アニ「三丁目、貴方の家」(32)
※進撃中ベース、捏造している設定が多々あり、ヤンデレ、メンヘラ苦手及び定義に拘る人はそっとじ推奨、エロとホモはない
元ネタがあります気になる奴はスレタイでggr
アニ「……なにやってんだ、私は」
アニ(用事があって職員室に寄っただけなのに)
アニ(4組の連絡網……チーハン野郎の電話番号が載ってる)
アニ「盗んでしまった、生徒会役員なのに」ガクガク
アニ(だ、だって仕方ないじゃないか! あんな無防備に放り出してあったし、たくさんあったから一枚くらい!)
アニ(そうだよ、バレるわけがない。多めに刷ってるだろうし、仮に足りなくても枚数指定ミスしたとしか考えないはずだ)
アニ(つまり私は、胸を張って堂々としていればいい!)
アニ「……電話、かけてみようか」
アニ「…………」ドキドキ
エレン『もしもし?』
アニ(で、出た! あいつの声だ!)
エレン『? もしもし?』
アニ(どどどどどうしよう!? これ名前言っちゃってもいいの? でも何で電話番号知ってるんだって言われたら……)
エレン『あのー、聞こえてます?』
アニ(というか何で用もないのに電話かけるんだ?って話になるじゃないか!)
エレン『……悪戯ですか?』
アニ(……答えは『沈黙』! ただ黙ってやりすご)
エレン『切りますよ!』
アニ「あ、切られた」
アニ「……ちょっと怒ってた」
アニ「…………」
アニ「…………」
アニ「…………」
アニ「でも」
アニ「こんな時間に声聞けるなんて……」
アニ「……なんか、イイ」
アニ「…………」
アニ「…………」
アニ「…………」
アニ「……ふふふ」
エレン『……もしもし?』
アニ(あいつだ。最近両親が出ること多くなったから、久しぶりだ)
エレン『もしもーし? ……チッ、またか』
アニ(今この瞬間は二人だけ。二人だけの時間)
エレン『あのなぁ! 何のつもりかしらねーけど、何回も無言電話かけてくるんじゃねえよ!』
アニ「63」
エレン『……え?』
アニ「63回目」
エレン『ひっ! き、気持ち悪いんだよ、お前!』
アニ「切られた」
アニ「気持ち悪いって、何さ。電話かけた回数くらい覚えておくのは当然だろ?」
アニ「……これはオシオキが必要だね」
エレン「最近やっと親父たちが家の電話番号変えてくれてさ、これで無言電話に悩まされなくて済むぜ」
ミカサ「……誰が一体エレンにそんなことを」ギリッ
アニ(ちっ。通じなくなったのはそのせいか)
アルミン「エレンが狙われてたの?」
エレン「俺が出たときだけあっちが切らないんだよ。母さんか父さんだったらすぐ切られるらしい」
アルミン「それは狙われてるね……でもエレン、狙われるような心当たりは?」
アニ「エレン、チーハンいるかい?」
エレン「え!? いいのか!?」
アルミン「き、聞いてよぉ……」
ミカサ「私には、ある」
アルミン「え?」
ミカサ「一人だけ、心当たりがある」ギロッ
アニ「……? 私? 私がなんでこいつに無言電話なんかするんだい?」
エレン「そうだぞ、ミカサ。そもそも電話しなくても昼飯のときアニとはしょっちゅう会ってるじゃん」
ミカサ「それとこれとは話が別! こいつに決まってる!」
アニ「はあ……決め付けるのはやめてくれない? そもそもクラスが違うんだ、連絡網もないからこいつの電話番号も知らない」
エレン「それに俺、アニに電話番号教えてねーし」
アニ「ほら、ね。どうだい、アルミン」
アルミン「う、うん。アニだって決め付ける理由はないかな……」
ミカサ「くっ……! しかしこの雌狐以外に可能性がない!」
アニ「あんたね、いい加減迷惑だよ」
ミカサ「なら出て行けばいい。元々私たち三人で食べていた。貴女が勝手に入ってきた」
アニ「なんで私が出て行かなきゃいけないんだ?」
アルミン「や、やめようよ! 二人とも!」
エレン「そうだぞ、飯時に喧嘩すんなよ」
ミカサ「何故エレンはこいつの味方をするの!?」
エレン「何でってアニは別に怪しくないだろ? 俺が犯人だったらまともに会える相手に無言電話とか出来ねえよ」
アルミン「た、たしかに普段まともに会って話せる相手に、ってのはちょっと考えられないかな」
アニ「そういうことだよ」
ミカサ「くっ!」
エレン「それに俺は、これは巨人の仕業だと思ってるんだ!」
アニ「またその病気? あんたもちょっとは控えなよ」
エレン「病気じゃねえよ! 可能性はゼロじゃないだろ!」
ミカサ「……確かに巨人なら、可能性はないこともない」
エレン「だろ!?」
アニ(……ふーん)
アニ「ねえ、無言電話が掛かってきて、今は番号を変えたんだよね?」
エレン「そう言ってるだろ?」
アニ「なら、さ。それってまるでストーカー被害に遭ってるみたいじゃないか」
ミカサ「」ガタッ
アルミン「座ろう、ミカサ!」
アニ「電話が繋がらないとなったら、今度は家の周りをウロウロとかしだすんじゃないか?」
エレン「え!?」
アニ「電話番号を変えたばかりなら相手は知る手段はないわけだし、そうなってもおかしくないと思うよ」
ミカサ「エレン! 今すぐ警察に電話するべき!」
エレン「そんな大事に出来るわけないだろ!」
アルミン「でもアニの言うことも一理あるよ。何かあるかもしれない」
アニ「あんた、落ち着きなよ」
ミカサ「貴女に言われたくない!」
アニ「落ち着きなって。警察が何もないのに動くわけないだろ? だから重要なのは現場を押さえることだ」
エレン「というと?」
アニ「本当に家の周りに怪しい人物が現れるなら、通報しても構わないじゃないか」
アルミン「そっか! エレンの家の周りを見張るんだね!」
アニ「ああ。と言っても、あんたが近所をウロウロしても駄目だよ。危険なストーカー……それこそ偏愛の巨人なんかが相手だったら、あんたは易々と拉致されかねない」
エレン「お、俺がそんな簡単に捕まるわけないだろ!?」
アニ「絶対に捕まらないって保障はないだろ? あんたはなるべく家で大人しくするか、行動するにしても誰かと一緒に動きな」
ミカサ「貴女、何を企んでるの?」
アニ「企んでるって何さ。一応心配してるんだよ。まあ、仲は良くないにしろ、知った顔だからね」
エレン「そうだぞ。こんなに色々アドバイスくれるのに企んでるってなんだよ!」
ミカサ「うっ……ごめん」
アニ「いいよ。あんたのそれも、病気みたいなもんだと思ってるからね」
アルミン「でも見張るって言っても、四六時中見張るわけにはいかないんじゃないかな」
アニ「四六時中見張らなくていいよ。こいつの家の近くをたまに通ってやって、怪しい奴が居ないか注意すればいい」
アニ「無言電話掛けてくる奴が本当にこいつ狙いなら、こいつが居ない時間は居ないだろうしね」
エレン「おお……! すげえな! 絶対そいつ捕まえれるような気がしてきたぞ!」
アルミン「うん、そうだね。すごいよ、アニ」
ミカサ「……悔しいけど、貴女の言っていることは正しい」
アニ「よしてよ。別に褒められたくてやってるわけじゃないんだから」
アニ「あ、それからここまで話に関わっちゃったし、本当に何とかするならそれなりに人手も要ると思うし」
アニ「あんたの住所、教えてよ」
.
エレン「ここだよ。覚えやすいだろ?」
アニ「そうだね。川の側だし」
エレン「ああ。川を突き当たって、右に曲がったところの赤い屋根の家だ」
アニ「三丁目、なんだね」
エレン「おう。っていうかお前、家の方向はどっちなんだ?」
アニ「学校出るところから反対方向だよ」
エレン「えぇ!? じゃあ駄目じゃんか!」
アニ「そうでもないよ。向こうにはコンビニとか本屋があるだろ? そこはたまに行くからさ」
エレン「あ、そっか。でもコンビニって反対側にもあるんじゃないのか?」
アニ「コンビニには限定商品ってものがあるんだよ。あとパスタはあっちのコンビニのほうが美味しい」
エレン「へぇ……なんか、女の子って感じだな」
アニ「なんだい、それ」
アニ(まさか住所を教えてもらうどころか、家にまで招待されるとはね)
アニ(それにミカサとアルミンが他の用事で付いて来れないなんて……)
アニ(これで家の人さえ居なかったら……)
アニ(……ふふふ)
カルラ「あら、おかえりエレン」
エレン「ただいま、母さん」
アニ(まあ、そんなに甘くないか)
カルラ「そちらの女の子は?」
アニ「アニ・レオンハートと言います。エレン君とは、仲良く、させてもらってます」
カルラ「あら、そうなの? ……ミカサちゃんといい、うちの息子も中々隅に置けないわねぇ」ニヤニヤ
エレン「? 何言ってんだよ。二階でゲームするから後でお菓子とジュース持ってきてくれよな!」
アニ(ここが、エレンの部屋……)
エレン「マリカしようぜ! 出来るだろ?」
アニ「出来るよ」
エレン「うしっ! じゃあ勝負だ!」
アニ「勝負ってことは、何か賭ける?」
エレン「ん? んー……そうだな」
アニ(負けたほうが言うこと聞く負けたほうが言うこと聞く負けたほうが言うこと聞く負けたほうが言うこと聞く)
エレン「あ、母さんが菓子も持ってきてくれると思うから、負けたらそれを譲るでどうだ?」
アニ「(チッ) ああ、いいよ」
エレン「よし! 行くぜー!」
アニ「……よわっ」
エレン「う、うるせー! ていうかお前強すぎるんだよ!」
アニ「普通に走ってるだけだよ。あんたは妨害に命を賭け過ぎだ」
エレン「妨害してこそのマリカだろ!?」
アニ「結果私より遅いじゃないか」
エレン「ぐっ……」
アニ「あ、勝ったときの条件だけど、あれ変更してくれない?」
エレン「え?」
アニ「あんまりお菓子食べ過ぎるのもね……、ちょっと疲れたから肩でも揉んでよ」
エレン「んー、まあ負けたし仕方ないか。ほら、肩出せよ」
アニ「頼むよ」
アニ(エレンが私の肩を揉んでる)
アニ(これはもう結婚するしかないね、触られてるんだし)
アニ(まあ、電話番号を勝手に変えたのはこれで許してあげるよ)
アニ「あ、そうだ。あんたの電話番号教えてよ」
エレン「え? なんで?」
アニ「なんでって、もしあんたの家の近くで怪しい奴見かけたときどうやってあんたに連絡するのさ」
エレン「あ、そっか。俺携帯持ってないから家の電話番号でもいいか」
アニ「それでいいよ。あ、でも携帯買ったら真っ先に教えなよ? さすがにあんたの親に何度も挨拶するのは恥ずかしいしさ」
エレン「おう。あー、でもいつ買ってくれるかなー」
アニ(よし、ここまでは順調)
ミカサ「エレンッ! 何もされてない!?」
エレン「な、なんだよ! いきなりくんなよ、ビックリするだろ!」
アニ(残念だね。私の目的は大体達したよ)
エレン「じゃあまた明日な」
アニ「ああ」
ミカサ「迎えに来るから」
アルミン「ばいばい、エレン」
ミカサ「……貴女は本当にストーカーじゃないの?」
アニ「またその話? いい加減鬱陶しいんだけど」
ミカサ「重要なこと。貴女がエレンに危害を加えるつもりなら、私は容赦しない」
アニ「はぁ……あんたに疑われっぱなしなのが癪に障るから協力したんだけど?」
ミカサ「……どういうこと?」
アルミン「ミカサがアニを疑いすぎるから、疑いを晴らす為に協力したってことじゃない?」
アルミン「だってアニの提案は、アニがストーカーだったとしたら、アニ自身の首を絞めてるじゃないか」
アニ「そうだよ。あんたたちが定期的にこの家の周囲をウロウロするんだったら、ストーカーにとっては不利だろう?」
ミカサ「……そう、だけど」
アニ「信じれないならいいけどさ、一方的に悪者にされるって気分が悪いものだよ」
ミカサ「……私が悪い。ごめんなさい。エレンの助けになってくれてありがとう」
アニ「いいって。別に自分のためでもあるし」
ミカサ「!? やっぱりこいつ!」
アルミン「み、ミカサ! いい加減にしようよ! アニも変な事言わないで!」
アニ「ふん」
ミカサ「」ギリッ
アルミン「はぁ……って! 真っ暗じゃないか!? ど、どうしようミカサ!」
ミカサ「……大丈夫、私が連れて帰る」
アルミン「ご、ごめんね……」
アニ「……じゃあ、ここでお別れだね」
ミカサ「何処に行くの?」
アニ「何処って、あっちにある書店だよ。こっちに来たついでに寄ろうと思って」
アルミン「えぇ? 遅くなるんじゃない?」
アニ「大丈夫だよ。このあたりに、お父さんが勤めてる場所があるんだ。いざとなったら迎えにきてもらうよ」
アルミン「そっか、なら安心だね。じゃあまた明日ね」
ミカサ「……本当?」
アニ「本当だよ。それよりあんたらもさっさと帰ったら? 家は近いにしても、あんまり遅くなると心配するだろ」
ミカサ「……さようなら」
アニ(さて、今日はミカサに警戒されるだろうし、控えたほうがいいね)
アニ(焦ることはない。家の場所も、電話番号も、信頼も得た)
アニ(ゆっくり、ゆっくり、ね)
アニ(あれから一ヶ月、相変わらずエレンは巨人バカでチーハン野郎だ)
アニ(私は放課後の新習慣として、毎日エレンの家付近をウロウロしていた)
アニ(家に帰宅するのは部活次第でマチマチだけど、部屋の電気がつくのは午後八時)
アニ(電気が消えるのは午後十時。大分早く寝ている)
アニ(土日の前は十二時近いときもある。一度だけ二時か三時まで電気が点いていた)
アニ(電話はさすがに控えているけど、問題ない。家族の団欒が聞こえてくると、私もその中に混じっている気がしてくる)
アニ(ミカサには何度か遭遇しかけたけど、うまく避けれている。アルミンは読みどおり夜中には中々出てこない)
アニ(それから一度だけ、コンビニ行くエレンに遭遇することも出来た)
アニ(その時は二人きりで一時間以上話せた。これはもう付き合ってると言っても過言ではない)
アニ(ああ、もう私の中じゃここに住んでるかのようだ)
アニ(二ヶ月経った)
アニ(エレン・イェーガー。十五歳。170cm、63kg、好きな食べ物はチーズハンバーグ、嫌いなものは巨人)
アニ(好きな女の子のタイプはよくわからない。まったく、まだまだガキだね)
アニ(お義父さんは街医者。それなりに繁盛しており、地元では有名だ)
アニ(お義母さんは専業主婦。幸いなことに、モテる息子を誇ってはいるが特定の女子を優遇していることはない)
アニ(ご飯は好きなものから食べる、嫌いなものは最後に食べる、ご飯は基本お茶碗二杯、お風呂では上の服から脱ぐ、頭から洗う、湯船には身体を洗ってから浸かる)
アニ(風呂上りは牛乳をかかさない、耳掃除は綿棒派、部屋は主に勉強かゲーム、テレビはリビングでしか見れない、部屋の時計は電池が切れたまま何ヶ月も放置されてる)
アニ(寝癖は水で濡らして直している、朝歯はご飯を食べる前に磨く、朝ご飯を食べてから学生服に着替える、靴は右から履く、鞄は右肩にかける、多少の雨なら傘は差さない)
アニ(まあ、二ヶ月でこれだけエレンについて知れた。上出来じゃないか)
アニ(それなのに、エレンはまだ私の好意に気付かない。ああ、もどかしいね、まったく)
アニ(三ヶ月目)
アニ(今月からちょっと大胆に動いてみた。正直、見るだけじゃ限界が近い)
アニ(とりあえずエレンの下着は一枚拝借した。切った爪も、落ちてる髪も徐々に貯まってきた)
アニ(舐めていない筆記用具はもうないし、歯ブラシはアイツの使用済みのものを愛用している)
アニ(一度だけ逃げ損ねて、ベッドの下で一夜を過ごした)
アニ(それ以来、それがクセになって三日に一回はエレンのベッドの下で過ごしている)
アニ(あれ? でも昨日も、その前もベッドの下にいたような? まあいいかよくわからないや)
アニ(あいつの匂いならどんなに人が居ても嗅ぎ分けられる自信がある)
アニ(でも、これだけ想っても尽くしても、あいつは気付かない)
アニ(信じられないほど、鈍感だね。いつまでもこうしてるわけにはいかないし)
アニ「四ヶ月目だ」
アニ「だからさ、もう限界なんだよ」
アニ「見てるよ、いつも」
アニ「知ってるよ、何でも」
アニ「……? 何を怖がってるんだい? 怖がらないでよ」
アニ「好きなだけ、近付きたいだけ、愛してるだけ」
アニ「気付いてよ」
アニ「ね?」
おわり
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません