泣き虫ミカサ「恋愛感情?」(103)
書き終わってるのでどんどん投下しやす。
お願いしゃす。
ある日の訓練後、食堂
エレン「あー、疲れたぁ。今日の訓練は死にかけた」
ミカサ「それは仕方ない。エレンが座学で寝てたから」
エレン「だからって、俺だけ訓練せずにランニングって納得いかねぇ」
アルミン「でも、あれだけ走ってまだ息していられるんだから、エレンの生命力はすごいね」
エレン「だから死にかけたって言ってるだろ。お前はいいよな、座学じゃトップだもんな」
アルミン「そりゃ、……僕にはそれしか特技無いし……」
エレン「うー、ダメだ、疲れ過ぎてゲロ吐きそう……」
サシャ「あ、じゃあ、そのパン、私がもらっていいって事ですか?」ヨダレダラダラ
ミカサ「ダメ。それはエレンのもの」
エレン「いいよ、やるよ。マジで食える気がしねぇ」
ミカサ「エレン、ちゃんと食べなきゃダメ。特に今日は体力を使ったのだから、食事はしっかりしないと」
エレン「いいって。今日は今すぐ部屋に戻って寝たい位だからな」
ミカサ「ダメと言っているの。あ、サシャ! エレンのパンに手を出さないで!」ギロ
サシャ「ぅひっ……、す、すみません」ビクビク
エレン「おい、ミカサ。俺がいいって言ってるんだからいいんだよ」
ミカサ「でも……」
エレン「何で俺はお前に食事の管理までされなきゃならねぇんだよ」
ミカサ「だって、私はエレンの家族。エレンが心配」
エレン「もうそういうのはいい。お前は俺に構い過ぎなんだよ」
ミカサ「違う。エレンは私がいないと死んでしまうから」
エレン「死ぬかよ。それはお前の勝手な思いこみだろ? 俺は一人だってやっていける」
ミカサ「ダメ、エレンには私がいないとダメ」
エレン「ったく、そういうの、いいかげん鬱陶しいんだよ!」ニラミ
ミカサ「でも……」シュン
アルミン「やめなよ、二人とも」オロオロ
エレン「……フン」
ミカサ「……」
アルミン「エレンはきっと、疲れて気が立ってるんだよ。ほら、いつもみたいに仲良くして」ニコ
エレン「……分かった。言い過ぎたよ。メシは食う」パンパクパク
ミカサ(あ……、良かった)
エレン「でも、ミカサ、これは言っておくけどな、俺とお前が家族なら、ここにいる訓練兵全員が家族だ」
ミカサ「……?」
エレン「つまりだよ、お前と俺は一緒に住んでたから家族だった。じゃあ、今一緒に住んでる訓練兵とはどうだ?」
ミカサ「……家族?」
エレン「そういう事。お前だけが家族じゃない。それはお前だって同じだろ?」
ミカサ「私は、エレンだけが家族。エレンが大事」
エレン「やめろって言ってるだろ。そんな事言ってるから、周りに馴染めないんだからな」
ミカサ「私はエレンがいれば……」
エレン「その考えやめろよ。俺はずっとお前に監視されながら生きていけってのか?」
アルミン「エレン! やめなって言ってるじゃないか。ほら、ミカサが……」
ミカサ「……」シュン
エレン「…………」パンモグモグ
サシャ「で、あのー、結局パンはもらえないんですかね……?」
アルミン(ああああ、何でこの人はこんなに空気が読めないんだ)
女子宿舎
ミカサ(エレンの言葉が、頭から離れない)
ミカサ(訓練兵みんなが家族)
ミカサ(家族……、それは私だけに許された特別な事だと思ってたのに)
ミカサ(エレンはそう思って無いという事? 私は特別ではない?)
ミカサ(そんなのはどうでもいいはず。エレンがどう思っていようと、私がエレンの傍にいれば)
ミカサ(だけど、凄く嫌な感じになる)
ミカサ(これは何だろう。胸がちくちくする。痛い……。今までこんな事無かったのに)
ミカサ(この、よく分からない気持ちは何?)
ミカサ(エレン……)マフラーギュッ
次の日。
午前
対人格闘術
ミカサ(エレンは……、たまにはエレンと一緒に……)キョロキョロ
ジャン「おい、ミカサ、俺と組もうぜ」
ミカサ(エレン……、いた)
ジャン「聞けってミカサ、俺と……」
ミカサ(あ……、エレン、またアニと一緒に組んでる)
ミカサ(最近いつも対人格闘術の時はアニといる。そして、どんどん対人格闘術の腕が上がってる)
ミカサ(アニもエレンにとっては家族の一人)
ミカサ(…………)
ミカサ(近くに、行けない……)
ミカサ(エレンが、とても遠くに感じる……)
ミカサ(……っ! またこの感じ。胸が……)チクチク
ジャン「ミカサ! ミカサ! おい! どうしたんだよ」
ミカサ「あ、ジャン。いつからそんな所に?」
ジャン「いつから? じゃねーよ。俺の声聞こえてなかったのか?」
ミカサ「全く」
ジャン「 」
午後
立体起動訓練
ミカサ(さっきの胸の痛みが引かない。どうしたのだろう?)
ミカサ(アニといるエレンを見てからこうなった)
ミカサ(エレン、エレンはどこにいるのだろう? エレンと話をすれば少しは良くなりそうな気がする)
ミカサ(話をしたい。……エレンの声が聞きたい)
キース教官「アッカーマン! ぼーっとするな!」
ミカサ「え、あ、はい!」
パシュッ
ミカサ(あっ、ワイヤが木の枝に!)
ザザ゙ッ ドンッ
ミカサ(痛……)
キース教官「アッカーマン!!」
ミカサ「すみません! もう一度……」
キース教官「いや、もういい。集中できない者は訓練に参加する資格は無い」
ミカサ「できます!」
キース教官「黙れアッカーマン。今日の貴様は集中力を欠いている。食堂か宿舎にでも行って頭を冷やしてこい!」
ミカサ「……はい」シュン
食堂
ミカサ(私は自分を完璧に支配できるはず。こんな事は初めてだ)
ミカサ「痛い……」
ミカサ(胸が、痛い……、苦しい……)
ミカサ(このままでは訓練に支障がでる)
ミカサ(エレン……、エレンと話ができたらきっと……)
ガチャ
アルミン「あれ? ミカサ?」
ミカサ「アルミン、どうしたの? 訓練は?」
アルミン「僕、怪我しちゃって……」
ミカサ「怪我!? どこを? 大丈夫?」
アルミン「大丈夫だよ。もう手当してもらってるし。……その、よくある事だし」
ミカサ「そう」
アルミン「それより、訓練中にミカサがこんな所にいるなんて珍しいね。ミカサも怪我したの?」
ミカサ「違う」
アルミン「じゃあ、どうしたの?」
ミカサ「頭を冷やせと言われた」
アルミン「ええっ!? ミカサが?」
ミカサ「今の私は、訓練に集中できない」
アルミン「どういう事?」
ミカサ「分からない」
アルミン「分からないの? 何かあった?」
ミカサ「……エレン」
アルミン「エレンがどうかした?」
ミカサ「エレンと話ができれば、何とかなるかもしれない」
アルミン「? ……エレンと喧嘩でもしたの?」
ミカサ「してない。でも……、エレンの声を聞いて安心すれば何とかなりそうな気がする」
アルミン「安心、て。何か不安な事があるの?」
ミカサ「不安……」
ミカサ(この気持ちは、不安に似た何かのような気がする)
ミカサ(でも、それとは違う)
ミカサ(この痛みに近い言葉を探すとしたら)
ミカサ(悲しい? 寂しい? 苦しい……、どれ?)
ミカサ(分からない……、これが何か分からない)
ミカサ(分からない……、分からない……!)
アルミン「大丈夫? 汗すごいよ」
ミカサ「アルミン、分からない、分からないの」ポロポロ
アルミン「ミカサ……、どうしちゃったの? エレンに何か言われたの?」
ミカサ「違う。私がおかしい……」ポロポロ
アルミン「突然こんな風になっちゃうなんて、何か原因があるはずだよ。何でもいいから、思いつく事話してみて」
ミカサ「エレン……、ぐすっ、エレンと、アニが、格闘術で一緒で……、ぐすっ」ポロポロ
アルミン「うん」
ミカサ「最近いつも一緒で……、アニも、家族の一人で……」ポロポロ
アルミン「家族って、あ、昨日の……」
ミカサ「それで、胸が痛い……、ぐすっ、……分からない」ポロポロ
アルミン「昨日エレンが言った事は気にする事無いよ。確かにここのみんなは家族のように暮らしているけど、ミカサは特別だよ」
ミカサ「特別ではないと、エレンは思っている。……ぐすっ、でも、私にとってエレンは特別」ポロポロ
アルミン「うん」
ミカサ「何もおかしい事は、無い。それなのに……、ぐすっ、痛い。……苦しい」ポロポロ
アルミン「そっか。……それは、仕方ないよ」
ミカサ「なぜ? アルミンには理由が分かるの?」ポロポロ
アルミン「それはだって、ミカサはエレンの事が好きだから」
ミカサ「好き。……ぐすっ、でも、それなら私はアルミンも好き」ポロポロ
アルミン「う、えーと、だからそういうのじゃなくて、何て言うのかな、恋愛感情だよ」
ミカサ「恋愛感情? ……ぐすっ、それがあると、こんなに痛いの?」ポロポロ
アルミン「うん、……多分。僕はまだ経験が無いからよく分からないんだけど」
アルミン「ミカサがエレンにとって特別じゃないと感じちゃったから、だから辛いんじゃないかな」
ミカサ「それが、こんなに辛い、ぐすっ……」ポロポロポロポロ
アルミン「ミカサ……」オロオロ
ミカサ(私がエレンを思っていたのは恋愛感情)
ミカサ(言われて初めて分かった気がする。こんなにもエレンが愛おしくて傍にいたくて、それができないのが辛いと)
ミカサ(でも、そう思っていたら、エレンにまた鬱陶しいと思われてしまうかもしれない)
ミカサ「アルミン、私はどうしたらいい?」ポロポロ
アルミン「それは、エレンがミカサにも同じ事を思っていれば……」
ミカサ「思っていなかったら……?」ポロポロ
アルミン「……ごめん、それは、僕もよく分からない」オロオロ
ミカサ(アルミンにも分からない事があるなんて)
ミカサ(エレン……、私はあなたの特別にはなれないの……?)
アルミン「ミカサ、まずは涙を拭いて。エレンがどう思ってるのか、僕もそれとなく聞いてみるから」
ミカサ「うん……、ぐすっ」ゴシゴシ
アルミン「ほら、みんながもうすぐ戻ってくるよ」
ミカサ(窓から戻ってくる訓練兵達が見える)
ミカサ(遠くにいるのに、エレンだけはすぐに分かる)
ミカサ(エレン)
ミカサ(エレン……、あなたが好き)
ミカサ(エレン、あなたが、とても愛しい……)ポロポロ
ミカサ(涙が止まらない……)ポロポロポロポロ
ミカサ「アルミン、……ぐすっ、今日は宿舎に戻る。こんな顔ではここにいられない」ポロポロ
アルミン「ミカサ……」
宿舎
ミカサ(エレンとは訓練兵になる前いつも一緒にいた)ポロポロ
ミカサ(あの頃に戻りたい……)ポロポロ
マフラーギュッ
次の日
ミカサ(目が腫れてる)
ミカサ(昨日泣きすぎたせいかもしれない。朝食の時にエレンはどうしたのか聞いてくるだろう)
ミカサ(どう言えばごまかせるだろう)
ミカサ(…………)
ミカサ(朝食は、取らなくていい。訓練にだけ行こう)
午前
対人格闘術
ミカサ(今日も対人格闘術)
ミカサ(そして今日も、エレンは……)チラ
ミカサ(アニと組んでる)チクチク
ジャン「ミカサ、また一緒に組もうぜ」
ミカサ(このままだとまた、昨日の私みたいになってしまう)
ジャン「おい、また聞こえてねーのか」
ミカサ(別にアニがエレンの特別だと決まった訳じゃない)
ジャン「ミカサ!」
ミカサ「あ、ジャン」
ジャン「今日こそやってやるぜ。たまにはいい所見せないとな」
ミカサ(集中しよう)
ミカサ「よろしく」
ジャン「あ、珍しく素直じゃ……、あれ? お前、目が腫れてねーか?」
ミカサ「……っ」
ジャン「おいおい、隠すなって、どうしたんだ?」
ミカサ「…………」
ジャン「そういや朝食にも居なかったよな、具合悪いのか?」
ミカサ「…………」
ジャン「昨日も立体起動訓練中から消えちまったし、どうしたんだ?」
ミカサ「……ジャンは」
ジャン「ん?」
ミカサ「ジャンは、誰かに恋愛感情を持った事、ある?」
ジャン「へっ……?」
ミカサ「聞こえなかった? 恋愛感情を持った事があるのかと聞いているの」
ジャン「いや、聞こえてるけど、と、突然過ぎて……」
ミカサ「じゃあ、どうなの?」
ジャン「どうなのって、そ、そりゃあ、あるよ、一応」///
ミカサ「辛い? 苦しい? なぜ普通にしていられるの?」
ジャン「ちょ、ちょっと待てよ、……ってか、何でお前からそんな事……」///
ミカサ「聞きたいの」
ジャン「どうしたんだよミカサ。も、もし、その相手が知りたいってのなら……」ポリポリ///
ミカサ「それはいい」
ジャン「 」
ミカサ「私は……、苦しい。アルミンでもどうすればいいのか分からないと言っていた」
ジャン「はぁ……、チッ、そういう事か。ま、いいけどな、分かってた事だし」
ミカサ「もし、恋愛感情を持っている相手が、自分に恋愛感情が無かったら、どうしたらいいか教えて欲しい」
ジャン「ったくよぉ、お前が言うか、お前が……」ブツブツ
ミカサ「教えて。その時にはもう近くに居られない?」
ジャン「は? そんな事は無いだろ」
ミカサ「なぜ」
ジャン「別に相手にされてなくったって、悪い事ばかりじゃないさ」
ミカサ「どういう意味?」
ジャン「例えばな、訓練だってその好きな相手がいれば頑張ろうとか、強くなろうとか思うんだよ」
ミカサ「どうして?」
ジャン「一緒に対人格闘術やろうぜ、とかな。そうしたら気合いも入るだろ」///
ミカサ「……!」
ミカサ(一緒に……、対人格闘術……)
ミカサ(エレンは今日もアニと……、そして、実力もどんどん上がってきてる)
ジャン「あ、おい、ミカサ、どこ見てるんだよ。人の話聞けよ」
ミカサ(エレン、あんなに生き生きとアニと格闘術をやってる)
ミカサ(私といる時はあんな顔しないのに)
ミカサ(……エレン、……そうか、エレンは、アニを……)
ミカサ(あ、またこの感じが……)チクチク
ミカサ「…………」ポロポロ
ジャン「うぉっ! おい、ミカサ、どうした!?」
ミカサ(私は、……特別じゃ、なかった……)
ミカサ「ジャン……、私には、ぐすっ、……悪い事しか無い」ポロポロ
ジャン「ちょ、ちょ、ちょ、お前っ、何を見て……」チラ
ジャン「くそっ、アレか、ったくあのバカが……」
グイッ
ミカサ(ジャンが私の腕を引いて、泣いてるのが見えないように自分の肩に私を押しつけてる)
ジャン「ちょっと移動するぞ」
グイッ
キース教官から見えない場所
ジャン「とりあえず、ここなら大丈夫か、……多分」
ミカサ「…………」ポロポロ
ジャン「はぁ……、どうして今更恋愛感情なんて気にしだしたんだ?」
ミカサ「私は……、家族だと思ってて……、ぐすっ、それが、実際は、違った……」ポロポロ
ジャン「それにやっと気付いたってか。バレバレなのにな」
ミカサ「でも、エレンは他に、ぐすっ、……特別な人がいる」ポロポロ
ジャン「あー、アニを見てそう思ったのか」
ミカサ「……」コクン ポロポロ
ジャン「そんなの分かんねーじゃん。直接聞いた訳じゃないんだろ?」
ミカサ「……」コクン ポロポロ
ジャン「俺から見たら、お前らなんていつも一緒で夫婦みたいなモンだと思ってたけどな」
ミカサ「違う……、エレンは、そう思ってない……」ポロポロ
ジャン「だから、それは分からないだろ。……俺と違ってよ」ブツブツ
ミカサ「ジャン、……ぐすっ、私はどうしたらいい? このままでは、私はおかしいまま」ポロポロ
ジャン「じゃあさ、あの死に急ぎ野郎に言ってみたらどうだ?」
ミカサ「言う? ……何を?」ポロポロ
ジャン「何をって、そりゃ決まってるだろ。気持ちをだよ」
ミカサ「それをすると、何かが変わるの……?」ポロポロ
ジャン「変わるってか、うーん、まぁ、気は済むんじゃねーか。答えはあのバカが出してくれるだろ」
ミカサ「それではダメ。……ぐすっ、エレンに余計な負担をかけてしまう」ポロポロ
ジャン「いーんだよ、その位負担かけてやれ。お前さ、あいつを中心に考えすぎなんだよ」
ミカサ「私は、エレンの為に生きてるから……」ポロポロ
ジャン「チッ、あの野郎クソうらやましい……、いやそうじゃなくて、そんなに自分を犠牲にするなよ」
ジャン「現に今、お前はあの野郎への気持ちで苦しんでる。そして、この状態から抜け出したいと思ってる」
ジャン「それなら、悩んでても仕方ない。全部ぶちまけちまえよ」
ジャン「うまくいけばハッピーエンドだ。もし上手くいかなくたって、違う道が見えるようになるだろ」
ジャン「その位わがままになれよ」
ミカサ「でも……」ポロポロ
ジャン「じゃあ、今のままずっと悩んでいたいのか?」
ミカサ「……」フルフル ポロポロ
ジャン「俺達はいずれ訓練兵を卒業して、それぞれの道に進む。どうせあの死に急ぎ野郎は調査兵団に行くだろ」
ジャン「いつ死んだっておかしくない」
ミカサ「エレンは死なない。ぐすっ……、私が守る」ポロポロ
ジャン「バカ、そんな顔で言っても説得力ねーんだよ。つまりな、もしこのままでいてもきっと後悔するだろうって事だ」
ミカサ「言いたい事は、……分かった」ポロポロ
ジャン「それならやる事は一つだな。できそうか?」
ミカサ「……うん」ポロポロ
ジャン「よし、じゃあ、まずは涙を拭け、な?」
ミカサ「うん」ゴシゴシ
ジャン「はぁーーーーあ、くっそ、俺本当バカだなぁーーーー、ちくしょーーーーー」
ミカサ(エレンに気持ちを伝える)
ミカサ(エレンはびっくりするだろう)
ミカサ(そして、どんな答えを出すのだろう……)
ミカサ(エレン……、あなたを失いたくない)マフラーギュッ
※本当はここに分岐を入れたのですが、正規ルートでこのまま進みます。
別ルートのお話は、リクあれば後で入れます。
ミカサ(胸がドキドキしている)
ミカサ(こんな風になるのは久しぶりだ)
ミカサ(私は決めたんだ。エレンに気持ちを伝える事を)
ミカサ(今日、夕食が終わった後に言おう)
ミカサ(もう、どんな答えが出ても泣かない)マフラーギュッ
アルミン「あ、ミカサ、良かった、今朝も食堂に来なかったから心配したよ。もう大丈夫?」
ミカサ「ええ、大丈夫」
アルミン「エレンも心配してたよ? エレンも何か言ってあげてよ」
エレン「別にいいんじゃねーか。ミカサが自己判断でメシ食わなかったんだろ」
ミカサ(……あれ、エレンが私を見てくれない)
アルミン「エレン、そんな言い方……」
ミカサ「いい。それよりエレン、私あなたに話が……」
エレン「悪い。俺今日は他の場所でメシ食うわ」
ミカサ「え……っ?」
アルミン「ちょっとエレン、どうしたの?」
エレン「別に、たまにはいいだろ」
ガタガタッ
アルミン「あ、エレン、エレーン!」
ミカサ(エレンが、私を避けた……?)
ミカサ(エレンが向かった所)
ミカサ(……アニのいる場所)
ミカサ(手が、震える)プルプル
アルミン「ミ、ミカサ……」
ミカサ「心配しないで、アルミン。私は、大丈……、夫……」プルプル
ミカサ(泣かない! こんな所で泣いたらいけない)
ミカサ(折角の覚悟が台無しになってしまう)
…………
……
ミカサ(食事は喉を通らないまま)
ミカサ(さっきからアルミンが何か話しかけてくれている、のは、分かる)
ミカサ(でも、全然耳に入ってこない)
ミカサ(今少しでも気を抜いたら、私はまたくじけてしまう)プルプル
エレン「アルミン」
ミカサ「……っ!」
ミカサ(エレンの声が聞こえた。あ、アルミンの近くに)
ミカサ(言わなきゃ)
ミカサ「エレン、この後……」
エレン「アルミン、食事が終わったらちょっと話したいことがあるんだ」
ミカサ「待ってエレン、私話が……」
エレン「悪い、今日はアルミンと話があるんだ」
ミカサ「じゃあ、私も……」
エレン「お前は来るな。二人で話があるんだ」
ミカサ「…………そう」
アルミン(ああ、この空気重い。エレンのバカっ)
宿舎
ミカサ(お風呂に入った。布団にも入った)
ミカサ(もう、我慢しなくていいよね)
ミカサ「う……」ポロポロ
ミカサ(やっぱりダメかもしれない)ポロポロ
ミカサ(もう、気持ちを伝えようにもエレンに避けられてる)ポロポロ
ミカサ(私が何かしたのかもしれない)ポロポロ
ミカサ(家族どころか、友達でもない、それ以下の扱い……)ポロポロ
ミカサ(でも、だけど……)ポロポロ
ミカサ(それでも、私はエレンの事しか考えられない)ポロポロ
ミカサ(どうしてもエレンが好き)マフラーギュッ
ツンツン
ミカサ(……?)
ミカサ(いつの間にか寝ていたらしい)
ツンツン
ミカサ(誰かが、私をつついてる……?)
ミカサ(誰……?)
モゾモゾ
ミカサ「あ」
ハンナ「しーー、静かに」
ミカサ「?」
ハンナ「寝てる所ゴメンね。アルミンがミカサを呼んでるの」
ミカサ「アルミンが? こんな時間に」
ハンナ「とにかく来て。誰にも見つからないように」
ミカサ「うん……」
ゴソゴソ
ミカサ(アルミンが話って、何だろう?)
ミカサ(頭が痛い。泣きながら寝てしまったせいだろうか)
ザザッ ザザッ
ハンナ「ここね、夜こっそりフランツと会う場所なの」
ミカサ(頭がぼーっとする)
ハンナ「ちょっと待っててね」
ミカサ「うん」
ミカサ(頭痛のせいなのか、ふらふらする)
ミカサ(せめて座ろう。あの大きな石の上にでも)
ミカサ「ふぅ……」
ミカサ(ぼーっとしたままついてきてしまったけれど)
ミカサ(こんな時間にアルミンが私を呼び出すなんて、何の用だろう)
ミカサ(ぼんやりと、エレンの事かな、と思う)
ミカサ(エレンの、どんな事だろう?)
ミカサ(今日エレンと話をしたみたいだから、何かエレンから聞いたのかもしれない)
ミカサ(それは私にとっていい事なのか、悪い事なのか……)
ミカサ「寒い……」
ミカサ(夜風が服の隙間を通り抜けていく)
ミカサ(さみしい所)
タッタッタッ
アルミン「ミカサ」
ミカサ「アルミン、どうしたの?」
アルミン「ごめんね、急に呼び出して。……その顔、また泣いてたの?」
ミカサ「……」
アルミン「あ、あのね、多分できるだけ早い方がいいと思って。……その、ミカサが見てられなかったから」
ミカサ「何を?」
アルミン「うん、後ろに……、って、あれ?」キョロキョロ
ミカサ「どうしたの?」
アルミン「ついさっきまでいたのに……、エレン、エレーン」
ミカサ「……!」
ミカサ(エレン!?)
ミカサ「エレンが来てるの?」
アルミン「うん、どこいっちゃったんだろう? ちょっと探してくる」
ミカサ「待って」ガシッ
アルミン「え」
ミカサ「待って、今、エレンに会って、……その、まともに話せる自信が、ない」
アルミン「ミカサ……」
ミカサ「エレンを連れてきてくれた事には感謝、すべき、だと思う。でも、今の私はエレンの態度に耐えられそうもない」
アルミン「エレンの態度、って……」
ミカサ「私を、避ける態度」
アルミン「そんなの……」
ガサガサ
エレン「アルミン!」
ミカサ(……っ! エレン)ドキン
アルミン「あ、良かった。何で隠れるんだよ、もう」
エレン「それは……、アルミンが強引だからだろ」
アルミン「そうでもしなきゃエレンは来ないじゃないか」
エレン「……」アタマポリポリ
アルミン「ほら、黙ってないで話しなよ」
エレン「わ、分かったよ」
ミカサ(どうしよう。鼓動が大きくなって、頭痛に響く)
ミカサ(エレンが近づいてくる)
エレン「ミカサ」
ミカサ「……」
エレン「ごめん……、そうじゃないんだ」
ミカサ「……?」
エレン「その……、違う」
ミカサ「??」
アルミン「エレン、それじゃ何が何だか分からないよ」
エレン「ああもう、分かったって。だから、別に、……お前を避けてないよ」
ミカサ「避けて、ない……? じゃあ、夕食の時にアニの所に行ったのはなぜ?」
エレン「悪かったよ、メシの時は。あれはアニに用事があった訳じゃない」
ミカサ「それは、むしろ私を避けている様に聞こえる」
エレン「……」ポリポリ
ミカサ「……」
エレン「お前、さ。対人格闘術の時、ジャンと何やってたんだよ」
ミカサ「え?」
アルミン「エレンっ、そこからじゃないだろっ」アタフタ
エレン「気になるんだよ、そこが」
アルミン「もう……」アタマカカエ
エレン「なぁ、訓練サボってジャンと何してたんだよ」
ミカサ(あれは、私が泣いてしまって、ジャンが訓練所の端で相談に乗ってくれていた時)
ミカサ「何も……」
エレン「何もって事は無いだろ。訓練中にイチャついて」プイ
ミカサ「違う! あれは、私が……」
エレン「アルミンも分からないって言ってたんだ。なんであんな事してたんだよ」
ミカサ(アルミンを呼び出していたのは、まさかこの事?)
ミカサ「あの時、私は冷静じゃなかった」
エレン「冷静とかじゃなくて、何の話してたんだよ」
ミカサ(エレンが怒っている)
ミカサ(どうしてだろう。でも、話をしなければ)
ミカサ(そうだ、私はあの時にエレンに気持ちを伝えると決めたんだ)
ミカサ「それは……、エレンの話」
エレン「俺の?」
ミカサ「そう。エレンの話。……私は、エレンが好き」
エレン「な、なんで突然話が変わるんだよ」///
ミカサ「変わってない。その……、なので、ジャンに話を聞いてもらった」
エレン「それで抱き合ったり、してたのかよ」プイ
ミカサ「抱き合う?」
エレン「とぼけるなよ。お前ら訓練中にいきなり抱き合ってから、端の方に行ってただろ」
ミカサ「あ……、あれは、私が泣いてしまって、それをみんなに見せないようにしてくれたから」
エレン「泣いて、って。訓練中にお前が泣く訳無いだろ。本当かよ」プイ
ミカサ「本当」
エレン「理由を言ってみろよ」
ミカサ「理由は……」ビクビク
エレン「話せない内容なのか」
ミカサ(エレンはどうして怒っているんだろう)
ミカサ(私の言う事が信じられないの?)
アルミン「エレン、ミカサにそんなに詰め寄ったらダメだよ。何のためにここに来たのか思い出して」
エレン「……。泣いてた理由、教えてくれよ」
ミカサ「理由は、……エレンが、アニを特別だと思っているから」
エレン「……は?」
ミカサ「私はエレンにとって大勢の家族の一人、それどころか……」ポロポロ
エレン「あ、お、おい、ミカサ……」アタフタ
ミカサ「エレン、私はエレンに恋愛感情を持っている。でも、エレンは、アニに恋愛感情を……、持っ……」ポロポロポロポロ
エレン「ま、待てミカサ、泣くな」
ミカサ「私はそれが、辛い。とても辛い……。ぐすっ、苦しい。ので……、涙が……」ポロポロポロポロ
エレン「おおい、待て待て、何で俺がアニに恋愛感情なんだよ」
ミカサ「いつも、うぐっ……、アニと対人格闘術をして、……楽しそうで……」ポロポロ
エレン「バカ、それはアニが格闘術が上手くて、それを俺が教えてもらってて、そりゃ強くなるのは楽しいからで」アタフタ
ミカサ「…………」ポロポロ
エレン「その、つまり、お前は誤解してる。アニは尊敬はしてるけど、それ以外の興味は無い」
ミカサ「……」ポロポロ
エレン「なるほどな。だんだん分かってきた」フゥ
エレン「ミカサ、隣座るぞ」
ストッ
ミカサ「……っ」ビクッ
エレン「あ、おい、逃げようとするなよ」
ミカサ「うん……」
エレン「お前、俺の事好きだったんだな」
ミカサ「うん……」ポロポロ
エレン「なんてな。分かってたよ」
ミカサ「え……?」パチクリ
エレン「分かってたけど、それが当然だと思ってた。いや、むしろ俺を好きじゃないミカサなんて考えたこと無かった」
ミカサ「私も、考えられない」
エレン「ははっ、でもさ、ジャンと一緒にいる所を見たら、そうじゃない可能性もあるんだって思ったんだ」
ミカサ「なぜ?」
エレン「お前だって一人の人間なんだ。俺以外の奴を好きになる事だってある。そう思ったら、……お前の目が見れなくなった」
ミカサ「それは無い。絶対に無い。私はエレンだけ」
エレン「このタイミングで言われると、照れるだろ」///
エレン「まぁ、そういう訳で、何が言いたいかと言うと、な」
ギュッ
ミカサ(エレンが手を握ってきた)ドキッ
エレン「俺の傍にいろよ、ミカサ。他の奴の所になんて行くな。……俺以外の奴に泣き顔なんか、見せるなよ」
ミカサ「エ、エレン……」
エレン「その、な。どうやら俺も、お前に恋愛感情というのがあるみたいだ、から」ポリポリ///
ミカサ「うん……、うん。ずっと……、一緒」ポロポロ
エレン「あ、また泣きやがって。お前、昨日からずっとひどい顔してるぞ」
ミカサ「エレンのせい、ぐすっ……」ポロポロ
エレン「もう、そんな風に泣かせねーよ」
ミカサ(エレンの指が、私の頬を撫でて涙を拭いてくれてる)
ミカサ「エレン、嬉し……」ポロポロ
エレン「泣くなって、ミカサ。笑えよ」
ミカサ「うん……」ポロポロ
エレン「ダメか、まぁいいや。今日は好きなだけ泣いとけよ」
ミカサ「うん……、うぐっ……」ポロポロ
エレン「ミカサ」
ミカサ「ん?」ポロポロ
ギュ
ミカサ(……!)
ミカサ(エレンの腕の中に……)
ミカサ(エレンの体温。暖かい)
ミカサ(エレン、大好き)ギュ
アルミン(あああああ、完全に帰るタイミング逃した……)
アルミン(僕はいつまで二人を見ながらここにいたらいいんだろう……)シクシク
完
別ルートリク、ありがとうございます。
話は出来上がってますが、まだ文章が途中なので書き終わったら投下します。
別ルートは、サブルート的なもので、ジャンミカっぽくなる予定です。
今回のはミカサ視点のお話なので、他キャラは後で書けそうな時間見つけたら書こうかな。
別ルートできたので投下します。
ジャンミカっぽいと言いながら、エレンの出番ばかりになっていますゴメソ。
>>36からのもう一つのお話です。
ミカサ(覚悟は決めた)
ミカサ(エレンに私の気持ちを伝えよう)
ミカサ(エレン、それであなたはどんな答えを出してくれるの?)
食堂
アルミン「ミカサ、良かった。ずっと食事取ってなかっただろ? 心配したよ」
ミカサ「ごめん、アルミン。心配をかけた」
エレン「ミカサ、遅いぞ」
ミカサ(エレン……)ドキン
エレン「って、あれ? お前、目どうしたんだ? 腫れ上がってるぞ」
ミカサ「これは……っ」
アルミン「あ、ミカサは最近体調悪いみたいで、あんまり寝てないのかな?」アセアセ
ミカサ「え、ええ。少し具合が悪い、から」
エレン「お前が体調悪いなんて珍しいな。だからメシも食ってなかったのか。いくらお前でも体調不良で訓練はキツいだろ」
ミカサ「心配してくれるの?」
エレン「当たり前だろ」
ミカサ「ありがとう……、嬉しい。体調はすぐ良くなると思う」///
アルミン(僕も心配してたんだけどな、一応。恋愛感情恐るべし)
ミカサ「あ、あの、エレン」
エレン「何だ」
ミカサ「食事が終わったら、話がしたい」
エレン「話? いいけど、食事中に話してもいいじゃんか」
ミカサ「ダメ。二人の時でないとダメ」
エレン「分かったよ」
ミカサ「じゃあ、食事が終わる時間になっても宿舎に戻らないでここにいて」
エレン「あんまり長引くとキース教官が来るから手短にするんだぞ」
ミカサ「分かった」
ミカサ(これで約束はできた)
ミカサ(後は、エレンに伝えるだけ)
ミカサ(伝えるだけ……)
エレン「おい、ミカサ。全然食ってねーけど、大丈夫か?」
ミカサ「あ、うん。平気」
ミカサ(どうしよう。食事が喉を通らない)
エレン「人には食えと言いながら自分がそのザマじゃしょうがねぇな」
ミカサ「多分、明日には食べられるようになる、と思う」
サシャ「なるほど、じゃあ今日のは私がいただいていいって事ですね」ニョキ
エレン「うわっ、お前って食べ物がある所にはどこからでもわいてくるんだな」
サシャ「そんな人をウジムシみたいな表現しないでくださいよー。という訳でいただきます」パク
エレン「あ! ミカサの許可無く口に入れるな」グイグイ
サシャ「ふぁべふぁおんふぁひへふ」(食べた者勝ちです)
ミカサ(サシャを見ていると少し悩みが和らぐ気がする)
ミカサ「いい、どうぞ」
エレン「そんな事言う前に、コイツ食い終わってるぞ」
サシャ「ゲフー」
アルミン(はいはい、僕は空気です)シクシク
カンカンカン
ガタガタガタ
ミカサ(食事終了の合図と共に、みんなが宿舎へと帰っていく)
ミカサ(エレンは約束通りに、椅子に座ったままで待っていてくれる)
ミカサ(エレンと二人きりになれるなんて、何日ぶりだろう)
バタン
エレン「最後の一人、いなくなったぞ。で、話って何だ」
ミカサ「話は……」ドキン
ミカサ(いけない。エレンと目があったとたんに急に鼓動が早く……)
ミカサ「その……」ウツムキ
エレン「どうしたんだよ。何か今日のお前、変だぞ」
ミカサ「変じゃない。……いや、今の私は……、確かに変」
エレン「お前らしくないぞ。何かあったら遠慮無く言えよ。家族だろ」
ミカサ「家族……。うん。私は家族。家族の中の一人」
エレン「? 何言ってるんだ?」
ミカサ「私は……、家族で……、だけど私は……」
ミカサ(言葉が続かない)
ミカサ(ジャンは思っている事をぶちまけろと言っていた)
ミカサ(思っている事を、そのまま……)
ミカサ「私は、……私は、エレンが好き」
エレン「は……っ?」
ミカサ「私はエレンが好き。凄く、好き。恋愛感情を持ってる」
ミカサ「その答えはエレンにしか分からない。でも、エレンは、他に恋愛感情を持っている人がいるらしい」
エレン「お、おいおい、いきなり意味分かんねぇよ」アタフタ
ミカサ「私は、それに気付いた時から、エレンがとても好きで、でもきっと本当は昔から好きで」
ミカサ「でも、気付いてから、とても辛い気持ちだった。エレンの特別は別の人で……」ポロポロ
エレン「ええっ! ちょ、ミカサお前どうしたんだよ!? とりあえず落ち着け」オロオロ
ミカサ「……分かった」ゴシゴシ
エレン「えっと、つまり。最終的に何が聞きたいんだ?」
ミカサ「私はどうしたらいい?」
エレン「何に対してだ?」
ミカサ「エレンに対する気持ち」
エレン「気持ち……、その、恋愛感情ってのをか?」
ミカサ「そう」
エレン「うーん、俺に聞かれてもなぁ……」
ミカサ「エレンは、アニが好き? アニが特別?」
エレン「なんでそこにアニが出てくるんだよ」
ミカサ「エレンはアニが好きじゃないの?」
エレン「……そりゃ、好きだけど」
ミカサ「やっぱり……」ポロポロ
エレン「待て、待てって。お前が何を勘違いしてるのかは何となく分かる。でも、それは違うからな」
ミカサ「違う?」
エレン「うーん、その恋愛感情、っての。俺にはよく分からねぇんだよ」
エレン「アニが好きかと言われたらそりゃ好きだし、ミカサが好きかと言われたらやっぱり好きだ」
エレン「それはサシャだってアルミンだって、ライナーだってそうだ」
ミカサ「エレンは、恋愛感情は持っていないの?」
エレン「持ってないって訳じゃ、ないと思うけど、そういうのは感じた事が無い」
エレン「俺はただ、巨人を駆逐する、それだけを目標にして生きてる」
エレン「それ以外でそんなに必死になれる事は見あたらないんだよ」
ミカサ「……」パチクリ
ミカサ(そうだ)
ミカサ(そうだ、私は今までエレンの何を見てきたのだろう)
ミカサ(エレンは一つの目標を掲げて、そこ目がけて脇目もふらず走っていく人だ)
エレン「でもさ、だからと言って他を見てない訳じゃないからな」
エレン「誰かに嬉しい事、例えばこの先結婚して子供ができて、なんて時は一緒に喜んで」
エレン「苦しい時や壁にぶち当たった時は助けてやりたい。それが俺は家族だと思ってる」
エレン「家族はみんな好きだ。それは恋愛感情とは違うものだと思う」
ミカサ「エレン……」
ミカサ(フッ、と何かが途切れるような気がした)
ミカサ(それは、黒く淀んでずっと私を苦しめていた何か)
ミカサ(エレンはこういう人だ。だから私はエレンにずっとついていこうと思っていた)
ミカサ(なぜそんな大切な事を忘れてしまっていたんだろう)
エレン「だからさ、そんな事で悩むなよ。お前は俺の一番大事な家族だからな」
ミカサ「……うん」
エレン「それにお前、俺の事構い過ぎだぞ。もっと周りを見ろよ」
ミカサ「周りってどれ?」キョロキョロ
エレン「そうじゃない。周りの仲間だよ。言っただろ。お前にだって仲間全員が家族だ」
エレン「お前がそんなんじゃ、周りの家族が声をかけても助けを呼んでも聞こえないだろ」
ミカサ「私は……」
ミカサ(私は、エレンさえいれば何も無くていいと、いつも思っていた)
エレン「訓練中だって、プライベートだって、助けて貰った事もあるだろ?」
エレン「もうそろそろ俺から卒業してもいいんじゃねーか」
ミカサ「エレンから卒業……」
エレン「そうだ、別に離ればなれになるんじゃない。俺を含めたみんなを平等に見てみろよ」
エレン「お前が気付かないだけで、頼りになる奴はいっぱいいるぞ」
エレン「俺だって、お前の事心配してるんだからな」
ミカサ「うん……」
エレン「おい、分かったか。不細工」
ミカサ「不細工? それ失礼な言葉」
エレン「そんな重い瞼になってたら、どうみても不細工だろ」
ミカサ「これは、エレンのせいで」
エレン「知らね」
ミカサ「エレン、酷い」
ミカサ(あ、心が、軽い)
エレン「じゃあ、宿舎に戻るぞ。お前も教官が来る前に戻れよ。じゃあな」
ミカサ「……うん」
エレン「また明日」
バタン
ミカサ(軽くなった。さっきまでが嘘の様に軽い)
ミカサ(気持ちを伝えるというのは、こんなに清々しいものだとは思わなかった)
ミカサ(それはエレンだからなのかもしれないけど)
ミカサ(エレンの言葉に耳を傾けよう)
ミカサ(少しずつでいいから、エレンに言われたように外を向いてみよう)
ミカサ(誰かの送った何気ないシグナルも全部見えていなかったし、見ようともしてなかった)
ミカサ(エレン、心配かけてごめんなさい)
カチャ
ミカサ(ドアの開く音? 教官に見つかった!)ビクッ
ミカサ(あれ、でもあの影、教官とは……)
ミカサ「ジャン?」
ジャン「よぉ……」///
ミカサ「忘れ物でもした?」
ジャン「いや、そうじゃなくてさ、気になったから」
ミカサ「? あ、話変わるけど、ジャンにお礼が言いたい」
ジャン「礼?」
ミカサ「そう。エレンに気持ちを伝えるようにアドバイスしてくれた」
ジャン「あ、それは、別に話変わってねーけどな」ポリポリ
ミカサ「エレンは巨人を駆逐する。私はそれを追いかける。それで解決」
ジャン「は? それって別に……」
ミカサ「そう、何も変わらない。今まで通り。でも、それで問題ない」
ミカサ「でも、私はこれから変わる」
ジャン「どういう事だ?」
ミカサ「私はエレンしか見てなかった。エレン一人が家族だった。でも、違う」
ミカサ「訓練兵みんなが私の家族。みんな大切。もっとみんなの声を聞きたい」ニコ
ジャン「そうか、いい顔になったな」
ミカサ「エレンには不細工と言われた」
ジャン「あのバカ……」
ミカサ「でも、嫌じゃなかった。それくらい、気持ちがスッキリした」
ジャン「ははっ、俺の言った通りだったろ」
ミカサ「ええ。ジャン、ありがとう。ジャンは頼りになる人」
ジャン「えっ……」///
ミカサ「これからジャンともたくさん話をしたいと思う。ジャンの事をもっと知りたい」
ジャン「マ、マジか……」
ミカサ「あなたも大切な家族だから。これから仲良くして欲しい」
ジャン「も、もちろん」///
ジャン「じゃあさ、あの……、今日俺が恋愛感情を持ってる人って誰だと思う?」
ミカサ「だれだろう? 分からない」
ジャン「それな、実は」
バタン!!
ジャン・ミカサ ビクッ
キース教官「誰だね。こんな時間まで食堂に明かりを灯しているのは」ギロリ
ジャン「ひぃぃぃ」サーッ
キース教官「ジャン・キルシュタイン! ミカサ・アッカーマン! 明日は一日休憩無しで訓練場を走れ! 分かったな!!」ギロリ
ジャン・ミカサ「は、はい!!」シクシク
完
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