エレン「ブテナロック」(11)

その日、人類は思い出した。
奴らに支配されていた恐怖を。
指のまたが痒くなる屈辱を。

キース「総員ブテナロック用意!」

「目標は右脚だ!必ず治し、我々人類最初の治療例とする!」

エルヴィン「目標接近」

キース「訓練通り5つに別れろ。親指は我々は引き受ける。全攻撃班、殺菌消毒に移れ」

キース「五本の指に同時にかけるぞ」

モーゼス「ブテナロックの力を思いしれ!」

#1『二千年後の足へ』

エレン「あれミカサ?」

ミカサ「そろそろ帰ろう」

エレン「あれ?なんでここに?」

ミカサ「そんなに寝ぼけるまで熟睡してたの?」

エレン「いや、なんかすっげぇ臭い足を嗅いでた気がするんだけど…」

エレン「何だったけ?思い出せないな」

ミカサ「エレン、どうして掻いてるの?」

−−

司教「きけ、靴下は神の英知によって作られた。何人たりとも靴下を破いてはならない。」

エレン「言うなよ誰にも、俺が足掻いてたとか」

ミカサ「でも、理由もなく足が痒くなるなんて、一回おじさんにみてもらったほうがいいんじゃないの?」


ハンネス「何掻いてんだエレン?水虫にでもなったのか?」

エレン「は、なんで俺が掻く、てか、足臭!」

エレン「また掻いてる…」

ハンネス「お前らも一緒にどうだ?」

エレン「え、仕事は?」

ハンネス「今日は乾燥だ、一日中ここにいるわけだけだから、やがて痒くなり、足を掻く。足が痒いのは些細な問題に過ぎない、」

エレン「そんなんでいざって時大丈夫なのかよ」


ハンネス「いざって時ってなんだ?」

エレン「奴らが靴下を破って足に着いた時だよ」

ハンネス「おいエレン大声出すなよ…」

モブ「元気がいいな医者のせがれ」
「奴らが俺達の足に着いたら、そりゃしっかりやるさ。しかしなそんなこと100年間で一度もないんだぜ。」

エレン「でも、そうやって安心してる時が一番危ないってとうさんが言ってたんだ。」

ハンネス「イェーガー先生か…まぁ確かになぁ、前に先生が流行り病からこの街を救ってくれた。先生には頭があがんない。でも、それと奴らは別だよ。洗濯をすれば、靴下の菌の研究とかで奴らを見ることがあるんだけど、奴らにこの抗菌消臭の靴下をどうこう出来るとは思わねぇんだ。」

エレン「じゃ、じゃあそもそも奴らと戦う覚悟なんてねぇんだな。」

ハンネス「ないな」

エレン「何だよ。もう洗濯団なんてやめて、足臭水虫団にしろよ」

ハンネス「へへ、そいつも悪くねぇな。しかしなエレン、ブテナロックが活躍するって事はそれこそ最悪な時だ。俺達がただ飯ぐらいのブテナロック野郎だってバカにされてる時がみんなは平安に暮らせんだぞ。」

エレン「一生はだしで走りまわれなくても靴下はいて洗濯すれば生きていけるよ。でもそれじゃあまるで鬼畜じゃねぇか」

モブB「子供が勇ましいこった」

モブC「何も出来やしねぇ癖にな、ハンネス。」

ハンネス「あ、ああ」
「おいエレン」

モブ「へっ、おかしな奴め」

ハンネス「もしかしてあいつ、調査菌団に入りたいのか?」

てすと

−−


ミカサ「エレン、調査菌団はやめた方がいい。」

エレン「なんだよ、お前まで調査菌団をバカにするのか」

ミカサ「バカにするとかそういうんじゃない」


エレン「調査菌団が帰って来たんだ。正面の門が開くぞ、行くぞミカサ、理系の人の凱旋だ。」


−−

町人A「これだけしか除菌出来なかったのか、みんな水虫になっちまったんだろ」

町人B「わざわざ靴下を脱ぐからこうなるんだ」

モーゼスの母「息子が、モーゼスが見当たらないのですが、息子は何処でしょうか?」

キース「モーゼスの母親だ。連れて来い」

モーゼスの母「え…」クサッ

モーゼス「」プーン

キース「これだけしか除菌できませんでしたっ。ただ私が水虫なばかりにただいたずらに菌を広げ、白癬菌の出処を突き止める事ができませんでしたっ。」




町人C「くせー足だな」

町人D「全くだ。これじゃあ、俺らの税で白癬菌を飼ってるようなもんだ。」

−−−
エレン「ただいま」

カルラ「おかえりなさい」
「あら、エレン珍しくサンダルじゃない?」

エレン「…ああ」
「何だよ?」

カルラ「足が臭かった、足が蒸れている証拠。後で足洗ってきなさい。」

エレン「あれ、父さん出掛けるの?仕事?」

グリシャ「ああ、内地に診療だ。」

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