エレン「おいミカサ金出せよ」(613)

ミカサ「えっ、何を言ってるの?」

ミカサ「今月のエレンのお小遣いなら3日前に渡した……」

エレン「あぁ!?」

エレン「そんなもんなぁ、パチンコヘーチョウォール・マリア南店で駆逐しちまったよ!」ガサゴソ

ミカサ「そんな……」

エレン「みーつけた」

ミカサ「!?えっと……それは今月の生活費」

ミカサ「ので……持っていかれると凄く困る」

エレン「心配すんなって!ちょっと倍にしてくるわ!」ダッ

ミカサ「あっ……エレン」

ミカサ「また内職を増やさないと……」

――夜――

エレン「チッ……上手くいかねぇもんだ」グビグビ

ミカサ「……」モグモグ

エレン「おい、酒ー」

ミカサ「もうない。最近のエレンは飲みすぎ」

エレン「あぁ!?」ドンッ

ミカサ「……少しは反省してほしい。ギャンブルなんかもうやめて」

エレン「俺の勝手だろ」

ミカサ「私のお金でもある。それにもう私達25歳……本気で人生を考えてほしい」

エレン「まだ25だろうが。人生の半分も生きてないだろ」

ミカサ「……」

エレン「……辛気クセェ」

ミカサ「誰のせい」

エレン「あーぁ、他の奴と付き合えば良かったかな」

ミカサ「!」

エレン「口うるさいし、俺の自由にさせてくれないし、なんでお前なんか選んだかな」

ミカサ「……」

エレン「なんか言えよ」

ミカサ「別に……それがエレンの本心ならもう何も言わない」

エレン「昔はエレンーエレンーとか言ってベッタリだったくせに」

ミカサ「あれから月日が流れた。そんな昔の話をされても困る」

――寝室――

ミカサ「……」

エレン「……」モゾモゾ

ミカサ「入って来ないで」

エレン「最近ヤってないから良いだろ?」

ミカサ「……嫌だ」

エレン「なんでだよ」

ミカサ「ギャンブルを辞めるって誓うなら」

エレン「……じゃあいいよ。浮気しても知らないからな」

ミカサ「もうしたくせに」

エレン「!?」

ミカサ「……したんだ」

エレン「いやいや、そんなまさか……」アセアセ

ミカサ「ベッドから出てって」

エレン「……」モゾ スタスタ

――外――

エレン「けっ、昔は自分から襲ってくるくらいだったくせに」シュボッ フーッ

エレン「だいたい浮気っても避妊はしたし生でヤらなきゃノーカウントだろ。こまけぇなぁ」

エレン「あーイライラするわ」

――寝室――

ミカサ「……っく、ぐすっ」

ミカサ「あれだけ信用してたのに……」

ミカサ「エレンの嘘つき……」

ミカサ「……うぅ」

ミカサ「こんなのやっぱり無理だよ……」

ミカサ「エレン」

――後日――

アルミン「ミカサなんかやつれてるけど大丈夫?」

ミカサ「……うん」

アルミン「なんか悩み事?」

ミカサ「なんでも無い……」

アルミン(何でも無くは見えないんだけど……。やっぱりエレン絡みなのかなぁ)

アルミン「もしかしてエレン?」

ミカサ「エレンとは仲良し。でも今はちょっとだけ違う」

アルミン「喧嘩でもしたの?」

ミカサ「そういうわけじゃないけど、二人とも今は耐える時間」

アルミン「?」

ミカサ「大丈夫だから」

――1ヶ月後――

ミカサ「ふんふーん///」

ジャン「おい、そんなにはしゃぐなよ」

ミカサ「エレンには秘密。丁度欲しかった物も手に入ったし良かった」

ジャン「まぁアイツのおかげで一緒に旅行できたから良かったがな」

ミカサ「ジャンありがとう///」

ジャン「まぁ、良いってことよ。俺も内地に興味あったし凄いのも見れたからな」

ミカサ「昨日の夜は激しかった」

ジャン「そうだな。久しぶりに燃えたな」

ミカサ「うん」

ここまでー。

――――

エレン「よっ、暇だから遊びに来たぞ」

サシャ「あっ、エレンどうぞ上がってください。今誰もいませんからやりましょうよ」

エレン「お前とやるの疲れるんだよな。声でかいし」

サシャ「あっ酷い」

エレン「まぁいいや。やるぞ」

サシャ「あっ、エレンそこダメです」

エレン「ここか?」

サシャ「あぁーー!もうっ!いつも私の弱点ばっかり!」

エレン「いいだろ別に反応面白いし」

――――

サシャ「もう帰るんですか?」

エレン「あぁ、ミカサも帰ってるだろうしな」

エレン「帰ったー」

ミカサ「おかえり」

エレン「夜飯なに?」

ミカサ「今日は野菜の天ぷらとか」

エレン「おー酒のつまみになるな」

ミカサ「ところでエレン。また仕事サボったんでしょ」

エレン「は?行ったぞ」

ミカサ「嘘。アルミンからエレンが仕事に来ないって聞いた」

エレン「あーいやあれだ。ちょっとその……」

ミカサ「別にわざわざ嘘つかなくても良い。もう昔ほどエレンに期待なんかしてない」

エレン「あぁ!?」

ミカサ「昔はあんなにカッコ良かったのに」

エレン「今はカッコ良く無いってのかよ!?」

ミカサ「うん」

エレン「……」ガシャン!

ミカサ「エレン!?」

エレン「謝れ」

ミカサ「私は間違ったことは言ってない。謝る理由がない」

エレン「もういい。出ていく」

ミカサ「そうしたいならすればいい。甘やかしてもエレンは何も変わってくれなかった」

エレン「じゃあなミカサ」

ミカサ「……」

ミカサ「……また違う女の子の匂いがしてた」

――翌日――

ジャン「そんでなに?あいつ本当に出ていったのか?」

ミカサ「うん」

ジャン「うーん、ミカサの気持ちもわからんでもないが。今回はお前も悪いな」

ミカサ「……どうして」

ジャン「人間色々変わるもんだ。あんまり昔と比べすぎるもんじゃねぇよ。それに男は無駄にプライドも高いからな」

ミカサ「……」

ジャン「まぁ、あいつのことだしお前らの仲じゃすぐ元通りになるって」

ミカサ「ジャンはそっちの方が嬉しい?」

ジャン「さぁね」

ミカサ「さぁねってなに」

ジャン「どっちでも良いってこと」

ミカサ「なんか冷たい」

ジャン「お前にはエレンがいるだろ。俺らはそういう距離感にしかならねぇよ」

ミカサ「……あの日は?」

ジャン「そりゃまぁ……二人きりで浮かれてたし、酒も入ってたからだな……」

ジャン「それにお前だってエレンのことで色々疲れてたんだろ」

ミカサ「うん」

ジャン「まぁ、この機につけこんでなんて気はねぇから安心しろよ」

ミカサ「うん」

寝る。

――1週間後――

エレン「あー暇」ゴロゴロ

ユミル「お前さぁいい加減に帰れば」

エレン「良いだろ別に」

ユミル「うちはバカの避難所じゃねーよ」

エレン「だってよ、アニとかサシャは旦那がもういるし、クリスタは内地だし、近場ならお前の部屋が一番楽だしな」

ユミル「お前本当にいつか刺されるぞ?」

エレン「いいんじゃね?ほらバカはしななきゃ治らないって言うしな」

ユミル「自覚があるだけましか。まぁいい飲むぞ」

エレン「さっすがーミカサとはそこが違うな」

――――

アルミン「あのさ、エレンがずっと仕事に出てないんだけど」

ミカサ「私に言われてもわからない」

アルミン「一緒に住んでるんでしょ?」

ミカサ「今は住んでない。最近は顔も見ていない」

アルミン「えっ!?心配じゃないの!?」

ミカサ「……心配しなくてもどうせ友達か女の子のところ」

アルミン「……エレンって浮気してるの?」

ミカサ「たぶん」

アルミン「まさか……エレンがそんな……」

ミカサ「皆、昔のままじゃない」

アルミン「……えっと」

ミカサ「アルミンも今の家庭を大事にしたほうがいい」

アルミン「う、うん」

ミカサ「じゃあ、午後も頑張ろう」

アルミン「そうだね」

アルミン(家庭か……多少の憧れは持ってたけど現実は半分自由を削られたようなものだ)

アルミン(明日からは内地に出張だし、会えるかな。エレン、浮気はやるならばれずにやらないとダメだよ)

アルミン(まっ、うちの相手も他で浮気してるっぽいし良いけどさ)

――翌日――

ミカサ「はい、これ」

ジャン「おうサンキュー」

ミカサ「……」

ジャン「まだあいつ帰らないのか?」

ミカサ「うん」

ジャン「毎日夕食とかあいつの分もちゃんと作って待ってんのに本人は何してんのかねぇ」

ミカサ「どうしてそれを」

ジャン「弁当のおかず夕食の余り物だろ?」

ミカサ「……」

ジャン「まぁお前の料理美味いし金も浮いて助かるから俺は良いけどな。それより、そろそろ本気でエレン捜してやろうか?」

ミカサ「別にいい」

ジャン「なんで?目星でもついてんのか?」

ミカサ「エレンには私が必要ないってことだと思う」

ジャン「はぁ?あのバカの手綱握れるのはお前くらいしかいないだろ」

ミカサ「昔とは違う」

ジャン「昔々ってたかが10年だろ。そんな簡単に変わるかよ」

ミカサ「……エレンは変わった」

ジャン「あーうじうじと面倒くせぇな。待ってろ、今から引っ張って連れ戻して来てやるから」

ミカサ「ジャン!?」

ジャン(まぁどうせ女んとこだろ。誰から行くかな)

――――

ジャン「おーい」ドンドン

ジャン「おーい!いねぇのか」ドンドン

アニ「……セールス御断り」ガチャ

ジャン「あほか、セールスならもっとまともにやるわ」

アニ「何か用」

ジャン「旦那は?」

アニ「しばらく忙しい」

ジャン「エレン知らね?お前らたまに会ってるだろ」

アニ「……最近は見てない。あいつがどうかした?」

ジャン「いや、知らないなら良い」

アニ「じゃあ帰って」

ジャン「まぁ、火遊びも程々にな」

アニ「うるさい」バタン

ジャン「外れか」

ジャン(あとはユミルとかミーナか?でも家知らねぇんだよな)

ジャン(一回帰って聞いてみるか)

――――

ジャン「帰った。いるかー」

サシャ「おかえりなさい。今日は早かったねぇ」

ジャン「いや人捜し中でな。ユミルとミーナの家わかるか?」

サシャ「ちょっと待ってん。今地図描く」

ジャン「おう」

サシャ「はいこれ」

ジャン「サンキューじゃあまた出てくる。夜飯は食うから」

サシャ「はーい(人捜し?)」

ジャン「ここか。おーいミーナいるか?」ドンドン

ジャン(あっ、よく考えたら真っ昼間のこの時間帯にいるわけねぇよな。アニはまぁ主婦として)

ジャン(適当に夕方まで時間潰すか。あっ、なら待てなんか言うんじゃなかった……)

ジャン(一回戻るか)

――――

ジャン「てわけで、また夕方に出直すわ」

ミカサ「私も一緒に行く」

ジャン「かまわねぇけど、女といるとこ見てカッとなって刺殺とかは勘弁な」

ミカサ「それは心配ない。今は自制ができる」

――夕方――

ジャン「ミーナいるかー?」コンコン

ミーナ「はーい、どちら様?」

ジャン「俺だ。同期だったジャンだ」

ミーナ「おぉ、珍しい」ガチャ

ミーナ「いらっしゃい、あれミカサも?」

ミカサ「久しぶり」

ミーナ「二人が一緒なのも珍しいね。立ち話もなんだから上がる?」

ジャン「いや、すぐ終わるから気にすんな」

ミカサ「えっと……エレンと一緒だったりする?」

ミーナ「えっ、私が?無いよー全然会ってないし」

ミカサ「そう」

ミーナ「エレンとミカサって結婚してたんじゃないの?」

ミカサ「……」

ジャン「今はそういうのは良いだろ」

ミーナ「ジャンとミカサってまさか……不倫?」

ミカサ「!?」

ミカサ「まさかね!エレン一筋のミカサが……って、えっ」

ジャン「邪魔したな。またなんか用があったら来るわ」

ミーナ「えっ、あ……うん。その、色々大変だろうけど頑張ってね」

ミカサ「……うん」

ジャン「ミーナも外れか。あとはユミルだな」

――――

ジャン「ユミルいるかー?俺だ。ジャンだ」ドンドン

ガチャ

ユミル「うるせぇよ……頭に響くだろうが」

ジャン「!?お前服くらい着ろよ」

ユミル「あ、忘れてた。まぁジャンに見られてもな」

ジャン「いいからなんか着てこい!!」

ユミル「へーへー」

ジャン「相変わらずふざけた奴だ……」

ミカサ「……」

ユミル「着たぞ。それでなんの用だよ」

ジャン「エレン知らないか?」

ユミル「エレン?あぁ、私のベッドで寝てるぞ」

ミカサ「!?」

ジャン「……最悪な当たり方かよ」

ユミル「なんだミカサいるじゃないか。さっさとあのバカ連れて帰ってくれよ」

ミカサ「……」

ユミル「もう1週間くらい入り浸りでいい加減鬱陶しいんだよ」

ミカサ「……嘘」

ユミル「嘘ついてなんになるんだよ。勝手に上がっていいからさっさと連れてけよ」

ジャン「……お前少しは気遣うとかしろよ」

ユミル「ガキじゃあるまいし何を気遣うんだよ。あー頭いてぇ……」

ジャン「チッ、入るぞ」

ユミル「どーぞー」

――――

エレン「……」

ジャン「本当にいやがった……おい起きろ!」ガンッ

エレン「いてぇ……ユミル起こすなら優しくだな」

ジャン「寝ぼけてんなこの野郎」

エレン「あぁ……ジャンと、ミカサか」

ジャン「さっさと服着て行くぞ」

エレン「ユミルー煙草ー」

ユミル「ほら」ヒュッ

エレン「……」フーッ

エレン「で、なんか用?」

ジャン「帰るぞ。お前の居場所はここじゃないだろ」

エレン「面倒くせぇ、もうユミルと付き合うわ」

ミカサ「!?」

ユミル「いや帰れよ。そういう関係は要らないし、第一お前なんかよりもっとまともなの選ぶわ」

エレン「手厳しー」

ジャン「バカやってないでさっさと着替えろ」

エレン「へーへー、しかしジャンはミカサに優しいなぁ。まさか浮気でもしてんの?」

ミカサ「!?」

ジャン「……冗談言ってないで早くしろよ」

エレン「……」

エレン「ふーん。なるほど」

ジャン「なんだよ」

エレン「いや、じゃあなユミル。また来るわ」

ユミル「さっさと帰れ」

――――

エレン「……」モグモグ

ミカサ「……」モグモグ

エレン「……」ススッ モグモグ

ミカサ「……」モグモグ

エレン「……」ゴクゴク スクッ スタスタ カシャン

ミカサ「……」モグモグ

エレン「なぁ、喋ることも無いならなんで俺連れ戻したわけ?」

ミカサ「……それはジャンが、仲直りしろって」

エレン「ふーん、ジャンね」

ミカサ「なに」

エレン「いや、随分と仲が良いみたいだなってな」

ミカサ「……」

エレン「……」ニヤッ

――――

サシャ「捜してた人見つかった?」

ジャン「あぁ、まぁエレンの奴なんだけどな」

サシャ「ブフッ!」

ジャン「汚いなおい!!」

サシャ「ゴホッ、ゲホゲホ……元同期が行方不明ってのにビックリして……」

ジャン「ったく」フキフキ

サシャ「ありがとう」

ジャン「まぁ、見つかってミカサの所に帰したから一先ず安心だろ」

サシャ「そ、そう」

ジャン「居たとこはユミルの家だったし浮気なんて何考えてんのかね」

サシャ「……」

昼飯。また浮かんだらやる。

アルミンは浮気するならバレずにしなよ、とは言ってるけど自分はしてないみたいだね、嫁はしてるみたいだけど
おそらくそろそろ内地でクリスタとヤるンだろうけど

――内地――

アルミン(そろそろ約束した時間。来てくれるかな)

クリスタ「アルミンー」

アルミン「クリスタ!」

クリスタ「ごめんね。支度に手間取っちゃって」

アルミン「全然待ってないよ!うん!」

クリスタ「ふふっ、久しぶりだね」

アルミン「うん。なかなか内地には来れないからね」

クリスタ「しばらくはこっち?」

アルミン「うん。1週間はこっちにいるよ」

クリスタ「嬉しい///」

アルミン「とりあえず、何か食べようか」

クリスタ「うん」

――食事中――

アルミン「内地はやっぱり何回来ても街並みが新鮮かな」

クリスタ「そう?私はもう見慣れてるから」

アルミン「そっか、たまに来るからなんだろうね」

クリスタ「だと思う。それより……」

アルミン「なに?」

クリスタ「指輪。別に外さなくても良いよ?」

アルミン「……あ、うん」

クリスタ「罪悪感?」

アルミン「どうなんだろ。それもあるかもしれないけど……こっちにいる間は忘れたい、みたいな」

クリスタ「なるほどね」

――――
――


クリスタ「ごちそうさま。本当に良かったの?」

アルミン「うん。誘ったのは僕だからね」

クリスタ「アルミン」ギュッ

アルミン「……行こうか」

クリスタ「うん」

――――

クリスタ「シャワー空いたよ?」

アルミン「……」

クリスタ「寝ちゃってる。来たばかりで疲れてたんだね」

クリスタ(わざわざ結婚してるの気にしなくても壊す気はないんだけどなぁ)

クリスタ(そういうのは望んでないよ、アルミン)

――深夜――

アルミン「ん……いつの間にか寝てた」

クリスタ「……」

アルミン(寝てる。とりあえず、シャワー浴びて着替えよ)

――――

アルミン「……」スタスタ

クリスタ「起きたんだ」

アルミン「あっ、ごめん。変な時間に起こしたね……」

クリスタ「いいよ。ベッド入らないの?」

アルミン「……」ゴソッ

クリスタ「アルミン」ギュッ

アルミン「なに?」

クリスタ「なんか悩み事あるでしょ」

アルミン「えっ」

――――

クリスタ「へーあのエレンが浮気してるんだ」

アルミン「ミカサが言うにはね」

クリスタ「それでミカサの落ち込んだ顔と自分の現状で罪悪感が?」

アルミン「そうじゃない。エレンももっと上手く浮気すれば良いのにって……」

クリスタ「アルミンもなかなかの……だね。もう逢うのやめる?」

アルミン「それは嫌だ」

クリスタ「良かった。アルミン」ギュッ

アルミン「クリスタ」ギュッ

クリスタ「寝よっか」

アルミン「うん」

アルミン(誰にも迷惑かけてないんだ……問題ない)

――ジャン家・深夜――

ジャン「……」

サシャ(あーどうしよう……ジャンには多分バレないとは思うけど)

サシャ(避妊はしてるし、大丈夫な日以外は断ってるからきっと大丈夫)

サシャ(そりゃまぁ……少しは罪悪感もあるけど)

サシャ(ジャンは気付いてないと思ってるだろうけど。最近というか前からよく違う子の匂いがしてたし)

サシャ(私だけ悪いんじゃない。あの最中も集中してないというか他の女の子のこと考えてるジャンが悪い)

サシャ(どうせ……ミカサかな)

サシャ(寝よ)

サシャの口調に違和感
素は方言喋りじゃなかったっけ

――――

アニ(一人は暇だ。無駄に広く感じる)

アニ(なんで結婚なんかしたかよくわからない)

アニ(行く時と戻ってくる時の表情があからさまに違うのも慣れた)

アニ(ミーナの所に行こう)スクッ スタスタ

――――
――


アニ「……」コンコン

ミーナ「ふわぁ……こんな時間にどなた?」

アニ「私だけど」

ミーナ「わぁ!待ってね!今開けるから」ガチャ

アニ「泊めて?」

ミーナ「うん!入って入って」

>>102
方言って脳内でも訛るもんなの?

とりあえず、出かけるからここまで。

ミカサ(ジャン)エレン(サシャアニユミル)
アルミン(クリスタ)アニ
サシャジャン

かな
エレンが元凶な気がしてきた

>>101こっちにする。

――ジャン家・深夜――

ジャン「……」

サシャ(あーどんげしよ……ジャンには多分バレちょらんと思うっちゃけど)

サシャ(避妊はしとるし、大丈夫な日以外は断っとった。大丈夫やろ)

サシャ(そりゃ少しは罪悪感もあるとよ?)

サシャ(でん、ジャンは気付いちょらんとやろけど、前から違う子の匂いさせちょったし)

サシャ(私だけ悪いんやない。あん最中も集中しとらんで他ん女んこと考えちょるジャンが悪いっちゃ)

サシャ(どうせ……相手はミカサやっちゃろうね)

――1週間後――

ジャン「最近どうだ?」

エレン「何がだよ」

ジャン「いやお前ら夫婦は手がかかるからな」

エレン「別に。相変わらず会話は少ないな」

ジャン「はぁ?まだ仲直りしてないとか言わねぇよな」

エレン「仲直りって……子供かよ」

ジャン「仕事は無断欠勤、嫁には迷惑かける。しまいには浮気するとかガキ以外のなにがあんだよ」

エレン「浮気ねぇ。お前のとこは最近どうなんだよ」

ジャン「俺んところは普通だ」

エレン「普通、ね」

ジャン「まぁとりあえず、あんまりミカサに心配かけるなよ」

エレン「お前さぁ、なんでそんなに干渉してくるわけ?」

ジャン「そりゃ同期だしな」

エレン「本当にそれだけか?」

ジャン「は?」

エレン「嘘ついてたら俺はお前を敵だと認識するぞ?」

ジャン「いやいや、意味わかんねぇから」

エレン「疚しいことは無いんだな?」

ジャン「ねぇよ」

エレン「そうか。ならいいんだよ」

ジャン「マジで意味わかんねぇぞお前」

エレン「気にすんなって」

――――

エレン「なぁ、アルミン」

アルミン「なに?」

エレン「自分の嫁さんが顔見知りと浮気してたらどうする?」

アルミン「え」

エレン「いや、アルミンに浮気の話をするのも変な話かもしれないけど」

アルミン「そ、そうかな」

エレン「俺さぁ、ミカサに愛想尽かされたみたいだし、どっかに消えた方が良いのかな」

アルミン「エレン!?」

エレン「家の中がさ、重苦しいんだよ。自分がそう感じるだけかも知れないけど」

アルミン「エレン……」

エレン「浮気相手も殆どわかってるんだよ」

アルミン「そうなの?」

エレン「それで、探りってか脅しみたいなこと言ったりしたんだ」

アルミン「うん」

エレン「冷静に考えてみると、そっちと……まぁ良い仲になるほうがミカサは幸せなのかなとかさ」

アルミン「それは無いと思うよ?ミカサにはエレンが必要だよ」

エレン「そりゃ昔の話だ」

アルミン「変われば良いじゃないか」

エレン「無理だよ。なんか色々と面倒くさいんだ」

アルミン「ミカサはどうなるの……」

エレン「わかんね」

アルミン「無責任だよ」

エレン「いっそ子供でも出来れば責任感が出るのかね」

アルミン「そういうことじゃなくてミカサと向き合いなよ」

エレン「……自分は?」

アルミン「え?」

エレン「いや、嫁さんと向き合ってるか?」

エレン「俺が何も知らないと思ってるならめでたい頭だな」

アルミン「どういう意味」

エレン「泣いてたぞ?」

エレン「アルミンが内地に行く度浮気してるって」

アルミン「う、うそ……そんな……」

エレン「まぁ、アルミンは頭が良いからどうして知ったかは判るよな」

アルミン「……そういうことか。ハハッ……相手はエレンだったんだね」

エレン「1回きりだぞ。これでお互い秘密は無いだろ?」

アルミン「……」

エレン「手伝ってくれよ」

アルミン「なにを」

エレン「全部ぶっ壊す」

アルミン「……ジャン?」

エレン「やっぱりアルミンだよな。話が早い」

アルミン「誰も幸せにならないよ」

エレン「もとから幸せじゃねぇよ」

――夜――

エレン「なぁ、今度の休み祭があるよな」

ミカサ「そうなの?」

エレン「たまには二人で出かけないか?」

ミカサ「良いよ」

エレン「じゃあ決まりな。次の休みだから忘れるなよ?」

ミカサ「うん」

ミカサ(最近のエレンはギャンブルもしてない)

ミカサ(それに二人きりで出掛けるのは久しぶりだから楽しみ)

エレン(つまらないな。昔なら飛んで喜んでた時期もあったのに)

エレン(やっぱり、もう昔とは違うんだな)

寝る。

今更だがこれ時代設定どうなってんだ?現パロ?パチンコが出てたから気になった。

>>148
浮かんだの適当に書いてるからあんま考えてなかった。現パロにしとく。

――アルミン家――

アルミン(あれで良かったのかな……暴走しやすいのは昔からだったけど)モグモグ

アニ「……」

アルミン(でも……あとはミカサを信じるしかない)モグモグ

アニ「……」

アルミン「……」モグモグ

アニ「美味しい?」

アルミン「……」

アニ「……」

アルミン「あっ、ごめん。考え事してて……美味しいよ。特にこれとか」

アニ(買ったやつ。いつものことだから良いけど)

アルミン「食べないの?」

アニ「あまり食欲ない」

アルミン「そうなんだ。大丈夫?」

アニ「うん」

――翌日・街――

アニ「……」

サシャ「あっ、アニ!」

アニ「久しぶりだね」

サシャ「買い物ですか?」

アニ「うん」

サシャ「お茶でもしませんか?」

アニ「……暇だからいいよ」

――お店――

サシャ「アルミンとは上手くやってます?」

アニ「上手くってなに」

サシャ「えっ、いや夫婦円満というか」

アニ「あぁ、それなら形は夫婦をやれてるよ。きっと。外から見ればね」

サシャ「……あまり上手くいってないんですか?」

アニ「上手くって言葉の基準がわからないんだ」

サシャ「?」

アニ「家事はしてる。会話も少ないけどある。お互いの時間もある」

アニ「だけど、アルミンの頭の中にはきっと私がいない」

アニ「それでも、指輪をして同じ家に住んでれば他人は夫婦にしか思わない」

サシャ「えっと……」

アニ「不満があっても、家族のままで時間が流れれば、上手くやれてるってことなのかな」

サシャ「で、でもアルミンって人が良さそうですから」

アニ「浮気してる人が良さそう?」

サシャ「えっ」

アニ「ねぇ、目の前に自分が選んだ相手と自分を狂わせた相手が居た時……どちらかを殺すならどっちを殺す?」

サシャ「!?」

アニ「私は自分を狂わせた相手を殺す」

アニ「だって、お互いに選んで結婚した人の方が、最後は見捨てないでいてくれるはずでしょ?」

アニ「……これは例え話だけどあんたはどっちを殺す?」

サシャ「私ですか」

アニ「そうだよ。あんたに訊いてる」

サシャ「私ならきっと――」

――別の日――

ジャン「へー、祭りか。誘ってもらって良かったな」

ミカサ「うん」

ジャン「これでお前らの仲を修復するのに駆け回るのも仕舞いだ」

ミカサ「ジャンにはとても迷惑をかけてしまった」

ジャン「いや良いってことよ。じゃあ、エレンの奴がなんか変な勘違いしてるみたいだから二人で会うのはやめだ」

ミカサ「えっ……」

ジャン「最初からそういう約束だっただろ?」

ミカサ「……うん」

ジャン「祭楽しんでな。あっ、俺もサシャと行くかもだから。じゃあ」

ミカサ「……」

――物陰――

エレン(やっぱりか。二人してこんな場所で今まで何度も会ってたんだろうな)

エレン(会話まではわからなかったが。なんかミカサ残念そうな顔してたな)

エレン(まぁいい。俺には俺でやることがあるしな)

――――

サシャ「はーい、どちら様?」

エレン「俺だよ」

サシャ「ちょっと!時間考えてくださいよ」

エレン「すぐ帰るよ。ジャンの奴に祭誘われたか?」

サシャ「いえ」

エレン「なら自分から話振るなりして祭に来いよ。面白いから」

サシャ「……」

エレン「それだけだ。じゃあな」

――夜――

ジャン「明後日の祭行かね?どうせ暇だろ?」

サシャ「暇って失礼やねぇ……主婦には主婦でやることあるとよ?」

ジャン「そうか、最近出掛けてなかったし良いかなと思ったんだがな」

サシャ「……やっぱり行く」

ジャン「久しぶりにちゃんと化粧しろよ?上司とかに遭った時に困るからな」

サシャ「いつもしとるわ!」

ジャン「してたのか……」

サシャ「よーし、お酒は抜きやね」

ジャン「冗談だって!」

――エレン家――

エレン「おい、風呂の石鹸切れてんだけど」

ミカサ「洗面台の下に入ってる」

エレン「ん?」ガサゴソ

エレン「あぁ、有った有った」

ミカサ「……」

ミカサ(昼間はジャンと話せなくなるのが少しだけ寂しく感じた)

ミカサ(あまり知り合いも居ないし、大人になって皆自分の生活を守るのに精一杯だ)

ミカサ(そんな社会と遮断されやすい環境で親身になって相談に乗ってくれていた)

ミカサ(拠り所というか……逃げ場が無くなったような感情なのだろうか)

ミカサ「祭まであと少し……か」

オチは決まってるけどなかなか進まない。とりあえず終わり。

――祭当日・エレン家――

エレン「おーいミカサいつまでかかってんだよ早くしろよー」

ミカサ「待って、帯が……」

エレン(なんで女の支度ってのは、こんなに時間がかかんのかねぇ。たかが祭りに行くだけなのに)

ミカサ(よし。上手く結べた。髪型も化粧もあんまり派手じゃないけどちゃんとした)

ミカサ「お待たせ」

エレン「おせぇよ、そんなにかかんなら最初から言っとけよ。行くぞ」

ミカサ「……うん」

ミカサ(今は怒ってるからだよね)

――ジャン家――

ジャン「うーん。シンプルにワンピースも良いが祭りなんだし浴衣着たらどうだ?有っただろ?」

サシャ「えー……今から着よったら祭りギリギリになるやない」

ジャン「はぁ?別に焦って行く必要も無いだろ。会場も遠く無いし」

サシャ「……じゃあ着るけん待っとってね」

ジャン「おう、適当になんかしとくから気にすんな」

サシャ「うん」

サシャ(口は悪いけど、こういう時の気は長いんよね。てっきりおせぇ、なげぇ、まだかとかばかりやと思うとったけど)

サシャ「お待たせ」

ジャン「おー、やっぱり身長もあるし黒髪だから浴衣も様になるな」

サシャ「去年のやけどね」

ジャン「あぁ、そういえば一緒に見に行ったな。もう一つ青っぽいのと悩んでたっけ」

サシャ「よく覚えとるね」

ジャン「そりゃ、去年は仕事も忙しかったしなかなか一緒に出かけられなかったからな」

サシャ「……」

ジャン「髪も今日はサイドテールにしたのか。いつも結んではいるが印象変わるな。化粧も俺好みだ」

サシャ「あ、ありがと」

ジャン「じゃ行こうぜ」

サシャ「うん」

――アルミン家――

アニ(チャンネル変えよ)

アルミン「……」カタカタ

アニ「……はは」

アルミン「……」カタカタ

アニ「……ねぇ」

アルミン「……」カタカタ

アニ「ねぇ」

アルミン「えっ、なに?」

アニ「綿菓子食べたい」

アルミン「綿菓子?」

アニ「うん」

アルミン(あっ、今日は祭りか。エレン達何事も無いと良いけど……やっぱり少し心配だ)

アルミン「祭り行く?」

アニ「騒がしいのに興味はないけど。綿菓子食べたいから行く」

アルミン「支度待つね」

アニ「待つほどかからないよ」

アルミン「そっか」

アニ「うん」

アニ(……真面目にしたところで他の誰かと比べられるだけ。本当に誰なんだろ)

アニ(わかったらどうするんだろう)

アニ「出来た。行こう」

アルミン「うん」

アルミン(こういうイベントがあっても、内地で離れてるから少しだけ安心だ)

アルミン(そういえば……昔は祭りも好きだったんだけど、暗い顔の人が少ない場所って息苦しいから苦手になったんだっけ)

――道中――

エレン「あっちー……結構暗くなって来たってのに。やっぱり夏は苦手だ」

ミカサ「昔は夏が来る度にはしゃいで遊び回ってたくせに」

エレン「そんなの子供の時だろ。今じゃただ暑くて鬱陶しいだけだ」ゴソゴソ

ミカサ「煙草はダメだよ。怒られる」

エレン「あー……おっ、喫煙スペース見っけ。ちょっと待ってろ」

ミカサ(……マイペースで簡単に離れる)

(結局、家から一度も褒めて貰えてない。エレンの目には私の普段の姿との違いなんてどうでも良いことなのかな)

エレン「わりぃわりぃ、行くか」

ミカサ「うん」

ミカサ(昔……私の世界の中心はエレンで、褒めてくれそうなことばかりしていた)

ミカサ(結婚が出来て嬉しくて、もっと嫌われないよう努力しようとした。我慢もしてた。色んな言葉を噛み殺してきた気がする)

ミカサ(私も甘く考えてたのかもしれない。年月が経つ程にズレて変わっていく現実に少しだけ疲れた)

エレン「おぉ、スゲー人だかり。やっぱり多いな」

ミカサ「うん。そうだね」

――――

ジャン「あーやっぱり人いるな」

サシャ「そりゃお祭りやけんおるやろぉ」

ジャン「ほれ」スッ

サシャ「……うん」ギュッ

ジャン「繋いでないと出店の食い物に夢中で迷子になられるからな」

サシャ「……いつの話を」

ジャン「うーん。十代頃?いやーたかが迷子で半ベソかく奴がいるとはな」

サシャ「……」ゲシッ

ジャン「あいたっ!お前蹴ることねぇだろ!」

サシャ「何となくバカにされた気がしたかいよ」

ジャン「なにから食う?」

サシャ「そこはなんか食べるって聞くもんやない?」

ジャン「いやお前祭りで何も食わなかったことないだろ?」

サシャ「……否定が出来ん」

ジャン「安心しろ、財布はばっちりだ」

サシャ「そんな食べんよ!?」

ジャン「……」ジーッ

サシャ「そ、そりゃちょっとは食べるけど」

ジャン「おっ、たこ焼きあるし食おうぜ」

サシャ「よしきた!!」

ジャン「……相変わらず切り替え早いな」

――――

アニ「……」

アルミン「人が一杯だね」

アニ「うん」

アルミン(これじゃエレン達には会えそうに無いな)

アニ(またなにか考えてる。なんだろ、浮気相手と来たかったとかかな)

アニ(ふふっ……)

アルミン「出店一杯だね。綿菓子以外に何か欲しいのある?」

アニ「綿菓子だけでいい。他に興味ない」

アルミン「そっか」

アニ(私も大概苦労させる会話してる自覚はあるけど、これくらいは良いよね)

アニ「買えた」

アルミン「良かったね」

アニ「帰る?」

アルミン「えっ、もう?」

アニ「なんかそわそわしてるから。仕事が残ってるのか、それとも」

アルミン「いや、書類は」

アニ「遭うと困る人がいるとか」

アルミン「!?」

アニ(相変わらず頭は良いのに判りやすい)

アルミン「いや、そういうことじゃないけど」チラッ

アルミン「あっ!花火も上がるらしいし観て帰ろうよ」

アニ「……」

アルミン「いや?」

アニ「いいよ」

昼飯買いに行くから中断。

――――

エレン「……」キョロキョロ

ミカサ「何か出店を探してるの?」

エレン「いや、ジャンとかアルミン達は来てないのかなーと」

ミカサ「!?」

エレン「どうした?近くなんだし来てるかもだろ?」

ミカサ「そうだね。来てるかもしれない」

エレン(来てないと困るんだがな。アルミンは別としてもジャン達が居ないとな)

ミカサ「来てても人が多いから遭わないんじゃない?」

エレン「まぁ確かにな」

エレン「そういえば花火も上がるんだった」

ミカサ「そうなんだ」

エレン「おぉ、そういえば前にジャン達と花火見た場所があったよな」

ミカサ「うん」

エレン「行ってみようぜ?」

ミカサ「でも……」

エレン「花火が綺麗に見える穴場的な場所で、人も少なかったしあいつらも来てるかもしれないだろ」

ミカサ(だから行きたくない)

ミカサ「結構歩く……」

エレン「……」

エレン「お前あいつらに遭いたくないのか」

ミカサ「……そうじゃない」

エレン「なら行くぞ」

ミカサ「うん……」

――――

ジャン「……お前食いすぎ」

サシャ「……えへ」

ジャン「あー、あとは花火観て帰るか」

サシャ(鉢合わせは無くて済みそうやね、良かった)

ジャン「人混みうざいし、前にエレン達と花火観た場所に行こうぜ」

サシャ「えっ」

ジャン「少し歩くけど、運動しないと身になるぞ」

サシャ「はぁ!?」

ジャン「おい蹴るなよ!?」

サシャ「……」

ジャン「さっ、行くぞ」

サシャ「あっ、うん……」

ジャン「エレン達来てんのかね」

サシャ「えっ!い、いや私はわからんよ」

ジャン「まぁ世の中は狭いからなぁ」

サシャ「……エレンよりミカサやないとや」

ジャン「は?」

サシャ「別に意味はないよ」

ジャン「……」

ジャン(……もしかしてあれか?前の旅行ので疑われたりしてんのか?)

サシャ(もっと上手く動揺できんちゃろか……それじゃ図星やって言いよるようなもんやないね)

ジャン(やっぱりちゃんと言ってから行くべきだったかな)

――――

アルミン「どこで観ようか」

アニ「どこでもいいよ」

アルミン「座れそうな場所無いかな」キョロキョロ

アニ「……」

ユミル「おっ、見たことある顔が二人いた」

アルミン「ユミル久しぶり。祭りに来てたんだ」

ユミル「あぁ、クリスタもこっちに来てたし暇だから二人で来てんだよ」

アルミン「!?」

アニ「……」

ユミル「つーかはぐれちまってさ」キョロキョロ

クリスタ「あっ!ユミルいたー」

ユミル「おっ、こっちこっち」

クリスタ「もー少しは歩幅合わせてよ」

ユミル「悪い悪い。ほら、アルミン達もいるぞ」

クリスタ「えっ」

アルミン(最悪だ……)

クリスタ「……」チラッ

アニ「……」

クリスタ(なるほど)

クリスタ「わぁ!二人とも凄い久しぶりだね。何年振り?」

アルミン「えっ、えっと……何年かな。久しぶりだね」

クリスタ「うん!アニも久しぶり」

アニ「久しぶり」

クリスタ「二人とも花火観るんでしょ?」

アルミン「うん」

クリスタ「じゃあ一緒に観ようよ」

ユミル「おいクリスタ、せっかくこいつら夫婦で観るの邪魔になるだろ」

クリスタ「あっ、そっか……夫婦水入らずだもんね」

アニ「私は良いよ」

アルミン「アニ!?」

アニ「どうせ会話も無く観てても退屈だし」

アルミン「……」

ユミル「えっ、なに?お前ら上手くいってないの?あっ、喧嘩の仲直りの為に花火観に来たとか?」

アルミン「そんなんじゃ……」

クリスタ「そういうのは詮索しないの。私も内地からこっち来たんだし仲良く観ようよ」

アニ(……内地ね)

ここまで。

――――

ユミル「まだ花火上がらねぇな。ちょっと酒と煙草買ってくるわ」

クリスタ「女の子なのにダメだよ?」

ユミル「女の子って歳でもねーよ。お前らもなんかいる?」

アニ「要らない」

クリスタ「私もジュースは買ってるし」

アルミン「僕も行こうかな」

ユミル「ん?言えば買ってきてやるぞ」

アルミン「いや、ちょっとトイレにも行きたいから自分で行くよ」

ユミル「そうか。二人とも待っといてな」

クリスタ「うん」

アニ「……」

アルミン(三人で残るなんて考えただけで寒気がするよ)

ユミル「なーアルミンさんよー?」ガシッ

アルミン「えっ!なに?」

ユミル「クリスタのことはどうする気なんですかねぇ?」

アルミン「!?」

ユミル「なに驚いた顔してんだ。クリスタ本人から聞いたんだよ」

アルミン「そうなんだ……」

ユミル「私も人のことを言えた柄じゃないが、都合が良い女程度に考えてるなら……」

ユミル「……」ボソッ

アルミン「そ、そんなつもりは」

ユミル「なら良いんだ。あいつは結構自分の気持ちを隠すからな」

アルミン「……」

ユミル「しかしビックリしたよ。まさかお前が浮気できるような奴だったとはね」

アルミン「ユミル声が大きいよ……」

ユミル「そういえばアニのやつ前と変わったな」

アルミン「そうかな」

ユミル「前も喋る方じゃなかったが……なんか嫌な凄みが増したというか」

アルミン「そうなのかな」

ユミル「まっ、流血沙汰にならないように頑張れ」

アルミン「……」

――――

クリスタ「アニ最近元気?」

アニ「さぁ」

クリスタ「どこか悪いの?」

アニ「どこも」

クリスタ「久しぶりだよね。こうやって話すのも」

アニ「そうだね」

クリスタ「綿菓子美味しい?」

アニ「美味しい」

クリスタ「ちょっと頂戴?」

アニ「……」

クリスタ「ダメ?」

アニ「また私のモノを欲しがるの?」

クリスタ「え?」

アニ「あんたでしょ?アルミンの浮気相手」

クリスタ「なんのこと?」

アニ「よく考えたら、あんたくらいしか内地に知り合いいないもんね」

クリスタ「だから何を言ってるの?」

アニ「……アルミンってさ。あんたといる時どう?」

クリスタ「だから……」

アニ「笑ってる?よく喋る?」

クリスタ「……」

アニ「服装とか外見褒めてくれる?例えば、手料理をあんたが作ったとして、市販品との違いに気づいてくれる?」

クリスタ「え……」

アニ「ほとんど違うんだろうね。内地に行くとき楽しそうだから」

アニ「……」

クリスタ「な、なに……」

アニ「女の私から見てもあんたは綺麗だよ」

クリスタ「なにを……」

アニ「そうだよね。見た目も違うし、私と違って社交的だったもんね」

クリスタ「アニ……?」

アニ「でも……やっぱり納得出来ないよ。私だって頑張ろうとしたし、頑張ったんだ」

クリスタ「アニ……なんで近づいて来るの……?」

アニ「……いい?」

クリスタ「!?」ゾクッ

アニ「首細いし……簡単に……」

クリスタ「い、いや!」

――――

エレン「おっ、やっぱり人は居ないな」

ミカサ「……」

エレン(来てないのかよ)

ミカサ「二人でゆっくり観れるね」

エレン「あぁ、そうだな」

ミカサ(良かった)

エレン「あと10分くらいか」

ミカサ「そうだね」

ジャン「お、やっぱりお前らも来てたんだな」

サシャ「あっ」

エレン「おう、やっぱりここに来たか」

ジャン「人混みが鬱陶しいからな」

エレン「まぁゆっくり観ようぜ」

エレン「サシャはやっぱり出店で一杯食ったのか?」

ジャン「よくわかったな。財布が異常に軽くなったわ」

サシャ「はぁ!?それは言いすぎや……ですよ」

ジャン「ん?あぁ、昔の癖か。別に普通に喋ればいいんじゃね?」

サシャ「なんとなく……」

エレン「ははっ、サシャは色っぽいな」

サシャ「どうも……」

ミカサ「……」

ジャン「ミカサも浴衣が似合ってんな。綺麗だぞ」

ミカサ「ありがとう」

サシャ「……」

エレン(退屈しない表情ばっかりだ)

エレン「そろそろ時間か」

ドーーーーーーン!

ジャン「おー始まった始まった」

サシャ(……なんか苛々する。目の前にミカサがいるからやろか)

サシャ(しかも人ん旦那に褒められてまんざらでもない顔して)

ミカサ(褒められたのが純粋に嬉しい。でもこの状況だとただただ複雑)

エレン「これ何分くらいだっけ」

ジャン「1時間以上はあったんじゃね?前観た時はそんくらいだったろ」

エレン「結構長かったっけな」

ジャン「まぁ確かな」

サシャ「ジャン綺麗やね」ギュッ

ジャン「そうだな。つーかくっつき過ぎだ」

サシャ「良いやない。夫婦やっちゃから」

ジャン「エレン達がいるだろうが」

サシャ(またミカサ……)

ミカサ「……」

ミカサ「エレン花火綺麗だね」スッ

エレン「あー煙草が切れた」サッ

ジャン「あぁ?予備買ってねぇの?」

エレン「無い。ちょっと買ってくるわ」

ミカサ「なら私も」

エレン「お前はいいよ。花火観とけって」

ミカサ「……うん」

ジャン「いや一緒に行けばよくね?」

エレン「どうせ煙草買うだけだし」チラッ

サシャ「……」

エレン「じゃあ行ってくる」

サシャ「私もちょっとトイレに」

ジャン「はぁ?仕方ねぇついてってやるよ」

サシャ「いや良いですよ。エレンが煙草買うなら一緒に行けますし」

ジャン「……二人でかよ」

エレン「心配すんなって。誰かみたいに他人のに手は出さないって」

ジャン「……なるべく早くな」

サシャ「はーい」

ミカサ「……」

サシャ「……」

エレン「はは、よく目配せでわかったな」

サシャ「何かなって程度ですけどね」

エレン「お前さ、ミカサに敵意丸出しだよな」

サシャ「それは……」

エレン「そりゃ黙って何度も逢ってたりすれば気にくわないよな」

サシャ「やっぱりそうなんですね」

エレン「俺らも人のことは言えないが、ここは賭けようぜ」

エレン「あいつらが何事も無かったら、俺らのこと言って謝る。何かあったらその時はまぁその時だ」

サシャ「……わかりました」

エレン「ここなら二人が見えるし、耳をすませば聞き取れる」

サシャ「はい」

――――

ジャン「花火綺麗だな」

ミカサ「うん」

ジャン「今日はその……髪を上げてるんだな」

ミカサ「浴衣だから」

ジャン「なるほど。エレンも喜んでただろ」

ミカサ「何を?」

ジャン「何をって……化粧とかその……時間かけたんじゃねぇの?」

ミカサ「……」

ジャン「ん?もしかしてなんも言われて無いとか?」

ミカサ「うん」

ジャン「何やってんのあいつ……」

サシャ「エレン褒めてあげなかったんですか?」

エレン「いや、知ってたけど」

サシャ「ならなんで?」

エレン「その方が精神的にくるだろ?」

サシャ「……あなた浮気するのが見たいんですか?」

エレン「どうなんだろな。わかんね」

サシャ「ミカサが可哀想ですよ」

エレン「女はやっぱりわかんねぇな。さっきまで敵意丸出しだったのに今は心配かよ」

サシャ「それは女として……」

エレン「うるせぇな。少し黙れ」

サシャ「……」

ジャン「そういえばあれ渡したか?」

ミカサ「まだ」

ジャン「そっか」

ミカサ「少し、サシャが羨ましかった」

ジャン「あいつが?なんで」

ミカサ「なんとなく……大切にされてる気がする」

ジャン「まぁ、あれでも一応嫁さんだからな。最近は蹴られることが増えたけど」

ミカサ「仲が良い証拠」

ジャン「エレンだって祭りに誘ったりお前を大事にしてるだろ」

ミカサ「……」

ジャン「またなんかあったのかよ……」

サシャ「ミカサそんなことを……」

エレン「ふーん」

サシャ「あの……やっぱりやめませんか?」

エレン「やめない。それに今さら善人ぶるなよ」

エレン「なんだっけ?ジャンが他の女のこと考えてするから気持ち良くない」

サシャ「……」

エレン「そう言って俺と何度もヤってんだからお前は善人じゃないんだよ」

サシャ「でもジャンなら……」

エレン「どうだろうな。お前なんか見てないんじゃね?」

エレン「だってほら、あいつの顔。今楽しそうだし」

サシャ「……」

ミカサ「……あの」

ジャン「なんだ?また喧嘩か?次はどんな理由だよ」

ミカサ「その、二人で逢う時間……やっぱりほしい」

ジャン「は?エレンまた帰ってないのか?」

ミカサ「違う」

ジャン「なら何だよ」

ミカサ「ジャンとの時間がほしい」

ジャン「……」

ミカサ「ダメ?」

ジャン「ダメだな」

ミカサ「なんで」

ジャン「サシャとエレンへの裏切りになるからだ」

ミカサ「……生きづらい」

ジャン「ミカサ……」

エレン「あーあ黒だった」

サシャ「全然残念そうじゃないですね」

エレン「いや凄く残念だよ。本当に変わったってのを突き付けられたんだからな」

サシャ「どうするんですか?」

エレン「とりあえず、あいつら今は自分達のことに夢中みたいだから、俺達の話題出るまで傍観だ」

サシャ「悪趣味にも程がありますよ」

エレン「悪趣味次いでにヤる?背徳感で感じるかもよ」

サシャ「……遠慮します」

エレン「そりゃ残念」

ミカサ「逃げ場がほしい」

ジャン「でもなぁ……」

ミカサ「……うっ」

ジャン「お、おい……あれだ。お前疲れてるんだよ」

ミカサ「ずっと……ずっと頑張ってきた……逃げ場所くらいほしい……」

ジャン「……あんまり頼られると困るんだ」

ミカサ「迷惑?」

ジャン「違う」

ミカサ「サシャ?エレン?」

ジャン「それもあるが……歯止めが効かなくなるだろ」

ミカサ「なんの?」

ジャン「……言わない」

ミカサ「ちゃんと言ってほしい」

ジャン「近い!それはズルイ」

ミカサ「……」

ジャン「ほ、本当に離れてくれないだろうか」

ミカサ「やだ。今さら照れる仲じゃない。確かにあの日は過ちだったとしても……ジャンの存在は大きい」

ジャン「それを持ち出すなよ……」

ミカサ「……」スッ

ジャン「……ミカサ」スッ

ミカサ「……ンッ」ギュッ

ジャン「……」ギュッ

エレン「うわぁーひでぇな。まさかキスするかよ」

ミカサ「!?」

ジャン「!?」

ジャン「お前どうして……」

エレン「いや観てたからかな」

ミカサ「エレン……」

エレン「ミカサーお前だって変わったじゃないか。俺にばっかり言えないだろ」

ミカサ「違う……」

サシャ「なんが違うとや」

ジャン「お前もかよ……」

サシャ「こん嘘つきが!なんが私が好きや!!」

ジャン「待てよ話を聞けって……」

サシャ「最低や!あんたなんか死ね!!」ダッ

エレン「あちゃー。まっ、お二人さんまたな」ダッ

ジャン「……最悪だ……くそっ」ガクッ

ミカサ「ジャン……」

眠いからここまで。

――――

アニ「……ん」

アルミン「気が付いた?」

アニ「ここは」

アルミン「僕達の家だよ」

アニ「私は」

アルミン「クリスタの話だと僕達が居ない間に倒れたらしい」

アルミン「明日は日曜だけど、念の為に開いてる病院探して診てもらおう」

アニ「いいよ。必要ない」

アルミン「念の為だよ。僕も付き添うから」

アニ「なおさら行きたくない」

アルミン「……」

アニ「一人にして」

アルミン「……わかった。何かあったら呼んでね」

アニ「……」

アニ「……」

アニ(なんとなく首の感触が手に残ってる)

アニ「……もしかして」

アニ(そんな訳ないか)

アニ「あいつが私を庇う理由なんて世間体以外には無いし」

アニ「……」

アニ「綿菓子が無い。食べ終わったんだっけ」

アニ(イマイチ記憶がない)

アニ(酷く眠い……けどメールだけは送っておこうかな)

アニ「どうせ、返信なんか来ないだろうけど」

アニ「明日からもっと辛くなるのかな……」

アルミン(この書類はえっと……)

アルミン「ダメだ。全然捗らない……」

アルミン「……」

アルミン(あの時のクリスタの表情……)

アルミン(やっぱり、僕のせいだ。僕が皆を不幸にさせてしまってる)

アルミン(ちゃんと向き合わないと……)

アルミン「あっ、メールか。二通来てる」

アルミン(明後日までこっちにいるんだ。どうしょう……本音は早く帰ってほしいけど)

アルミン(もう一通は、なるほど……)

アルミン「明日はやっぱり、病院だな」

――ユミル家――

クリスタ「……」カチカチ

ユミル「風呂空いたぞー、ん?メール中か」

クリスタ「うん。アルミンにね」

ユミル「ふーん」ガチャ パタン

クリスタ「……」

ユミル「……」ゴクゴク

クリスタ「あっ、お風呂借りるね」

ユミル「あぁ」

ユミル「おっ、メール来てんな」

ユミル(なんだよ、コニーとライベルの3バカかよ。男からのメールってめんどくせぇよな)

ユミル(とりあえず、明日は暇っと)カチカチ

――お風呂――

クリスタ「……」

クリスタ(あの時恐くて動けなかった。声も出せてたのかわからない)

クリスタ(アニの手の感触と表情がへばりついてるみたい。あまり思い出したくない)

クリスタ「私、アニが気を失わなかったら……」

クリスタ(自業自得だよね。アニはきっと本気でアルミンが大切なんだ……)

クリスタ(私はどうなんだろ。祭りで二人が一緒にいた時……)

クリスタ(なんとなく自分のモノだと錯覚してた気がする)

クリスタ「お風呂ありがとう」

ユミル「おー、なんか飲むなら適当に冷蔵庫から出していいから」

クリスタ「なら何か」ガチャ

クリスタ「……お酒ばっかりの中にリンゴジュースだけとか。中身が偏りすぎだよ」ゴソッ パタン

ユミル「酒がありゃ充分じゃね?」

クリスタ「少しは自分の身体を大事にしなよ」

ユミル「そのまま返すわーついでにそこの酒瓶取って」

クリスタ「これかな?はい」

ユミル「サンキュー、そうだ明日暇だろ?」

クリスタ「えっと……昼はちょっと」

ユミル「アルミンか?」

クリスタ「うん」

ユミル「うーん。殺されそうになったんだから、もう関わらないほうがいいんじゃね?」

クリスタ「!?」

ユミル「図星かよ。良かったな刺されたりじゃなくて」

クリスタ「……」

ユミル「男なんか腐るほどいるんだし、既婚者に拘る必要ないだろ」

クリスタ「それは」

ユミル「あっ、他人のモノが美味しく見えるタイプか」

クリスタ「……」

ユミル「まっ、もう善人じゃないんだし自分がしたいように生きりゃ良いわな」

クリスタ「やっぱり、悪いのかな」

ユミル「知らね。後悔するくらいなら最初からすんなってだけ」

クリスタ「……」

ユミル「まっ、どう転ぼうが話ならなんでも聞いてやるから。明日の昼間がダメなら夜から遊ぼうぜ」

クリスタ「そうだね」

ユミル「んじゃクリスタも参加っと。あとはミーナ辺り暇してるだろ」カチカチ

クリスタ(……どうなっても自分が関わってることなんだから、ちゃんとした結果に)

クリスタ(現実に向き合わないと)

――――

サシャ「……」

エレン「どこまで歩く気なんだ?」

サシャ「ほっといてください」

エレン「やることもないしなー明日は日曜だし」

サシャ「あなたのせいですよ」

エレン「全部俺のせいかよ。良い性格してるなぁ」

サシャ「あんな場面……」

エレン「そんなもんだって。むしろお前がジャンを信頼しすぎてたんだよ」

エレン「まぁわからんでもないぞ?」

エレン「俺は旦那として見られない。お前は嫁として見られない」

サシャ「……くっ」

エレン「哀れな二人で夜道を散歩ってな」

サシャ「……なんでミカサなんですかね」

エレン「は?知らねーよ。旦那に聞くとかなかなか皮肉ってるな」

サシャ「動揺したりしないんですか」

エレン「してもどうにもならないだろ。また同じ生活に戻りたいなら連絡取れば?」

サシャ「……」

エレン「まぁ、すぐ追われなかった時点で答えは出てるけどな」

サシャ「……わざわざ口に出すとか性格腐ってますね」

エレン「そうだな。腐ってたからこそミカサに愛想尽かされたんだろうな」

――――

エレン「さて、ここら辺まで来たら良いだろ。俺帰るわ」

サシャ「えっ」

エレン「なんだ?」

サシャ「帰るんですか?」

エレン「うん。お前と一緒にいる理由はもう無いしな」

サシャ「そんな……」

エレン「残念だったな。さっきから携帯見てたみたいだけど。結局、連絡来なかったみたいだし」

サシャ「……」

エレン「じゃあな」

サシャ「嫌です!見捨てないで!一人にしないでください」

エレン「そうか。なら一緒にいてやるよ」

――――

ミカサ「あの……」

ジャン「ん?」

ミカサ「連絡しなくていいの?」

ジャン「してもなぁ」

ミカサ「サシャが待ってると思う」

ジャン「もともと携帯とかで連絡取ってなかった奴が急に必死になっても……なんかな」

ミカサ「……」

ジャン「お前こそ連絡取らなくていいのか?」

ミカサ「携帯を持ってない」

ジャン「あぁ……そうなのか。なら俺のからかけようか?」

ミカサ「エレンの性格じゃ無理だと思う」

ジャン「少し歩くか」

ミカサ「うん」

ジャン「なんでこんなことになったんだろうな」

ミカサ「私のせい」

ジャン「いや、今日だけの話じゃ無い気がする」

ミカサ「?」

ジャン「やっぱり女の勘つーか、色々なことが伝わってたんだろう」

ミカサ「……」

ミカサ(エレンもなのかな、でも私は……)

ジャン「自販機あるけどなんか飲むか?」

ミカサ「うん」

ジャン「わかんねぇから適当に押してくれ」

ミカサ「ありがとう」

ジャン「適当にどっか、あぁベンチがあるな」

ミカサ「うん」

――――

ジャン「なんかどっと疲れた日だな」

ミカサ「……うん」

ジャン「どうやったら元通りになりやすいのかねぇ」

ミカサ「……」

ジャン「サシャの奴は案外カラッとしてるから。本気で謝ればまぁ……骨の2、3本で」

ミカサ「え!?」

ジャン「例え話だっての。かといってなんの代償も無しに、許して貰えるとは思ってないけどな」

ミカサ「そうだね」

ジャン「静かなもんだ」

ミカサ「うん」

ジャン「はっきり言うと今の状況は嬉しかったりもする」

ミカサ「ジャン?」

ジャン「そりゃそうだ。別にサシャを好きじゃなくて結婚したわけじゃないが、学生の時からお前を見てたからな」

ミカサ「……知らなかった」

ジャン「言えないだろ。ずっとエレンが側に居たし、お前がエレンしか見てないのは判りきったことだったしな」

ミカサ「……」

ジャン「だから、素直に言えば頼られたり、一緒にいる時間も嬉しいよ」

ミカサ「……」

ジャン「と、まぁ……はっきり言ったが、それはあくまで若い時なら許される感情で、今はダメだ」

ミカサ「私達はまだ若い」

ジャン「結婚してるんだ。お互いに家庭がある。許されることじゃない」

ミカサ「でも、エレンは……」

ジャン「大丈夫だ。一緒に謝れば許してくれるって」

ミカサ「……また同じような生活に戻るだけ」

ジャン「それは四人で解決……いや、あれか?浮気したユミルとかも関係してくるのか……」

ミカサ「もういいと思う」

ジャン「なにがだよ」

ミカサ「サシャが羨ましいと思った時に答えは出てる」

ジャン「そりゃあれだろ?エレンの奴が、ちゃんと褒めたりしてくれないからだろ?」

ジャン「そんなもんどうにかなるって」

ミカサ「ずっと続くなんて耐えられない」

ジャン「そりゃどこの夫婦だって同じだろ……」

ミカサ「幸せな時間は確かにあった」

ジャン「だろ?だから一緒に謝ってまた再スタートすれば良いじゃないか」

ミカサ「また努力をするの……?」

ミカサ「エレンが好きだった。それしかなかった。それだけだった」

ジャン「良いことじゃないか」

ミカサ「でも色々変わって……色々な不満も出来た……」

ミカサ「中途半端な愛情ならその時点で逃げ出してた」

ジャン「……」

ミカサ「でも、これがこの先ずっと続くのかと思ったら急に辛くなった」

ミカサ「家庭は片方だけが努力して幸せになれるものじゃない」

ジャン「そうだがな……」

ミカサ「別の幸せを見ようとしたらダメなの?」

ミカサ「結婚したらそれだけしかダメなの?」

ジャン「いやその……」

ミカサ「……」ギュッ

ジャン「あのな……嬉しいのは嬉しいんだが、不幸になるぞ?」

ミカサ「自分をちゃんと見てくれる人がいるなら違う」

ジャン「そういうことじゃ……」

ミカサ「無関心が一番辛い」

ジャン「あー、だがな。やっぱり話し合いは必要だと思う」

ミカサ「……わかった」

ジャン「とりあえず今日は帰るぞ。近くまで送るから」

ミカサ「うん」

ジャン「ん?メールが3通か。ちょっと待ってくれ……OK。行こう」

ミカサ「うん」

とりあえず、ここまで。

――23:00――

アニ(……トイレ)ムクッ

アニ「……」チラッ

アニ「!」

アニ「やった。来てる」

アニ「……」スタスタ

――――

アニ「うっ」

アニ「オェッ……気持ち悪い。何も食べてないのに」

アニ(あっ)

アニ(そっか……そっか……)」

アニ「最悪だ。こんなの望んじゃいなかったのに……」

アニ(どうしよう。なんでこうも嫌なことは立て続けに起こるんだろう)

アニ(望んでなかったのに……)

――22:30――

ミカサ「送ってくれてありがとう」

ジャン「あぁ、まぁ色々あったけど。今日はもう寝ろよ?」

ミカサ「うん」

ジャン「あっ、えっと、なんか書くもんとか無いか?」

ミカサ「ちょっと待ってて」

ジャン「おう」

――――

ミカサ「はい」

ジャン「あぁ」

ジャン「これ俺の番号だ。なんかあったらいつでもかけていいから」

ミカサ「わかった」

ジャン「じゃあ、おやすみ」

ミカサ「おやすみ」

――22:36――

ミカサ「やっぱり帰ってない」

ミカサ(食欲も無いし、お風呂に入って寝よう)

――――
――


――寝室――

ミカサ「ジャンの番号」

ミカサ(携帯買おうかな。明日見に行こう)

ミカサ(エレンが帰って来たらどうしよう。帰って来てほしいような、ほしくないような)

ミカサ(今は何を考えてもダメな気がする)

ミカサ(もう寝よう。夜はダメだ、暗いから暗いことばかり考えてしまう)

ミカサ(明日考えればいい)

――23:25――

ジャン(家の明かりは無しか。まっ、帰ってたとしても寝てるな)

ジャン(足取りが重いなんて久しぶりだ)

ジャン(コンビニでも寄ってくか)

「いらっしゃいませー」

ジャン(別に欲しいもんがあるわけじゃないが。……あいつこのデザート好きだったな)

「ありがとうございましたー」

――23:42――

ジャン「いるかー?」

ジャン「……いるわけねぇか」

ジャン(冷蔵庫に入れときゃいいな。風呂入って寝よ)

――24:25――

ジャン「……」カチカチ

ジャン「連絡無し」

ジャン(するべきかせざるべきか。いや、そんな時間じゃないな)

ジャン「明日が日曜なのが救われた」

ジャン(……部屋、綺麗にしてくれてたんだな。不思議なもんだ。こんな時には色んなことがやけに目が付く)

ジャン(なんつーか、自分がこんな立場になるなんて考えたこともなかったな)

ジャン(なっちまったら仕方ねぇけど……)

ジャン「寝るか。起きてても何が変わるってもんじゃない」

――5:40――

ミカサ「んん……」

ミカサ「起きよう」

――リビング――

エレン「……」

ミカサ(帰ってたんだ。不思議だ。いつもの日常に思える)

ミカサ(朝ごはんだけ作っておこう)

――6:50――

ミカサ(今日は晴れ。洗濯物が乾く)

エレン「おう、おはよう」

ミカサ「おはよう」

エレン「そんな困った顔しなくても、今日は予定あるし消えるって」

ミカサ「……別に困ってない」

エレン「はは、そっか」

ミカサ「……」モグモグ

エレン「……」モグモグ

ミカサ「ねぇ」

エレン「なんだ?」

ミカサ「何も言わないの?」

エレン「何か言ってほしいのか」

ミカサ「わからない。でもあまりにも普通にしているから」

エレン「失礼だな。俺だって傷心なんだぞ?」

ミカサ「……」

エレン「ごちそうさん。シャワー浴びるわ」

ミカサ「わかった」

ミカサ(エレンがわからない……少しだけ怖く感じる)

エレン(いつもと変わらないのは自分なの分かってないんだな)

――10:20――

エレン「そんじゃ、俺は出かける」

ミカサ「うん」

ミカサ(行っちゃった)

ミカサ(私も出かけよう。今日は日差しが強そうだ)

ミカサ「うーん。どれにしよう」

ミカサ(なんとなくだけど、いつもと違う服を着てみよう)

ミカサ「髪の毛はどうしよう」

ミカサ(あっ、誰に見せる訳でもなかった)

ミカサ(エレンが帰ってたんだから、サシャも帰ってたんだよね)

ミカサ「……」

ミカサ(面白くない)

――6:20――

ジャン「……くぁ」ポリポリ

ジャン(休みとはいえ、起きる時間はほとんど変わらねぇな)

サシャ「……」

ジャン「いたし」

ジャン(サシャの奴いつの間に自分のベッドで寝てたんだ)

ジャン(起こすのも気が引けるから静かに……)

――――

ジャン「朝飯作っとくか」ガチャ

ジャン(流石に夜買っといたやつはそのままあるな)

ジャン(何時に帰って来たんだあいつ)

ジャン「卵はあるし、日常と変わらねぇ」

――6:50――

ジャン「うーん、いまいち見た目が地味か?まぁ朝食なんかこんなもんだろ」

サシャ「……」

ジャン「うぉ!起きたならなんか言えよ」

サシャ「……おはよ」

ジャン「おう」

サシャ「……」

ジャン(なんかすげぇ見られてるんだが。なんだこれ)

サシャ「朝ごはん作れたんやね」

ジャン「そこかよ!最近はやってなかったけどな。前は料理してただろうが」

サシャ「……罪滅ぼしのつもりや?」

ジャン「早く起きただけだ」

サシャ「……」モグモグ

ジャン「どうだ?」

サシャ「普通」

ジャン「可愛くない奴だな」

サシャ「……」

ジャン「冷蔵庫にお前の好きだったやつ買ってあるぞ」

サシャ「いらん」

ジャン「……一度ちゃんと話し合わないか」

サシャ「あんた……私追ってこんかったくせに、よぉ言えるねぇ」

ジャン「……」

サシャ「ミカサなんかのどこが良いとや」

ジャン「なんかとか言うなよ。お前らしくないぞ」

サシャ「これも私やし」

――9:20――

ジャン「掃除終了。たまにやるのも悪くないな」

サシャ「普段せんことされても、罪悪感から逃げたいだけにしか思えんちゃけど?」

ジャン「まったく無いと言えば嘘になるが、別にお前しか家事したらいけない理由はないだろ」

サシャ「……むかつく」

ジャン「そんなに睨むなよ」

サシャ「私出かけるから」

ジャン「わかった。俺は適当にダラダラ休日過ごすから」

サシャ「ふん、ミカサ連れ込んだりせんでね」

ジャン「するかよ……」

――7:00――

アルミン「おはよう。具合どう?」

アニ「いつも通り」

アルミン「開いてる病院探しといたよ」

アニ「行かなくていいよ。たぶん理由も判ったし」

アルミン「えっ、そうなの?」

アニ「うん。たぶん妊娠した」

アルミン「え」

アニ「だから月曜にでも自分で行ってくる」

アルミン「そっ、そっか」

アニ「ごはん作るから」

アルミン「あっ、ありがとう」

アニ「……」

アニ「食パン買い忘れてた」

――7:35――

アニ「……」モグモグ

アルミン「あのさ」

アニ「ごはん食べてる」

アルミン「ごめん」

アニ「……」

アルミン「その、クリスタ……」

アニ「……」ガシャン

アルミン「アニ!?」

アニ「ごめん。手が滑った」

アルミン「……」

アニ「クリスタに逢いたいなら行けば?どうせ連絡取り合ってるんでしょ」

アルミン「3人で話し合いをしない、かな」

アニ「悪いけど。体調よくないから」

アルミン「……」

――8:10――

クリスタ(メール来ない。ユミルは昨日飲んでたし、昼過ぎくらいにしか起きないだろうから退屈だなぁ)

クリスタ(あっ、返信来た)

クリスタ「……やっぱり、アニは会ってくれないか」

クリスタ(3人でちゃんと話がしたかったけど)

クリスタ(アルミンも、私と2人で話したいことがあるみたいだし、用意しよ)

クリスタ(10時過ぎに約束したから、まだまだ時間はある)

クリスタ(……手抜きはしたくないんだよね。気持ち的にも)

ここまで。眠いから寝る。

――10:50――

アニ「……」カチカチ

アニ(どうしたら良いの。返信来るかな)

アニ(結局、出掛けた。そうだよね。自分の子供じゃないのわかってるんだから)

アニ「……」

アニ「どこか遠くに行きたいなぁ。誰もいないような場所でひっそり生きたい」

アニ(そんな度胸も無いのにね。環境だけなら恵まれてるから、余計なことまで考えられる)

アニ「……気持ち悪い」

アニ「病院だけは明日ちゃんと行こう」

――10:25――

クリスタ(確かこの辺だったはずなんだけど)キョロキョロ

アルミン「……」

クリスタ「あっ、アルミン」

アルミン「……やぁ」

クリスタ「大丈夫?顔色悪いけど」

アルミン「ちょっと。今日も暑いね。蝉がうるさいし、耳障りだな」

クリスタ「アルミン?」

アルミン「どこかお店に入ろうか。少し喉が渇いたからなにか飲みたい」

クリスタ「うん?いいよ。ここら辺はわからないからアルミンについて行くね」

――10:50――

クリスタ「やっぱりお店の中は涼しいね」

アルミン「そうだね」

クリスタ「窓の外、何かあるの?」

アルミン「日曜だから人が一杯だなって。家族連れも」

クリスタ「日曜だからね。暑そうだけど……あっ、あの子お父さんに手を引かれて可愛い」

アルミン「あのさ」

クリスタ「なに?」

アルミン「昨日って本当は何があったの?」

クリスタ「……そうだよね。ちゃんと話さないといけないよね。昨日は――」

アルミン「アニがそんなこと……」

クリスタ「うん。今ので全部だよ」

アルミン「アルミン。私アニにどうこうとか、そういうつもりはないから」

アルミン「ごめん。クリスタ、もう会わないし連絡も取らない」

クリスタ「なんで……?」

アルミン「僕の責任だし、それに」

クリスタ「なに」

アルミン「アニが妊娠したらしい」

クリスタ「えっ、え?」

アルミン「だからもう会えない」

クリスタ「待ってよ!アルミンは子供が作れないんでしょ!?だから、アニの残念そうな顔が辛かったんじゃないの!?」

アルミン「……」

クリスタ「だから内地に来てた時、久しぶりに逢って相談に乗る内にそうなったけど……」

クリスタ「アニの顔色窺ったりするのに疲れたからって……なのにアニが妊娠って誰の子なの?」

アルミン「正直、誰の子でも良いんだ。アニが産む気なら僕はそれを尊重するし、これまで裏切った分頑張れば良い」

クリスタ「おかしいよ!アニだってアルミンを裏切ってるのになんでそんなことが言えるの!?」

アルミン「なんでだろ。自分でもよくわからない」

クリスタ「アルミン行くよ!」

アルミン「どこに?」

クリスタ「アニの所だよ、家に居るんでしょ?」

アルミン「……やめよう」

クリスタ「良いから!早く」

アルミン「……」

――12:05――

アルミン「ただいま」

アニ「なんだ。早かった……」

クリスタ「こんにちわ」

アニ「何のつもり」

クリスタ「話に来たの」

アニ「あんたと話すことなんか無いんだけど」

クリスタ「私にはある」

アニ「玄関先で喚かれても迷惑だし。まぁ、上がりなよ」

――――

アルミン「……」

クリスタ「……」

アニ「話ってなに」

クリスタ「はっきり言うね。私とアルミンは浮気してた。基準は判らないけど、アニに黙って密会してたから浮気だよね」

アニ「知ってるよ」

アルミン「本当に知ってたんだね」

アニ「うん。あんた判りやすいから」

クリスタ「だから、昨日のことも責められても仕方ないと思ってたけど……アニが妊娠したって聞いてビックリしたよ」

アニ「多分だよ。明日病院に行く」

クリスタ「妊娠するような心当たりがあるんでしょ。誰の子なの?」

アニ「なんであんたに言う必要があるの。あぁ、浮気の理由はそういうことなんだ」

アルミン「……」

アニ「責めたつもりはなかったけど。自然とそう感じさせたのかな」

アルミン「アニが悪いんじゃないよ。全部僕が悪いから」

クリスタ「アルミンが全部悪く無いでしょ!?アニが浮気したのは別でしょ!?」

アニ「もし、妊娠してても堕ろすよ。もともと望んで無かったし」

アルミン「ダメだ。それはさせない」

アニ「なんで?罪悪感?ならお互い様でしょ」

クリスタ「アルミン……」

アルミン「……本当に妊娠してるなら子供に罪は無い。綺麗事にしか聞こえないだろうけど、僕は全部やり直したい」

アニ「……」

クリスタ「……」

アルミン「だから、もうクリスタとは縁を切る。アニだけを選ぶ。当たり前のことだけど」

アニ「あんたもやっぱり変わり者だよ」

アルミン「クリスタごめん。帰ってほしい」

クリスタ「……」

――――

アニ「送らなくて良かったの?」

アルミン「どんな顔してそんなことが出来るの」

アニ「そうだね」

アルミン「アニ」ギュッ

アニ「凄く、久しぶりにこうされた気がする」

アルミン「僕変わるから。もうアニから逃げたりしないから」

アニ「そういうのは言葉にしないもんだよ」

アルミン「ごめん」

アニ「お昼何か食べた?」

アルミン「ううん」

アニ「じゃあ何か作る」

アルミン「うん。一緒に食べよう」

――――

クリスタ「……」

クリスタ「あ、赤だ」

クリスタ(……あっさり終わっちゃった。あれだけ一杯話を聞いたのに)

クリスタ(あれだけ、笑えるようにしてあげたのに)

クリスタ(凄いあっさりしてた。私ってなんだったんだろ)

クリスタ(私、なんでこんなに苛々してるんだろ)

クリスタ(おかしいなぁ、自分であれだけ望んで無いって言い聞かせたはずなのに)

クリスタ「アニなんか死んじゃえばいいのに……私のが良いのに……」ボソッ

中断。また夜やる。

――11:02――

ミカサ「……」

ミカサ(かけていいのかな。携帯わからないから一緒に見に行ってほしいけど)

ミカサ「サシャと出掛けてたら邪魔になるだけ。どうしよう」

ミカサ「……」

ミカサ「エレンなら、かけやすいけど」

ミカサ(悩む。電話をかけるだけのことなのに)

ミカサ(家庭があるから、か。確かに冷静に考えたら……)

ミカサ「外、雲が増えてきた。雨降るかな」

ミカサ(洗濯物をどうするか決めてから考えよう。うん、それがいい)

――11:38――

ジャン「……」カチカチ

ジャン「テレビがなんもねぇ」

ジャン(もうちょいで昼になるけど、わざわざ一人分作るのもめんどくさいな)

ジャン「そういえば何時くらいに帰るのか聞くの忘れたな。メール送っとくか」カチカチ

ジャン(あの調子だと夕方くらいまでに返信があれば良い方かねぇ。最悪返信来ねぇか)

ジャン「何して暇つぶしすっかなぁ」キョロキョロ

ジャン(雑誌発見。食い物ばかりなのはどうにかしてほしいが……)

――16:20――

ジャン「……」

サシャ「あー!また冷房付けっぱなしで昼寝しちょっし!」

ジャン「……ンガ」

サシャ「起きんね!」

ジャン「おう、帰ってきたのか」

サシャ「メール返したとになんもない思ったら案の定やったね」

ジャン「メール?あぁ来てるな」

ジャン(不在着信6件て誰だよ。同じ番号だし)

サシャ「……」ジーッ

ジャン「なんだよ」

サシャ「別にぃ、真面目な顔してたからなんやろかってね」

サシャ「雑誌、なんか探しよったん?」

ジャン「いんや、ただの暇つぶしだ。しかし食い物の雑誌ばっかで胸焼けした」

サシャ「見るんはタダやしね」

ジャン「冷蔵庫のやつ食った?」

サシャ「帰ってきたばかりやっちゃけど」

ジャン「食っていいぞ」

サシャ「……」ガチャ ゴソゴソ

サシャ「こ、これは」

ジャン「好きだろ?」

サシャ「食べる」モグ

ジャン「なんか買い物して来たのか?」

サシャ「ストレス発散」モグモグ

ジャン「あっそ」

サシャ「ごちそうさま」

ジャン「少しは話し合いする気になってくれたか?」

サシャ「……」

ジャン「まぁ、すぐには無理だと思ってるけどな」

サシャ「怒る?」

ジャン「何がだよ」

サシャ「……怒らん?」

ジャン「何のことか判らないことには、なんも言えないんだが」

サシャ「ごめん!私も浮気しとったんよ……」

ジャン「あー、エレン辺りだろ?」

サシャ「そう……」

ジャン「どう反応すりゃいいもんかね」

サシャ「昨日はあんなん言うたけど……」

ジャン「確かに死ねってのはなぁ」

サシャ「ごめん」

ジャン「別れるか」

サシャ「!?」

ジャン「俺に非がなければそうなったかもだが」

サシャ「……別れんよね?」

ジャン「お前はどうしたいの?」

サシャ「ミカサと関わらんなら私もエレンと関わらんよ」

ジャン「そりゃまぁ……」

サシャ「……」

ジャン(なんで即答できねぇんだろ……どうしたもんか。これが最善なのは明確なんだが)

サシャ「……」

ジャン「わかった。約束する」

サシャ「ほんとやね!?約束破ったら私出ていくけんね!」

ジャン「本当だ」

サシャ「良かった」ギュッ

ジャン「なんか食いに行くか」

サシャ「うん!」

ジャン「何が食いたい?」

サシャ「お寿司!」

ジャン「そこは即答なんだな」

サシャ「うん!」

ジャン(間違えてない。うん、俺は間違えてない)

ジャン(意外と円満に解決出来たのは幸いだったな)

ジャン(つーか不在着信がさらに!?)

――15:20――

ミカサ(携帯契約した。結局一人で出かけたけど)

ミカサ「……」

ミカサ(繋がるかな)

ミカサ「……」

ミカサ(出ない)

――16:05――

ミカサ(全然出ない。忙しいのかな)

ミカサ(帰宅したけどエレンは帰ってない。充電してからまたかけてみよう)

ミカサ「あっ、夕飯の材料を買い忘れてしまった」

ミカサ(近くのスーパーに行こう。なにか安いのあるかな)

ミカサ(お魚にするか、お肉にするか)

――17:02――

ミカサ(帰宅。お魚が安かった)

ミカサ「充電は出来たかな。かけてみよ」

ミカサ「……」

ミカサ「もう1回。出ない、またかけよ」

ミカサ「全然出てくれない」

ミカサ「たぶん12回くらいかけた。もう1回」

「もしもし?誰だよ。何回も」

ミカサ「ジャン。私、ミカサ」

「ミカサか。悪かったな気付かなくて」

ミカサ「携帯買った」

「そっか「ジャン準備まだやと?はよ行こうよ」

「悪い!またかけ直す」

ミカサ「うん」

ミカサ「……」

――19:20――

エレン「帰ったぞ」

ミカサ「おかえり」

エレン「メシなに?」

ミカサ「焼き魚」

エレン「食うわ」

ミカサ「うん」

――22:30――

エレン「俺寝るぞ」

ミカサ「わかった」

ミカサ「……」

ミカサ(連絡無い。電話でサシャの声がしてたし出掛けたのかな)

ミカサ「私も、もう寝よう。明日からまた仕事だ」

ミカサ(エレンは今日1日何してたんだろ。そういえば聞くのを忘れてた。……もう寝ちゃったし明日にしよう)

――23:20――

サシャ「むふふー飲みすぎたぁ」

ジャン「お前……俺が明日仕事+運転するから飲めないのによく飲んだな」

サシャ「いいやないね。たまになんやからぁ」

ジャン「ちゃんと歩けよ。ほらドア開けるから」

サシャ「はい帰宅ー」

ジャン「駐車場からおんぶさせやがって……」

サシャ「むふ……ジャンー」チュッ

ジャン「酔っ払いが」

サシャ「ジャンーベッドー」

ジャン「自分で歩けよ……」

サシャ「歩けんージャンー」

ジャン「はぁ……」

――23:35――

サシャ「……むにゃ」

ジャン「運んだら即寝やがった……マイペースすぎんだろ」

ジャン(携帯、ミカサから着信は無くなったが、こんな時間にかけ直しても迷惑なだけだな)

ジャン(まっ、仕事で会うしその時に話せばいいか)

ジャン(とりあえず、風呂入って俺も寝よう)

ジャン「なんつーか、異様に疲れた週末だったな。来週は何事も無いのを期待したいもんだ」

サシャ「ジャン……にゃ」

ジャン(あれ……仕事場で関わるのもダメなんだろうか)

――26:42――

ユミル「たっだいまー、ん?寝てんのか」

クリスタ「……」

ユミル「なんだよ、起きてたなら返事くらいしろよな」

クリスタ「……」

ユミル「お前がいきなり誰にも会いたくないから出掛けないってんで。ガッカリしたライナーが酒飲み過ぎて酷かったんだからな」

クリスタ「ねぇ、ユミル」

ユミル「なんだよ」

クリスタ「私捨てられちゃった。ものすごくあっさり。なんでこんな結果になったのかな」

ユミル「なるようにしてなった結末だろ?今は、気持ちの整理がつかなくてもしょうがないけどな」

クリスタ「……」

ユミル「……まさか本気になってた訳じゃないよな」

クリスタ「殺してやりたいとは思ったよ。アニが死ねば良いのにって」

ユミル「自分の手汚しても破滅しか無いぞ。アルミンに恨まれて余計に嫌われるだけだ。選ばれなかったなら事実を受け止めるしかない」

クリスタ「……そんな器用に割りきれないよ」

ユミル「お前、不器用な生き方してるもんな」

クリスタ「やっぱり、自分が捨てられたの認めたくない」

ユミル「どうにもならねぇよ。これが、ただの恋愛なら奪い取れば良いだけだが。相手は既婚者なんだからな」

クリスタ「奪い取れば良いじゃない」

ユミル「法律が許さない。まして殺人なんかは絶対に許されない」

クリスタ「やだ!アルミン欲しい!ただアニと結婚したのが私より早かったってだけだし!」

ユミル「私は止めたぞ」

クリスタ「諦めきれない。絶対に……絶対私の……」

ユミル「……」

ここまで。寝る。

>>1は九州の人かな?
サシャの方言に違和感なくて嬉しい

他のssだと違和感ありまくりのが多いし

>>469
同意。
自分九州やけど「起きんね!」とか九州特有な気がする。

>>469
同意。
自分九州やけど「起きんね!」とか九州特有な気がする。
続き楽しみ。

――月曜日――

アルミン「本当に病院一人で大丈夫?」

アニ「大丈夫。今日は調子も良いから」

アルミン「……」ギュッ

アニ「なに?」

アルミン「どっちでも結果がわかったらメールしてね」

アニ「うん」

アルミン「じゃあ行ってきます」

アニ「行ってらっしゃい」

アニ(どこの産科が良いのかな。調べるのだけでも手伝ってもらうべきだったかも)

アニ(……素直に頼れるようになれる気がしてきた。身体も少しだけ軽い)

――――

アルミン(……どっちかな。僕としてはアニが幸せになれるように努力するだけなんだけど)

クリスタ「アルミン!」

アルミン「え?」

クリスタ「おはよう」

アルミン「お、おはよう……なんで会社の近くに」

クリスタ「アルミンに逢いたかったから。あとね、私ユミルのやってるお店で働くことになったの」

アルミン「それって」

クリスタ「私もこっちに住むから。よろしくねってこと」

アルミン「嘘だ……そんな」

クリスタ「私諦めた訳じゃないから」

アルミン「でも僕にはアニが」

クリスタ「そうだよね。アニが妊娠してたらアルミン大事な時期だもんね」

クリスタ「だけど、私にはなにも無いから。アルミンの家庭ぶち壊しちゃうかも?会社も知ってるし」

アルミン「……」

クリスタ「これって脅迫になるかもだけど……アニが大事ならわかるよね。私アルミンはほしい」

クリスタ「でもアニは要らないから」

アルミン「わかった。わかったからアニに妙な真似はしないで」

クリスタ「うん。よろしくね。私のアルミン」

――7:20――

ジャン「じゃあ行ってくるから。二日酔いなら休んどけよ?」

サシャ「行ってらっしゃい……」

ジャン「なんて顔してんだお前。昔は酒強かっただろうが」

サシャ「そりゃ久しぶりに飲んだかいよ。……はよ帰ってきてね?」

ジャン「いつも通りだ」

サシャ「待っとるよ?」

ジャン「おう、じゃあな」

サシャ「うん」

サシャ(……仕事は仕事。我慢せんと。約束したんやしジャンを信じるんよ。うん)

サシャ「さすがに飲みすぎたぁ……」

――――

ジャン(今日も快晴か。暑くなりそうだ)

ジャン(ん?あれってクリスタとアルミンだよな)

ジャン(おぉ……アルミンが死にそうな面してる。反対にクリスタは笑顔だが……なんかこえぇ)

ジャン「おう、アルミン」

アルミン「……あっ、おはよう」

ジャン「さっきのクリスタか?」

アルミン「うん。ちょっとね」

ジャン「なんか顔が青ざめてたからなんかあったのかと」

アルミン「本当に何でもないよ」

ジャン「そうか」

――7:05――

エレン「先行くわ」

ミカサ「行ってらっしゃい」

エレン(ミカサのやつ携帯買ってたみたいだが。やっぱりジャンの奴か?)

エレン(まぁ俺にはどうでもいいんだけど。1月くらいは傍観しとくか)

エレン(機械に金賭けるより、身近な人間ドラマ観察のが面白くなってきたからな)

エレン「はは、早く全部ぶっ壊れたら面白いのに」

エレン(ジャンの奴もジャンの奴だ。ミカサのことが何もわかっちゃいない)

――7:22――

ミカサ(行こう。あっ携帯忘れずに持たないと)

ミカサ「……」

ミカサ(エレンは私が携帯買ったの知ってるはずなのに、なにも言ってくれない)

ミカサ(やっぱり興味が無いんだ。でもジャンなら喜んでくれる)

ミカサ(エレンとは夫婦で一緒の時間が多いけど。ジャンは違うから、連絡取れる手段があったら嬉しいはず)

ミカサ「昼休みに話しかけよ。ゆっくり話がしたい」

ミカサ(良い天気、夏は空が明るくて綺麗だ)

――11:25――

アニ(やっぱり妊娠してた。メールしとこうかな。でもお昼で良いか。今は仕事中だろうし)

アニ(優しそうな先生だった。旦那さんとの協力が大切、か)

アニ(……でも素直に喜べないのが複雑。本当に喜んでくれるのかな)

アニ(こういう時の話がしたいけど、周りで子供いる知り合いいない)

アニ(暑い。バス早く来ないかな。あと数分だけどやけに長く感じる)

アニ「やっぱり、今の内にメールしておこう」カチカチ

――12:05――

エレン「アルミン昼飯食おうぜ」

アルミン「うん」

――――

エレン「でさー祭りの時は面白くてな。サシャとは深夜3時くらいまでダラダラしてたんだが――」

アルミン「そうなんだ」

エレン「――しかも、ミカサの奴携帯まで買ってるし、最近身の回りが面白くて堪らない」

アルミン(メール来てた。!!)

エレン「どんな結末になんのかねぇあの夫婦」

アルミン「あのさ」

エレン「なんだ?」

アルミン「エレンってアニとその……したんだよね?」

エレン「したぞ」

アルミン「そっか。嘘じゃなかったんだ」

エレン「この前言ったろ。アニどうかしたのか?」

アルミン「妊娠したらしい」

エレン「……よ、良かったな。これでアルミンも子持ちだな」

アルミン「そうだね」

エレン(俺じゃないよな。いや、避妊が完全じゃなかったのか……?)

アルミン(エレンの子なんだろうな。どうなんだろ、現実はやっぱり重いや)

アルミン(でも一番辛いのはアニなんだ。うん。僕はアニを守る。なにがあっても絶対に)

――12:10――

ミカサ「ジャンちょっと良い?」

ジャン「お、おう」

ジャン(サシャと約束したし大丈夫だ)

――――

ミカサ「昨日、かけ直してくれなかった」

ジャン「すまん。サシャと飯食いに行ってたから」

ミカサ「……」

ジャン「あのな、サシャと話し合ったんだが「メールなら大丈夫?」

ジャン「は?」

ミカサ「電話はサシャがいるからダメ。自分なりに学んだ。連絡を取る手段は電話以外にも色々ある」

ジャン「いや、そういうことじゃ……」

ミカサ「ジャンはメール以外になにかやってる?」

ジャン「いや、そういうめんどくさいのはやって無いが」

ミカサ「ならメールで良い。打ち方も覚える。エレンとは家で話せるから問題ない、ので」

ミカサ「ジャンとはメールする。サシャが要るから電話出来ないならメールで良い」

ジャン(これは裏切りになるのか?)

ジャン(いや、こんなのは誰でもやってるただの交流だ)

ジャン「わかった」

ミカサ「良かった。拒否されると思っていたから」

――18:35――

アルミン「……」

クリスタ「お仕事お疲れさまアルミン。ちゃんと来てくれたんだね」

アルミン「来なかったら……。でメールが終わってれば来るよ。それで何か用?」

クリスタ「何もないよ」ギュッ

アルミン「ちょっと!?」

クリスタ「2つ約束ね」

クリスタ「これから、毎日少しの時間で良いから私と逢うこと」

クリスタ「私が満足するまで抱きしめられること。これだけ守ってくれたら良いよ」

アルミン「……無理だよ。僕にも生活があるんだから」

クリスタ「気にしなくて良いよ。アルミンが来るまで何時間でも待つから」

アルミン「……何がしたいの」

クリスタ「困らせたいだけかな?理由なんてなんでも良いの」

アルミン「それでアニには関わらないんだよね」

クリスタ「うん。アニなんていてもいなくても私には正直どうでも良いから」

クリスタ「アルミンが私に逢いに来てくれるのが大切なんだよ?」

アルミン「本当に2つだけなんだよね」

クリスタ「うん。それだけは本当」

アルミン「……わかった」

――19:40――

アルミン「ただいま」

アニ「おかえり」

アルミン「アニ」ギュッ

アニ「どうかした?」

アルミン「……絶対にお腹の子と3人で幸せになろうね」

アニ「……そうだね。そうなれたら嬉しいよ」

アルミン(負けない。もともと全部僕が悪いんだ。アニは被害者なんだから、不幸になんかさせない)

アニ(……嬉しいけど、今朝と違う匂いがする。他の女の匂い)

アニ(本当に信じて良いのかな。わからないよ……)

寝る。

前半おかしい箇所あったんで修正した完結済みでスレ立てるのでこれは落としてください。

検索しないからまだ残ってると思わなかった。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年08月30日 (金) 23:41:34   ID: bWuX7T4N

完結してくれよ・・・続きが見たい・・・

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