ジャン「お前…本当に…頼むぞ?」
エレン「あ…あぁ…」
エレン「皆の期待に答えられるよう…俺、頑張るよ…」
ジャン「ちっ…何が頑張るよ、だ、お前のせいで何人死んだと思ってやがる…」
エレン「すまん…」
ジャン「けっ…謝ったって死んだ人は帰ってこねぇんだよ…」
エレン「…だよな…俺のせいで…俺が不甲斐ないせいでミカサや皆に迷惑かけて…」
ミカサ「そ、そんなことな…」
ジャン「ミカサは黙ってろ!」
ミカサ「あなたこそ黙って…」ゴゴゴ…
エレン「ミカサ…もういいよ…ジャンの言う通りだ…俺が全て悪い…ごめんな、頬の傷…」
ミカサ「エレン…」
エレン「…俺、もう行くよ…先輩達が待ってるし…」
ジャン「ふん…せいぜい先輩方に迷惑かけんなよ…」
エレン「…じゃあな」トボトボ
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アルミン「…ジャン、流石に今のは酷すぎるよ…」
ジャン「はぁ…?どこが酷いんだよ?」
アルミン(うわぁ…)
ジャン「だってよぉ、俺たちは、今からあいつの為に死にに行くようなもんなんだぜ?少しくらいプレッシャーかけても罰はあたらねぇよ」
アルミン(プレッシャーならいやってほど上官の方々にかけられるけどね…)
ミカサ「ジャン…あなたはエレンの気持ちを考えたことはあるの?」
ジャン「あー?あんな死にたがり野郎の気持ちなんて考えたことねーよ」
ジャン「それに、どーせエレンのやつ、相当良い待遇なんだろ?なんせ人類初めての勝利に貢献した英雄なんだからな!」
アルミン(エレンの待遇が良い?なにトチ狂ってんだこいつ…)
ジャン「その勝利の為に捨て石になってくれた人達のことなんて忘れて踏ん反り返ってるに決まってる」
アルミン(…は?)
ジャン「そう考えると、エレンなんかの為に死んでいった兵士が可哀想でよ…つい本音が出ちまってな…」
アルミン(畜生…なにも知らない癖に…)
ジャン「まったく…お前らはエレンばっかり褒めてるけどな、実際は俺たちがいなきゃエレンなんてなんにもできないんだよ!」
アルミン「…」イラッ
アルミン「…これ以上エレンを悪く言うな…僕はお前を許さないぞ…」
ジャン「ん?なにキレてんだよ」
ジャン「ちなみに、俺の言ってることは正論だからな?」
ミカサ「ジャン…あなたは世界中の人達に虐げられながらも理不尽に期待される人の気持ちはわかる?」
ミカサ「私にはわからない…わかるのは、きっと…気が狂いそうになるほど辛いってことだけ…」
ミカサ「あなたの無責任な一言でエレンが壊れてしまったら…私はあなたを絶対許さない…!!」
ジャン「おいミカサ、それエレンのことか?お前はエレン関係のことになると本当大袈裟だよな」
ジャン「いつまでもエレンを甘やかしんでじゃねーよ」
ジャン「お前からもガツンと言ってやれ、頬の傷まだ治らないんだろ?」
ライナー「いい加減黙りやがれよ !」バンッ!
ジャン「うおっ…ライナー、お前いつからいたんだよ…」
ライナー「最初からだ…役割は違えどあいつも立派な戦士…最後になるかもしれないから挨拶しとこうと思ってきてみたが…」
アルミン(ライナー…)
ジャン「はっ…てめーもエレンの肩を持つのかよ」
ライナー「だから黙れって言ってんだよ!これ以上俺の前でエレンを侮辱してみろ!マジでぶん殴ってやるぞ!!」
ジャン「あぁん!?やれるもんならやってみよろ!! 」
ライナー「てめぇ!!」
アルミン「やめるんだライナー!暴力を振るうということは、ライナーもジャンも同レベルに落ちてしまうということになるぞ!!」
ライナー「くっ…だがよ…!」
ベルトルト「ライナー、気持ちはわかるけど…アルミンの言う通りだよ」
ベルトルト「あのミカサが堪えてるんだ…君が頑張らないでどうする…」
ミカサ「……」グググ…
ライナー「…」
ライナー(そうだよな…1番ムカついてるのはミカサの筈だ…そのミカサが堪えてるんだ…俺がブチ切れてどうする…!!)
ジャン「おっ、なんだ?やらないのか?デカイ図体してる癖に根性ねぇやつだなぁ」
ライナー「…もういい、行くぞベルトルト…今日は俺たちにとって
大切な日だ…」
ベルトルト「ああ…絶対成功させよう…」
ライナー「当然だ…」
ジャン「なんだよあいつら…トロスト区奪還戦で友達が死んでないからあんなこと言えんだよ…」
ジャン「まったく…エレンの野郎がちんたらやってたせいでマルコが死んじまったんだぞ…クソッタレ…」
アルミン「…まさかマルコの死をエレンになすりつける気かい?」
ジャン「なすりつけるも何もマルコやその他大勢の兵士が死んだのはあいつのせいだろ?」
ジャン「俺は見たぞ!あいつの巨人が巨大岩の前で寝ている姿をよ!」
ジャン「あいつが寝てる間に何人の兵士が死んだと思う? きっとマルコもそのうちの1人だぜ! 他の奴らはな、英雄とか救世主とか呼んでるけどな、俺から言わせたら普通の巨人と大差な… 」
ミカサ「エレンは人間!!」
ジャン「お、おい…いきなり大きな声あげんなよ…」
ミカサ「あなたは今、絶対に言ってはならないことを言ってしまいそうになった」
ミカサ「エレンは人間…巨人ではない…」
ジャン「けっ…今のエレンは怪我しても巨人みてーにすぐ再生するらしいぜ?まるでバケモンじゃねーか」
ミカサ「そういう問題じゃない!」
ミカサ「確かにエレンの身体は普通の人間ではないかも知れない…!」
ミカサ「だけど、私たちと同じで悲しければ泣く、楽しければ笑う、怪我をしたら痛い!」
ミカサ「エレンはちゃんとした人間」
ミカサ「巨人でもバケモンでもない!!」
アルミン「そうだよ…」
アルミン「たとえ巨人の肉体を持っていたとしても、エレンはエレンだ、シガンシナで僕の話をマトモに聞いてくれた初めての友達なんだ!」
ミカサ「うん…私に帰るべき場所をくれた…あの頃のエレンとなに一つ変わってない…」
ジャン「…勝手に言ってろ、俺はエレンを許さないからな…!あいつが泣いて謝ってもマルコは帰ってこないんだ」
アルミン「ジャン、君こそエレンに謝るべきだ」
ミカサ「身体の傷はすぐに治ったとしても…心の傷は治らない…ジャン、お願いだからエレンに謝って…」
ジャン「誰があんなやつに謝るかよ!」
アルミン「…ッ! ジャン…」
ミカサ「アルミン、もういい…そろそろ時間、配置に着こう…」
アルミン「…そうだね、今回の作戦はエレンの生死がかかった大切な作戦だ…絶対に失敗はできない…」
ミカサ「うん…こんなところで熱くなってる場合じゃない…エレンの為にも…私は負けない…!」
ジャン「エレンエレンうるせぇな…まぁ一種の病気みたいなもんか」
ジャン「それじゃあな、俺も陣形に戻ってるぜ」
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【巨大樹の森】
エレン(オルオさん…グンタさん…エルドさん…ペトラさん…すみません…)
エレン(俺…選択を間違えました…)
ジャン『ふん…せいぜい先輩方に迷惑かけんなよ…』
エレン(…)
エレン(また俺のせいで…助かるはずの命を…)
エレン(マルコ…ごめんな…)
ジャン『けっ…謝ったって死んだ人は帰ってこねぇんだよ…』
エレン(…)
エレン(俺は…バケモンだ…1番大切な家族を傷つけてしまっても何も覚えていない…何も感じていない…)
エレン(1番大好きな筈なのに…)
ジャン『お前…本当に…頼むぞ?』
エレン(悪いな…ジャン…どうやら俺には荷が重かったようだ…)
エレン(だけど…こいつだけは…先輩達を殺したこの巨人だけは…)
エレン「絶対に俺が殺す!!」
エレン「たとえ本物の、バケモンになったとしても…!!」
…ガリッ!
完
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