苗木「すき家はクソだと思うな」 (57)
苗木「ファミリー向けに走った愚かさが失笑ものだよね」
苗木「そんな糞店舗に通ってる人は僕が殴ってやりたいな」
霧切「……」
苗木「松屋がいいよね。そう思わない?」
舞園「で、ですよねー! やっぱり、松屋が一番だと思います」
苗木「さすが、わかってるなぁ。舞薗さんは」
霧切「わ、私も……私もよ」
苗木「霧切さんも?」
霧切「松屋の"牛丼"。とてもおいしいと思うわ」
苗木「……」
コトダマ『牛めし』
苗木「それは違うよ!!!」
論破!
霧切「えっ」
苗木「松屋のメニューに牛丼は無いよ。"牛めし"だよね」
霧切「そ、それは……単なる記憶違いだわ」
苗木「本当にそうかな。霧切さんらしくないよ。それに――」
苗木「松屋の牛めしは、他の牛丼店と比べて美味しくないんだよ」
舞園「えっ、でも苗木クンは松屋が好きなんですよね……?」
苗木「松屋にあるのは牛めしだけじゃない。他のメニューだって充実している」
苗木「僕はそれらのメニューや、価格設定を評価しているのであって、牛めしはあまりおいしいとは思わない」
苗木「それなのに、霧切さんは『とてもおいしい』と言った。おかしいじゃないか」
霧切「お、おいしいと感じるのだから仕方ないじゃない……」
苗木「あの牛めしを??? あの牛めしをおいしいと感じるの???」
苗木「ねえ霧切さん。いくつか質問をさせてもらっていいかな」
霧切「え、ええ」
苗木「僕の友人がね。松屋で食べ終えた後に、お金を払わずにそのまま店から出て行ったんだって」
苗木「どうなったと思う?」
霧切「"無銭飲食"として、店員に止められたのではないかしら」
コトダマ『食券』
苗木「それは違うよ!!!」
論破!
霧切「……!」
苗木「松屋は食券システムなんだ。だから、無銭飲食なんてできないんだよ」
苗木「松屋で食事をしたことのある人なら、知っているはずだよね」
霧切「そ、それは……」
苗木「じゃあもうひとつ質問するよ」
霧切「……」
苗木「松屋のみそ汁の価格は?」
霧切「…………70円」
苗木「無料だよ」
霧切「!」
苗木「無料なんだよ。霧切さん」
霧切「……ごめんなさい。私、苗木クンに……その」
苗木「ちなみに、70円でみそ汁を売っているのはファッキンすき家だよね」
霧切「……!」
苗木「オラァ!!!」バキッ
霧切「おごっ!」
霧切「う、おぇぇ……ひっく、うぐ、ぇぇぇ……」
ビチャビチャ
苗木「ああ、吐いちゃったね。吐きたいのはこっちの方なのに」
苗木「何でもいいから乗せちゃえって、あの発想がさ、吐き気がするんだ」
苗木「霧切さんみたいな聡明な人が、まさかすき家なんかに通っていたなんて……絶望した」
霧切「……美味しかったのに……(ボソッ」
苗木「え? なにか言ったの? 大きな声で言ってよ、霧切さん」
霧切「な、何も……!」ビクッ
苗木「ふぅ~ん、まあいいや。あんなゲロ臭いものを食べてる人にはもう近づきたくないし」
苗木「すっかり萎えちゃったね、舞園さん。あっちで松屋トークしようよ」
舞園「え? えっ、ええっと、はい……」
舞園(どうしよう……今更、なか卯派だなんて言い出せない……)
苗木「舞園さんは松屋では何が好きなの?」
舞園「わ、私は……」
舞園(牛めしって答えたら、駄目なんだよね。ええと、前に事務所の先輩に連れてってもらった時に食べたのは……)
舞園「トマトカレーです」
苗木「ああ! あれは美味しいよね!」
舞園「は、はい! わたし、"いつも"あれを頼むんですよー」
コトダマ『期間限定メニュー』
苗木「それは違うよ!!!」
舞園「ひっ」
苗木「トマトカレーは、夏期間の限定メニューだよね」
苗木「いつも頼めるメニューじゃないはずだよ」
舞園「あ、あの……ええっと、ご、ごめんなさい……」
苗木「……嘘をついたんだね」
舞園「許して……わ、私は、その……」ガクガク
苗木「……まあ、いいよ。トマトカレーを挙げたのは評価できるし」
苗木「トマトカレーに免じて、舞園さんの罪は問わない」
舞園「あ、ありがとうございます!」
苗木「じゃあ、舞園さんが本当に好きな牛丼屋はどこなの?」
舞園「う~ん。牛丼屋さん自体、あまり行かないんですけど……」
舞園「強いて言えば、なか卯ですかね」
苗木「デリャァ!!!」ズゴッ
舞園「あぐっ!」
苗木「なか卯の和風牛丼はゲロまずだよね。牛丼と呼ぶのもおこがましいレベル」
苗木「思い出しただけで、吐き気が、するよ!」ズムッ
舞園「うあっ! うぐ、ぃ、おぇぇぇぇ……」
ベチョベチョ
苗木「罪だよ。舞園さん。アレを『美味しい』と呟きながら食べることが罪なんだよ」
舞園「ちが、くっ……ま、待って、待ってぇ……」
苗木「なに?」
舞園「わ、私が……好きなのは、おや……親子丼、なんです……」
苗木「僕は親子丼が嫌いなんだ!」ベキッ
舞園「かはっ―――」
ドサッ
苗木「オラァ! オッラァ! なか卯ゥ! なか卯がぁ!」バキッ ズゴッ ドカッ
霧切「今、悲鳴が聞こえたのだけれど……ま、舞園さん!?」
苗木「こいつが、なか卯が好きなんて言うから……」
霧切「ま、舞園さ……し、死んでる……」
苗木「だってなか卯が……」
朝日奈「なになに? どうしたの……って、えええええええええええ」
大神「これは……!」
モノクマ『死体が発見されました! 一定の自由時間のあと、『学級裁判』を開きまーす!』
苗木「……なか卯が悪いんだ、なか卯が悪いんだよ」
~学級裁判~
モノクマ「つーかさ。やる気でないよね。もっと、隠れて殺してよ」
モノクマ「議論とか意味ないし、投票やっちゃう? やっちゃうの? やっちゃおうか」
モノクマ「はい。クロは苗木くんでしたー!」
苗木「これも全て、なか卯のせいだ……なか卯の陰謀なんだ! ねえ、みんな信じてよ!」
モノクマ「うるさい! ハイカラうどん好きなボクへのあてつけだな!? スペシャルなお仕置きを用意したからね!」
苗木「いやだああああああああああああああああ」
ナエギくんがクロにきまりました。おしおきをかいしします。
『なか卯の和風牛丼 1年分』
苗木「ぐああああああああああああああああああああああああああああああああ」
苗木「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ」
苗木「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」
苗木「うおわああああああああああああああああああああああああああああああ」
~END~
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