勇者「はぁ、仕方ねえな…」

魔王「やったー！　じゃあ何するー？」

勇者「知らねえよ。そんなの遊びを誘った方が決めろよ」

魔王「えーじゃあえっとね、魔物狩りしよー！」

勇者「いや、俺はいいけどお前はそれでいいのかよ」

魔王「いいのいいのー！　一緒にやろー！」

勇者「まあいいけどよ。同族殺して後悔すんなよ？」

魔王「しないよー！　だって何匹も同じのいるしー！」

勇者「子供は残酷だな」

魔王「ゆうしゃも子供の頃アリたくさんつぶしたしょー？」

勇者「それはまた別だろ。まあやったけど」

魔王「一緒だよー。私と形が違うからいいんだよー」

勇者「そんなもんか？」

魔王「そんなもんだよー」

勇者「魔物はよくわからんな」

魔王「私も人間がわかんないよー。人を殺して犯罪なんてー」

勇者「社会の違いだ。仕方ない」

魔王「そっかー。ね、それよりもあそ」

側近「魔王様！」

魔王「げっ！」

勇者「あ、側近さん。こんにちは」

側近「はい、こんにちわ。さあ魔王様、帰りますよ」

魔王「いやだー！　まだゆうしゃと遊んでないー！」

勇者「どうぞ連れ帰ってください」

魔王「ひどーい！」

勇者「いいからさっさと仕事してこいよ」

側近「では勇者様、失礼します」

魔王「いやだー!!　ゆうしゃー!!」

勇者「･･･さて、先に進むか」

魔王「ゆうしゃゆうしゃー!」

勇者「また来たのかよ。そう日にち空いてないだろ」

魔王「むー。なにー、私に会いたくないのー？」

勇者「なんで俺が向かってる先のやつが俺に会いに来るんだよ」

魔王「いいじゃんかー会いたいんだもーん」

勇者「はいはい、そうかいそうかい」

魔王「もっと喜んでよー！」

勇者「あと10年経ってから言いな」

魔王「そしたら結婚してくれるー？」

勇者「はいはい。わかったわかった」

魔王「ふっふっふ、そのセリフ忘れないでねー？」

勇者「はいはい」

魔王「やったー！　絶対だからねー！」

勇者「で、今日は何しに来たんだよ？」

魔王「聞いて聞いてー！　遂にファイアが使えるようになったんだよー！　ほらっ！」ﾎﾞｯ

勇者「おお、すごいじゃねえか。やるな」

魔王「えへへー、褒めて褒めてー！」

勇者「はいはい、偉い偉い」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

魔王「うむ、くるしゅーない」ｴﾍﾍｰ

勇者「魔王も成長してるな。俺も頑張らないとな」

魔王「次はねー、アイスストームを覚えるんだー！」

勇者「･･･なんかゲームの種類が違わねえか」

魔王「最終的にはばっ」

勇者「いや、なんとなくわかるからいい」

魔王「おぉー、ゆうしゃは博識だねー！」

勇者「いや、そうじゃないだろ」

勇者「ということはお前、魔法の練習サボってきたのか」

魔王「だってだってゆうしゃに褒めてもらいたかったんだもーん！」

勇者「褒めたろ。ほら、帰れ。また側近さんが探してるぞ」

魔王「むー。すぐ側近側近て、ゆうしゃは側近が好きなのー？」

勇者「お前よりはな」

魔王「ひどーい！　ゆうしゃひどーい！」

勇者「うるせえな」

魔王「そんなことばかり言ってたら誘惑魔法かけちゃうぞー！」

勇者「え、なに？　お前誘惑魔法使えるの？」

魔王「そうだよー！　私補助魔法は得意なんだー！　えっへん」

勇者「ほー。意外だな」

魔王「なんならかけちゃうぞー！」

勇者「いいぞ。やってみ」

魔王「うっふ〜ん」

勇者「･･･お遊戯会か？」

魔王「ちょっとー！　折角私がえっちなポーズしてるんだから反応してよー！」

勇者「下に話しかけんな。どこで覚えたんだそんなの」

魔王「お城の書庫ー！」

勇者「･･･もっと手の届かない場所に置いとけよ」

魔王「どうだったー？　私ののうさつポーズはー！」

勇者「とりあえず俺がロリコンじゃないのはわかった」

魔王「むー」

勇者「だから10年待ってろつってるだろ」

魔王「え、ホント!?　ホントにホント!?」

側近「はい、魔王様みっけ。連行します」

勇者「お疲れ様です」

魔王「え、ちょっと、側近待ってー！　ゆうしゃホントにホントー？」

勇者「じゃあなー」

魔王「ちょっとゆうしゃー!?　ゆうしゃってばー！　ゆうしゃー！」

勇者「さて、進むか」

魔王「ゆうしゃゆうしゃー！」

勇者「なんだよ、また来たのかよ」

魔王「あれー？　今日は血まみれだねー？」

勇者「あぁ。ちょっと返り血貰っちまってな」

魔王「ゆうしゃばっちー！」

勇者「うるせえよ。仕方ねえだろ。ていうか子供なら子供らしく血に驚けよ」

魔王「私まおうだよー？　見慣れちゃったよー」

勇者「･･･まぁ確かに」

魔王「それより今日はなにするー？」

勇者「とりあえず俺は水浴びでもしてくるよ」

魔王「私も浴びるー！」

勇者「捕まるからやめろ」

魔王「えーなんでー？」

勇者「少女誘拐半だと思われるから」

魔王「愛さえあればいいんだよ！」

勇者「よくねえよ。世間的に」

魔王「ていうかゆうしゃが捕まるわけないじゃーん」

勇者「いや、流石にそれはねえよ」

魔王「だってゆうしゃって人んちのもの勝手に漁って持ってても怒られないんでしょー？」

勇者「それはゲームだけだ」

魔王「でもゆうしゃが警察とか気にしてるわけないしー」

勇者「そうだけど無理。お前余計なことしそうだし」

魔王「するわけないじゃーん！　冤罪だよー！」

勇者「ちなみに何するつもりだった」

魔王「ちょっとくわえ」

勇者「はいアウトー」

魔王「いいじゃんかー！　どうせ将来するんだからー！」

勇者「勝手に決めんな。つかお前はもう書庫入るな」

魔王「えー」

勇者「いいからお前帰れよ。こんな血まみれで居たくねえんだよ」

魔王「だから一緒に」

側近「はい、魔王様。行きますよー」

勇者「お願いします」

魔王「わーもう見つかったー！」

側近「何度も何度もすいませんね。魔王様ったら言っても聞かなくて」

勇者「いえいえ。私も側近さんに会えますし役得ですよ」

側近「あらあらお上手ですね」

魔王「むー」

側近「では失礼します」

魔王「側近の何がいいのさー！　ただおっぱいでかいだけじゃんかー！　ゆうしゃー！」

勇者「･･･さて、水浴びよ」

魔王「ゆうしゃゆうしゃー！」

勇者「なんだよ。もうすぐ魔王城だろ。もうちょっと待ってろよ」

魔王「もうすぐ着くのー？　やったー！」

勇者「だから少しくらい待ってろよ」

魔王「うん、わかったよー！」

勇者「ほら、さっさといけ」

魔王「うん！　ていうか一緒にテレポートすればすぐ着くのにー」

勇者「それじゃ意味ないだろ」

魔王「確かにそうだねー！　じゃあ私は帰るよー！」

勇者「･･････今回は一人で帰るのか」

魔王「なんだよー。側近会えないのがそんなにいやかよー！」

勇者「まぁ」

魔王「もーう！　べー！　ゆうしゃのばかー！」

勇者「･･･行くか」

魔王「ゆうしゃゆうしゃー！」

勇者「おう、着いたぞ」

魔王「はははは、よくぞたどり着いたゆうしゃよ！」

勇者「それは言わなきゃいけないのか？」

魔王「まーお仕事だしねー」

勇者「いっつもはサボってたクセによく言うぜ」

魔王「まーまー。そこは目を瞑って･･･ね？」

側近「ダメですよ」

勇者「あ、側近さん」

魔王「あ、居たんだー」

側近「最初から居ましたよ」

勇者「側近さんも大変ですね。こんなのが魔王だと」

側近「本当ですよ」

魔王「むぅ。酷いよふたりともー！」

側近「あ、魔王様居たんですね」

勇者「居たのか」

魔王「なんだよーふたりしてー！」

勇者「ジョークじゃねえか」

側近「そうですよ。冗談の通じない人ですね」

魔王「もー！」

側近「さっきの仕返しですよ」

勇者「俺は側近さんの味方だし」

魔王「ゆうしゃのばかー！」

側近「それならお得意の誘惑魔法でも使ったらいかがです？」

魔王「前使ったけど効かなかったもん！」

側近「そりゃそうですよ。補助魔法は複数かけれませんから」

魔王「そうなのー？」

側近「ええ」

魔王「んー、じゃあいいや。あと10年待つかー」

勇者「なんの話だ？」

魔王「なんでもないよー！」

勇者「また悪巧みでもしてたのか？」

側近「ええ。本当に困った娘ですわ」

魔王「なんだよー！　私なにもしてないしょー！」

勇者「今までのこと思い出してみろよ」

魔王「むぅ」

側近「でもまあ、勇者様がずっとここに居てくださればそんなこともしなくなると思いますよ」

勇者「あー、まあ確かにな」

魔王「そうだよー！　だからずっとここにいてよー！」

勇者「えー？　お前と四六時中はきつい」

魔王「なんだよー！　でも側近ともずっと一緒にいれるんだぞー！」

勇者「なるほど」

魔王「こらー！」

側近「まあ私的にもここに居てくださると嬉しいですね」

勇者「側近さん･･･」

魔王「いちゃいちゃすんなー！」

勇者「･･･まあこれ以上やることもないしなー」

側近「そうですよ。私たちももうやることもありませんしね」

魔王「そーそー！　だから一緒に居ようよー！」

勇者「んー。まあいいか。戻る場所も待ってる人も誰もいないしな」

魔王「え、ホントホントー！　嘘じゃない?」

勇者「ああ、まあ、いいだろう」

魔王「側近！　やったね！　これでずっと、ずーっとゆうしゃといれるよー！」

側近「ええ。良かったですね。魔王様」

魔王「うん！　ちゃんと10年待っててよねー！」

勇者「はいはい」

魔王「側近聞いたー！　やったよー！」

側近「はいはい。これで将来はご安泰ですね」

魔王「うん！　おかえりー！　ゆうしゃー！」

勇者「･･･あぁ･･･ただいま」