一夏「仮面ライダー」(16)
《インフィニット・ストラトス》 通称《IS》
ISは現存するどの兵器よりも高性能であり、ISの登場により世界のパワーバランスは大きく変わった。
だが、ISには大きな欠点があった。その欠点とは、『女性のみが使用できる』ということだ。
当然、世界中から問題が噴出した。だがそれでも世界は崩れ去る事はなく、危ういバランスを保ちながら廻っていた。
だけど…………
都内・某所
薄暗い路地をスーツ姿の女性が必死の形相で走る。その後ろを灰色の怪物が巨大な剣を引き吊りながら追い掛ける。
女性「ハァハァッ……」
怪物から必死に逃げていた為に、女性は自分が袋小路に追い込まれていることに気付いていない。
女性「あ、嘘………行き止ま…」
ドスッ
女性「あ、嫌…………」
いつの間にか追い付いていた怪物が大剣を女性の心臓に突き立てる。
女性「」サラサラサラサラ
??「コイツも駄目か。まったく……やはり人間はダメだな」
元は人間だった砂の小山を足で踏みつけながら怪物の独白が続く。
??「ったく、どいつもこいつも簡単に砂になりやがって……やっぱり俺達《オルフェノク》になれる奴はそうそういないわな………」
「おい」
オルフェノク「あ?」
オルフェノクが振り返った先には黒髪の少年が立っていた。
「お前、オルフェノクだな?」
オルフェノク「ハッ。オルフェノクだと分かってんなら逃げるべきじゃないか?」
そう言いながらもオルフェノクは突然現れた少年を逃がすつもりは無いらしく、大剣を少年の心臓に向ける。
オルフェノク「俺を倒そうってんなら止めとけ。IS以外の武器じゃあこの体には傷一つ付けられねーからな」
「…………」
オルフェノク「ま、お前が女で、しかもIS使いってんなら話は別だがな」
オルフェノクの嘲笑に動じることなく少年は慣れた手つきでどこからともなくベルトを取り出し腰に装着する。
「…………ISを使わなくても、お前等を倒す手立てはあるさ」
そしてポケットから携帯電話を取り出し《555》とプッシュする。
オルフェノク「おいおい、今更警察に掛けてもIS使いが来る頃にはお前は……」
《Standing by》
「変身」
《Complete》
そして少年が一瞬光ったかと思った次の瞬間、そこには黄色の複眼を持ち、赤い光を纏った戦士が立っていた。
オルフェノク「なんだ、お前………その姿…IS、なのか?」
555「違う。これは、仮面ライダーだ。…………お前等を一匹残らず刈り取る為の《武器》だ!!」
555の強く握られた岩をも砕く拳がオルフェノクに向かって振り下ろされる。
これは、仮面ライダーとなった少年、《織斑一夏》の、物語である。
一夏「ただいま」
一般的な一軒家に帰ってきてのは、さっきまでオルフェノクと死闘を繰り広げていた少年、織斑一夏だ。
一夏「……って、誰も居ないんだけどな」
一夏はフルフェイスのヘルメットとバイクのキーをリビングのソファーに放り投げる。
一夏「………」
そしておもむろにテレビの電源を入れ、ニュースにチャンネルを合わせる。
キャスター『…では、次のニュースです。本日午後4時ごろ都内××区でオルフェノクによる連続殺人事件が発生しました。付近の住民の皆さんは十分な注意を………』
一夏「注意するだけで奴らから逃げ切れる分けないだろ………それにそのオルフェノクはもう、この世には居ないっつーの」
そう言って一夏はテレビをそのままにして夕食を作りにキッチンに移動しようとするが、ふと、リビングのテーブルに何かのパンフレットが置いてあることに気付く。
一夏「あー。千冬姉帰ってきてきてたのか…………バイクで出てて良かった。免許持ってないのにバイクがあったら不自然だもんな………」
そのパンフレットはとある学園の入学案内のようだ。そしてそのパンフレットの上にはパソコンで打たれた字で『此処に来い』とだけかかれていた。
一夏「これ………IS学園の?」
女性しか扱えないISについて学ぶIS学園………男である一夏には全く関係ない学園だが、
一夏「………これ多分、千冬姉が置いてったんだよな……取り敢えず行くだけ行ってみるか」
そしてその選択が一夏の運命を大きくねじ曲げることとなる。
〜数週間後〜
一夏(……………どうしてこうなった)
仮面ライダー、織斑一夏は現在、人生で二番目の苦境に立たされていた。
一夏(おかしいだろ………なんで俺がIS学園に入学してんだよ!?)
一夏(パンフレットを持ってIS学園に来たらあまりの広さに迷ってしまって)
山田「それでは自己紹介を………」
一夏(偶然見つけたISに触ったらなんでか知らんが起動してしまって…)
山田「それでは次は、織斑君……」
一夏(強制的に学園に入学してしまったなんて………どんな偶然だよ)
山田「お、織斑くーん?」
一夏「へ?」
山田「あの、じ、自己紹介を……」
一夏「あ、はい」
椅子から立ち上がり教室内を見渡すと、大勢の女生徒が一夏を目を輝かせながら凝視していた。
一夏(動物園の動物って、こんな気分なのかな)
一夏「えっと………織斑一夏です。出身は××中学、趣味は総合格闘と剣道です」
一夏「以上です」
山田「ありがとうございます。では次は、」
無事自己紹介を終え、一夏が席に戻ろうとした時、教室のドアが開き1人の女性が入ってくる。
??「自己紹介はまともに出来たようだな?」
一夏「へ?…………って、千冬姉!?」
ベキンッ
一夏「ホァッ!?」
千冬「学園では織斑先生と呼べ」
一夏「り、了解です。織斑先生」
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