キツネ「飯食いに行こうぜ」タヌキ「デート?」キツネ「違うよ」 (20)

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カリカリ

キツネ「おーい、いるかー?」

………………

キツネ「……?おーい」

?「……はいはーい」

ガサガサ……

………………

キツネ「ん?」

?「ふ、ふわぁっ!」

ガサガサッ!ガサガサッ!

ズザザザッ!

………………

キツネ「……おい、何やってんだよ」

ガサッ

……ズルッ!

キツネ「どわっ!」

ズザザザッ!

……ドサッ!

キツネ「わわっ!」

?「きゃあっ!」

キツネ「……いってえ……何だよこれ」

?「ちょっと、一人暮らしの女子タヌキの部屋に入って来る時はもうちょっと……」

キツネ「お前がなかなか出て来ないからじゃねえか……何だ、この大量の葉っぱは」

タヌキ「最近さあ、ちょっと寒くなって来たじゃん?で、防寒対策で穴ぐらの入口に葉っぱ
敷き詰める事にしたんだ」

キツネ「で?」

タヌキ「……たくさん葉っぱ敷きすぎちゃったから、滑って出らんなくなっちゃった」

キツネ「……アホだろ」

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タヌキ「きゅう、アホとはひどいなあ!」

キツネ「何日ぐらい閉じ込められてたんだよ」

タヌキ「……一昨日あたりかなあ」

キツネ「もし俺が来なかったらどうするつもりだったんだよ」

タヌキ「うーん、それもそうだね」

キツネ「ダメだこいつ、危機感がまるで無い」

タヌキ「ところでキツネ君、どーしたの?」

キツネ「ああ、いつも日曜日は山降りたとこの鉄造爺さんが野良猫とかに餌あげてるんだ。
俺、たまにもらってるからよ、お前も誘おうと思ってさ」

タヌキ「あー、いいなあ」

キツネ「だってお前、野良猫とか苦手じゃねえか。こないだだって向こうの獣道猛ダッシュで
追っかけられてたし」

タヌキ「だってあの娘たちすぐ怒るんだもん……」

キツネ「大丈夫だよ、シャーされたらやり返してやればいいし、鉄造爺さんがいるから
大人しいよ」

タヌキ「うーん……」

キツネ「まあ、気が乗らねえんなら無理にとは言わないけどな。こないだは爺さんがお中元に
もらったサーロインステーキが……」

タヌキ「早くっ!早くっ!行こっ!」

ダダダダダッ!

キツネ「……単純だよなあ」

タヌキ「きゃあっ!」

ズザザザッ!ドサッ!

俺のケモナー探知機に引っかかって来たんだが、これはケモノ?ケモ耳?

>>3
キツネとタヌキそのまんまです
擬人化もしてません

キツネ「おっすー、鉄造爺さん、ご馳走になりに来たぜ」

タヌキ「………………」

キツネ「……何やってんだよ」

タヌキ「……猫いる?」

キツネ「……いないよ。今日は俺達だけみたいだな」

鉄造「おーキー太郎、今日はお前さんか」

タヌキ「ぷふっ」

キツネ「何だよ」

タヌキ「き、キー太郎だって」

キツネ「うるせえなあ、俺らみたいな野良キツネが名前付けて貰えるだけありがてえだろうがよ」

鉄造「済まんなキー太郎、今日はあいにくとこんな混ぜ飯しか無いんじゃ」

キツネ「いやいや爺さん、俺達みたいな野良は餌を頂けるだけで……」

タヌキ「はふっ!はふっ!キツネ君、この混ぜご飯おいしいよ♪」

キツネ「……お前はなー……」

鉄造「おうおう、こっちの狸坊は新顔じゃな」

タヌキ「はふっ、はじめまして♪」

キツネ「……爺さんに俺達の言葉は通じないし、挨拶すんならせめて食うのやめてからにしろよ」

タヌキ「きゅうん」

鉄造「そう言えば狸と狐が一緒に来るなんぞ珍しいな。まさかお前さん達、つがいと言う訳
じゃなかろ?」

キツネ「んな訳ないじゃないっすか、爺さん」

タヌキ「ねー、つがいってなぁに?」

キツネ「動物界で言う夫婦だよ」

タヌキ「ふうん。でもさあ、キツネ君って、確かまだ童貞」

キツネ「それ以上言ったら割と本気で噛みつく」

鉄造「さあて、わしもお前さん達に付き合うとするかの……よっこいしょ」

キツネ「んあ?爺さん、どこへ……」

タヌキ「……ん?」クンカクンカ

キツネ「何だよ、何か匂うのか……うわっ、この匂いは……」

タヌキ「わぁっ!焼酎だ、焼酎っ!あたし、焼酎だぁい好き!」

キツネ「どわっ、いきなり何だよ!」

鉄造「おやおや狸坊、どうしたんじゃ?」

タヌキ「ねえお爺さん、ちょうだい!焼酎ちょうだい!」

キツネ「焼酎くれって……お前、酒なんか飲むのかよ」

タヌキ「えー?キツネ君、タヌキの置物とか見た事無いの?みーんな酒瓶持ってるよ」

キツネ「あー……そう言や通い帳まで持ってるもんな」

鉄造「そうかそうか、お前さん達喉が乾いておるのか」

タヌキ「そうそう!お爺さんさすが!」

鉄造「どれどれ、牛乳を入れて来てやるからちょっと待っとりなさい」

タヌキ「ふにゃ……」

キツネ「諦めろって、爺さんはともかくタヌキのお前が飲んだら肝臓ぶっ壊すぞ」

鉄造「ほうれ、冷たいからな、ゆっくり飲め」

タヌキ「……いただきまぁす」

ペロペロ ペチャペチャ

タヌキ「……牛乳割り……」

キツネ「しつこいぞ」

タヌキ「ふう、食べた飲んだお腹いっぱぁい」

キツネ「爺さんごっそさん」

タヌキ「ごちそうさまでしたぁ♪」

鉄造「おう、お前さん達、もう帰るのか」

タヌキ「………………」

タヌキ「……お爺さん、一人暮らしなの?」

キツネ「そう言やあんまり気にした事ないけど、爺さん以外の人間見た事ねえな」

タヌキ「お爺さん、寂しそう……このあたりにお家ってここだけだし」

キツネ「そう言えば、今度ここいらへんにショッピングモールが出来るらしいな」

タヌキ「へえ、そうなの?」

キツネ「新しい道路も出来るってよ。ったく、俺達の住処がどんどん狭くなりやがるぜ」

タヌキ「それは仕方ないよ」

キツネ「……おっと、もう夕方じゃんか。おい、暗くならねえうちに、お前のねぐらの葉っぱ、
何とかした方がいいんじゃねえのか?」

タヌキ「………………」

キツネ「……解ったよ手伝うよ」

タヌキ「ありがと♪」

キツネ「じゃあな、爺さん」

タタタタタッ

ブロロロ……

タヌキ「わぁっ!車が来たっ!」

………………

キツネ「……お前、車が来たらフリーズする癖治さないと危ないぞ……」

タヌキ「だってぇ……」

キツネ「ん?あの車、爺さんちに行くぞ?」

タヌキ「あ、ホントだ……あ、キツネ君、早く帰らないと!」

キツネ「へいへい」

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