壊される前にもう一度、あの頃の部室を見ておきたいと思った
そう思って、私は廃墟になっている学校を訪れた
先輩達は今なにをしてるんだろう、いつからだったかな、連絡がとれなくなったのは…
携帯電話の画面を見る、あの頃みんなで撮った写真が今も待ち受けになっている
今はもう、会えない先輩達だけど それでも私にとって 人生で最も輝いていた 大切な思い出
階段が軋む
あの頃とは違う 湿気と埃の入り混じった独特の空気が 私の体に纏わり付く
それでもやはりあの学校だ あの頃の部室がこの階段の先にある
部室の前につくと、少し驚いた
けいおん部 と かかれた札が 今も扉にぶら下がっている
扉を開けようとした私は、思わず手を止めた
声が聞こえる、最初は気づかなかったけど、集中するとその声ははっきりと聞こえ出した
”りっちゃんが”
”ライブでー”
”澪が~”
”ゆいちゃんてばー”
おそるおそる扉を開けた私は息を呑んだ
そこにはボサボサの髪の毛に、ボロボロの制服を着た かつての先輩達がいた
あの頃で時が止まったかのように、今度の学園祭ライブについて楽しそうに意見を交わしていた
扉の前で立ち尽くす、私にも気づいてないようだ
なにこれなにこれ 怖い、逃げなきゃ、なにこれ? 夢? 思考の波に飲まれた私の足が ぐらつき ドアをけってしまった
「あ、あずにゃん」
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