波平「カツオ、今日という今日は許さんぞ! お前は磯野家の長男でありながらなんだその腑抜けた態度は!」
カツオ「ご、ごめんよ……」
波平「徹底的に鍛え直してやる!」
今日もまたはじまる。
眠れない夜が……。
朝。
僕の身体は顔以外の部分は出血し、腫れあがっていた。
父さんは服で隠れるところしか殴らない。
波平「飯は抜きだ。帰ってきたら続きをする」
狂っている。
僕はもう限界だった。
でも……
タラオ「カツオ兄ちゃん大丈夫ですか? こっそりおにぎり持ってきたです。おじいちゃんには秘密にして下さい」
この家で僕の味方はタラちゃんとマスオ兄さんだけだった。
でも僕には耐え切れない。
二人とも波平の能力の前には無力だ。
一度、マスオ兄さんが僕を庇って父さんと一戦交えたことがある。
でも、「拳骨の波平」の前ではB級のマスオ兄さんさえ瞬殺だった。
僕はもう限界だった。
このことを警察にリークすると誓って僕は家を出た。
マスオ「おーい、カツオ君!」
カツオ「マスオ兄さん、どうしたの?」
家を出て少し離れたところでマスオ兄さんが声をかけてきた。
マスオ「大丈夫かいカツオ君? 力になれなくて本当にすまない」
カツオ「仕方ないよ……。マスオ兄さんのせいじゃない」
マスオ「……カツオ君、僕と一緒にあの家から逃げないか?」
カツオ「えっ……?」
マスオ「僕ももう限界なんだ! カツオ君もだろう? 二人で逃げよう!」
カツオ「でもそれならタラちゃんも……」
マスオ「タラちゃんは波平のお気に入りだから大丈夫さ。それにタラちゃんの能力は強力だけどまだ子供だ。足がつきやすくなる」
結局、はっきりとした返事をしないまま僕は学校へ来た。
中島「どうしたんだよ磯野? いつもにもまして顔色が悪いぞ」
カツオ「へ、平気だよ」
中島「何かあったら相談しろよな。そうだ! 放課後、野球しないか?」
カツオ「ごめん、今日は……」
中島「磯野……」
悪い中島。
僕は今日でお前に二度と会えなくなるかもしれない。
放課後、僕の足は警察署に向かっていた。
マスオ兄さんに迷惑はかけられないし、逃げても根本的な解決にはならない。
きっと父さんは地の果てまで僕らを追ってくるだろう。
ワカメ「あら? お兄ちゃん、どこ行くの?」
ワカメ「勝手な行動しちゃ駄目じゃない」
カツオ「あ、ああ……」
身体が動かない。
ワカメの能力が発動する……。
マスオ「伏せろ! カツオ君!」
突然の突風がワカメを襲った。
だが、ワカメは警戒なみのこなしでそれを避ける。
マスオ「気付かれた! 逃げるぞ! カツオ君!」
フネ「あら誰から逃げるんですか? 『疾風のマスオ』さん?」
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