとこ厳しくてさー」
誠子「ふーん」
淡「そういえば先輩は門限ないの?」
誠子「私は一人暮らしだからな」
淡「いいなー」
誠子「どうして?」
淡「だっていつ帰っても怒られないでしょ?」
誠子「でも家事もやらなくちゃいけないからどっちにしろはやく帰らなきゃいけないぞ?」
淡「外食だってし放題」
誠子「毎日食うなら手作りのがいいぞ」
淡「あー、一人暮らしって大変なんだね」
誠子「ああすごく疲れるぞ」
淡「それで、麻雀と両立できてるんだから凄いなー」
誠子「麻雀の方はまだまだ弱いけどな」
淡「ふふん」ドヤッ
誠子「ドヤ顔すんなっ」ポカッ
淡「いたっ」
淡「痛い」
誠子「そんなに強くやってないはずだが」
淡「心が」
誠子「おいっ」
淡「これは損害賠償請求もんだよ」
誠子「こんなので?」
淡「賠償金として一日お泊り権を要求するよっ」
誠子「・・・」
淡「だ、だめ?」
誠子「分かったよ」
淡「わーい」
淡「でも、お母さん許してくれるかな?」
誠子「あーこういうとこ厳しいんだっけ?」
淡「うん」
誠子「まあ今度ゆっくり話し合ってそれで大丈夫だったら来いよ」
淡「うん」
誠子「それじゃあ行くか」
淡「そうだねもうすぐ六時だもん」
淡「先輩はこれからどこか行くの?」
誠子「そうだ買いたいものがあったんだ」
淡「なにー?」
誠子「練炭」
淡「」
誠子「どうした?大星そんな顔して」
淡「ええと....そうだ」
誠子「本当にどうしたんだ」
淡「先輩の家にお泊りしてもいいですか」
誠子「は?」
誠子「私はいいがおまえんち厳しいんじゃなかったか?」
淡「あ...いや、大丈夫今日親いないから」
誠子「いや、でも」
淡「ぶー」
誠子「はー、分かったよ」
淡(これなら一晩中監視できるよ)
誠子ん家
淡「ここが先輩の家か」
誠子「まあ、適当にくつろいでくれ」
淡「釣竿が邪魔ー」
誠子「しかたないだろーと、はいお菓子」
淡「やったー先輩大好き」
誠子「晩飯もあるんだからあんまり食べるなよ」
淡「うんー」モグモグ
誠子「ほんとに大丈夫か?」
晩飯後
淡「ごちそうさま」
誠子「お粗末さまでした」
淡「美味しかった」
誠子「はは、ありがと」ジャー
誠子「そういえば風呂ももう沸いてるよな」
誠子「淡先に風呂はいっていいぞー」
淡「はーい」
脱衣所
淡「ふーなんともなかったなー」ヌギヌギ
淡「これは取り越し苦労ってやつだね」キラン
淡「さて、入るかー」
淡(待てよ?さっきは二人だったからよかったけどもし一人になったら)ハッ
淡「先輩はわたしが守る」ダッ
誠子「ふー洗い物終わり後は」
淡「先輩」ダッ
誠子「うわっいきなりどうした?」
淡「無事だよねケガないよね?」ウルウル
誠子「えっああ、まあないが」
淡「よかった」ホッ
誠子「で、どうしたんだ?全裸で走り回って」
淡「え、えーと」
淡「そ、そういっしょにお風呂入りましょう」
誠子「は?」
淡「いいから一緒にはいろうよ」
誠子「は、はあ」
淡(これで先輩お風呂場で自殺は無くなった)ワタシアタマイー
脱衣所
誠子「先に入ってていいぞ?」ヌギヌギ
淡「ううん大丈夫」
淡(これからはずっと一緒に居ないと)
誠子「・・・」ヌギヌギ
お風呂場
誠子「それじゃあ先に洗っちゃうか?」
淡「うん....はっ」
淡(これじゃあ後ろが見えないよ、どうしたら)
淡「そうだっ」
誠子「どうした?」
淡「先輩洗いっこしよう」
誠子「は?」
誠子「いきなりどうした?」
淡「そっちの方がはやく終わるよ」
誠子「たしかにそうだが」
淡「だめ?」ウルウル
誠子「う、わかったよ」ハア
淡「やったー」
誠子「それじゃあどっちから洗う?」
淡「んじゃ私から洗うよ」
誠子「そうか、よろしく」
淡「おまかせあれっ」
淡「かゆいとこありませんかー?」ワシャワシャ
誠子「ん、大丈夫気持ちいいよ」アワアワ
淡「ワッシャーをワシャワシャ」ボソッ
誠子「・・・」
淡「...ごめんなさい」
誠子「いや謝らなくていいよ」
誠子「それじゃあ私の番だな」
淡「ばっちこーい」
誠子「テンション高いな」アワアワ
淡「いえーい」アワアワ
誠子「んじゃいくぞー」ワシャワシャ
淡「んっ」アワアワ
淡「ふー良い気持ち」アワアワ
誠子「かゆいとこないか?」ワシャワシャ
淡「うん」アワアワ
誠子「そうか」ワシャワシャ
淡「・・・」アワアワ
誠「・・・」ワシャワシャ
淡「わたし...これ好き」アワアワ
誠子「...そうか」ワシャワシャ
淡「ねえ、先輩」アワアワ
誠子「ん?」ワシャワシャ
淡「目つぶってる間にどこか行ったりしないよね...」アワアワ
誠子「.....ああ」ワシャワシャ
淡「よかった...」アワアワ
誠子「・・・」ワシャワシャ
淡「・・・」アワアワ
淡「これは...」アワアワ
誠子「ん、どうした?」
淡「淡がアワアワー」アワアワ
誠子「馬鹿な事言ってないで流すぞー」バシャー
淡「ちぇっー」ブルブル
風呂上り
誠子「さて、寝るか」
淡「えーもっと遊ぼうよー」
誠子「お前明日部活だって覚えてるか?」
淡「あっ」
誠子「ベット使っていいぞ」
淡「えー一緒に寝よー」
誠子「狭いだろ」
淡「いいじゃん」
誠子「だってな」
淡「だめ?」ウルウル
誠子「う、分かったよ」
淡「やったー」
誠子(どうもウルウルに弱いな)ハア
誠子「それじゃあ私外側だからな」
淡「はーい」
誠子「おやすみー」
淡「おやすみなさーい」
カチッ
淡「・・・」
誠子「・・・」
淡「・・・」
誠子「・・・」
淡「ねえ、先輩寝ちゃった?」
誠子「いや、まだ起きてる」
淡「えへへ」ギュッ
誠子「...どうした?」
淡「あのね、お話ししよっ」
誠子「だから明日部活があるんだって」
淡「...いいじゃん」プクー
誠子「...少しだけな?」ハァ
誠子「それで何の話をするんだ?」
淡「えーとね」
淡「うーんと」
淡「何のお話にしよっか」
誠子「決めてないのかよ」
淡「それじゃあ私が来る前の麻雀部の話」
誠子「いやまあ、別にいいけど」
淡「はやくはやくー」
誠子「待て待てせかすな」
淡「まだー?」
誠子「そうだな、まずあれは初めて私が練習に出たときだな」
淡「うん」
誠子「まず最初の印象は怖い先輩がいるなーって思ったな」
淡「あースミレか」
淡「それは私も思ったなー」
誠子「だよなー」
淡「うんうん」
誠子「次行くか」
淡「うん」
誠子「あとビックリしたのは尭深が推薦だったことかな」
淡「もうタカミーと知り合いだったの?」
誠子「うん、始業式迷ってるとこを助けてあげたからね」
淡「よく道が分からないって分かったね」
誠子「そりゃああんな時間にうろうろしてたらな」
淡「なんでそんな時間に道が分からないタカミーの近くにいたの?」
誠子「・・・」
淡「・・・」
誠子「てへぺろ」
淡「...次行こうか」
誠子「...はい」
誠子「まあ、宮永先輩は最初は営業スマイルだったからビックリはしなかったなー」
淡「そうだねテルーは後々ビックリしていくよね」
誠子「ああ、本当に」
淡「あんなにお菓子狂なのに」
誠子「それお前が言えた事か?」
淡「てへぺろ」
誠子「...次行こうか」
淡「うん...何かごめんなさい」
誠子「まあそんなこんなで皆最初から強かったよ」
淡「やっぱり?」
誠子「ああ他のチームなんて目じゃなかった」
淡「ふふん」
誠子「私のチームも例外じゃなくね」
淡「え?」
淡「先輩昔は虎姫じゃなかったの?」
誠子「ああ、私は竜の方にいたよ」
淡「なんで?虎姫のメンバーに仲の悪い人でもいたの?」
誠子「いや」
淡「じゃあなんで?」
誠子「私じゃ弱すぎると思ったからさ」
淡「・・・」
誠子「あの頃からもう虎姫が最強のチームだったんだ」
誠子「皆が麻雀の推薦だったしね」
淡「・・・」
誠子「あの頃から私弱かったからさ」ハハッ
淡「...じゃないよ」ボソッ
誠子「え、なんだって?」
淡「先輩はもう弱くないよ」
誠子「...淡」
誠子「.....そうだな」
誠子「ありがとな淡」ナデナデ
淡「・・・」ギュッ
誠子「まあ去年は私抜きで優勝してるし」
淡「でも強いもん...」
誠子「ああそうだな」
誠子「まあ三年生が抜ける去年の末になるまでずっと竜の方に居たんだが」
誠子「虎姫は去年三年が二人いたからその二人を探そうって事になってたんだ」
淡「その時に先輩は立候補したんだ」
誠子「いや、してないよ?」
淡「えー」
誠子「私にはそんな勇気なかったしね」
淡「それじゃあ、何で虎姫にいるの?」
誠子「宮永先輩と尭深の推薦だよ」
淡「ふーん」
誠子「でもそっからのが大変だったな」
淡「何で?虎姫に入っちゃえばもう安泰じゃないの?」
誠子「そうもいかないよこの座を狙ってる生徒はいくらでもいる」
淡「うん」
誠子「それにそれから毎日虎姫でたっぷりしごかれたからね」
誠子「...それも一回も勝てずに」
淡「え?」
誠子「まあ一回も大会に出た事無い私が勝なんてふつうないよね」
誠子「でも、あの時は本当にショックだった」
誠子「虎穴に入らずんば、虎子を得ずとも言うけれど」
誠子「私は虎穴に入ってもずっと虎子のまんまだったんだからね」
淡「先輩」
誠子「それから数か月くらいして」
誠子「大星、お前が入って来たんだ」
淡「そこで?」
誠子「なにがだ?」
淡「いや、それじゃあ先輩初対面の時に」
誠子「ああ、私は虎姫でぶっちぎり最下位だよ」
淡「あわわわわ」
淡「それじゃああの言葉も」
誠子「・・・」ニヤリ
誠子「あーあ、よわっちいとか一人だけ場違いとか辛かったなー」
淡「...ごめんなさい」ドヨーン
誠子「いいっていいってごめんな、ひどい言い方して」ナデナデ
淡「いや酷いのはわたしの方だよ」
誠子「でも、ここまでこれたのも大星のおかげだしな」
淡「へ?」
誠子「前に山の角を丸くして麻雀した事あったろ?」
淡「あー、あの」
誠子「あの時に魔物も人間なんだなって初めて思ったよ」ハハハ
淡「思いだしたら腹立ってきた」グヌヌ
誠子「まあ、そんなんでのぞんだ全国だな」
淡「そういえば準決勝の時は酷かったねー」
誠子「うっ、また痛いところを」
淡「さっきのお返しだよーだ」
誠子「まああの点数は自分でも酷いと自負してるよ」
淡「あれは酷いよねー」クスクス
淡「でも決勝の先輩は結構かっこよかったよ」ボソッ
誠子「えっ何かいった?」
淡「なんでもない、もう寝るよ」
誠子「もういいのか?」
淡「そっから先は私も知ってるもん」
誠子「まあそうだよな」
淡「んじゃおやすみー」
誠子「うんおやすみ」
誠子「最後に私から聞きたいんだけどさ」
淡「何?」
誠子「何で私だけ先輩なの?」
淡「あ、それは」
誠子「なんで?」
淡「弱いって思ってたから」
誠子「...今も?」
淡「いまは違うよ」
誠子「それなら私のこともセイコって言ってくれよ」
淡「分かったよ、そのかわりそっちも大星じゃなくて淡ね」
誠子「ああ分かったそれじゃあ」
誠子「おやすみ淡」ギュッ
淡「おやすみセイコ」ギュッ
次の日
誠子「ふわあー今何時だろ」ガシッ
誠子「えっ?」
淡「すーすー」ギュッ
淡「どこにも...行かないで」
誠子「...ああ」クスッ
誠子「何処にもいかないよ」ナデナデ
淡「やっぱり怒られちゃったね」
誠子「まああれだけ遅刻したらな」
淡「ズーン」ズーン
誠子「結構落ち込んでるな」
誠子「...よしっ良いところ教えてやるよ」
淡「え、いきなり?」
誠子「よし、行くぞ」
淡「う、うん」
誠子「ロープは持って来てるから」
淡「ロープ?」
誠子「ああロープ下って行くんだ」
淡「というか、ここあの崖じゃん
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