カツオ「戦わなくちゃ……生き残れない……!」 (25)

波平「カツオ、今日という今日は許さんぞ! お前は磯野家の長男でありながらなんだその腑抜けた態度は!」

カツオ「ご、ごめんよ……」

波平「徹底的に鍛え直してやる!」

今日もまたはじまる。

眠れない夜が……。

朝。

僕の身体は顔以外の部分は出血し、腫れあがっていた。

父さんは服で隠れるところしか殴らない。

波平「飯は抜きだ。帰ってきたら続きをする」

狂っている。

僕はもう限界だった。

でも……

タラオ「カツオ兄ちゃん大丈夫ですか? こっそりおにぎり持ってきたです。おじいちゃんには秘密にして下さい」

この家で僕の味方はタラちゃんとマスオ兄さんだけだった。

でも僕には耐え切れない。

二人とも波平の能力の前には無力だ。

一度、マスオ兄さんが僕を庇って父さんと一戦交えたことがある。

でも、「拳骨の波平」の前ではB級のマスオ兄さんさえ瞬殺だった。

僕はもう限界だった。

このことを警察にリークすると誓って僕は家を出た。

マスオ「おーい、カツオ君!」

カツオ「マスオ兄さん、どうしたの?」

家を出て少し離れたところでマスオ兄さんが声をかけてきた。

マスオ「大丈夫かいカツオ君? 力になれなくて本当にすまない」

カツオ「仕方ないよ……。マスオ兄さんのせいじゃない」

マスオ「……カツオ君、僕と一緒にあの家から逃げないか?」

カツオ「えっ……?」

マスオ「僕ももう限界なんだ! カツオ君もだろう? 二人で逃げよう!」

カツオ「でもそれならタラちゃんも……」

マスオ「タラちゃんは波平のお気に入りだから大丈夫さ。それにタラちゃんの能力は強力だけどまだ子供だ。足がつきやすくなる」

結局、はっきりとした返事をしないまま僕は学校へ来た。

中島「どうしたんだよ磯野? いつもにもまして顔色が悪いぞ」

カツオ「へ、平気だよ」

中島「何かあったら相談しろよな。そうだ! 放課後、野球しないか?」

カツオ「ごめん、今日は……」

中島「磯野……」

悪い中島。

僕は今日でお前に二度と会えなくなるかもしれない。



放課後、僕の足は警察署に向かっていた。

マスオ兄さんに迷惑はかけられないし、逃げても根本的な解決にはならない。

きっと父さんは地の果てまで僕らを追ってくるだろう。




ワカメ「あら? お兄ちゃん、どこ行くの?」

ワカメ「勝手な行動しちゃ駄目じゃない」

カツオ「あ、ああ……」

身体が動かない。

ワカメの能力が発動する……。

マスオ「伏せろ! カツオ君!」

突然の突風がワカメを襲った。

だが、ワカメは警戒なみのこなしでそれを避ける。

マスオ「気付かれた! 逃げるぞ! カツオ君!」

フネ「あら誰から逃げるんですか? 『疾風のマスオ』さん?」

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