淡「タカミと二人っきりで」尭深「…遠征」 (110)

前作「淡「タカミー、なに見てるの?」尭深「…牌譜」」
です。需要も書き溜めもなく同じノリです。気をつけてください

淡「楽しみだなー」ワクワク

尭深「淡ちゃんはリアルタイムで見たことないもんね」

淡「うん。録画ばっかり!」

尭深「…生はいいよ」

尭深「生きてる実感が沸く」

淡「うわーもう待ちきれないよー!」

尭深「こら、遊びに行くわけじゃないんだよ」

淡「分かってるって」

尭深「淡ちゃんにはもっと知って欲しいんだ」

尭深「世界が広いってこと」

淡「タカミ…」

尭深「…じゃあ、行こうか」

淡「うん!」

尭深・淡「「トイレを覗きに!」」

.



??「待て!」



淡・尭深「「!?」」



??「私も連れて行ってほしい」




.

淡「なにやってんの…スミレ」

尭深「……」

菫「…私も連れてけと言っているんだ」

淡「いやだよー!タカミと二人っきりで行くんだもん!」

菫「二人っきりだからいけないんだ」

淡「はぁ?なんで?」

菫「前回、亦野がやめてしまっただろう…?」

淡「う…」

淡「セーコにはまだ、理解できなかったんだよ…」

菫「ツッコミ役がいないじゃないか!」

淡「…は?」

菫「常識人枠無しにお前らがきちんと話を進められるのか…?」

淡「はぁ…」

菫「このSSSSSS(白糸台SSをスムーズに進行する使命を持って生まれてきた菫)としては放っておけん!」

淡「…タカミー、スミレがなに言ってるかよく分かんない…」

尭深「…えっと、紹介するね」

尭深「普段、隠しカメラの設置や録画映像の管理を手伝ってくれてる菫先輩です」

淡「……………………は?」

菫「…尭深、それは内緒だと」

尭深「先に勝手なことしたのは菫先輩ですよ?」

淡「え?え?ちょっと待って。だってタカミ、誰にも言えないって…」

菫「バレてしまってはしょうがないな…」

菫「私はずっと尭深の右腕(意味深)として働いてきたんだぞ」

淡「タカミ、本当なの…?」

尭深「うん。私の右腕(意味深)が忙しいときにね」

淡「そんな…」

菫「…それなのに、どうして今回の遠征で私を連れて行かないんだ!」

尭深「…淡ちゃんに、覗きのノウハウを覚えてほしくて」

菫「それは、私がいてもで教えられるだろう!」

尭深「あなたは、一人で全部やってしまうでしょう?」

菫「そんなこと…!」

尭深「それじゃ淡ちゃんのためにならないの」

菫「しかし、まだ経験不足では…」

尭深「私、淡ちゃんには期待してるの…」

淡「!!」

尭深「もし、なにかあったら私が責任を取るから」

菫「……」

尭深「それに、あなたまで付いてきてしまったら白糸台のトイレの監視は誰がするの?」

菫「!!」

尭深「淡ちゃんに期待してるように、あなたにも期待してるのよ?」

菫「……分かった」

尭深「ふふ、いい子ね」

菫「…淡」

淡「なに?」

菫「尭深に迷惑をかけるなよ」

淡「…分かった」

尭深「…それじゃあ、行ってきます」

菫「あぁ」

〜移動中〜


淡「…タカミ、私に期待してるってほんと?」

尭深「うん」

淡「…どうして?」

尭深「淡ちゃんは私の一番の理解者になってくれる。そう思うの」

淡「…大袈裟だよ」

尭深「そんなことないよ」

淡「そんなことある!」

尭深「…どうしたの?」

淡「私…さっきまではそう思ってた。タカミのことを一番分かってるのは私だー!って」

尭深「うん…」

淡「でも、スミレの話聞いて、分かんなくなっちゃった…」

尭深「淡ちゃん…」

淡「私には全然タカミが分からないよ…」

尭深「…淡ちゃん」ペタッ

淡「ひゃっ!?」

尭深「…ここになにがあるか分かる?」

淡「ん…分かんない…」

尭深「…私のも触って」

淡「う、うん…」ソロー

尭深「んっ…///」

淡「あっ…」

尭深「あったかい…でしょ?」

淡「うん…」

尭深「無理に頭で考えなくてもいいの」

淡「……」

尭深「きっと子宮が導いてくれるよ」

淡「タカミ…」

尭深「ほら、こんなにあったかい」

淡「うん」

尭深「今はそれだけで、充分」

淡「……」

尭深「…ね?」

淡「…うん」

尭深「…そろそろ着くよ」

淡「えっ、もう?」

淡(なんか時間があっという間…)

尭深「忘れ物はない?」

淡「うん!カメラも備品もバッチリだよ!」

尭深「…ふふ。私ここにくるの初めて」

淡「私も!」

尭深「一緒だね」

淡「うん!」

尭深「さあ、着いたよ」

淡・尭深「長野!」

------------------------------
-------------------



淡(宿に着いたらさっそくタカミと隠しカメラの設置をした)

淡(タカミの手つきはすごくなめらかで、いつもやっているんだろうなという積み重ねを感じた)

淡(タカミが過ごしてきた今までのこと、やっぱり私にはまだ分からないけど)

淡(もうくよくよ悩んだりしないんだ!)

淡(私たちにはこの今があるのだから)

淡「それにしても、旅館なのにトイレが屋外にあるってすごいね」

尭深「旅館って言っても学生向けの安いところだから」

淡「でも東京じゃ考えられないよー!」

尭深「そうだね。屋外はカメラの設置がしやすいから、東京もそうして欲しいんだけど」

淡「えー絶対やだ!」

尭深「…覗かれるのも楽しいよ?」

淡「そっちじゃないよ!冬は寒いし夏は暑いじゃん!」

尭深「あぁ、たしかに」

淡「でしょ?」

尭深「でも、屋外は屋外のいいところがあるよ」

淡「えーカメラの設置がしやすいだけでしょ?」

尭深「例えば、ほら」

淡「おー繋がった!」

尭深「こんなに月が綺麗」

淡「…本当だ」

尭深「でしょ?」

淡「てか、このカメラ動かせるんだ!」

尭深「うん180°くらいは」

淡「ハイテクじゃん!」

尭深「こういうものはきちんとお金をかけないとね」

淡「へーすごいね。ねぇそのお金って…」

尭深「淡ちゃん!しっ」

淡「へっ?」

尭深「さっそく誰かきたよ」ボソボソ

淡「!!」

バタン

池田「うートイレトイレ!」

池田「ふーっ間にあったし」

池田「今日は今年最後の合同合宿」

池田「試合の前にしっかりトイレに入っとかなきゃな」

バタン

尭深「……」ズズッ

淡「えっ、これだけ?」

尭深「…これが普通」

淡「えーつまんなーい」

尭深「覗きなんてそんなもの」

淡「ふーん」

尭深「特別なことはなかなか起こらない」

淡「えー」

尭深「…でも、意味の無いことなんてないよ」

尭深「もう少し待ってみて」

淡「うん…」

〜30分經過〜

尭深「……」ズズッ

淡「なにも起きないどころか誰もこないじゃん!」

尭深「覗きは基本、待ちだから」

淡「えー…」

尭深「結局、なにもない日もよくある」

淡「やっぱり私には向いてな…」

尭深「…そういうところは釣りに似てるかもしれない」

淡「あっ…」

尭深「誠子なら分かってるくれると思ったんだけどな」

淡「タ、タカミ…」

尭深「分かり合えないって悲しいよね…」

淡「大丈夫だよ!タカミには私がいるじゃん!」

尭深「ありがとう淡ちゃん…」

淡「うん!」

尭深「でも、無理しなくても…」

淡「無理なんてしてないって…あっ」

尭深「…あ」

淡「誰かきた!」

バタン

ゆみ「…モモ」

シーン



淡「えっ、なにこの人なにもない空間に話しかけてんの?電波?」

尭深「…そんな風には見えないけど」

ゆみ「モモ、いるのは分かってる。返事しろ」

桃子「…はいっす」ユラァー


尭深・淡「!?」


ゆみ「いくら周りに見えないからってトイレにまで付いてくるなと言っただろ」

桃子「……」

ゆみ「もし、誰かに気づかれたら、なんて思われるか…」

桃子「思われたいから付いてきてるんっす!」

ゆみ「…どうした?急に」

桃子「たしかに…私が見えないから都合がいいこともたくさんあったっす」

ゆみ「……」

桃子「外でイチャイチャしてもバレないし、後ろ指さされることもなかったっす…」

ゆみ「そうだな…」

桃子「でも!それは、誰も私たちの関係を知らないってことで!」

ゆみ「……」

桃子「私たちの関係を保証してくれるのはお互いだけってことなんっすよ!」

ゆみ「モモ…」

桃子「先輩…なにか証明をください…」

ゆみ「んむっ!?」

桃子「せんぱい…せんぱい…」

ゆみ「んっ…モモ…やめ…」

桃子「…ちゅ…れろっ…」

ゆみ「あっ…こら…」

桃子「せんぱい…だいすきっす…」

ゆみ「…やめろ!」

桃子「!?」ビビクン

ゆみ「…こんなことで、お前は満足なのか?」

桃子「…満足っすよ」

ゆみ「…そうか」

桃子「だから…」

ゆみ「だめだ」

桃子「なんでっすか!?」

ゆみ「…モモ、お前今日生理だろ」

桃子「っ!」

ゆみ「生理中の相手にどうこうする気はないよ」

桃子「な、んで…分かったんっすか…」

ゆみ「…私もだからだ」

桃子「あっ…」

ゆみ「ずっと、一緒にいるからな」

桃子「ならっ!なおさら!」グイッ

ゆみ「ちょっ、モモ!?」

桃子「あと…どれだけ一緒に居れるっすか…?」

ゆみ「ぅあっ…モモ…」

桃子「あと何回生理がきたら、先輩は卒業しちゃうんっすか…?」

ゆみ「あっ…んくぅ…」

桃子「私たちにはあと少ししか時間がないのに…生理なんて気にしてらんないっす…」

ゆみ「ん…んんんっ…」

桃子「先輩、せめて思い出だけでも…」

ゆみ「…んぁっ…なにを言ってるんだ…モモ…」

桃子「…愛の告白っす」

ゆみ「…んぁっ…なら私にもさせてくれ」

桃子「…?」

ゆみ「モモ、お前はなにを勘違いしてるんだ?」

桃子「勘違いなんて…」

ゆみ「卒業したら、お別れなんて誰が言ったんだ?」

桃子「でも、ずっと一緒には…」

ゆみ「そりゃ…同じ学校にはいけないけど」

桃子「同じ学校じゃなくなったらあっという間に疎遠になっちゃいますよ…」

ゆみ「そんなことないっ!」

桃子「!」

ゆみ「私は卒業してから、どうすればモモと一緒にいられるか、そればかり考えてたぞ」

桃子「先輩…」

ゆみ「モモはそうじゃなかったみたいだが…」

桃子「っ!そんなっ…」

ゆみ「…モモ。もう少し私を信用してくれよ」

桃子「…ぐすっ…」

ゆみ「あと何回とか、そんな寂しいことことを言わないでくれ」

桃子「…ううっ…せんぱいぃ…」

ゆみ「よしよし」

桃子「…ごめんなさいっ…せんぱい…」

ゆみ「うんうん。大丈夫だから」

桃子「うっ…せんぱい…」

ゆみ「まだ、なにかあるのか?」

桃子「だいすきっすぅ…」

ゆみ「うん…私もだ」

桃子「うわぁああん!」




淡「うわぁああん!」

尭深「…すごかったね」

淡「うっ…せんぱい…せんぱい…」

尭深「ほら、淡ちゃんまで泣く必要はないでしょ?」フキフキ

淡「…ありがと」

尭深「いきなりの大物だよ淡ちゃん」

淡「…うん」

尭深「…なにか今日は、すごい日になりそう」

淡「…あっ、また誰か」

尭深「!」

バタン

美穂子「ふーやっぱり上埜さんは手強いわね」

美穂子「でも、また試合ができて嬉しい」

美穂子「ふふっもう引退だって言うのにまだ麻雀をしてるなんて」

美穂子「やっぱり私は麻雀が好きなのね」

美穂子「…あら?」

美穂子「…まだ生理がこない」

美穂子「おかしいわね。もう予定日を3日も過ぎているのに…」

美穂子「…は!まさか!」

美穂子「……妊娠?」

美穂子「そんな…私、上埜さんとはきちんと籍を入れてからって…」

美穂子「いや、上埜さんみたいな人はきっかけがないとダラダラ引き伸ばすから…」

美穂子「待って私、そんな子供を言い訳に迫るなんて、はしたないわ…」

美穂子「…どうしましょう私」

美穂子「…いいえ、今は子供ができたことを単純に喜びましょう」

美穂子「ここに…新しい命が」

美穂子「ふふっ」

美穂子「女の子かしら?男の子かしら?」

美穂子「…どちらでもいいわ。優しい子に育ってくれるなら」

美穂子「〜♪」

バタン

尭深「これは…問題作」

淡「…こわいよー」ガタガタ

尭深「ホラー、恋愛、コメディ全ての要素が詰まってるのがトイレなんだよ」

淡「うぅ…夢に出てきそう」

尭深「貞子よりこわい」

淡「うぁートイレに行けなくなっちゃうー!」

尭深「…トイレを覗いたらトイレに行けなくなる…皮肉だね」

淡「そんなこと言ってる場合じゃ…あ」

尭深「また誰かきた」

淡「もーやめてー!なんでいきなりいっぱいくるのー!?」

尭深「しっ!今度は二人みたい」

バタン

透華「もうっ!トイレにまでついてこなくていいって言ってるでしょうに!」

一「ボクは透華付きのメイドだからね」

透華「さすがにトイレでまでメイドにお世話になる年ではないですわ!」

一「まぁまぁ、ボクもちょうどトイレに行こうとしてたところなんだ」

透華「そう、なら仕方ないですわね」

一「えへへ、連れションだね透華」

透華「こら、下品ですわよ。一」

一「あはは。ごめんね」

透華「…なんてことですの…」

一「ん?どうかした?」

透華「っ!一…なんでもないですわ」

一「本当に?なんでもない感じじゃない声だよ透華」

透華「なんでもないったらなんでもないですわ!」

一「…もしかして、紙がないとか?」

透華「ちちち違います!突然、生理がきて困っていただけですわ!」

一「あっ…」

透華「はっ」

一「そんなことなら早く言ってよ。ボク生理用品くらい持ち歩いてるから」

透華「う…ありがとう、一」

一「今日は衣や宮永さんたちと試合があるけど、大丈夫?」

透華「大丈夫ですわ、このくらい」

一「くれぐれもお腹は冷やさないでね。女の子なんだから」

透華「別に物理的に冷えてるわけでわないですわ!」

一「あ、それもそうか」

透華「まったくですわ」

一「でも、本当に心配してるんだ」

透華「一…」

一「無理しないでね」

透華「…ありがとう」

一「結局、ボクにお世話になっちゃったねー」

透華「情けないですわ…」

一「あはは、冗談だよ」

透華「いいえ、結局私は一人じゃなにもできない、あまちゃんなんですわ…」

一「どうしたの?透華?」

透華「私は一たちの雇い主なのに、いつも支えられてばかりで…」

一「そんなことないよ。みんな透華に感謝してるし、尊敬してる」

透華「でも…」

一「それに、雇い主とかそういうのを気にするのはやめようよ」

透華「一…」

一「ボクたちは家族でしょ?」

透華「…そうでしたわね」

一「そうだよ!」

透華「なんだか弱気になってしまいましたわ。私らしくもない」

一「そうだよ透華らしくない。生理だからじゃない?」

透華「もぅっ、一ったらおじさんみたいなことを!」

一「えへへ、ごめんごめん」

透華「さぁ、戻りますわよ」

一「うん!」

バタン

淡「うんうん。こういう爽やかなのを待ってたんだよ!」

尭深「ボクっ子…」

淡「やっぱり覗きって楽しいね!タカミ!」

尭深「…よかった」

淡「次はどんな人がくるかなー」ワクワク

尭深「…やっぱり淡ちゃん向いてるよ」

淡「…なにが?」

尭深「…なんでもない」

淡「あっ、また誰かきた!」

尭深「…やっぱりすごい」

バタン

久「和と連れションってのも珍しいわね」

和「連れションって…たまたま同じタイミングでトイレにきただけです」

久「まっ、きっとこれもなにかの縁よ」

和「トイレに縁なんてあってほしくないですね」

久「いやいや、どこにあるか分からないものよー?」

和「部長の考えにはついていけません」

久「あらあら、それは残念」

和「……」

久「〜♪」

和「…そんな…」

久「?どうしたの?和」

和「そんなオカルトありえません!!」

久「!?」

和「……」

久「ど、どうしたの?和」

和「生理がきてないんです…」

久「あら、どれくらい遅れてるの?」

和「いえ、今日くるはずでしたのに…」

久「はぁ…」

和「きてないんです!」

久「そんな…ちょっと遅れただけでしょ?」

和「いいえ、生理が遅れたことなんて一回もありません」

久「……」

和「私は体温を毎日測って独自の計算で毎月の生理日を予測してるんです」

久「すごいわね…」

和「今まで、外れたことなんで一度もないのに…」

久「で、でも…」

和「…まさか、妊娠!?」

久「!?」

和「そんな…誰の…」

久「ちょっと…」

和「…咲さん?」

久「落ち着きなさい和!」

和「!」

久「生理なんて誰でも多少遅れたり、早まったりするものよ」

和「しかし…」

久「たしかに和はとても頭がいいし、今まで予測が外れたことがなかったのかもしれない」

和「……」

久「でも、今までそうだったからって、これからも同じな保証なんてどこにもないわ」

和「…たしかに、少し冷静さを欠いていました」

久「和。あなたのデジタル麻雀はとてもすごいと私は思ってる」

和「…ありがとうございます」

久「もっと、周りのデータを取り込んだらいいのにと思うこともあるけど、そうしないことがあなたの強さなのかもしれないわ」

和「……」

久「…でも、人生はそうじゃないのよ?」

和「……」

久「もっと、柔軟に、ね?」

和「…考えておきます」

久「ふふ、頑固ね」

和「慎重なだけです!」

久「まぁ、いいわ、やっぱり今日はなにか縁があったみたい」

和「…やっぱり、部長の考えにはついていけません」

バタン

淡「ってこれ清澄じゃん!」

尭深「…驚いた」

淡「そういえば、さっき宮永がどうとか試合がどうとか…」

尭深「この人たちも麻雀部だったんだね」

淡「なんか縁を感じるねー」

尭深「…この人と同じこと言ってる」

淡「あっ…本当だ」

尭深「ふふ。面白いね」

淡「なんか恥ずかしー」

尭深「ねぇ淡ちゃん、『袖すり合うも多生の縁』って言葉、知っていますか?」

淡「え、知らない…」

尭深「袖が触れ合うだけの小さな出会いも、生まれてくる前からの運命で決まっている意味なんです」

淡「どうして急に敬語…?」

尭深「そうやって、たくさんの出会いの中でお互いが影響し合って変わっていけたら、私、とても素敵なことだと思うんです」

淡「う、うん、そうだね…」

尭深「だから、覗きをきっかけに淡ちゃんの中でなにかが起こったなら私はすごく嬉しいんだ」

淡「あ、戻った…」

尭深「ね?」

淡「う、うん…」

尭深「あっ…そんなこと言ってたら…」

淡「…サキじゃん!」

バタン

咲「うぅーもれちゃうもれちゃう!」

咲「間にあった…」

咲「今日の衣ちゃん、すごかった」

咲「満月だからかなぁ」

咲「あんなに強い人、お姉ちゃんくらいしか…あ」

咲「お姉ちゃん…」

咲「元気にしてるかなぁ」

咲「お姉ちゃんはあぁ言ってくれたけど」

咲「私には全然分かんないや」

咲「お姉ちゃんが生理になっても、私にはなにも…」

咲「……」

咲「あ、でも今日は満月だ」

咲「お姉ちゃん、満月型だからもしかしたら…」

咲「会いたいなぁ…」

咲「……」

咲「…あれ?」

咲「なんで私、お姉ちゃんが満月型って知ってるんだろ?」

バタン

淡「こーわーいー」

尭深「…これはなかなか」

淡「忘れたころにこわいのくるのやめてよー!」

尭深「これがリアルタイムのすごいところだよ」

淡「時間も遅くなってきたし!そろそろやめようよタカミ!」

尭深「えー…」

淡「本当に眠れなくなっちゃうよ!」

尭深「…分かった」

淡「次が最後だよ?」

尭深「…うん」

バタン

睦月「はぁ…疲れた」

睦月「みんな強いなぁ…」

睦月「私たちは、あの人たちを相手に戦わなきゃいけないのか…」

睦月「というか、部員も集めなくては…」

睦月「…はぁ」

睦月「私には荷が重い…」

睦月「…あ」

睦月「こんなときに、生理か…」

睦月「どうりで気分が重いわけだ」

睦月「…はは」

睦月「しかし、生理用品を持ってないな…」

睦月「どうしよう…」

睦月「……」

睦月「私なりに精一杯」キュッ

タラー

睦月「…参った」


コンコン


睦月「!?」

智美「むっきー?入ってるかー?」

睦月「ぶ、部長!?」

智美「お、やっぱりむっきーだ」

睦月「ど、どうしたんですか?」

智美「いやー急にもよおしちゃってなー。はやく出てくれよー」

睦月「っ!そ、それは…」

智美「なーんて、冗談だよ」

睦月「…?」

智美「むっきー、なにか悩んでるんじゃないか?」

睦月「!!」

智美「例えば、そうだなー」

睦月「…?」

智美「今、生理用品がなくて困ってるとか」

睦月「!!なんで…それを?」

智美「ワハハー私の鼻をなめるなよー」

睦月「そんな…ことまで」

智美「鼻だけじゃないぞー、みんなのことをちゃーんと見てるんだぞー」

睦月「もしかして…」

智美「むっきー、自分が部長になること、不安に思ってるだろ?」

睦月「!!」

智美「まぁなー私とゆみちんという優秀な先輩がいなくなっちゃうからなー」

睦月「…なに言ってるんですか」

智美「たしかに、大変だと思うよ。佳織は初心者だし、モモはなかなか繊細だからなー。しかも見えないし」

睦月「……」

智美「でもな。むっきー」

睦月「…はい」

智美「むっきーになら大丈夫だと思うんだ」

睦月「そ、そんな…」

智美「むっきーはいろいろ器用なタイプじゃないけど」

睦月「う…」

智美「すごく真面目で一生懸命だろ?」

睦月「……」

智美「そういうのは、伝わってくるんだよ。私みたいに鼻がよくなくてもな」

睦月「…そうですかね?」

智美「そうだぞー。佳織やモモ、他の学校の生徒さんたちにもだ」

睦月「…本当ですか?」

智美「あぁ、そうだ。保証する」

睦月「…よかったー」

智美「ま、根拠はないけどな」

睦月「……え」

智美「でも、本当に重く考えるなよ。なにかあったら私たちだってサポートするから」

睦月「部長…」

智美「ワハハ。今の部長はむっきーだよ」

睦月「いえ…部長は部長です。私の尊敬する」

智美「そうかー?なんか照れちゃうなー」

睦月「…ありがとうございました。気が楽になりました」

智美「そっか。それはよかった」

智美「…ところで、なんだか私ももよおしてしまったよ。そろそろ出てくれ」

睦月「あぁ、そうですね…あ」

智美「あ、そうだそうだ。生理用品な」ポイッ

睦月「ありがとうございます…あ」

智美「…どうかしたかー?」

睦月「私、ナプキン派なんですが…」

智美「え?ありゃりゃ、そうだったかー。まぁそれしか持ってないから我慢してくれー」

睦月「…はい」

智美「いやー最後の最後でカッコがつかないなーワハハ」

睦月「くすっ…でもそういうところが部長らしいです」

智美「なんだー?それはほめてるのかー?けなしてるのかー?」

睦月「…さぁどっちでしょう?」

智美「おぉ?生意気な態度だなー」

睦月「…部長ですから」

智美「ワハハ、その調子だ」

睦月「…本当にありがとうございました」

智美「おーじゃあまた後でなー」

バタン

智美「ふー…おや?」

智美「私も生理がきてしまったようだなー」

智美「まぁいいや。もう1個タンポン持ってたし」

智美「さすが私。用意周到だなー」

智美「しかし、今日は生理のやつ多いなー」

智美「…満月だからか?」

智美「ワハハ、面白いな」

バタン

淡「最後に相応しい、いい話だったねー」

尭深「ね。今日は収穫が多かった」

淡「すごいね。やっぱり覗きって面白いや」

尭深「でしょ?でも、初めてでここまでってなかなかないよ」

淡「…そうなの?」

尭深「淡ちゃんにはなにか特別な力があるのかも」

淡「えぇー?大袈裟だよー?」

尭深「じゃあ、なにか別の…とにかく今日はすごい日だったよ」

淡「えへへ、今日はぐっすり眠れそう」

尭深「さんざんこわいって言ってたのに?」

淡「…思い出した」

淡「もータカミの馬鹿!眠れなくなっちゃうじゃん!」

尭深「…じゃあ一緒に寝ようか?」

淡「…えっ///」

尭深「私のせいなんでしょ?」

淡「そんなつもりじゃ…」

尭深「責任とるよ」

淡「…うん///」

尭深「じゃあ、おやすみ」

淡「えっ…」

淡(なにもしないの…?)

尭深「…どうかした?」

淡「…なんでもない。おやすみ、タカミ」

尭深「うん。おやすみ淡ちゃん」






尭深「あっ忘れてた」

淡「!!」

尭深「録画ボタン押しとかなくちゃ」

淡「……」




カン!

おまけ〜録画中の映像〜


衣「今日は咲やノノカたちと打てて楽しかったなー」

衣「ふふ…今宵は満月。衣の100%の力が出せたぞ」

衣「しかし、まだなにか起こりそうな」

衣「そんな気がしてくる見事な満月だ」

タラー

衣「!?これは!?」

衣「…父上から聞いたことがあるぞ」

衣「少女が大人になるとき、股間から血が流れると」

衣「つまり…衣も大人になったってことか?」

衣「わーい!みんなに報告しよう!」

衣「ふふふ…これがそうなのか…」

衣「これが、破瓜といものなんだな!」


もいっこカン!

終わりです。需要もないのに、阿知賀勢もネタが思い浮かんできたので、そのうち関西勢でまた立てます。遅くまで見てくださった方はありがとうございました!

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom